広島原爆「黒い雨」訴訟の原告全面勝訴(国の上告断念)と長崎原爆「黒い雨」被ばく被害者=何故、国は広島と長崎で被ばく被害者を区別・差別・分断するのか!?
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.(予約優先)(2022年12月15日)(たんぽぽ舎 午後6時~8時30分)電力自由化と電力システム改革(第4回目):歪められた電力システム改革(2)と、未来へ向けたあるべき電力システム改革の具体像(欧州の事例などから)(新ちょぼゼミ:田中一郎)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgwfflVAbIOyMkiti?e=miJ7n9
(何もしないで寝転がっていても原発に巨額のカネが転がり込んでくる「仕組み」を次々と創り、それを「電力システム改革」だと偽る経済産業省、こんなものを放置していたら脱原発どころか、原発を大黒柱とするグロテスクで危険な前世紀的アナクロ電力体制ができあがります。この学習会では、経済産業省と地域独占(原発)電力会社(「毒電」)たちが進める偽りの「電力システム改革」を詳しくご説明します。私たち市民からの反撃が強く求められています。:田中一郎)
(関連)(拡散希望)(報告)(11.22)電力自由化と電力システム改革(第3回目):歪められた電力システム改革(1)(新ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/11/post-e59cf2.html
(予約の受付窓口)
*たんぽぽ舎(水道橋):TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
https://www.tanpoposya.com/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/
(上記にお電話していただき「受付番号」をもらってください)
2.(メール転送です)緊急連絡:福島原発被害東京訴訟=12月14日期日は進行協議に変更(公判は中止)
急なご連絡ですみません。来週12月14日に開かれる2陣の期日は、進行協議期日となり、非公開で行われることとなりましたので、原告以外は傍聴いただくことが出来なくなりました。昨日まで、チラシなどで傍聴を呼び掛けさせていただいておりましたが、当日は法廷に来られても中に入ることは出来なくなってしまいましたので、お手数ですが、お手元の12月14日期日チラシは破棄してください。応援のためにご都合を合わせて下さっていた皆様には、心からお詫び申し上げます。(福島原発被害東京訴訟原告 鴨下美和)
https://www.facebook.com/tokyogenkoku
3.キャンペーン · 長崎の黒い雨ー全ての被爆体験者に速やかに被爆者健康手帳を交付してください · Change.org
https://tinyurl.com/3uxhey9a
4.イベント情報
(1)(チラシ)(12.10)司法の責任とは何か「私が原発を止めた理由」(樋口英明さん:京都大学 吉田キャンパス本部構内:ZOOM可)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgx11hSzfd7n03oKe?e=d5cT15
(2)(チラシ)(12.16)老朽原発40年廃炉・名古屋訴訟 口頭弁論(名古屋地裁#02)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgx6NF2B4P5yyJ7-D?e=wbjfL8
(3)(チラシ)(12.17)最高裁判決をどう乗り越えるか 学習・決起集会(仙台市:ZOOM可)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgx8tcYTgs3zreCR5?e=uYdA0d
(4)(チラシ)(12.18)辺野古新基地建設の現状と沖縄南部地区の土砂問題(北上田毅さん:浦和)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgyDgEkgxsQYEJEoW?e=nIEMAY
(5)(チラシ)(12.20)福島原発被害東京訴訟 第1陣控訴審(東京地裁#101)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgkWtEmaWZheX3TMS?e=UFMHlE
(6)(チラシ)(12.21)さようなら原発 第12回 オンライン学習会
https://bit.ly/3W1i4dG
