脱原発

2015年3月27日 (金)

(見逃せない重要論文(4)):小出裕章京都大学原子炉実験所助教 定年記念公演・定年インタビュー

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

「見逃せない重要論文(3)」は、この3月で定年退職となる小出裕章京都大学原子炉実験所助教です。小出裕章さんのことはみなさまがもうよくご存じでしょうから、私がご紹介申し上げるまでもありません。今から4年前の福島第1原発事故で、1号機に続いて3号機までが爆発を起こした時、これは大変なことになったと思い、その時、小出裕章さんがいらっしゃっていろいろとお話をされているのを聞いて、どれほど心強かったか知れません。TVや新聞などのマスごみに登場する、見るからに「こいつは原子力ムラの人間だ」と思わしき連中が発する言葉にはまったく信頼が置けず、原子炉のど素人にも、日に日に事態が悪化して緊迫度が高まっていく様子が感じ取れましたから、どうしたら危機から脱することができるのか、気が気でなかったことを思い出します。そんなとき、小出裕章さんの言葉が一言一言、非常に貴重に聞こえたものでした。

 

福島第1原発の事情が少し平衡状態に入り、事態の悪化や格納容器を吹き飛ばすような大爆発はさしあたり回避できた様子になってからも、小出裕章さんの様々なコメントには、必ずと言っていいほど耳を傾けたものです。早くも事故後数か月で、いわゆる原子力ムラの御用学者と言われた連中は、国民から完璧に信頼を喪失して、TV画面をはじめ、マスごみから姿を消しました。それから4年、小出裕章さんの大活躍が輝く中、それでも原子力ムラ・放射線ムラは死に絶えることなく、しぶとく生き残り、今、自民党の政権復帰とともにゾンビのごとくよみがえろうとしています。日本の国民というのは、福島第1原発事故という危機一髪の国家全体が滅亡しかねない大事故を目の前にしても、かような自民党に政権を託すほど、愚かでわけのわからぬ国民であったかと、がっかりもし、また、情けなくもなりましたが、その時も小出裕章さんの不屈の精神と、そのきらきらとした良心に励まされたものです。

 

その小出裕章さんが、残念ですが京都大学原子炉実験所を定年退職されます。さる2月末には、その小出裕章さんを迎えて記念講演がなされましたし、マスコミ各紙も定年記念のインタビュー記事などを掲載しております。別添PDFファイルには、そのうちの5つばかりを添付しておきました。なお、京都大学原子炉実験所には、かつて、たのもしい「熊取6人衆」が在籍しておられたのですが、今回の小出裕章さんの退職をもって、残るは今中哲二氏1人になってしまいました。

 

ところで、3.11以降の小出裕章さんのことで強く印象に残っているのは、2011年4月末に明治大学御茶ノ水校舎で開催された講演会に、会場に入りきれないほどの大行列ができたこと、それから、何度も小出裕章さんの講演を聞きに行き、時々、講演の後に質問に行くと、どんなトンチンカンな質問にも、それはそれは丁寧に答えてくださっていたこと、そして、何よりも、もう中止にされてしまっているけれども、関西の毎日ラジオ放送で連日放送されていた「たね蒔きジャーナル」を、毎日のように聞き漏らさずに、インターネットで耳を皿のようにして聞いていたことです。インタビューをなさっていた女性のアナウンサーもなかなか感度が良くて、この番組がTVの定番番組にでもなっていけばいいな、と思いながら聞きました。(しかし、残念なことに、多くの視聴者の「続けて」という声を踏みにじり、関西のラジオ局はこの番組をつぶしてしまいました。おそらくは原子力ムラからの圧力が水面下であったのでしょう。なさけないマスごみです。)できれば、ネットを通じた放送に詳しい方には、この小出裕章さんの「たね蒔きジャーナル」を復活させていただきたいものだと今でも思っています。そういう番組が絶対に必要な情勢になってきているような気がしています。

 

●小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ(かつては「たね蒔きジャーナル」の録音サイトでした)

https://hiroakikoide.wordpress.com/tag/%E3%81%9F%E3%81%AD%E8%92%94%E3%81%8D%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%AB/

 

以下、簡単に昨今の小出裕章さんの書かれたものやインタビュー記事等をご紹介し、あわせて小出裕章さん関連のサイトもいくつかご紹介しておきます。定年退官記念講演での小出裕章さんへの会場からの質疑応答に関する記事によれば、小出裕章さんは、退職後、「仙人」になられるのだそうです。当面は求められれば講演等に応じますが、徐々に徐々に自分はそうしたことから身を引いて行って、最後は山にこもって仙人におなりになるとか。私たちとしては、小出裕章さんには、仙人は仙人でも、脱原発「専任」の仙人でいらしていただきたいですね。これからもご活躍を期待しております。

 

 <別添PDFファイル>

(1)原発廃炉への道筋(小出裕章 『都市問題 2015.3』)

(2)小出裕章・京大助教 定年インタビュー、反原発 私自身のため(東京 2015.3.23

(3)京大原子炉実験所助教 小出裕章さん最終講義(毎日 2015.3.6 夕刊)

(4)風知草 去っていく男(毎日 2015.3.2

(5)住民に中間貯蔵を引き受けさせてはいけない(小出裕章『週刊金曜日 2015.3.6』)

 

 <関連サイト>

(1)2015-02-27 【大阪】京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏、在職中最後のゼミ講演で「原子力廃絶」を力説──原発に警告を発し続けてきた半生を語る IWJ Independent Web Journal

 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/235922

 

(2)みんな楽しくHappyがいい♪ 小出裕章先生

 http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-category-15.html

 

(3)小出裕章ジャーナル 独立系ラジオ番組・ラジオフォーラム

 http://www.rafjp.org/koidejournal/

 

(4)京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏講演会情報

 http://healing-goods.info/koide/

 

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上記のうち、1.原発廃炉への道筋(小出裕章 『都市問題 2015.3』)を以下に簡単に要約

 

1.はじめに

(1)ついに日本でも起きた原子力発電所の破局事故

(2)原子炉という機械の宿命

(中略)そして、長期間運転され、炉心に核分裂生成物が十分に蓄積した状態の場合、原子炉内の発熱の7%分は、核分裂生成物自体が発している。その発熱を「崩壊熱」と呼ぶ。ウランの核分裂反応は制御棒を挿入することで止められるが、「崩壊熱」は核分裂生成物がそこにある限り止められない。つまり、原子炉という機械は、何かトラブルがあった時に、原子炉を停止する、つまりウランの核分裂反応を止めたとしてもなお、7%分の発熱は止められない。熱出力300万KWの原子力発電所であれば、崩壊熱は21万KWになる。その発熱は約80kgの冷水をl秒ごとに蒸発させるほどのもので、もしその発熱を除去できなければ、炉心が熔けることは必然である。すなわち、原子炉とはいついかなる時にも冷却できなければ熔け落ちてしまう宿命を持った機械である。

 

2.廃炉工程の現状と問題点

(1)これまでの歩み

(2)現在存在する困難

<1>放射能汚染水

<2>労働者の被曝

<3>放出された放射能と周辺の汚染

(中略)そのセシウム137について、日本国政府が国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書に基づけば、大気中に放出した量は15ペタベクレルである。広島原爆が大気中にばらまいたセシウム137の量は0.089ペタベクレルであるから、図1に示すように、福島第一原子力発電所事故で大気中に放出されたセシウム137は広島原爆168発分に相当する。そのほとんどは偏西風に乗って太平洋方向に流れた。日本の東北地方、関東地方に降下したセシウム137の量を各県別に図2に示す。その総量は2.4ペタベクレルである。それによる汚染についても日本政府が地図を作成しており、それを図3に示す。濃密な汚染を受けた約1,000km2(琵琶湖1.5個分)から10万人を超える人たちが故郷を追われて流浪化した。また全部で14000km2の地域は、日本が法治国家だというのであれば、「放射線管理区域jに指定して、人々の立ち入りを禁じなければならないほど汚れている。そんな深刻な汚染を引き起こしたセシウム137の量は重量にすればわずか750gしかない。放射能は五感に感じられないというが、感じられるほど放射能があれば、人間は簡単に死んでしまうからである。

 

3.廃炉に向けて今後歩むであろう(歩むべき)道筋

(1)使用済み燃料プール

(2)放射能汚染水の管狸

(中略)破綻を回避するためには、2つのことを行うしかない。まずーっは炉心の冷却に水を使うことをやめることである。炉心に留まった核分裂生成物のうち寿命の短い核種は次々と減衰して無くなってくれており、事故直後に比べれば、崩壊熱はすでに数百分の1に減っている。図4に示す通り、現在ではせいぜい数百KWである。水は最高の冷却材ではあるが、水での冷却は諦め、スズ、鉛など低融点の金属での冷却、あるいは空冷も可能だろうと私は思う。

 

(中略)今回福島第一原子力発電所で作ろうとしている遮水壁は深さ30m、長さ1.4kmものものであり、そんな凍土壁を作った経験はない。そして、凍土壁は冷却が断たれれば崩壊してしまう。今後何年、何十年にわたって一刻の冷却の途絶えも許されないという技術が成り立つ道理がない。結局、鋼鉄とコンクリートによる遮水壁を作らざるを得なくなる。

 

(3)熔け落ちた炉心の始末

(中略)東京電力と国は、破壊されている格納容器を補修し、全体に水を張ったうえで、上方向につかみ出すという工程表を書いている。しかし、おそらくそれはできない。格納容器の補修そのものが難しいだろうし、仮にそれができても熔け落ちた炉心はすでに分散してしまっていて、上方向から格納容器の底を覗いて取り出すことはほぼできない。仮に50%を取り出すことができたとしても50%は残ってしまう。そうであるなら、多大な被曝をしながらつかみ出し作業をするよりは原子炉建屋全体を、かつてチェルノブイリ原子力発電所事故の時に行ったと同じように「石棺」で封印するしかない。

 

(中略)福島第一原子力発電所l号機から3号機の使用済み燃料プールからの燃料の移動がいつになったら終わるか分からないが、それが終わるまでは石棺化はできない。石棺ができるとしても、それができた暁にはおそらく私は死んでいるだろう。そして、第2石棺を作るころには、今現在生きている人のかなりの人たちが死んでしまっているだろラ。

 

(4)放射能の永続的な管理

(中略)気の遠くなるような作業が予測できない未来にわたって続く。

 

4.根本問題

(中略)事故を収束するためにまず必要なことは、無責任体制を改めることである。人々にどんなに苦難を与えても、事故対応にどんなに失敗しても誰も責任を負わないようなら、今後の事故処理対策もうまくいく道理がない。また、現在、原子力発電所の再稼働が企てられているが、それは、再稼働後に事故が起きたとしても、だれも責任を負わずに済むことが、今回の事故で示されたからである。事故が起きた場合に、責任ある組織と個人を正当に処罰することができるなら、原子力発電など誰にも運転できない。

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草々

 

 <追>

最後に、小出裕章さんについて、申し上げにくいことを1つばかり申し上げなければいけない。それは、別添PDFファイルの『週刊金曜日』記事にある次のような小出裕章さんの発言のことである。

 

「(問)年配者は汚染品も食べようと提案し、反発も受けられましたね。

 

(小出裕章さん)本来は住んでも農業もやっていけない場所に捨てられた人は、そこで作物を作るしかない。「東電に買い取らせろ」という人もいるが、買っても捨てるだけ。仕事に誇りを持つお百姓さんや酪農家は初めから捨てられる物を生産できますか。被曝しながら作って下さる農作物をどうするか。50代から放射能への感受性は著しく鈍くなる。感受性の強い子どもは絶対避けるべきですが、原発を作ってきた責任のある大人は分担して食べるしかないと思います。」

 

私はこれには残念ですが賛成できません。「原発を作ってきた責任のある大人」をごくごく限定し、自民党・民主党の政治家や経済産業省の幹部官僚、あるいは原子力産業や原子力推進の立場だった御用学者や御用マスごみ幹部くらいの範囲内であれば、それもありでしょう。しかし、そうした「福島第1原発事故の責任者」の範囲を超えて、広く一般の国民の大人を意識しての発言であれば、受け入れることはできません。

 

基本は、小出裕章さんがいつもおっしゃっているように、「放射線管理区域指定基準」を超える地域からは、全ての人々がすべての産業とともに移転・移住・避難をするのです。汚染地域は無人化させ、放射能の自然減衰を待ち、放射能が拡散しないように閉じ込める努力を不断にしていく以外にありえないと思います。除染など、できるはずもありません。そして、そうしたことの基礎に、被害者への万全の賠償・補償と再建支援政策がなくてはなりません。事故後4年間、このあたりまえのことが、歴代の政府・政権によってサボタージュされ、加害者の原子力ムラが再建されるとともに、他方で、被害者が踏みにじられて放射能汚染地帯に居住を余儀なくされ、無用の被ばくを押し付けられているのです。これをひっくり返すには、被害を受けたもの同士が手を結びあい、一般の国民とともに立ち上がって、原子力ムラ連合軍と闘う以外に解決できる道はないのだと思います。選挙、裁判、社会運動、請願、ありとあらゆる手を使って闘う以外に、この理不尽な状態を突破する方法はありません。年取った大人は放射能汚染物を食べて死んで行け、これは話が違います。そんなことよりも、福島第1原発事故の加害者・東京電力や事故責任者・国を徹底追及し、被害者・被災者への償いをさせることに全力を挙げるべきです。

2014年12月30日 (火)

再生可能エネルギーを押さえつけて、滅びゆく恐竜=原発にしがみつく地域独占の電力会社と経済産業省:再生可能エネルギー買取制度の改悪を許すな

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

今般、FOEジャパンの主催で、経済産業省による再生可能エネルギー買取制度見直し案のパブリックコメントに関するワークショップが開催されました。講師には環境エネルギー政策研究所(認定NPO法人)の松原弘道氏が招かれ、会場との質疑応答も交えて充実した内容の講演が行われました。また、ワークショップ後半では、竹村英明氏(「緑茶会」代表、市民電力連絡会会長)もネット電話を通じて再生可能エネルギー買取制度に関するコメントをされ、また、参加者各位も今回のパブコメへの提出意見書を実際に書いてみるなど、実践的な作業もセットになっておりました。以下,簡単にコメントいたします。

