(拡散希望)(報告)(3.28)電力自由化と電力システム改革(第6回目):電力システム改革は経済社会改革(新ちょぼゼミ:田中一郎)(2023年3月28日)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
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去る2023年3月28日(木)、水道橋のたんぽぽ舎において、標記「電力自由化と電力システム改革(第6回目):電力システム改革は経済社会改革(新ちょぼゼミ)」を開催いたしました。以下、当日の資料や録画を添付して簡単にご報告申し上げます。
今回(3/28)は、同日の孫崎享さんの講演の前座でやらせていただいたため、初めて「電力自由化と電力システム改革」の私のプレゼンをお聞きになる方が多かったので、前回までのプレゼン内容と重複する部分がありますが、やむなく、できるだけコンパクトを心掛け、エッセンスをお伝えする形でお話しさせていただきました。
私が懸念をしていますのは、この「電力自由化と電力システム改革」というテーマに関して、脱原発・反原発の方々も含めて、まだまだ関心が低く、この問題について具体的批判的に論じる有識者の方々もほとんどおられないことです。私の今回のシリーズの企画が契機となり、この問題について国民的な議論の高まりと、原発や「毒電」の経営を最優先させる経済産業省の電力システム改革に対する厳しく鋭い批判が巻き起こることを大いに期待し、みなさまにはこの「いちろうちゃんのブログ」サイトの拡散をお願い申し上げます。
次回(第7回目)は2023年4月25日(火)です。当日は後藤政志さんに「原発をやめるべきこれだけの理由:老朽化と安全工学」のお話をしていただく予定ですが、その日の前半約1時間(6:00PM~7:00PM)で私から今回の続きのプレゼンを行います(後藤政志さんのご講演は7:00PMからです)。今回のご説明の若干の補足を行いながら「解決策=我が国における電力自由化のあるべき姿」について説明を続けていきます。先を急がず、ゆっくりと、丁寧にご説明したいと考えています。(これまでのご報告と今後の予定は下記です)
◆第1回目(2022年10月12日)(報告)電力自由化と電力システム改革:電力システムの基礎知識(新ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/10/post-f42582.html
◆第2回目(2022年10月25日)(報告)電力自由化と電力システム改革:電力システムの基礎知識(続)(新ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/10/post-f143ef.html
◆第3回目(2022年11月22日)(報告)電力自由化と電力システム改革:歪められた電力システム改革(1)(新ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/11/post-e59cf2.html
◆第4回目(2022年12月15日)(報告)電力自由化と電力システム改革:歪められた電力システム改革(2)(新ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/12/post-d94166.html
◆第5回目(2023年2月9日)(報告)電力自由化と電力システム改革:歪められた電力システム改革(3)(新ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/02/post-1ff966.html
◆(今回)(2023年3月28日)(報告)電力自由化と電力システム改革(第6回目):電力システム改革は経済社会改革(新ちょぼゼミ:田中一郎)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/04/post-b4dbac.html
◆第7回目(2023年4月25日 6:00PM~7:00PM)(予約必要)解決策=我が国における電力自由化のあるべき姿(欧州の事例などから)=この日は後藤政志さんのご講演「原発をやめるべきこれだけの理由:老朽化と安全工学」の前半の時間でお話いたします。後藤政志さんのご講演は7:00PM~9:00PMです。
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/03/post-fb234d.html
(予約の受付窓口)
*たんぽぽ舎(水道橋):TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
https://www.tanpoposya.com/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/
(上記にお電話していただき「受付番号」をもらってください)
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◆(当日録画)20230328 UPLAN 田中一郎「電力システム改革は経済社会改革」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=vy8fwpEIHr0
https://www.youtube.com/watch?v=vy8fwpEIHr0
(動画の最初にユーチューブが妙な録画を勝手に入れ込んでいますが無視してスキップしてください。グーグル・ユーチューブは一方で言論表現妨害を繰り返しながら、他方では、こういうロクでもないことをしています。「タダで便利だから」と、巨大IT企業の無料サービスを無頓着に使うことはそろそろやめた方がいい時代になってきました。インターネット・サービスの「公共性」を守る法制度が必要になってきています。デジタル(推進)庁ではなく、デジタル規制庁が必要なのです。みなさまがよくお使いになっている「Gメール」も言論妨害の可能性があり、おやめになった方がいいでしょう。:田中一郎)
<電力料金値上げ問題のその後>
