前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
別添PDFファイルは、昨今の原子力「寄生」委員会に関連した若干の報道、ないしは論文です。福島第1原発事故がもたらした悲惨な結果と深刻な原発・原子力への懸念から、新たに創設したはずの原子力「寄生」委員会・「寄生」庁でしたが、今や、福島第1原発事故以前よりも、どうしようもないほどにひどい「原発出鱈目追認委員会」となり、また、一般の有権者・国民・市民をだまくらかすための(規制しているふりをする)「リップサービス委員会」に転落しております。特に田中俊一原子力「寄生」委員長の「すっとこどっこい」ぶりは、恐らくは近い将来、日本に再びの災いをもたらしたインチキ男、日本滅亡への墓掘り人、として歴史に名を残すでしょう。
この「口先やるやる詐欺」民主党政権が(委員や委員長の人選も含めて)生んだ原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、もはや反国民的な原発推進組織となっています。予定通りと言えば、その通りなのでしょうが、それでも、少しはよくなっている、などと、マスコミの愚かな報道に毒されている有権者・国民・市民が少なくないことも事実でしょう。脱原発市民は、このインチキ委員会の原子力「寄生」委員会の告発を含め、これまで以上に世論喚起に努めるとともに、2015年から16年にかけての統一地方選挙や国政選挙において、全力で脱原発候補の当選=原発推進勢力の落選へ向け全力を挙げる必要があります。再びの原発・核燃料施設過酷事故まで、残された時間はあまりないかもしれないのです。(脱原発仲間の外へ訴えることが重要です)
以下、別添PDFファイルを簡単にコメント付きでご紹介いたします。
<別添PDFファイル>
(1)SPEEDI活用せず、規制委方針、原発避難、実測に転換(朝日 2014.10.9)
(2)フィルターなしで「安全」、志賀2号機、北陸電が見解(東京 2014.10.10)
(3)再論 杜撰な)11内原発の新規制基準適合性審査(石橋克彦神戸大学名誉教授 『科学 2014.11』)
(4)原子力規制委員会「事故分析検討会」の暴走(田中三彦
『科学 2014.11』)
(5)汚染の実態、地道に追う
北里大などストロンチウム測定(東京 2014.10.28)
1.SPEEDI活用せず、規制委方針、原発避難、実測に転換(朝日 2014.10.9)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11393079.html
(一部抜粋)
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東京電力福島第一原発事故では、予測のもとになる原子炉などの情報が得られないなか、初期の住民避難に活用されず問題になった。規制委は昨年2月に原子力災害対策指針を改め、重大事故が起きた段階で5キロ圏内は即避難、30キロ圏は屋内退避したうえで、周辺のモニタリングポストによる放射線量の実測値をもとに避難などの判断をすることにした。
事故前、避難の指標とすると位置づけられていたSPEEDIは、「参考情報」に格下げされた。だが、使い方は具体的に示されておらず、予測結果を避難の判断に使えると受け止める自治体もあった。
この日に決めた運用方針で、避難の判断以外の使い方を示すことを明記。放射性物質の放出が収まった後、放射性ヨウ素などの被曝(ひばく)線量の事後評価などの例を示す。対策指針に基づくマニュアルは、重大事故発生時にSPEEDIで計算を始め、結果を公表するとしているが、混乱を招くおそれがあることから、計算自体しないよう修正する。
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(田中一郎コメント)
話は簡単です。SPEEDIについて言えば、巨額の予算(数百億円)を使って開発し、原発推進のための「安心材料」としてさんざん宣伝に使い、いざ過酷事故になったら、その過酷事故が深刻なものであることを何とか隠すためにSPEEDIも隠してしまい、それがバレてこっぴどく叱られたが、責任者はうやむやにしてほったらかし、二度と痛い目にあいたくないので、SPEEDIは過酷事故時の避難誘導などには使わないことにして責任を棚上げにし、そのための屁理屈を考え、世間さまに向かって言いだすタイミングをはかるのに2年以上を費やし、それでもSPEEDIにまとわる「利権」や「甘い汁」は手放したくないので(「カネ」のなる木なので)、原発事故に関連して、薬にも害にもならないような「お遊び」作業にSPEEDIを使うと称して、その温存を図った、というのが、その実態です。
