放射線被爆

2015年5月 6日 (水)

(メール転送です) 低線量内部被曝の危険を人々から覆い隠すICRP学説の起源 他+アルファ

前略,田中一郎です。

 

1.(メール転送です)低線量内部被曝の危険を人々から覆い隠すICRP学説の起源

 http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150501.pdf

 

5月1日に広島市の繁華街で行われた「第128回 広島2人デモ」のチラシを紹介させていただきます。私は当日参加できなかったのですが、このチラシの内容は、現在私たちが置かれている、被曝をめぐる危機的状況の淵源をえぐる、重要なものだと思います。特に、福島原発災害被災地のみなさまには、ぜひともご注目いただきたいと思います。しかしこれは、福島原発事故による避難基準よりもさらに苛酷な避難基準のもと、原発の再稼働を押し付けられようとしている全国の住民の問題です。

 

▼第128回チラシ

http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150501.pdf

 

▼タイトル

「低線量内部被曝の危険を人々から覆い隠すICRP学説の起源」

 

▼トピック

1.ICRP学説に完全に支配される日本社会の「放射線防護体制」

2.ICRP学説は私たちの生活の隅々まで支配している

3.ICRP学説の特徴-「放射線防護の3原則」

4.”ALARA”(アラーラ)の原則

5.ICRPの生い立ち-NCRPの国際版として成立

6.アメリカ放射線防護委員会(NCRP)の成立

7.1946年NCRPの役割

8.その後反核の闘士に変貌を遂げるカール・モーガン

9.内部被曝問題に封印

10.NCRPをそっくり引き継いでスタートするICRP

11.核の軍事利用・産業利用とともに登場するICRP

12.ICRPが全面的に依拠する広島・長崎の被爆者寿命調査(LSS)

13.実際に高線量外部被曝のみではなかった広島原爆の放射線被害

14.川内原発再稼働を容認する鹿児島地裁判決がよって立つのは放射能安全神話

 

(中略)

現在の日本の「放射能汚染食品基準」も、苛酷な避難基準を設定している「原子力災害対策指針」も、福島原発事故避難地域住民の帰還を促す政策も、すべて依拠しているのは、ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告です。

 

では、ICRPとはどのような組織で、ICRPの勧告は何を根拠としているのか?

 ICRPとは、アメリカ放射線防護委員会(NCRP)の国際版として成立した組織です。アメリカ放射線防護委員会(NCRP)は、広島・長崎に投下された原爆の開発を行った「マンハッタン計画」を引き継いで成立したアメリカ原子力委員会(AEC)同様、「マンハッタン計画」で働いていた放射線防護の専門家たちを主要メンバーとし、

その役割は、核の軍事利用・産業利用を推し進めるアメリカ原子力委員会(AEC)の活動を、放射線防護政策の立場から支援することでした。ICRPは、NCRPと同様、核の利用と、核の利用に伴う放射線被曝による健康損傷を、科学的外観を装いつつ、合理化・正当化することを任務としています。

 

そのICRPの主張の根拠となっているのは、広島・長崎の被爆者寿命調査(LSS=Life Span Study)です。被爆者寿命調査(LSS=Life Span Study)とは、アメリカ原子力委員会(AEC)の下にあった原爆傷害調査委員会(ABCC)が、1950年1月の時点で生存していた広島・長崎の原爆被爆者を対象に、原爆炸裂時に発生した一次放射線(ガンマ線と中性子線)の影響(がんと白血病に限定)を調べた調査です。

 

LSSは、原爆炸裂時に発生した一次放射線の影響についての調査ですから、「高線量外部被曝」の影響調査であって、「低線量内部被曝」の影響調査ではありません。「高線量外部被曝」の人体への影響のしかたと、「低線量内部被曝」の人体への影響のしかたは、別のものです。したがって、被爆者寿命調査(LSS=Life Span Study)の結果を根拠として、「低線量内部被曝」について基準を設定したり、勧告を行ったりすることは、きわめて不適切なことです。

 

核利用は、軍事的利用にせよ、産業的利用にせよ、必ず「低線量内部被曝」を伴います。したがって、

「低線量内部被曝」による健康損傷を人々がはっきりと認識するようになれば、核利用を正当化することはむずかしくなります。ICRPとは、それを防ぐために設けられた組織であり、それに根拠を与えるために行われたのが被爆者寿命調査(LSS)だと言えます。しかし今、私たちが「低線量内部被曝」の影響をはっきりと認識しなければ、私たちは私たち自身を守ることはできないでしょう。

 

2.ナイ教授「辺野古移転を強行すべきではない」 アメリカから見た世界 東洋経済オンライン 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 http://toyokeizai.net/articles/-/68769?page=4

 

3.「市民と科学者の内部被曝問題研究会」の先生方

(1)矢ケ崎克馬さん:人格権とICRPの論説は次のようにブログに載せました。

●原発事故後の日本を生きる

 http://www.sting-wl.com/

 

(2)松崎道幸さん

●「放射線被ばくの影響を一ケタ過小評価していませんか? -放影研原爆データ(LSSデータ)を検証する-

 http://yahoo.jp/box/XSLBqZ

 

3)山田耕作、渡辺悦司

●『放射線被曝の理科・社会』(野口邦和,清水修二他)の問題点

 http://blog.acsir.org/?eid=37

 

4.世界文化遺産 韓国は登録反対「基本精神に合わない」 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/news/20150505k0000m040095000c.html

 

(参考)【世界文化遺産】軍艦島などを推薦。しかし「近代化」の影で強制徴用や人権侵害もあった悲しい歴史が。 - NAVER まとめ

 http://matome.naver.jp/odai/2137982503998687401

 

(一部抜粋)

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しかし、その影で植民地だった韓国の人々を強制徴用した歴史も

日本は暗い過去の歴史は完全に隠したまま登載を推進

 

この小さい島は日帝強制占領期間の時、強制動員された朝鮮人鉱夫122人がつらい労働と劣悪な環境に耐えることができず亡くなった暗い歴史を抱いている。(1944~45年端島に約800人の朝鮮人が強制動員され、うち最低でも122人が亡くなったことが明らかになっているという。)

 

「端島での生活は、狭く、熱く、眠くて、大変疲れた。具合が悪くて作業から抜ければひどく鞭で打たれた。 一本道の堤防上に登り、故郷の方を眺めて何度も死のうと思った。 生きて帰るのは難しそうだった。」温度が40度まで上がる海底1000mの坑道で、一日12時間ずつ労働させられた。 狭苦しい坑道で横になって石炭を掘った。 割当量を達成できなければ炭坑から出られない生き地獄のような毎日だった。 海に飛び込んで逃げようとすれば溺れ死んだり、捕まれば滅茶苦茶に殴られた。

 

 給料や食事、休日などの虚偽の好条件で騙されてやってきた労働者が多く、劣悪な環境に耐えられず「島抜け」(泳いで島を脱出すること)や自殺をする者もおり、日本人の場合は自殺(縊死)が多かったのに対して、朝鮮人の場合は島抜けを試みる者が多かった。ただし、実際に「島抜け」が成功した例は少なく、大半は溺死するか、警察や監視する職員に捕まって連れ戻され、見せしめに拷問された。

 

「監獄島」とも呼ばれた時代がある「軍艦島」。実は日本人労働者も犠牲になっているという。私たち日本人の立場から見ても、「近代化の象徴」の側面より「労働者の悲劇」の側面について考えるべきではないだろうか。

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(田中一郎コメント)

 この問題について,インターネットで検索してみたが,まともな解説サイトを見つけるのを苦労するくらい,ネット上の言論は「ジコチュー」(日本うぬぼれ歴史観)に陥り,どうしようもないガラクタ言論であふれかえっていた。上記でご紹介した毎日新聞でさえもが,下記のようなバカバカしい似非歴史学者のコメントを掲載しているからあきれるばかりである。

 

 こんなものは「世界遺産」ではなくて「世界悲惨」のモニュメントではないか。今の日本政府のみならず,多くの政治家達や官僚,一部の財界人,学者やマスごみなどの態度を見ていたら,韓国や中国など,アジアの国々・アジアの人々が,この軍艦島を世界遺産に登録することに反対するのは当然のことだ。ドイツがナチス政権による暴虐への心底からの反省(その1つの証拠が徹底した戦争賠償であり,またナチス犯罪への時効なしの責任追及であり,更に歴代政府による言を尽くしての過去の自国の振る舞いへの反省の弁だ)を示しつつ,アウシュビッツを歴史的遺産として残していることとは訳が違う。

 

 数日前に,この軍艦島の世界遺産への登録のニュースを伝えたTVニュースでは,こうした軍艦島での強制連行されたアジアの人々の強制奴隷労働については,一言も触れていない。また,日本政府・とりわけ安倍晋三政権が,そのような過去のアジアへの犯罪行為を反省するわけもない。こんな状態で,何が「世界遺産」登録か。

 

 にもかかわらず,毎日新聞は下記のような,底の浅い,政府からのフォローの風を意識した似非学者どもの発言をわざわざ報道している。

 

「国内の歴史学者は負の側面も含めて歴史的な施設を評価すべきだとする見解を示している。小風秀雅・お茶の水女子大教授(日本近代史)は「世界遺産は光と影の部分を全体として評価することが求められる。両者を見つめることこそ大切ではないか」と指摘している。」

 

 私はこういう根曲がりを覆い隠したような偽善的・欺瞞的な言動を,「学者」と称する権威を笠に着た,ただのおバカなおっさん,おばはんどもが発言することを最も唾棄すべきことと考えている。だったら,今日的な日本の状況下で,お前達が,その「負の側面」を徹底して世に伝えてみよ,ということだ。

 

 私は,韓国,中国,アジアの人々とともに,軍艦島の世界遺産登録に反対したいと思っている(登録するのなら,韓国,中国,アジアの方々がOKという形でなければダメだ)。

 

(参考)負の世界遺産

http://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A0%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C%E9%81%BA%E7%94%A3

 

(参考)軍艦島 Yahoo!画像検索

http://image.search.yahoo.co.jp/search?rkf=2&ei=UTF-8&p=%E8%BB%8D%E8%89%A6%E5%B3%B6+%E4%B8%96%E7%95%8C%E9%81%BA%E7%94%A3

 

5.(メール転送です)

No.665 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  有機農業ニュースクリップ  2015.05.06

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≪ 今日の目次 ≫

■ネオニコ農薬の総合的評価書の翻訳が完成 無料で公開

■EU委員会 GM食品・飼料禁止を加盟国に委ねる改正案を提案

■GM作物承認を再開したEU委員会 19品種を承認

 

≪ 農薬 ≫

■ネオニコ農薬の総合的評価書の翻訳が完成 無料で公開

 世界の科学者30人によって構成される浸透性殺虫剤タスクフォース(The Task Force on Systemic PesticidesTFSP)は、浸透性のネオニコ系農薬とフィプロニルに関する、査読を受けた1121編の論文を精査した結果を、昨年6月から10月にかけて8編の論文として発表した。評価された論文には化学メーカーの資金援助を受けた論文を含むという。これらの論文は今年1月、TFSPより『Worldwide Integrated Assessment』として公表されていた。日本の専門家からなるネオニコチノイド研究会はこのほど、この評価書の日本語訳『浸透性殺虫剤の生物多様性と生態系への影響に関する世界的な統合評価書』を公開した。無料でダウンロードできる。

 

【目次】

1.浸透性殺虫剤に関する世界的な統合評価書:昆虫相の世界的崩壊:浸透性殺虫剤が果たした役割の探求

2.浸透性殺虫剤(ネオニコチノイド系殺虫剤およびフィプロニル):動向、使用状況、作用機序、および代謝産物

3.環境運命と曝露:ネオニコチノイド系殺虫剤とフィプロニル

4.ネオニコチノイド系殺虫剤およびフィプロニルの非標的無脊椎動物への影響

5.野生脊椎動物へのネオニコチノイド系殺虫剤およびフィプロニルの直接的間接的影響の検討

6.浸透性殺虫剤の大量使用による生態系機能および生態系サービスに対する危険

7.害虫駆除のためのネオニコチノイド系殺虫剤の代替案:農業および林業における事例研究

8.ネオニコチノイド系殺虫剤およびフィプロニルが生物多様性および生態系機能に与える危険に関する世界的な統合評価書の結論

 

 ・ネオニコチノイド研究会, 2015-4

  浸透性殺虫剤の生物多様性と生態系への影響に関する世界的な統合評価書

 http://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2015/05/wia_20150502.pdf

 

 ・The Task Force on Systemic Pesticides, 2015-1-9

  Worldwide Integrated Assessment

  http://www.tfsp.info/assets/WIA_2015.pdf

 

 欧州科学アカデミー諮問委員会(EASAC)が先月、広範なネオニコチノイド農薬の使用が、ミツバチ以外の昆虫や生物に悪影響を及ぼしているとする報告書を公表し、米国環境保護庁も、イミダクロプリドなど4種類のオニコチノイド系農薬について、条件付ながら新規の用途登録や変更を行わないと発表した。遅れている米国のネオニコ規制に関する特別委員会の報告も近いとみられている中、世界的にはネオニコ系農薬への「包囲網」が狭まってきている。問われるのは、規制緩和に動いている日本政府だ。

 

【関連記事】

No.658 EU科学諮問委員会報告書 ネオニコ系農薬が広範に悪影響証拠が増える

 http://organic-newsclip.info/log/2015/15040658-1.html

 

 No.656 米国EPA ネオニコ系4農薬の新規登録を凍結

 http://organic-newsclip.info/log/2015/15040656-1.html

 

≪ 遺伝子組み換え ≫

■EU委員会 GM食品・飼料禁止を加盟国に委ねる改正案を提案

 EU委員会は4月22日、EUの承認した遺伝子組み換え食品と飼料について、加盟国が自由に禁止や制限を決められるとする提案を行った。3月のGM作物栽培の自由を加盟国に与えるGM規制指令の改正を受けたもの。この提案により、停滞しているGM食品や飼料の承認作業を促進する狙いがあるようにもみえる。

 

 ロイターによれば、米国とEUの貿易・投資パートナーシップ(TTIP)交渉で遺伝子組み換え作物の拡大を目論んでいる米国のフロマン通商代表は、EUという単一市場を28に分割するものとして失望を表明したとしている。グリーンピースはこの提案に、遺伝子組み換え作物の流通拡大に門戸を開くもの、とするコメントを明らかにした。

 

 GM食品の安全審査や承認を、これまで通りEUが行うとはいうもの、GM作物・食品に関しては、加盟各国の政策の違いにより共通政策を維持できなくなったということだ。GM反対のフランスなどは、GM規制の障壁がなくなることになる。その一方で、EUの承認作業が進展すれば、GM推進の英国などはGM食品の流通を増やすことが可能になる。

 

 ・European Commission, 2015-4-22

  More freedom for Member States to decide on the GMOs

  use for food & feed 

  http://europa.eu/rapid/press-release_IP-15-4777_en.htm

 

  Fact Sheet: Questions and Answers on EU's policies

  on GMOs 

  http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-15-4778_en.htm

 

  Review of the decision-making process on GMOs in the EU:

  Questions and Answers 

  http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-15-4779_en.htm

 

 ・Greenpeace, April 24, 2015

  EU approves 19 GMOs for import - Greenpeace comment

http://www.greenpeace.org/eu-unit/en/Publications/2015/comment---EU-approves-19-GMOs-for-import/

 

 ・Reuters, 2015-4-22

  EU proposes GM opt-out for members, angering

  pro- and anti-GM camps

  http://www.reuters.com/article/idUSKBN0ND10C20150422

 

 EU理事会は3月2日、1月のEU議会の議決を受けて、GM作物栽培の可否を加盟各国の裁量に任せるという新たなEU指令を決めている。モンサントは昨年、GM作物栽培の申請を取り下げたが、シンジェンタやパイオニアなどの申請は残っている。

 

 このEU指令の改正により、各国政府に対し栽培許可を求めるGM企業の圧力が強まると見られている。EU域内でのGM作物栽培の拡大を危惧した欧州緑の党は、EU議会の議決で反対し、FoE(台地の友)は全てのEU加盟国でGM栽培禁止を要求していた。

 

 ・Council of the European Union, 2015-3-2

  New GMO rules get final Council approval

http://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2015/03/150302-new-gmo-rules-get-approved/

 

 ・Friend of Earth, 2015-3-2

  Governments can now shut door on biotech crops

http://www.foeeurope.org/new-gm-law-approved-governments-shut-door-biotech-crops-020315

 

 EUはモンサントの遺伝子組み換えトウモロコシ1品種のみの栽培を承認し、スペインなどEU加盟5カ国の約15万ヘクタールで栽培されている。EUはまた、GM食品・飼料として58品種を承認している。2013年には、飼料用として3200万トンの大豆と大豆ミールを輸入し、その90%がGM品種だとしている。

 

【関連記事】

 No.645 EU議会 GM規制の“自由化”へ合意1月に正式議決へ

  http://organic-newsclip.info/log/2014/14120645-3.html

 

■GM作物承認を再開したEU委員会 19品種を承認

 EU委員会は4月24日、新たにGMダイズなど10品種を承認し、7品種の承認を更新。これらに加えサントリーのGMカーネーション2品種を承認したと発表した。2013年から停滞していた食品・飼料用の遺伝子組み換え作物の承認を再開した形だ。EUの承認作業の「遅れ」は、GM推進の側から批判されていた。今回、新たなGM作物栽培の承認はなかった。

 

 ・European Commission, 2015-4-24 Commission authorises 17 GMOs for food/feed uses and 2 GM carnations

  http://europa.eu/rapid/press-release_IP-15-4843_en.htm

 

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 有機農業ニュースクリップ

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草々

 

2015年4月 7日 (火)

被ばく強要を「リスクとの折り合い」などと詐称して原子力ムラに寄り添う似非リベラル、他方で「邪悪権力」に勇気を奮って立ち向かう市場原理主義者(清水修二と古賀茂明)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部を除き添付できませんでした)

 

(最初に若干のこと)

1.ネット署名:「いのちの海とサンゴ礁を守れ」~辺野古新基地に反対、作業の中断を(重複ご容赦、拡散歓迎)

 

<日本語>

http://www.foejapan.org/aid/henoko/pr_150325.html

Change.orgのページ:http://goo.gl/mQwGBg

 

<英語>

http://www.foejapan.org/en/aid/150325.html

Change.orgのページ:http://goo.gl/QiWW5d

 

2.(別添PDFファイル)経済産業省前テントから(201546日)

 経済産業省前テントからの大切なお知らせです。別添PDFファイルをご覧ください。この別添PDFファイルは転送・転載歓迎です。川内原発再稼働にかかる工事計画認可について、次のような記述もあります。よくご覧になっていただければと思います。

「keisanmae_tento_osirase.pdf」をダウンロード

「(中略)規制庁の担当部長の専決で全てが決められ、規制委員会はその報告を追認しただけ。こうした担当部長の専決処理で工事を進めることについて、当然ながらその透明性等が問題になる。しかし、規制委員会の文書管理要領によって「重要なものを除いては、工事の計画認可は原子力規制部長の専決処理で行うことが出来る」ことが公式の理由とされ、今回の工事計画認可は最初のケースなので「規制委員会の決定をお願いした」(山形・安全規制管理官)というのみだ。

 

田中委員長は、各担当部長専決で工事計画認可を進めてきたことに関して、「規制委員会、規制庁ほど透明性を持っていろいろ仕事をしているところはない」と居直っているが、18日の規制委員会は「工事計画認可に関する専決処理」についても再確認をしたのである。したがって、今後も工事計画認可に関しては、担当部長の専決処理という「閣の中jでどんどん進められ、規制委員会には認可に関して「事後報告」だけが行われるという最悪の事態となってしまう可能性が高い」

 

(ここから本文)