 

●パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620114024&Mode=0

 

(改正の概要)

http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000121435

 

FoE Japan | 気候変動・エネルギー

「【緊急開催】 再エネの未来が今ピンチ? 誰でもわかる 買取制度の見直しに関するパブコメ・セミナー」

 http://www.foejapan.org/energy/evt/141227.html

 

 <別添PDFファイル>

(1)ワークショップ・レジメ(1) 「固定価格買取制度の運用見直しの課題」(松原弘道 2014.12.27

(2)ワークショップ・レジメ(2) パブコメ出そう (2014.12.27

(3)電力システム改革と自然エネルギー本格導入のための方策(松原弘道(環境エネ研)『原子力資料情報室通信 2015.1』)

(4)(イベントちらし)1.10 パワーシフト・シンポジウム「電力システム改革=小売り自由化に向けて」

(5)太陽光 九電、来月買い取り再開 発電抑制、日数の上限撤廃(東京 2014.12.23

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014122302000125.html

 

(注:上記(2)に私が書いたパブコメ素案を添付しておきました。拙い字で申し訳ありません。また、(1)のレジメには、当日私が書きつけた落書きがありますが、無視していただいて結構です)

 

 <関連サイト>

(1)再生可能エネルギーへの系統「接続拒否」を読む - 竹村英明の「あきらめない!」

 http://blog.goo.ne.jp/h-take888/e/04861efa49a82436ba6e671a667ee0a4

(9)再生可能エネルギーで日本再生 - 竹村英明の「あきらめない!」

 http://blog.goo.ne.jp/h-take888/e/cab50d008b8983fca062b9bc7eecc54f

 

(田中一郎コメント)

 今般の経済産業省が持ち出してきた再生可能エネルギー買取制度の見直し案は、そもそも原発にしがみついて再生可能エネルギー買取りをしたくない地域独占の既存電力会社9社の愚かで身勝手な言い分をふんだんに取り入れて「その場しのぎ」の対応を行っただけの、実にお粗末極まりないものです。まさに原子力ムラ代表者による、再生可能エネルギーの可能性つぶしと言っていいでしょう。かような人たちに日本のエネルギー政策をゆだねていては、日本は世界の大きな流れに取り残され、私たちの未来はどんどん暗くなっていきます。

 

 福島第1原発事故を経験しても、旧態依然のまま、電力業界や原子力業界と癒着を続ける経済産業省は解体されるべきです。少なくとも原発やエネルギー政策とは切り離すべきです。また、電力供給のパイオニアとしての資質を喪失して、日本最大の「抵抗勢力」となっている既存の地域独占電力会社9社もまた、会社更生法その他の法的な措置を取り、解体・再編・質的転換が図られるべきです。このままでは、日本は滅びゆく恐竜=原発とともに運命を共にしなければなりません。それは、かつてのアジア太平洋戦争の時代に、かの大日本帝国が、戦艦大和に代表される巨砲巨大戦艦とともに滅び去ったこととよく似ていると言えるでしょう。愚かなことを再度繰り返してはならないと思います。

 

 それから、今回の再生可能エネルギー買取を巡る騒動で私が根本的にわからないのは、電力の需要量に対して再生可能エネルギー電力を含む供給量が大きいとダメだという点です。その逆、つまり供給量に対して需要量が大きい場合がダメだ(供給量が足りないのはダメだ)というのならわかるのですが、今回のように需要量に対して供給量が大きいのはダメだ、というのはなかなか理解しがたいものがあります。ワークショップでも松原弘道さんに質問してみましたが、その回答はしっくりこないものでした。それで私なりに、この電力需要量<(買取再生可能エネルギー電力を含む)電力供給量、がダメな理由を考えてみると、次の2つではないかと思われます。

 

(1)再生可能エネルギーは時々の自然環境に左右されやすいものが多く、その変動が激しすぎる。電力需要量の変化が電力供給量の変化に対応できず、供給量が一気に減少してしまうと、大規模停電になる可能性がある(つまり、技術的な理由 ⇒ しかし、ヨーロッパなどの事例から見て技術的に克服可能ではないか)。

 

(2)再生可能エネルギーを需要がないのに買取り続ければ、既存の地域独占電力会社は販売収入がないのに仕入れコストだけがかかる形となり、電力事業が成り立たなくなる。一定範囲の供給過多ならば吸収可能だが、大規模な形での再生可能エネルギー供給過多は電力会社の経営上、対応できない(つまり、電力会社の経営上の問題 ⇒ やり方によって、いくらでも克服可能である。場合によっては、需要サイドをコントロールする方法もある)。

 

 ということで、いずれも、今行われているような乱暴な再生可能エネルギー買取を拒否するようなやり方ではない対策があるにもかかわらず、まるで再生可能エネルギーの可能性を将来に向けてつぶすかの如く、法律で義務付けられた再生可能エネルギー買取りを(やむを得ない事情がないにもかかわらず=他に対応の方法があるにもかかわらず)中断してしまいました。まさに法律違反そのものです(「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」)。日本という国では、電力会社など原子力ムラのやることは全て治外法権になっていて、今回のことも法治国家の枠組みの外で平然と、白昼堂々と行われているのです。

 

●資源エネルギー庁 なっとく! 再生可能エネルギー

http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/index.html

 

 <私のパブコメ提出意見書>

1.再生可能エネルギーの中長期的な導入目標や、その実現のための具体的な施策やスケジュール(行程表)などが何も決められていない中で、さまざまな適切な代替策や対応策があるにもかかわらず、まるであわてて再生可能エネルギー電力の増大を阻止せんが為のごとく、再生可能エネルギー規制を導入しようとしている。また、その根底には、依存度を引き下げていくとされている原発・核分裂エネルギーへの過度のもたれかかり・しがみつきが見られるなど、我が国の大きなエネルギー政策の方向性とも齟齬をきたしている。今回の対策=再生可能エネルギー買取り制度の見直しは、既存の地域独占電力会社の身勝手で視野狭窄・思考停止の言い分だけを取り入れた、まるで場当たり的に策定された対処療法的な愚策にすぎず、我が国のエネルギー政策の根幹を歪めるものに他ならない。全面的に撤回し、他の方法を検討し直せ。

 

2.原発をベースロード電源とし、火力についてはエネルギー効率を上げるためや温暖化ガス排出の削減を念頭に置かずに、再生可能エネルギー買取りの制度を考えていることが根本的に誤りである。原発はちょっとした地震や天災ですぐに運転停止となり、また、ずさんな管理や様々なトラブルで運転ができなくなることの多い「不安定電源」であり、かようなものをベースロードになどできないことは明らかである。また、巨大地震・津波・火山噴火や、原発それ自身のトラブルによる過酷事故の再発への懸念も大きく、しかも、使用済み核燃料の処分方法さえ決まっていない。そもそも原発をベースロード電源とすることについて国民的な合意がないのである(原子力ムラの勝手な独断専行・暴走だ)。また、火力については、石炭火力をやめて天然ガスを活用する「コンバインド・ガス・タービン」と「コ・ジェネ」(熱電併給)によるオンサイト型電源を普及させ、電力の供給構造を変えながら再生可能エネルギーの活用と拡大を考えるべきところ、今般の(案)にはそうした考えや発想が全く見られない。

 

3.電力の需要構造の転換が考慮・検討されていない=簡単に言えば、電気を青天井で湯水のように使うことを前提に、従来型の、遠隔地大量生産=消費地への電力託送と、電力依存型のビジネススタイル、ライフスタイルの継続が、エネルギー政策の大前提になっている。これでは再生可能エネルギーの活用といっても限界があり、早晩、大きな壁にぶち当たってしまう。電力の消費構造を転換し、大量生産大量消費、経済成長至上主義、東京一極集中、都市の農村に対する優位、といった20世紀型経済社会構造を変えていく議論を踏まえつつ、再生可能エネルギーの活用を考えるべきである。再生可能エネルギーを既存電源に代わる単純な代替電源としてだけ見ることは、中長期的な観点から言って、誤った考え方・近視眼的な発想である。

 

4.再生可能エネルギーの接続可能量の算定が決定的におかしいし、そもそも、かような再生可能エネルギー接続可能量の算定=買取り量のキャップ(上限)設定自体の必要性が乏しい。仮に、設定するにしても、まだほとんど再生可能エネルギー電源が実際に建設・稼働する状態にない(認可されただけの)段階での設定は時期尚早だ。

 

(1)原発電源のカウントが異常に(作為的に)過大である。こんなものは、誰が見てもおかしいということは一目瞭然で、これを平気で審議会でOKを出してパブコメにかける経済産業省(及び資源エネルギー庁、以下同じ)は、エネルギー政策を扱う資格がないのではないか(審議会もまた同様)。それでも電力業界の監督官庁と言えるのか。審議会委員も含め、原子力ムラ代理店人間達はエネルギー政策から立ち去れ。(過大な点=高すぎる稼働率、まだ出来てもいない原発をカウント、再稼働の見込みが立たない原発もカウント、原発を減らそうという気配が全くないなど)

 

(2)揚水発電の利用が全く不十分である。

 

(3)系統広域利用のことが真剣に十分に考慮されていない。既存の電力会社間の連携線の活用についてもいい加減、ないしは理由もなく使わないまま、再生可能エネルギー買取りを拒否している観がある。また、電力の地域独占を払いのけるためにも、既存の地域独占電力会社間の系統連携線の拡充のための方策が必要不可欠だが、それについて費用負担や進め方などに関し熟慮が足りない。

 

(4)再生可能エネルギーの接続可能量を地域独占の既存電力会社10社に算定させているのは、いわゆる「利益相反」そのものであり、まことにおかしな話である。経済産業省はまじめにこの問題を考えるつもりがあるのかという印象を強く受ける(癒着している電力会社とのなれ合いで、今回の再生可能エネルギー買取り制度の改定=電力会社の身勝手な要請を実現させるために、もっともらしい猿芝居をしているのではないか)。但し、原子力ムラの支配する世界では利益相反行為は日常茶飯だ。

 

 特に、今回の再生可能エネルギー電力の接続可能量計算の結果が、これまで各地域独占の電力各社が接続を承諾していた電力量とほぼ同じというのは笑止千万で、今回のことは、ここから逆算をして、最初から決めていた数字に結論を導くべくなされた、一連の「猿芝居」ではなかったか。もっともらしく、御用人間達を集めて審議会などを開いて審議させ、結局は、電力会社の言うがままに再生可能エネルギーの買取りを絞り込んでしまったということにすぎないではないか。こんなものはやり直しである。

 

(5)ヨーロッパなど、諸外国の事例を参考・教訓とせよ。たとえば、再生可能エネルギーの需要や供給を予測しながら買取りをきめ細かくしていく方法や、卸売電力市場の活性化など。

 

5.新規参入の電力会社と、既存の地域独占に胡坐をかく大手電力会社とは、商売上の競争相手である。その一方が他方の再生可能エネルギーの買取り量を決めるというのは、全くおかしな話である。買取りに関する基本的な決めごと=条件のようなものもなく、既存電力会社の恣意に委ねよと言うに等しい。やはり買取りは、電力事業から完全に独立の第三者機関が決めなければ、地域独占の電力会社の電力市場支配は解消せず、何のための電力自由化なのか、分からなくなってしまう。こうした問題を解決するには、電力の送配電網を「法的分離」ではなく「所有分離」により、既存の地域独占電力会社から完全に切り離す必要がある。そうしないと、電力の自由化の目的や主旨が達成困難となる(このままだと、電力供給の様々なシステムを通じて、既存の地域独占電力会社の支配が強化されてしまう可能性が高く。それでは自由で公正な電力市場での企業間競争が歪んでしまう)

 

6.新規参入の再生可能エネルギー発電事業者の接続費用負担の巨額化や、新規参入後の事業の採算見通しが不透明となるようなやり方での再生可能エネルギー電力の接続ルールはまことによろしくない(買取価格の決定、事業計画の変更認可の厳格化、無制限の無償出力抑制など)。せっかくボトムアップで盛り上がりつつある再生可能エネルギービジネスを、上から潰してしまうことになりかねない。

 

7.再生可能エネルギー買取価格にきめ細かさがない。新規参入者の実態をよく見ること、あるいは、エネルギーの地産地消=オンサイト型電源を優先するなどの価格決定の仕組み、などが検討されてしかるべきである。「筋の良い」再生可能エネルギーが繁栄し、タチの悪いエネルギー源は広まらないような工夫が必要だ(有害化学物質を排出するプラごみを混焼するゴミ発電はバイオマスとは見なさないなど)。

 

8.再生可能エネルギーのうち、天候・気候に左右されない、小型水力、バイオマス、地熱などの電力は、ベースロードにふさわしい電源であり、優先買取りされるべきだが、実際には、原発などに劣後させられている。また、太陽光と風力など、相互補完的な側面もあるので、もっときめ細かな発電予測が必要だ。改めよ。

 

9.電力ユーザー・消費者が選択できる仕組みを断固として担保せよ。新聞等が伝えるところでは、審議会などでは、再生可能エネルギー電源の電気については、販売時において、再生可能エネルギーが電源である旨の表示ができないようにする、などという、とんでもない検討がなされていると聞く。まったくふざけた話であり、誰のための何のための電力事業なのかを問いたい。そのような発言をする審議会委員には、おやめいただきたい。

 

10.原子力ムラ・放射線ムラ、その代表格の電力業界や原子力業界と癒着をし、日本を誤ったエネルギー政策へと導いていく経済産業省をただちに解体すべきである。そもそも福島第1原発事故の責任は、原発事故を引き起こした当事者の東京電力のみならず、監督官庁の経済産業省にあるにもかかわらず、その責任が全く問われていないのは理解できない。経済産業省から、原発やエネルギー政策の所管を切り離せ。そんな役所がつくるエネルギー政策など、多くの有権者・国民は信用できない。

 

