戦争する国絶対反対(11):(戦争の残忍・悲惨・愚かさのリアリティを伝える番組)“玉砕”の島 語られなかった真実 前編・テニアン島-後編・サイパン島 - BS1スペシャル - NHK:軍隊は国民・民間人を守らない 他
前略,田中一郎です。
(最初に若干のことです)
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1.ワンちゃんがうらやましい(動画)
https://twitter.com/inuwasi2/status/1711048369928544340
2.(予約必要)(11.9)オルタナティブな日本をめざして(第94回)「砂川事件最高裁大法廷判決の裏側:米国と通じていた田中耕太郎裁判長(最高裁長官)」(武内更一弁護士:新ちょぼゼミ)(2023年11月9日)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/10/post-2399b6.html
(その次)(予約必要)(11.27)オルタナティブな日本をめざして(第95回)「いまさら聞けない原発と基準地震動:その基本を解説」(只野靖弁護士:新ちょぼゼミ)(2023年11月27日)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/10/post-261dff.html
(予約の受付窓口)
*たんぽぽ舎(水道橋):TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
https://www.tanpoposya.com/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/
(上記にお電話していただき「受付番号」をもらってください)
(最初の1時間で、次期国政選挙をにらんでの「世直し」経済政策や「市民と野党の共闘」共通公約についてのプレゼンを行う予定でいます。司法改革については次回の11/27にプレゼンいたします)
3.映画『ゴジラ-1.0』公式サイト
https://godzilla-movie2023.toho.co.jp/
(関連)ゴジラ-1.0 -予告編|Godzilla Minus One - Trailer|第36回東京国際映画祭 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=H8o6WMOE1eg
https://www.youtube.com/watch?v=fIafBoY3L2U
4.キャンペーン
(1)署名にご協力下さい!「東海第二原発の廃炉を求めます」 - つくば・市民ネットワーク
https://tsukuba-net.jp/2023/08/02/stop_tokaino2-signature-campaign/
(関連)東海第二原発の工事不備 東海村 村議会で日本原電聴取へ|NHK 茨城県のニュース
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20231024/1070022597.html
(2)署名活動についてのお知らせ · 新しい署名開始:大学の自治に死刑を宣告する国立大学法人法「改正」案の廃案を求めます · Change.org
https://tinyurl.com/bdeh7wn9
https://www.change.org/kasegerudaigakuNO2023
(3)イスラエルはパレスチナ・ガザでのホロコーストをやめろ!
(この問題の全責任はイスラエルとその背後にいる米英両国、並びに欧州の政治家たちにある)
◆Avaaz - 直ちに停戦を!(バイデン大統領(@JoeBiden)、ならびに各国首脳各位:あと何人の子どもが犠牲になれば、世界市民による停戦要請を支持するのでしょうか?私たち世界中の市民は、即時停戦とガザ封鎖の解除を求めます。)
https://onl.tw/SWWDYhu
◆イスラエル・パレスチナでの「無差別攻撃の即時停止」と「医療の保護」、「人道性の回復」を/国境なき医師団 · Change.org
https://tinyurl.com/bkf8739d
5.(チラシ)石川一雄さんは無実だ、狭山事件の再審を!