下記の報道をご覧いただければ概ねわかります。値上げの理由とされていた化石燃料の国際価格上昇は、その後、石炭・天然ガス・原油の国際価格が急落し、その根拠が消滅しました。そもそも天然ガスの輸入は長期契約なので、電力会社も含め、天然ガスの仕入れ価格は国際価格の上昇とは連動していません(わずかに上昇しているだけ)。しかし、地域独占(原発)電力会社(「毒電」)各社は値上げ幅を形だけわずかに引き下げただけで、値上げそのものの申請を取り下げようとしていません。許しがたい話です。以下、繰り返しになりますが、この問題の解決のためのポイントを5点にわたり申し上げます。
(1)独禁法違反のカルテル行為(競争制限の闇協定)や、送配電会社の顧客情報をのぞき見(電気事業法違反)していた「毒電」に「電力料金値上げ」を認めるわけにはいかない。(コンプライアンス違反の事業者は許さない)
(2)自由価格の大口ユーザー向け電力料金(大企業や役所など)には手を付けず、個人や零細事業者向けの規制料金だけを値上げすることは認められない。大口と小口零細の各電力料金がそれぞれいくらなのか公開せよ。
(3)少しばかりの化石燃料の価格変動に対しては電力価格の調整制度がすでにある(これ自体が廃止すべきもの=こんなものは他の業界には存在しない:庶民の日々の食べものである納豆や豆腐の生産業者が、輸入大豆の値段が上がったからと言って、自動的に値上げできる仕組みがあるのか!?)。電力価格の「ベア:ベースアップ」である値上げ申請は必要ない。
(4)今回の値上げ申請の最大の理由は、長期にわたり1Wの電力も発電していない原発に対して「毒電」が6兆円以上もの追加安全投資を行い、また、人件費を含む巨額の維持費を負担し続けていることにある。企業間競争が厳しい他の業界では絶対に許されることのない放漫経営が電力業界では依然として続いている。今回の電力価格値上げ申請の承認は、これを追認することになる。要するに、原発への追加投資やテコ入れをやめれば、値上げなど不要だということだ。
(自由競争の大口電力料金は値上げできず(値上げすれば他社に乗り換えられるか自家発電に切り替えられる)、原発での無用の出費を続けて経営が厳しくなり、最後の「駆け込み寺」である小口零細の電力規制料金に手を付けるべく、経済産業省という原子力ムラ代理店を経由して政治家に働きかけ、自分たちの経営の失敗の尻を小口零細の電力規制料金に振り向けて、政治的に決着を付けようとしているということである。こんなものが許されていいはずはない。)
◆国家行政組織法 - e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000120
(5)「毒電」の違法行為を根絶するには、まず、①公共施設とも言うべき送配電会社を所有分離して「公営」とし、かつ50Hzと60Hz地域で合併して2つの送配電会社に統合すること、また、②東電・中部電以外の「毒電」各社に対して、本社持ち株会社にどんぶり勘定で一体化されている原発部門、火力発電部門、再生エネ発電部門、電力小売り部門を分離独立させ、それぞれの会社の採算性を「見える化」させる、③東電・中部電についても原発部門(東電は柏崎刈羽原発)を本社持ち株会社から分離分社化させる、更に、④電力・ガス取引監視等委員会を国家行政組織法上の8条委員会ではなく3条委員会として公正取引委員会と合体させる(何故、電力業界だけ公取とは別の監視組織を創るのか? 電力業界を特別視するな!)、⑤電力価格を含む電力会社の規制・許認可については、その権限を原子力ムラ代理店官庁である経済産業省から切り離し「利益相反」行政をさせない仕組みとする(ゆくゆくは経済産業省は廃止)。
(関連)直近の卸電力市場の動向(資源エネルギー庁 2022.4.26)(注目:P7 天然ガス輸入価格)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVg3_WMA5B_7iI51rA?e=LhLTqb
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/048_03_02.pdf
(関連)(関連)(別添PDFファイル)欧州天然ガス8割安、記録的暖冬 高い貯蔵率維持、中国需要回復が不安材料(日経 2023.1.25)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67857420U3A120C2ENG000/
(関連)(別添PDFファイル)発電用 豪州石炭が急落、欧州のガス代替需要鈍る、日本 電力値上げ縮小も(日経 2023.3.2)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB253MD0V20C23A2000000/
(関連)(別添PDFファイル)米原油先物70ドル割れ、OPECプラス動向焦点、金融発の需要減警戒(日経 2023.3.18)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69394130X10C23A3ENG000/
(関連)大手電力値上げ 根拠に批判、燃料費以外も転嫁、審査側「理解得られるか」(朝日 2023.2.16)
https://www.asahi.com/articles/ASR2H7727R2HUTFK003.html
(関連)電気の値上げ、消費者庁が経産省と協議応じぬ可能性「不祥事検証を」:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASR3S46JLR3SUTFK006.html?iref=pc_photo_gallery_bottom
(関連)「不可能」と言われた送電網の所有分離 有識者が国の会議で示した解決策とは…:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/237522
(関連)電気料金 大手電力7社のうち6社が当初の値上げ幅を圧縮 - NHK - 物価高騰
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230404/k10014028471000.html
<参考図書>
(1)最新電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本 発電・送配電の仕組みと概要を掴む-木舟辰平/著(秀和システム)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000034317696&Action_id=121&Sza_id=B0