 また、これまでの事業のあり方に固執し、地域独占や総括原価主義によりコスト負担の消費者転嫁で経営刷新努力を怠り、また、これからの新たな時代を切り開いていくだけの活力や開発力・経営力を喪失してしまっている既存大手電力会社各社も、ともに解体せよ。かような電力会社は、これからの日本にとっては、じゃまになるばかりである。日本の未来を暗いものにしてしまいかねない、この経済産業省・既存電力会社群=原子力ムラ連合を、法的に解体処分・再編せよ。

草々

 

2014年12月23日 (火)

再生可能エネルギーの発展拡大を妨害し、原発 「地獄行き」 切符を押し付ける原子力ムラ・安倍晋三自民党政権 みんながその気になれば、こんなものはやめさせることができます

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部を除き添付できませんでした)

 

(最初にナツメロ・演歌を1曲)

マイケル・ジャクソン 吉幾三 スリラー  IKUZO ikzo Michael Jackson Thriller - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=PkewAh18eak

 

(ここから本文)

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別添PDFファイルは、昨今の再生可能エネルギー政策の見直し、及び原発廃炉費用の負担転嫁に関する関連記事・文献です。特にご説明するまでもなく、地域独占に胡坐をかく電力会社と原子力ムラ・経済産業省は、送配電網を握って離さないまま再生可能エネルギーの拡大発展を妨害し、他方で露骨な原発テコ入れ策を電力ユーザーに押し付けております。

 

何故に、核分裂エネルギーを使いたくなくて再生可能エネルギーを(少々高くても)購入する電力ユーザーが、原発の廃炉コストを負担させられねばならないのでしょうか。すべての原発・核燃料施設を廃棄するから何とか頼む、というのならわからないでもありませんが、実際には、過去の負の遺産である廃炉コストを全ての電力ユーザーに押し付けておいて、スキを見て新たに原発を新増設しようとしています。けしからぬ話ですし、筋が通らない話でもあります。

 

こうしたことは、日本の将来へ向けての発展の芽をつぶし、その代わりに、原発・核燃料施設過酷事故による放射能汚染地獄という「地獄行き」切符を日本の有権者・国民・市民に押し付けるものに他なりません。ゆゆしき事態です。

 

しかし、こうした出鱈目も、私たち有権者・国民・市民が「その気」になれば容易に転換することは可能です。下記のシナリオに沿って、みんなで力を合わせて動いていきましょう。

 

 <さよなら原子力ムラ・シナリオ>

 案ずるより産むがやすし、屁理屈をこねてごちゃごちゃ逡巡するよりも、スパッと行く方がたやすいものです。

 

1.有権者・国民・市民が、自民党・公明党・維新・次世代・その他の原子力ムラ代理店政治家に投票するのをやめ、国会から原子力ムラ代理店政治家を一人残らず退治・追放する(永久に投票しない)。

 

2.経済産業省・文部科学省から原子力関連部署を切り離して「廃炉省」(新設)へ移管し、経済産業省は解体する。また、環境省については幹部官僚たちを全部入れ替える(言い訳上手の腰抜け達を一掃する)。

 

3.「廃炉省」は、原発・核燃料施設の廃棄と、使用済みを含む核燃料の安全管理の体制構築と、福島第1原発事故後対策に本格的に取り組む。具体的対策は、脱原発NPO・NGOに外部委託し、全日本・全世界体制で臨む。また、福島第1原発事故被害者については、万全の賠償・補償を基本として完全救済策を早急に実施。

 

4.脱原発市民運動・社会運動は、ただちに「原発・核燃料施設即時廃棄」を含む「脱原発」政策と、その「工程表」を策定し、政権交代に備える。

 

 <別添PDFファイル>

(1)廃炉費用転嫁を容認 電力自由化後、全利用者が負担(東京 2014.12.18 他)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014121802000156.html

 

(2)再生エネ 政府の壁、原発優遇 あからさま(東京 2014.12.22 他)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014122202000140.html

http://p.twipple.jp/JgPTj

 

(3)プロメテウスの罠 自然エネ危機 (12)~(14)(朝日 2014.12.3他)

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141203-00000011-asahik-soci

 

(4)再生可能エネルギーの系統接続手続き「保留」問題に対する声明(原子力市民委員会 2014.11.4

 http://www.ccnejapan.com/?p=4263

 

(5)原発再稼働で交付金増(読売 2014.12.22

 http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141221-OYT1T50112.html

草々

 

 

2014年10月29日 (水)

再び 「状況から」 「状況へ」(2):川内原発再稼働 立地自治体は同意、南相馬市の特定避難勧奨地点解除延期、もんじゅ、泉岳寺宣言 他

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 直近の原発・放射能・被ばく関連の問題をいくつか取り上げてコメントします。今回は 原発・放射能・被ばく関連の若干のこと、及び都市の景観・都市計画問題について、などです。

 

 <別添PDFファイル>

(1)南相馬の特定避難勧奨地点、月内解除見送り(福島民報 2014.10.25

(2)プロメテウスの罠 検証もんじゅ (朝日 2014.10.25,26

(3)マンション問題でシンポ 「景観守る法、必要」 「泉岳寺宣言」まとめる(東京 2014.10.27

 

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まず、「ふくしま集団疎開裁判」支援者の会からのお知らせ

 

★原告申込み 第3次締切り 2014年12月28日に決まりました。(第2次締切り10月31日 締切り後に人数はお知らせする予定です) その後も随時受付します 

 

●「ふくしま集団疎開裁判」HP

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/

 

次に、福島原発告訴団からのお知らせ

 

■原発事故被害者集会 開催!■

 福島原発告訴団は、「原発被害糾弾 飯舘村民救済申立団」「ふくしま集団疎開裁判の会」との共催で、「もう我慢はしない!立ち上がる 原発事故被害者集会」を開催いたします!

 現在、福島県内・全国各地で損害賠償訴訟やADR申立て、避難の権利を求める裁判などが次々と起きています。「このまま黙らされてたまるか!」という抵抗の火の手が上がっています。

 現状を少しでも良い方向へ変えていくため、被害者同士が声をあげ、立場を超えゆるやかにつながり、より大きな力となるための集会にしたいと考えています。ぜひお越しください。心からお待ちしております。

 

1116日 日曜日 13301630

福島市公会堂 福島市松木町17

主催 原発事故被害者集会実行委員会

賛同団体 県内外の原告団・弁護団など19団体(1028日現在)

*詳細・チラシのダウンロードはブログから

http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2014/10/blog-post_17.html

 

■東京地検が再捜査の期限を延長■

 東京第五検察審査会が起訴相当などの議決を出し、東京地検が再捜査を行っていましたが、1024日、地検は捜査を最大3か月延長すると発表しました。2015年の22日までに判断が下されます。十分な時間をかけて強制捜査を含むしっかりとした捜査を行い、検察が自らの手で起訴の処分を出すよう要請していきます。

*弁護団コメント

http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2014/10/blog-post_24.html

 

◇東京地検へ被疑者4人を起訴するよう「激励」ハガキを送ってください!

東京地検が検察審査会の議決を汲み取り、被疑者を検察自らの手で起訴するよう、ハガキにメッセージを添えて東京地検へ送ってください。

*文例・宛先などはブログをご覧ください

http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2014/10/blog-post_12.html

 

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福島原発告訴団 本部事務局

963-4316 福島県田村市船引町芦沢字小倉140-1

電話 080-5739-7279  メール 1fkokuso@gmail.com

ブログ http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/

 

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1.川内原発

 日本の地方政治も腐っているようだ。住民を守らない市長・市議会、福島第1原発事故を目の当たりにして、まだ原発稼働だと言っている人間達、しかも、その福島第1原発事故は、全く終わっていないし、被害者は放置されたままだ。将来の子どもたちがこの馬鹿もの達の様子を見たらなんと言うだろうか。

 

(1)東京新聞 川内原発再稼働 立地自治体は同意 市長が表明社会 (TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014102902000133.html

 

(2)毎日新聞 ■注目ニュース■ 川内原発再稼働を市議会採択

 国の新規制基準に初めて適合した九州電力川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市議会(26人)の臨時会が28日開かれ、川内原発の再稼働に反対する陳情を不採択にした。午後には再稼働を求める陳情が採択され、岩切秀雄市長も再稼働同意を表明する見通し。立地自治体として初の判断。

 

● 鹿児島・川内原発:薩摩川内市議会、再稼働賛成採択へ 市長、午後同意表明

 http://mainichi.jp/m/?EsrH9F


● 川内原発:市長、再稼働に同意 議会の賛成採択受け

 http://mainichi.jp/m/?MEa5Lu

 

2.(別添PDFファイル)南相馬の特定避難勧奨地点、月内解除見送り(福島民報 2014.10.25

 南相馬市でもどこでも、避難地域指定解除の決定をするのは、その地域に住む住民であって、国が一方的に住民を無視して解除などできるものではない。住民は理不尽な原発事故の被害者であることを忘れているのではないか。放射能汚染がなくなり、生活や仕事のためのインフラが整い、子どもの教育や老人介護などの施設も整って初めて、避難指定の解除ができる。現状のように、賠償・補償金を払いたくないが為、住民の被ばくを顧みることもなく、放射能汚染の状況をちょろまかしながら、かつ、被ばく限度の基準も無原則に棚上げにして、避難指示地域指定を解除する、などということは許されることではない。

 

 が、しかし、田村市や川内村など、他の解除地域でもそうだったように、最初は「慎重」であるかのごときポーズをとるために一旦延期をし、しかる後に住民の猛反対・反発を蹴飛ばして「解除」をする腹積もりなのだろう。ここでも人権侵害が続いている。

 



(別添PDFファイル)南相馬の特定避難勧奨地点、月内解除見送り(福島民報 2014.10.25

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014102518864

 

(関連)住民安堵と不安 徹底した対策求める声も 南相馬・避難勧奨解除見送り 東日本大震災 福島民報

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/10/post_10903.html

 

(参考)10月中の解除見送り~南相馬「特定避難勧奨地点」 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1848

 

(参考) 国が10月中の解除見送り~南相馬「特定避難勧奨地点」 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=AjiXRoX4CmI

 

3.プロメテウスの罠 検証もんじゅ =おふざけじゃないのよ、この人たち、いったい何やってんのよ

 

●「おふざけ・もんじゅ:その1」

 Yahoo!ニュース - (プロメテウスの罠)検証もんじゅ:7 点検漏れ議論なく (朝日新聞デジタル)

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141025-00000007-asahik-soci

 

(一部抜粋)

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 (前略)その3日後の1130日、文部科学省で、ある会議があった。原子力関係や経済の専門家がメンバーの「原子力耕学技術委員会もんじゅ研兜計画作業部会」。この年9月に策定された政府の革新的エネルギー・環境戦略にもとづき、もんじゅの成果をとりまとめ、役割を再整理する場だ。「本日の議題はもんじゅ等の研兜計画についてです」通常どおりに開会しかけた。そこへ、開発機構の敦賀本部長代理、広井博(65)が「もんじゅに関する報道についてご説明します」と立ちあがった。オブザーバーで出席していた。

 

 「点検計画の変更手続きの遅れが9月に1件確認され、自主調査がまとまったので報告しました」広井はそう切り出し、点検漏れの概要と、安全には問題がないことを話し、「品質保証の観点からは重大な問題と認識します」と話した。質問は出ず、約3時間、点検漏れは議論にならなかった。

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(田中一郎コメント)

 上記は民主党政権下の2012年の話である。山のような点検漏れ(手抜き)が分かっていながら「安全には問題がない」「品質保証の観点からは重大な問題」などと説明をする(独)日本原子力研究開発機構の人間、その話を聞いても「質問は出ず、約3時間、点検漏れは議論にならなかった」状態のまま、もんじゅの存続・継続を決めてしまう「原子力耕学技術委員会もんじゅ研兜計画作業部会」。なんじゃ、もんじゃの、もんじゅの、寄生ダニのような連中の、これが実態だ。「科学技術委員会」などとは、よく言ったものだ。ちなみに、この高速増殖炉「もんじゅ」は、ただただ、核兵器用のプルトニウム239の生産が目的で、(それを隠して)存続させられている代物だ。

 

 そして大事なことをもう一つ、民主党も自民党も、ちーとも変わりゃせんぞ、ということだ。詐欺かゴロツキか、どっちがいいですか?

