(他のMLでの議論です)松尾匡立命館大学教授のNOTE投稿をめぐって:(1)円相場暴落リスクについて(2)生活保護費切り下げ違憲違法裁判(3)日本共産党「経済再生プラン」他
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.(3.26)オルタナティブな日本をめざして(第100回:最終回):「現代日本の政治改革」(新ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2024/01/post-8b7c61.html
2.「奈良教育大の附属小教員出向人事に反対する緊急署名」のお願い
3月1~10日のわずか10日間の緊急署名です。
ネット署名は、https://chng.it/MxkkHsRtyG
(関連)みんなのねがいでつくる学校 応援団 - 奈良教育大学附属小学校にエールを
https://www.kodomonomahoroba.com/
(関連)(必読書)ルポ大学崩壊-田中圭太郎/著(ちくま新書)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000034436361&Action_id=121&Sza_id=C0
3.オンライン署名 · 国会議員の収入と支出に対する税の公正を求める · Change.org
https://qr.paps.jp/VmOCB
4.(別添PDFファイル)まず立憲が目指すべき社会像を:中野晃一上智大学教授(朝日 2024.2.29)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15874829.html
5.(別添PDFファイル)退役10年、やっと解体が決まった世界初の原子力空母 日本でも闘争招いた「エンタープライズ」の航跡(東京 2024.2.26)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/311385
6.辻元清美「自宅を知られるライドシェアは嫌」 安全、ワーキングプア、環境問題にも悪影響だ - 東洋経済オンライン
https://tinyurl.com/yxhjrdfj
(関連)(別添PDFファイル)ライドシェア、まず日本版、参入拡大へ新法制定探る(日経 2024.3.1夕刊)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA163HG0W4A210C2000000/
(関連)大型トラック 高速道路での最高速度 時速90キロに引き上げへ - NHK - 自動車
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231222/k10014296111000.html
(関連)社説:物流運転手の待遇改善 不合理な商慣行見直しを - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240229/ddm/005/070/080000c
(トラック・バス・タクシーなど、公共交通や物流に携わってくれているエッセンシャルワーカーの賃金や労働条件を、劣悪の限りにしておいて、担い手不足が生じると、今度は白タク(ライドシェア)、白バス(ライドシェア)、高速道路のスピード制限緩和(トラック:玉木雄一郎国民民主党代表)、外国人利用、などと言いだしている。相も変らぬ無責任極まりない「場当たり的な対症療法」の「市場原理主義アホダラ教」政策である。あの頭のイカレタ小泉進次郎が先頭に立って旗を振っている。
事態をどんどん悪くするだけの愚策である。白タクを認めれば、ホンモノのタクシーが消えていくだけの話。過疎地域で路線バスがままならない地域で、タクシー会社が国や自治体からの補助金を得てやるのなら許容範囲だが、タクシーがいる都市部などでやれば、タクシー会社や個人タクシーの経営が追いつめられるだけなのは、ちょっと考えればわかるでしょうに。働く人の処遇を大幅に改善し、正規職として安定した職業にすれば、成り手はいる。問題はそれを避けて通るから、話が歪んでいくのだ。:田中一郎)
<ドアホの政治家2人 ご紹介>
(1)国民・玉木氏「大型トラックの速度規制100キロ」発言に波紋 物流「2024年問題」見据え一部企業が要望も現場は総スカン :東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/246455
(2)「白タク」解禁目指す小泉進次郎氏に「無責任な思いつき」批判…「タクシー会社がライドシェア運転手雇用」政府案にも疑問集まる(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/101b58a941044c074896c14d71d4995809863d2e
(小泉進次郎を「追っかけ」やってるドアホおばさんたちは、まだいるのかな? 議員会館では「進二郎まんじゅう」や「進二郎せんべい」はあまり見かけないけど。ともあれ、この国にはいろんなタイプのドアホがいるようです。:田中一郎)