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昨今、下記別添PDFファイルの2つの記事が東京新聞と毎日新聞に掲載されました。1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本は三流以下の政治の下で、経済のみならず、社会や思想や論壇や科学・技術や倫理・道徳までもが転落に次ぐ転落を続け、失われた25年になってしまっています。本来ならば、バブル崩壊による日本経済の転落を政治や社会が食い止め、逆境を転機としつつ、新しい時代を切り開いてこなくてはいけなかったのですが、三流以下の政治の下では、それもままならず、マスコミやアカデミズムが堕落・腐敗、あるいは日和見をする中で、どうしようもない情勢・状況が出来上がってしまっているのです。

 

下記に紹介する2人、私はこれをメールの表題に書いた通り、「被ばく強要を「リスクとの折り合い」などと詐称して原子力ムラに寄り添う似非リベラル、他方で「邪悪権力」に勇気を奮って立ち向かう市場原理主義者(清水修二と古賀茂明)」と評価しました。本来であればリベラルは、危機の時代にあってこそ、政治・経済・社会のしかるべき在り方を、わかりやすく適時適切に有権者・国民・市民に示し、時代の流れが大きくゆがんだ方向へ行かないよう、勇気をもって言論や活動を展開せねばならないところです。しかし、日本のリベラルと称される一群の人々の多くは、少し前の民主党政権に代表されるごとく、覚悟の決まらない中途半端な「日和見」を決め込み、(野党・非自民)政権獲得という大きな可能性を手にしたにもかかわらず、体を張って日本の歪んだ諸制度や社会の仕組みに立ち向かうことを避けてきました。そして、3.11福島第1原発事故が起きて以降は、原発震災の被害者の財産や生活や仕事や未来への希望のみならず、その命と健康までもを奪い、踏みにじらんとする原子力ムラ・放射線ムラの邪悪権力に対決することもなく、筋の悪い、背骨の歪んだ、しかし自分たちには都合のいい楽観的でお気楽で無責任な言論や活動を展開しているのです。

 

その代表の一人として、今日、東京新聞4面に掲載された清水修二福島大学特任教授(財政学)を取り上げ、そのインタビュー記事に沿って厳しく批判してみます。ただ、忘れてはならないのは、似非リベラル人士は、この清水修二だけではなく、日本には、そして海外にも(おそらくはアメリカの民主党やイギリスの労働党周辺に多い)、わんさといて、多くの政治・経済・社会問題の根本的な解決の障害となっています。昔、「第5列」という言葉が時折使われたことがありますが、まさに彼ら似非リベラルの客観的な社会的存在意義は「第5列」そのものであり、本来であれば根本的な解決へ向かう大きな流れの腰を途中で折り、被害者を含む問題解決に当たらんとする「非権力」側の多くの善意の人々を困難に陥れています。あるいは、物事を悪化させている私利私欲の塊のような邪悪権力(原子力ムラ・放射線ムラなどはその典型)と「寄り添い」つつ、あるいは「なれあい」、あるいはまた、自分たちの欺瞞的な似非行為を合理化するためにもっともらしい屁理屈をこね、更に善意で動いている改革志向の多くの市民までにも悪態をついて、事態を悪化させていくのです。

 

今回は書きませんが、3.11以降、私も、この似非リベラルの人士たちや、彼らが創るグループ・団体の正体を、それまでは「平和な時代」なのか、見えなかったものが、はっきりと見せつけられる経験をしています。近親憎悪を起こさぬようにと、私は自分に言い聞かせておりますが、それまで応援・支援してきた経緯もありますから、憤り・怒りは隠せぬものがあります。ともあれ、所詮、似非は似非、リベラルでもなんでもない、単なる邪悪権力の使い走り・別動隊・側面支援隊にすぎず、結果として悲劇を大きくしてしまう連中であるということを、私たちは見抜かなくてはならないのです。ホンモノとニセモノ=似非、これを区別できるかどうかが、市民運動・社会運動が成功するかどうかの分かれ目です。

 

ところで、もう一方の古賀茂明氏については、少し前の私のメールでも何度かにわたり情報提供しています。今回は毎日新聞(4/6朝刊)の記事をそのままご覧いただくことでいいのではないかと思います。毎日新聞がこの問題を大きく取り上げて報道したことは評価できると思いますが,しかし他方では,記事の見出しがよろしくおないことに加え,つまらぬコメンテイターのコメントはいらないので、もう少し古賀茂明氏の言い分を披露させてやってほしいと思いました。邪悪な支配権力とのバランスからみて、それが当然でしょう。私は少し前に、市場原理主義とは(支配権力となれ合うための、そして支配される者たちを(資本増殖のための「フロンティア」創造のために)叩き伏せるための)ご都合主義である、と論じましたが、その観点からすると古賀茂明氏は、もはや市場主義者ではあっても市場原理主義者ではないということになりますでしょうか。

 

いずれにせよ、本来であれば、邪悪権力の批判は、まさにリベラルの仕事であったものが、この「転落の25年」の間に、日本では、いつのまにやら市場原理主義者や右翼たちの仕事になってしまい、リベラルの多くはお気楽な似非リベラルと化して、山の上から日和見を決め込んだり、邪悪権力との安直な妥協や「なれ合い」や「折り合い」を、自分たちの勝手な判断でやってしまって、そして、たちの悪いことにその背信行為を屁理屈で合理化しているのです。この社会言論状況のある意味での「ねじれ」と「ゆがみ」、お気楽なムードの中での日本社会の転落の加速化が、現在の日本を特徴づけているような気がしていますが、今回取り上げましたこの2人の、(本来は役回りが逆のように思われる)言動のコントラストは、その現代日本の思想状況・社会状況をよく現しているように思えます。

 

それから、下記でも少し申し上げますが、マスコミによる、こうした似非リベラルに対する「よいしょ」記述が目に余る点も指摘しておきます。既に、邪悪な支配権力に対しては、マスコミの経営層や幹部たちが尻尾を振って久しく、文字通りの「マスごみ」と化しておりますが、そうした邪悪な支配権力側に立った御用学者や御用人士への「よいしょ」記事の氾濫に加えて、こうした似非リベラルへの「よいしょ」記事も看過できないくらいに目に余るようになってきています。しかも、似非リベラルの場合には、マスコミの幹部達よりも、現場にいる記者やスタッフらの本音のセンチメントが反映している場合もあり、不勉強に加えて、何事をも批判的に見て、批判的に伝えていくという、ジャーナリズムの不屈の精神構造が大きく揺らいでいる証左だとも言えるでしょう。この東京新聞記事はその一つの典型のように思えてなりません。

 

(清水修二発言のどこがおかしいかをビジブルにするために、「×印」を書き入れた東京新聞も別添PDFファイルとして添付しておきましたので、ご参考にしていただければと思います)

 

 <別添PDFファイル>

(1)強いられたリスクと折り合う(福島大・清水修二特任教授 東京 2015.4.7

(2)強いられたリスクと折り合う(「×印」付)(福島大・清水修二特任教授 東京 2015.4.7

(3)「圧力」か「暴走」か、テレ朝・古賀氏降板問題(毎日 2015.4.7

 http://mainichi.jp/select/news/20150406k0000e040120000c.html

 

 <関連サイト>

●「放射線被曝の理科・社会」の問題点

http://yahoo.jp/box/vxL8Ue http://yahoo.jp/box/vxL8Ue

https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-g6vjvc7r6wit4cx2kxaxjggqma-1001&uniqid=5a4eb71e-6de3-46e1-b0d6-b35a0490f0c4&viewtype=detail

 

 東京新聞の記事の中にも出てきますが、「「放射線被曝の理科・社会」(かもがわ出版)という本が出版されました。副題が「四年目の『福島の真実』」となっています。」のとおり、この新しく刊行された清水修二他著作の本が大問題となっています。これについては、上記のサイトにある批判論文を参照されてみてください。放射線被曝、とりわけ内部被曝=それも恒常的な低線量被曝の危険性に関する誤った認識がベースになっており、清水修二自身が、彼の言うところの「放射線被ばくによる健康被害の有無は、原発の是非とは切り離して、客観的、科学的に論じなりればならない」とはなっていないことが、大きな問題なのです。おそらく彼は、経済学者として、「原発の是非とは切り離して」放射線被曝のことを考えたのかもしれませんが、しかし、福島県をはじめ原発震災からの地域復興の利害や政治的「思惑」「偏向」とは切り離して考え、判断し、言動することができなかったのでしょう。似非リベラルとはそういうものです。

 

●ウィキペディア 第5列

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%BA%94%E5%88%97

 

●(再論)市場原理主義とはどういうものか いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-e3dd.html

 

以下、記事に沿ってコメントします。

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(記事)「(東京新聞記者)経験を伝え、よりよい未来を開こうとしている人に「福島の今」を聞いた。毎回一人ずつ四週にわたり紹介する。初回は脱原発を訴え続ける清水修二・福島大特任教授。」

 

(田中一郎)

 そもそも恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)と「折り合い」を付けられる(「放射線被曝に耐えて居住する」くらいの意味)と認識しているところに根本的な問題がある。放射線被曝の危険性に「しきい値」はない。ましてや恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)で、いつも、寝ても覚めても、ずーと外部被曝・内部被曝をし続けることの危険性は、言葉が尽きないほどだ。しかも、福島県のみならず。東日本一帯に広がる汚染地域(茨城、栃木、群馬、宮城、千葉、東京、埼玉、岩手、神奈川など、およそ天然キノコ・山菜が規制値を超えたところはすべて危険な汚染地域である)の中には、「放射線管理区域指定基準」(5.2mSv/年、0.6マイクロシーベルト/時)を超えるようなホット・スポットもあり、そのようなところで「折り合い」を付けることなどできる話ではない。

 

 それに、この原発事故と放射能汚染には加害者(東京電力)や責任者(国、原発メーカー、御用学者など)がいるではないか。何故、その者達に福島第1原発事故の責任を徹底してとれ、被害者救済に全力を挙げよと迫らないのか。日本の経済力なら、福島第1原発事故で汚染された地域の方々に、万全な形で、一時的にでも避難・疎開・移住していただき、原発事故前と変わらない形で充実した生活や人生を送っていただくような条件を整えることは十分にできるはずである。

 

 それを、清水修二のような似非リベラルの人間を含む原子力ムラ・放射線ムラの連中が、被害者を救済するための費用・出費を惜しみに惜しんで出し渋り、、被害者の方々を苦境に陥れているのが現状ではないか。そもそも、賠償・補償負担回避に加えて、原発事故の責任回避をも併せて狙っている様子がある。しかも、このままひどい放射能汚染環境下で生活を続けると、チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国で見られ始めている様々な健康障害が現れ始め(既に小児甲状腺ガンは多発)、取り返しがつかないことになってしまいかねないのだ。既に被害者の方々は、財産、生活、家族団らん、仕事、地域コミュニティ、未来への希望などを奪われ、絶望の淵にある。今度はその方々の、命と健康までもを奪おうというのだろうか。

 

 清水修二が言うように、この恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)の非常に危険なリスクは「強いられたリスク」である。ならば、そんなものは「拒否」できるはずであり、また、拒否しても、きちんと賠償・補償が行われることは法治国家として当たり前のことであり、あるいは、「子ども・被災者支援法」は、そうした人に対してさえも、きちんと再建の支援を行えと定めているのである。清水修二は、何故、それを真っ先に提唱しないのか?

 

 それから,清水修二が副座長・委員をつとめている「福島県民健康調査検討委員会」だが,最初のメンバーが様々な問題を引き起こして県民の信頼を喪失し,委員が大きく交代して清水修二もこの委員会の委員となったのだが,リベラルな考え方の委員として彼に期待されていたことは,その多くが裏切られてしまった。今では,「福島県民健康調査検討委員会」は,環境省の似非専門家会議と平仄を合わせながら,福島県の子どもたちの被ばくにともなう健康上のさまざまな懸念を矮小化し,軽視する側に回ってしまっている。清水修二に期待されたリベラル人士としての,この「福島県民健康調査」の抜本的な改善へ向けた様々な取組なり言動は,ほとんど「見かけ倒し」に終わってしまっているのである。

 

 さて、こういう状況の中で、「強いられたリスクに折り合え」などと被害者に「上から目線」で強要するような人間を、東京新聞のように「経験を伝え、よりよい未来を開こうとしている人」などと、底抜けの楽観的な肯定評価ができるものなのか。私には、うなずけない記述である。

 

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(記事)「(記者)最近、「放射線被曝の理科・社会」(かもがわ出版)という本を出されました。副題が「四年目の「福島の真実』」となっています。

 

(田中一郎)

 これについては、上記で申し上げたように、「関連サイト」にある「「放射線被曝の理科・社会」の問題点」という論文をご覧いただきたい。

 

・・・・・・・・・

(記事)「(清水)放射線被ばくによる健康被害の有無は、原発の是非とは切り離して、客観的、科学的に論じなりればならない」

 

(田中一郎)

 その通りだ。しかし、上記で申し上げたように、清水修二自身がそうしたことができないまま「折り合い」をつける、などと言う。この発言も、漫画「美味しんぼ」の著者を批判するために使っているところに、救いがたいトンチンカンがある。要するに放射線被曝が理解できていない、恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)の危険性についての認識が乏しいということを自ら吐露しているに過ぎないのだ。

 

(上記より転記)

 放射線被曝、とりわけ内部被曝=それも恒常的な低線量被曝の危険性に関する誤った認識がベースになっており、・清水修二自身が、彼の言うところの「放射線被ばくによる健康被害の有無は、原発の是非とは切り離して、客観的、科学的に論じなりればならない」とはなっていないことが、大きな問題なのです。おそらく彼は、経済学者として、「原発の是非とは切り離して」放射線被曝のことを考えたのかもしれませんが、しかし、福島県をはじめ原発震災からの地域復興の利害や政治的「思惑」「偏向」とは切り離して考え、判断し、言動することができなかったのでしょう。似非リベラルとはそういうものです。

 

・・・・・・・・・・

(記事)「(清水)ところが、(漫画「美味しんぼ」の)鼻血の問題があれだけ騒がれた。漫画家には悪気はないんです。でも、地獄への道は善意で敷き詰められているという言葉があるように、悪気はなくても、おかしなことになることはある。」

 

(田中一郎)

 よくぬけぬけと、こういうことが言えたものである。似非リベラルの正体見たりでしょう。「地獄への道は善意で敷き詰められているという言葉があるように、悪気はなくても、おかしなことになることはある」は、そのままこの清水修二にお返ししておこう。「しきい値」がなくて危険のみならず、「放射線管理区域指定基準」を上回る放射能汚染とも「折り合い」をつけて、猛烈な放射能汚染地域に住み続けろ、とおっしゃるその言葉が、そのまま「地獄への道」なのだ。清水修二は、事実上、「フクシマ・エートス」にでも「転向」したに違いない。

 

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(記事)「(清水)原発の最大の受益者は首都圏です。福島県に来たお金は、建設からこれまでで、全部ひっくるめて二千八百億円ぐらい。被害は数兆円から十兆円で、とても引き合わない」

 

(田中一郎)

 何を言っているのか、と言う印象だ。原発の最大の受益者は首都圏(一般の住民)ではなく、原子力ムラ及びその代理人たちだ。そして、その代理人は福島県にもいたはずである。そうした連中に対してきちんと始末をつけたのか? 福島と首都圏の、あるいは発電地域と電力消費地とを、こうやって「一般的」に対立・敵対するものとして描くことに私は賛成できない。首都圏の一般の人たちも、福島第1原発事故の放射能で汚染され被爆させられている。東京と言えども,その23区内においてさえ,ホット・スポットはいたるところにあって被ばくの懸念は尽きない。首都圏の住民は,程度の差はあれ,原発事故の被害者なのである。また、福島県やその他の汚染地域も日本の国の一部であり、それが放射能で汚染されることなど、許せないと、圧倒的に多くの首都圏住民は考えている。

 

 インタビューの最後の方で「避難している人の肩を持てば、避難していない人を傷つけてしまう。子供のことを心配すれば、(福島県に)子供と一緒に住んでいる親を加害者にしてしまう。単純な正義は成り立たない。」などと、これまた偽善・欺瞞の言論を吐いているが、清水修二の、福島県民と首都圏の人々を対立させる、こういう似非言論に惑わされてはいけないのだ。あくまでも原発で利益を得ていたのは、原子力ムラの人間達とその代理店(福島県内を含む)だ。

 

 首都圏の人間に問題があるのは、原発で利益を得ていたことではない。福島第1原発事故後において、被害者の方々が救済されないまま放置され、他方で、誰も責任も罪も問われないままに、原子力ムラが復活してきているのを、指をくわえて、無関心のまま放置していることだ。清水修二も、首都圏の一般有権者・国民・市民を批判したいのなら、その不作為と言うか、無関心というか、平和ボケと言うか、そういう危うい今日の状況を批判せよ。

 

・・・・・・・・・

(記事)「(記者)チェルノブイリによく行かれています。 (清水)5回行った。最初のときは、第三者的な立場で「大変ですね」で終わり」

 

(田中一郎)

 そうか、清水修二はチェルノブイリにいくのに、第三者的に「大変ですね」などと言いながら行くのか。信じがたいものがある。要するに他人事を物見遊山的に、経験を積むために、行ってみました、ということか。これも似非リベラルの正体かもしれない。

 

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(記事)

「(記者)女子高生から「私は折り合えるようになったけど、お母さんがまだ」という話を聞いたことがあります。」

「放射線の問題は子供に大きなストレスを与えている。先日、放射線アドバイザーの意見交換会があった。そのとき話題になったのが「学校の先生は「そんなに心配しなくていい」と教えたが、お母さんはものすごく心配している。子供はどうしたらいいのか」という問いだった。」

「同じようなことが、夫婦の間でも起きている。誰も悪くないのに、みんなが苦しみ、時に傷つけ合っている。そういうことが、福島県外の人にはなかなか理解してもらえない。」

 

(田中一郎)

 典型的な放射線ムラ御用学者・医者・医学者の「受け売り」発言である。子どもの被ばくを心配するお母さんたちのストレスの原因は、放射能も放射線被曝も心配ない、たいしたことはない、という、上記の「学校の先生」の発言のような、科学的実証的根拠に乏しい無責任極まる楽観論の押し付けである(無責任でないというのなら、この教師は、そして清水修二らの似非リベラルらは、万が一健康被害が出たら、どのように自分の発言の責任を取るというのだろうか)。

 

 みんなが苦しみ、時に傷つけ合っている、ことは十分に知られている。しかし、「誰も悪くない」ことはない。こうしたことの原因は、原子力ムラ・放射線ムラの嘘八百やハッタリ、無責任発言であり、また、清水修二のような似非リベラルによる、邪悪権力=原子力ムラ・放射線ムラとの、勝手に「折り合い」をつけた、その側面からのバッシングへの加担であり、そして、放射能の不安や被ばくの危険性について、口に出しても言えないような状況を、似非リベラルの人間たちも一緒になって創りだしている、その社会状況なのだ。現状の悲しい現実の原因をねじ曲げるな、と申し上げたい。これは東京新聞の記者に対しても同様だ。

 

(ほんとうに恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)の危険性はたいしたことがなく、多くの住民が心配のしすぎなのであれば、その心配されている方々に、放射線被曝の危険性を厳しく見ている科学者・研究者の人たちにも入ってもらって、充分に理を尽くして説明・説得し、安心してもらえばいいではないか。しかし、そんなことはできない、つまり危険なものは危険である、という実態があるからこそ、こうした「説得の努力」や「様々な考え方の討論・議論」の場は設けられずに、原子力ムラ・放射線ムラとその周りにたむろする似非人間達や代理店などで、被ばくへの懸念を押しつぶしているのである。これが清水修二の言う「折り合い」だ。もはや彼にとっては、被ばくの危険性を訴える言論や、放射能への懸念を表明するお母さんたちの吐息は、福島の復興を妨害する邪魔者でしかないのだろう。似非リベラルは、原子力の翼賛の片棒を担ぐものである。

 