(2)入門再生可能エネルギーと電力システム 再エネ大量導入時代の次世代ネットワーク-諸富徹/編著(日本評論社)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033926649&Action_id=121&Sza_id=E1
<当日のレジメなど>
使用した順番に並べておきます。
(1)(別添PDFファイル)(レジメ2)電力システム改革は経済社会改革(田中一郎 2023年3月28日)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVhF8_y531qEEDFlzz?e=TysQFy
*KEYワードは「オンサイト・コジェネ(熱電併給)」=中小型、高いエネルギー効率(80%以上)
*分散型ネットワーク社会の形成=地方再生と地方分権自治
*エネルギー消費が少なくてすむ社会=「省エネ」ではなく「少エネ」
重厚長大型産業から軽薄短小型産業へ、EV・FCVはダメ
*プランAでなくプランB(イノベーションではなくリノベ)
産業構造(ビジネススタイル)を転換し消費構造(ライフスタイル)を転換する
*石炭火力叩きではなく環境破壊しない再生エネ電源推進(電源構造の多様化)
ソーラーシェアリングではなく、農林水産業の再生・復活
(2)(別添PDFファイル)(レジメ)日本における電力自由化と電力システム改革:修正(田中一郎 2022年10月12日)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVhAFufwz1T89ScRIC?e=67N7TD
(前々回4回目までに使っていたレジメのうち、紛らわしい表現や誤字脱字を一部修正しています)
(3)(別添PDFファイル)電力の容量市場 6割高、今年度約定分 先高観で相対取引増、安定供給へ乱高下課題(日経 2023.3.14)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69220250T10C23A3QM8000/
(4)大事な3つの解説図
(4-1)日本のCO2排出量:電力・電力以外(『電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本 第3版』木舟辰平:秀和システム)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVglqjyPBGO-_iVCF3?e=BClo0d
(4-2)送配電・発電・小売が分離分割されない日本(『電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本 第3版』木舟辰平:秀和システム)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgluRAaQjgkE4Ik10?e=byQ7RJ
(4-3)10ブロックに分かれる日本の送配電網(『電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本 第3版』木舟辰平:秀和システム)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVglx3C45NGz_YLGrZ?e=HRVrth
(5)容量市場について:「制度としての欠陥」
容量市場の「制度としての欠陥」については、下記のEシフトのサイトにコンパクトに適切に整理されています。
◆どうする?容量市場 リーフレット │ eシフト
http://e-shift.org/?p=3958
(以下、一部抜粋)
1)原発・石炭火力が温存され、エネルギーシフトを妨げる
2)古い電源は収入の二重取り、消費者にとっては二重払いになる
3)大手電力と再エネ新電力とで負担に格差、再エネ新電力の経営負担で電力自由化も危機
4)消費者の知る権利を損ねる
(今回のプレゼンでも申し上げましたが、容量市場でなくても、停電防止のための電源確保の手段は「戦略的予備電源」という方法もあり(ドイツなど)、また、デマンド・リスポンスなど、需給調整の方法を工夫すれば、予備電源を極力小さく押さえ込むことも可能です。容量市場で決まった価格は電力小売り会社を通じて私たち一般の電力ユーザーに転嫁されてきます。かようなインチキ制度に毎年毎年、数千億円~1兆数千億円ものカネを支払う必要はないのです。:田中一郎)
それから、容量市場の入札を運営しているのは「電力広域的運営推進機関」という経済産業省の外郭団体です(プレゼンの時に組織の名前を失念してしまいました、お詫びいたします)
https://www.occto.or.jp/market-board/market/
(関連)ディマンド・リスポンス(DR)について|資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electricity_measures/dr/dr.html
(6)その他
(6-1)(前回)(拡散希望)(報告)(2.9)電力自由化と電力システム改革(第5回目):歪められた電力システム改革(3)(新ちょぼゼミ:田中一郎)(2023年2月9日)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/02/post-1ff966.html
(6-2)(別添PDFファイル)原発が歪める電力自由化と電力システム改革:稲城市(田中一郎 2023年3月11日)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVhF1P4XRd11DWMWFV?e=UepqH4
(6-3)(必見保存版:拡散希望)(講演録画)広瀬隆さん「気候変動の宇宙物理学:IPCCの二酸化炭素地球温暖化説は本当か」- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2023/02/post-fb32f9.html
(参考)オルタナティブな日本を目指して(新ちょぼゼミ バックナンバー その1:2017-2023)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/12/post-2462a9.html
草々
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