(再掲)日本の大学を破壊する「大学ファンド」=ボンクラ経営で不振が続く日本の大企業の研究・開発部門を大学に肩代わりさせ、同時並行で大学自治を破壊しながら「軍産学情報複合体」形成へのテコに使う自民党ゴロツキ政権
前略,田中一郎です。
(最初に若干のことです)
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1.キャンペーン · プーチン大統領へ 私たちも、ロシアの科学者・科学ジャーナリストと連帯し、侵略戦争に反対します。彼らの生命と人権を守ってください! · Change.org
https://tinyurl.com/288szn4b
<田中一郎コメント>
「ロシア100%悪玉・ウクライナ及び欧米100%善玉」論はやめるべきです。また、ウクライナを今の日本にかぶせて「ああならないためには日本も核武装も含めて軍備増強が必要であり、また、日本国憲法を改正して9条を廃止しなければいけない」などの危険極まる挑発扇動に乗せられるのは愚の骨頂です。日本が顧みるべきは、ロシアやベラルーシのようにならないためにはどうするか、今回の国際紛争を平和的に解決するにはどうするか、を考えることです。
(関連)(メール転送を含む)ウクライナ情勢についての情報が、この日本では偏りすぎているのではないか(欧米やロシアという国外勢力だけでなく、ウクライナ内部に「戦争屋」がいるのではありませんか?)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/02/post-4931c8.html
(関連)ウクライナ情勢(2):松尾匡立命館大学教授(「薔薇マークキャンペーン」)による「戦争反対!」声明について- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/02/post-09d303.html
◆アメリカとドイツ ウクライナに武器供与へ(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/3d22b24824be6fcc40fa56037b3747183c147b17
(これでは火に油を注ぐことになるでしょうに。喜ぶのは米独の兵器産業・死の商人たちです。必要なのは「停戦・和平交渉」の呼びかけです。:田中一郎)
(関連)米大統領「選択肢は制裁か第三次世界大戦だ」 制裁の重要性訴え - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220227/k00/00m/030/071000c
2.小池百合子たぬき女の「東京大改悪」
この女の「情報公開の徹底」とは、不都合な情報を徹底して隠し、公文書を早期に捨ててしまうこと。そして、「東京大改革」とは、土建屋をはじめとするロクでもない企業や連中とグルになり、東京都の貴重な財産をかすめとり、いたるところで樹木を伐採してコンクリートで固めることだった。私のところには、下記のようなネット署名が送られてきています。ひどい状態です。とりわけ神宮外苑の再開発は許しがたい気がします。
世界遺産とも言うべき築地市場を「官製地上げ」で奪われ、アナクロニズムの銭ゲバスポーツ興業であるオリンピックで都民の税金を使い放題使い(一方で「新型コロナ」感染により明日の食べ物にも事欠く人々が多く生まれているのに、オリンピック会場では大量の高級食材が手も付けられずに捨てられている)、晴海の都有地を「オリンピック村に使う」を口実に土建屋に時価の1/10以下で払い下げし、東京外環道(都市計画道路)という時代錯誤でゼネコン垂涎の巨大公共事業で都民の住宅地を破壊し尽くし、今度はまた、神宮外苑を一部の企業で「私物化」して貴重な樹木を大伐採するという。まさに「盗人による東京の街の大破壊」だ。
先般くたばった石原慎太郎以降、猪瀬、舛添、小池と、4代にわたってゴミ・クズ・カスの都知事を選び続ける東京都民が「愚民」なのだと申し上げれば、身もふたもない話になるが、この頭狂「愚民」の目のウロコを落として脳内革命でも起こさない限り、東京大破壊は続いていくことになる。ここでも政治が主導して、日本ならぬ東京を破壊している。そしてそれを頭狂「愚民」が日の丸の旗を振って歓迎している。
*キャンペーン · 神田っ子の誇り・神田警察通りの32本のイチョウを伐採せずに工事してください! · Change.org
https://tinyurl.com/2p8pvnu4
*キャンペーン · 井の頭公園の樹木伐採計画の早急な見直しを! · Change.org
https://tinyurl.com/fasy4d9h
*キャンペーン · 【埼玉県蓮田市】歴史ある自然豊かな「黒浜緑地」の抜根・伐採を止めたい! · Change.org
https://tinyurl.com/2vc779va