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(記事)「(清水)福島の人間は、放射線と付き合っていかないといけない。それはゼロか百かの話ではない。どのくらいのリスクなのかと考えて、折り合っていくということだ。選んだりスクではなく、強いられたリスクだから、納得のいくものではない。そういう事態を引き起こしたのは原発事故だ。」

 

(田中一郎)

 それはあなた=清水修二の考えであって、他人に押し付けるようなことではない。そもそも、上記で申し上げたように、社会政策として、原発事故後の放射線被曝防護対策として、原発震災の災害復旧対策として、放射能汚染と「折り合い」をつけて、汚染の真っただ中で住み続けるというのは決定的な誤りだ。それを福島大学の教授ともあろう人間が公言してはばからぬなど、許せる話ではない。何度も申し上げるようだが、被害者の方々には万全の賠償・補償・再建支援を行って、放射能汚染地帯から少なくともいったんは避難・疎開・移住していただく必要がある(線量が十分に下がるまで)。そして、本当の意味の「折り合い」とは、そのあとで、この大事故の責任と罪をはっきりさせることを意味する。被害者住民を、猛烈な放射能汚染地帯に留まらせ、放射能まみれの生活を、不安を口に出せない状況を作り上げて、経済的に絞り上げて、押し付ける、そういう「暴力」は、いかなる屁理屈をつけようとも許されないし、原発事故の責任と罪を棚上げにして「折り合い」をつけるなどという似非リベラルの言論も許すことはできない。

 

・・・・・・・・・

(記事)「避難している人の肩を持てば、避難していない人を傷つけてしまう。子供のことを心配すれば、(福島県に)子供と一緒に住んでいる親を加害者にしてしまう。単純な正義は成り立たない。」

 

(田中一郎)

 正義とは単純である。なぜそれが、上記のようにゆがめられているのか、清水修二も経済学者なら、少しは掘り下げてよく考えてみることだ。それを考えもしないで、上記のように、原子力ムラとその代理店政府がつくりあげた「現存被爆状況」という、ふざけた言葉で表現された状況の「記述」だけをして、事態改善のための大きなモウティブの一つである「正義」を愚弄するのはやめておくことだ。

 

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(記事)「一本の記事でなくてもいいが、こういう事実もあるが、また、こういう(違う)事実もある、と書いてほしい。事実をありのままに報じることが権力をチェックすることになる。最初から権力を批判するというスタンスで臨むのは、ちょっと危ないところがある。」

 

(田中一郎)

「最初から権力を批判するというスタンスで臨むのは、ちょっと危ないところがある」 よく言うよ。自分自身が、その(邪悪なる)支配権力側にいるから、新聞に対して、少し手加減をしてほしいというのを、妙な屁理屈形式で言いぬけているのだろう。恥を知れ、である。福島第1原発事故の前も後も、およそ、権力 は、まともだった時があるのか。「最初から」も何も、記事を書くときは、既に原子力ムラ・放射線ムラの邪悪なる権力による山のような悪事と、その犠牲者が広がっているのだ。その認識が少しでもあるのなら、かような「甘ったれた」言動は出てこない。

 

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(記事)「(記者)清水先生から「「福島が不幸であるほど、脱原発にはいい、と思っている人がいる」と言われた。。福島に住む反原発学者の重い言葉だ」

 

(田中一郎)

 ほんとうに清水修二はそのようなことを発言したのか。したのであれば、この男の「脱原発」「反原発」などは「ニセモノ」中の「ニセモノ」だ。脱原発・反原発の市民運動・社会運動に粉骨砕身して携わる、名もなきグラスルーツの人たちの姿を全く知らず、チンピラ似非右翼と同じようなことを口走っているのだろう。この清水修二、福島大学か何か知らないが、大学の外で起きる様々な社会問題を、こうした「上から目線」の「歪んだ態度」で見続け、自分の居心地の良い場所を創るための(似非)リベラル言論を続けてきたのだろう。もはや、この男の正体は明らかだ。早く静かに隠居せよ。(聞くところでは、福島第1原発事故後の福島大学内で、若手研究者・准教授クラスにより大学運営の抜本改善を迫られた時も、清水修二は副学長として、しかるべきことをしていなかった可能性が高い)

 

(東京新聞の記者も記者だ。かような脱原発・反原発の市民運動・社会運動に対する誹謗中傷の類を「重い言葉だ」などと言っていると、そのうち、東京新聞も、この似非人士たちと同じだとみなされてしまうぞ。似非リベラルへのゴマスリはやめよ。

 

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(記事)「(記者)脱原発の中で「原理主義」と「修正主義」という分断が起きていると聞いた。真の敵を見失ってはならない。」

 

(田中一郎)

 脱原発=脱被ばく=被害者完全救済という、本来の脱原発・反原発の市民運動・社会運動の在り方に対して「原理主義」などと、バカにしたような言葉を使い、他方で、清水修二のような似非リベラルを「修正主義」などと「高く」評価している(私は修正主義が嫌いだが、あえて「高く」と形容しておく)。「修正主義」とはどういうものか、西ドイツのベルンシュタインにさかのぼって、よく勉強してこい、と申し上げておこう。「修正主義」とは、それなりの見通しを持った社会改革の考え方であり、現在の社会民主主義につながっている。似非リベラルの邪悪権力との「なれあい」「よりそい」「融合」という、愚かなご都合主義とは一線を画している。

 

 最後になりましたが、こうした清水修二に代表される放射線被曝の歪曲・矮小化・軽視の言論に、はっきりと「NO!」を突き付けましょう。彼らの言う福島や被ばく被害地の未来には、とんでもない事態が待ち受けている可能性があります。恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)の危険性、それは何度強調しても、強調しすぎることはありません。

草々

 

 

2015年4月 1日 (水)

誰のための個人情報保護法なのか+「青森県小児がん等がん調査事業の報告書」

前略,田中一郎です。

 

(最初に「青森県小児がん等がん調査事業の報告書」です)

●「青森県小児がん等がん調査事業の報告書」(NO.12:2012年3月)

http://gan-info.pref.aomori.jp/public/attachments/article/1894/shounigan.pdf

 

この調査は、上記報告書に次のように書かれていることから、青森県六ケ所村の再処理工場の本格稼働を前に、そこから放出される大量の放射性物質を懸念して、その県民への健康影響が出ないかどうかを確認するために、再処理工場本格稼働前に、いわゆる「自然態」としての小児がんの発生状況を調べておき、これに対して本格稼働後の小児がんの動向を評価しようとしたもの、と考えられます。

 

「青森県小児がん等がん調査事業について

(1)趣旨

六ヶ所村の再処理施殴について、国との連携のもと、再処理施設操業開始前から県内の医療機関を対象として、小児がん等に関するデータを継続的に収集・蓄積し、他のがんデータと併せて総合的な分析・評価を行い、その結果を県民の皆様に公表するものです.

(2)調査の対象

県内に住所を有し、平成121月以降に悪性新生物(がん・肉腫等)と診断された満18歳未満の方.

(3)調査実施時期

平成121月から調査を開始しています.今回の報告では、平成121月から平成2312月までに報告されたデータを集計しています。」

 

なお、青森県六ケ所村の再処理工場は20063月から、いわゆるアクティブ試験が行われ、施設に実際に使用済み核燃料が入れられて試運転がなされたため、そのアクティブ試験の期間中は、大気中に、あるいは太平洋に、猛烈に大量の放射能が放出されました(クリプトン85、炭素14、トリチウム、放射性ヨウ素など)。しかし、試験はうまくいかずに途中で挫折、その後は、青森県六ケ所村の再処理工場はトラブルと不祥事が続き、(幸いにして)止まったままの「不動産」となっております。しかし、短い期間とはいえ、アクティブ試験中には大量の放射能が環境放出されているため、この健康影響についてはどう考えるのか、上記調査事業を担当する青森県庁に聞いてみましたが、試験期間が短いこともあってか、小児ガンの発生状況はアクティブ試験の前後で変わらなかったため、一応、無視できるものとみなしているようです。

 

ところで、上記の調査報告書のP4に「がんの部位別の患者数」の年度別集計が出ていて,調査が始まった平成12年から平成23年までで,「甲状腺およびその他の内分泌腺(甲状腺,副腎など)」でくくられた合計数は31人となっています。このうちのどれくらいが甲状腺ガンなのかは表を見ただけではわかりませんが,私が電話で担当セクションの青森県健康福祉部がん・生活習慣病対策課に電話で聞いたところ,子どもの甲状腺ガンはほとんどありません(直近の年度も入れて15年間合計で数名=3~4名),とのことでした。福島県の子ども甲状腺検査結果とは大きく違っています。「福島県民健康調査検討委員会」は,なぜ,青森県と福島県の小児甲状腺ガンの数字がこんなに大きく違うのか,説明する責任と義務があります。同検討委員会は「放射線被曝の影響は考えにくい」などと言い続けているのですが、放射線被曝の影響を考えないでは説明がつかないでしょう。少なくとも、その可能性は否定することはできず、従ってまた、日本の未来を担う子供たちの命と健康にかかわることですから、念には念を入れて、相応の被ばく防護や体内除染(放射能のないところに移る)を行って、将来後悔しないような対策に全力で取り組む必要があると言えます。

 

しかし、「福島県民健康調査検討委員会」は、それをかたくなに拒否しています。まったくおかしな態度・理不尽極まる対応と言わざるを得ませんまた、国の方も、福島県以外の都県地域での小児甲状腺ガン検査・その他の甲状腺疾患検査や、そもそも18歳で検査をする・しないを区切らずに、全年齢層に対して甲状腺ガン検査・その他の甲状腺疾患検査を行うとか、更には、チェルノブイリ原発事故の際に見られていた染色体の異常、あるいは心筋梗塞等による突然死多発(セシウム心筋症)などを未然に防止するための検査や調査、あるいはまた、内部被曝を正確に推測するための尿検査やバイオアッセイなど、被ばく防護のための各種検査・調査も充実させるべきなのです。

 

この国の、そしてその下請けとなってしまっている自治体の、福島第1原発事故後の放射線被曝防護や被害者対応・対策は、あまりにひどすぎます。

 

(参考)青森県がん情報サービス - 青森県小児がん等がん調査事業報告書

http://gan-info.pref.aomori.jp/public/index.php/s14/c54-001/1894.html

 

(参考)排出放射性物質影響調査について - aomori-hb.jp

http://www.aomori-hb.jp/index.html

 

●原発事故の対応「国ひどすぎる」 松本市長、批判 - ニュース - アピタル(医療・健康)

http://apital.asahi.com/article/news/2015031100022.html

 

(一部抜粋)

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東京電力福島第一原発事故から4年を前に、松本市の菅谷昭市長は10日の記者会見で、政府の対応などを厳しく批判した。

 

除染地域などに住民の帰還を進めていることについて、「特に子どもが、長期にわたって低線量被曝(ひばく)する状況が何をもたらすのか分かっていない。国として今の対応はひどすぎる」と話した。汚染された雨水が大量に海に流れ出している問題は、「こういう状況で、どこぞの総理大臣が『アンダーコントロール』なんてことを平気で言うようなことは、非常におかしい」。

 

 日本の原発事故後、ドイツが全ての原発を2022年に廃止する方針を決めたことに触れ、「日本はどうでしょうか。再稼働の動きは、福島の皆さんから見れば、なんだということになる」と国の姿勢を批判した。(朝日新聞 2015年3月11日掲載)

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(次におすすめ図書のご紹介です)

● 秘密保護法対策マニュアル(巻頭部分のみ)(海渡雄一 『岩波ブックレット』 20153月)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033229233&Action_id=121&Sza_id=B0

 

(活字を見ると逃げ回っている、私と同じタイプのみなさま、この本だけは読んでください。暗黒社会・現代日本を生きるためのマニュアルです。なお、海渡雄一さんには下記の近著もあります。平成の「白虹事件」の舞台裏解説です。「迷走する朝日新聞」=そうです、朝日新聞グループの経営陣・幹部達は、腰が抜けたまま迷走・酩酊して、戦前の戦争賛美の翼賛行為と同じようなことを再び繰り返そうとしている様子です。数日前のTV朝日・報道ステーションにおける古賀茂明さん降ろしもしかりです:田中一郎)

 

● いいがかり 原発「吉田調書」記事取り消し事件と朝日新聞の迷走-『いいがかり-原発「吉田調書」記事取り消し事件と朝日新聞の迷走』編集委員会/編 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033234843&Action_id=121&Sza_id=A0

 

(ここから本文)

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<(毎日新聞)■注目ニュース■ ベネッセ漏えい 名簿業者を書類送検>

 

 通信教育大手「ベネッセホールディングス」の顧客情報漏えい事件で、警視庁生活経済課は30日、不正競争防止法違反容疑で逮捕・起訴された元システムエンジニアの松崎正臣被告(40)から情報を買い取り転売したとして、東京都江東区の名簿業者「セフティー」の社長(45)と法人としての同社を同法違反(営業秘密の取得・開示)容疑で書類送検した。社長は「営業秘密との認識はなかった」と容疑を否認しているが、同課は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。東京地検立川支部が刑事処分を判断する。

 

 ベネッセ:名簿業者を書類送検 不正競争防止法違反疑い

 http://mainichi.jp/m/?ntRQHu

 

(田中一郎コメント)

 以前にも私のメールでご案内申し上げております通り、日本の個人情報保護法は、真の意味で個人情報を保護するのが目的ではなく、個人情報を適法だろうが不法だろうが、適切であろうが不適切であろうが、おかまいなしに、個人情報を使って商売や事業・ビジネスをする者たちを保護することが隠された目的となっています。その最も露骨なる法制度の部分が、この「個人情報の第三者取得者」について、ほとんど何の義務も規制も罰則も課せられていないということです。つまり、個人情報を不正・不法に横流ししたものは当然ながら罰せられますが、それを取得したものは、その個人情報について、出所がどこなのかや、それが適切・適法に転売されたものであるのかを、確認する義務もなければ責任もありません。それ故、取得した個人情報が不適切・不法なものであっても「そんな事情は知りませんでした」といえば、原則として無罪放免されるような、そういう法の仕組みになっているのです。

 

 ですから、一方では、ペーパーカンパニーのようなダミー会社を間に入れて、個人情報を管理する人間をそそのかして不正・不法に個人情報を入手し、その後は「知らぬ・存ぜぬ」で、いわゆる「第三者」の手を転々として転売されていったとしても、今の個人情報保護法では法的に手が付けられないことになっています。従ってまた、他方では、この個人情報の売買については、今回のベネッセ事件で見られたように、得体のしれない魑魅魍魎の「名簿業者」がブドウの房のように数珠つなぎにつながり、不正・不法に流出した個人情報にわんさとたかる、そういう状態になっているのです。こんなことは、少しこの業界のことを知っているものであれば容易にわかることですが、この法律を作った役人や政治家や学者たちは、素知らぬ顔をしている、のが現実です。

 

 「知らぬ存ぜぬ」といえば免罪されるって、少し前にもありました。そうです、国から補助金をもらっている会社から政治献金を受けた政治家は、その会社が国から補助金を受けているということを「知らぬ存ぜぬ」といえば、それでOKだということにされています(これは法の解釈としてはおかしいと思いますが、検察は動きませんし、ドアホのマスごみは、この歪んだ法解釈を大宣伝しています)。

 

つまり、自民党や民主党の政治家が創りだす世界や法の秩序は、こうした一部の(特権的)組織や人間の商売や事業が最優先され、それを合理化するために、御用学者を大量動員して、もっともらしい屁理屈やポーズや美辞麗句で飾り立てる、そして事故や不祥事が起きれば「知らぬ存ぜぬ」「不可抗力」「予想困難」などと言い訳をして誰も責任を問われない、そのための「抜け道」も用意してある、そういう「無限の無責任の体系」そのものだということを意味しています。信ずる者こそ背かれる、です。要するに、有権者・国民・市民を馬鹿にしているのです。

 

 今回のこの名簿業者の書類送検も、個人情報保護法違反容疑ではなく、不正競争防止法違反容疑であることにご注目ください。そして、この名簿業者の更に下流=つまり、このベネッセから不正・不法に流出した個人情報を使って商売をした連中=大企業等は、一切、罪を問われることはありません。そのためにこそ、日本の個人情報保護法は制定されているからです。ともあれ、この書類送検された名簿業者が今後どうなるか(私は不起訴処分になるような気がします)、更には、私が上記で申し上げた日本の個人情報保護法の致命的欠陥を、これからロクでもない国会議員どもがきちんと修正・改正するのかどうか、厳しく見ていく必要があります。

 

 個人情報保護法においては、大企業を中心にした個人情報活用ビジネスに対して「あまあま」の法規制を敷いて個人情報を「食い物」状態に放置し、他方では、特定秘密保護法等において、支配権力や大企業・大資本の抱える情報や利権を囲い込んで徹底して保護する、この自民党・民主党のゴロツキあるいは詐欺政治家どもがなす「情報政治」のでたらめが、目に余る時代になってきました。この連中は、今から15年くらい前は、政治はガラス張り=情報公開を徹底しよう=それが政治改革の大きな目標の一つです、などと、TV・新聞・雑誌その他で、やかましいほどに騒いでいた連中です。だまされて、こんな連中に選挙で投票をした、あなたも悪いのです。

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草々

2015年3月12日 (木)

こんなことはあってはならない : 放射線の影響 話しづらい,子供心配でも、声をあげれば孤立する,物言えぬ雰囲気の中,行政は検査縮小の動き(3/11東京新聞記事より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは昨日の東京新聞「こちら特報部」に掲載された「福島県民健康調査」に関する記事です。看過できないことが書かれているので,ご紹介をしておきます。今後,これが事実なら「福島県民健康調査検討委員会」の委員達を追及しなければいけないと思われます。向いている方向が全く逆で,まさしく(記事にある通り)井戸謙一弁護士のおっしゃる通りではないかと思われます。

 

 <別添PDFファイル>

● 放射線の影響 話しづらい,子供心配でも、声をあげれば孤立する,物言えぬ雰囲気の中,行政は検査縮小の動き(東京 2015.3.11

 

●【『放射線の影響 話しづらい』 子供心配、でも、声をあげれば孤立する。】 (東京新聞 3-11 ( その他の病気 ) - 一輪の花 - Yahoo!ブログ

 http://blogs.yahoo.co.jp/erath_water/65531855.html

 

 <看過できない記事の記載>

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(前略)「県医大は全県民を対象に事故直後の行動状況を調べており、これを利用して被ばく線量を推計する方法を模索してきた。ところが、この行動調査の縮小をうかがわせえる動きが出始めている。

 

行動調査の回答率が20%台に低迷する中、専門家でつくる県民健康調査の検討委員会では先月、「回答率向上を目指すため、年齢層や対象地域を特定してはどうか」と座長が提案。実質的に調査対象が絞り込まれる可能性が出てきた。

 

甲状腺検査でも、対象の縮小が提言されている。環境省の専門家会議は、昨年末に中間取りまとめを提出した。そこでは「甲状腺がんは寿命まで症状が出ないものがある。検査で見つかると余計な負担を与えかねない」と書き込まれた。

 

 チェルノブイリでがんが増えたとされる「事故の4年後」を前に、調査縮小の動きが出てきた。国内初の商業用原発の運転差し止め判決を出した元裁判官の井戸謙一弁護士は、「過去の公害でもそうだが、事故の責任を逃れたい行政側は被害状況をまともに調べない。被害者が調査を求めることが一番大事だ」と説く。(以下省略)

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確かに,第18回「福島県民健康調査検討委員会」の資料(下記)の一番最後,「追加資料 県民健康調査における論点整理(座長私案) [PDFファイル/103KB]」の最初の部分(下記に転記)を見ますと「1.総論,(2)調査の正当性について」の2つめに「調査対象者の範囲については現在のままで良いか(各項目で議論)」とあります。上記記事にもありますように,昨年末12月に,環境省の(似非)専門家会議の「中間とりまとめ」では,調査・検査対象の縮小を強く意識した内容の文章が盛り込まれています。原子力ムラ・放射線ムラとその代理店政府の側は,何とか屁理屈を付けてでも,子ども甲状腺ガン検査の縮小・絞り込み,ないしは廃止を画策していることは確かなような様子がうかがえます。