 

●「おふざけ・もんじゅ:その2」

 Yahoo!ニュース - (プロメテウスの罠)検証もんじゅ:8 「ミスは起こりえる」 (朝日新聞デジタル)

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141026-00000010-asahik-soci

 

(一部抜粋)

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 「もんじゅ」で起きた大量の点検漏れは、原子炉等規制法の保安規定順守義務に違反する。原子力規制委員会は保安検査官大林昭(56)らによる検査が終わった翌日の2012年12月12日、点検漏れは違法なものだと認定した。

 

 翌12月13目、規制委の会議室。原子力規制庁長官の池田克彦(61)が、日本原子力研究開発機構理事長の鈴木篤之(71)に、命令文書を手渡した。池田は鈴木に、原因の究明と再発防止策を報告するよう求めた。発足直後の規制委が、事業者に厳しく対処する姿勢を示した。池田が明かしたやりとりによると、鈴木は「安全のプロ集団として恥ずかしく思う。初歩的、低次元のミスで厳しく受けとめます」と話した。だが、こう付け加えたという。「ミスは常に起こりえます。形式的ミスはやむを得ません」

 

(中略)鈴木は2001年から9年間、原子力安全委員をつとめ、2006年には委員長に就任、日本の原子力安全の中枢をあゆんできた人物だ。命令を受けた5カ月後、鈴木は問題の責任をとり理事長を辞任する。

 

(中略)鈴木は2013年5月16日の衆院原子力問題調査特別委員会で、「形式的ミスとはいっていない」と否定した。そしてこう説明した。「安全には実体的安全と手続き的安全がある。もんじゅは停止中なので実体的安全は確保されている。しかしそれでは不十分なので、手続き的安全を進めなければいけない」

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(田中一郎コメント)

 鈴木篤之、こんなやつが約10年間にもわたり、日本の原発の安全性の総責任者だった。福島第1原発事故もさもありなんであり、かつ、こういう人間たちが今も原発・核燃料施設を牛耳っていることも、何ら変わりはない。つまり、原発・核燃料施設過酷事故は、今後も必ず起きるであろう、ということだ。

 

4.「泉岳寺宣言」まとめる マンション問題でシンポ「景観守る法、必要」(東京新聞)|東京|dメニュー(NTTドコモ)

http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/tokyo/region/tokyo-CK2014102702000147

 

(田中一郎コメント)

 日本という国は、都市空間や土地などを、平気で不動産業者や建築業者に売り渡し、目先の金もうけのために、見苦しくも醜悪なる建造物を乱立させている国である。島国根性というよりも、公的モラルと街並みの美的センスが「サイテー」の「スラム国家」「貧相強欲人間のカネゴン国家」である。記事は、品川区の地域住民の動きのことを報じている。ある日突然、自分の家の南側に巨大マンションが建設され、あっという間に自宅が日陰に入り、醜悪なる景観だけが日々目につく状態となりかねない、そんな日本の都市計画の現状に「NO!」の声を挙げ始めたという話である。

 

 目につくのは品川区役所の態度、法的に問題がない、などと言い逃れをして住民を守らず、徹底して建設・不動産業者を守る姿勢だ。しかし、この品川区、ついこの間区長選挙・区議補選があったばかりで、投票率が何とわずか23%だとか。4人に1人しか、投票に行っていない、そんな自治体である。この品川区役所の態度だが、この区民にして、この区役所、のような気がしないでもない。自分の街並みや自分の住まいは、自分たちで守らなくてどうするのか。そのためには、選挙に行って、ちゃんとした人間を区長にしたり区議にしたりしないと、できるわけがないではないか。

 

5.その他

(1)有機農業ニュースクリップ

 http://organic-newsclip.info/

 

(2)朝日新聞デジタル:甲状腺検査 継続的に受けて - 福島 - 地域

http://www.asahi.com/area/fukushima/articles/MTW20141024071190002.html

 

(3)原発の建屋カバー 強風で破れる NHKニュース

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141028/t10015753161000.html

 

(4)放射線を浴びたX年後 3 棄てられた被ばく者

 http://www.ntv.co.jp/document/

 http://vod.ntv.co.jp/f/view/?contentsId=8479

 

(5)スマートメーターで電磁波被害や盗聴? 米で普及に壁

 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78472460W4A011C1000000/

 

(一部抜粋)

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なぜ消費者は、スマートメーターの導入を拒むのか。消費者の中には、スマートメーターは電磁波を使って情報を送信するので、電磁波による健康被害の懸念や盗聴の可能性、プライバシーの侵害、データの正確性、さらに火災の可能性などを反対の理由に挙げている。反対派は、スマートメーター設置は「合法的ではない」と主張する。確かに、スマートメーターの設置を法的に定めている州は存在しない。

 

 ネバダ州では、スマートメーターが発火して火災に発展したという報告が、これまでに9件あった。ネバダ州の電力会社NV Energyは、15分ごとに使用量を計測するスマートメーターを、これまで州内に110万台設置した。州公益事業委員会は、電力会社と地元の消防機関から得た情報を基に、メーターの安全性に関する調査を行っている。20147月末には、オレゴン州の電力会社Portland General Electricが、火災発生の懸念から、7万台のスマートメーターを取り替えることになった。

 

 取り替える対象になったメーターは、米国ノースカロライナ州のSensusが製造した「2S Gen3 RD」というモデルである。このメーターは、主に賃貸住宅向けに20102012年に設置された。製品自体にリコールはかかっていないが、電力会社は安全性を重んじて、自主交換に動いた。

 

 ペンシルバニア州の電力会社PECO Energyも、設置したSensusのスマートメーターが過熱・発火して火災が生じたために、全てのスマートメーターを自主的に取り替えた。フロリダ州の電力会社Lakeland Electricも、20148月に1万台以上のSenus製スマートメーターを取り替えると発表した。

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草々

 

2014年10月28日 (火)

再び 「状況から」 「状況へ」(1):福島県知事選挙の結果について (「状況」から「状況」へ、勇気をもって立ち向かおう)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

直近の原発・放射能・被ばく関連の問題をいくつか取り上げてコメントします。今回は10/26に投票が行われた福島県知事選挙の結果についてです。危機の「状況」は深まるばかりですが、まだまだ私たちにやれることはたくさん残っていると思います。絶望せずに元気を出して、私たちの「火事場の馬鹿力」を出していきましょう。

 

 <別添PDFファイル>

(1)福島知事選が残したもの(東京 2014.10.28

(2)福島に原子力新拠点? 計画関与 推進派ズラリ、県環境創造センター(東京 2014.10.19

 

 <関連サイト>

(1)東京新聞福島知事選で原発争点ならず 統一地方選へ今こそ結集を特報(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014102802000170.html

 

(2)内堀氏が初当選 県知事選 県内ニュース 福島民報

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014102718882

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014102718879

 

<福島県知事選挙結果について(田中一郎コメント)>

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 「この知事選は世界が注目する選挙である」(熊坂義裕候補)にもかかわらず、その結果は「最悪の候補者:ウチボリ」に、この知事選挙で投票した福島県民の70%の支持が集まるという惨憺たる結末に終わってしまった。これにより、当分の間、少なくとも福島県は、これまで原子力ムラ代理店政府と、その下請け自治体である福島県庁が進めてきた従来政策が、これまで以上に強引・傲慢に継続拡大され、多くの福島県民には、これまで以上に不幸と災難が降りかかるであろうことは想像するに難くない(以下に「従来政策の骨子」を箇条書きにしておく)。また、この県知事選挙は福島県の周辺自治体や全国の原発立地自治体にも大きな影響を及ぼすことが考えられ、今現在、猪突猛進・安全確保棚上げ・立地住民無視で強引に推し進められている原発再稼働問題にもネガティブな影響を与えること必至である。

 

 この当選した「ウチボリ」という最悪の候補は、いわゆる「口先やるやる詐欺」一族のはしくれであり、今後の情勢次第では「県内全原発廃炉」も怪しい限りであると私は思っている。近い将来、廃炉とされるはずであったゾンビ原発の福島第2原発もまた、再稼働するという日がやってくることになるような気がする。「ウチボリ」候補とは、そういう役回りのために、原子力ムラ総連合政治勢力から推薦を受けて、このたび知事に当選した男である。つまり福島県民は政治的に愚かな選択をしてしまったということだ。

 

 そもそも県外の原発再稼働問題についてはノーコメントなどと称する知事が、まともに脱原発について行動するはずがないのである。「ウチボリ」候補が知らぬ存ぜぬを押し通した福島周辺に所在する女川原発や柏崎刈羽原発や東海第二原発、あるいは東海村の核施設などの再稼働や存続を黙認し、その結果、ひとたび大地震・大津波・大噴火が起きれば、おそらくは今以上の災禍を福島県民にもたらすであろうことは必至である。いやいや、はるか北方にあるなどと思い、自分達には関係がないと思っているかもしれない青森県六ケ所村の再処理工場や巨大な使用済み核燃料保管プール、あるいは東海村と六ケ所村にある高レベル放射性廃液保管施設などは、その猛烈な放射能の量によって東日本を壊滅させるに余りある「休暇中の水素爆弾」と言ってもいいような代物である。ただ、白いハンカチのようなベールをかぶされて、私たちや福島県民には見えないようにされているだけである。それがいつ牙をむき出し始めるかはわからないが、いつそうなっても不思議ではないのである。

 

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 <従来の福島第1原発事故後政策>

(1)崩壊した「原子力安全神話」に代わる「放射線安全神話」の確立を図る(そのために日本国内の似非学者・似非科学アカデミズムだけではなく国際原子力マフィアの力をフル活用する)。恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)の危険性については、徹底して隠蔽、誤魔化し、歪曲矮小化で推し通す。福島県の復興は「放射線安全神話」に立脚して進めることで、その費用負担の軽減を図り、併せて放射能への懸念や被ばく問題が今後の原子力推進の桎梏とならぬよう、あらゆる手を尽くして、福島第1原発事故による放射能汚染や放射線被曝は大したことがないかの如く、原発事故被害者や有権者・国民に対する世論対策を行っていく(国際放射線防護委員会(ICRP)の言う、いわゆる「ALARA原則」を周知徹底させていく)。

 

(2)福島県だけを囲い込んで福島第1原発事故後対策の集中地域とし、それ以外の放射能汚染被害地域は不作為を続けながら時間をかけて切り捨てる。

 

(3)福島第1原発事故の被害者に対する賠償は、原則として住民避難を命じた警戒区域や計画的避難区域などの人たちに限定し、それ以外の被害者に対しては「スズメの涙」ほどの「手切れ金」を交付することで、賠償・補償問題をねじ伏せる。また、賠償・補償の金額についても、さまざまなカラクリと屁理屈を用意して、徹底して切り詰め減額し、加害者・東京電力の負担を極力軽くする(東京電力の再建を急ぐため)。被害者住民に対しては、「兵糧攻め」をする目的で「子ども・被災者支援法」を棚上げし、他方で、賠償・補償金額に細かな差をいくつも付けることにより「分割し統治する」。被害者が集団で原子力ムラ政府やその下請け自治体に反旗を振りかざすことのないよう、福島県を中心に「原子力翼賛状況」を創りだす。フクシマ・エートスやその疑似運動(「食べて応援・買って支援」など)は、目立たぬように背後に回って応援・支援する。

 

(4)いわゆる「原発震災復興」を華々しくぶち上げ、人間の復興ではなく産業の復興・地域の復興を声高に大宣伝し、財政資金で政策展開される事業については、神聖不可侵の「利権集団」を(原子力ムラを中心に)形成しながら、その政治的キックバックにも期待して、ゆるぎない「原発過酷事故との共存による原発震災復興」を実現させる。その象徴的存在が、原子力ムラ企業群による(できもしない)「除染」であり、原子力ムラ・放射線ムラのみならず国際原子力マフィアまでもを誘いこんで創られる「福島県環境創造センター」である(別添PDFファイル、及び下記URL参照)

 

●(東京新聞)【特報】福島に原子力推進の新拠点? 「環境回復」名目のセンター建設 No Nukes 原発ゼロ

http://no-nukes.blog.jp/archives/7897550.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014101902000152.html

 

●その他 「福島県環境創造センター」関連記事

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/06/post_7493.html

 http://www.slideshare.net/3tarou/ss-27575840

 

(5)被害者住民への対策は、放射能汚染地域への帰還者に絞り込んでいく。目ざわりのいい・耳触りのいい・派手で目立つ住民対策を帰還者に対して手厚くすることで、他県へ避難している住民の帰還を促進し、それでも戻らない避難者への支援は次第にフェードアウトさせて行く。政治宣伝として福島の復興と県民の協力をうたい、引き続き(原子力)翼賛的状況を創り出しながら放射能への不安などを「風評被害」などとして押さえつけ、口外さえできない社会状況をつくりだす。放射線被曝による健康被害が出ても、それは放射能とは関係がない、ということにして押し通す。がしかし、一方で、福島県立医科大学を中心に「福島県民健康調査」という欺瞞的な「被ばく人体実験観測システム」を用意しておき、被害者の今後の被ばく状況と健康被害との相関関係を観察・記録していく。治療をすると放射線被曝による健康被害の実態がかく乱されてわからなくなるので、なるべく治療はしない。どうしてもせざるをえない場合には、政治的に追い込まれない限り、健康保険適用や無料化などの財政支援は行わない。

 

(6)原発再稼働反対・脱原発は福島県という「特殊な地域」に限定し他県に波及させない。原発・核燃料施設(再)推進の「元通りのまま」の復旧・復興は、日本政治のトップマターとして、時間をかけてあせらずに、これまで通りに「嘘八百」と「最後は金目」と、そして「脅し・恫喝」を使って、徹底した政治主導で実現させていく(「政治主導」を公約して何にもできなかった、あの民主党でさえ、原発再稼働と東京電力の再生・復興だけは政治主導で実現させている。そもそも、現在の田中俊一原子力「寄生」委員長や、その他の委員(交代した委員以外)を任命したのは民主党政権である)。最終ゴールは原子力ムラの完全復活と原子力の更なる推進体制の確立である。

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 しかし、上記のことは福島県民を責めることにはならないだろう。まずもって、今回の県知事選挙は、腐敗堕落した既成政党の「負けたくない」という思惑先行型の「相乗り選挙」によって徹底した争点ぼかしが演出され、あたかも「最悪の候補者:ウチボリ」以外には県知事にふさわしい人物はいないかのごとくふれ回られている。支配権力側の常套手段である「圧倒的な宣伝と組織動員」が私たちの目に見えないところでフル稼働していたのだ。原子力ムラの虜になって政権交代後も有権者・国民を裏切り続けた民主党と、ロクでもない政治・政策を続け福島県民の甚大なる原発事故被害をスキあらば切り捨てようと画策する自民党、しかも、今回の知事選挙では勝てなくても、せめて(選挙敗北の他への政治的波及を恐れて)負けたくない一心で「何でもやります=ご都合主義」の自民党、という「似非二大政党」が「相乗り」をして、全力を挙げて「争点はぐらかし」をやる、そんな選挙の結果が今回のことである。

 

 情けないのが公明党と社民党だ。この2党は、その結党の精神をとうの昔に忘れ、自民と民主という反国民的なゴロツキ詐欺集団につき従う「金魚のフン」のような存在となってしまった。とりわけ福島社民の「体たらく」ぶりは、この政党が消えゆく絶滅種であることをいみじくも示しているように思われてならない。少なくとも福島社民は、今回の知事選挙で「おなくなりになられた」のである(これまで社民党を信じて社民党とともに脱原発・脱被ばくに取り組んできた多くの人たちに対する許されない背信行為である)。

 