7.政倫審 リンリリンリと 鈴虫の鳴く
(1)安倍派幹部、関与否定して政倫審終了 還流めぐる説明に食い違いも [自民]:朝日新聞デジタル
https://x.gd/jrGKU
(2)やはり証人喚問しかない? 政倫審で判明したのは「裏金の経緯を岸田文雄首相が把握していないこと」だけ:東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/312303
(3)岸田首相の政倫審出席は“自爆テロ”で裏目確実 次の展開は森喜朗氏と二階元幹事長の国会招致か|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/336854
(4)岸田首相の政倫審出席は完全墓穴…野田元首相にボコられ「政治資金パーティー」自粛を約束|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/336909
(5)現職の首相として初「政治倫理審査会」に岸田首相が出席 『やはりポーズだけだった』厳しい声相次ぐ - 関西のニュース - ニュース - 関西テレビ放送 カンテレ
https://www.ktv.jp/news/articles/?id=10895&logo=logo_6
(6)政倫審【詳細】岸田首相「説明責任 見極めながら処分判断」 現職の首相出席は初 武田 元総務大臣も 2月29日 - NHK
https://www.nbs-tv.co.jp/news/articles/?cid=17588&logo=logo_6
(7)読む政治:「話題にならず」「存じ上げず」 安倍派幹部、核心語らず 政倫審 - 毎日新聞
https://qr.paps.jp/o0cEi
(8)政倫審へ「腹立たしい」「ずるい」政治家との不公平感…「納税は議員が判断」発言に怒り心頭 - NBS 長野放送
https://www.nbs-tv.co.jp/news/articles/?cid=17588&logo=logo_6
(9)安倍氏死後「議員から『超過分返して』」 衆院政治倫理審査会:朝日新聞デジタル
https://x.gd/x026v
(10)裏金「政倫審」ドタバタ見送りは自民党の嫌がらせ? 岸田首相リーダーシップ欠如バレバレ|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/336795
8.巷の立ち聞きヨモヤマ漫才「自民党の国会議員さんって、どんな人」
「こんな人でっせ↓」「へえ~、ずいぶんと立派やねんな」「そうや、そやからアホがようけ自民党候補に投票しとるわ」「投票しとらんのはおらんの?」「おるで、こういうご立派はっぱな自民党議員さんに政治まかせて投票には行きよりまへん、飲み屋では酒飲んで政治がどうたらこうたらとグー垂れてるけどな」「へえ~、そりゃ自民党に投票しとる奴に比べたら輪をかけてドアホでんな」「そうや、この国はドアホ・パラダイスや」「ということは、この国もまもなくあの世行きでっか?」
(1)“エッフェル姉さん”から“チョメ姉さん”へ「不適切にもほど」不倫の女性議員に新あだ名が続々(週刊女性PRIME)
https://news.yahoo.co.jp/articles/018c2ae1cf0ea0ca710094b42a338fda04b82ca2
(2)「こんな犯罪者をよく議員に」元自民党衆院議員・武藤貴也容疑者「無免許運転で人をけがさせ逮捕」に批判殺到(SmartFLASH)
https://news.yahoo.co.jp/articles/77ff01d3e9c461aaaf8a697d86d25974a8198dca
(3)「岸田首相」秘書官「銀座高級クラブ通い」の原資は官房機密費か ホステスと「同伴もアフターも」でもクビにできない理由とは(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/10a136a5e4ee2784a2e715b58fe86132f65370cc
(4)「泥棒自民党」97%が使途不明!茂木敏充氏・棚橋泰文氏の後援会が「まるっと1.3億円」ずさん管理(SmartFLASH)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3d9e5207c91a08507500e38cf3fa25c22e19ea92
(5)自民・茂木幹事長に「不要論」…政倫審騒動で存在感ゼロ、「ポスト岸田」から完全脱落|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/336935
(6)萩生田光一氏の“子分”がまた…自民・今村洋史元議員のいわく付き「陣中見舞い」に地元大迷惑|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/336677
(7)「裏金議員」は憲法審辞任を 自民の山谷、丸川氏ら念頭―立民・泉代表:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024020201012&g=pol