(7)(チラシ)(1.8)完成版 報告集会 国内避難民の人権に関する国連特別報告者による訪日調査について(京都:ZOOM可)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgyHJ5UMgAGnJwBOf?e=kY9G8q
5.<コラム 筆洗>「記憶せよ、十二月八日/この日世界の歴史あらたまる/アング…:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/218611
(最初の方に書いてある大日本帝国のアジア侵略戦争や文学者・高村光太郎の話も気に入らないし、そもそも原発・核燃料サイクル施設を60基以上も、この狭い日本列島に「射撃場の的」のように並べておいて「武力で国を守る」などという「勇ましきお花畑」論議についても言及がない、こんなコラムは通常はゴミ扱いだ。しかし本日12/8がニイタカヤマノボレ・トラトラトラの81年目にあたること、また、自公のみならず立憲民主党を含む大半の国会議員どもが9条を棚上げにし、立憲主義から脱憲主義に転じていく、この日としてはタイムリーな記事なのでご紹介した。このドアホの国は今度戦争をやったら再起不能の地獄に沈むことになるだろう。:田中一郎)
(関連)反撃能力を保有し「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」を構築するのは、自衛隊が米軍の指揮系統下に入る主権の放棄では!- IWJ記者の質問に浜田大臣は「現時点で答える段階にはない」!!~12.6 浜田靖一 防衛大臣 定例記者会見 - IWJ Indepe
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512806
(対米隷属の右翼・右派・保守という形容矛盾を抱えた諸君は、上記記事をよく見ておくことだ。諸君らの陳腐で単細胞な頭は相手にされることはない:田中一郎)
6.立民、苦肉の修正合意 救済法案、世論・共闘を意識「言葉遊び」批判も:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022120701072&g=pol
(泉健太立憲民主党にとっては、統一教会やカルト宗教の被害者救済、あるいは有権者・国民なんぞよりも、「日本維新の会」の方が大事だということでしょう。来春の統一地方選挙では、泉健太執行部を退陣させるため、立憲民主党候補者全員を落選させ、他の「世直し」政党に投票してください。泉健太退陣キャンペーンの展開をお願いいたします。「立憲民主党」ならぬ「脱憲民主党」への「お願い」などをしていてもラチはあきません。:田中一郎)
(関連)「敵基地攻撃能力」容認へ向けて動き出す泉健太立憲民主党=立憲主義をかなぐり捨て、「市民と野党の共闘」に背を向け、原発を容認しながら、何をやっとるのか? かつての社会大衆党が大政翼賛運動になだれ込んで行った二の舞か?- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/12/post-bd7980.html
7.IWJ日報がコロナワクチンで緊急報道
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◆(昨日12/7)新型コロナワクチン接種問題が新局面に! 今後も我々はワクチンを打つべきかどうか! ワクチン接種後の死亡件数は2年に満たない期間で1908件(11月11日時点)! そのうち厚労省による死亡認定数は10件! インフルエンザワクチンの死亡認定数は45年間で25件!! 実際には40代の女性が、接種直後に死亡! このケースはまだ未認定! 新型コロナワクチン遺族会が10月20日に結成! IWJは厚労省に直撃取材!
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51621#idx-5
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51621#idx-5
◆(本日12/8)日刊IWJガイド・非会員版「超過死亡の増加!! ワクチン接種3回目の累積接種率と累積超過死亡数の相関係数は0.99! ワクチン接種による死者が増えている!-」2022.12.8号~No.3738号 - What's New お知らせ
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51626
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51626
(関連)(重要:必見です)2022年11月25日 新型コロナワクチン接種と死亡事例の因果関係を考える勉強会(VTR)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/11/post-01fd9a.html
