泊原発運転差止の札幌地裁判決:審理引き延ばしを認められず自滅した北海道電力に原発運営の能力はない(しかし、この判決もまた、今日の日本の司法のビョーキを反映する「ある意味で不当判決」である)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.(予約必要)(7.9)オルタナティブな日本をめざして(第77回):「被ばくの戦後史」(高橋博子奈良大学教授 新ちょぼゼミ)(2022年7月9日)- いちろうちゃんのブログ(当日は主催者側より最初の1時間弱で「福島原発事故11年:4つの爆発」(第2回目)のプレゼンを行います。なお、当日の予約状況は、まだ若干名がご参加可能です)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/05/post-61a44a.html
(予約の受付窓口)
*たんぽぽ舎(水道橋):TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
https://www.tanpoposya.com/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/
(上記にお電話していただき「受付番号」をもらってください)
(関連)(報告)(6.16)福島原発事故11年:全くと言っていいほど原発事故の教訓が生かされないまま再稼働・再推進に走るこの国の危険性、「4つの爆発」から(その1)(新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/06/post-7d4c09.html
2.UPLAN(三輪さん)の新しいサイトが立ち上がりました。
https://www.youtube.com/channel/UCoTAl82vUQlWaMQ59qGHCoQ
https://www.youtube.com/channel/UCoTAl82vUQlWaMQ59qGHCoQ
(上記サイトの右上(個別の動画サイトの場合は動画の右下)にあります赤い色の箱の「チャンネル登録」をクリックして、UPLAN(三輪さん)新サイトのフォロワーになっていただければ幸いです。また、①UPLAN(三輪さん)の活動を支えるため、UPLAN(三輪さん)が録画収録するイベントの主催者の方には、可能ならばいかばかりかのカンパを差し上げていただければ助かります、②一般の方のカンパについては、下記をご覧ください。:田中一郎)
(関連)(チラシ)孤高の市民メディア「UPLAN」
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgRIVUUvTWBWZoJlD?e=77hJTv
<「UPLAN」支援はこちらへ!>
*ゆうちょ銀行 記号番号:00100-5-392552
口座名:チーム ユープラン
*他行からゆうちょ銀行へ
店番号 O一九(ゼロイチキュウ)店
口座番号 0392552
口座名 チーム ユープラン
3.キャンペーン · #奨学金返せない 「奨学金」という名の債務の帳消しを求めます! · Change.org
https://tinyurl.com/5hdzjzas
(関連)(別添PDFファイル)「日の丸ヤミ金」奨学金(10):若者から収奪する「日本学生支援機構」(イントロ部分)(三宅勝久『週刊金曜日 2022.7.1』)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgSinApAs4qeBJ93z?e=MpISjh
(関連)“日の丸ヤミ金”奨学金若者から収奪する「日本学生支援機構」(9) | 週刊金曜日オンライン
https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2022/04/07/news-124/
(関連)奨学金(1)~(8)| 週刊金曜日オンライン
https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/tag/%E5%A5%A8%E5%AD%A6%E9%87%91/
4.子どもの放射線被ばくを案じているあなたへ.pdf(子ども脱被ばく裁判)
https://drive.google.com/file/d/1ELe9pJnnTqPZ4suStZ9HxYB0oE6FgwfD/view
(関連)ハガキの文案例
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgSrOdYN_YFFuhv3Z?e=dAkZrd
(関連)子ども脱被ばく裁判 弁護団のページ(次回公判は9/12 仙台高裁)
https://fukusima-sokaisaiban.blogspot.com/
5.(世界の軍事大国TOP50)50 Most Powerful Militaries In The World - 2022 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-d4UOguDCl8&t=183s
6.ワクチン使いきれずに大量廃棄 国の調達や配分に疑問の声も 参院選で論戦みられず:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/188003
(関連)(必見必読)岡田正彦新潟大学名誉教授の新しいコロナワクチン解説本:『本当に大丈夫か、新型ワクチン』(花伝社)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/07/post-8e4c12.html
7.この国の政治、ほんまにロクでもないで=選挙でやっつけてしまえ!!