(8)政倫審で西村康稔氏「秘書が」連発! SNSでは《秘書を参考人招致や証人喚問しろ》の大合唱|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/336907
(9)自民・二階元幹事長85歳 不信任決議投票で「ひとり牛歩」の切なさ…深夜国会は高齢者虐待?|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/336962
(10)町田市議会3会派の政活費1千万強「不適切な支出」 東京地裁判決(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
https://mainichi.jp/articles/20240229/ddm/005/070/080000c
◆(別添PDFファイル)脱税集団が能登を人質、追貝最終攻防、岸田自民、世紀の破廉恥(日刊ゲンダイ 2024.3.1)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/336965
9.日刊IWJガイド・非会員版「アタル仏首相が仰天発言!『ロシアは直接的かつ差し迫った脅威だ!』『プーチンの軍隊がすでに我が国に駐留しているのではないか』正気か!-」2024.3.2号~No.4164 - What's New お知らせ
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53264
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「(他のMLでの議論です)松尾匡立命館大学教授のNOTE投稿をめぐって:(1)円相場暴落リスクについて(2)生活保護費切り下げ違憲違法裁判(3)日本共産党「経済再生プラン」他」をお送りいたします。
1.共産党さんの「経済再生プラン」はすばらしいが、大事なことがひとつ足りない|松尾 匡
https://note.com/matsuo_tadasu/n/ndba0807b9d76
2.田中一郎からの発信メール(上記サイトの内容に関して)
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松尾匡立命館大学教授さまへ、
お送りいただきましたNOTEを興味深く拝見しました。以下、拝読した限りで、いくつか問題提起をさせていただきます。
◆共産党さんの「経済再生プラン」はすばらしいが、大事なことがひとつ足りない|松尾 匡
https://note.com/matsuo_tadasu/n/ndba0807b9d76
(1)円価値半分になったときの生計費の上昇率については、昨年最新(といっても2015年の産業連関表)のデータで計算し直しています。これによれば、円価値が半分に落ちたときの生計費増は最大14.8%となっています。
松尾様の産業連関表分析は拝見しておりませんが、その結論には大きな違和感があります。直感的には、日本経済の貿易依存度は輸出入ともにGDP対比約20%程度弱ではなかったかと思いますから、円ドル為替レートが半分の300円/ドルと価値半分になれば、その分の影響は20%×1/2=10%、まあ14.8%は理解できないでもありません。しかし、それは輸入品の国内円価格ベースの値上がり分だけの話であって、この300円/ドル効果がもたらす様々なことをもっと考える必要があるのではありませんか?
(a)円相場が暴落した時に2015年の産業連関表は使えないと思います。
(b)輸入インフレがドメスティック・インフレに転換していくこと、ほぼ間違いないでしょう、この部分が読めない
(c)そもそも産業連関表分析(企業間取引分析)で何故、家計の数値である生計費が推測できるのかがよくわかりません。また、実質賃金の目減りは、この14.8%だけを考えておけばいいのですか?
(d)円相場が100円/ドルくらいだった2021年4月頃から今までで、生計費はどれくらい上昇しましたか(円相場は▲50円)?
https://www.77bank.co.jp/kawase/usd_chart.html
(e)この生計費は「平均」だと思われますが、平均ではマズイと思います。最も深刻な打撃を受ける1000万人くらいの社会層の生計費を見るべきです(特に化石燃料依存度の高い地方が心配)。
(f)根拠あやふやなまま円安リスクを甘く見る判断を招きかねないこういう「予測」は私は好ましくないと思います。
(2)生活保護費引き下げの論拠となった物価指数のカラクリ
1つは、物価指数を計算する時の「消費バスケット」が生活保護世帯の実態とかけ離れたものを使うという「意図したインチキ」+「そんなことを調べるのは面倒で自民党に邪魔されるからしない」という(公正であるべき)行政の怠慢、もう1つは、物価指数のラスパイレス指数とパーシェ指数をご都合主義的に組み合わせて使って、物価下落率を大きく見せる「インチキ操作」を行った、の2つがポイントではありませんか?