(関連)社会の流れが変わった1週間 - 寄付もできるオンライン署名サイトVoice(ボイス)。あなたの声で社会は変わる。
https://voice.charity/events/112/reports/1260
(コロナワクチンによる死者1900人超、重症者約8000人、戦後最大の薬害となってきているものの、役職員の接種率10%と言われる厚生労働省・国立感染症研究所はコロナワクチンの深刻な副作用を認めません。この国のやることは、大変な数の犠牲者が出て、にっちもさっちもいかなくなるまで、ことをやめない・認めない、そして、被害を認めたとしても、その犠牲者は御用学者を使った屁理屈で切り捨てます。また、これまでと同じことが進行しています。マスごみ報道に盲従した諸君はよく反省をしていただきたい。:田中一郎)
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◆(再掲)キャンペーン · 長崎の黒い雨ー全ての被爆体験者に速やかに被爆者健康手帳を交付してください · Change.org
https://tinyurl.com/3uxhey9a
今回は「広島原爆「黒い雨」訴訟の原告全面勝訴(国の上告断念)と長崎原爆「黒い雨」被ばく被害者=何故、国は広島と長崎で被ばく被害者を区別・差別・分断するのか!?」をお送りいたします。
広島・長崎の原爆「黒い雨」の被ばく者もまた、上記で申し上げた「切り捨てられてきた」被害者です。若き毎日新聞記者の小山美砂さんが徹底した調査報道をまとめてお書きになった名著『「黒い雨」訴訟:なぜ被爆者たちは切り捨てられたのか』(集英社新書)をご紹介しつつ、戦後日本の戦争被害に対する政治や行政、そして日本社会のデタラメを改めて糾弾したい思いです。この広島「黒い雨」訴訟は、戦後75年以上が経過し、高齢となった被害者原告の方々が最後の力を振りしぼって起こした「人間を返せ」の裁判です。そして、広島地裁でも、広島高裁でも、見事に原告全面勝訴を勝ち取られています。裁判所前で勝訴を喜ぶ原告や支援者の方々を見ていて(下記VTR参照)、改めて目頭が熱くなりました。
(関連)黒い雨二審も原告全面勝訴 広島高裁、国の検証に影響も - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=QDszx9e-N2A
それにしても、毎日新聞を含む日本のマスコミが忖度御用報道を繰り返して「マスごみ(粗大ごみ)」となる中、まだ入社して10年にならない若き毎日新聞の記者が、すばらしい調査報道をし、それを1冊の本にまとめ上げた偉業は、褒めたたえても過ぎることはないでしょう。みなさまには、この集英社新書を是非お買い求めいただきご一読をお願いするとともに、口コミその他で広めていただいて、小山美砂さんの著書をベストセラーにしていただければ幸いです(それが「黒い雨」被ばく問題の解決への近道でもあります)。
◆「黒い雨」訴訟-小山美砂/著(集英社新書)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000034358919&Action_id=121&Sza_id=C0
しかし、ことはこれで目出度し目出度しの解決ではありません。実は、広島と同じ原爆の「黒い雨」が降った長崎では、同様に「黒い雨」の被ばくを受けているのに、被害者は切り捨てられたままで放置されているのです。広島高裁の原告全面勝訴ののちも、この状態はほとんど変わらず、国・厚生労働省は、インチキ似非科学を振りまわして被害者を押さえつけたままでいます。このことについても、このメールで簡単にご紹介いたします。(上記の署名へのご協力をお願い申し上げます)
<別添PDFファイル>
(1)原爆被害者を援護法から排除する「基本懇」報告(1980)の言う「科学的・合理的な根拠」のインチキ(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
(2)「黒い雨訴訟」原告の主張、内部被曝の告発(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
(3)原爆「黒い雨」被ばくと福島原発事故による放出放射能被ばく(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
(4)「黒い雨」訴訟 広島高裁判決=原告完全勝訴(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
(5)「黒い雨」訴訟敗訴の国側の上告断念と本質を否定した首相談話(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