◆40秒動画でわかる ネットでの選挙運動 やっていいこと悪いこと [参院選2022]朝日新聞デジタル
https://bit.ly/3bWlWuG
(関連)(別添PDFファイル)落選運動:主権者としての権利行使(一人でも出来る落選運動の会 倉田謙 2022年7月)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgSlU8g6uQl0YkMOV?e=s93GLj
(1)岸田自民楽勝のはずが接戦に…最終盤“重点テコ入れ”16選挙区が参院選を左右する|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/307867
(2)選挙前に正体露呈 チンピラみたいな議員ばかりの自民党|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/307870
(3)【日本維新の会】松井市長と吉村知事は首長の仕事そっちのけ 参院選ばかりに熱をあげ大阪府民は置き去り|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/307316
(4)大阪カジノ問題、市民団体が住民投票求める署名21万筆を提出 | 週刊金曜日オンライン
https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2022/06/23/antena-1097/
(5)野党は二度負けた〈編集委員コラム 風速計〉中島岳志 | 週刊金曜日オンライン
https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2022/06/17/fuusokukei/
(6)野党第1党の座を守れるか 創立メンバーが存在感を放ちだした立憲民主党 まぐまぐニュース
https://www.mag2.com/p/news/544471
(7)立民、事実上の〝一本化〟党本部の支援、水野氏に集中へ 参院選2022 神奈川新聞
https://www.kanaloco.jp/news/government/electiondata/article-921781.html
(8)「日本維新の会」(&大阪維新)に関するネット情報その他を集めておきました、ノーコメントでお送りいたします(その1)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/06/post-db766b.html
◆日刊IWJガイド・非会員版「参院選挙投開票日まであと3日! 自公維国の4党で、国会発議に必要な3分の2を超える可能性高まる! 戦後の民主日本最大の政治的危機!!」2022.7.7号~No.3584号 - What's New お知らせ
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51031
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去る2022年5月31日、札幌地裁(谷口哲也裁判長)は北海道泊原発1~3号機すべてについて、その運転を認めない判決を下しました。2011年11月の提訴から10年以上の年月が経過しても、北海道電力は泊原発の津波対策をはじめ原発に関する様々な安全確保の問題について明確な説明を行わず(説明できず)、いたずらに時間を稼いで原子力規制委員会による安全審査合格を待つ姿勢を貫きました。原子力規制委員会がOKをすれば、この裁判も勝訴できるだろうという、司法・裁判と北海道民を軽視・無視した態度です。谷口哲也裁判長は、この北海道電力の傲慢・狡猾な姿勢を良しとせず、10年に及ぶ公判を打ち切った上で、「現在ある防潮堤が安全基準を満たしておらず泊原発全基の運転は認められない、その他の争点については判断するまでもない」としたのです。原告の方々をはじめ、裁判所に判決を聞きに来ておられた方々は「差止」判決を聞いて歓喜に包まれ、私もまた、遠くからその歓喜を少しばかりお裾分けいただきました。
裁判は控訴審に引き継がれる他、泊原発の再稼働へ向けた北海道電力の策動は止まるわけではありませんので、引き続きこの原発の廃炉と使用済み核燃料の安全確保へ向けて、取り組みを強めていく必要があります。また、泊村をはじめ、北海道に多くある、いわゆる過疎地域の経済振興や地域活性化についても、並行してしっかりと考え検討し、政治に働きかけながら取組を強めていく必要もあります。原告並びに原告弁護団の皆様には、このたびの勝訴判決獲得に心より感謝申し上げるとともに、これからも一層のご努力・ご尽力に期待いたしております。
以下、既に報道されていることも含め、関連情報をまとめておきます。また、この判決について、私の現状での評価も簡単に付記したいと思います。
<別添PDFファイル>
(1)声明:泊原発運転差し止め判決の意義と全国の脱原発運動にもたらす波及効果について(原告団、弁護団全国連 2022.6.3)
(2)泊原発 運転差し止め、札幌地裁判決(東京 2022.6.1)
(3)泊原発 運転差し止め、札幌地裁判決(毎日 2022.6.1)
(4)泊原発 運転認めず、札幌地裁判決(朝日 2022.6.1)
(5)泊原発1~3号機を運転してはならない(佐藤秀行 原子力資料情報室通信NO.577 2022.7.1)
(6)泊原発運転認めない札幌地裁判決(イントロ部分)(『週刊金曜日 2022.6.10』)
(7)泊原発差し止めの意義と教訓:津波対策の欠如で敗訴の判決(山崎久隆・たんぽぽ舎 2022.6.10)
(8)北海道泊原発差し止め判決、脱原発より困難? 自治体の脱依存(東京 2022.6.2)
1.泊原発運転差止認める! - 泊原発の廃炉をめざす会
https://tomari816.com/blog/?p=3190
◆判決の骨子及び要旨
https://tomari816.com/home/siryou/img/20220531_tomari_hanketsu_youshi.pdf
◆判決本文
https://tomari816.com/home/siryou/img/20220531_tomari_hanketsu_honbun.pdf
(関連)泊原発の廃炉をめざす会 - 原発のない安全な北海道に
https://tomari816.com/blog/
(関連)泊原発の廃炉をめざす会
https://tomari816.com/home/
◆(別添PDFファイル)声明:泊原発運転差し止め判決の意義と全国の脱原発運動にもたらす波及効果について(原告団、弁護団全国連 2022.6.3)
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/archives/22-6-3/
(関連)脱原発弁護団全国連絡会 - 泊原発運転差止認める!