原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が言うことに反して、皮肉にも、福島第1原発事故時のSPEEDIの放射能拡散の予測は、実際のものとよく合致していて、SPEEDIが捨てたものではないことを示しています。これを再び避難時の誘導のための第1線資料とすることには合理性があります。
また、私は怒りを持って告発しなければならないのは、避難指示や誘導を「(放射能モニタリングの)実測値」で決定するとしている点です。福島第1原発事故の際には、このモニタリングがきちんと機能せず、地震による停電で動かない、津波をかぶってしまった、などなど、全くバカバカしい理由で、モニターのほとんどが正常に稼働しませんでした。また、事故後においても、なんだかんだと言っては、このモニターの計測記録が公表されておりません。たとえば、福島第1原発敷地内に置かれていたすべての放射能モニターの実測結果を、時系列の沿ってオール公開してみたらどうか、と思います。
また、実際問題、再稼働目前とされている西日本の各原発の周辺地域には、放射能のモニターなど、まともに設置されておりません。モニターがないのですから、実測値による避難の決定も誘導もあったものではないのです。いったいどこに、いくつのモニターがあり、その予備電源や津波対策や、がけ崩れ対策などはどうなっているのでしょう。また、いざ過酷事故となった際には、誰がそのモニターの数字を見に行って、誰にどういう頻度で報告をし、それを誰がどのように集計して、どういう手段を使って広範な地域住民に伝えるのでしょうか。もちろん、この最も肝心なことは、お遊びにもならない(似非)避難訓練においても、訓練されることはないようです。いい加減なことを言うな、というのが、その実態です。
それからSPEEDIについてはもう一つ申し上げておかなければなりません。「緊急時対策支援システム(ERSS)」と言われるもので、SPEEDIとも連結されているといわれるシステムのことです。こちらもSPEEDIに負けず劣らず、巨額の開発費がかかっているはずです。これが福島第1原発事故の際には機能しませんでした。何故かはわかりませんが、故障してしまっただとか、いやいや、意図的に停止された、とか言われています。何故,SPEEDIとともに「真相解明」を行って、その責任追及をしようとしないのでしょうか。何故、再発防止のため、ERSSについての諸問題を再検討のテーブルに載せないのでしょうか。
どこまでいっても無責任と出鱈目の累積、それが原発・原子力ですが、そのことを端的にあらわしているのが、このSPEEDIとERSSの問題です。失敗したものに、きちんと決着をつけろ、という、一般のことであればあたりまえのことが、なされないまま、ずるずると「トラブル再発モード」に転落していくのです。
●旧組織からの情報-ERSSの概要|原子力規制委員会
http://www.nsr.go.jp/archive/jnes/bousai/system/erss-1.htm
2.フィルターなしで「安全」、志賀2号機、北陸電が見解(東京 2014.10.10)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014101002000146.html
(一部抜粋)
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北陸電力は九日、志賀原発2号機(石川県志賀町)が規制基準に適合しているかどうか確認する原子力規制委員会への審査申請の書面に、事故対策設備「フィルター付きベント」設置を盛り込まなかったことについて「2号機は沸騰水型の最新型。無くても放射性物質を低減できる」との見解を示した。石川県原子力環境安全管理協議会で、北陸電担当者が説明した。
規制委は基準を満たさないとして再検討を求めており、北陸電が反論した形。ただ北陸電は申請前から、二〇一五年度中の完成を目指し2号機でフィルター付きベントの設置工事をしている。
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(田中一郎コメント)