*キャンペーン · 神宮外苑の樹木1000本の伐採に強く反対します · Change.org
https://bit.ly/35qnDNK
*キャンペーン · 小池百合子都知事へ:神宮外苑1000本の樹木を切らないで~再開発計画は見直しを! · Change.org
https://bit.ly/3M076Rt
(関連)神宮外苑1000本の樹木伐採は「歴史・文化の破壊」。再開発に5万人の反対署名(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/e3baec8392b7624f189c4a265f3d45aadb9f8ac4
3.2つの「過疎地」選挙=「自滅」を選択
(1)核ごみ調査、推進派村長が6選 北海道神恵内村(産経新聞) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/42bcf8781f11d4cd13b5403969f3e5055664f804
(2)陸自配備など争点の石垣市長選 現職中山氏が4回目の当選|NHK 沖縄県のニュース
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20220227/5090017490.html
(この選挙結果に強い怒りを感じる。こうしたバカモノを代表に選ぶ「タカリ」根性丸出しの自治体住民もしかりだが、しかし、こうした選挙結果をもたらしている元凶は今日の自公政治にあるということが明々白々であるからだ。一方は「核・原発」で滅ぼされ、他方は「戦争」という階級支配により、滅亡への道を「自主的」な体裁をとらされて歩かされている、ということ。耐え難いものがある。:田中一郎)
4.(イベント情報)(3.1)院内集会のお誘い<サイバー警察局を新設する警察法改悪案を廃案に!>
日 時:3月1日(火)12時~13時30分
会 場:衆議院第1議員会館 第1会議室
主 催:警察法改悪反対・サイバー局新設反対2・6実行委員会
連絡先:小倉利丸(070-5553-5495)
メール:no-cyberpolice.techcenter@aleeas.com
オンライン配信は下記で
https://www.jca.apc.org/no-cyberpolice/2022/02/23/20220301innai/
vimeo https://vimeo.com/event/1879568
1月28日にサイバー警察局を新設する警察法改悪案が国会に上程されました。私たちは主要に以下の2点から警察法改悪案に反対しています。一つは、サイバー警察局が対象とする「サイバー領域」とは私たちが日常的に利用する電子メールやSNSなどによるコミュニケーションの場であり、警察の介入によって貴重な「通信の自由」や「表現の自由」が侵害される危険性を持っている点です。法案では「サイバー事案」「重大サイバー事案」などの対象領域が具体的にどこまでを指定するものなのか大変曖昧です。
もう一つは、なぜ国家機関である警察庁にサイバー警察局を新設し、捜査権限を付与しなければならないのか、わからない点です。戦後国家警察は解体され、捜査権限は自治体警察にしか認められませんでした。サイバー領域だからといって捜査権限を警察庁に認めてよいのでしょうか。 既存の組織では何故い
けないのか、よくわかりません。
こうした不明な点の多い法案を拙速に成立させることは、民主主義の根幹に関わる危機だと言えましょう。サイバー警察局は4月1日から開設させたい、内閣委員会には子ども家庭庁法案など重要法案があるため警察法改悪案は早く「あげたい」という政府のシナリオがあるようです。しかし日本の警察組織の在り方を大きく変えようとしている法律案を十分な審議なしに成立させるわけにはいきません。
私たちはこの法律案のどこが問題なのか、院内集会で問題提起していきたいと考えています。各界からこの法案に対する発言をお願いしています。 是非ともご参加ください。なお、当日はオンライン配信する予定です。また同会議室にて13:30から記者会見を行います。
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日本の大学の解体・再編が、また一歩進められようとしています。「大学ファンド」なる羊頭狗肉の大学破壊ファンドのことです。有権者・国民の税金=貴重な巨額財源を、日本の未来へ向けた学問・研究・教育の発展や活性化のために使うという美辞麗句の下、実は、ボンクラ経営で不振が続く日本の大企業の研究・開発部門を大学に肩代わりさせ、同時並行で大学自治を破壊しながら「軍産学情報複合体」形成へのテコに使おうとしています。そして更に、この「大学ファンド」の巨額資金10兆円は、何とその大半を株式投資で運用するなどとしていますから、これは公的年金基金(GPIF)、日銀ETFにつづく、公金を使ったバクチビジネスへの傾斜でもあります。まさに自民党ゴロツキ政権がやりそうなことです。政治主導の日本破壊政策の一環です。