 

しかし,これまで何度も申し上げてきたとおり,環境省の(似非)専門家会議にしろ,一部の医師や医学者,放射線専門家にしろ,「福島県民健康調査」の子ども甲状腺ガン検査が過剰検査だの過剰診療だのというのは,全く事実に反して「珍説」であることに加え,検査してガンが早期に見つかるので検査をやめろとか,検査結果の評価にミスがあることもあるので検査をやめろとか,というようなことは,およそ常識を疑いたくなるような暴論でしかありません。

 

また,「福島県民健康調査検討委員会」が繰り返す,福島県の子ども甲状腺ガン検査の結果の説明=「スクリーニング効果であって多発ではない」とか,「甲状腺ガンの成長速度は遅い,チェルノブイリ原発事故では4年目以降に多発が顕在化,年齢層の低い子どもたちに多かった,(あやふやな根拠で)放射性ヨウ素131による初期被ばく量は小さいので健康被害は考えにくい」などの理由から,福島県の子どもたちに多くの甲状腺ガンが出てしまったことについて,福島第1原発事故による放射能の影響は考えにくい,そもそも甲状腺ガンは多発していない,などと説明していることについても,全くと言っていいほど説得力がないことは,既に何度もご説明申し上げた通りです。

 

「福島県民健康調査検討委員会」が環境省の(似非)専門家会議の「中間とりまとめ」に対して,強く違和感を表明したとか,抗議したとか言う話は全く聞きませんので,212日の第18回「福島県民健康調査検討委員会」で星北斗座長が示した「論点整理」にある「対象の見直し」とは,環境省の(似非)専門家会議と同様に,縮小の方向で物事を考えているとみていいように思われます。

 

しかし,「ほんとうに何を言っているのですか,この人達は!! 冗談ではないです!!」ではないでしょうか。「福島県民健康調査」自体の内容も体制も検査自体もお粗末で,その抜本的な拡充が望まれるとともに,それ以上に,検査の対象が福島県の18歳以下の子どもたちに限られていて,他の都県の子どもたちや,福島県も含めて18歳以上の若者や成人に対する検査が未だに一切実施されていないことが,非常におかしなことであるにもかかわらず,検査対象を縮小しようとしているのですから,何をかいわんやです。

 

これはもう,これから出てくる可能性がある放射線被曝による健康被害を,早い段階で分からなくしてしまおう,少なくとも,水俣病の時と同じように,一部表面化するのはやむを得ないけれども,放射線被曝の健康被害の全貌は,絶対にわからなくしてしまう必要がある,そのための屁理屈は,今の段階で徹底的に出して,それを権力的に,政治的に,タイミングを見計らって,強行に押し付けてしまおう,と考えているのではないかと思われます。許しがたいことですが。

 

私は,とにもかくにも,福島県をはじめ,東日本の福島第1原発事故による放射能汚染被害を受けている被害者が,「放射能や被ばくは今でも不安だ,今まで受けてしまった放射線被曝についても心配だ,だから検査をしろ,検査を充実させろ,もしもの時は医療費を無料にしろ,加害者・東京電力や事故責任者・国の責任を問え」の声を挙げ続けること,が大事だと思います。また,福島県の方々は,甲状腺検査をはじめ,健康検査はしっかりと受け,他方で「基本調査」のような被ばく量をインチキ手法で過小評価するための材料になるようなものには協力しない,そういう自己防衛の対応が必要であるように思います。

 

そして,放射線被曝懸念を精神異常者か情緒不安定人間のように「さげすむ」官製メンタル・ケアなどは相手にしないことが一番大切かと思います。もちろん,背後に国際原子力マフィアが潜むフクシマ・エートスや,加害者・東京電力や事故責任者・国の責任と賠償負担を極小化することが目的にすぎない,危険な「安全安心キャンペーン」などには協力も傾聴もしない,耳触りのいい「福島に寄り添う」などという甘言よりも,奪われたものを少なくとも全部,まずは金銭=賠償金で返していただく(その後,金銭では償えないものを更に返していただく),というクールな姿勢をみんなで一致協力して,断固として貫かれた方がいいと思います。奪われたものを,まずは金銭で返していただく,というのは,決して卑しいことでも,おかしなことでもありません。現代社会のマナーの一つ,問題解決の必須方式のようなものです。原発事故で破壊された生活や人生の再出発のためには絶対に必要なことですから,遠慮などされる必要はないのです。福島県民200万人全員で,いやいや,東日本の原発事故被害者1,000万人全員で,損害賠償請求の訴訟を起こしましょう。

 

● 追加資料 県民健康調査における論点整理(座長私案) [PDFファイル/103KB]

 http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101828.pdf

 

(最初のところだけをコピペ)

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1 総論

*30年継続するということで始められた健康調査ではあるが、適宜評価と見直しとが必要ではないか


*見直しに当たっては、調査開始前後の経緯やその後の対応について一定の振り返りが求められるのではないか

 

(1)調査の目的について

・ 低線量被ばくの影響が否定できない現状では、県民健康調査の枠組みで県民の健康状態を様々な角度から観察を続け、長期にわたる県民の健康管理(いわば直接的な健康影響)に資するという現在の考え方だけで良いか


・ 避難や心理的ストレスに由来する(いわば間接的な)健康影響を最小限にするために対策に資するよう、健康の見守りや健康づくりに積極的に活用することを明確にするべきではないか

 

(2)調査の正当性について

・ それぞれの調査の回答率についてどう考えるか(各項目で議論)

・ 調査対象者の範囲については現在のままで良いか(各項目で議論)

・ 調査に対する県民意識の低下を避けるよう、新たな対策が必要ではないか

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(参考)第18 回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成27年2月12日開催) - 福島県ホームページ

http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-18.html

 

(追)矛盾する星北斗座長の記者会見の発言

●2年前「異常なし」の8人が甲状腺がん〜福島県全体で117人 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1887

 

 上記サイトに第18回「福島県民健康調査検討委員会」終了後の記者会見録画があります。その場において,東京新聞の方から,福島第1原発事故直後,あるいはその後しばらくの間に,何故,初期被ばくの計測をしなかったのか,どういう事情があったのか,と聞かれた星北斗座長は,「当時は混乱していた。今から振り返れば,ああしておけばよかった,こうしておけばよかった,ということはあるだろうが,それが何故かと聞かれても,これ以上は答えようがない」などと,居直りとも言える発言をしています。許せないなと思いますが,しかし,他方で,上記の「論点整理(座長私案)」には,「見直しに当たっては、調査開始前後の経緯やその後の対応について一定の振り返りが求められるのではないか」などと書いているのです。

 

 

 これはまさに欺瞞的態度そのものではありませんか。少なくとも,記者会見での返答の内容と矛盾しています。「福島県民健康調査検討委員会」は,国家犯罪とも言うべき初期被ばくの隠蔽や検査妨害・検査不作為・検査回避行為,更には,事故直後の住民を守ろうとしない国や福島県庁の当時の態度・行動を,その責任追及とともに,仔細を明らかにする必要があり,それがそのまま「再発防止」と,県民の命と健康を最優先する「これからの健康管理」につながっていくのだということを肝に銘ずるべきでしょう。2011年の福島第1原発事故後の「福島県民健康”管理”調査検討委員会」の動きを徹底的に洗い直すこと,それは現「福島県民健康調査検討委員会」の大きな使命の一つだと思われます。

草々

2015年3月 8日 (日)

放射線被曝はマイクロRNAに注目すべき(NHKサイエンスゼロ 「がんも!老化も! 生命を操る マイクロRNA」より)+報道特集「沖縄で何が」+誰が何を証明すべきなのか 他

前略,田中一郎です。

 

1.放射線被曝はマイクロRNAに注目すべき(NHKサイエンスゼロ 「がんも!老化も!? 生命を操る マイクロRNA」より)

 さる2/22にNHKサイエンスゼロで「がんも!老化も!? 生命を操る マイクロRNA」が放送されました。非常に興味深い内容でしたが,私はこの番組を見ながら,放射線被曝とこのマイクロRNAの関係について想像しながら見ておりました。以下,簡単にご紹介いたします。(録画はネット上では見つかりませんでした。みなさまでお探しになってみてください)

 

2015222日の放送|NHK「サイエンスZERO

 http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp496.html

 

1.DNAから「転写」されてできるRNAですが,DNAの遺伝子(コード)部分が転写されるとmRNA(メッセンジャーRNA)などとなり,それが導きの糸になって特定のタンパク質が作られますが,他方,DNAのうち,遺伝子(コード)部分でない部分が転写してつくる長さの短いRNAをマイクロRNAといいます。昔は何の役に立つのか分からなかったので「ジャンクRNA」などと言われていましたが,今はこのマイクロRNAを含む「ノンコードRNA」(遺伝子(コード)部分ではないDNAの部分が転写してできたRNA)が,分子生物学の研究の最先端の一つになっています。下記は番組に出てきたことをメモ書きしたものです。私の放射線被曝への「連想」を付記しております。

 

2.ゼブラフィッシュの「発生」(卵から子どもの魚になること)とマイクロRNA430

 ゼブラフィッシュの卵は,発生の初期段階では,母親由来のmRNAが働いてたんぱく質を造り発生を助けているが,やがて発生が進むとそれが邪魔者になってくる。そこでマイクロRNA430というのが働いて,母親由来のmRNAが機能しないようにする(たんぱく質を作れなくなる)ことにより,今度は子ども独自のmRNAが働いて,正常な「発生」が成就でき,正常な子どもの魚になって生まれてくる,ということがわかった。具体的には,母親由来のmRNAにこのマイクロRNAがくっつくことにより,mRNAが機能しなくなる=たんぱく質を作れなくなる,ということだ。

 

 マイクロRNA430が働かなくなる薬を投与した卵(つまり,いつまでも母親由来のmRNAが働いている)では「発生」が不正常となり,心臓が弱い・小さい,あるいは尻尾が短い,などの奇形となってしまった。なお,このマイクロRNAは1つだけの遺伝子=mRNAに対応しているのではなく,複数の遺伝子に影響を及ぼすのだと言う。ちなみに人間の場合には,こうしたマイクロRNAは全部で2500種類くらいあるそうだ。

 

(田中一郎)⇒ このマイクロRNAに外部被曝でも内部被曝でもいいので放射線が当たれば,ひとたまりもなく壊れてしまうのではないか。RNAはDNAとは違い「二重らせん」ではないので,修復がどうこうという話はあり得ない。また,このマイクロRNAを転写して造り出すノンコード(遺伝子ではない)DNAが放射線被曝で破壊されてしまったら,どうなるのだろうか。上記の例で言えば「発生」がおかしくなる,つまり,卵から子どもの魚が正常に生まれてこなくなるのではないか。魚がこういうことならば,人間だって同じではないか。

 

3.マイクロRNAは細胞内で遺伝子のコントロールをしているだけでなく,細胞の外に出されて血液内などにも入り,細胞と細胞の間の「会話」手段(コミュニケーション)として使われているらしいことも分かってきた。たとえば母乳中には赤ちゃんの免疫細胞を成長させるマイクロRNAが含まれていることがわかっている。赤ちゃんが生命体として「ひとりだち」していくために必要不可欠な免疫機能の拡充を母乳の中のマイクロRNAが司っていたというわけだ。

 

(田中一郎)⇒ ということは,赤ちゃんに母乳を与える母親が放射線被曝をしてしまい,マイクロRNAを正常な形で母乳の中に入れることができなくなっていたらどうなるのだろうか? 免疫不全,または免疫機能が脆弱な赤ちゃんになってしまう???

 

4.老化をコントロールしているのもマイクロRNA

 繊維芽細胞を観察することで,老化とマイクロRNAの関係を調べた。マイクロRNA22というのは,若い細胞よりも老化した細胞に多いのだが,その「ココロ」は,細胞分裂が無限に繰り返されないよう,一定の回数以上は細胞分裂をストップさせる機能があるという。作為的に繊維芽細胞に,このマイクロRNA22を投与してみたところ,その細胞はわずか3日間で死亡直前の老化細胞の様になってしまった。

 

(田中一郎)⇒ ということは,放射線被曝によってDNAのノンコード部分(遺伝子でない部分)に異常が発生し,マイクロRNA22が多量に細胞内につくられてしまった場合には,老化が速く進むということになる,そして,放射線被曝すると,老化が速いと言われているが,これと関係ないのかな?

 

5.ガンの治療とマイクロRNA34a

 ガンの増殖を抑える遺伝子(ガン抑制遺伝子)のP53は有名だが,それとタイアップして動いているマイクロRNAに「34a」というものがある。これをマウス実験で投与して見ると,ガンの成長が抑制されていることが判明した。おそらく,ガン抑制遺伝子のP53の働きを抑えるたんぱく質を,このマイクロRNA34aが解除している=妨害していることにより,P53が良く働いているものと推定。このように,人間を含む生物の体の中では,あるいは細胞の中では,たんぱく質が相互に連関性を持っていることも重要な認識とすべき。

 

6.血液中にでてくるマイクロRNAは特定のガンに対応しており,それを計測すればガンの早期発見が可能になる

 既に乳ガンでは実用可能域にある様子,それ以外の13種類のガンの早期発見が2020年頃には可能となる見込みで,今現在,研究が進んでいるという。(私は,ガンの早期発見にマイクロRNAを使うことは,まもなく実用化されるような気がしました。ただ,この13種類のガンの中に甲状腺ガンが入っているかどうかはわかりません。他方,マイクロRNAをガンなどの治療に使うことについては,副作用の問題を考えると,少し時間がかかるような気がします。何故なら,マイクロRNAは,特定の1種類の遺伝子=mRNAにくっついて機能するだけでなく,複数の遺伝子=mRNAにくっつくらしいので,くっついてもらっては困るmRNAにくっつくことがないかどうか,それを確認するのに時間がかかるだろうと思うからです)

 

7.いずれにせよ,DNAだけでなく,ノンコードRNAとその中のマイクロRNAにも,放射線被曝の影響がどのように及ぶのか,今後の重要な放射線被曝研究の一つであると私は思います。そして,今の日本の放射線ムラのインチキ御用学者どもの頭の中は,分子生物学が始まった1960年前後の「セントラルドグマ」の時代=つまりDNAが細胞や生物の生命を支配していると考えられていた時代の水準から,あまり進歩いたしておりません。既に50年前の陳腐な理論となってしまったものを持ちだしてきては,シロウトだましの放射線被曝似非理論を披露している被ばく詐欺師,それが放射線ムラの御用学者達です。くれぐれも騙されないように致しましょう。

 

2.(ちょっとしたことですが大事なことです)魚介類の放射性ストロンチウム汚染は誰が調べなければいけないのか?

 今日,日比谷野音で大きな脱原発集会がありました。参加された皆様にはご苦労様でした。私はいつものように,自分が書いたレポートを参加者の皆様にお配りしていたのですが,ちょうど「放射性ストロンチウムをなぜ調べないのか」というレポートを配っていた時に,「放射性ストロンチウムは放射性セシウムよりもはるかに危険です,体の中に入ると出てきません,骨や歯に溜まります,政府は放射性ストロンチウムをきちんと調査・計測せず,その危険性を隠しています,福島県・茨城県・宮城県沖で獲れる海産物は(放射性ストロンチウムの汚染の可能性があり)危険です。食べないように致しましょう」と言いながら配っておりました。

 

 その時ある人が私に「あんたはその海産物を自分で調べたのか,放射性ストロンチウムで汚染されていると調べて言っているのか」と私にくってかかる人がいました。私は「放射性ストロンチウムを調べるのは,私ではなくて政府です」と答えておきました。レポート配布中で,十分な会話はできませんでしたが,その人は「想像でものを言っている,架空の話のようなものだ」と,周囲の人に不満そうに話していました。

 

 これは,私から申し上げると,放射能汚染でも,水銀汚染(水俣病)でも,その他の人為的な作為による汚染(公害等)にしろ,「誰が何を証明しなければならないか」の完璧な勘違い=原子力ムラ・放射線ムラの「思う壺」の,軽率な判断だということです。福島第1原発から大量の汚染水が海に流出している時に,その周辺の海域の海産物が,その流出した様々な放射能によって汚染されているかもしれないと思うのは「当たり前」の「当たり前」です。それを放射性セシウムだけをしらべて「安全安心キャンペーン」を国・県・基礎自治体・漁協を挙げて大々的にやっているのが今日の状況です。放射性セシウムよりはるかに危険な放射性ストロンチウムは全くと言っていいほど調べられていません。ですので,汚染しているかどうかはわかりません。汚染している可能性は大いにあります。放射性ストロンチウムは,生物体内で濃縮します。危険性は放射性セシウムの比ではありません。

 

 上記のような状態で,放射性ストロンチウムの危険性を訴えるのに,その訴える人が,放射性ストロンチウムの汚染を証明しないと訴えられないのでしょうか? そんなことはありません。証明しなければならないのは,被害を受けるであろう消費者・国民・市民ではなく,汚染加害者・責任者の国であり東京電力ですし,証明すべきは,福島・宮城・茨城沖の魚介類が危険であるということではなく,それらが安全であること=だから漁獲して食品流通に乗せていいのだ,ということです,繰り返しますと,被害者である消費者・国民・市民が,放射性ストロンチウム汚染の危険性を実証する責任があるのではなく,加害者・責任者である国や東京電力が,漁獲し販売する魚介類に放射性ストロンチウムその他の放射能汚染がなく,安全であることを証明しなければならないのです。

 

 私にくってかかっていた人は,上記にことをほとんどきちんと考えていない軽率な判断をしていると,私は思います。彼の言うようなことを消費者・国民・市民全員がしていたら,およそ公害や汚染は,いかなるものも,その発見が遅れ,危険であることの情宣や周知徹底が遅れ,重大な被害が広がってしまうことに結果してしまうでしょう。ミナマタは,その一つの事例だと私は思っています。

 

 みなさま,福島・茨城・宮城沖合で獲れる魚介類は,放射性セシウムだけをわずかな種類と量について調べているだけで,危険なものであることを,少なくとも安全など証明されていないことを,しっかり世に訴えて行きましょう。誰が何を証明しなければいけないか,よく考えないといけません。

 

(この方は脱原発集会に来ていた方なので,原発には反対なのだろうと推測しますが,それ故に,放射能汚染と放射線被曝の問題についての認識の甘さ,というか,認識の不十分さを感じさせられるハプニングでした。脱原発=脱被曝にする努力が,まだまだ足りないということだと思います)

 

3.(動画)報道特集「沖縄で何が?」

 http://www.dailymotion.com/video/x2ibwmn

 

4.その他

(1)UPLAN 録画です

20150307 UPLAN【前半】ましこりか・青山晴江「311から4年―あらためて福島原発事故に向き合う」

 https://www.youtube.com/watch?v=DXab6Bhjkh8

 

20150307 UPLAN【後半】山崎久隆「311から4年―あらためて福島原発事故に向き合う」

 https://www.youtube.com/watch?v=ZzPIV1jbEcM

 

●【出版記念講演】孫崎享・マーティン・ファクラ-「崖っぷち国家日本の決こころ断」

 https://www.youtube.com/watch?v=4nwnGFL_iC4

 

(2)(内田樹の研究室)日本はアジアの次の独裁国家になるのか?

 http://blog.tatsuru.com/2015/02/25_1234.php

 

(3)No.651 有機農業ニュースクリップ(2015.03.07

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≪ 今日の目次 ≫

 ■米国マック 抗生物質フリーに切り替え rBSTミルクも排除へ

 ■未承認GM米を検出 中国産ビーフンに回収命令

 ■ブラジル農民 GMユーカリノキ栽培反対で直接行動

 