フィルター付きベントはいらない、必要だという原子力「寄生」委員会の前で、堂々と、そんなものいらない、と暴言を吐く北陸電力、常識を逸脱しています。そして、お人好しの騙され型人間は、原子力「寄生」委員会が北陸電力相手に、原発安全確保のために頑張っているな、などと思うのかもしれません。しかし、それはまるで逆さまです。
(1)原子力「寄生」委員会は、なぜ、かような北陸電力・志賀原発の再稼働審査を受け付けたのか。入口のところで申請書をはねつければ済む話ではないか。私はこれは、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の「やらせ」の一つではないかと見ています。これだけひどい案件を大々的に有権者・国民・市民に見せておけば、少々のひどい案件については「目が慣れて」きて、大して問題だと思わない、そういう心理状態をつくりだせる、という「(世論誘導)戦略」があるのではないかと思われます。
(2)肝心な、フィルター付きベントがもつ大問題が焦点になっていません。原発は放射能を閉じ込めて周辺住民に迷惑をかけないという約束の上で運転されることになっていますが、それが非常時にはベントによって放射能を周辺環境にばら撒きます、というのでは約束が違います。更に、この「ベント」なるものも、単に放射能だらけの気体を「水」に通して放射能を少し水に溶かせます、という程度の代物で、決して放射能を無害にしてくれるものではありません。しかも、原子炉の中からすさまじい量の放射能がベントで外に出てきますから、少々、水に溶かして放射能を除去したところで、とりきれないのです。
たとえば1千兆ベクレルの放射能をベント・フィルターで除去して、その1/1000にしました、などと言っても、1千兆×1/1000=1兆ベクレルもの放射能が外に出てしまいます。そして、実際の原発過酷事故では、1千兆ベクレルどころか、その何万倍、何10万倍もの放射能が外に出てくるのです。焼け石に水だということです(更に、排出される放射能の気体は、高温高圧なので、やがてフィルターの水が沸騰して役に立たなくなります。つまり、フィルター付きベントのフィルターなど、まともには機能しない可能性が高いということです。これを機能させるには、原子炉と同じ大きさくらいの巨大なフィルターを何重にも設置しておく必要があります:柏崎刈羽原発でこのフィルター付きベントの機能の程度が問題になっていますのでご注目を)
(3)そもそも、北陸電力については、臨界事故を隠していたことが発覚した時点で、原発免許を取り上げるべきだったのです。この会社に原発を運転させることはやめさせなければいけません。それが原子力「寄生」委員会の役割・使命というものです。
3.再論 杜撰な)11内原発の新規制基準適合性審査(石橋克彦神戸大学名誉教授 『科学 2014.11』)
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/
(田中一郎コメント)
原発の安全性審査のポイントは2つあり、その一つが地震・津波・火山噴火などの自然災害についての「想定」です。石橋克彦神戸大学名誉教授が、前月号に続いて、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁のずさん極まる基準地震動審査の実態を告発されています。必読です。先般参議院議員会館で行われた川内原発再稼働審査に関する院内交渉においても、原子力「寄生」庁の若造役人達は、基準地震動の検討について、九州電力の説明を丸のみした「バカバカしい同義反復」説明を繰り返しておりました。石橋克彦神戸大学名誉教授の「警告」は重要です。なお、下記では、同氏の主張をご紹介しきれませんので、みなさまにおかれては、原文を入手の上、ぜひともご一読ください。
(一部抜粋)
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法令である原子力規制委員会規則(と「規則の解釈」は,基準地震動(一般に複数策定される)のうちの「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」に関し,内陸地殻内地震,プレート間地震,海洋プレート内地震について原発敷地に大きな影響を与えると予想される地震(検討用地震)を複数選定し,それぞれの地震動を評価するよう求めている。しかし九州電力は,プレート問地震と海洋プレート内地震は,最大規模の地震の発生位置が原発から十分に離れており,敷地に大きな影響を与えないとして,検討用地震を選定しなかった。九州電力の説明は何の議論もなく審査会合を通過し,審査書案には九州電力の言い分だけが記された。