本来は我が国の学問・研究・教育を、その組織を挙げて守らねばならぬ役回りの文部科学省は、アベスガキシダ政権の幹部公務員人事権の乱用で採用された事務次官を筆頭に、この自民党ゴロツキ政権の先兵の役を果たしています。一刻も早く、ホンモノの政権交代が求められています。
岸田文雄が言う「新しい資本主義」の1つのメニューに、この「大学ファンド」があるのだそうです。バカも休み休み言え、でしょう。何が「新しい資本主義」ですか! かようなことを進めていけば、まもなく第二の日本大学、第三の日本大学が生まれてくるのは時間の問題です。既に日本の大学は政治主導で十分なまでに腐りきっています。毒を食らわば皿までも、で、更にもう一段、大学を腐らせ堕落させていく大きな推進力を、この「大学ファンド」は提供することになるでしょう。
それにしても、この「大学ファンド」を、何故、大手マスごみは厳しく批判して詳しく報道しないのでしょうか? まとまった批判解説をして報じているのは、日本共産党機関紙の「アカハタ」新聞だけです。情けないと思わないのか、日本のマスゴミは! です。この「大学ファンド」をはじめとする自公ゴロツキ政権による大学破壊装置が、将来へ向けて日本の学問・研究・教育を破壊して衰退させていく、という直観力というかセンスというか、そういうものは持ちあわせていないのか!? ならばジャーナリズムとしては完全に失格だ。廃業しろ。
(1)異次元ファンド 危険な大学改革(1)-公金10兆円で挑む「錬金術」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2022-02-15/2022021501_05_0.html
(2)異次元ファンド 危険な大学改革(2)-のしかかる成長への重圧
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2022-02-16/2022021601_05_0.html
(3)異次元ファンド 危険な大学改革(3)-研究壊す「毒まんじゅう」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2022-02-17/2022021701_07_0.html
(4)異次元ファンド 危険な大学改革(4)-学長の上に大企業経営者
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2022-02-18/2022021802_07_0.html
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(5)(社説)大学ファンド 研究力は高まるのか:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S15166270.html
(6)「10兆円大学ファンド」~「選択と集中」「毒まんじゅう」で日本の大学は再生できるか?(榎木英介) - 個人 - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20220131-00279870
(アカハタ新聞記事から一部抜粋)
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岸田政権が成長戦略の柱と位置づける大学ファンドの運用開始が間近に迫っています。公的資金10兆円を金融市場で運用し毎年4千億円超の利益をあげ、世界レベルの大学を育成するといいます。政府自身が「異次元の政策」と呼ぶ構想に、金融界は株価上昇への期待感を、大学関係者はさらなる教育・研究基盤破壊への危機感を高めています。
大学ファンドのうち65%、6兆5千億円は株での運用が決められており、日本の株式市場はいっそう官製相場の様相が強まります。投資の原資は国民から集めた税金約1兆円と国の借金の一種である財政融資資金約9兆円です。財政融資資金を元本保証のない株に投じるのは、借金でギャンブルに興じる危うさに通じます。(中略)「この間のGPIFの高収益は世界的な金融緩和政策で株式市場に資金が流れ、株価が上昇したことを追い風にしたもの。いま世界は金融引き締めへかじを切っており、市場環境は大きく変わろうとしている」(鳥畑氏)
(中略)事業成長3%とファンド立ち上げに向けた巨額の積立金が強い圧力をかけ、稼げる研究への「選択と集中」が大学の経営戦略に組み込まれることになります。企業などからの外部資金獲得が見込まれる応用研究系の学部などへの資金傾斜と、基礎研究や人文系学部の軽視がいっそう加速しかねません。