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/22-5-31/
2.判決 新聞報道
(1)(別添PDFファイル)泊原発 運転差し止め、札幌地裁判決(東京 2022.6.1)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/180684
https://www.tokyo-np.co.jp/article/180645
(2)(別添PDFファイル)泊原発 運転差し止め、札幌地裁判決(毎日 2022.6.1)
https://mainichi.jp/articles/20220531/k00/00m/040/010000c
https://news.yahoo.co.jp/articles/543988ccafe717319189bc55179996f79332769d
(3)(別添PDFファイル)泊原発 運転認めず、札幌地裁判決(朝日 2022.6.1)
https://www.asahi.com/articles/ASQ50756YQ50IIPE020.html
https://www.asahi.com/articles/ASQ5051T9Q5XIIPE02G.html
3.新聞社説
(1)<社説>泊原発差し止め 万が一に備えなくては:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/180982
(2)社説:泊原発の運転差し止め 安全軽視を糾弾した判決 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220602/ddm/005/070/063000c
(3)(社説)北電と泊原発 自ら招いた差し止め:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S15312393.html
(4)<社説>泊原発差し止め判決 北電の安全軽視を断じた:北海道新聞 どうしん電子版
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/687925
4.その他コメントなど
(1)(別添PDFファイル)泊原発1~3号機を運転してはならない(佐藤秀行 原子力資料情報室通信NO.577 2022.7.1)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgSxHd3E0ywHsbx4U?e=XuJg9a
(2)(別添PDFファイル)泊原発運転認めない札幌地裁判決(イントロ部分)(『週刊金曜日 2022.6.10』)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgS3Bfxga3JnWvW7i?e=UH9KbU
(3)(別添PDFファイル)泊原発差し止めの意義と教訓:津波対策の欠如で敗訴の判決(山崎久隆・たんぽぽ舎 2022.6.10)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgS4baiPUxloRifmB?e=htCHON
(4)(別添PDFファイル)北海道泊原発差し止め判決、脱原発より困難? 自治体の脱依存(東京 2022.6.2)
https://1drv.ms/b/s!ArtBTVAHlosVgS-V8lRLg8jRFTX4?e=qRpKAF
<田中一郎コメント>
1.この判決で評価できる点
(1)津波に対する対応として防潮堤建設の不備(地盤の劣悪に伴う液状化対策ができていない)を理由に原発の運転を許さない判決を下したこと。今日の日本の司法は日本国憲法の基本理念である「三権分立」を捨て去り、行政追従・首相官邸や霞が関官庁忖度の「御用判決」ばかりを乱発しており、とうの昔に司法としての使命を喪失している。また、今日のアベスガキシダ自公政権は、福島原発事故の悲劇と恐怖を忘却して「原発の再稼働推進と最大限活用」を打ち出しており、そんな中で、曲がりなりにも原発運転の差し止めを認めたことは評価していい。
(2)北海道電力が、原子力規制委員会の新規制基準審査パスによる「お墨付き」をもらってこの裁判を切り抜けようとし、毎度の公判では時間稼ぎ・審議引き延ばしの態度に出て、原告が告発し裁判所が求める原発の安全性に対する具体的な説明をきちんとせず(できず)、まるで司法をコケにするようなことを続けていた。これに対して札幌地裁は、この裁判提訴から10年以上の時間の経過を鑑み、これ以上の裁判継続に正当性はないとして審理を打ち切り、泊原発の運転差止を言い渡した。しごく当然の判断であり、被告北海道電力の敗訴は、自らが招いた当然の結果と言える。10年間以上もの時間が与えられたにもかかわらず、泊原発の安全性を具体的に立証できなかった北海道電力には、原発を運転・運営する能力も資格もないとすべきである。