≪ 抗生物質 ≫

■米国マック 抗生物質フリーに切り替え rBSTミルクも排除へ

 米国マクドナルドは3月4日、同社の使用するチキンを全て抗生物質を使わない米国産に転換する発表した。2年以内に全量を切り替えるとしている。この決定は米国のみであり日本では実施されない模様だ。米国マクドナルドは同時に、今年後半からGM牛成長ホルモンrBST(ポジラック)を使用しない牛の牛乳に切り替えることも発表した。非rBSTが消費者には重要なことだとした。GMによるrBSTを開発、事業化したモンサントは、2008年にこの事業を売却した。米国では抗生物質耐性菌が大きな問題となっている。米国疾病管理予防センター(CDC)によれば、米国では抗生物質耐性菌・スーパーバグによる患者は200万人、2万3千人が死亡し医療費は200億ドルに上るという。

 

 米国では、家畜用の抗生物質使用が増加しており、米国内で販売される抗生物質のおよそ80%を占めているといわれる。米国で最大の食肉業者であるタイソンは2007年、すべての生鮮鶏肉を抗生物質不使用に転換すると発表している。同社のサイトによれば、2014年10月、全米35か所の同社のふ化場で抗生物質の使用をやめているとしている。また、養鶏場での使用は獣医師の判断による場合に限定し、ヒト用の抗生物質を使用しないよう検討しているとしている。

 

 ・McDonald's USA Press Release, 2015-3-4

  McDonald's USA Announces New Antibiotics Policy and

  Menu Sourcing Initiatives

http://news.mcdonalds.com/press-releases/mcdonald-s-usa-announces-new-antibiotics-policy-and-menu-sourcing-initiatives-nyse-mcd-1179405

 

 ・Tyson foods, Inc

  Antibiotic Use

http://www.tysonfoods.com/Media/Position-Statements/Antibiotic-Use.aspx

 

 日本では、秋川牧園は全てで、十文字チキンカンパニー、全農チキンフーズ、ニチレイフレッシュなどが一部の銘柄で、抗生物質や抗菌剤を使用せずに飼育したブロイラーを出荷している。秋川牧園と全農チキンフーズの「安心咲鶏」は、抗生物質フリーに加え、NON-GM飼料で飼育しているという。

 

 ・秋川牧園

  https://www.akikawabokuen.com/

 ・十文字チキンカンパニー

  http://www.chicken.co.jp/brand/index.html

 ・全農チキンフーズ

  http://www.ja-zcf.co.jp/keiniku/index.html

 ・ニチレイフレッシュ『FAチキン』

  http://www.nichireifresh.co.jp/livestock/kodawari/fachicken.html

 

【関連記事】

 No.476 米タイソン社 全ての鶏肉を抗生物質不使用に転換

  http://organic-newsclip.info/log/2007/07060476-1.html

 

≪ 遺伝子組み換え ≫

■未承認GM米を検出 中国産ビーフンに回収命令

 兵庫県は2月24日、未承認の遺伝子組み換え米(Bt63)が検出された輸入ビーフンの回収を命令したと発表した。このビーフンは、フランチャイズで「業務スーパー」展開する(株)神戸物産が輸入し販売したもので、1234カートンが対象だとしている。神戸物産は24日、この未承認GM米(Bt63)が見つかったビーフン「江西米粉」の回収を発表し、同社への連絡、返品を求めている。

 

 中国では公式にはGM米の商業栽培は認められていない。しかし、今回検出されたBt63は、開発した研究所から周辺農家に流出したとされ、広く栽培されていると見られている。中国農業部は今年2月の中央1号文書を公表した際の会見で、違法なGM作物栽培は罰せられると述べているが、根絶はかなり難しいのではないか。このGM米で汚染された中国産の米やビーフンなどの加工食品が、日本や欧州で広く見つかり問題となっている。日本では、2006年以来、何度も見つかっている。今回明らかになったGM汚染は2011年以来となる。

 

 ・兵庫県, 2015-2-24

  食品衛生法違反者等の公表(食品衛生法第63条)</a>

  http://web.pref.hyogo.lg.jp/hw14/hw14_000000020.html</li>

 ・神戸物産, 2015-2-24

  商品回収に関するお詫びとお知らせ

  http://www.kobebussan.co.jp/

 

【関連資料】

 ・輸入食品・飼料のGM汚染(2005年~)

 http://organic-newsclip.info/log/gmo/gm_contamination_food_feed.html

 

■ブラジル農民 GMユーカリノキ栽培反対で直接行動

 製紙原料用の遺伝子組み換えユーカリノキの商業栽培への反対が高まっていたブラジルで3月5日早朝、ブラジルの土地なし農民運動(MST)に組織された約1千人の女性たちは、ブラジルサンパウロ州イタペチニンガにある製紙会社のスザーノ・カンパニーを占拠し、同社の子会社であるフューチャー・ジーン社が開発中のGMユーカリノキの苗を廃棄した。また、この日開催されたブラジル国家バイオ安全技術評議会(CTNBio)は、ビア・カンペシーノの農民300人の抗議で流会し、GMユーカリノキなど3種類のGM植物の栽培承認が延期された。

 

 フューチャー・ジーン社が開発したGMユーカリノキは、従来のユーカリノキが成長に6、7年かかるところ4年と早くしたもので、GMユーカリノキ1本の水の消費量が、1日当たり25から30リットル増大するとみられている。ユーカリノキ自体が水の消費量が多く、さらに増大することで「緑の砂漠」が懸念されている。

 

 土地なし農民運動(MST)のメンバーによれば、ブラジル国家バイオ安全技術評議会(CTNBio)は常に予防原則を無視し、環境や人の健康、公衆衛生について委員の多くが多国籍企業の立場に立つ」と言う。承認されるGM植物は、常に農薬とパッケージになっていて農薬使用の増大をもたらすとしている。Campaign to STOP GE Treesによれば、ブラジルでの直接行動に先立ち、3月3日にはブラジルにGMユーカリノキを承認しないように求める行動が世界各地で取り組まれたという。

 

 ・Campaign to STOP GE Trees, 2015-3-5

  NEW VIDEOS! CTNBio Occupied: Meeting Cancelled!

  FuturaGene Taken Over

http://stopgetrees.org/victory-ctnbio-occupied-meeting-cancelled-no-approval-ge-trees/

 

 ◆抗議・直接行動(ビデオ)

 ・フューチャー・ジーン社直接行動

  Mulheres contra o eucalipto transgenico!

  https://www.youtube.com/watch?v=M7K-xJyvek8

 ・国家バイオ安全技術評議会(CTNBio)への抗議行動

  INVASAO A CTNBio - Protesto contra o eucalipto transgenico

  https://www.youtube.com/watch?v=IYvC0VO6JVc&

 

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 有機農業ニュースクリップ

 ご 連 絡:info@organic-newsclip.info

 配信停止:clipret@organic-newsclip.info

 公開サイト:http://organic-newsclip.info

 遺伝子組み換え関連情報:

  http://organic-newsclip.info/gmo/gmo_news.html

 東京電力原発事故:放射能汚染関連資料:

  http://organic-newsclip.info/rad/

 ツイッター:

  http://twitter.com/OrganicNewsClip

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草々

 

2015年2月21日 (土)

原子力翼賛社会=県民総被ばく受入社会への道を拒否しましょう=危険なものを安全だとウソで固めて「なぐさめ」てくれる「悪魔の使者」にしがみついてはいけない

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

昨今の福島第1原発事故に伴う放射線被曝関連の情報をご紹介いたします。今やよほどの不勉強か,人間のクズを代表する政治家・御用組合・御用学者でもない限りは,脱原発は「常識」のエリアに入りつつありますが,さて,放射線被曝の問題=脱被ばくについてはどうでしょうか。

 

フクシマ・エートスの担い手諸君のみならず,早野龍五や坪倉正治,あるいはベテランママらをはじめ,福島県ではニセモノ人士達が「(人間抜きの)復興」の旗手としてもてはやされているようですが,この状況は,まさに「原発安全神話」に代わる「放射線安全神話」「被曝安心神話」(下記蔵田氏論文参照)そのものではありませんか。日々購読している福島民報記事によれば,昨今は,住民の放射線被曝の危険性を,くだらない公共事業やハコモノ建設と引き換えにして取引しようとする地方政治家が現れている様子もうかがえます。嘆かわしいを超えて,自滅していると言ってもいいくらいです。(それにしても,何の「ベテラン」(ママ)なのでしょうね?)

 

●「日本復興の光大賞」にベテランママの会(南相馬) 県内ニュース 福島民報

 http://www.minpo.jp/news/detail/2015021120896

 

もちろん,この背後には原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府の暗躍があるのであって,こうしたことが,被害者住民への賠償・補償打ち切り・切り捨てとセットで行われることで,福島第1原発事故がもたらした原子力推進の挫折を何とか乗り越えようとしているのだと思われます。いつもこうしたドアホの大人の犠牲になるのが子どもたちで,たとえば学校給食で安全でも安心でもない地元の放射能汚染危険性あり食材を使って「安全安心キャンペーン」をしてみたり,愚かものの教員に連れられて,必要もないのにわざわざ放射能で汚染された森の中で野外活動としてどんぐり拾いをさせられたり,タケノコ狩りをさせられたり等々,信じがたいようなことが,福島県のみならず,東日本の放射能汚染地帯のあちこちで起きているのです。

 

私は,日本人というのは,いつからかような馬鹿の集合体になったのかと,自分の目を,耳を,疑いたくなります。ともかく,危険なものを安全だとウソで固めて「なぐさめ」てくれる「悪魔の使者」にしがみついてはいけないということです。そんな連中が持っている「権威」などは,クソの役にも立たないことは,既に福島第1原発事故で身にしみてわかったはずでしょうから。

 

以下,若干の情報をご紹介します。

 

1.(別添PDFファイル)『原発災害が告げる真実とは何か =被曝傷害論に新たな問題を提起した3論文=』(蔵田計成(ゴフマン理論研究会所属))

 ご本人のご希望により,拡散させていただきます。非常に興味深い重要な論文だと思います。ぜひご覧になってみてください。下記にこの論文のごく一部を抜粋しておきます。

「genpatusaigai_sinjitu_kuratasan.pdf」をダウンロード

(一部抜粋)

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(前略)循環器系疾患をはじめとした「非ガン性疾患」の発症率が高いことは間違いない。とくに、循環器系疾患による死亡率がガン疾患のそれを大幅に上回っているという事態は尋常でない。チェルノブイリでは、被曝影響のピラミッドの頂点に「循環器系疾患死」があるが、その他にも重要な事実がある。「1件の甲状腺ガンの背後には1000件の関連機能障害がある」(注8)などのコメントからわかるように、被曝疾患の背後には広大な裾野が広がっている。しかも、これらの病変は被曝地域だけに現れた特異な事実である。非被曝地域や非汚染地域でみることはできない。

 

(中略)付記すれば、ゴフマンらの研究成果の白眉は、被曝感受性の年齢依存性を解明したことにある。とくに幼少・若年期の被曝感受性が著しく高いことを解明した。たとえば、被曝時0歳児集団の1mSv被曝リスクは、中年46歳時被曝集団の約30倍である。110Sv程度の低線量でも、大集団が被曝すると、ガンの多発が避けられないことを論証した。なお、ICRP・国際放射線防護委員会のいう「一般公衆」の被曝線量限度「年間1mSv」とは、この46歳時被曝集団の被曝リスクを基準にしていることになる。だから、0歳時被曝集団は、「一般公衆」の名のもとで、その30倍(10歳時被曝集団は21倍)も高い基準を強いられていることになる。老若男女を含む「一般公衆」という概念自体が、被曝許容限度に関する「被曝リスク基準」の対象にはなり得ないことを意味している。(解説は別稿予定)

 

(中略)すでにみたように、福島事故に際して日本政府やそのお抱え御用専門家たちは、国際原子力御用機関と共謀して、放射線による被曝疾患は小児甲状腺ガンだけしかないかのように装っている。しかも、安定ヨウ素剤の服用対象年齢を世界共通に40歳未満と定めておきながら、福島事故における成人甲状腺疾患に関しては沈黙し、小児甲状腺疾患の検診を福島県内に限定した。その他の被曝疾患についてもすべて影響の認定を拒否し、被曝による傷害を闇に葬り去ろうとしている。

 

(中略)「学者たちは『因果関係は学問的に証明されていない』と偉そうにいうものの、『では、因果関係が〈ない〉ことを証明してください』と言い返すと、たちまち言葉につまってしまうのである」(津田敏秀)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

2.福島・南相馬「野生サル」セシウム影響、骨格筋に蓄積傾向 (福島民友新聞) - Yahoo!ニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150220-00010008-minyu-l07

https://web.archive.org/web/20150220081232/http:/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150220-00010008-minyu-l07

 

(田中一郎コメント)

 放射能汚染地域(福島県に限らず,また海洋や湖沼・河川を含む)での野生生物の観測は極めて重要で,ニホンザルだけではなく,さまざまな生物を小動物や昆虫や微生物も含めて,しっかりと観測していく必要があります。中でもニホンザルは人間に近い哺乳動物として,欠かせない観測対象動物です。ニホンザルについては,現役世代のこうした様々な疾患や放射能汚染の体内蓄積・濃縮だけでなく,遺伝的障害を時間をかけてみて行く必要があります。なぜなら,ニホンザルに起きることは,おそらく人間にも起きると推測されるからです。

 

3.#ふくしま集団疎開裁判 大人1000ベクレル、子ども100ベクレルで良い? ハイハイ商法のようなシンポジウム

http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2015/02/1000100.html

 

(田中一郎コメント)

 まさにフクシマ・エートスそのものです。近寄らないように致しましょう。こんなものにしがみつけば,身体がボロボロにされてしまうことになりかねません。現代版「牡丹灯籠」のようなものでしょう。

 

●牡丹灯籠

https://www.google.co.jp/search?q=%E7%89%A1%E4%B8%B9%E7%81%AF%E7%B1%A0&biw=1032&bih=662&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=83zoVNWmNqXMmAXTsYE4&sqi=2&ved=0CCoQsAQ

 

4.こういうのは「何か違う」と思いませんか? 少なくとも住民のためにはならないでしょう.

 

(1)(別添PDFファイル)今春にも帰還の楢葉町 停滞する住宅再建(東京 2015.2.15

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015021502000152.html

 

(2)楢葉町と川内村の野菜、出荷可能に 福島 日テレNEWS24

http://www.news24.jp/articles/2015/02/19/07269604.html

http://www.news24.jp/nnn/news8657977.html

 

5.(別添PDFファイル)福島事故 放出セシウム 手賀沼など底土 高濃度(東京 2015 2 20

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015022002000170.html

 

(関連)http://pa-to.at.webry.info/201502/article_7.html

 

(田中一郎コメント)

 集中豪雨などがあると,ひょっとすると,こうした湖沼は底の泥土などとともに,周辺にあふれ出てくる可能性があります。どうしてこれが大問題にならないのでしょうか? 感覚がマヒしている??? しかし,こうしたことは千葉県だけでなく,東日本の放射能汚染地域に広域に広がっています(ダム湖やため池なども危ないです)。それぞれの地域で大問題にしていくべきだと思います。

 

6.神戸新聞NEXT|社会|篠山市、ヨウ素剤各戸配布 原発30キロ圏外で全国初

 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201502/0007751649.shtml

 

(安定ヨウ素剤配布だけではなく,近隣自治体が力を合わせて,政府・関西電力・福井県庁・高浜町に大挙して抗議いたしましょう。このままでは,京都府や兵庫県や滋賀県は「第二の福島県」となってしまいます。何故なら,高浜原発をはじめ,若狭湾にある原発・核燃料施設は,このままでは近い将来,必ず大事故を起こすこと必定だからです。お約束しておきます。:田中一郎)

 

7.(メール転送です)イベント 3月上旬「福島の教訓を世界に伝える」脱原発イベント一覧

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310日から脱原発活動に関わっている海外のゲストが来日し、東京-福島-仙台で一連の原発に関するイベントが行われます。ぜひ海外の人と福島に思いを寄せ、これからの脱原発を考えましょう。

 

【1】3/10「脱原発でつかながる日本と世界」@東京

■詳細:http://urx2.nu/heqJ

日時:310日(火)1900~/会場:日比谷コンベンションホール

参加費:一般 1000円、若者(30歳以下)無料(事前申込:http://urx.nu/hyNG

主催:ピースボート、FoE Japan

 

3/10のカンパ呼びかけ<

開催費用が不足しており、カンパを呼びかけています。

◆郵便振替口:00130-2-68026 口座名:FoE Japan

※通信欄に、「3・10集会寄付」とご明記の上、住所、氏名をお忘れなくご記入ください。

※カンパは会場費やゲストの交通費の不足分などに充てさせていただきます。

 

【2】「福島の教訓を世界に伝える」@福島

■詳細:http://urx2.nu/h4EH

3/13「市民が伝える福島 世界会議」

日時:313日(金)09:3021:00/会場:福島県文化センター2

参加費:無料(事前申込:http://urx.nu/hyNj

主催:福島シンポジウム実行委員会(東京:ピースボート、福島:ふくしま地球市民発伝所)

 

【3】国連防災世界会議でのイベント@仙台

■詳細:http://www.bosai-sendai.jp/

3/14「市民参加による原子力災害の予防と対応」

日時:314日(土)09:15~/会場:東京エレクトロンホール宮城 602中会議室

主催:日本イラク医療支援ネットワーク (JIM-NET)

詳細:http://urx2.nu/h4T6

 

3/14「原子力防災と自治体の役割~その教訓と課題~」

日時:314日(土)17:30~/会場:TKP ガーデンシティ仙台勾当台 ホール5

参加費:無料 ※先着順

主催:脱原発をめざす首長会議

詳細:http://urx2.nu/h4EU

 

 <追>広瀬隆さんより大事なお話(たんぽぽ舎MGより転載)

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┏┓

┗■1.電力自由化について・2016年4月から一般家庭のみなさんも

 |  電力会社を選ぶことができる完全電力自由化がスタート

 |  「川内原発・高浜原発を再稼働するなら、

 |  われわれも安価な新電力に切り替えるぞ!」

 └──── 広瀬 隆

 

○ 2016年4月(来年)から、一般家庭のみなさんも電力会社を選ぶことができる完全電力自由化がスタートします。

 いま電力会社が再稼働に必死になっているのは、この自由化前に原発を動かしてしまいたいからです。しかしそこに「崖っぷちに追い詰められた電力会社」の最大の弱点、アキレス腱があります。苦境に立ってきた彼らの経営は、再稼働のための莫大な安全対策費として、すでに2兆4000億円の巨大な出費を強いられ、それを強引な電気料金値上げでしのいできましたが、それで墓穴を掘ったのです。

 

 九州電力も関西電力も、北海道電力も、みな企業が急激な電力会社離れを起こしたからです。安い電気を売ってくれる新電力に切り替え始めました。というのも、企業分野はすでに電力自由化しているので、好きなように電力会社を選べるからです。そのため電力会社は、得意先を次々に失いつつあります。

 

 とりわけ一般の大企業は、自家発電によって自社の電力をまかなうようになり、すでに日本の電力の4分の1が自家発電になってしまいました。この数字は2013年度ですから、2014年度の今はそれよりはるかに多くなっているはずです。

 

○ さて、そこで、あと1年後に迫った完全電力自由化が、われわれの大きな勝負どころになります。われわれ(貧乏人の)一般消費者は当然、原発を持たない新電力と契約するのですが、それでは充分ではありません。

 

 電力消費の大きな部分は、企業・産業にあるからです。そこで、まだ九州電力や関西電力と契約している九州地方の企業が、そして関西地方の企業が、電力会社離れを起こすように、呼びかけましょう。「川内原発・高浜原発を再稼働するなら、われわれも安価な新電力に切り替えるぞ!」と。この声を大きくすれば大きくするほど、九州電力や関西電力は震え上がります。顧客を失えば、彼らの経営はますます苦しくなります。苦しくなると、電気料金値上げしか生き延びる方法はありません。値上げをすると、ますます顧客は離れます。