(6)あとがき(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
(7)広島原爆被爆者における健康障害の主要因は放射性微粒子被曝である(イントロ部分)(大瀧・大谷『科学 2016.8』)
(8)長崎「黒い雨」医療費助成拡大、がん7種、被爆者認定対象変えず(毎日 2022.12.2)
(9)「長崎に黒い雨」証言に客観性、「被爆体験者」救済へ(東京 2022.7.14)
(10)<ヒロシマへ ヒロシマから 通信No.1854 >(2022-12-7 辻元清美議員 首相へ質問主意書)
以下、小山美砂さんの『「黒い雨」訴訟』(集英社新書)から、そのごく一部をご紹介する。広島も長崎もそうだが、原爆被爆者として何らの制限も条件もなく国が原爆症(被ばくを原因とする病気や健康障害)を認めるのは爆心地からわずか3kmの範囲内とその外側の若干の区域だけ(1962年及び65年から:それより以前は2km以内)で、それ以外の地域では国は厳格な条件を付けて認めようとはしてこなかった(だから訴訟が頻発してきた)。行政による支援や救済が受けられない中、健康被害に苦しみ、かつ、許しがたいことに日本社会の原爆被爆者への差別やいやがらせなどの社会的迫害にも耐えしのび、子どもや孫への影響も考えると自ら原爆被爆者・原爆症発症者を名乗ることもはばかられ、戦後何十年もの間、原爆被害者は沈黙・無言を強いられてきた。国はこの被害者の境遇をいいことに、その上に胡坐をかき、さまざまな屁理屈をつけては被害者救済・支援を退けてきたのである。
(関連)被爆者とは|厚生労働省
https://bit.ly/3W0oB8l
(関連)原爆被爆者援護の現状と課題(厚生労働委員会調査室 尼子真央まなか『立法と調査 2008.7 No.283』)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2008pdf/20080704069.pdf
その1つが「宇田雨域」と呼ばれた「黒い雨」が降った地域の指定である。強く降った区域と弱く降った区域に分けられているが、戦後間もなくの頃に、わずかな生存者へのヒヤリングを元に「とりあえずこんなものかな」ということで作成された「参考図」程度の物だった。しかし、それが被害者切り捨ての根拠とされていく。「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律」(原爆医療法 1957年)と「原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律」(原爆特別措置法 1968年)の、いわゆる原爆2法が1994年に一本化され「被爆者援護法」が制定されたけれど、事態はあまり改善しないどころか、1980年の「基本懇」報告を契機にして、より支援・救済への道を狭めてしまっている。「黒い雨」訴訟は、そうした国の理不尽な原爆被爆者政策の末に提訴されたものだった。
1.(別添PDFファイル)原爆被害者を援護法から排除する「基本懇」報告(1980)の言う「科学的・合理的な根拠」のインチキ(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgyL7Wp38jDCyakFu?e=hDUvpy
<田中一郎コメント>
支援・救済への道を狭くし被害者切り捨てを目的として、ロクでもない仕掛けを画策したのは、故橋本龍太郎(元首相、当時厚生相)だった。厚生大臣の私的諮問機関として「原爆被害者対策基本問題懇談会」を設置して、ここに御用学者を集め、1980年12月に報告書がまとめられている。きっかけは広島で原爆に被爆した韓国人(韓国へ強制退去させられた)が被爆者健康手帳の交付を巡って国と裁判で争い(最高裁)勝訴したこと、これにより原爆被害者については日本国民・外国人の区別なく支援・救済の行政サービスが実施されること(建前上は)になったが、そのことが結果として支援・救済対象の一般被爆者の範囲を広げていく可能性が出てきた。橋本はそれを懸念して、対象者を絞る目的でこの御用委員会を創ったということである。
「基本懇」報告(1980)が打ち出した「原則」の1つは、いわゆる「戦争受忍論」である。戦争の犠牲はすべて国民等しく受忍しなければならないというもの、国家が勝手にやりだした戦争で被害が出ても、そんなものは知らない、というわけだ。しかし日本は、主権を回復したサンフランシスコ講和条約締結後ただちに、それまでGHQが禁止していた軍人軍属への支援・救済を開始し、軍人恩給の復活他、その遺族までを含め、手厚い対応を制度化していった。しかも許しがたいことには、旧軍人・軍属時代における身分階級の高さに応じて(元帥・大将から二等兵まで)、その手厚さには大きな差が付けられていた。言ってみれば、大日本帝国のアジア侵略戦争に責任が大きければ大きいほど、支援や救済の度合いは大きかったということだ。ふざけた話である。その反対に、日本本土の空襲被害者・死傷者や原爆被害者、海外居住者、在日外国人らが受けた苦難や損害に対しては、国は何の対応も支援もしていない。「受忍」せよ、である。「基本懇」報告(1980)が打ち出したのは、この「戦争受忍論」である。