(3)原発の安全性(危険性)の立証責任は、危険性を訴えて運転差止・廃炉を求める原告側ではなく、原発の運転・運営をする電力会社側にあるとした点。いわゆる「立証責任の転換」である。泊原発に関する各種情報は北海道電力が独占的排他的にすべて保有しており、立証責任が北海道電力側にあることは自明、原告側は「泊原発が危険であることの一般的蓋然性を相当程度に指摘すれば足りる」話である(下記サイト参照=広島の裁判ではドアホのヒラメ裁判官が立証責任を原告側に負わせて原告敗訴としている=こういうヒラメは駆除する必要あり)。
(関連)伊方原発運転差止広島裁判-戦後最悪の司法判断の一つ 広島地裁吉岡決定
https://saiban.hiroshima-net.org/pub/panf04/index.html
2.この判決の不当性
(1)判決を下すのが遅い。裁判官たちは10年間何をしていたのかという話。もっと早い段階で北海道電力の姿勢を見定め、原告の請求のすべてを認める判決を下すべきである。公正な裁判とはそういうものである。そもそも日本の裁判は時間がかかりすぎる(理由は、①口頭弁論主義を捨てて書類審査主義の官僚裁判になっていること、②裁判官1人当たりの事件数が多すぎる(裁判官が足りない)、③公判から公判までの時間を空けすぎ(ひどい場合は法廷が空いていないことを理由にしていることもある=事件数が増大して法廷が足りないなら造れ!)、④審理を尽くさないで裁判を短縮しようとするサカサマ検討も行われている始末、⑤日本の裁判は、司法に適正な解決を求める原告・被告の期待や願いを無視するかのように「上から目線」で乱暴に進められており、かつ裁判官たちが自己保身を優先させて社会正義や人権を守ろうという姿勢に乏しい、⑥原発裁判では、原子力規制委員会の審査結果を待ち、その結果の丸写しの判決を出すことで行政追従のヒラメ裁判にしてしまう事例が後を絶たない。裁判官の自己保身のためである。そのため、原子力規制委員会の審査結果待ちのような裁判が現状でも10件以上もある(別添PDFファイルの『週刊金曜日』記事を参照)。これでは何のための司法かと言いたくなる、など。要するに裁判所は、一度ガラガラポンでぶっ潰して再構築した方がいい、日本でもサイテーレベルの役所)。
(2)津波対策の不備以外のさまざまな泊原発に関する安全性の欠如について、この判決は「その他の争点について判断するまでもない」として逃げている。原告からは、①地震、②津波、③火山噴火、④避難計画、のそれぞれの対策対応について、全て致命的な欠陥や危険性があると訴えてきている。これに対して、10年間以上もの時間をかけながら、何の判断を示さないというのは不当そのものだ。例えば、④の避難計画については、東海第二原発運転差止の判決を下した水戸地裁のように、泊原発についてもその実効性がないという判断は下せたはずである(積丹半島の西側の住民をはじめ、原発過酷事故に伴い放射能汚染の影響を受ける住民が大挙して逃げることなどできるはずもない、特に冬の気候が厳しい季節では下手に動けば凍死するため、動けないまま大量被ばくを余儀なくされる可能性は高い)。何故、逃げるのか!? こうした裁判所の判断からは、「防潮堤だけをきちんとすれば泊原発はいいんだな」というねじ曲がった解釈が生まれかねず、事実、6/1付朝日新聞記事の有識者コメント(橘川武郎国際大学教授)では、その辺を見越して、原子力規制委員会の今後の審査でOKが出ればこの判決は否定される、などとふざけたことを言っているのがいる。
(3)原子力規制委員会は、既に泊原発敷地内にある断層を「活断層ではない」と評価した。不当極まりない。また、積丹半島西岸の沖合海底を走る長い断層もまた活断層と思われ、北海道西部のこの辺一帯は、常に大地震と大津波の危険性に見舞われている。おまけに泊原発の東側真正面には、いつ大噴火を引き起こしても不思議ではない羊蹄山や、少し離れたところには有珠山や昭和新山もある。火山噴火は地震と連動して起きやすいのだ。ユーラシアプレートと北米プレート、太平洋プレートが重なり合う不安定な地殻の上にあるのが北海道という島であり、そんな場所は、定期的に大地震と大津波と火山噴火に見舞われると考えておいて間違いない。そしてそれは明日にでも起きるかもしれない。10年以上もの時間を無為に過ごしている時間的余裕はないのであって、泊原発敷地が危険極まりない原発の立地場所としては不適切であることを何故、この判決は言わないのか!? 1993年の北海道南西地震(奥尻島に大津波(32m)による大被害が出た)をもう忘れたのか。あの地震と同規模ないしはそれ以上のものが泊原発をいつ襲っても何の不思議もない、そんな場所である。