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVkWNlLfHxZE2tPq1l?e=rwAWj0
(関連)石川一雄さん、再審求める 狭山事件60年で集会 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Aykp9VRuNlY
6.新潟避難者訴訟 情報ブログ:10/27控訴審結審、判決は24年4月
https://311niigatahinan.blogspot.com/
いただいた報告に「報告集会では、これまでの審理経過の次に、裁判官からの「和解」提案について原告の意見を聞きながら慎重に協議を続けていく、和解にならない部分は判決を迎えるということが報告されました。質疑意見は和解についても出てきましたが、大変苦慮している状況を皆さんよく理解していただけたようで有難く感じました。」とありました。
(お二人の弁護士の最終弁論はすばらしい内容でした。おもわず拍手をしました。原告の全面勝訴以外の判決はあり得ません:田中一郎)
7.イベント情報
(1)(11.17)ノーモア原発公害市民連絡会発足記念シンポジウム - 原子力資料情報室(CNIC)
https://cnic.jp/50044
(2)(11.18)東海第二原発の再稼働を許さない首都圏大集会&デモ - 原発いらない首都圏ネットワーク(日本教育会館)
https://atcube8.main.jp/24/%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88/
(3)(チラシ)(11.22)だまっちゃおれん! 原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜 名古屋高裁判決(東京会場)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVkV5ilAhJXQIG6uJM?e=em9BkS
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「戦争する国絶対反対(11):(戦争の残忍・悲惨・愚かさのリアリティを伝える番組)“玉砕”の島 語られなかった真実 前編・テニアン島-後編・サイパン島 - BS1スペシャル - NHK:軍隊は国民・民間人を守らない」をお送りします。「軍隊は国民・民間人を守らない」は、沖縄戦や満州(関東軍)、本土空襲でも実証済みです。
(関連)戦争する国絶対反対(10):(他のMLでの議論です)(1)立憲民主党の長射程ミサイル容認をめぐって、(2)台湾と朝鮮半島をめぐる情勢認識 + 若干の「戦争(準備)関連情報」- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/10/post-085260.html
「玉砕」とは日本軍だけでなく、島にいた民間人や現地住民も含めてのことです(サイパン島最北端の「バンザイ・クリフ」は悲しいくらいに有名です)。大日本帝国による戦争の実態が生々しく語られるリアリティのある番組でした。NHKの製作現場が高いノウハウと問題意識を持ち続けていることに安堵いたしました(やはりNHKの問題は経営層及び幹部クラスにあると思われます)
(関連)(報告)(10.11)オルタナティブな日本をめざして(第92回):「どうした、どうする、NHK」(長井曉さん:新ちょぼゼミ)(2023年10月11日)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/10/post-04809e.html
1.木原稔チンピラ防衛大臣
海自セクハラ問題が「言語道断」なら、お前の統一教会との関係や、靖国神社賛美の言動や、“自衛隊の政治利用”発言も「言語道断」だ=さっさと大臣・国会議員を辞任せよ!
(1)海自セクハラ問題は「言語道断」 木原防衛大臣、緊急点検を指示 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=e1U87DdhFks
(2)木原官房副長官 旧統一教会関連団体から推薦状受領(2022年10月28日) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Dhve7rzNSsg
(3)木原防衛相「私は衆院議員。参院で発言控える」 教育勅語の持論巡り(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/56bd9a8af5c87af6a8405c985461831074ff866e
(4)木原防衛大臣が“自衛隊の政治利用”発言 松野官房長官「政府としては中立」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=iNqm1Zp0EOw