(中略)国の科学政策などについて調査・発信している「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表は大学ファンドについて、支援と引き換えに教育と研究という大学にとって本来最も大切なものを犠牲にする「毒まんじゅう」だと指摘します。大学ファンドから支援を受ける大学には年3%程度の事業成長が課されるうえ、企業などから外部資金(競争的資金)を多く獲得した大学ほどファンドからの支援額も大きくなります。
榎木氏は、国立大学などの交付金が減少し競争的資金を獲得しなければ研究が続けられなくなったことで、資金獲得のための書類作成に研究時間を奪われるようになり、不安定な任期付き教員を増やす要因にもなったと語ります。「競争的資金のプロジェクトは長くても5年間なので、任期付きでしか研究者を雇えない。腰を据えて研究できないので短期間で成果が出やすいテーマを選ぶことになり、結果として革新的な研究が生まれない悪循環に陥っている」
(中略)国立大学は長年、教職員の投票結果にもとづいて学長を選ぶなど、教授会を中心とした大学自治を築いてきました。自公政権は、2004年の国立大学の法人化に合わせ、大企業の役員など学外者が半数を占める学長選考会議が学長を選ぶ仕組みへ変更。14年には教授会を学長の諮問機関へ格下げし、21年にも学長の権限と文科省支配を強化する法改定を行いました。
その結果、教職員の意向投票で大差で敗れた候補を選考会議が学長に指名する▽意向投票自体を廃止する▽カリキュラムもトップダウンで変更―など「学長独裁」と呼ばれる事態が各地で起きています。しかし、今回大学ファンドに組み込まれたガバナンス改革は、これまでの大学自治破壊と比べても次元を異にしています。
現在の国立大学では、学長と理事からなる役員会が意思決定機関と執行機関を兼ねています。理事数は大学ごとに法律で決められ、例えば東京大学は7~8人。学外者はそのうち2人いればいいことになっています。一方、大学ファンドの支援を受けるには構成員の「相当程度」を学外者が占める「合議体」を大学の最高意思決定機関にしなければなりません。相当程度について政府は「例えば過半数、半数以上等」とし、メンバーには事業戦略や財務戦略に知見を持つ人物がふさわしいといいます。
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(関連)(報告)(2.22)オルタナティブな日本をめざして(第71回):「いま日本大学でなにがおきているのか:日本の私立大学が抱える諸問題」(長沼宗昭元日本大学法学部教授:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/02/post-292236.html
(関連)日本大学事件と私学改悪の動き=このままでは日本の大学は危うい(このテーマで「新ちょぼゼミ」やります=2022年2月22日夜6時:たんぽぽ舎)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2022/02/post-cdc1b5.html
草々
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(追)「東大安田講堂事件 あのとき学生は何と闘ったのか」 アナザーストーリーズ 運命の分岐点 – NHK
https://www.nhk.jp/p/anotherstories/ts/VWRZ1WWNYP/episode/te/JRV3RJLXRM/
<田中一郎コメント>
日本の大学が政治主導で腐り、大学運営が一握りのゴロツキどもに私物化され、他方では、大学内部からのさしたる抵抗も反対運動も出てこない「大学畜」状況が広がる中、この番組の表題を見て、大学紛争から約半世紀後の今、改めてこの事件を真摯に多面的に振り返るのは意義があることだと思い、かすかな期待も持ちつつ、このNHK番組を見ましたが、結果はがっかりでした。まあ、一種の「センチメンタル・ジャーニー」(故西部邁:にしべすすむ=こちらは60年安保・ブント全学連体験の話)の出来損ない、のようなものでしょう。ネット上には、この番組の録画が見つかりませんでした。残念です。
(参考)六〇年安保 センチメンタル・ジャーニー-西部邁/著(文藝春秋)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033772171&Action_id=121&Sza_id=C0
番組は大きく3つに分かれていて、①闘った学生たちの今と回想、②大学当局の当時の動きと2人の学長(大河内一男と加藤一郎)、③鎮圧機動隊を指揮した東大出身の隊長、がそれぞれ20分くらいで描かれていました。時間的に見ても、とても仔細に説明ができるものではありませんが、まずは③は全く不要の「ツケタシ」であり、これをカットして①と②にもっと時間を割くべきでした。
