(報告)(10.30)オルタナティブな日本を目指して:再開第15回:幻想の「核融合発電」(黒川眞一「高エネルギー加速器研究機構」名誉教授:たんぽぽ舎 2025年10月30日)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
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去る2025年10月30日、水道橋のたんぽぽ舎に於きまして、下記「新ちょぼゼミ」講演会を開催いたしました。ご多忙中のところ多くのみなさまにご参加いただき感謝申し上げます。当日のVTRにレジメや関係資料を添付して、下記にご報告申し上げます。よろしくお願い申し上げます。
◆(イベント情報)(10.30)再開第15回:幻想の「核融合発電」(黒川眞一さん:たんぽぽ舎)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2025/09/post-9960c3.html
核融合は核分裂とは違って安全で過酷事故などはなく、かつ、無尽蔵にある資源を使って作る未来の夢のエネルギーですから、一刻も早く実用化に向けて、国民が一体となって開発を進めていきましょう。核融合、明るい未来の、エネルギー、だそうです。どこかで聞いたことがあるキャッチフレーズですね!! まただまされて下さいと言っているようです。核融合発電では、重水素と三重水素(トリチウム)からなる超高温プラズマを磁場を用いて容器の中に閉じ込めて核融合させ、核融合によって発生する中性子のエネルギーを用いて発電を行います。超高温プラズマを長時間維持し続けることは非常に難しく、発生したエネルギーを発電用に集約していく仕組みも容易ではありません。原料は無限にあると言われていますが、大量のトリチウムを利用可能な形で調達するのも大変です。技術的な困難が山のように立ちはだかり、核融合の研究は進んでいても、それを採算の合う発電に結び付ける技術は全くと言っていいほど存在していません。何十年も見続けてきた「(悪)夢」を、これからも巨額の税金をつぎ込んで推進していくのでしょうか? 今回は物理学者の黒川眞一氏(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)に核融合発電のご説明をお願いしました。
◆講 師:黒川眞一(くろかわ しんいち)さん
大学共同利用機関法人「高エネルギー加速器研究機構」名誉教授
◆(当日のVTR)20281030 UPLAN 黒川眞一「幻想の「核融合発電」」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=E9lgRs2vxDM
https://www.youtube.com/watch?v=E9lgRs2vxDM
◆(当日レジメ)(レジメ)(10.30)幻想の「核融合発電」(黒川眞一さん:たんぽぽ舎)(2025年10月30日)
https://drive.google.com/file/d/1ijZv7QCXjoUOh2w-ZLQbALXYUHf51sdi/view?usp=sharing
https://drive.google.com/file/d/1ijZv7QCXjoUOh2w-ZLQbALXYUHf51sdi/view?usp=sharing
<田中一郎コメント>
私の核融合、及び核融合発電に関する現時点での認識は、①核融合反応の地球上での実現は、物理学の原理から鑑みて限られた範囲内で可能かもしれないが、それは「分刻み」のごく短い期間に限られる。何日も何カ月も継続して核融合反応(プラズマ状態)を維持することは困難である。また、②核融合を利用した発電は、様々な困難の壁があり実現不可能(黒川眞一氏や今中哲二氏のご見解を参照)であることに加え、③核融合発電を実施した場合のエネルギー効率や経済性(そもそも採算が合うのか)については、誰一人として真剣に考察・検討している者はいない。つまり、核融合はともかく、核融合発電をあたかも間もなく実現するかのごとく言うマスごみ報道や御用学者、政治家や官僚どもは、すべて「親方日の丸型の核融合発電詐欺師」と見ておいていい。
更に、ここからは私の推測ながら、それでも自民党ら、ロクデモナイ政治家どもが経済産業省の腐った役人どもを使って核融合(発電はインチキ宣伝用)を推進しようとするのは、水爆を製造する技術や能力や人材を維持しておきたいという軍事目的が裏に隠されていると思われる。核融合は、原理的に申し上げると、人間が制御して利用すれば核融合発電となり(上記で申し上げたように不可能)、制御しないで環境に巨大爆発反応を解放すれば水爆となる。これはちょうど、原発が原爆製造の技術と表裏一体の関係にあることと同じである。