2.日刊IWJガイド:イスラエルによるホロコースト 続報
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52900
■【第1弾 スクープ!! イスラエルに米軍の秘密基地はすでに存在していた!!】ジョー・バイデン大統領とホワイトハウスは、ハマスとの戦いの最中にイスラエルに米軍を派遣する計画はないと主張しているが、10月27日付『インターセプト』は、イスラエルにおける米軍の秘密基地は古くは2017年から存在し、10月7日のハマスの「アルアクサの洪水」作戦の2ヶ月前には、秘密レーダー施設『サイト512』の拡張工事契約まで交わされていたことを暴露!(『インターセプト』2023年10月27日)
■【第2弾 ネタニヤフ首相、ハマス殲滅の「作戦は第3段階」に入り、ガザ地区内への地上侵入を拡大した、と表明】イスラエルは自由世界を守り「悪の枢軸」と戦う善なる戦士なのか? まるで、ウクライナは西側諸国の価値観を守り、悪の「専制主義・権威主義」と戦う善なる戦士だというゼレンスキー大統領の主張と瓜二つ! ガザ地区でイスラエル軍に殺害されたパレスチナの民間人は、3542人の子ども、2187人の女性、29人のジャーナリストを含む8525人! ガザ報道局は「イスラエル軍はガザ地区に1万2000トン以上の爆発物を投下、その爆発力は広島に投下された原爆に匹敵する」と告発! 事実上の無差別大量殺害・民族浄化が繰り広げられている!(『スプートニク』、10月31日ほか)
■<IWJ取材報告>イスラエル・パレスチナ情勢について「在留邦人の安全確保に万全を期しながら、事態の早期沈静化や人道状況の改善に向けた外交努力を積極的かつ粘り強く進めていく」と上川大臣!~10.31上川陽子 外務大臣 定例記者会見
(みなさまの浄財にて経営危機にあるIWJを支えていただければ幸いです。:田中一郎)
(関連)ガザ死者の7割が女性・子ども 国連高官「巻き添えではあり得ない」 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20231031/k00/00m/030/045000c
3.“玉砕”の島 語られなかった真実 前編・テニアン島-後編・サイパン島 - BS1スペシャル - NHK
https://www.nhk.jp/p/bs1sp/ts/YMKV7LM62W/episode/te/2ZK9PJN6XZ/
(関連)BS1スペシャル「玉砕”の島 語られなかった真実 [前]テニアン島[後]サイパン島」20230809 - 動画 Dailymotion
https://www.dailymotion.com/video/x8n4d7b
https://www.dailymotion.com/video/x8n4d7b
(関連)“玉砕”の島 語られなかった真実 前編・テニアン島-後編・サイパン島 初回放送日- 2023年8月9日 - 真似屋南面堂はね~述而不作
https://blog.goo.ne.jp/chicxulub/e/761c865a3272251762222ef4ac76db5c/?st=1
<田中一郎コメント>
この放送番組から得られる「教訓」は下記のようなことです。
(1)戦争は残忍・悲惨・愚かさの塊であり、人間の振る舞いの中では最悪のことである。戦争回避はあらゆることの上に置かれなければならない。それを世界に先駆けて定めているのが日本国憲法第9条だ。また、ここ20年間の日本は、戦争のリアリティを喪失し、武力で日本を守るだの、日米協力しての抑止力だの、敵基地攻撃能力は必要だの、爆撃やミサイル攻撃に対する防空演習だの、自衛隊・自衛権を憲法に書き込めだのと、対米隷属の「平和ボケ」「思考停止」=「お花畑お気楽武力防衛論」が幅を利かせている。しかし、以前から申し上げているように、この日本は、①原発・核燃料サイクル施設、②食料自給率37%(種子や肥料や飼料などを勘案した場合には10%未満)、③大都市に人口が集中、の3つの理由から、自衛戦争と言えども戦争はできない国である。戦争はテレビゲームの「WARゲーム」ではない。戦争のリアリティを喪失した政治家どもや似非有識者に加え、思考停止の有権者が増えれば、この国はアメリカの代理戦争による自滅への道を降りていくことになる。
(関連)敵基地攻撃論者への4つの公開質問(『同盟は家臣ではない』孫崎享:青灯社)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVkSlegoHQNjUTnXhh?e=QWqquE
(2)軍隊は、戦争・戦闘時には、民間人=有権者・国民を守らない。守るのは自分たち軍隊であり、また、軍隊に命令を下す支配者たちである。それどころか軍隊は、民間人を自分たちの道具として見下しながら徹底的に利用し、情勢の変化でいらなくなったら「邪魔者」として、切り捨てたり殺害したりを平気でやる(作戦最優先)。軍隊=つまりは自衛隊を「自分たちの側にいる組織」などと認識することは、軍隊の真実を知らない「勘違い」、ないしは「愚かな臣民意識」である。