ついでに申し上げると、生活保護制度は、①親族への扶養打診をプライバシー侵害と位置付けて法律で罰則付きで禁止、②法定受託事務である生活保護行政の費用(ケースワーカー正規公務員化・大量採用の経費を含む)を地方自治体に負担させないで国が全額負担する(90%を直接交付、10%は地方交付税交付金でカバー)、③生活保護改め生活保障制度を基本的人権の保障制度として展開(日弁連の下記URLプラン参照)、④ゼロゼロ物件他の貧困ビジネスを根絶する、⑤受給有資格者の100%受給を目的にしたキャンペーンを展開、⑥生活保護行政オンブズマン制度+窓口に必ず1名の弁護士を置く、⑦生活保護改め生活保障制度の「1つ手前の制度」と自立支援の拡充、⑧住宅政策や老人福祉や失業対策とのリンク、他、多様な(創意工夫に富んだ)制度改善が必要(楽しい行政にしたい)。
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/190520_seikatsu_hosyo.pdf
なお、巨額現金の一過性バラマキは断固反対(財源の浪費です)。山本太郎「れいわ新選組」にとっては「自殺行為」。
(3)共産党さんの「経済再生プラン」へのコメント
*どれも心から賛成できる政策
すみません、共産党さんの「経済再生プラン」はまだ見ていません。今から急いで読みます。読書会の討論テーマにもします。
https://www.jcp.or.jp/web_download/2023/10/post-852.html
(a)「何より、30年にわたる停滞を、財界と自民党によってもたらされた悪いことと明確に位置付けて、一部の脱成長論者に見られるような停滞肯定論の入り込む余地のない書きっぷりをして、「経済再生」を打ち上げているところがいいです。」=OK(脱成長論を全て否定はなさらないでください、私は成長至上主義をまず捨てる=人間福祉主義経済でいく、でスタートしてくべきと考えています)
(b)借金が多少増えても暮らしを応援する=OK
(c)利上げができないとわかっていればOK=少し異議あり
発行された国債の過半の残高を日銀が保有していて、市中にある実質的な国債残高はそれほど多くはないですから、利上げはする必要はないですが、短期金利のマイナス金利は解消するとともに年金や金融機関の運用手段確保(特に地方・中小金融機関)のためにも超長期国債で3%程度、10年国債で2%程度まで、無意味で弊害の多い超低金利を少しずつ是正していくべきではないかと思います。
また、今、日銀に預けられている当座預金の大半は大手銀行のもので、これが付利基準で3つに分かれています。①マイナス金利(残高30兆円)、②ゼロ金利(残高290兆円:これが本来の当座預金の在り方)、③付利0.1%(210兆円)、このうち付利210兆円は年間2兆円余の補助金を大手金融機関に補助金として交付しているようなものなので廃止し、マイナス金利は解消、当座預金全部をゼロ金利にする、その上で、この日銀当座預金が「暴れ出さないように」事実上の不胎化政策的マネタリーベース管理を実施
(d)「「海外で稼ぐ」路線への批判が必要だ、産業の国内回帰を経済政策の柱のひとつに」について
「「海外で稼ぐ」路線への批判」よりも「内需拡大」政策をもっと強く主張することと、海外の稼ぎを「無税化」させないこと、の2点が大事かなと思います。「産業の国内回帰」よりも「自立自律型産業の興隆・促進」。人口減少社会に対応する新しい「QOL」重視の新産業を少しずつ創る政策(故内橋克人さん「FEC自給圏」、私「イノベよりもリノベのプランB」、環境や地域社会や健康を破壊しない「再生エネ」産業育成など、電力システムの抜本改革は必要不可欠(地域独占(原発)電力会社(「毒電」)解体)
*「内需拡大」では極端な円高防止もそうですが(私は極端な円高局面は今後、来ないような気がしています。しかしもし来たら、これを防がなくてはいけなくて、その水準は松尾様のおっしゃる通りと思います。円高防止は円でドルをどんどん買えばいいので、やりやすい面もあります。その逆、つまり円安防止は保有ドルに限界があり難しい)、私は地方経済の再生が最重要と考えています。
(最近の政治家どもはケツの穴が小さい、日本をオルタナティブのものに転換するドラスチックな政策を考えていただきたい、それと財源は無駄に使うな・大事に使えということ)