 加えて、福島県民の方々は、甚大悲惨な福島第1原発事故により心身ともに疲れきっている。日本の原子力ムラ政治が福島第1原発事故後も変わらないどころか、しばらくの沈黙期間を経て(ほとぼりのさめるのを待って)、再びグロテスクな政策を展開し始めているのを目の当たりにし、ひどい放射能汚染環境の中で健康への懸念を打ち消せないままに、全身虚脱というか、無言絶句というか、もう自分の生活や命や未来はいったい何なのか、という、耐え難いまでの精神的肉体的苦痛と、将来への大きな不安の状態にあるであろうと私は想像している。人間という弱い生き物は、生存環境や生活条件が整わなければ、ものごとをきちんと考えることもできなければ、適切な判断もおぼつかなくなる。その弱みに、卑劣にも原子力ムラ・放射線ムラがつけ込み、福島県民を翻弄しているのが今現在の「状況」だ。許しがたいとは思うが、さしあたり、この「状況」は深刻化こそすれ、変わる様子はないのである。

 

 私はその結果の一つの表れが、今回の知事選挙の46%という低投票率ではないかと思っている。投票に行かないことは決してほめられたことではないが、しかし、福島県民の半数以上は、決してこの「最悪の候補者:ウチボリ」を積極的に支持して投票したわけではないのである。寝ても覚めても腐敗堕落した同じ既成政党に投票を続ける一部の「組織化された(愚か者の)有権者」が今回の福島県知事選挙を引導したが、しかし、それは決して「多数派」ではない。マスコミは「ウチボリ」の圧勝などと報じているが、決して圧勝したわけでも絶対的勝利を手にしたわけでもない。多くの福島県民は、深い絶望と苦しみの中にいて「沈黙」を余儀なくされた、ということであり、原子力ムラ政府やその下請け県庁を手放しで賛同・翼賛しているわけではないのである。未来への希望の光の窓口は、まだ閉じられてはいない。

 

 私は、今回の福島県知事選挙結果を受けて最も懸念するところは、放射能汚染と被ばくの問題、とりわけ恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)による被害が、今まで以上に誤魔化され、歪曲矮小化され、真実が隠蔽されながら、福島県民に押し付けられていくであろうということである。そして、そのことは、福島県のみならず、広く東日本に広がるホット・スポット地域や放射能汚染地帯にすむ人々にも共通して言えることである。いわゆる「脱被ばく」の闘いは、これまで以上に困難が大きくなり、それだけ日本人の体の健康がむしばまれていく可能性が高くなってしまったと言えるだろう。この最大の被害者は子どもたちであり、更に申し上げれば、これから生まれてくる未来世代である。私達、脱原発・脱被ばくを願うものは、今まで以上に力を合わせて、脱被ばくのためのあらゆる努力を重ねて行かなければならないことは言うまでもない。福島県での「闘い」の最前線は、脱原発ではなくて脱被ばくである。

 

 では、今回の福島県知事選挙を、最終的にどう総括すればいいのか。私は上記で申し上げたように、福島県民を責めるよりも、私たち脱原発・脱被ばくを志す市民が、今一度、自らの活動状況を振り返り反省しなければならないのではないかと思っている。たとえば、私がよく申し上げる日本の市民運動・社会運動に見られる「政治的カマトト主義」=脱イデオロギーだとか政治的中立主義だとか、厳しく言えば、ニセモノの「お気楽運動方針」に未だに毒されたまま、今回の福島県知事選挙を従来ながらに見過ごしてきたのではなかったか。

 

 既成政党や、その合従連衡にまかせておいて、脱原発や脱被ばくが可能になるなどと考えているのなら、お門違いも甚だしいし、また「選挙の時だけお祭り行動」型に動いて、にわかづくりの「統一候補」などを掲げたところで、世の中はそう甘くはない。そもそも、そんな「張りぼて」候補が当選したからと言って、あの巨大怪物のような原子力ムラ集団を相手に、脱原発・脱被ばくが具体的に実現していくわけがないのである。そもそも今回の福島県知事選挙の敗北は、原発の出鱈目や放射線被曝の危険性について、真実の情報が多くの福島県民有権者のところまで届いていなかったのが最大の原因ではなかったか。ならば、その「真実を伝える」という努力を、私たち脱原発市民は今回の知事選挙に至るまでの期間中、どれだけ真剣に熱心に取り組んできただろうか。やれることは、まだまだたくさんあったのではないか、私にはそう思われてならない。この反省と総括は是非次の選挙につなげていきたいものである。

 

 原発は、経済合理性も、安全性も、倫理道徳性も、安定性も、社会的公正性も、何もない。ただあるのは、そのグロテスクな正体を隠すためのベールや嘘八百と、何よりも政治の力だけである(しかも愚か極まる政治の力である)。原発が政治の力だけで動いているのだから、政治を変えれば原発は止められるし(ルポライター・鎌田慧氏の上関原発建設反対県民大集会(20143月)でのスピーチより)、政治を変えなければ原発は止まらないのである。言いかえれば、「政治的カマトト主義」(政治的中立主義)では、原発を止めることはできないのだ。脱原発市民は、脱原発行程表を高く掲げる「政治勢力」を、原子力ムラたちによる原発・核燃料施設過酷事故によって滅ぼされてしまう前に、一刻も早く形作らなければならない。もはや脱原発・脱被ばく・被害者完全救済の政治を実現する政治勢力を創る努力から逃げることは「敵前逃亡」に近いのだ。それでは脱原発は実現できない。

 

 それにしても、立候補する必要もなかった東京都知事選挙に「脱原発」一色の旗を掲げてしゃしゃり出てきた細川護煕氏や小泉純一郎氏と、そのグループは、いったい何をしているのだろうか。肝心の衆議院鹿児島補選、滋賀県知事選挙、そして今回の福島県知事選挙と、何の取組も応援もしないまま「3連続不戦敗」となってしまっている。このままこれから来る原発立地自治体の選挙や統一地方選、あるいは衆参両院の国政選挙についても「ノータッチ」=「不戦敗」を決め込むつもりなのだろうか。口先でいくら脱原発を唱えていたところで、それを行動にあらわさなければ、それは一種のニセモノであり、「口先やるやる詐欺」の亜流のようなものである。保守派における脱原発を代表するといわれている、この2人の元総理が、ほんとうに脱原発派だというのなら、早くそれを態度で示してほしい。

 

 特に今後の日本の去就を決定的に決めてしまいそうな2015年衆院総選挙と2016年の参議院選挙で、不退転の決意で日本の全脱原発勢力の結集と、安倍晋三政権の政権交代へ向けたあらゆる努力をリードしていただきたいものである。私たち脱原発市民は、そのためのコアメンバーとして、これまで以上に本気で政治に立ち向かい、そして何よりも有権者・国民・市民・県民に、原発の正体や被ばくの危険性を徹底して伝え、これを日本政治の最大の争点とすべく不断の努力を惜しむべきではない。福島県知事選挙の結果が私たちに教えることは、そういうことではないかと思う次第である。「状況」から「状況」へ、勇気をもって立ち向かおう。

草々

 

 

2014年10月12日 (日)

(九州電力他)地域独占の電力会社による再エネ買取拒否は意図的なエネルギー改革サボタージュの反国民的暴挙です:発送電分離を「所有分離」で徹底させましょう

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 九州電力をはじめ、複数の地域独占の電力会社による自然再生可能エネルギー買取の突然の一方的中断に、各方面より反発が広がっています。別添PDFファイルはその関連記事です。今回のことは、地域独占に胡坐をかいた大手電力会社の、ユーザー無視の「上から目線」の従来型行動様式のなせる技であり、また、背後では監督官庁の経済産業省の「やる気のなさ」とつながって「暗黙の共鳴」をしている、許しがたい電力業界・経済産業省の反国民的態度を示すものです。

 

 地域独占の電力会社と、腐った不遜な霞が関官庁=経済産業省という「ワル・ワル コンビ」は、かつての大蔵省と同様に、早急に解体・解消させ、いわゆる一般国民・電力消費者のための)「電力の自由化」を完全な形で実現させましょう。具体的には、今進められているような「形だけの自由化」(地域独占の電力会社の支配や好き勝手が続く)にするのではなく、「所有分離」による徹底した発送電分離を実現させ、送配電を国民的公的管理下に置くのです。また、巨大な地域独占の電力会社は複数に分割・解体し、市場支配を許さない業界の構造をつくっておきましょう。あるいは、既に報道されているように、原発だけを電力の価格競争の埒外に置いて政策的に救済するような「ワル・ワル コンビ」の我田引水丸出しの「原発温存政策」には、断固とした「NO!」を突きつけましょう。

 

 <別添PDFファイル>

(1)再エネに冷や水浴びせる電力会社の“契約中断”(週刊東洋経済 2014.10.11

(2)九電 再生エネ購入中断(東京 2014.9.25夕刊 他)

(3)再生エネ 受け入れ制限なぜ、価格改定など制度不備響く(東京 2014.9.27

(4)再エネ買い取り中断、北海道・東北・四国電も(東京 2014.9.30夕刊 他)

(5)再生エネ 新規買い取り中断 自治体・業者、広がる反発他(朝日 2014.10.9 他)

 

 <関連サイト>

(1)東京新聞 九州電力 ⇒ 北電、東北電、関西電力、四国電、東京電力へ広がる

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014092502100014.html

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014093002000269.html

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014100190071001.html http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014100202000183.html

 

(2)東京新聞こちら特報部:再生エネ 受け入れ制限なぜ 送電網、蓄電池など壁 No Nukes 原発ゼロ

 http://no-nukes.blog.jp/archives/7870198.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014092702000168.html

 

(3)東京新聞 経産省「把握甘かった」 再生エネ中断 無責任体質鮮明電力・節電(TOKYO Web) 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/scheduledstop/list/CK2014101102100004.html

 

(4)東京新聞 最大級発電所、愛知に完成 太陽光+風力で弱点克服電力・節電(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/scheduledstop/list/CK2014100902100010.html

 

(5)朝日新聞 自治体・業者、広がる反発 再生エネの新規買い取り中断

http://haredasu.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-e1ef.html

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11393007.html?_requesturl=articles%2FDA3S11393007.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11393007

 

 <田中一郎コメント>

 別添PDFファイル(1)の「再エネに冷や水浴びせる電力会社の“契約中断”」の週刊東洋経済(2014.10.1)の記事がよくまとまっていますので、それを若干、下記にご紹介してみます。

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(前略)九電によれば、今年3月だけで、FITの買い取り単価引き下げ直前の駆け込みもあり、従来の1年分に匹敵する、約7万件の太陽光の接続契約申し込みが殺到。詳細を確認した結果、7月末までの申し込みの全量が接続された場合、総量はは春・秋の昼間の電力需要約800万KWを上回る。契約申し込み前の設備認定分も合わせると、夏のピーク需要約1600万KWをも越えるという。

 

電力を安定供給するには、需要と供給を常時一致させる必要がある。もし、太陽光を含む発電の供給が需姿を大きく上回れば、周波数が上昇、場合によっては自動的に発電機が停止し、大規模停電が発生するおそれがあるというのが、電力会社の回答保留の理由だ。太陽光は夜間に発電できず、昼間でも晴天から雨に変わると発電量が急減する。安定供給には太陽光以外の電源が不可欠とも強調する。

 

今後は再エネの受け入れ可能量を数カ月かけて見極める方針。結果的に受け入れ拒否となる事業者が多数出る可能性がある。FIT法では、電気の円滑な供給確保に支障の生ずるおそれがあれば、受け入れを拒める。事業者の損害を補償する義務もない。だが問題は電力会社が再エネの受け入れ可能量を増やすための対策だ。

 

(中略)

 

そもそも今回の回答保留には疑問点も多い。一つには、接続申請が集中した3月から今回の発表まで、約半年もかかったことだ。電力側は、申し込み内容の詳細確認に時間がかかったというが、もっと早くできなかったのか。

 

また九電の場合、7月末の再生エネの設備認定容量(政府認可)は1900万KWに及ぶが、導入容量(運転開始済み)は400万KW弱にすぎない。「この状態で唐突に回答を保留することは、通常のビジネス常識では考えられない」(大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長)。気になるのが原子力発電との関係だ。事業者からも「川内原発が再稼働するから再エネの枠が減ったのでは」との質問が出た。

 

(中略)

 

この点はまさに再エネに対する、国としての姿勢が問われる。欧州では再エネの優先給電が欧州連合(EU)指令で義務づけられ、再エネの出力を抑制する前に、火力や原子力を抑制しなければならない。。結果としてベースロード電源が消滅に向かっているともいわれる。

 

もちろん、電力系統の安定が大前提ではあるが、日本はまだFIT法によっても、再エネの優先義務が徹底されていない。電力会社にとっては「厄介な代物」との意識が根強く、受け入れ対策も後手後手の印象が強い。

 

「系統接続に厳しさがあり、受け入れ容量拡大が必要なことは、FIT開始前からわかっていたはず。揚水発電の設備利用率は低く、連係線を通じた他地域への供給もあまり行われていない。本当に受け入れ枠はいっぱいなのか」と、高橋洋・富士通総研主任研究員は疑問を投げる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

原発再稼働に邁進しながら、法律で義務化された自然再生可能エネルギーは買い取れません、はないでしょう。今までたくさんの時間があったのに、原発再稼働にうつつを抜かして、再生エネのスムーズな買取のための準備や設備対応をしてこなかったのだし、また、買取価格や適格業者の審査をしている政府との段取り適正化のための情報交換や打ち合わせなどを、全くと言っていいほどしてこなかったために、こんなことになっているのです。「混乱」に乗じて自然再生可能エネルギー買取制度をとん挫させてしまおうという、まるで未必の故意による「ショック・ドクトリン」です。

 

九州電力が声明を出したとたんに、われもわれもと他の地域独占の電力会社が、同じように名乗り出てくるのも全くいただけません。おそらくは、裏で地域独占の電力会社各社や経済産業省の間で「示し合わせ」ておいて、再生エネ買取拒否の公表のタイミングを見計らっていたに違いありません。要は彼らには、最初から自然再生可能エネルギーを大きく育てて行こうという意思がないのであり、そのことが国民的な合意事項であり、未来への必要不可欠な投資であっても、それを妨害してはばからないという、彼らの断固たる反国民性・反動性を示すものに他ならないと思います。

 