 

○ その受け皿になる新電力とは、エネットだけではありません。NTT、東京ガス、大阪ガス、JX日鉱日石エネルギー(旧日本石油)、ソフトバンク、KDDI、トヨタ自動車、パナソニックといった、日本を代表する大企業群です。彼らが自由化の日を待ち望んでいます。企業利益のためですから、とてもよく動きます。その彼らが、われわれ貧乏人の原発反対運動の味方になって、いまや自由化後の発電所の準備に余念がないのです。大企業の社員たちも、電気料金値上げや再稼働なんてまっぴらだ、と思っているのです。

 

○ みなさん、再稼働で追い詰められているのは、われわれ反対運動だと勘違いしていませんか?トーンデモナイ。崖っぷちに追い詰められているのは、九州電力や関西電力なのです。彼らは断崖絶壁に立っているのです。内心、真っ青になっています。 さあ、全土に、自信を持って、大声で広めましょう。「川内原発・高浜原発、どこの原発でも、再稼働するなら、日本中が安価な新電力に切り替えるぞ! 再稼働してみろ!」と。「原発を断念するなら、電力会社と契約を続けてもいいがな」と(小声で)。

草々

 

2015年2月17日 (火)

環境省(似非)専門家会議や「福島県民健康調査検討委員会」では子どもたちの命と健康は守れない(春日氏・津田氏の岩波書店月刊誌『科学』掲載論文より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

まず、必見VTR(第18回「福島県民健康調査検討委員会」、及び記者会見)

●2年前「異常なし」の8人が甲状腺がん〜福島県全体で117人 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1887

 

(参考)(別添PDFファイル)第18回「福島県民健康調査検討委員会」(福島民報 2015 2 13

 http://www.minpo.jp/news/detail/2015021320932

 

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別添PDFファイルは、今月号(2015年2月)の岩波書店月刊誌『科学』に掲載された放射線被曝関連の2つの論文です。

 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/

 

 <別添PDFファイル>

(1)環境省専門家会議中間取りまとめを踏まえた新たな施策の要望(春日文子 『科学 2015.2』)

(2)20141225日福島県「県民健康調査」検討委員会発表の甲状腺がんデータの分析結果(津田敏秀 『科学 2015.2』)

 

(1)は、国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長で日本学術会議前副会長の春日文子氏執筆によるもので、環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」を踏まえての、今後の対応・対策についてのいくつかの提言がまとめられている。ご承知の通り、春日氏は、「福島県民健康調査検討委員会」と環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の双方に委員として参画し、委員会では他の原子力ムラ・放射線ムラの御用人間達とは違って、それなりの「良心と良識」に沿った慎重な発言をするなど、委員の中では被害者や脱原発・脱被ばく市民らから一定の信頼と期待を集めていた人物である。

 

 なので、春日氏のこの『科学』論文は、私も少しばかり期待を持って読んでみたが、いささか「物足りなさ」と「失望」を隠せないでいる。あれだけのインチキ・出鱈目・歪曲・横柄、そして人権無視、子どもの命と健康をないがしろ、にしてロクでもない審議をしていた(似非)専門家会議に対する提言ないしは見解を論じるにしては、その内容がいささか「控え目すぎる」「穏やかすぎる」ような気がしてならない。烈火のごとく怒っていればいい、ということではないが、この環境省の(似非)専門家会議が向いている危険な方向を抜本的に転換させるためには、春日氏がこの論文に書いているようなことでは不十分なのではないか、というのが私の印象である。

 

 国立の研究所に雇われの身の研究者であるが故の限界があるのかもしれないが、しかし、もっとしっかりと、福島第1原発事故後の放射線被曝対策=放射線防護政策に関して、適正適切な対応・対策や、向うべき道筋をしっかりと示していただかないと、誰一人としてまともな判断を示さないまま、日本がトータルでおかしくなっていくように思われてならない。それは、事は違うけれども、いつか来た道であり、国や国民全体の命と健康が放射能によってないがしろにされていく社会へと転落する道であるように思われるのだ。もっと勇気をもって、しっかりとした発言をお願いしたい。

 

●環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」

 https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html

 

●環境省 住民の健康管理のあり方に関する専門家会議「中間とりまとめ」を踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案) にかかるパブリックコメント 

 http://www.env.go.jp/press/100098.html

 

(今回の上記(似非)専門家会議は、民主党政権時代に細野豪志原子力行政担当相の下に設けられた下記(似非)専門家WGの行った審議の「焼き直し」ではないかと言われている。両委員会がともに、その座長に、あの放射線ムラの権化とも言うべき長瀧重信長崎大学名誉教授を就任させていたことが、その本質をよく現していると言えるだろう:田中一郎)

 

●(参考)内閣官房「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」(201111月) 

 http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/news_111110.html

 

 

●環境省 住民の健康管理のあり方に関する専門家会議「中間とりまとめ」を踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案) にかかるパブリックコメントに提出した私の意見書  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-adb6.html

 

 

 一方、(2)は、今や岩波書店月刊誌『科学』では「常連」「恒例」の論文著者となった津田敏秀岡山大学大学院教授(疫学・公衆衛生学)執筆の、第17回「福島県民健康調査検討委員会」公表の子ども甲状腺ガン検査結果に関する疫学専門家からのコメントである。必読文献だと思われる。ちなみに、津田敏秀氏は環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の委員でも、「福島県民健康調査検討委員会」の委員でもない。しかし、津田敏秀氏の論文は、その専門分野が疫学なので、論文の中に統計学的な専門用語がちりばめられ、もっぱら定量的な分析と評価が記載されていることが多く、我々一般市民にはハードルの高い、理解しにくい論文が多い。しかし、そうした統計学的な説明部分を除けば、津田敏秀氏が言わんとするところは十分に我々一般市民にも伝わるように書かれており、従ってまた、あまり専門的な説明部分にこだわらずに目を通して、同氏の主張を確認しておくことが大事だと思われる。以下にこの論文の最後の部分を一部引用しておく。

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本格検査結果

 (中略)従来からの外部比較の高さを考慮に入れると,1巡目検診での感度の低さを理由とした第17回福島県「県民健康調査」検討委員会による説明には無理がある。さらにこれを「まだ4例だから」と、疫学分析もせずに考察しなかった検討委員会の委員の責任は重大である。他にも記者会見において,先天奇形・異常の発生率の有意性に関する記者からの質問に対して,有意でないかのような回答を委員がしていた。しかし実際には年度間で統計的に有意なのであり,「まだ分析してないので,これから検討する」というような回答が妥当であったと思われる。なかには,甲状腺への被ばく負荷を放射性ヨウ素だけであるかのように発言する委員もいて,基本的な情報が共有されていないと感じた。全般に誠実で正確な説明と対応,および情報共有が望まれる。

 

結びに

17回福島県「県民健康調査」検討委員会では,星北斗福島県医師会常任理事をはじめ「断定できない」という言葉を繰り返していた。しかし,科学の共通言語は確率であり,科学的言明は断定ではなく定量的に確率で述べ,県民にわかりやすく説明するべきである。現在の甲状腺がんの発見状況は,WHOによる15年リスクの予測を,すでに4年目にして上回っていると思われ,WHOなどの推定被ばく線量を見直す必要もあると考えられる。今回の結果を受け,福島県の隣接県である茨城県,栃木県,群馬県,宮城県などでの症例把握が,さらに早急に計画されるべきである。また福島県内外で,20113月当時19歳以上であった県民にも,甲状腺がんをはじめ,最短潜伏期間が過ぎた白血病、あるいはその他の放射線感受性の高い疾病に関する症例把握を早急におこなうべきである。遅きに失したとはいえ,引き続き,福島県内の空間線量率の高い地域においては,妊婦や若年者を優先させた,避難を含む一層の放射線防護対策が望まれる。

 

 

●第17回「福島県民健康調査検討委員会」結果について (もはやこの検討委員会では子どもたちの命と健康は守れない)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/17-8608.html

 

 

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(関連:問題あり!)個人被ばく線量 GPSで自動収集検討(福島民報 2015.1.13

 http://www.minpo.jp/news/detail/2015011320330

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 政府は東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示が解除された地域住民の健康支援に向け、個人被ばく線量を衛星利用測位システム(GPS)を使い自動で収集するシステムの導入を検討している。今春に試験機を完成させ、一部地区で実証試験を始める方針。データは浜通りに整備する予定の国際産学連携拠点などで活用し、住民の健康支援や研究に生かす。

 

 GPS機能の付いた新たな個人線量計は滞在した場所や時間、被ばく線量の情報を10分間ごとにGPSへ発信する。情報は蓄積され、屋内を含めて住民がどこで、どのくらいの放射線を浴びたかが正確に分かる。情報を活用し、放射線量の高い場所の滞在を少なくすれば、無用な被ばくを避けられる。

 

 線量などの情報は住民が携帯する小型の個人線量計からGPSを経由し、政府の福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想で整備する予定の国際産学連携拠点や双葉郡の医療機関に集約される。放射線による健康への影響を調べ、長期にわたる住民の健康支援などに活用する。線量計の大きさは名刺ほどで、持ち運びしやすい。

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(田中一郎コメント)

 まるで放射能汚染地域の住民を実験動物扱いしている仕業だ。かようなことをする前に、早く住民を避難・疎開・移住させよ。

 

●【報告】ガラスバッジは福島のような全方向照射では3-4割低めに検出する-()千代田テクノルが伊達市議員研修会で公式に説明- 福島老朽原発を考える会 (フクロウの会)

 http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2015/01/post-156b.html

 

●あらためてガラスバッジによる住民の被ばく管理の不当性を訴える-1・28㈱千代田テクノル公開文書への批判- 福島老朽原発を考える会 (フクロウの会)

 http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2015/02/post-9ede.html

草々

 

2015年2月 9日 (月)

(報告)健康調査・住宅支援・保養を動かそう! 院内集会・政府交渉 (2015年1月29日)

前略,田中一郎です。

 

別添PDFファイルは、先般開催されました「健康調査・住宅支援・保養を動かそう! 院内集会・政府交渉(2015129日)」の際の配布資料です。また,下記URLは当日の録画,及び主催者を代表して,いわき市の佐藤和良さんの報告サイトです。ご参考までにお送りいたします。

 

当日の院内集会は非常に有意義で充実していました。満田夏花さんのお話はとてもよくまとまってわかりやすい講演でしたから,皆さまもぜひ,下記の録画でお聞きになってみてください。また,その時に使われた別添PDFファイルのレジメ=環境省専門家会議「中間とりまとめ」の問題点(放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会 2015.1.13)は必見です。必ず目をお通しになりますようお願い申し上げます。

 

他方,院内集会の後の政府交渉は,最悪,でした。何だこいつら,という感じのヘボ官僚が大勢でやってきて,スカみたいな話をして帰って行きました。下記録画もほとんど見るべきところはありません。日本の政府というところは,有権者・国民や地域住民のために存在しているものではない,ということがはっきりした瞬間でした。この日本政府の態度をどこまで広く有権者・国民に伝えていけるかについて,私たちの力量が問われているのだと思います。彼ら官僚達は,自分の思考も感情も考えも全て押し殺して,福島第1原発事故の被害者は救済せずに切り捨てる=救済を求めてきても追い払う,という,安倍晋三・自民党政権の大方針を体現しているにすぎません。もし彼ら若い官僚達が被害者に寄り添う態度をとれば,現在の地位や職場から消去されるだけであることを「過剰すぎるくらい」に感じ取って,無機物となってしまっているのです。諸悪の根源は安倍晋三・自民党政権にあります。

 

なんでもかんでも,政治や選挙のせいにしてしまうのはよくないのですが,鎌田慧氏も言うように「原子力・原発は,何の合理性も,安全性も,経済性も,倫理も,将来性もない。ただ政治力でかろうじて維持されている。だから,政治を変えれば原発は止まる」ということです。つまり,言い換えれば,政治を変えない限り=政治家を変えない限り,原発は止まらず,従って,今の状況は打破できないでしょう。私が常々申し上げている原子力ムラとの「最終戦争」とは,原子力ムラと結託する政治家達や,原子力ムラと対決しない・できない政治家達を一掃することも,その一つの必須の重要手段であることを意味しています。そしてそれがまた,私たちが生き残ることのできる「唯一の道」であると,私は思っております。

 

資料の中では,(2)の「要請書」はぜひご覧になって下さればと思います(下記にコピペしました)。どうしてこういうことを要請しなければいけないのか,全部当たり前のことじゃないか,いちいち要請しなければできないのか,と素朴に思ってしまいます(でも,何一つ実現されていなくて,かつ実現しようともしていないのです)。

 

●(集会案内)院内集会&政府交渉 原発事故子ども・被災者支援法ー健康調査・住宅支援・保養を動かそう!(東京) 福島原発事故緊急会議 情報共同デスク

 http://2011shinsai.info/node/5817

 

 <別添PDFファイル>

(1)健康調査・住宅支援・保養を動かそう! 院内集会・政府交渉 パンフ (2015129日)

「1.29 PANFU.pdf」をダウンロード

(2)原発事故被災者に係る健康調査、住宅支援、保養等をすすめる要請書(「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟 2015129日)

「higaisyasienn_youseisyo.pdf」をダウンロード

(3)原発事故被害者の住宅・健康・保養支援の立法化と完全賠償の実現を求める請願署名

「higaisyasienn_syomei.pdf」をダウンロード

(4)環境省専門家会議「中間とりまとめ」の問題点(放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会 2015.1.13

「siminiinkai_1.pdf」をダウンロード
「siminiinkai_2.pdf」をダウンロード
「siminiinkai_3.pdf」をダウンロード
「siminiinkai_4.pdf」をダウンロード
「siminiinkai_5.pdf」をダウンロード
「siminiinkai_6.pdf」をダウンロード
「siminiinkai_7.pdf」をダウンロード
「siminiinkai_8.pdf」をダウンロード
「siminiinkai_9.pdf」をダウンロード

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

上記はデータ量が大きいので9つのPDFファイルに分割して掲載しました。

 

 <関連URL>

(1) 20150129 UPLAN【院内集会】健康調査・住宅支援・保養を動かそう! - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=QOaTPE2dpGw

 

(2) 20150129 UPLAN【なさけない政府交渉】健康調査・住宅支援・保養を動かそう! - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=EB0P8wN4pQg

 

(3)風のたよりーいわき市議会議員 佐藤かずよし 健康調査拒む環境省、1.29院内集会&政府交渉 

 http://skazuyoshi.exblog.jp/

草々

 

(要請書を下記にコピペしました)

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内閣総理大臣安倍晋三殿

復興大臣竹下亘殿

環境大臣望月義夫殿

厚生労働大臣塩崎恭久殿

文部科学大直下村博文殿

国土交通大臣太田昭宏殿

 

20日年129

 

原発事故被災者に係る健康調査、住宅支援、保養等をすすめる要請書

 

「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟

 

福島原発事故から310ヶ月、事故収束の見通しも立たず、原発事故被災者の暮らしは、依然困難な状況が続いている。長引く事故の影響の下、ふるさとを追われ家族や地域が分断されたまま、応急仮設住宅等で避難生活を強いられている被災者は、住まいの不安を感じ、入居期間延長や住み替えについての柔軟な対応を求めている。放射能汚染と長期的な低線量被爆に、避難区域はじめ放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域では、子どもや住民に対する自主的甲状腺検査が実施され、健康調査の適切な実施を求める声が広がっている。「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」 (以下「法」)は、「 (被災者の)支援対象地域からの移動の支援」「移動先における住宅の確保」(法第九条)、「定期的な健康診断」 「健康への影響に関する調査」(法第十三条第2)、「子ども及び妊婦」や「その他被災者」への「医療の提供」や「費用負担の減免」(法第十三条第3)等の施策を講ずることを定めている。しかし、政府の「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」および健康・生活支援施策は全く不十分で、怨嵯の声が被災者に満ちており、法の実現のため個別法の制定を求める動きも始まっている。

 

国は、原発事故被災者の意見を聴く機会を速やかに設け、生活再建・医療福祉など、原発事故被災者を総合的に支援するために、立法措置を含む必要な措置を講じるとともに、自治体が講じている施策についても、国が適切な支援を行なうことを求められている。本議員連盟は、法の理念に基づき、これまで原発事故被災者の生活支援等に係る施策の実現を求めてきたが、あらためて健康調査、住宅支援、保養等の具体的施策の実現を要請する。

 

 

1、定期的な健康診断、健康影響に関する調査及び医療費の減免など、法第13条第2項第3項の実現にむけて、立法措置を含む必要な措置を講ずること。

 

① 定期的な健康診断、健康影響に関する調査及び医療費の減免について、法第13条第2項では、一定の被ばく線量以上の地域の原発事故被災者の生涯にわたる健康診断の保障、第3項では健康被害についての医療費減免が規定されているが、福島県内ですら甲状腺がん、心の健康、生活習慣病等の狭い範囲の健康診断であり、詳細な健康診断は避難区域からの避難者のみで、甲状腺がん以外の癌や疾病が担握されていないところから、福島県及び放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域において、長期継続した定期的な健康診断と健康影響に関する調査を国の直轄事業として実施するための必要な措置を講ずること、及び平成23311日において、福島県及び放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域に住所を有L18歳未満であった者の、事故由来の放射線に起因しないといえない甲状腺がん等疾病について、医療費の減免に関する必要な立法措置を講ずること。

 

② 国は、放射線障害検査のため、原発事故被災者への定期的な健康診断の実施ィ心電図検査や回数の増など学校検診の拡充、かかりつけ医での血液検査の実施、甲状腺検査も含め現行健康保険制度の適用による医療給付の実施に必要な措置を講ずること。

 

2、避難者が避難先・移住先において生活再建が可能となる住宅支援の実現にむけて、立法措置を含む必要な措置を講ずること。

 

20163月までの適用とされる災害救助法に基づく仮設(みなしを合む)住宅などの応急的対応をあらため、避難者への住宅供与期間の長期化、避難者の意向や生活実態に応じた更新、柔軟な住み替え・転居を認めるなど、避難先等で生活を再建できる必要な措置を講ずること、また恒久的総合的な住宅支援のため必要な立法措置を講ずること。その際、避難者の意向や生活実態に応じて、新たに避難を開始するものも合め避難、帰還、帰還後の再避難を柔軟に認め、国の直轄事業として住宅供与等を行なうこと。

 

3、子どもたちの心身の回復を目的とする活動への支援強化拡大と保養制度の実現のために、立法措置を含む必要な措置を講ずること。

 

① 子どもたちの心身の回復を目的とする活動への支援は、文部科学省の「自然体験・交流活動支援事業」があるものの、利用できるのは一部で回数も年I回と限定されているところから、原発事故被災者と子どもたちが幅広く利用できる支援の強化と民間活動への支援拡大など必要な措置を講ずること、さらに固としての保養制度を創設する必要な立法措置を講ずること。4、法第十四条を遵守し「被災者の意見の反映」 を実現するため被災者等協議会を設置して、基本方針の見直しを行うこと。

以上

 

連絡先:970-8686 福島県いわき市平梅本21 TEL 0246-22-1111 (代表)内線4132

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草々

 

2015年1月11日 (日)

環境省 住民の健康管理のあり方に関する専門家会議「中間とりまとめ」を踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案) にかかるパブリックコメントに提出した私の意見書

 ● 環境省_「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案)」に関する意見募集(パブリックコメント)について

  http://www.env.go.jp/press/100098.html

 