けれども,九州電力の説明は地震学的にけっして自明のことではない。むしろ,
後述のように間違っていると直ちにわかることもあるから,審査側は,「大きな影響を与えない」と本当に言い切れるのか,詳しい説明を求めるべきであった。それを見過ごしたことは,審査の確実性・信頼性を損なっているばかりでなく,基準地震動策定の不十分さをもたらしかねない。結果的に法令違反とさえ言えるわけである。
(中略)私の応募意見にたいする規制委員会の回答は以下のとおりである。「地震動評価に当たっては,プレート問地震,海洋プレート内地震及び内陸地殻内地震について過去の発生状況等を踏まえ,この中から敷地に大きな影響を与えると予想される地震を検討用地震として複数選定することを求めています。申請者は,プレート間地震及び海洋プレート内地震については,それぞれ最大規模のものの発生位置か敷地から十分に離れており,敷地に大きな影響を与える地震ではないと考えられることから,検討用地震として選定していません。」
これが「御意見に対する回答(御意見への考え方)」として掲げられているのである。思わず「規制委員会は事業者の使い走りか」と言いたくなる。
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4.原子力規制委員会「事故分析検討会」の暴走(田中三彦
『科学 2014.11』)
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/
(田中一郎コメント)
原発の安全審査のもう一つのポイントが、原子炉の設計上の問題です。そしてこの問題は、福島第1原発事故の教訓を活かしながら、徹底して1から見直す必要があることは言うまでもありません。そのためには、福島第1原発事故の実態解明と原因究明に携わる科学者・技術者の各委員の人選についても、十分な考慮が必要であることもまた、言うまでもありません。福島第1原発事故を引き起こした当事者である原子力ムラ(似非)学者どもを集めて検討したところで、そんなものは無意味だからです。しかし、国会事故調の委員であった元日立バブコックの原子炉設計技師の田中三彦氏は、この『科学』論文で、いかに原子力「寄生」委員会の下に置かれた福島第1原発事故の検討委員会がひどいか、暴走しているか、原子力ムラ単独審議になっているかを、(自身の怒りをしっかりと押さえながら)的確・冷静に告発しています。この論文も必読です。下記には、そのイントロ部分のみをご紹介しておきます。
(一部抜粋)
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,今回取り上げるのは,同じ検証作業でも新潟県技術委員会のそれとは対照的な,昨年3月原子力規制委員会が設置をきめた「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」(以下では,原子力規制委員会にならい「事故分析検討会」と略記する)である。
事故分析検討会は,本年7月18日,第6回会合で,それまでの分析・検討結果をとりまとめた「東京電力福島第一原子力発電所事故の分析中間報告書(案)」なるものについて審議した。この中間報告書は,国会事故調が報告書で「未解明問題」として提示した問題をことごとく否定、つまり,取り上げる必要性のない問題と断定した内容になっている。
(中略)この中間報告書(案)はつぎの二つの点できわめて受容し難いものである。一つは,検討内容が一方的であること(不利な問題や事象は議論しない), もう一つは, この中間報告書(案)を作成した事故分析検討会の“体質"である。これが本当に福島原発事故に対する深い反省のもとに設立された原子力規制委員会の検討会なのかと思わせるほど,ひどい。その 体質は,驚くほどに独善的であり,当然,報告書の内容もその体質を強く反映している。
この検討会は,更田豊志原子力規制委員のほか,原子力規制委員会の事務方である原子力規制庁から4人, (独)原子力安全基盤機構(発足当時)から5人, (独)日本原子力研究開発機構安全研究センターから4人,そして5人の「外部専門家」、合計19人のメンバーで構成されている。このうち合計9人のメンバーを出している二つの独立行政法人は. 3,11 までの原発の強力な推進機関である。