今回の事態は、いかに法律に責任なしと書かれていようとも、その運営の仕方の不十分・信義則違反として、地域独占の電力会社の責任で、この事態に伴う再生エネ業者の損失を弁償させる必要があると思われます。いくら法律に、やむを得ない場合には「再生エネの買取を拒否できる」と書かれていても、だからどんなやり方でもいい、ということにはならないでしょう(そうしないと、また、このような悪質な意図的サボタージュを電力会社がやるにちがいないからです。ロクでもないもの(地域独占の電力会社)には、少し「お灸」をすえておく必要があります)。法的な権限は、最大限の努力の上に適切に運営されて初めて保障されるものであり、公共の福祉や国の大きな方針に反して、私的な思惑や勝手な方針で権限を濫用されては、たまったものではないからです。現代社会における電力の送配電網が持つ「公共性」について、これらの地域独占の電力会社は、全くの認識不足と言わざるを得ません、

 

また、上記の記事にある「全量を買い取った場合、「管内の電力需要を上回る時間帯や季節が生じる可能性があり、大規模な停電を起こす恐れがある」という。」(このため、今後の対応方針が決まるまで「数カ月間」は受け入れ可否の回答を保留することにした。)も、嘘八百か、言い過ぎの誇大広告である可能性が高いと思われます。自然再生可能エネルギーの普及は、何も日本だけの専売特許ではなく、欧州(EU)各国をはじめ、全世界で広がり、活発な設備投資がなされていますが。今回我が国で起きたようなことは、いずこにおいても起きていないのですから(そして、日本よりも、はるかに再生エネの割合は高い)、今回のことは、どこかがおかしいということです。

 

上記の週刊東洋経済の記事にもあるように「九電の場合、7月末の再生エネの設備認定容量(政府認可)は1900万KWに及ぶが、導入容量(運転開始済み)は400万KW弱にすぎない。「この状態で唐突に回答を保留することは、通常のビジネス常識では考えられない」(大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長)」のであり、他の地域独占の電力会社の場合もまた同じです。下記にも申し上げるように、揚水発電の設備利用率の引揚、連係線を通じた他地域への電力供給、メガソーラーなどへの蓄電池用意の義務付け、他の安定的な自然再生可能エネルギー(例:風量やバイオマスなど)との組み合わせ、オンサイト型発電によるエネルギーの地産地消(配電網新設がほとんど不要)、火力発電その他による電力の調整などなど、多くの方法で、こうした事態を克服する努力がなされるべきですが、そうしたことを各電力会社がしている様子はうかがえません。

 

それから、こうした事態が起きるのは、依然として地域独占の電力会社が電力の送配電網を所有しているから起きることだろうと思われます。要するに、送配電網を支配して、それを楯に自分達の好き勝手を他者に押し付けているということです。私的独占のなせる悪弊の典型事例と言っていいでしょう。既に示されている「電力自由化」のシナリオでは、配電網は引き続き地域独占の電力会社の支配下に置かれることになってますが、これがよろしくないのです。今回の電力会社によるインチキで傲慢な自然再生可能エネルギーの買取拒否を契機に、送配電網を公的な機関に移す、いわゆる「所有分離」方式の電力自由化を、法律改正で決めてしまう必要が出てきました。かような出鱈目の再発防止には、それしかありません。

 

 <地域独占の自然再生可能エネルギー買取拒否に異議あり!!>

a.電力の供給が需要を上回れば大規模停電になる??? そんな馬鹿な話があるか!!

 

b.自然再生可能エネルギーの供給が天候に左右され、供給量の上下変動が激しいので、電力需要に対してマッチングさせるのが難しい、というのなら理解できる。しかし、それは、電力の調整問題であって、マスごみが電力会社から言われるがままに垂れ流しているようなことではないはず。

 

c.一例として挙げておけば、今現在、自然再生可能エネルギーとして申請されている新規発電の電力量の大半は「メガ・ソーラー」である。私はメガ・ソーラーの大半は「自然再生可能エネルギー」とは認めがたい、旧態依然の「重厚長大型・エネルギー無尽蔵消費型施設」と考えていて、今回のことを契機に、いくつかはスクラップされた方がいい、と思っているが、しかし、それはともかく、こうした大型の「メガソーラー」については、供給量を安定化させる蓄電池設置の義務化や、他の安定した自然再生可能エネルギー発電との組み合わせ、あるいは電力消費のオンサイト化(短い配電網設置により、発電した場所で電力を消費する)などで対応できるはず。

 

d.また、上記以外にも、揚水発電の設備利用率の引揚、連係線を通じた他地域への電力供給網の不断の拡充、電力消費予測のシェイプアップや電力供給調整の能力向上(電力会社外の発電設備の活用など)、電力消費者への安定消費への協力要請・そのための電力料金制度改定(ピーク電力のカット)などなど、さまざまな電力の受給マッチング対策が考えられる。こうしたことを、経済産業省や電力会社は、不断に継続的に努力を続けて行く必要があるはずだ。また、自然再生可能エネルギーの不安定性を巡る事情は海外でも同じなので、海外の自然再生可能エネルギー先進国の経験や教訓を活かすことも有効だろう。

 

e.自然再生可能エネルギーのうち、新時代を切り開く可能性を持ったものを優先せよ(地産地消地象型でコジェネタイプなど:「地象」とは、その土地土地を象徴・代表する発電設備という意味、たとえば、畜産酪農地帯では、牛のフンのバイオマス発電など)

 

f,既に言われているが、地域独占の電力会社間の連携線(系統配電線)がいつまでたっても拡充されていない ⇒ 法律で義務化し(期限を切った計画的拡充とコスト負担原則など)、原子力や再処理に投入されている税金をすべてこちらに振り替えよ。福島県だけ、ご機嫌とり政治で、蓄電池補助金をアップします(小渕経済産業相)などは、やることサイテー の施策だ。

 

g.下記のような、経済的にも合理性のない、価格競争力もない、本来は淘汰されていくべき原発を人為的に温存するようなグロテスクなまでに愚かな政策はやめよ。原発安価などというハッタリは、原発安全神話とともに、「神話」という嘘八百であったことが、これで明らかとなった。政治は下らぬ口出しをやめよ。

 

● 原発電気 国が赤字穴埋め提案 「割高」を認識? (東京新聞:こちら特報部) 赤かぶ

 http://asyura.com/14/genpatu40/msg/162.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014082702000156.html

 

h.それから、東京新聞のような原発・原子力に対して厳しい姿勢で報道を続けている新聞などでも、まだ、次のような「誤り」を平然と1面のトップ記事に書いている。マスコミの各社は、社内で原発のコストに関する「誤」認識を、もういい加減に改めて記者達に周知徹底してもらえないものかと思う。

 

(東京新聞は、下記の2つの自分自身の記事の矛盾=正反対のことを報じている矛盾に早く気付き、前者の「(再生エネ)発電コストは原子力より高い」という「政府によれば・・・・」報道をおやめいただきたい。原発のコストはべらぼうに高いものだ、というのは、もはや明確になってきているはずです。

 

● 東京新聞 九電、再生エネ購入中断 企業は多額投資 自治体も推進経済(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014092502100014.html

 

(上記記事の一番最後の部分を抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<再生可能エネルギー> 太陽光や風力、水力などで生まれるエネルギーを指す。石油などを燃やす火力発電、ウランを燃料とする原発と異なり、資源が枯渇せず繰り返し使えるのが特徴。地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)の排出量も極めて少ない。ただ、政府によると、発電コストは火力や原子力より高い。政府は2012年、電力会社が再生エネによる電気を買い取る制度を義務化、普及を後押ししている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

● 東京新聞 原発電力は風力より高い、米試算 太陽光発電と同レベル社会(TOKYO Web)

 

 

https://socialnews.rakuten.co.jp/link/374692

 

(参考サイト)

(1)九州電力の再生可能エネルギー接続保留に対し声明を発表|日本での地球温暖化防止|WWFジャパン

 http://www.wwf.or.jp/activities/2014/10/1226303.html

 

(2)和田武さんの講演「温暖化防止・脱原発・再生可能エネルギー普及による持続可能な社会への道」 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=8mh3DgkZ9rM&feature=youtu.be

草々

 

2014年8月 3日 (日)

メガ・ソーラーについて思うこと

前略,田中一郎です。

 

下記は、ある方からいただいた「メガ・ソーラー」に関するご意見のメールについて、私が賛同して意見申し上げたものです。一部修正してありますが、概ね、議論の主旨は変わりません。ご参考までにお送り申しあげます。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

メガ・ソーラー発電は、巨大ダムによる水力発電のようなもので、自然再生可能エネルギーと言えるかどうか、怪しい限りです。送配電に関する問題もあり、本来あるべき自然再生可能エネルギーをクラウディングアウトする可能性もあります。

 

私の考える太陽光のエネルギー利用は、熱と電気の併給で(太陽光発電+太陽熱発電+太陽熱利用)、かつ、個々の住宅や事務所の屋根を利用するなど、地域分散型で、小型で、自給自足型で、コンパクトなものです。今進められようとしているメガ・ソーラーの多くは、そうした地域分散型の環境と調和的なエネルギー利用の対極にあるように思われます。はっきり言って、だめです。農地をつぶしてメガ・ソーラーを入れるなどは本末転倒です。耕作放棄地は、メガ・ソーラーを入れるのではなく、本来の農地に戻すべきです。食料自給率を40%のママにしておいて(有機農産物の自給率をわずか数%にしておいて)、何がメガ・ソーラーでしょうか。農業の担い手がいなくなるような社会に、自然再生可能エネルギーが本当の意味で定着すると思いますか?

 

なぜ、こうしたことになるのか。私は、それは、エネルギー問題を供給サイドからしか考えず、エネルギーの消費構造、言い換えれば、新しい社会のあり方とエネルギー問題とをセットで考えていないからだと思っています。

 

その不十分な考え方の一つの事例が、残念だけれども、原子力市民委員会が今般の報告書で書いたエネルギー政策論ではないかと思うのです。(私からは中間報告の段階で意見申し上げましたが、反映されなかったようです)

 

自然再生可能エネルギーが中心となっていく社会を確たるものにするためには、中央集権型の社会構造、重厚長大・公共土建事業、原子力、会社(ビジネス)と私生活のあり方、大量生産大量消費の否定=経済成長至上主義との決別=市場原理主義の廃棄=TPP他国際市場原理主義からの脱却、農林水産業の復権・復興・再生、自然環境保護のあり方、持続可能性の確保などなど、たくさんのことがらがセットで転換されていかなければなりません。

 

エネルギーの消費構造や、ビジネス社会・ライフスタイルを今のままにしておいて、エネルギー供給だけを自然再生可能エネルギーに変えようとするから、メガ・ソーラーのようなものが出てくるのでしょう。

 

これは、低周波公害と景観破壊をもたらす風力発電も同様です。日本には、風力発電の設置場所は、それほど多くないというのが私の認識です。バイオマスに至っては、放射能に汚染されたものを燃やして汚染をまきちらしながら、福島復興だ・地域振興だ、などと言っていますから論外です。

 

バイオマスの普及・拡大は農林水産業の振興・再生と表裏一体であることを忘れてはなりません。地産地消が基本となって、地域が循環型で維持され、持続していく中でのバイオマス利用です(これも熱と電気の併給)。放射能汚染物が入り込む余地はありません。放射能は利用するのではなく、閉じ込めるのです。(福島第1原発事故による森林と木材の放射能汚染は深刻であり、かつ多くのことがいい加減にされて、かつ隠されています。要注意です)

 

そして、大切なことは、上記の中でも、日本社会を変えて行く決定的に重要な点は

(1)ビジネスのあり方=会社や産業のあり方を、今の状態から時間をかけて徐々に徐々に、かつ抜本的に変えることです。いわゆる個々人のライフスタイルの転換は、このビジネススタイルの転換により、後からついてきます(転換する条件ができてきます)。時間がかかりますから、中長期的なビジョンと計画を持って、ゆっくりと、しかし確実に進んで行く必要があります。一番ダメなのは、消費者に向かってエネルギー消費をがまんしろ、というパターンで、不勉強のチンピラ右翼がよくマイクで怒鳴っているパターン(石原慎太郎なども)です。「私は無能です」と自ら言っているようなものです。

 

(2)上記(1)を早期にできるかどうかが、21世紀の日本の真の意味での豊かさを決めて行きますから、政治や行政がこれをリードしていけるかどうかがカギになります(言い換えれば、今のまま進んで行って、日本の残された環境や資源がボロボロになってからでは遅いのです。特に、原発過酷事故を再度起こしてしまったら、もう日本はおしまいです。取り返しがつきません)。これを成功させるためには、旧態依然の日本の政治や政権を根本的に変えなければいけないのです。観客民主主義では、日本の自然再生可能エネルギーの定着は大きく遅れ、たとえばメガ・ソーラーや、低周波公害の風力発電などが、ところかまわず設置されて、おかしなことになっていくであろうと推定されます。

 

自然再生可能エネルギーは、可能性を持った未来のエネルギーですが、その導入・普及の仕方や、消費の仕方については、熟慮された総合的な「戦略」や「政策」が必要なのです。

早々

 

2014年7月15日 (火)

滋賀県知事選挙結果をどう受け止めるか(その他、いろいろ情報)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

みなさまよりいただいた情報、その他です。

 

1.滋賀県知事選挙結果をどう受け止めるか

 

● 選挙:滋賀県知事選 自公敗れる 嘉田氏後継、三日月氏初当選

 http://goo.gl/qSTQIz

 

 若狭湾の関西電力原発(及び高速増殖炉「もんじゅ」)が今後次々と再稼働に向かう可能性が高い中で、投票率50%と低迷した選挙だったが、かろうじて原発(再)推進や原発輸出、あるいは武器輸出などを含む「アベノミクス」を礼賛する自公推薦の候補者が退けられ、真偽のほどは怪しい限りながら、曲がりなりにも原発推進に反対する候補が当選したことは喜ばしいこととしていいだろう。

 