(関連)北海道南西沖地震 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%E5%8D%97%E8%A5%BF%E6%B2%96%E5%9C%B0%E9%9C%87
(4)原告は使用済み核燃料の撤去を求めたが、判決は「撤去先を原告側が具体的に示していない」として却下した。使用済み核燃料の危険性は福島原発事故時における4号機の経験から知らない人はいない。原子炉は、まだ圧力容器や格納容器で密閉されているだけマシな方で、使用済み核燃料プールは「裸のまま」である。そのプールの冷却が止まれば、格納容器がない原子炉が暴走するようなもので、たちまち環境に放射能をまき散らして人が近づけなくなり、泊原発は全3基が過酷事故状態のまま放置されることになる。原告側住民が「危険だから撤去せよ」と申し立てるのは当たり前のことであり、かつ、この判決でも、使用済み核燃料(プール)の危険性は認めている。それを原告側が撤去先を示さないから却下だなどという判決は「あんた、何言ってんの!?」ではないのか。裁判所は撤去だけを命じればいいのであって(あるいは、撤去しないのなら安全対策の強化を言えばいいのであって)、それを受けて、どこへ撤去するのか、あるいは(撤去までの期間を含めて)使用済み核燃料の安全対策をどうするかは、北海道電力および原子力規制委員会が検討すればいい話である。原告に尻を振って、その当然の要請を却下するなどは、およそまともな裁判官のすることではない。
(5)廃炉請求も却下した。廃炉までの具体的事情は見いだせない、などと理由づけしている。何のこっちゃではないか。総合的に見て、泊原発の安全性は確保できないことは、10年間の裁判の審理の中で明らかになったはずである。加えて、北海道電力には、原発を運転・運営する能力もないことも明らかとなった。これで何故、泊原発は廃炉にせざるを得ない、と判決できないのか? 裁判が始まる前から、泊原発を廃炉にはしない(何があっても、どんな説明をされても)、と決めていた以外には考えられない、政治的な行政追従のヒラメ判断である。この裁判官たちに聞きたいのは、では、廃炉にするのはどういう場合なのか、である。
(6)総括:日本のヒラメ司法の底流の上に(誰が見てもおかしい)「防潮堤不備」だけを理由に泊原発運転差止を認めた
泊原発が抱える様々な危険性について目を閉じたまま、唯一点、北海道電力が、原子力規制委員会も指摘する防潮堤の不備に対して、いつまでたっても適切な説明をしないという、「手続き上の欠陥」を理由に、原告勝訴・被告敗訴の判決を下している。簡単に言えば、この判決もまた、原発について、その安全性の観点から見て、運転させていいのか、廃炉にしなくていいのか、使用済み核燃料(プール)の危険性についてはどうか、という原発裁判の肝心要の「心臓部分」からはトンズラしてしまっているのである。これではこれまでの10年間は、いったい何だったのかということになる。私が「この判決はある意味で不当判決だ」という主旨はこういうことである。日本の司法・裁判所は、根底のところから叩き直す必要があるという私の認識は一層強くなった(下記参照)。
◆(拡散希望)(継続サイト)日本の司法・検察は抜本改革されなければならない:ポイントは(1)「法曹一元化」による司法官僚制度からの解放と、(2)有権者・国民からのフィードバック機能の強化、です- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/04/post-bbc6f8.html
3.河合弘之先生からいただいた「ご注意」のメールについて
泊原発運転差止の判決が出て間もなく私が発信したメールに対して、脱原発弁護団全国連絡会の代表をしておられる河合弘之先生から下記のメールをいただきました。河合弘之先生をはじめ、日頃、原発の運転差止から脱原発へ向け、あるいは脱被ばくや被害者完全救済へ向けて、手弁当でご尽力をいただいている弁護士の皆様には、心より感謝申し上げます。また、全国各地で裁判の原告となり、脱原発・反原発の市民運動・社会運動に取り組んでおられる市民の皆さまにも、心より敬意を表し、これからも応援・支援を続けていきたいと考えております。
(以下、メール転送です)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
弁護士の河合弘之です。こういう批判をするのは間違いです。弁護団や原告団の血と汗のにじむような苦労、この判決をだすにあたっての裁判官の勇気に思いをいたすべきです。こういう成果を重ねていく先に国全体の脱原発があるのです。
(ご批判をいただいた田中一郎発信のメール)
下記の判決要旨を読みましたが、泊原発は運転をしてはいけない、以外のすべての原告の主張は退けられており、かつ、その運転不可の理由も、予想されている津波の大きさには疑義を言わず、その予想津波に対して防潮堤が立地の液状化を起こした場合のことが十分に考慮されていないから、原発稼働はまかりならぬ、と言っているだけである(判決要旨のP5の下)。北海道電力が、いつまでたってもきちんとした説明ができないので、裁判長がしびれを切らして裁判を打ち切り、運転不可の判決を下した、以上のものではない。