(3)戦争をするためには、経済的貧困をベースにした「階級社会構造」が必要である。「私、戦争の時に指示命令する人、あなた、戦場に行って戦って死ぬ人」という「階級的役割分担」のことだ。第二次世界大戦の折、悪名高い大日本帝国陸海軍の「生きて虜囚の辱めを受けず」という「命令」により、いったい何人の日本兵や民間人が死に追いやられたことか。しかし、その「命令」を下した東条英機をはじめ、昭和軍閥の将校たちの多くは「生きて虜囚の辱めを受け」、その一部は連合軍・占領軍に戦犯として処刑されたものの、多くは戦後も(アメリカ軍と癒着することにより)生き延びて栄達している(731部隊をはじめとする細菌戦研究部隊の将校や幹部がその一例)。
(参考)戦争絶滅受合法案 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E4%BA%89%E7%B5%B6%E6%BB%85%E5%8F%97%E5%90%88%E6%B3%95%E6%A1%88
(参考)加川良「教訓 I」- YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=FSaMY7TRgFI
(4)「大東亜共栄圏」という「八紘一宇の王道楽土」を築くため、アジアに大日本帝国は軍隊とともに進出していった、いいこともたくさんした、などという「虚偽宣伝」が「絵空事」であることが、この放送番組を見ればよくわかる。大日本帝国の軍隊が、サイパン島の原住民の方々に対して何をしたのか、よく見ておくことだ。特に「現代史を学んでいない若い世代」や「現代史を知らず、知ろうともしない、おっさんやおばはん、じじいやばばあ」は、必見の番組である。戦争や軍隊は、必ずと言っていいほど、「大東亜共栄圏」もどきのような大義名分を掲げて、組織的人殺しを展開する。だまされてはならない。
4.(メール転送です:たんぽぽ舎MG)
北京での発言:10/26『日中平和友好条約』発効45周年に際し、日中関係を考える
世界の潮流の中における日中関係 日米関係と日中関係の相関性
「日米同盟」とは対等の関係でなく「従属関係」「隷属関係」
孫崎 享(東アジア共同体研究所理事・所長)
https://ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar2169123
講演:中国との対話:10月26日『日中平和友好条約』発効45周年に際し、日中関係を考える
1:世界の潮流の中における日中関係
(1)日中共同宣言と日中平和友好条約の意義
1972年の日中共同宣言、及び1978年の『日中平和友好条約』は両国の発展と、東アジア地域の安定をもたらす貴重な礎である。この基礎の上に両国関係が発展すれば、東アジア地域は世界の中で最も繁栄し、平和な地域となっていたであろう。だが今はそうではない。東アジアは緊張をはらむ地域となっている。こうした緊張は純粋な二国関係だけでは発生していない。今日の最大の超大国である米国の動向に大きく左右されている。
(2)日米関係と日中関係の相関性
日本は米国と「同盟関係」にある。今日、日本はこの枠内で動く。日中関係は日本や中国独自のイニシアティブで動くのではなく、米国の戦略の範囲内で動く。そして、「米国の中国への認識、関与の仕方が変わると、それは日中関係にも影響する」ことを十分に認識しておく必要がある。確かに、日本が独自に日中関係を構築出来た時代がある。ニクソン大統領がベトナムからの撤兵を考えた頃だ。ニクソン大統領は1969年7月「ニクソン・ドクトリン」を発表した。
その骨子は、「侵略が問題となる場合には軍事・経済援助を与えるが,自衛の第一義的責任は脅威を受けた国が負う」というもの。つまり、「米国はアジア人のために血を流すのは止めた、お前らは適当に外交をやれ」ということであった。1970年代、日本と中国は各々の国益を調整することが出来た。1972年田中角栄首相が訪中し、日中国交正常化がなされ1972年9月に日中共同声明が発表された。1978年8月12日に北京で、外相園田直と中国外相黄華の間で日中平和友好条約が署名された。米国の介入なしに、日中関係が築けた。
ここで、日米関係の本質を見ておきたい。しばしば「日米同盟」という言葉が使用される。あたかも対等の関係のような印象がマスコミによって作られる。だが実態は異なる。「従属関係」「隷属関係」と述べた方が正確だ。こう言述べると、「言い過ぎではないか」との反論もあろう。
米国の外交・安全保障分野で最も影響力のある学者にアチソン教授がいる。第一期クリントン政権の政策担当国防次官補で、ハーバード大学ケネディ行政大学院の初代院長である。彼が2020年「新しい勢力圏と大国間競争-同盟関係の再編と中ロとの関係-」という重要な論文を発表する。