①について申し上げれば、この番組では最もよく取材出来ていたとは思いますが、やはり、1968年秋に東大全共闘がどうして「自己否定」論や「大学解体(東京大学解体)」方針を取るようになったか、そして、その方針でどういう闘争の展望を持ち、また、その後敗北をして自身の身をどのように振っていったのか、までを、もう少し追いかけるべきだったと思っています。それは私が、東大紛争の最大の誤りが、ここに、つまり「自己否定」論と「大学解体」方針にあったのではないかと思っているからです。私にはこの2つが、維新(日本維新&大阪維新)の「身を斬る改革」と心理的には類似点があるように思われるのです。
それから、当時の闘争学生は、いわゆるノンセクト・ラジカルと言われる無党派(左派系の学生が多かったように見えるが、実際は必ずしもそうではなかったのではないか)と、中核・革マル・民青に代表される左翼セクトの2つがあったことも放送で伝えておく必要があり、それがまた、内ゲバと言われる深刻な内部対立や暴力行為をもたらして、その後、新左翼セクトが四分五裂し事実上消滅していったことも大事な点であると思われます。何故なら、この左翼たちの(愚かな)ふるまいが、今日の「世直し」運動にも大きな影を落としているからです。
他方、②については、簡単に申し上げれば、東大紛争の発端の医学部紛争についても、それから、優柔不断で判断力に乏しく、自分の足元で起きている問題については、とんと対応能力を持たずに後手後手に回っていた大河内一男という学長についても(この人物は当時としてはリベラルな労働経済学者だった、こういうタイプの大学教授は昔も今もわんさといて、自分たちの足元のことは棚上げにしたまま、世の中に向かって偉そうなことを日々のたまわっている)、また、そのあとに登場した紛争片付け屋の加藤一郎についても、描き方が不十分で、これではよくわからないでしょう。
加藤一郎については、私はこの番組を見て、少し見直して評価を上げようかなとも思った次第です。少なくとも、大河内一男のようではなかった。私が加藤一郎の当時の態度で評価できると思ったのは、学生たちの無礼をぐっとこらえながら、学生との対話を続けようとしていたこと、そして、安田講堂闘争で逮捕された学生たちに対して、東京大学に戻りたければ何の条件も付けずに認める、とした点です。特に後者は非常に重要な、大学人として見上げた態度であり、すぐれた方針だと思いました(加藤一郎は当時を振り返り、当時の学生たちは今の学生たちよりもずっといい、と言っていたそうです:1980年代~1990年代のことかな?)。でも、これって、ひょっとしてNHKの術策にはめられたのかもしれません。加藤一郎の生の姿を知る人は、生きているうちにきちんとそれを後世に伝える必要があります。私は当時、中学生だったので、事態がどのように展開していたのか、全くと言っていいほど知らない。
いずれにせよ、1968年の大学紛争、とりわけ東大紛争と日大紛争は、クールヘッドの人がきちんとまとめて後世に伝えていく努力をすべきで、私は当時の学生反乱を歴史的な意味と意義のある勇気ある行動だったと位置づけています。少なくとも最初のうちは、若い学生たちの大半は純情な気持ちで闘争に参加していたと思います。事がこじれていったのは、大学当局の対応の悪さが原因です。しかし、その大学紛争から数年して、私が大学に入学したころの大学、大学当局、大学教員や大学生、そして左翼=とりわけ新左翼たちはひどい状態でした。まさに「祭りの後」のごとして、熱しやすく冷めやすく、そしてそのあとには何も残らない、という故丸山真男氏の論じた日本の政治思想の特徴が、そのまま出ていたように思われます。
(関連)1968 上・下-小熊英二/著(新曜社)⇒ 批判の多い書物です:田中一郎
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032275362&Action_id=121&Sza_id=C0
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032286592&Action_id=121&Sza_id=C0
(関連)東大闘争総括 戦後責任・ヴェーバー研究・現場実践-折原浩/著(未來社)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033866792&Action_id=121&Sza_id=E1
(関連)左翼セクト系統図(『1968(上)』小熊英二 新曜社)
https://drive.google.com/file/d/11srWOgAcqSDj1J7nd-AmjRDaFGrnpMaa/view?usp=sharing
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