そして、軍事用だから「カネに糸目はつけない」ということで、原発や、特に核燃料サイクル事業のみならず、この「核融合発電実現プロジェクト」にも、いつになったら完成するのかもしれないにもかかわらず、湯水のように税金・公金が(原発・核燃は私たちの電力料金も)無断で流用されているわけである。また更に、原子力ムラ・放射線ムラの似非学者どもが、この「詐欺プロジェクト」にタカリ行為を働き、自分たちの原子核素粒子の世界の「興味」「関心」を試してみようとしているということで、この「核融合発電実現プロジェクト」には、似非科学者どものシロウトだましのインチキ科学論付リップサービス(美辞麗句の宣伝文句=多くの日本人はこういう宣伝に弱く、コロッと騙される)が繰り返されながら、巨額の税金・公金が湯水のように投入されていくであろうことが予想される。まさに「ふざけるな!」の核融合利権さながらだ。
ついでに申し上げれば、高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉となったのは、あのカネばかりかかってトラブル続きの低水準技術のポンコツ機械を使わなくても、原爆用プルトニウムを確保することは可能との判断があったからであり、「核燃料サイクル」などという「絵空事」単語は引き続き使いながら、再処理事業はやめようとしないところに、その軍事的魂胆が現れている。高速炉や高速増殖炉を発電に使うなどということは、当初から決して本気ではなかったのだ、ということであり、こんなものに騙されてきた方々は、よくこれまでの自分自身の愚かさを反省した方がいい。そして核融合発電もまたしかりである。「できもしない核融合発電」をあたかも間もなくできるかのごとく言い、完成期を数年おきに都度都度先延ばししながら、他方で、核融合を利用した兵器の開発=つまり水爆技術とその応用をひそかに狙っていると見ておいて、間違いはない。
<別添PDFファイル>
(1)核融合発電実用化、30年代目指し本腰、内閣府 立地やコスト検討(朝日 2025.9.7)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S16297206.html
(2)核融合発電、野心は実るか? 課題はコストと1億度の維持(日経 2025.8.19)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO90734290Y5A810C2TLH000/
(3)新たなパラダイムシフトが起きる、核融合の覇権争い、猛進中国VS日米英(『日経ビジネス 2024.12.9』)
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/01964/
(4)(必読)核融合から”核融合発電”への遙かなる道(イントロ部分)(今中哲二 『原子力資料情報室通信 NO.612 2025.6』)
https://drive.google.com/file/d/1mH5GD45ZX3DBrHyDYfJbzNkSByCbHgMj/view?usp=sharing
(5)(必読)核融合発電という蜃気楼(イントロ部分)(今中哲二『地平 2025.3』)
https://drive.google.com/file/d/1csSJ2PpxeHQ-9ihZV6Q-u9tcJr-1N8KG/view?usp=sharing
◆(報告)(9.14)オルタナティブな日本をめざして(第90回):「福島原発事故とUNSCEAR報告:過小評価される放射線被曝」(黒川眞一さん:新ちょぼゼミ)(2023年9月14日)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/09/post-002c03.html
<いちろうちゃんのブログ>
(1)「原発・原子力の出鱈目てんこ盛り」シリーズ再開(165):幻想の核融合発電=毒を食らわば皿までも(核融合発電原型炉を青森県が誘致するという朝日新聞ニュースに関連して)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2025/02/post-fd4c7d.html
(2)「原発・原子力の出鱈目てんこ盛り」シリーズ再開(168):核融合と核融合発電では技術のレベルが違う=今中哲二氏の論文より & 有権者・国民の税金で収入を得ながら有権者・国民のためには仕事をしない日本の司法・裁判所- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2025/06/post-e1ce0c.html
(参考)オルタナティブな日本を目指して(再開新ちょぼゼミ バックナンバー)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2024/12/post-57c992.html
草々
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