稼働させたらさっそくトラブルの「手抜き原発」=川内原発,何故,原発を一旦止めて,全復水器の全ての細管,関連して蒸気発生器細管の傷み具合を点検しないのか (なにせ4年近くも動いていない老朽化原発ですから)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
(最初に川内原発の起動を止めろのネット署名です:メール転送です)
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再稼働した川内原発1号機の復水器の2次冷却水に海水が混入した旨が報道されています。「川内1号機、出力上昇を延期=2次冷却水に海水混入か-九電」(時事通信 2015/08/21-13:14)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201508/2015082100245
「川内原発 トラブルで出力上昇作業を延期」(NHK8月21日 16時06分)
https://www.nhk.or.jp/news/html/20150821/k10010197331000.html
詳細はわかりませんが、冷却用の海水を取り込む細管が破損したとみられています。九電は、原子炉を止めずに、この復水器の細管約13,000本を検査し、損傷している細管を特定するとしています。しかし、運転しながらでは小手先の対策しかとることしかできません。作業員の安全を確保するためにも、またトラブルの原因を
まず止めて、それから調査すべきでしょう。
7団体の呼びかけで、九州電力、原子力規制委員会、鹿児島県あてに、川内原発1号機を停止させ、
徹底的に原因を究明することを求める緊急署名を始めました。以下のフォームから署名することができます。
https://pro.form-mailer.jp/fms/3b3fb08783339
ぜひ署名および拡散にご協力ください。
一次締切:8月26日(水)朝10時
二次締切:8月31日(月)朝10時
呼びかけ団体: 川内原発30キロ圏住民ネットワーク/反原発・かごしまネット/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/原子力規制を監視する市民の会/国際環境NGO FoE Japan
問い合わせ先:090-6142-1807(満田)
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<川内原発の近況について:メール転送です>
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(1)川内原発1号機でトラブル 出力上昇延期へ
(産経新聞) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150821-00000520-san-soci
(2)(別添PDFファイル)川内あす出力上昇、細管の穴修復後、95%に(朝日 2015.8.26)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11932069.html
(3)(別添PDFファイル)川内原子力発電所 1 号機の状況について《日報》(九州電力 2015.8.24)
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0047/9598/news150824.pdf
稼働後審査を始めたばかりだというのに、早くも復水器(海水を使って冷やすことで、二次冷却水を水蒸気から水に戻して蒸気発生器に送り返す装置)にトラブルが発生、海水を流す細管5本に穴が開いているのが見つかったという。ここから海水が漏れて、復水器内に混じり込んだとみられる。本日付の朝日新聞朝刊によれば「周辺の細管も含めて計69本に、海水が流れないようにふさぐ作業を実施し、原子力規制委員会の確認を経て、出力を上げる作業を再開する」のだという。この問題に詳しい方より複数のメールをいただきましたのでご紹介申し上げます。
何故、原子力規制委員会・規制庁は、九州電力に原発を停止させ、今回のトラブル箇所のみならず、すべての機器類について総再点検をさせないのでしょうか? 何故,全復水器の全ての細管,関連して全蒸気発生器の細管の傷み具合を点検しないのでしょうか。また,今回のことは,蒸気発生器や復水器という加圧水型原子炉の「アキレス腱」を「抽出検査」などという「手抜き」検査で済ませてしまっていた結果であり,こういういい加減なことは,この原発の他の箇所でもしているに違いないでしょうから,当然,この今回のトラブルを受けて,原子炉全般にわたり,再度「違う目」で総点検を行うべきなのです。(なにせこの川内原発1号機は,約4年近くも動いていない老朽化原発ですから,あちこちでガタが来ていて全然おかしくないわけですから)
それにしても,「工事計画」認可申請書を白塗りにして隠蔽し、いい加減な審査・検査で起動させたことの結果がこれです。「神様の警告」と受け取るべきです。印象としては,地元の猛反対を無視して強引に出航した,かつての原子力船「むつ」が,出航わずかして放射能漏れを起こし,そのまま役に立たずに廃船となっていった,あの時のことと同じような気がします。大事故につながっていかなければいいがと,心配でしょうがありません。田中俊一原子力規制委員会長の顔をTVで見かけたら,益々心配になってきました。
(メール その1)
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川内原発のトラブルは、重大な事故に繋がる危険性をはらんでいると考えざるを得ません。私は、かつてボイラーメーカーの下請けに勤務していた程度の経験や知識しかありませんが、ご専門の方、ぜひコメントいただければと存じます。