 しかし、問題は「ここから始まる」。当選した元民主党国会議員の三日月大造(たいぞう)は、2009年の政権交代以降も、脱原発・脱被ばくに関して大きな尽力をしていたという話は聞かないし、それどころか、3.11福島第1原発事故以降の民主党政権のロクでもない「事故後対策・政策」(簡単に言えば、加害者・東京電力を救済し、福島県民をはじめ東日本全域に広がるたくさんの被害者を切り捨て、更には、我々を含むそうした人々を無用の被ばくに追いやる反国民的な政策)に加担してきた張本人の一人である。

 

 その一つの証拠が、先般、多くの反対を無視して採決された「原発輸出推進のための原子力協定」への党を挙げての賛成だった。近藤昭一議員をはじめ、若干名の民主党議員が採決に反対ないしは棄権の「造反」の姿勢を見せる中で、この三日月大造(たいぞう)は何の躊躇もなく、この原子力協定批准に賛成票を投じている。かような人間が、自然態で、今後の原発再稼働・原子力再推進の「猛烈な嵐」「権力攻勢」に対して、敢然と阻止の政治姿勢を示せるかどうかは極めて疑問である。腰抜けの政治家は所詮は腰抜けでしかなく、転落していく歴史を転換できたためしはない。

 

(原発輸出に反対したまともな議員! 自民党の秋本真利、民主党の菅直人、辻元清美、近藤昭一、生方幸夫、篠原孝、福田昭夫、馬淵澄夫、古川元久:ネットサイトより・・・・・・・・・・・・もちろん三日月大造(たいぞう)の名前は見当たらない)

 

 思い起こせば、今回の三日月大造(たいぞう)を全面的にバックアップした嘉田由紀子滋賀県知事も、若狭湾の原発が滋賀県に及ぼす危険性から県民を守り切れず、「卒原発」などという言葉遊びに終始し、最も重要な政治決断が求められたその瞬間に「大飯原発再稼働容認」の態度を示すなど、その中途半端ぶり・腰抜けぶりを我々に見せてくれた政治家でもある。昨今は、自身が当選したレゾン・デートルでもある「もったいない」もかなぐり捨て、新幹線新駅建設の再検討や、「ダムはムダ」の県内大型ダム建設を容認するなど、なんのために知事になったのかを忘れ去ったがごとき、公約違反の政治姿勢を見せ始めている。今から数年前は私も期待をし、また多くの県民・有権者・国民の期待を集めた嘉田由紀子氏は、もはや民主党と同じ「口先やるやる詐欺」として、日本の地方政治から消えていこうとしている。2012年の衆議院選挙で小沢一郎に手玉に取られ、大敗してしまったのも、さもありなん、だったのかもしれない。いずれにせよ、最重要の公約を守れぬ政治家は、我々には不要である。

 

 それにしても、(知事選投票に行かなかった約半数、及び自公推薦候補に投票した)滋賀県民はいったい何をしているのか。危険きわまりない原発・核燃料施設再稼働を目前にして、投票率50%とは、いったいどういうことか。また、原発再稼働・戦争する国への道・TPPなど市場原理主義への更なる傾斜などなど、反有権者・国民的政策に強引に邁進している安倍晋三政権をこのまま容認していていいのか。何故に、この県知事選挙が「接戦」になってしまっているのか。民主主義や基本的人権、あるいは平和主義は、誰が守ってくれるのでもない、自分達が守らなくてどうするのか。安倍晋三政権を追認し、あるいは投票に行かず、結果として、自分達の未来はどうなってもいいというのか、自分達の子どもや孫のことはどうでもいいのか。投票に行かなかった有権者・県民や、自公推薦候補に投票をした滋賀県民に対しては、早く目を覚ませ、よく考えろ、と申し上げなければならない。あまりにもノーテンキで、軽率、かつ「お気楽」過ぎる。

 

 若狭湾原発銀座の原発・核燃料施設がひとたび火を噴けば、滋賀県は間違いなく放射能汚染地獄に沈むだろう。その時は、おそらくは福島第1原発事故の比ではない、とてつもない状態に陥ることになるだろう。琵琶湖もまた、高濃度の汚染地帯となるだろう。そして、その原発過酷事故の悪夢は、このままいけば、ほぼ間違いなく実現してしまうことになる。何故なら、若狭湾の原発・核燃料施設は、極めて危険な状態で再稼働されようとしているからだ。原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の安全審査など、茶番劇にすぎないのだ(嘘だと思うのなら、その内容を詳細に見てみればいい、3.11福島第1原発事故の教訓も生かされず、ちょこざいな付焼刃的「安全対策」を申し訳程度に(金のかからない範囲内で)表面的に施したに過ぎず、実際の原発・核燃料施設そのものは、3.11以前と大差ないのである)

 

 福井県の原発が過酷事故を起こした場合に最も深刻なダメージを受ける県として、滋賀県は何故に関西電力に対して、まずは立地自治体と同レベルの「安全協定」締結を強く要請しないのか。およそ滋賀県がOKと言わない限りは、原発・核燃料施設は再稼働させない、そういう状態を一刻も早く創らなければならないのではないのか。また、要請しても関西電力がすんなりと受け入れるとは思えないので、その場合には、函館市と同様、「安全協定」締結と安全確保(さもなくば原発は再稼働させない)をもとめて、原発再稼働差止訴訟を提訴すべきだろう。それでこそ、県民の命と健康、財産と生活が守りきれるのではないのか。

 

 私は、こうした原発・核燃料施設の過酷事故から県民を守る基本的なことを、当選した三日月大造(たいぞう)が、すんなりと実践するだろうとは思ってはいない。そのいわば腰抜けの政治家を、再稼働阻止・脱原発の力強い歩みに踏み出させることができるのは、当選後の滋賀県民や、更には我々一般の有権者・国民・市民の態度いかんにかかっているのだと思っている。中途半端で、「口先やるやる詐欺」かもしれないような人間が当選したからと言って、もろ手を挙げて喜ぶのはまだ早い。「選挙のときだけ大騒ぎ」や「選挙情勢分析屋主義」は、応援した候補者当選後の「お任せ民主主義」「観客民主主義」に直結している。

 

 これを克服し、不断の脱原発へ向けての市民運動・社会運動こそが、脱原発を不可逆的な形で実現できる唯一の道と言っていいだろう。そして、次回の選挙では、こんどこそ「本物の脱原発候補」を当選させられるよう、頑張って行こう。(県議会の動きにも要注目である。滋賀県議会は、目を覆いたくなるくらいに自民党ないしは親自民のロクでもない県会議員達の「たまり場」になっている)

 

 終わった選挙の位置づけ論争などよりも、明日へ向けて、脱原発と再稼働阻止を確実にしうる運動に、すべての有権者・国民・市民は力を合わせようではないか。日本列島のど真ん中にある滋賀県の今後の命運は、とりもなおさず、我ら日本国の有権者・国民・市民の命運でもあるからだ。

 

(追)(ところで、今回の滋賀県知事選挙では、細川護煕・小泉純一郎各氏のプレゼンスは見られませんでした。どうしたことなのでしょう? 三日月大造(たいぞう)では動きにくいということでしょうか。しかし、そういう偏狭な態度では、これからの脱原発は実現しないのではないかと思われます。また、マスコミ報道が伝えるように、政治からは一歩退くということであれば、なお、脱原発の実現は難しくなるように思われます。細川護煕どの、小泉純一郎どの、しっかりして下され)

 

(一部抜粋)

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任期満了に伴う滋賀県知事選は13日投開票され、無所属新人で前民主党衆院議員の三日月大造(たいぞう)氏(43)が、元経済産業省官僚の小鑓(こやり)隆史氏(47)=自民、公明推薦▽共産党県常任委員の坪田五久男(いくお)氏(55)=共産推薦=の無所属新人2人を破り、初当選した。集団的自衛権の行使を容認した閣議決定後初の大型選挙で与党推薦候補が敗北したことは、安倍政権に打撃となる。投票率は50・15%(前回は参院選との同日選で61・56%、前々回は44・94%)だった。

 

(中略)2期8年続いた嘉田由紀子知事(64)の路線は継承される。「もったいない」「卒原発」を掲げた嘉田県政の評価や安倍政権の経済政策、原発政策、集団的自衛権などが争点になった。

 

 三日月氏は5月、嘉田氏から後継指名を受けて議員辞職し、民主党を離党。段階的に原発を減らす「卒原発」を含む嘉田県政の継承を前面に掲げ、嘉田氏と二人三脚で無党派層への浸透を図った。嘉田氏は2010年の前回知事選で、過去最多の約42万票を獲得している。三日月氏は政党色を出さない方針で民主党の推薦は受けなかったが、同党は推薦候補並みの支援をした。更に東京都議の女性蔑視のやじや集団的自衛権への有権者の批判が追い風となり、支持を広げた。

 

 小鑓氏は安倍政権の経済政策「アベノミクス」立案に携わった経験から、県の経済再生の必要性を掲げ、国とのパイプの太さを強調した。自民党は連日、閣僚や党幹部、国会議員を送り込んだが、支持を固めきれなかった。

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● クローズアップ2014:滋賀知事選、自公敗北 「1強」政権に冷水 福島、沖縄知事選に影響も

 http://goo.gl/UBd8Vi

 

● 選挙:滋賀県知事選 政権批判、追い風に 三日月さん「卒原発」に支持

 http://goo.gl/ivuRKj

 

● 公明支持層、投票減る 滋賀県知事選 朝日新聞社出口調査:朝日新聞デジタル

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11241582.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11241582

 

● 滋賀県知事選挙 (市町村別)開票結果

 http://www.pref.shiga.lg.jp/senkyo/chiji2014/files/kkakutei.pdf

 

2.その他サイト

(1)がれき撤去で飛散、コメ汚染 福島第一の20キロ先:朝日新聞デジタル

http://digital.asahi.com/articles/ASG7F4JF9G7FUUPI005.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG7F4JF9G7FUUPI005&utm_content=buffer5b55c&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

(2)【福島第1原発の現状】 地震、津波対策強化へ 汚染水懸念で 47トピックス - 47NEWS(よんななニュース)

 http://www.47news.jp/47topics/e/255244.php

 

(3)暑い夏がやってきた!だが、東電は原発再稼働なしで、関電・九電に売るほどの電力がある(まさのあつこ) - 個人 - Yahoo!ニュース

 (上)http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20140712-00037340/

 (下)http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20140713-00037343/

 

(4)「官房長官、逆ギレ」と報じられた菅義偉・会見全記録@日本特派員協会-質疑応答篇- 日仏共同テレビ局フランス10

 http://www.france10.tv/politics/3130/

 

(5)キャンペーンについてのお知らせ • 葛西臨海公園は守られました!キャンペーン成功! • Change.org https://www.change.org/p/25%e5%b9%b4%e3%82%82%e3%81%8b%e3%81%91%e3%81%a6%e8%82%b2%e3%81%a6%e3%81%9f%e8%91%9b%e8%a5%bf%e8%87%a8%e6%b5%b7%e5%85%ac%e5%9c%92%e3%81%ae%e8%87%aa%e7%84%b6%e3%82%92-5%e6%97%a5%e9%96%93%e3%81%ae%e3%82%aa%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%83%94%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%ab%e3%83%8c%e3%83%bc%e7%ab%b6%e6%8a%80%e3%81%ae%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ab%e5%a3%8a%e3%81%95%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%a7/u/53bf5dd4b1d08a27ffe9aa51?tk=IBqZzFocq5XhANNOpTbk04p5RQgpgCNqWleTPMZe-Sg&utm_source=petition_update&utm_medium=email&utm_campaign=petition_update_email

 

(5)(別添PDFファイル)JA自己改革 人間らしさ最優先で(内橋克人 日本農業新聞 2014.7.15

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 JAグループは、以前、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加に反対する一方、選挙では自民党候補者を推薦・支援して政権の座に押し上げた。だか、安倍政権は新白由主義的改革、グローバル化推進のイデオロギーに立ち、社会の「分断・対立・競争」を加速させる「競争セクター」の利益代弁者だ。「JAの政治的リアリズム」の是非が問われている。

 

 私は小泉改革の新自由主義が攻撃する矛先は、「郵政改革の次はJA改革・JA全中に向けられる」と訴えた。残念ながら現実となった。「協同組合つぶし」を狙う規制改革は、これからが本番となるのである。

 

 JAグループを分断し立と競争に追い込み、つそうとするだろう。だが、JAは総合事業で地域の「安心社会」を支えている。分断に歯止めをかけいるのが「中央会機能」あり、全中なのだ。

 

 むき出しの資本主義に対抗して「より良い社会」をどう築き直すか、協同組合本来の役割が間われている。JAグループが目指す自己改革は、組合員を中心にした協同組合の役割と使命をきちんと理解した「使命共同体」になる必要がある。

 

 危機に立ち向かう「対抗思潮」の構築を急がなければならない。「せっかちな理想主義」にも「早すぎる妥協」にも、流されてはならない。

 

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早々

 

2014年7月11日 (金)

本日のいろいろ情報:脱原発・脱被曝から遺伝子組換え、国際市場原理主義まで

前略,田中一郎です。

 

本日(2014711日)にいろいろ情報です。皆様よりいただいた情報その他です。

 

1.<原発ADR>慰謝料基準も低額設定 算定過程明示せず (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140710-00000014-mai-soci

 

(田中一郎コメント)

 先般お送りした福島第1原発事故にかかる損害賠償についてのメールの続編です。「東京電力福島第1原発事故の賠償問題を裁判外で解決する手続き(原発ADR)を担当する国の「原子力損害賠償紛争解決センター」が、避難中の死亡者に関する慰謝料について、通常の損害賠償訴訟よりも低い基準額を設定していることが分かった。この基準額に、さらに「原発事故の影響は50%」とする独自の算定方式を適用するため、和解額が低く抑え込まれていた。算定過程を遺族に知らせず和解したケースもあり、被災者軽視の姿勢が鮮明になった。」とあります。

 

 屁理屈を積み重ねて損害賠償基準額を低く抑え、更に、原発事故影響割合を50%に低くすることで、「原子力損害賠償紛争解決センター」は、被害者が請求した賠償金額の1/4の金額でADR和解案を作成、それを被害者の弱みに付け込んで押し付けていることが分かりました。

 

 福島第1原発事故の損害賠償を妨害・挫折させる3つの組織、文部科学省「原子力損害賠償紛争和解仲介室」、「原子力損害賠償紛争審査会」、「原子力損害賠償紛争解決センター」、これらを廃止して、被害者の救済を第一義に考える「福島第1原発事故賠償・補償センター」を一から作り直しましょう。

 

 何度も申しあげて恐縮ですが、何故に、原子力推進の総本山=文部科学省(旧科学技術庁)に原子力推進の被害者救済の所管をさせているのでしょうか。明らかな利益相反行為であり、こんなところがやれば、職権・権力を乱用して被害者を切り捨て・踏み潰すのは目に見えております。いったい日本政府は何をしているのでしょうか。文部科学省及び経済産業省の原子力所管部署は、福島第1原発事故の責任を取らせて「解体」「処分」しなければならない部署です。

 

2.食べものの放射能をごまかすな!