もう一つが、原爆被爆者はそんな戦禍の被害の中でも特にひどい被害であり、かつ、生き残って後も放射線被曝による健康障害が残るなど、国が特別の支援・救済・保護をする必要がある対象だとし、であれば、その場合、対象とするには「それ相応の科学的・合理的な根拠がある場合に限定しなければいけない」と理屈をこねたのである。こんなところに「科学的合理的」という言葉が使われて、以降、この「科学的合理的根拠」なるものが原爆症認定申請を次々と却下していくことになるのである。もちろん「基本懇」報告には、その「科学的合理的根拠」なるものの具体的な程度や、誰がそれを立証するのかなど、内容のあることはほとんど書かれておらず、要するに、国に助けてもらいたかったら、国が出すさまざまな難儀なハードルや条件をすべて満たせ、という被害者への無理難題の押し付けだった。これにより原爆症認定は遅々として進まなくなった。「科学的合理的根拠」なるものはここでも被害者切り捨ての決まり文句になったのである。
なお、上記PDFの4枚目には「1号被爆者~4号被爆者」の定義が書かれているので、それにもご留意いただきたい。ここで私が問題だと思うのは、原爆被爆者から生まれた子どもや孫らの子孫(2世・3世以降)が対象から外されていること(胎児のみ対象)で、これこそ何らの「科学的合理的根拠」もなく、放射線被曝の遺伝的障害が事実上、否定されていることになる。事実、戦後は一度たりとも原爆被爆2世・3世の一斉健康調査などは実施されたことはなく、放射線被曝の遺伝的障害はもみ消されてしまっている。
2.(別添PDFファイル)「黒い雨訴訟」原告の主張、内部被曝の告発(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgyMqYHbF9tvBep70?e=SO4Zd1
<田中一郎コメント>
「病気だらけで体は動かせず、お金もない。これこそ、黒い雨の現実じゃあないか」「連絡協議会の計1,000円の年会費も払うことが難しい人が相当数おり、多くがしり込みした」「当時90歳で最年長だった松本正行が、原告団副団長に就いた」「これまでにどれだけの仲間を失っただろうか」「何人もが悔し涙をのんで死んでいった。泣き寝入りするわけにはいかない」「置き去りにされてきた歴史に終止符を打ち、全ての「黒い雨被爆者」を救済する。自分たちだけが「被爆者」と認められるための闘いではなかった」。原告の方々の思いがつづられた文章が続き、目頭が熱くなる。
原告はこの裁判で、次の3点を主張した。①「被爆者」になる条件を争う=健康手帳を交付させ国の誤りを認めさせる、②「黒い雨」の範囲と影響はどうだったか、③内部被曝の告発、である。③については、矢ケ崎克馬琉球大学名誉教授の名前がある。矢ケ崎克馬先生には『隠された被曝』という名著を通じて、内部被曝の実態と、放射線被曝の評価単位=シーベルトがその内部被曝の実態を全く表わしていないこと、そして恒常的な低線量被ばく(外部被曝・内部被曝)が人体にとって極めて危険であることを教えていただいた。今でも心より感謝している。その結果が私の最初のレポート「放射線被曝の評価単位 シーベルトへの疑問」(下記)となっている。
(関連)(増補版)放射線被ばく評価の単位「シーベルト」への疑問 いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-9ead.html
内部被曝に関して、もうお一人が、広島大学名誉教授で「大瀧雨域」を作成された大瀧慈氏である。同氏は岩波書店『科学』(2016.8)に掲載された下記論文で、「広島原爆被爆者における健康障害は初期放射線だけでは説明がつかず、その主要因は放射性微粒子被曝である」とする画期的な科学的実証を行った。裁判の中で国側が示したインチキ被ばく論(特に内部被曝)を矢ケ崎克馬氏とともに完膚なきまでに粉砕している。これもまた「黒い雨」訴訟の大きな成果の1つである。
(関連)(別添PDFファイル)広島原爆被爆者における健康障害の主要因は放射性微粒子被曝である(イントロ部分)(大瀧・大谷『科学 2016.8』)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgySYGLXFgS-Ny8TK?e=oOuoLK