ここで米ソが対立していた時からソ連の崩壊によって一極支配になった時をこう記している。「全世界が事実上のアメリカ圏となった。強者(米国)は依然として自分たちの意志を弱者に押し付けた。世界の他の国々は主にアメリカの規則に従って行動することを強いられ、さもなければ壊滅的な制裁から完全な政権交代に至るまで、莫大な代償に直面することになった。」
「米国の規則に従って行動することを強いられ、さもなければ壊滅的な制裁から完全な政権交代に至るまで、莫大な代償に直面することになった」のが日米関係であり、それが今、ますます強化されている。日本はこの範囲で今中国に対峙している。
2000年以降を見てみよう。細川政権、福田政権、鳩山政権が米国の意向に沿わないということで潰された。この際重要なのは、米国が直接政権を潰すのではなく日本の政治家、官僚、検察、マスコミが一体として動く。米国の意向に全面的に従わなかったとして、政権末期、ないしは政権後米国との関係が緊張状態にあった政治家に、意外なことに、小泉純一郎、安倍晋三(政権後-ウクライナ問題、北朝鮮問題、中国問題-)も含まれる。総理候補になりうる人では小沢一郎、野中広務、武村正義、金丸信氏らが含まれる。
(3)岸田首相と米国
岸田首相は過去の政治家の運命を十分に承知しているのであろう、完全に米国の意向を踏まえ政治を行っている。
2:中国の台頭と、米国の政策
冷戦崩壊後、中国は経済力を強めた。CIAは世界最強の情報機関である。ここが世界情勢を解説する【World Fact Book】というサイトを持っている。ここで【真のGDP】というタイトルで各国のGDPを比較し、購買力平価ベースで米国21.1兆ドル、中国24.9兆ドルとしている。経済規模では今や中国が世界一である。
文部科学省の科学技術・学術政策研究所は8月8日、各国の2019~21年の平均論文発表数などを分析した「科学技術指標2023」を公表したが、科学論文の数上位10%の論文数ランキングは、1位中国5万4405件、2位米国3万6208件となっている。これは中国が将来に向けての発展で米国よりより可能性が高いことを意味する。
この中で米国の選択はどうなるか。協調の下、共に発展する道か、敵として対立するか。先に紹介したグレアム・アリソンは「トゥキディデスの罠」-従来NO1であった覇権国はNO1の座をうかがう新興国が出てきた場合、戦争になる可能性がある-を指摘しつつ「現在の軌道では、数十年以内に米中戦争が起こりうる可能性は、ただ“ある”というだけでなく、現在考えられているよりも非常に高い。過去500年の例をみると、戦争になる確率は50%以上だ」としている。
こうした雰囲気は米国国民にも持たれている。世論調査機関ギャラップ社は「世界における米国の位置という報告を発表し、その中に「アメリカの最大の敵国はどこかの問に対する米国民の回答を%で示している。中国50%、ロシア32%、北朝鮮7%、イラン2%。
2023年はまだウクライナでロシアが戦争をおこなっている時にもかかわらず、中国の脅威の方が大きい。如何に今、中国に対する敵愾心が強いかが判ろう。勿論米国にとって、経済的発展を遂げる中国と協調を図り利益を得ようという考え方、勢力は存在する。しかし、中国の脅威と対抗したいという勢力が今日極めて強力である。
3:米国には軍事的に直接対峙するという選択肢はない
まず、米国は核戦争の選択は行わない。現在のウクライナ戦争においても、ウクライナを支援しつつ、ロシアを追い詰め、核戦争に通じる手段は排除している。では通常戦ではどうなるか。台湾正面を見てみよう。台湾海峡で米・中が戦えばどうなるか。「米国が勝つ」という考え方を、明確な論理で覆したのは、ランド研究所であり、2015年、論評「アジアにおける米軍基地に対する中国の攻撃」を発表した。
○中国は自国本土周辺で効果的な軍事行動を行う際には、全面的に米国に追いつく必要はない。
○特に着目すべきは、米空軍基地を攻撃することによって米国の空軍作戦を阻止、低下できる。
○中国は日本における米軍基地を攻撃しうる1200の短距離弾道ミサイルと中距離弾道ミサイル、巡航ミサイルを保有する。
○台湾のケースは嘉手納空軍基地への攻撃に焦点を当てた。台湾周辺を考慮した場合、嘉手納基地は燃料補給を必要としない距離での唯一の空軍基地である。
○ミサイル攻撃は米・中の空軍優位性に重要な影響を与える。それは他戦闘分野にも影響を与える。
○米中の軍事バランス:台湾周辺
1996年 米軍圧倒的優位
2003年 米軍圧倒的優位
2010年 ほぼ均衡
2017年 中国優位
だが、台湾に向けて飛び立つ米軍基地の滑走路を破壊すればもはや戦闘に参加できなくなる。中国が制空権を確保することになる。アリソンは『フォーリン・アフェアーズ』誌2020年3月号で「台湾海峡有事を想定した、18のウォーゲームの全てでアメリカは破れている」と記述した。
ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、クリストフはニューヨーク・タイムズ紙で「いかに中国との戦争が始まるか(2019年9月4日))を発表し「中国は空母を攻撃能力など、軍事力を大幅に増強してきた。ペンタゴンが行なった、台湾海峡における米・中の戦争ゲームで、米国は18戦中18敗したと聞いている」と記載した。
さらに、マストロ研究員は同じくフォーリン・アフェアーズ誌2021年7・8月号に「最近ランド研究所とペンタゴンとで行われたウォー・ゲーム(複数)で、台湾を巡る米・中軍事衝突は米国が敗北するだろうということを示した」と記載した。(下)に続く
4:米国は反中同盟を画策、その中心が台湾問題
米国の狙いは何か。台湾、日本と軍事紛争を起こさせ、中国が武力行使をしているとして、経済制裁を行い、中国の経済発展を阻止することにある。そして今、日・米・韓の三国同盟を作り、軍事的包囲網と、経済の結びつきを切り離そうとしている。そしてその核が台湾問題である。台湾問題は米中、日中が過去の合意を順守すれば危機は生じない。私達は過去、台湾問題に関し過去中国とどの様な約束をしてきたか。
日中共同宣言(1972年)では、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」とした。
日中友好条約(1978年)では前文において「前記の共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきことを確認し」とし、さらに第一条「両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉」としている。日本は台湾を独立国として扱ってはいない。日本の世論はしばしば「中国は国際約束を守らない」と批判するが、日中関係の基本的合意を破っているのは麻生氏の如く日本の方である。同様なことは米中間合意にも言える。ここで台湾の人々の意思を見てみよう。
5:台湾国民の意思
日中共同宣言や日中友好条約に言及するとしばしば、「では台湾の意思をどうするのだ」という問いがなされる。この点を見てみよう。2022年台湾の国立政治大学選挙研究中心が実施した世論調査は次の通りである。
即時独立 4.6%
即時統一 1.2%
現状維持、後決定 28.7%
現状維持、永遠に 28.5%
現状維持、後統一へ 6.0%
現状維持、後独立へ 4.9%
無回答 5.6%
上記の世論調査は、68.1%が少なくとも当面現状維持である。台湾が現状維持であれば、中国が武力行使を行う可能性は極めて低い。「台湾有事」と騒ぐ人々は「台湾有事」を避けようとする方ではなく、「台湾有事」作り出そうとする人々である。
6:対米従属から脱する時期
今日の日本外交は米国の支持に従うことにある。だが世界の流れを見ると、対米従属から脱する時期に来ている。先にCIAの【真のGDP】に言及したが、今一度この数字を利用して作成した表を見て戴きたい。
G7・7か国 非G7上位7か国
アメリカ 21.1 中 国 24.9
日 本 5.1 インド 9.3
ドイツ 4.4 ロシア 4.1
フランス 3.0 インドネシア 3.2
イギリス 3.0 ブラジル 3.1
イタリア 2.5 メキシコ 2.4
カナダ 1.8 韓 国 2.3
小計 40.9兆ドル 小計 49.3兆ドル
つまり、GDPは、中国が米国より大きいだけではなくて、G7・7か国の合計が非G7上位7か国より少ないのである。こうした経済状況は先のG20首脳会議にも反映され、宣言では、G7が主張するロシアの名指し批判が避けられた。今世界は大きい潮流の変化を見せている。日本外交は今転換すべき時にある。
7:日中双方は今、どう対応すべきか
日中双方にとって、日中共同宣言、『日中平和友好条約』を基礎に発展をさせることが、日中両国、東アジア全体にプラスである。だが今の日本はそうではない。米国の指示のもと、対立を作る方向に動いている。今日の日本の政治状況、及び国民感情からしてこの流れを変えられない。
では我々はどうすべきなのか。対立の機運は長期的に継続するものではない。中国が米国の優位に立つのは歴史的に最早阻止できる現象ではない。今はそれを阻止しようと米国が画策している時期である。そして阻止する手段として、東アジアでの武力紛争を望んでいる。如何に挑発を避け、長期的繁栄と安定への道の阻害を避けるかが我々に求められる英知である。日本においては、特に中国の脅威を煽る活動が展開されるものとみられる。
だからこそ、日中双方の識者が共同して
イ.中国の発展には世界の平和が不可欠であり、その点を中国の指導者は十分に理解している
ロ.日本が、日中共同宣言と日中平和友好条約を、そして米国が米中共同宣言を守れば台湾問題は生じない
ハ.東アジアを不安定にしたいとする勢力が存在し、これに対抗する力を形成すべきである等について日本国内で適切な説明をおこなっていくことが求められている。
(以上、たんぽぽ舎MGより)
草々
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