今回の「施策の方向性(案)」も、そのベースになっている「(専門家会議)中間取りまとめ」も、いずれも福島第1原発事故で理不尽な被害を受け無用の被ばくを強いられた被害者の方々の期待や要望を裏切り、かつ、我が国の今後の放射線防護や被ばく医療の方向性を大きく歪めるものと考えられるため、全面的に白紙撤回を要請する。特に、専門家会議については、構成メンバーが偏っていて発足当初から(住民の被ばく評価も健康管理や医療対策のあり方などについても)まともな議論や検討ができておらず、その審議状況や「中間とりまとめ」の内容は「犯罪的」に近いものと言える。特に放射線被曝の危険性を矮小化・歪曲し、無用の被ばくを強いられた被害者の方々に対する背信的で「切り捨て」的なふるまいは断じて許されない暴挙であり、また、そのこと自体が、被害者の意向を十分にお聞きして、それを踏まえよ、と定めた「子ども被災者支援法」という法律(あるいは国際放射線防護委員会(ICRP)などの国際機関の勧告などにも)に真っ向から違反するものであることを指摘しておく。この専門家会議はただちに解散し、所管を環境省から厚生労働省へ移行させたうえで、新たに放射線被曝に厳しい見方をしている有識者や、疫学調査・研究に詳しい専門家らを招き、何よりも被害者の代表を多く入れて、再度、迅速かつ抜本的な見直し論議を進めるようにしていただきたい。

 

(「施策の方向性(案)」に対する私の意見の後に、「(専門家会議)中間とりまとめ」に対する批判=問題点を箇条書きメモの形で列記した)

 

1.「施策の方向性(案)」が初期被ばく評価に偏っている。住民の初期被ばく量は国や福島県庁(及びそれらの関係機関)、及び原子力ムラ・放射線ムラの人たちにより、その検査や調査が必要であった時期に、意識的・作為的に妨害されたり、回避されたり、不作為放置・放棄され、のちのち初期被ばく量がわからなくなることが意図されていた様子がうかがわれる。そしてそれらのことは、SPEEDI情報の隠ぺいや安定ヨウ素剤服用の妨害(他方で福島県立医大構成員たちだけで、その家族も含め密かに服用していた)、あるいは出鱈目な住民避難指示や被害者政策と裏腹の関係になっており、今日の初期被ばく量把握の困難は「未必の故意」による意図された結果であると言える。

 

従って、今になって「風が吹けば桶屋が儲かる」式の乱暴な屁理屈の積み重ねで初期被ばく量を推定することよりも(しかも、被ばく量をできるだけ小さく見せるための作為的な「仮定」「前提」を多く用い、歪められた「低線量被ばく」がでっち上げられている)、もっと別の観点から、福島第1原発事故による放射能汚染や住民被ばくの状況を把握して行くことが必要ではないか。(具体策の例は下記にいくつか列記しておくが、これも専門家会議の本来の検討事項の一つである)

 

しかし、専門家会議では、「統計学的な有意性」なる言葉を持ちだし、シロウトだましの議論で、あたかも初期被ばく量が小さく、健康被害は出るはずがないなどと、非科学的・非実証的で根拠の乏しい独断と偏見、あるいは政治的な思惑や作為で、結論や、それから導かれる今後の対応方策を歪めており、とても看過できるものではない。しかも、その歪んだ結論を補強するため、「国連科学委員会(UNSCEAR)」やWHOなどの、いわゆる「国際原子力マフィア」と言われる原子力推進機関の代表のような組織の作成したいい加減な報告書を、我田引水的に都合のいいところだけをつまみ食いしたり、内容を歪めて引用・紹介するなどしており、こちらも単なる「誤り」を通り越して卑劣極まりない背信行為と言わざるを得ない(専門家なら、その報告書を批判的に検討・吟味してしかるべきであるのに、しようともしていない)。こうした放射線被曝評価「詐欺」のような行為は、もういい加減にやめ、福島第1原発事故後に放射能汚染地域で実際に起きているさまざまな懸念事項に真摯に丁寧に目や耳を傾け、それらが住民の方々の今後の健康を害するものとなって行かぬよう、万全の対策を未然に打つ検討を始めねばならないはずである。

 

 <山のように存在する低線量被ばくによる健康被害の報告書:最近のものの例>

● チェルノブイリ原発事故後25年以上が経過した段階でのウクライナやベラルーシの報告書

● 英国:小児のCT検査と脳腫瘍及び白血病の関係(2012年)

● 英国:自然放射線と小児白血病罹患率の関係(2012年)

● オーストラリア:小児のCT検査と発がんの関係(2013年)

● ドイツ:原発周辺における5歳以下の小児白血病の発生状況(2008年)

● 日本:放射線影響研究所(RERF)のLSS14報

● 日本:原発労働者20万人調査で10mSvでがん死亡リスクが3%増加

● カナダ:心筋梗塞時レントゲン検査(血管造影・CT等)でも10mSvでがん死亡3%増

 

従って、もう(似非)「専門家」の「初期被ばく評価」などといったインチキ行為は終わりにし、従って「施策の方向性(案)」の最初に書かれている「2(1)事故初期における被ばく線量の把握・評価の推進」は、とりあえず中止にすること。それに代えて、住民の放射線被曝状況のより正確な把握のため、下記のような取組(<違う観点からの住民被ばく量の把握への取組:例>)を行ってはどうか。しかし、いずれにせよ、今となっては住民の被ばくデータが存在せず、また今からでは入手することもできないのだから、その推定には限界がある。従って、大事なことは次の3点((1)~(3))であると考える。

 

(1)事故直後の初期被ばくを含む被ばく評価よりも、今現に進展しつつある(健康上あるいは遺伝上の)事態に着目し、それを正確かつ詳細・緻密に検査や調査で把握する(+体制を確立する)とともに、その結果に対して将来後悔しないための対策を先手・先手で打って行く、被害者住民の立場に立って施策を考えて実施する。

 

(2)初期被ばくよりも、今現に進行している追加被ばくに、より注目度を高め、それに対する放射線被曝防護と被ばく医療のあり方を早急に検討し打ち出すこと(恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性と、それに対する万全の警戒)。放射線被曝に感受性が高い世代を中心に避難・疎開・移住や長期保養などの抜本的な対策も視野に入れるべきである。

 

(3)初期被ばくの把握ができなくなった原因と責任の究明を行うこと。別途、調査委員会を設け、過去にさかのぼって、初期被ばく検査の妨害や不作為の実態を明らかにし、再発防止策を検討すること。およそ、今後の放射線被曝防護や被ばく医療と住民の健康管理を考えていく上で、こうした放射線被曝の隠蔽・歪曲・矮小化の「土壌」「組織的体質」がある限り、いい仕事はできないし、いい結果を生みだすことは困難であるからだ。

 

 <違う観点からの住民被ばく量の把握への取組:例>

(1)航空機による大ざっぱな放射能汚染状況の把握をベースに考えるのではなく、福島県を中心に、主な放射性核種ごとに早急に「汚染マップ」をつくり、住民の被ばく防護に役立てること、また、「系」として、この汚染マップから初期被ばく量を推定すること

 

(2)昨年12月末にNHKが放送した2つの番組「(「NHKスペシャル|メルトダウン File.5 知られざる大量放出」と「サイエンスZERO」=セシウム・ボール)について、研究を深化させること。前者で申し上げれば、たとえば事故直後の3/16(316日:以下同じ)の放射性ヨウ素放出は、それまでの10倍以上のものであった、などと放送されており、これまでの放射性ヨウ素のプルームの放出・移動状況と併せて、住民の被ばく評価に反映させる必要がある。また、放射性セシウムなど、他の放射性核種については、3/15以降の放出の方が量が多かった(75%は3/15以降)と放送されていたこともあり、再度、放射能プルームの動きに注目が必要である。

 

(3)放射性ヨウ素や放射性セシウム以外の放射性核種の放出状況や汚染状況にも着目する必要がある。特に、NHKが放送した「サイエンスZERO」=セシウム・ボール)=ホット・パーティクル については、もっと詳細な分析が必要だ(放射性セシウム以外の他のさまざまな放射性核種が含まれているので「セシウム・ボール」というネーミングは不適切である)。また、呼吸被曝の危険性、アルファ核種(プルトニウム、ウランなど)やベータ核種(放射性ストロンチウム、イットリウムなど)の影響、あるいは、放射性セシウムや放射性ヨウ素129などによる長期にわたる恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性についても慎重な評価が必要で、特に今現在の各地域の汚染状況が住民の健康を害する可能性をもっと厳格・慎重に評価する必要がある。事故後約4年がたとうというのに、未だ20ミリシーベルト以下なら何の問題もないかのごとき言動は厳に慎み、少なくとも旧ソ連諸国のチェルノブイリ法で定める5ミリシーベルト/年以上(これは概ねわが国の放射線管理区域指定基準でもある)は原則として避難・疎開・移住が必要であり、また1ミリシーベルト/年以上は、さしあたり危険である(少なくとも安全ではない)という評価を示して、ものごとを進めるべきである。

 

(4)家畜や微生物・昆虫を含む様々な野生生物とその生態系、更には海洋生物と海洋生態系における放射能汚染と、その生物に与える健康影響を、もっと大規模に、綿密に、長期にわたり観察し、情報を共有化して人間の放射線防護に役立てるべきである。家畜や野生生物の被ばく評価は人間の被ばく評価に役に立つ。(たとえば人間に近い阿武隈山系に生息するニホンザルの観察などは非常に重要である)

 

2.「2(2)福島県及び福島近隣県における疾病罹患動向の把握」は重要な部分だが、ここでも、被害者住民の健康検査・調査を頭から否定して、実態の把握をやりもせず、「住民の健康被害は予測しにくい云々」で、新たな取組を門前払いしている。これでは、被害者住民の納得も得られないし、今後の放射線被曝対策を鑑みた場合、広く有権者・国民の理解も得られないだろう。(たとえば栃木県北部や千葉県北西部などでは、福島県よりも高い汚染度の地域が散在しているし、その他の地域でもホット・スポットはいたるところにある)

 

主として政治的な意図から発せられる科学的実証的根拠の乏しい「健康被害は予想しがたい云々」のゴタクを並べるのはもうやめよ。まず、そんな先見・偏見よりも、福島第1原発事故で放射能汚染に見舞われた東日本の広い地域で充実した健康調査・検査を実施し、今実際に現場では何が進行しているのかを、誰もが納得できる形で、実証的に示せるよう、そのための体制をつくることが最大の重要課題であるはずだ。

 

そして、そのためには、これまで約3年間にわたって行われてきた「福島県民健康調査」のあり方を抜本的に見直し、多くの有識者から提案されていた改善事項を直ちに実施に移していく必要があるし、それをまた、上記の福島県以外の地域における新たな健康管理調査・検査にも取り入れていく必要があると思われる。また、「福島県民健康調査検討委員会」のメンバーも、再度、全面的に入れ替え、ここにも住民の代表を多く入れて(他方で、長崎大学、広島大学や福島県立医大あるいは放射線医学総合研究所などの放射線ムラの方々には退陣していただき)、被害者の立場に立った充実した検査・調査ができるようにしていくことが必要である(下記に具体的提案を付記した)。(福島県以外でも住民の健康管理・検査・調査を実施していくのだから、そもそも「福島県民健康調査検討委員会」は厚生労働省所管の国の委員会に切り替えることも必要ではないか)

 

それから、次の3点((1)~(3))は、当面の「福島県及び福島近隣県における疾病罹患動向の把握」において、国が責任を持って施策すべき必須の最重要な対応事項である。初期被ばく量評価云々の、意味の乏しい、無用の検討をしているヒマはない、というのが偽りのない現状のあり様である(福島第1原発事故後、放射線被曝対策が手抜きされ、歪められてきた結果としてこうなっている。国や関係省庁の責任は重大だ)。

 

(1)今現在の「福島県民健康調査」や、福島県以外の周辺都県での住民の健康管理や健康政策で欠けている重大な点は次の5点(a.~e.)である。従って早急かつ抜本的な改善が望まれている。

 

a.放射性ヨウ素(131)や放射性セシウム(134137)だけでなく、それら以外のいろいろな放射性核種にも着目し(放射性ヨウ素129、放射性ストロンチウム、プルトニウム、トリチウム、キセノンなど)、かつ、その形態(ホット・パーティクル(セシウム・ボール)、ナノサイズ放射性物質など)にも万全の注意を払い、福島第1原発から放出された全ての放射性物質のもたらす全ての健康被害を視野に入れる必要がある。セシウム134,137とヨウ素131だけが危険な放射性物質ではない。

 


b.従ってまた、注目すべき健康被害は甲状腺がんだけではなく(甲状腺なら、がん、以外の甲状腺機能の障害疾患(橋本病など)も考慮に入れる)、チェルノブイリ原発事故後に旧ソ連諸国に現れている様々な健康被害や病気・疾患等も考慮に入れ、それらを適切にタイムリーに把握していける体制と検査・調査を実施することが重要である。(考えられる検査項目は、甲状腺エコー検査に加え、血液検査・白血病検査、7Q11染色体異常検査、白内障検査、エピジェネ異常検査、心電図、尿検査、高性能WBC、バイオアッセイ(歯、大便、毛髪他)、等が必要)

 

c.福島県においては、18歳以上の成人男女についても、甲状腺エコー検査に加え幅広い検査を実施すること。また、放射線感受性の高い妊婦さんや乳幼児への検査については、拡充方向で丁寧な見直しが必要

 

d.福島県以外の東日本一帯に広がる放射能汚染都県での健康管理や検査・調査の(福島県と同レベル・同内容での)実施も必要不可欠である。何故なら、福島第1原発から放出された放射能は県境で止まっていはいないからだ。こんなことは議論するまでもなく自明なことであり、これに対する住民や関係自治体の要請も強い。にもかかわらず、これを踏みにじることは、重大な人権侵害であり、また、背信行為であることは申し上げるまでもない。

 

e.万が一の放射線被曝による健康被害が出た場合の医療体制を、被害者に費用負担をさせないという点を含めて、しっかりと構築しておく必要がある。医療関係の情報を統制するために福島県立医大に検査情報を集中させたり、診断を独占させたりする作為は無用・有害であり、やめること。また、被害者の検査結果や診断結果・カルテなどが散逸しないよう、その保存体制をしっかり作っておくことも重要だ。

 

(2)放射線被曝による健康被害を適切に把握するためには、がん統計や死亡統計(死因の正確な把握と死者数)が適切に運営されなければならない。これについても改善すべきことが多いはずである、また、死因究明のための「死体解剖」の医療機関等での体制と法的整備も必要である。

 

(3)申し上げるまでもないが、一部の御用学者・似非委員から出されていた「過剰診断・過剰診療」の議論は、福島第1原発事故後の住民の健康管理や検査・調査における議論の場ではやめること(被害者に対して無礼であり背信的である)。やるなら、例えば学校や職場の健康診断や、医療機関における日常的な「検査漬け」「薬漬け」に対して問題提起せよ。

 

3.「2(3)福島県の県民健康調査「甲状腺検査」の充実」についても、上記で申し上げたことと同じことが言える。初期被ばく量云々の根拠の乏しい予断と偏見と、何よりも、被ばく矮小化・歪曲の政治的プロパガンダをやめ、被害者の立場に立って甲状腺検査の拡充に取組む必要がある。甲状腺検査のやり方(もっと丁寧に)、検査体制・人員:検査機器類の一層の充実、検査を受けた被害者へのフィードバックの充実や手続きの抜本改善(検査時において手交せよ)、検査や診断や診断結果への情報統制をやめる、などなど、検査を受ける被害者の方々の要望や声をよく聞き、それを検査の仕方に反映させることが肝要だ。

 

また、昨年末(20141225日の第17回「福島県民健康調査検討委員会」)に、第2巡目の甲状腺がん検査で、第1回目の検査では「問題なし」とされた子ども4人に、新たに甲状腺がんが発見された。このことは、少し前に鈴木真一福島県立医科大学教授が明らかにした「手術した子どもたちの甲状腺がんは悪性のものが多く、手術はやむを得なかった」と併せて、非常に重い意味を持っており、早急にこれまでの「福島県民健康調査検討委員会」のいい加減で無責任極まる姿勢や方針を変える必要のある発見である。今のままでは福島県や、その他の都県の放射能汚染地域の子どもたちが危ないと言わざるを得ない。

 

(それから、青森、長崎、山梨で実施された数千人規模の疫学的な甲状腺がん調査は、福島県での甲状腺がん検査と比較するには、①人数が少なすぎる、②検査対象性別や年齢構成が違う、③検査の仕方も違う、などの理由から、直接比較するのは難しい。せっかく疫学的な調査をやるのであれば、福島第1原発事故による放射能の影響が小さいと思われる西日本で、もっと大規模に実施されるべきである)

 

4.「2(4)リスクコミュニケーション事業の継続・充実」については、既に被害者住民をはじめ、多くの有識者や関係者からの批判にあるように、環境省を含む政府が実施している「リスクコミュニケーション」なるものが「コミュニケーション」でも何でもなく、ただ政府の(政治的に歪められた、聞く方にとっては理解し難い)一方的な見解や評価の押し付け、ないしは宣伝にすぎず、従ってまた、典型的な「ワンウェイ」的営みに終始している(「リスクコミュニケーション」=「リスコミ」ではなく「スリコミ(刷り込み)」=「スリコミニュケーション」だと揶揄されている)。

 

従って、当面はこの「リスクコミュニケ―ション」なるものはやめにして、まず所管省庁(今までなら環境省、今後は厚生労働省)の幹部クラスの人間が参加して、被害者の方々と協議ないしは対話を行い、その要望や意見を自分達の施策に反映させていくことが肝要である。また、今回の「専門家会議」のような審議会等にも被害者の代表に多く参加してもらい、報告書や提言にその声が反映されていくよう、所管省庁が尽力する必要がある。現状のように、被害者との対話の場に幹部クラスは絶対に出てこない、被害者の声や要望は聞き置くだけで施策に全く反映しない、神経を逆なでするような政府の見解や方針が一方的に伝えられるだけで、それに対する被害者側からの質問や疑問にもまともに答えない、こんな調子で、リスクコミュニケーションが成立するはずもない。

 

また、「福島県及び福島近隣県の各地域の状況や自治体としての方向性を尊重し、地域のニーズに合ったリスクコミュニケーション事業の推進に取り組んでいきます」などと称して、被害者住民の健康管理や検査・調査を実施しない理由を地方のせいにするようなことはやめていただきたい。何故なら、福島第1原発事故とその放射能汚染の全責任は加害者・東京電力や事故責任者・国にあるのであって、それゆえにこそ、その結果として必要不可欠になっている被害者住民の健康管理や検査・調査も、国が責任を持って実施すべきことだからである。福島第1原発事故の被害を受けた地方に対して、国は自分達の後始末の責任を転嫁するな、ということである。

 

それから、新聞報道その他で伝えられるところでは、「福島県民健康調査検討委員会」が定期的に公表している子ども甲状腺がん検査の結果など、健康調査の結果について、肝心の福島県民の多くが知らないでいる様子がうかがえる。これはゆゆしき事態であって、国や福島県庁、ならびに「福島県民健康調査検討委員会」の責任が問われてもいたしかたないだろう。早急に、健康調査結果の県民へのフィードバックのあり方を見直すべきである(例えば、子ども甲状腺がんの発生数が112件にのぼり、そのうちの4人は第1巡目では「問題ない」と判定されていた、ということを福島県民のどれだけの方がご存じだろうか?)