3.(別添PDFファイル)原爆「黒い雨」被ばくと福島原発事故による放出放射能被ばく(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgyX_3qd_2EzAVHbl?e=542pxR
<田中一郎コメント>
「黒い雨」訴訟を闘う原告団・弁護団と、同じく福島原発事故による被害訴訟・被ばく訴訟を闘う原告団・弁護団とは、放射線被曝の危険性やその被害のゴマカシを許さない、国の責任もしっかりと認めさせ、応分の支援・救済をさせる、という点では全く同じであり、時間と場所は違えども、事実上、一心同体だ。お互いがお互いを助け合い励まし合って勝訴へ、被害者完全救済へ向けて、進んでいる。この本の中には、福島原発事故被害者神奈川訴訟の村田弘さん、関西訴訟の森松明希子さん、生業訴訟の馬奈木厳太郎弁護士らのお名前があり、それぞれご意見を述べられている。
(関連)「311子ども甲状腺がん裁判」被害者も最大の公害被害者(伊方原発広島裁判事務局 2022.11)
https://saiban.hiroshima-net.org/report/2022/pdf/20221214_consept.pdf
4.(別添PDFファイル)「黒い雨」訴訟 広島高裁判決=原告完全勝訴(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgyeVU3wH1r2VcH1W?e=QeiqDq
(広島の原告の皆さま、ご苦労様でした。あまりに遅すぎた判決なので「おめでとうございます」とは申し上げられませんね。国を相手に放射線被曝を巡って裁判で争い、原告完全勝訴に終わった判決はこれが唯一のものです。今後へ向けて貴重な判決を勝ち取っていただき心より感謝申し上げます。:田中一郎)
(関連)「黒い雨」広島高裁判決から私たちが学ぶもの(伊方原発広島裁判事務局 2021.8)
https://saiban.hiroshima-net.org/pub/panf02/20210830_kuroiame.pdf
(関連)「黒い雨」訴訟 裁判関連文書 - blackrain1
https://blackrain1.jimdofree.com/%E8%A3%81%E5%88%A4%E9%96%A2%E9%80%A3%E6%96%87%E6%9B%B8-%E8%A8%B4%E7%8A%B6-%E5%88%A4%E6%B1%BAetc/
5.(別添PDFファイル)「黒い雨」訴訟敗訴の国側の上告断念と本質を否定した首相談話(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgyjFINlQxSUhf2sP?e=72AP8m
<田中一郎コメント>
広島高裁で敗訴した国は、最高裁への上告を断念しました。断念を決断したのは菅義偉首相です。菅義偉は「スカ首相」などと言われ、アベ政権の官房長官の時代も、自身が首相であった時も、何一つ有権者・国民のためになるようなことはしなかったと言われる「戦後サイテーの劣悪総理大臣」でした。しかし、そんな中でも、この「黒い雨訴訟」の上告断念だけは、唯一点キラリと光る偉業であり、この行為だけで歴史に名を残して不思議ではない立派な総理としての決断でした。但し、下記のような談話を発表しなければ、です。
「今回の判決には、原子爆弾の健康影響に関する過去の裁判例と整合しない点があるなど、重大な法律上の問題点があり、政府としては本来であれば受け入れ難いものです。とりわけ「黒い雨」や飲食物の摂取による内部被曝の健康影響を、科学的な線量推計によらず、広く認めるべきとした点については、これまでの被爆者援護制度の考え方と相容れないものであり、政府としては容認できるものではありません」(談話エッセンス)
愚かにも菅義偉スカ首相は、この談話により、ただの「カス首相」「クズ政治家」に過ぎない人間として歴史のゴミ箱へ消えていくことになりました。当時、菅義偉内閣支持率が低下していて、これ以上の支持低下を防ぐため、波風を立てないよう上告を断念した=「原爆被爆者を政局調整の道具にした」という下馬評が一般的になっています。三流はやはり三流だったということでしょう。しかし、このくだらない談話が、今度は長崎の原爆被爆者に尾を引いていきます。
70年以上も前の「黒い雨」による内部被曝の線量をどうやって推計するのでしょうか? そもそも内部被曝の線量計測など、原理的にできないし、「シーベルト」などという国際放射線防護委員会(ICRP)がでっちあげた被ばく単位では、内部被曝の実際は過小評価され矮小化されてしまう。放射線ムラの御用学者どもにたぶらかされて、おバカなことを言ってんじゃない、ということです。(田中一郎)