地方再生のためには、①首都移転で東京一極集中をやめる、②第2弾の地方分権自治改革(小泉純一郎時代の「三位一体改革」のアンワインドと真の地方再生政策)、③農林水産業及び地場産業の再生、④ロスジェネ世代を中心に「地方振興公社」を立ち上げ、そこが数百万人の非正規を正規として採用し地方に派遣、人件費は地方は少しだけ負担、住宅その他のものも国が多くを負担して、日本列島大移住計画を実践、⑤イノベーションよりもリノベーション(生活のQOL向上のための技術やノウハウの開拓と蓄積・継承)、⑥エネルギー革命をオンサイトコジェネ最先端技術で展開、⑦日本人人材育成と外国人政策の適正化(大学政策含む)=人口減少社会への対応の1つでもあります、⑧地方インフラの再生(国土交通省よ、巨大ダムばかり造ってんじゃねーぞ、このバカタレが!)、などの政策を展開することを考えます。
*海外へ行って納税回避・法規制回避をする行為をやめさせるため、法人に対しては①「グループ会社(実質支配基準)への強制連結」納税制度を取り海外利益の国内還流を促進、②海外企業活動は国内並みの規制(環境、労働、汚職防止など=最近は国際経済協定でも(お飾りながら)規定が入るようになってきた)、③不十分極まりないグローバルタックス(デジタル課税+最低法人税率)を更に厳格化(欧州有志国やグローバルサウスと組んで先行すればいい=邪魔者はアメリカ)、④巨大企業と富裕層と宗教法人にはマルサ強化、⑤脱税や納税の悪質な回避に対しては巨額の罰金と時効の延長(抑止効果狙う:政治家を含む、時効は最低10年)。
税金を払わない巨大企業、富裕層、外国企業、タックスヘイブンの撲滅へ向けた積極的取組が必要です。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166609888
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3.松尾匡立命館大学教授からの返信メール
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田中さま
拙文ご検討いただき、ありがとうございます。
ノート記事を書いても、比較的内輪向けだったり、経済財政の話でなかったりした場合はメーリスにお知らせしないこともありますので、ときおり覗いていただけたらうれしいです。
https://note.com/matsuo_tadasu
1.の件。
貿易依存度を使った概算についてですが、もしこの概算のしかたが正しいとしても、円価値半分なら輸入物価上昇率は100%ですので、20%×100%=20%と計算することになると思います。
ただ、貿易依存度は分子に輸出も含んでいて、輸出はこの際関係ないので、輸入のGDP比を使うと、この計算のデータに合わせて2015年をとると約15%なので、15%×100%=15%でだいたい合致すると言えるかもしれません。
もっと正確には、GDPと輸入の合計に対する輸入の比率を使い13%になると思います。これは、付加価値一定で、すべての最終需要項目に占める直接間接輸入の割合を均一と仮定した時の答えになります。
「(1)円相場が暴落した時に2015年の産業連関表は使えないと思います。」
➾ 最新の表が2015年なのでいたしかたないのですが、この10年ほどの間に、投入物や消費財の輸入依存は増えていると思いますので、近年の正確な表ができたとして同じ計算をしたら値が増えるのは間違いないと思います。
上記最後の概算方式では、23年最後の四半期の実質での輸入のGDP比は2割ぐらいなので、16.7%と概算されます。
ただ、価格が上がると上がった財の投入や消費は節約されるので、その効果を無視して投入や消費の輸入比率を固定して扱っている私の計算は、上方に偏るバイアスもかかっています。それを差し引くと、16.7%よりは小さい計算になると思います。
「(2)輸入インフレがドメスティック・インフレに転換していくこと、ほぼ間違いないでしょう、この部分が読めない」
➾ この計算は、国内生産の各段階で、生産単位あたり2015年の現状どおりで固定した付加価値を、コストに上乗せしていく想定で計算しています。このようにして国内財の価格も上昇する計算です。実際には、コストの100%転嫁はありませんので、この値は最大限であり、実際にはもっと小さい値になります。
「(3)そもそも産業連関表分析(企業間取引分析)で何故、家計の数値である生計費が推測できるのかがよくわかりません。また、実質賃金の目減りは、この14.8%だけを考えておけばいいのですか?」
➾ 産業連関表には最終需要の各項目がついていて、その中に「民間消費支出」という項目があります。この各財の構成を維持して、各財の価格が変化したときの全体の金額の増加率を出しています。これが家計の消費支出と同じかと言うと、「対家計民間非営利団体消費支出」というのが加わっていて、微妙にズレるのですが、それは大きくないものと扱っています。賃金が上昇したときの消費需要の増加など、多くの他の研究で、同様にこの「民間消費支出」を勤労家計の消費と同じ構成のものと扱っています。そうだとすると、実質賃金の目減りと同じものと考えていいです。