裁判所・裁判官は、泊原発に対して、8年間(10年間以上の間違い)もの裁判での審査で、こんな程度のことしか言えないのか、というのが私の率直な感想である。日本の司法・裁判所は完璧と言っていいほど腐っている。さしあたり泊原発の再稼働はダメという判決が出たものの、これは仮処分ではないから原発の再稼働を止める効力もなく、かつ、液状化による防潮堤の破損以外のことはすべて却下されており、私は控訴すべきものではないかと思う。
いい加減にしろよ、日本の司法・裁判所・裁判官どもよ!!
◆判決の骨子および要旨
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/wp-content/uploads/2022/05/220531%E6%B3%8A%E5%88%A4%E6%B1%BA%E8%A6%81%E6%97%A8.pdf
(関連)<解説>泊原発再稼働を認めない判決 安全性を説明できない電力会社にNO:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/180645
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
河合弘之先生のメールに対する私の返答は「(先生の)ご指摘に大いに賛同しつつ反論し、反論しつつ大いに賛同いたします」です。その主旨は簡単で、河合先生がおっしゃるように「弁護団や原告団の血と汗のにじむような苦労」については何の疑いもなく心より感謝申し上げ、大いに敬意を表しております。また「この判決をだすにあたっての裁判官の勇気」についても、今日の日本の裁判所・裁判官のありようからみて、この程度の判決であっても、原発を運転してはならぬ、という結論の判決を出すには「相当の勇気が必要であることも、ある程度想像がつきます。そして、「こういう成果を重ねていく先に国全体の脱原発があるのです」も、全くその通りだと思います。ですので、河井先生のご指摘には大いに賛同し共感いたします。
しかし、他方では、今日の日本の司法の堕落・職務放棄・自己保身ヒラメ化の惨状の下、国を亡ぼすかもしれない危険な原発に関して、きちんとした判決を下せない司法や裁判官のあり方に対して、真正面から具体的に批判をしておく必要もあると、私は強く感じていますので、今回、このメール&ブログにて、簡単に述べさせていただきました。これからも河合弘之先生には、ご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げますとともに、原発分野での一層のご尽力と、それ以外の分野も含め、ますますのご活躍を陰ながら祈っております。
<関連サイト>
(1)泊原発差し止め訴訟、一部原告も控訴:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASQ6G5W19Q6GIIPE017.html
(2)泊原発の運転差し止め判決に首相、再稼働方針「従来と変わらない」(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220531-OYT1T50212/
(3)泊原発3号機の敷地内断層 規制委「活断層ではない」北海道電力の態勢不備で審査8年と長期化:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/114245
(4)原発安全への願い、勝訴に結実 廷内に「やった」、喜びかみしめ(共同通信) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/65d9714b914cee1c900228d3cf9ad840120d3eec
(5)泊原発運転差し止め判決、再稼働スケジュールに変更ない=木原官房副長官 - ロイター
https://jp.reuters.com/article/tomari-gov-idJPKBN2NH0KA
(参考)木原誠二 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E5%8E%9F%E8%AA%A0%E4%BA%8C
(司法判決無視の、このゴロツキのような人物は、東大卒・財務省官僚経由・自民党衆議院議員(東京20区)の「最悪3点セット」男だった。さもありなんの発言だが、東京20区の有権者は、こいつを選挙で落選させる使命を負ったと思っていただきたい。:田中一郎)
草々
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