6.(別添PDFファイル)あとがき(『「黒い雨」訴訟』小山美砂:集英社新書)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgynXCoVrit95p3nU?e=iPAyVL
(忙しい方は、私のブログに加えて、この「あとがき」だけでも読んでください。小山美砂さんもご苦労様でした。第2弾の調査報道に期待しています。:田中一郎)
<長崎の「黒い雨」と被爆者救済>
関連する報道などを列記しておきます。ついこの間、7種類のガンの治療費支援を追加しただけで、原爆被害者の認定は滞ったまま放置されています。原告全面勝訴の広島高裁判決が確定しているのに理不尽極まりない国の態度です。法治国家を放棄するのかということです。許されるはずがありません。
◆【公式】ドキュメント九州「長崎だけ救われない」(2022年9月19日OA) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=aPNqBefnEaY
◆(別添PDFファイル)長崎「黒い雨」医療費助成拡大、がん7種、被爆者認定対象変えず(毎日 2022.12.2)
https://mainichi.jp/articles/20221202/ddm/001/040/120000c
(関連)医療費助成「趣旨違う」「黒い雨」認定変えず 被爆体験者、憤り - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20221202/ddm/041/040/105000c
(関連)<社説>「黒い雨」新基準 長崎被爆体験者も救済を - 琉球新報デジタル
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1490028.html
(関連)(別添PDFファイル)「長崎に黒い雨」証言に客観性、「被爆体験者」救済へ(東京 2022.7.14)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgyqafg0GJh7UMNiO?e=vpmnfG
(関連)「黒い雨」長崎県が検証へ 救済対象除外、初の専門家会議 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220209/k00/00m/040/047000c
◆8-21【NNNドキュメント'22予告】「体験者」じゃない「被爆者」だ!! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=mW_Kh7iJfJY
◆「体験者」じゃない被爆者だ!!~長崎 置き去りにされた私たち~|NNNドキュメント|日本テレビ
https://www.ntv.co.jp/document/backnumber/articles/1894twtk2931g27ff7nr.html
<その他関連サイトなど>
(1)(別添PDFファイル)<ヒロシマへ ヒロシマから 通信No.1854 >(2022-12-7 辻元清美議員 首相へ質問主意書)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgysuA8YEvYUPj907?e=nzl7nC
(2)(動画)被爆77年「戦後日本と核」(TBSテレビ 報道特集:20220806)
http://www.tbs.co.jp/houtoku/archive/20220806_2.html
(3)(現場へ!)被爆を伝承する:3 黒い雨、想像できるように:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S15496182.html
◆(要熟読:これが原子力ムラ・放射線ムラの福島第1原発事故の教訓なのか!?)原子力災害時における避難退域時検査及び簡易除染マニュアル案=住民の安全を軽視した検査と除染の簡略化は許されない(避難計画を案ずる関西連絡会 2022.7.18)- いちろうちゃ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/10/post-9acbd9.html
草々
« 3つの報告:(1)(12.2)第46回「福島県民健康調査検討委員会」結果、(2)(12.3)講演会 「チェルノブイリ並み初期被ばくにより多発した福島甲状腺がん」、(3)40年廃炉訴訟市民の会メールマガジン 第31号 | トップページ | (予約必要)(2.9)オルタナティブな日本をめざして(第82回):「みどりの食料システム戦略(農林水産省)」の概要と問題点(天笠啓祐さん:新ちょぼゼミ)(2023年2月9日) »
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