同事故は、復水器(蒸気を水に戻す)内の冷却用の海水のチタン細管に「穴」が開き、二次冷却水に海水が混入した事故とされていますが、なぜ配管に穴が開いたかは明らかにされていません。また、二次冷却水自体が海水中に漏れている可能性も考えられますが、この点についても明らかにされていません。
川内原発には、1基の高圧タービンと3基の低圧タービンとがあり、後者に3基の復水器が付いています。事故は、これらのタービンを順次稼働して、発電出力を上げていく段階で起きたとされています(75%にした段階か、95%にした段階かは、公表された情報からは不明です)。すなわち、どれかのタービンと復水器を稼働した段階で生じた、と考えられます。
したがって、この穴は、(1)もともとあった穿孔や亀裂が検査時に見逃されたもの(サンプル検査だけで全数検査は行われていないようです)、(2)今回稼働時の熱や圧力などのストレスで新たに生じたもの、(3)タービンブレード(羽根)の損傷による破片の衝突など外的な要因で生じたもの、などが考えられます。
いずれにしても、今回の事故は、極めて深刻な問題を含んでいる可能性を示唆しています。とくに(3)であった場合は、このまま運転を続けると、さらに配管の損傷が付け加わっていき、蒸気発生器細管に入り込んで、それが破断したような場合には、重大事故に繋がりかねません。
本来、加圧水型炉の場合には、その本質的欠点として、二次冷却水から作られる蒸気温度が低く(255℃あるいは185℃程度、火力発電では500℃以上)、凝固して水滴を生じやすく、その水滴が高速で衝突することによって、タービンブレードが破損する事故が起きやすいということが言われています。
これらの意味で、川内原発を運転したまま、事故原因を解明し対処するというのは、きわめて危険です。直ちに停止して事故原因を解明すべきです。そのための緊急の署名が行われていますので、ぜひともご協力ください。
なお情報についてはNHKニュースが詳しいので、以下を参照ください。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150821/k10010197331000.html
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(メール その2)
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皆様。牧野淳一郎東工大教授の19時間前のTWで
https://twitter.com/jun_makino
下記の論文が紹介されています。
http://www.inss.co.jp/seika/pdf/8/236.pdf
つまり、牡蠣などの稚貝が流れの緩やかな時に細管内に付着し、発育する途上で細管内壁を侵食し、細管閉塞や細管穿孔を起こすプロセスがあるということです。稼働停止後、すべての原発の細管内で同様のことが起きているはずですから、恐らく、ほとんどの細管は、付着した稚貝に占領されている可能性があります。と言うことは、恐ろしい数の細管に栓をしなければならなくなるのではないかと思われます。ギロチン破断も起こるおそれがあります。
(上記メールへのコメント)
海水を冷却に使用することによる危険性は、この論文のご指摘の通りと思います。川内の場合は、細管の材料は銅合金ではなくチタンですが、危険性は同じだと思います。
教えていただいた九電のホームページでは、
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0047/9598/news150824.pdf
破損した配管は、隣り合って並んでいたようで、外からの破損を疑わせます。
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(メール その3)
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川内原発の復水器トラブルの続報ですが、NHKの報道によると、昨日(8月24日)、九電は、穴の開いていた冷却用細管は、昨日10時までに発見された分だけで5本あったと発表したとのことです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150824/k10010200931000.html
九電のホームページには、これに関する記事は、25日15時現在まだ、プレスリリースに掲載されていないようです。何本検査した中で5本なのかは明らかにされていないようですが、穴の開いていた細管の数は、さらに増える可能性が高いと考えるべきでしょう。
これらの穴の生じた原因として、前述したように、
(1)もともとあった穿孔や亀裂が検査時に見逃された(九電はサンプル検査だけで全数検査は行っていない)、
(2)今回稼働時の熱や圧力などのストレスで新たに生じた、
(3)タービンブレード(羽根)の損傷による破片の衝突など外的な要因で生じた、
などが考えられます。
複数の細管が損傷しているという事実は、このどれが原因であった場合にも、極めて深刻で危険な事態であるということを示しています。
もしこの(1)(2)であった場合には、原発の設備自体に深刻な劣化(おそらく老朽化による)が生じていること、そのような原発を稼働することそのものが極度の危険をはらんでいることを示しています。川内1号機はすでに設備年齢が31年に達しており、老朽化は避けられない状況です。設備の老朽化が明らかだったにもかかわらず、九電は十分な検査をすることなく、すなわちNHKの報道では配管の全数検査をせずサンプル検査だけで、稼働しようとしてきたことはいまや否定しようがありません。