 

 <具体的な「福島県民健康調査」の改善事項:例>

(1)「福島県民健康調査」の抜本改革  

福島県以外の汚染された都県でも実施すべき

子どもだけを対象にするのではなく全年齢層で実施すべき

検査すべきは甲状腺ガンだけではない

(甲状腺エコー,尿検査,血液検査(染色体異常・エピジェネ異常他),心電図,

 WBC検査,バイオアッセイ(検便・脱歯・髪の毛他:ストロンチウム,α核種)他)

711」染色体の検査・異常確認  

全国で,ワンストップで,上記の全部の検査を同時にやる体制づくり

各検査の内容充実(甲状腺検査はスクリーニングではなく,いきなり本検査でいい)

検査頻度を増やす(2年に1度ではなく受検者の状況に応じて3~12か月に1度)検査結果やカルテを含む全記録類の永久保存

セカンド・オピニオンの利用充実とその活用

健康保険対象+補助金で受検者は無料化 ⇒ 東京電力負担

各検査について比較可能とするための西日本や北海道での疫学的大調査の実施

体制の抜本改革(政府が前面に出よ,「福島県民健康調査検討委員会」のメンバーの更なる刷新,医療関係者・団体の救国的一致団結,財政サポート他)

  


(2)放射線被曝の未然予防

まず避難,除染するにしても,まず一時避難

放射線管理区域指定基準(5.2mSv/年以上)は全員避難

1mSv~5.2mSvは「避難の権利」

子どもは集団疎開,大人も子供も「コミュニティごとの移転」

汚染地域に残る人にも「無用の被曝回避」のガイダンス徹底

飲食品の検査体制の抜本改善と規制値の更なる厳格化,放射性セシウム以外の核種検査

政府が前面に出よ:被害者への万全の賠償・補償・再建支援,「原子力事故による子ども・被災者支援法」及びその基本方針の拡充方向での見直し他

自然環境モニタリングの拡充(野生生物の変化をつかまえよ)

 

 

(「中間とりまとめ」はここがおかしい)

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環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の「中間とりまとめ」について

 

1.放射能汚染から住民や子どもたちをどう守るかの議論が全くないまま、初期被ばく線量を含む被ばく線量の推定評価に終始、最初から被ばく防護の観点ゼロ

 

しかも、委員の人選を見ると、原子力ムラ・放射線ムラの「仲良しクラブ」

福島第1原発事故の放射能汚染と被ばくは大したことはないの「結論ありき」

審議の途中で多くの市民や被害者住民から長瀧重信座長解任要請が出たのは当然

 

2.福島県の子ども甲状腺がん(112件)について、多発ではなく「スクリーニング効果」だとの、おかしな「見解」に固執、被ばく被害を頭から否定(まるで、あらかじめ放射線被曝の健康被害は認めず、被害者は切捨て、と決めているかのようだ)

 


 (その根拠)

(1)甲状腺がんは成長・拡大が遅い ⇒ 多く発見しているのは「スクリーニング」効果だ

 

*それは大人の乳頭がんの話、子どものがんは違う(速い)、かつ(悪性度の高い)低分化がんあり(米CDC(疾病管理予防センター):甲状腺がんは、子ども1年、大人2.5年の潜伏期間)

 

*「スクリーニング」効果なら、手術しなくてもいい静かなガン(通常は成人になって相当時間がたってから発見されるもの)が多いはずだ ⇒ しかし実際は、ほとんどが手術が必要=しかも、他臓器やリンパ節へ転移、周辺部位へ浸潤、反回神経(声帯)が危険なものも多い(鈴木真一福島県立医大教授が「過剰診断・過剰診療」批判に反論して隠していた事実を暴露)

 

(2)チェルノブイリ原発事故では子ども甲状腺がん多発は4年目以降

発見が遅れた理由は下記、4年目以降から多発したのではない、発見が遅れただけ

 

*甲状腺の検査機器類がなかった、

*ソ連の医師たちが甲状腺を見ようとしなかった

 

(3)被ばく線量が小さい、100ミリシーベルト以下は放射線被曝原因のがんを「統計的に有意」な形で把握できない=大した被ばくではないと説明

 

根拠なし、国や福島県庁・健康管理委が検査を妨害・未必の故意による不作為、SPEEDI隠蔽、安定ヨウ素剤服用させず、放射能モニター実態示さず、初期被ばく検査妨害、WBC等機器類用意せず=ごく少人数をいい加減な検査 ⇒ 一貫した「被ばく隠蔽・もみ消し」の姿勢

 

200万福島県民、それにその周辺都県の各個人の被ばく線量は、結局、(意図的・作為的に)ほとんど計測されなかったから「わからない」、それでも甲状腺等価線量で50ミリシーベルト以上の被爆者(子ども)がいる(発がん可能性)

 

(一般論として)100ミリシーベルト以下でのガンその他の疾患の多発証拠は山ほどある(小児・妊婦のCT、原子力施設労働者、航空機乗務員、原発周辺住民など)

 

そもそも「統計学的有意性がない」=「被害がない」ことではない(シロウトだましの議論のすり替え)

 

(4)食べ物の汚染度は低い

 チェルノブイリ原発事故では汚染ミルクやキノコなどを食べていた、日本は違うなどというが飲食品の汚染状況もよくわからない、人それぞれ、ホット・スポット的な飲食物があり危険

 

(5)チェルノブイリ原発事故では5歳以下の小児が多かった

 チェルノブイリ原発事故では、5歳以上の甲状腺がんも増大した(山下俊一論文)。また、検査対象者や検査の仕方が違う(アクセスの仕方が違う)ので発見タイミングが違う=単純に比較できない

 

3.「国連科学委員会(UNSCEAR)」やWHOのいい加減な放射能汚染・被ばく状況調査報告に寄りかかり、専門家として、その内容を吟味・検討しない。しかも、自分たちに都合のいい部分だけを引用したり(不都合部分は無視)、自分たちの都合のいいように書き換えて嘘八百の内容にして引用、

 

例:「国連科学委員会(UNSCEAR)」は「LNT仮説まで否定している」などと引用=嘘八百、「統計学的有意性がない=しかし被害はありうるし、それを極小化すべく被害者の現状把握や意向を反映させ被ばくを小さくせよ」の部分は無視

 

4.1225日の「福島県民健康調査検討委員会」で発表された2巡目検査で4人の子どもたちに新たに甲状腺がん発見 ⇒「中間とりまとめ」に反映せず

 

意味するところは、(1)子どもの甲状腺がんはわずか2年で大きくなり悪性だ、(2)最初の診断がいい加減だった、(3)初期被ばくだけでなく、その後の放射性セシウムや放射性ヨウ素129などによる被ばくの可能性 ⇒ このままでは危ない

 

5.12月末の2つのNHK番組:(「NHKスペシャル|メルトダウンFile5 知られざる大量放出」と「サイエンスZERO」=セシウム・ボール)も「中間とりまとめ」に反映せず

 


3/15以降に75%の放射能放出 特に3/16に放射性ヨウ素を通常の10倍以上放出 ⇒ 3/16の放射性ヨウ素のプルームの動きが重要

 

ホット・パーティクル(セシウム・ボール)の危険性(内部被曝、特に呼吸被曝)=「セシウム・ボール」などというネーミングはおかしい(放射性セシウム以外のさまざまな危険な放射性物質が含まれている)

 

6.甲状腺がん以外の疾患や遺伝的障害の可能性を頭から否定して観察も検査も調査もしない=もみ消してしまえ、のスタンス

 

(血液検査・白血病検査、7Q11染色体異常、白内障検査、エピジェネ異常検査、心電図、尿検査、高性能WBC、バイオアッセイ(歯、大便、毛髪他)、等が必要)

 

7.その結果、下記のようなトンデモ方策が打ち出されてくる

(1)「福島県民健康調査」の抜本的見直しと拡充は検討もされない ⇒ それどころか、被害者本人の健康管理のためではなく、疫学追跡調査を主目的に切り替えるような方針(まるで県民をモルモットにするような扱い・発想)

 


<検討すべき拡充内容>

検査項目の拡大、検査結果の被害者へのフィードバックの充実、検査記録の保存堅確性


18歳以上住民への検査や調査・健康管理の拡大、

放射線被曝防護(避難・疎開・移住や長期保養の保障等)、

被ばく医療充実(体制=病院・人員、費用負担無料化)

 

(2)福島県外への健康調査・管理・被ばく医療の拡大は絶対にしない(多くの自治体や住民からの要請は無視=蹴飛ばす)

 

(3)今行われている(不十分極まりない)「福島県民健康調査」を「過剰診断・過剰診療」などと誹謗中傷し「つぶそう」という執拗な悪意、ためにする議論

 

「偽陽性」判断の危険があるから検査・調査をやめろという暴論

 実際は「偽陽性」はわずか1人だけ、むしろ「偽陰性」の疑いの方が4人で多い

「過剰診断・過剰診療」批判は今の学校や職場での健康診断などに振り向けよ

 

(4)福島県内外の被害者の方々の意向・意見・願い・要望・期待・怒り・反発・不信などを一切聞こうとしないし、反映もさせようとしない。(このことは国際放射線防護委員会(ICRP)勧告や「国連科学委員会(UNSCEAR)」報告に違反しているし、「子ども・被災者支援法」にも明確に違反)

 

(5)(似非)専門家会議に招かれた多くの専門家の意見や議論が全く無視され結果に反映されない=原子力ムラ・放射線ムラだけの議論と検討(これも上記違反)

 

8.なぜ、所管が厚生労働省ではなくて環境省なのか(そのココロは)

 放射線被曝原因とはいえ健康と医療の問題=本来は厚生労働省の所管、しかも様々な疾患や病気と関連、かつ病院や診療所、介護施設とも関係、厚生労働省でないと実質的に対応ができない

 

(1)最初から「やる気がない」⇒ 環境省を「前座」として使っておいて、内閣府・首相官邸や厚生労働省が拒否権を持つ

(2)情報を統制一元化しやすい ⇒ 環境省は御しやすい

(3)厚生労働省が所管を拒否している?

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草々

2015年1月10日 (土)

環境省「住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の「中間取りまとめ」 とパブリックコメント対応用レジメ(批判点要約メモ)

前略,田中一郎です。

 

下記は、環境省(似非)専門家会議がこのほど取りまとめた「中間とりまとめ」に対する「批判点要約メモ」レジメです。この「中間とりまとめ」を受けて、環境省では今後の健康管理に関する方向性について、パブコメを実施していますので、みなさま、どうぞ、下記の「批判点要約メモ」などをご参考にして、パブコメに対してみなさまの意見書をご提出ください。このままでは、福島県をはじめ東日本の放射能汚染地帯の子どもたちが危ないです。(昨日の「ふくしま集団疎開裁判」の会の文部科学省前抗議行動でのスピーチ・メモに加筆・修正しました)

 

● 環境省_「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案)」に関する意見募集(パブリックコメント)について

 http://www.env.go.jp/press/100098.html

 

募集期間.

平成261222日(月)から平成27121日(水)まで.

(郵送の場合は平成27119日(月)必着となりますのでご注意ください。)

 

(以下、「中間とりまとめ」批判の要約レジメ)

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環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(通称 長瀧重信座長「(似非)専門家会議」)の「中間とりまとめ」について

 

<3つの文献最新情報>

1.美浜の会HP 「福島の子どもたちに発生した甲状腺がん」

 http://www.jca.apc.org/mihama/News/news132/news132kojosen.pdf

(発生数だけでなく、悪性度が深刻=転移、浸潤(リンパ節、反回神経(声帯)他)、低分化ガン)

 

2.月刊宝島 ジャーナリスト明石昇二郎氏 放射線被曝レポート

(①セシウム心筋症、②甲状腺がん、③WHO報告でガン多発を警告=無視された)

 

(1)月刊宝島 福島県で急増する「死の病」の正体を追う!~セシウム汚染と「急性心筋梗塞」多発地帯の因果関係~【第1回】

 http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1921954.html

 

(2)Yahoo!ニュース - 福島県でなぜ「ガン死」が増加しているのか?~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害~【第2回】 (宝島)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140926-00010000-takaraj-soci

 

(3)Yahoo!ニュース - 【告発スクープ】 “WHO「福島県でガン多発」報告書” 国と記者クラブが無視! ~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害 【第3回 前編】~ (宝島)

http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1940402.html

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141214-00010000-takaraj-soci&p=1

 

(4)月刊宝島 【告発スクープ】 “WHO「福島県でガン多発」報告書” 国と記者クラブが無視! ~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害 【第3回 後編】~

 http://blog.takarajima.tkj.jp/archives/1940410.html

 

3.(必見:非常に重要です)「原子力発電・原爆の子」サイト

P・ウィリアムソン「小児甲状腺がんについての公式見解を読み解く

http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2014/12/p-japanfocus.html?spref=tw

 

 

<環境省 (似非)専門家会議「中間とりまとめ」) 批判>

1.放射能汚染から住民や子どもたちをどう守るかの議論が全くないまま、初期被ばく線量を含む被ばく線量の推定評価に終始、最初から被ばく防護の観点ゼロ

 

しかも、委員の人選を見ると、原子力ムラ・放射線ムラの「仲良しクラブ」

福島第1原発事故の放射能汚染と被ばくは大したことはないの「結論ありき」

審議の途中で多くの市民や被害者住民から長瀧重信座長解任要請が出たのは当然

 

2.福島県の子ども甲状腺がん(112件)について、多発ではなく「スクリーニング効果」だとの、おかしな「見解」に固執、被ばく被害を頭から否定(まるで、あらかじめ放射線被曝の健康被害は認めず、被害者は切捨て、と決めているかのようだ)

 


 (その根拠)

(1)甲状腺がんは成長・拡大が遅い ⇒ 多く発見しているのは「スクリーニング」効果だ

 

*それは大人の乳頭がんの話、子どものがんは違う(速い)、かつ(悪性度の高い)低分化がんあり

 

米CDC(疾病管理予防センター)の話:甲状腺がんは、子ども1年、大人2.5年の潜伏期間

 

*「スクリーニング」効果なら、手術しなくてもいい静かなガン(通常は成人になって相当時間がたってから発見されるもの)が多いはずだ ⇒ しかし実際は、ほとんどが手術が必要=しかも、他臓器やリンパ節へ転移、周辺部位へ浸潤、反回神経(声帯)が危険なものも多い(鈴木真一福島県立医大教授が「過剰診断・過剰診療」批判に反論して隠していた事実を暴露)

 

(2)チェルノブイリ原発事故では子ども甲状腺がん多発は4年目以降

発見が遅れた理由は下記、4年目以降から多発したのではない、発見が遅れただけ

 

*甲状腺の検査機器類がなかった、

*ソ連の医師たちが甲状腺を見ようとしなかった

 

(3)被ばく線量が小さい、100ミリシーベルト以下は放射線被曝原因のがんを「統計的に有意」な形で把握できない=大した被ばくではないと説明

 

根拠なし、国や福島県庁・健康管理委が検査を妨害・未必の故意による不作為、SPEEDI隠蔽、安定ヨウ素剤服用させず、放射能モニター実態示さず、初期被ばく検査妨害、WBC等機器類用意せず=ごく少人数をいい加減な検査 ⇒ 一貫した「被ばく隠蔽・もみ消し」の姿勢

 

200万福島県民、それにその周辺都県の各個人の被ばく線量は、結局、(意図的・作為的に)ほとんど計測されなかったから「わからない」、それでも甲状腺等価線量で50ミリシーベルト以上の被爆者(子ども)がいる(発がん可能性)

 

(一般論として)100ミリシーベルト以下でのガンその他の疾患の多発証拠は山ほどある(小児・妊婦のCT、原子力施設労働者、航空機乗務員、原発周辺住民など)

 

そもそも「統計学的有意性がない」=「被害がない」ことではない(シロウトだましの議論のすり替え)

 

(4)食べ物の汚染度は低い

チェルノブイリ原発事故では汚染ミルクやキノコなどを食べていた、日本は違う、などというが、飲食品の汚染状況もよくわからない、人それぞれ、ホット・スポット的な飲食物があり危険

 

(5)チェルノブイリ原発事故では5歳以下の小児が多かった

 チェルノブイリ原発事故では、5歳以上の甲状腺がんも増大した(山下俊一論文)。また、検査対象者や検査の仕方が違う(アクセスの仕方が違う)ので発見タイミングが違う=単純に比較できない

 

3.「国連科学委員会(UNSCEAR)」やWHOのいい加減な放射能汚染・被ばく状況調査報告に寄りかかり、専門家として、その内容を吟味・検討しない。しかも、自分たちに都合のいい部分だけを引用したり(不都合部分は無視)、自分たちの都合のいいように書き換えて嘘八百の内容にして引用、

 

例:「国連科学委員会(UNSCEAR)」は「LNT仮説まで否定している」などと引用=嘘八百、「統計学的有意性がない=しかし被害はありうるし、それを極小化すべく被害者の現状把握や意向を反映させ被ばくを小さくせよ」の部分は無視

 

4.1225日の「福島県民健康調査検討委員会」で発表された2巡目検査で4人の子どもたちに新たに甲状腺がん発見 ⇒「中間とりまとめ」に反映せず

 

意味するところは、(1)子どもの甲状腺がんはわずか2年で大きくなり悪性だ、(2)最初の診断がいい加減だった、(3)初期被ばくだけでなく、その後の放射性セシウムや放射性ヨウ素129などによる被ばくの可能性 ⇒ このままでは危ない

 

5.12月末の2つのNHK番組:(「NHKスペシャル|メルトダウン File.5知られざる大量放出」と「サイエンスZERO」=セシウム・ボール)も「中間とりまとめ」に反映せず

 

3/15以降に75%の放射能放出 特に3/16に放射性ヨウ素を通常の10倍以上放出 ⇒ 3/16の放射性ヨウ素のプルームの動きが重要

 

ホット・パーティクル(セシウム・ボール)の危険性(内部被曝、特に呼吸被曝)=「セシウム・ボール」などというネーミングはおかしい(放射性セシウム以外のさまざまな危険な放射性物質が含まれている)

 

6.甲状腺がん以外の疾患や遺伝的障害の可能性を頭から否定して観察も検査も調査もしない=もみ消してしまえ、のスタンス

 

(血液検査・白血病検査、7Q11染色体異常、白内障検査、エピジェネ異常検査、心電図、尿検査、高性能WBC、バイオアッセイ(歯、大便、毛髪他)、等が必要)

 

7.その結果、下記のようなトンデモ方策が打ち出されてくる

(1)「福島県民健康調査」の抜本的見直しと拡充は検討もされない ⇒ それどころか、被害者本人の健康管理のためではなく、疫学追跡調査を主目的に切り替えるような方針(まるで県民をモルモットにするような扱い・発想)

 



<検討すべき拡充内容>

検査項目の拡大、検査結果の被害者へのフィードバックの充実、検査記録の保存堅確性

18歳以上住民への検査や調査・健康管理の拡大、

放射線被曝防護(避難・疎開・移住や長期保養の保障等)、

被ばく医療充実(体制=病院・人員、費用負担無料化)

 

(2)福島県外への健康調査・管理・被ばく医療の拡大は絶対にしない(多くの自治体や住民からの要請は無視=蹴飛ばす)

 

(3)今行われている(不十分極まりない)「福島県民健康調査」を「過剰診断・過剰診療」などと誹謗中傷し「つぶそう」という執拗な悪意、ためにする議論

 

「偽陽性」判断の危険があるから検査・調査をやめろという暴論

実際は「偽陽性」はわずか1人だけ、むしろ「偽陰性」の疑いの方が4人で多い

「過剰診断・過剰診療」批判は今の学校や職場での健康診断などに振り向けよ

 

(4)福島県内外の被害者の方々の意向・意見・願い・要望・期待・怒り・反発・不信などを一切聞こうとしないし、反映もさせようとしない。(このことは国際放射線防護委員会(ICRP)勧告や「国連科学委員会(UNSCEAR)」報告に違反しているし、「子ども・被災者支援法」にも明確に違反)

 

(5)(似非)専門家会議に招かれた多くの専門家の意見や議論が全く無視され結果に反映されない=原子力ムラ・放射線ムラだけの議論と検討(これも上記違反)

 

8.なぜ、所管が厚生労働省ではなくて環境省なのか(そのココロは)

 放射線被曝原因とはいえ健康と医療の問題=本来は厚生労働省の所管、しかも様々な疾患や病気と関連、かつ病院や診療所、介護施設とも関係、厚生労働省でないと実質的に対応ができない

 

(1)最初から「やる気がない」⇒ 環境省を「前座」として使っておいて、内閣府・首相官邸や厚生労働省が拒否権を持つ

(2)情報を統制一元化しやすい ⇒ 環境省は御しやすい

(3)厚生労働省が所管を拒否している?

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