もちろん,この種の検討会には好むと好まざるとにかかわらずその道の専門家が必要だから,それもやむなしとしても,しかしそうであるならーーというより,そうであるからこそ少なくとも外部専門家には原発推進に慎重な立場をとる学者,研究者,技術者を何人か配しておくことが,原子力規制委員会という規制組織が必然的に求められているバランス感覚でなかろうか。しかしこのメンバーを見れば,いまの原子力規制委員会にそのようなバランス感覚がないことは明らかだ。
事実,外部専門家として原子力規制委員会が招聴したう人のうちの4人は. 3. 11以後も積極的に原発推進を唱え,国会事故調報告書を公然と批判している奈良林直・北海道大学教授,旧原子力安全委員会の久木田豊氏,そして自己申告はしているものの原発関連企業から高額な寄付や研究助成をもらっている二人の学者である。
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5.汚染の実態、地道に追う
北里大などストロンチウム測定(東京 2014.10.28)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/fukushima_report/list/CK2014102802000193.html
(一部抜粋)
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ストロンチウムはベータ線しか出さないので、計測が難しく、実態の解明は進んでいない。北里大の和田成一准教授は「ストロンチウムは体の中に入っても91%は便などで体外に排出される。だが、7%は骨に蓄積され、体外に出にくい。ベータ線が骨髄を照射するので、長期的な観察が重要だ」と説明した。
(中略)昨年、二歳の牛から採った骨には、カルシウム一グラムあたりストロンチウム90が四・四二~二・一六ベクレル検出された。これは核実験が続いた一九六〇~七〇年代に北海道で調べられた馬の骨と同程度だという。
浪江町小丸地区の二十三カ所で採取した土は、最大で一キロあたり一九〇ベクレルだった。明らかに高い場所がある一方、検出できない場所もあった。
(中略)研究会事務局長の岡田啓司岩手大准教授は「これまでの調査では、牛に放射線による障害や病気は確認されていない。だが、体内蓄積や白血病などのリスクを考えると、継続的に調査をする必要がある。土壌中のストロンチウムは場所による変化が大きく、一カ所調べたぐらいでは実態は分からない」と研究の意義を語った。
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(田中一郎コメント)
本来であれば、海と陸とに分けて、放射性ストロンチウムは厳重にその汚染状況が調べられなければいけない放射性物質です。幸いにしてか、不幸にしてか、放射性ストロンチウムは生物の骨や歯など、カルシウムの溜まる場所に蓄積するのですから、放射性ストロンチウムの汚染状況を計測するには、家畜や野生生物の骨や歯を徹底して継続的に調べればいい話なのです。たとえば、福島第1原発事故後、福島県北部に住みついて繁殖しているニホンザルなどをつかまえて、その放射能汚染状況を調べるなどは、当たり前中の当たり前のことです。そして、こうしたことは、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が予算を十分に確保した上で、複数の研究調査機関に依頼をして、計画的に実施されていくべきでしょう。海外からの支援も受け、もちろん、原子力や放射能に批判的な科学者なども広く参加して、実施されていくべきことなのです。
しかし、実際は、放射性セシウムよりもはるかに危険な放射性ストロンチウム調査は「放置」され、飲食品などの放射性ストロンチウム汚染も検査・調査される様子はありません。福島県沖の、放射能汚染水で汚染されてしまった海域での放射性ストロンチウム調査さえ、まともになされておりません。そんな中、こうして、民間の大学や研究機関が放射性ストロンチウムを中長期的なスタンスで調査していることは、たいへん心強く思います。
上記の記事では、私は1つだけ、腑に落ちない=ほんとかな、と思う箇所があります。「北里大の和田成一准教授は「ストロンチウムは体の中に入っても91%は便などで体外に排出される。だが、7%は骨に蓄積され・・・・」の部分です。91%排出と7%体内蓄積、この割合は固定的に考えていいものなのでしょうか。私は、直感的に、これは一概に言えないのでは? 個体差が激しいのではないか? と思いました。詳しい方がおられれば、ご教授ください。
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