また、今回の事態は、原子力規制委員会の「世界一厳しい」と称する安全基準が、この程度のものでしかなく、全くの形だけのまやかしであること、九電は重大な危険性をはらむトラブルに直面してもなお、穴の開いた配管だけに栓をするという応急措置だけで稼働を続けようとし、規制委員会もそれを容認しようとしていること、などを明らかにしています。
(3)のタービンブレード(翼)の損傷である可能性も依然として否定できないと思います。破損が確認された細管が5本程度に止まり今後顕著に増えていかなければ、損傷の程度はそれほど大きくないのかもしれませんが。
タービンの損傷が原因であれば、タービンの振動や騒音によって、あるいは細管の損傷の形状などで、すぐに判別できますので、九電はすでに認識しているはずのです。もし、今後長期にわたって川内原発1号機の電気出力が100%にならなければ、3基ある低圧タービンの内の1つが損傷していることが明らかになるでしょう。
もう一つは、これらの場合、もう一つの細管を多用した設備である蒸気発生器もまた、劣化が進んでいる危険性が極めて高いことです。蒸気発生器細管が破断すれば、1991年美浜原発1号機事故や2012年のサンオノフレ原発事故のような苛酷事故一歩手前の重大事故を引き起こす危険性があります。また配管の劣化によって主要な配管が破断する事態になれば、高温の蒸気・水が漏れ出し、2004年の美浜原発3号機事故のように死傷者の出る大事故に繋がりかねません。
いずれの場合にしても、川内原発1号機は動かしてはならない、直ちに停止すべきだということは明らかです。
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(メール その4)
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(3)川内原子力発電所 1 号機の状況について《日報》(九州電力 2015.8.24)
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0047/9598/news150824.pdf
ここでは破損が発見された5本は、それぞれ並んでいることが示されておりまして、外からの力で破損されたことを示唆しています。タービンブレードの破片による破損の可能性が高いと思います。それとともに、原因の可能性(4)として、細管の振動による管板との摩擦による腐食も考えられると思います。
(メール その2)との関連では、川内原発では細管は銅合金ではなくチタン製ですが、生物学的腐食は同じように考えられます。いずれにしても、川内原発1号機は極めて危険な状態にあり、即時停止することが必要であると考えます。
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(メール その5)
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皆さま,川内原発1号機トラブルの続報2です。
今日の朝刊によると九電は、明日27日から出力を、現在の75%から95%に高める作業を再開するとのことです。九電の対応を日報から引用しておきます。
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0048/0367/news150825.pdf
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0048/0366/news150826.pdf
九電は、5本の細管に穴のあいた原因を、高圧給水加熱器非常用ドレン入り口に近いので、起動時にドレン(水)が細管あるいは管板に「衝突した」ためと推定しています。もしそうであるとするなら、今回のトラブルの基礎には、細管が復水器設計時の細管の強度以下に劣化し、ドレンの水がかかった程度の衝撃で穴があく程度にぜい弱化している、という事実があるわけです。すなわち、九電の推論からは、最低でも、すべての復水器(九電資料によると3基)について、ドレン入り口に近い配管をすべて施栓する必要があるという結論が出てくることになります。
また、当然すべての復水器配管(8万本)についてその健全性をチェックしなければならない、そうしなければ安全性は確保されないということになります。復水器の冷却用の海水の配管は約8万本ありますので、トラブルのあった20日から26日までのわずか6日間で、この配管をすべてチェックすることは時間的に不可能です(1秒間に9本の割合で検査が必要)。細管の減肉や腐食や損傷の全数点検は行われていないままです。
それにもかかわらず、九電は、水漏れ箇所だけを応急的に施栓して、配管の減肉や摩損や腐食の危険が明らかなのに、それらのチェックはせずに、穴のあいた5本とその周囲の配管64本を施栓しただけで、稼働を強行するつもりです。原子力規制委員会もこれを黙認しようとしています。
これほど危険なことはありません。最低でも、川内原発の稼働を止めて、全配管を点検しなければなりません。われわれの見解では、再稼働そのものを中止しなければなりません。ここにも今回の再稼働が原発事故に対する政府・電力会社の基本的な考え方そのものの変化、「事故は起こらない」から「事故は起こしてもよい」への、安全神話からリスク容認論への、移行が現れています。明日以降の川内原発の状況を心して見守る必要があります。
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草々