「(4)円相場が100円/ドルくらいだった2021年4月頃から今までで、生計費はどれくらい上昇しましたか(円相場は▲50円)?」
➾ これは、元記事のリンク先の私の以前のノート記事や、そこで言及されている朴勝俊関学教授が試算しているものにあたります。計算の手法は二人とも同じものです。
朴さんの計算では、2015年から2020年までを平均した価格と、2022年年間平均の価格の比率を上昇率として使っています。これで、円相場(1ドルの円価格)と国際エネルギー価格の上昇率を入れてみたら、7.59%の生計費上昇になると試算されました。これは、同時期の本当の消費者物価上昇率と比べると約二倍であり、輸入コスト上昇の約半分は転嫁できずに各段階の業者が負担しているという結果になっています。
https://parkseungjoon.hatenadiary.com/entry/2023/07/11/000255
私は、これに加えて、同時期の輸入穀物価格の上昇も加味した計算もしましたが、結論的にはそれほど変わらず、輸入コスト上昇の約半分は転嫁できずに各段階の業者が負担しているという結論になりました。
「(5)この生計費は「平均」だと思われますが、平均ではマズイと思います。最も深刻な打撃を受ける1000万人くらいの社会層の生計費を見るべきです(特に化石燃料依存度の高い地方が心配)。」
➾ 実際、お金持ちほど、川上から川下まで比較的に国産品を使って作った商品を消費する割合が高いと思われますので、生計費の上昇は貧しい人ほど率は高くなるでしょう。ただし、日本の場合は本当にぜいたくな消費は、統計上会社の支出となっているものが多いので、産業連関表の最終需要項目では「家計外消費支出」に含まれ、「民間消費支出」ではなくなるので、その分補正はされていると考えられます。なお、個別の財でわけると、「石油製品」の価格上昇がとりわけ大きくなるのはたしかです。
こうした不公平の問題は、円価値半分というあり得ないケースのみならず、現実的な急な円安で普通に起きることなので、いわゆる「棚ぼた税」(windfall-profit tax)で輸出業者に課税して、為替急変による所得分配の歪みを正すのが正解だというのが、私の従前からの主張になります。(為替急変による「棚ぼた」は、輸出だけでなくて、海外からの利潤や利子にも言えるので、これらも対象にすべきだと思います。)
以前、これをもうしたときには、田中さんからなかなかご納得が得られませんでしたけど。
棚ぼた税については、検索したらこんな議論が見つかりました。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20231107/se1/00m/020/002000c
https://money-bu-jpx.com/news/article048251/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD291DU0Z21C22A0000000/
「(6)根拠あやふやなまま円安リスクを甘く見る判断を招きかねないこういう「予測」は私は好ましくないと思います。」
➾ これについては、何度もこのメーリスで水掛論になっていますが、私は、世間に、それこそ「根拠あやふやな」円暴落恐怖症が蔓延していて、支配層の円高帝国ビジョンに対抗する経済政策の普及の妨げになっていると思いますので、それを解消させるために行っているものです。
2.の件。
ご指摘のとおり、消費バスケットが生活保護世帯の消費とかけ離れていることと、ラスパイレス指数とパーシェ指数をご都合主義的に組み合わせて使って物価下落率を大きく見せていることの、中身を、わかりやすく説明したもののつもりです。
その焦点が、生活保護世帯があまり買っていないはずのテレビの購買が一般世帯で著しく多かった年を基準年としてバスケットの中の消費量を固定していることで、テレビの物価下落は特に大きいので、これによって指数全体が大きく下落して出る仕組みになっているということです。
なお、生活保護制度についてのご提案はすべて賛成ですが、私の問題意識として重要なことと思っているのは、基本的に所得が得られた分給付が削られる仕組みになっていることを改めることで、所得が得られたほうが差し引きで手元に残る額が増えるようにするべきだと思います。
れいわ新選組の主張する給付金については、また水掛論となると思いますが、社会保障を典型とする内容的に意味のある政府支出は、インフレが高まったからと言って削ってはならないものか、削るのが困難なものです。したがって、これらのものは、インフレが高まるような景気加熱期において、これらの支出による総需要拡大効果を十分に打ち消すための増税が自動的にもたらされるような税制を、手当しておく必要があります。要するに、現象としては、あたかも「財源」を手当しているような形式をとるということです。