(1)食品中の放射性セシウムから受ける放射線量の調査結果(平成25年9・10月調査分) |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000050813.html

 

(田中一郎:内部被曝を「シーベルト」というおかしな放射線被ばく単位でカウントしていることがそもそもの間違いです。「シーベルト」の値が小さいのではなく、「シーベルト」は値が小さく出るように「仕組まれている」のです。「シーベルト」とは、原子力ムラ・放射線ムラが原子力推進のために被ばく被害を小さく見せ、被ばく被害者を切り捨てるために創作したインチキ概念です)

 

(2)原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の解除について |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000050837.html

 

 かような軽率なことをしていていいのかということです。放射性セシウム以外の放射性物質、特に放射性ストロンチウムはどうなってるの?

 

(コンテンツ)

本日、原子力災害対策本部は、昨日までの検査結果等から、福島県及び栃木県に対し、以下について、出荷制限の解除を指示しました。

(1)福島県沖 (※) で漁獲されたサヨリ、ホウボウ及びキタムラサキウニ

(2) 栃木県 芳賀町 ( はがまち ) で産出された原木シイタケ(露地栽培) のうち、県の定める管理計画に基づき管理されるもの

 

(参考)農林水産省-東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応

 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html

 

(参考)水産庁-韓国による我が国水産物の輸入規制強化について

 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/export/other/korea.html

 

3.TISAと公共サービス

 http://t.co/TgCDpFqfy7

(なかなかの資料です。ぜひ、ご一読を)

 

● 外務省 新サービス貿易協定(TiSA)交渉の進展

 http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000387.html

 

4.福島県民健康調査について 街頭署名・福島県請願・記者会見・福島集会

(前半)20140708 UPLAN 【街頭署名・福島県請願および交渉】福島県民健康調査について

 http://www.youtube.com/watch?v=dnrzojiI4FA

 

(後半)20140708 UPLAN【記者会見・福島集会】 小児甲状腺がんは異常多発!全県民の健康診断を!

 http://www.youtube.com/watch?v=qNgEv7obONQ

 

5.美浜の会HP

(1)福井県が公表したスクリーニング28箇所の候補地 

 http://www.jca.apc.org/mihama/bousai/fukui_screeningp20140709.pdf

 

(2)美浜の会ニュース№129号(201478日)

 http://www.jca.apc.org/mihama/

 

5.【秘密法】17日の第2回「情報保全諮問会議」で政令・運用基準の「素案」提示へ|脱原発の日のブログ

 http://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-11891691172.html

 

6.【海外市民団体の見る日本の汚染瓦礫受入問題】制作:EON - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=WFSFDMiWVzU

 

7.Avaaz - モンサント社を阻止する最善の方法

 https://secure.avaaz.org/jp/seed_exchange_nd_loc/?link=NearED_873&bBbgZcb&v=42143&lang=jp&cid=10053&c=JPY&a=250

 

8.避難1.5万人「苦しみ同じ」 浪江町、一律賠償和解案受け入れ – 東京新聞 - ふくしま原発損害賠償弁護団

 http://fukushimagenpatsu.bengodan.jp/archives/700680

 

9.許すな!「東電が就労不能損害賠償の打ち切り及び全額返金を要求」 - 世界を変えよう!「反戦・反核・反弾圧」アクション日記&執筆集(園良太)

 http://d.hatena.ne.jp/Ryota1981/20140709

 

10.1060.ヨウ素剤を身内だけで内服していた福島医科大学 院長の独り言

 http://onodekita.sblo.jp/article/95013296.html

 

11.東京、埋もれた内部被ばくを示唆するデータ 放射線量と放射性物質濃度が一時ピークに(1-2 ビジネスジャーナル

 http://biz-journal.jp/2014/07/post_5304.html

 

12.週刊金曜日の表紙が話題に!安倍首相の顔が・・・www「さらば、独裁者 検証 暴走する安倍政権」 赤かぶ

 http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/345.html

早々

 

 

 

2014年6月26日 (木)

電力システム改革の課題

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、先週いっぱい、日本経済新聞が「経済教室」の紙面に特集して掲載した「電力システム改革の課題」(日経 2014616日~20日)というシリーズ記事です。この問題について、日経にしては珍しくコンパクトによくまとまっていますので、ご参考までにご紹介申しあげます。

 

ご承知の通り、我が国の電力自由化については、記事にもある通り、昨年201311月に第一次の改正電気事業法が、20146月には第二次の改正電気事業法が国会で可決成立しています。もともと我が国の電力自由化は、1990年代半ばから、大手地域独占電力会社9社の強い反対を受けて右往左往しながらも、経済産業省主導で進められてきましたが、とうとう2000年代前半の自民党政権の時代に、家庭向け及び零細企業等小口ユーザー向け電力の自由化が実現しないまま、電力自由化政策自体がとん挫してしまいました。状況を転換させたのが福島第1原発事故で、大手地域独占電力会社の筆頭格の東京電力が事実上経営破たんして発言力を失ったほか、全国の原発が運転停止を余儀なくされる中で、電力供給の不安定性や電力料金の理不尽な値上げなど、電力の地域独占市場の欠陥が露呈し、電力自由化の再着手を余儀なくされました。

 

しかし、ことはそう簡単にスムーズに運びそうにはありません。依然として大手地域独占電力会社9社の電力自由化に対する反対の姿勢は根強く、また、原子力発電部門への執拗なまでのしがみつきも目に余るものがあります。また、大手地域独占電力会社9社は、日本最大の「抵抗勢力」ということもあって、地域及び中央・東京での政治力や社会的影響力も大きなものがあり、今後の自由化のプロセスについては、再びの紆余曲折が予想されています。

 

自由化のステップは報道されている通りです。

【第1段階】広域系統運用機関(仮称)の設立

【第2段階】電気の小売業への参入の全面自由化

【第3段階】法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保、電気の小売料金の全面自由化

 

(参考)電力システム改革、専門委報告書の要旨

 http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS0803D_Y3A200C1EE8000/

 

(参考)電力自由化の解説(経済産業省、NHK、日経)

(1)http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=10&cad=rja&uact=8&ved=0CFYQFjAJ&url=http%3A%2F%2Fwww.meti.go.jp%2Fintro%2Flaw%2Fpdf%2F20131015002%2F20131015002-2.pdf&ei=pmCrU57FAY7GkQXQtoG4CQ&usg=AFQjCNGoNFDw9Euojz7WIGMh_0-g8e_Xxw&sig2=5VhFn-XAOhBgKCY02ppAGw

(2)http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/151277.html

(3)http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0200R_S3A400C1MM0000/

 

(参考)ウィキペディア 電力自由化

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E8%87%AA%E7%94%B1%E5%8C%96

 

(参考)電力自由化FAQ

 http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_d6/9_info/top/e-faq.htm

 

現段階でこの電力自由化に関して、ポイントとなる視点を若干申しあげておきますと

 

(1)大手地域独占電力9社の政治力・経済力・社会的影響力は絶大で、これを解体しないことには、電力自由化は「形だけ」のものになってしまう。そのためには、自由化の各段階に即して、適切な監視や規制・管理の仕組みを構築しておく必要がある。所管庁の経済産業省は電力会社との癒着がひどく、また、自民党や民主党などの政党・政治家達も電力会社に包摂されている様子がうかがえるため、制度や仕組みを創る側に、そもそもの問題(利益相反)があることを強く意識しておく必要がある。

 

(2)まず現状では、自由化がどのように進んでいくのかを監視する規制組織を立ち上げておく必要があるが、記事にもあるように、これが今般発足させられる「広域系統運用機関」と並行して設立されるはずだったのが、さっそく頓挫ないしは後回しにさせられそうになっているということに留意しなければならない。経済産業省だけに任せておいては、できることもできなくなってしまう可能性があるので、こうした監視と規制・管理の組織は必要不可欠である。

 

(3)実は、上記の電力自由化の3つの段階は順序がおかしく、本来はまず第3段階の送配電分離が第2段階に来て、主として発電会社が自由参入できる仕組みを定着させたのち、第2段階の電気の小売業への参入の全面自由化を図るべきである。そうしないと、新規参入会社がすべて大手地域独占電力会社9社に支配・統制されてしまう恐れが強まる。

 

(4)そして、その場合、送配電分離は、いわゆる「所有分離」でなければならず、送配電網所有母体の大手地域独占電力会社9社の傘下に入った子会社・グループ会社による送配電設備の所有・運営では、その独立性が全く不十分である。つまり「法的分離」では自由化は不十分であり、完全自由化は難しいということだ。しかし、自民党と癒着した大手地域独占電力会社9社は、その政治力を使って「所有分離」は行わない電力自由化の法制化をすでに達成してしまっている。201311月の改正電気事業法がまさにそれで、この法律の狙いは、①送配電部門の「所有分離」を退けること、②電力自由化までの時間稼ぎを行い、可能な限りスケジュールを先送りすること(情勢の変化を待って、電力自由化を骨抜きにしてしまうのが目的)、だったと言える。マスコミ報道はこれを見抜けず、無邪気にはしゃいでいた観がある。

 

(5)第3段階の「電気の小売料金の全面自由化」については、電力料金の値下げはともかく、その値上げについては、相当の自由化の実績が積み上がらない限りは認めてはならないと思われる。自由化が「名ばかり」で、実質的に大手地域独占電力会社9社が市場支配をしているような状態で、電力小売り料金の自由化を行うことは、不当な電力料金つり上げにつながる可能性が高い。電力料金の監視委員会を創って、その適正性について監視を続けていく必要がある。

 

(6)その他、電力関連の設備(例:スマートメーターとその運営)やシステム整備や人的資源の独占、あるいは電力関連事業・エネルギー関連事業の在り方や電気関連設備メーカー各社とのつながり、あるいは最も重要な顧客ユーザー関連情報の公開または平等な共有化など、電力供給業界全般にわたって大手地域独占電力会社9社の支配力はダントツに強く、これらに対しても相当の社会的規制なり、適正化規制なりを課していかないと、電力自由化の所与の目的達成は難しいものと思われる(条件不利地域への電力供給の適正化・安定化や、卸売電力市場の適正な運営などを含む)。

 

(7)他方、電力自由化では、これまで地域独占の時代に法律で義務付けられていた電力の安定供給義務も解除されることとなっている。しかし、それをそのまま放置していたのでは、最終的な電力供給の責任者が不在となり、ユーザーの中には電力供給が受けられなくなったり、不当な高値を吹っ掛けられたりする場合もありうることになりかねない(実際アメリカでは、2001年に経営破たんしたエンロンという巨大電力卸売会社が電力市場を操作して電力料金をつり上げたり、供給不安定化を招いたりして、不当な利益を得ていた)。電力システム改革の専門委員会では、こうした懸念を念頭において「最終保障サービス」を法的に分離された送配電会社に義務付けようとしているが、この仕組みの具体的な中身も詳細かつ厳重にチェックする必要がある。

 

(8)原発・原子力に対する電力市場外での政治的・政策的テコ入れや支援政策・保護政策をやめること。少なくとも、電源立地対策のみならず、廃棄物処理や廃炉など、バックエンドも含めて、すべての原発支援政策を廃止するとともに、原発の安全性確保や危機管理(過酷事故対策用の民間保険の付保など)の義務化など、原発・原子力に対する厳格な規制を導入する必要がある。本来は原発の即時廃止政策をとるべきであるが、それが(政治的な理由から)実施されないのであれば、少なくとも上記のような対応が必要と思われる。現在、関西電力を筆頭に大手地域独占電力会社9社からは、政府リードによる何らかの「国策民営の仕組み」の創設の要望が出されているが、とんでもない話である。(但し、原発・核燃料施設廃止促進のための国費投入には躊躇すべきではない。これまで国策として展開してきた原子力政策だから、政府にもその結果の責任の一端はある。それを再び国策としてスクラップするのであれば、それなりの政府支援があっていい。原子力部門からの撤退にインセンティブを付けることは、現下では焦眉の政策である)

 

(9)他方で、自然再生可能エネルギーへの政策的推進を強化していく必要がある、単に電源の確保というだけでなく、一方で、電力産業界の構造や地域社会をエネルギー供給面から大きく変えていく中長期的なビジョンを持ち、かつ、電力を含むエネルギーの需要サイド=消費構造の在り方にもメスを入れるべきである。従来型の大量生産・大量消費ではない、オルタナティブな経済社会実現を目指し、中長期的な経済社会改造ビジョンや改造計画が求められている。

 

10)原発の輸出は現に慎むべきである。電気事業法を改正し、法律ではっきりと禁止すべきである。

 

11)過酷事故を引き起こした福島第1原発の後始末と廃炉作業を含め、東京電力を(法的に破綻処理して)解体・再生する中で、電力自由化の先頭を走るモデルケースとして、発送電部門の「所有分離」による完全自由化、巨大発電部門及び小売り部門の会社分割・切り離し、新電力会社との提携・連携、自然再生可能エネルギーの飛躍的拡大、核燃料サイクル事業を含む原子力部門の完全廃止と廃止への政府の支援、などの諸課題についてチャレンジさせるべきである。

 

12)申しあげるまでもないが、核燃料サイクル事業はただちに中止・設備等は廃棄処分である。運営主体の日本原燃や(独)日本原子力研究開発機構は、同時に即時解体されるべきである。

早々

 

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