それに対して給付金は、失業がある不況時に出しても、インフレが高まるにつれてスムーズに削減してやがてゼロにでき、景気調整に使うことが簡単です。なので、お金を作って出すことで対応でき、税による回収を必要としません。不況で失業者がいるときから、ちょうどいい完全雇用になるまでの間で出されたお金は、このちょうどいい完全雇用を維持するために必要な分であって、世の中にとどまっている必要があるので、回収するとまたデフレになって失業者が出てしまうのです。
従来の金融政策は、金融ブルジョワジーに出すお金を調整する景気調整でしたが、それへの依存の度合いを減らして、大衆に直接出すお金を調整する景気調整に主役を変える必要があると思っているわけです。
3.の件
(3)について、「年金や金融機関の運用手段確保(特に地方・中小金融機関)のためにも超長期国債で3%程度、10年国債で2%程度まで、無意味で弊害の多い超低金利を少しずつ是正していくべきではないか」
➾ 年金や金融機関が国債の利息で維持されているということは、要するに、国の金で運営されているということです。そうしたらむしろいっそのこと、年金や地方・中小金融機関の公的な性格に鑑み、国会の審議・監視が入らない国債利息の形式ではなくて、ちゃんと使われ方の内容に国会の審議・監視が入る、予算からの補助金の形式に変えたほうがいいと思います。
日銀当座預金については、付利の廃止は賛成です。不胎化政策的マネタリーベース管理ということでは、預金準備率の引き上げは賛成です。ただ、本当にお金が「暴れ出す」といった事態になれば、普通に利上げで対応できる景気状況になっているでしょう。土地に流れた場合は、地価税のような税制のほうが効くと思います。
(4)について。
「「海外で稼ぐ」路線への批判よりも「内需拡大」政策をもっと強く主張することと、海外の稼ぎを「無税化」させないこと、の2点が大事かなと思います。「産業の国内回帰」よりも「自立自律型産業の興隆・促進」。」
➾ 内需拡大しても、輸入品ばかりに需要が向かったら困ります。内需が向かう産業が国内にないといけないと思います。「自立自律型産業」ということは、地場産業を国内に呼び戻すとか、再興するということで、産業の国内回帰が前提になっていると思います。
なお、「海外の稼ぎを「無税化」させないこと」は賛成ですし、「海外へ行って納税回避・法規制回避をする行為をやめさせるため」のご提案もどれも賛成ですが、海外移転への逆インセンティブをつけるという意味での海外利益の国内環流税制はいいのですが、長期的本質的にそれに依存することは望ましいことではないと思います。
つまり、属州からの搾取で無産市民を養ったローマ帝国のようになってしまってはいけないと思います。日本企業がアジア諸国に進出して、現地の労働者を低賃金でこき使って膨大な利益をあげていることは、それ自体が悪いことであって、やめさせなければならないということです。
今は、雇用が空洞化し、廉価品の輸入で国内産業が淘汰されて、多くの日本の労働者や中小事業者、農家の人たちが苦しんでいるので、もちろん悪いことなのですが、やがて淘汰が一巡し、多くの人たちが低賃金の非正規サービス業労働者になったら、アジアの低賃金産物を円高で激安で輸入できることや、アジアであげたもうけに課税して給付や社会サービスが受けられることで、日本の庶民の多くがこの体制から利益を受けるようになるかもしれません。でもそうだとしても、アジアの労働者を搾取してもうけを上げることは、根源的に悪だと思うのです。
やがてアジアの労働者が搾取に対する闘いに乗り出したとき、場合によっては美しくない手段がとられるかもしれないし、それどころか、マフィアのたぐいが現地の経営を脅かすかもしれないのですが、それに対して「日本人の生命財産を守る」と称して、自衛隊を派兵して投資秩序を守ろうとする動きは必ず出てくるでしょう。ガザ侵攻ですら容認するような世論では、絶対にこうした侵略戦争に反対できないと思います。
松尾匡
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(松尾匡立命館大学教授に改めて御礼申し上げます。見解が異なる部分もありますが、基本的に「向いている方向は同じ」、という風に受け止めて、今後も同氏と建設的な議論ができれば幸いと願っています。:田中一郎)
草々
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