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2021年8月26日 (木)

(他のMLでの議論です)世界金融市場の構造と金融取引税について(若干のMEMO:加筆修正):私が発信した2つのメール

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)


(最初に若干のことです)
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1.(予約必要)(9.11)オルタナティブな日本をめざして(第64回):「井戸川裁判(福島被ばく訴訟)は何を問うているのか」(古川元晴弁護士・井戸川克隆元双葉町長)(「新ちょぼゼミ」 2021年9月11日)- いちろうちゃんのブログ(この日は事務連絡を除いて主催者側からのプレゼンはありません)
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/07/post-c6d6f8.html
 (開始時間がいつもとは違い、午後1時30分ですので、ご注意を!)

(予約の受付窓口)
*たんぽぽ舎(水道橋):TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
 https://www.tanpoposya.com/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/
(上記にお電話していただき「受付番号」をもらってください)


2.連続オンラインセミナー エネルギー基本計画素案を読む|FoE Japan
 https://www.foejapan.org/event/supt/6thenergyplan.html

3.キャンペーン:署名「リニアのために私たちの未来を犠牲にしたくありません!」FoE Japan
 https://foejapan.org/aid/linear/2020shomei.html

4.20年度の食料自給率、過去最低37% コメ需要減少響く- 日本経済新聞
 https://s.nikkei.com/3zl2kHs

(総人口で1億人を越える国なのに、自国の主食や食料を粗末にし、世界中から安いものを選んでカネで買えばいい、などという安直・お気楽な認識で、いつまでたっても食料自給率低迷の状態を転換しようとはしない日本、こんな国が将来に向けて繁栄することなどありえない。それどころか、(このままの事態が続けば)近未来において、この国の人間たちは「飢えること」の恐ろしさを体験することになるだろうと私は思っている。世界的な「新型コロナ」感染拡大で輸入品の供給が止まったことをよく覚えておくことだ。農林水産業は輝くような可能性を持った21世紀型の基幹産業である。地域振興の要でもある。それを足蹴りにして、恵まれた日本列島の自然条件を生かすことを知らない、この愚かしさは腹立たしい限りである。諸悪の根源は政治にある。:田中一郎)


5.オリパラ無残
(1)「批判されないことが第一に」五輪組織委職員、内幕明かす 閉会式は「いろいろ盛り込んで『残念』」(神戸新聞NEXT) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/3be7faf1e16c1f4328117a37bdaa83cdaf2d1261
(2)【東京五輪】オリパラで国民も気づかされた「卑しいメディア」の正体|斎藤貴男 日刊ゲンダイDIGITAL
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/293755
(3)医療崩壊でもパラは強行 無能デタラメ政権を談合で担いだ自民党の大罪(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
 http://www.asyura2.com/21/senkyo282/msg/589.html
(4)パラ会長、菅首相ら40人の歓迎会 組織委幹部の反論に批判の嵐でトレンド入り「開き直った」「あり得ない」(中日スポーツ) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/0fe43abb749274a25c923612daeaad8a1ac8e0e1


6.(別添PDFファイル)カジノ政治の終焉(鎌田慧 東京 2021.8.24)
 https://bbs10-imgs.fc2.com//bbs/img/_653100/653072/full/653072_1629781879.jpg

(1)あまりに無能、一気に政局「一刻も早く辞めてくれ」が国民の総意(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
 http://www.asyura2.com/21/senkyo282/msg/602.html
(2)赤羽大臣 憲法無視の「内閣は国会ひらけない」発言に“勉強しろ”と呆れ声(女性自身) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/df8986efa4a0586447427e1cc9cc8d271bd3c883
(3)創価学会に激震 東京地検特捜部が公明議員の事務所にガサ入れ、本当のターゲットは小池百合子?(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/b09207115cc8cc511c305f3121a9860530e28982
(4)なぜ強い?関西で広がる維新支持 サウナ、署名偽造…不祥事続出でも選挙で躍進
 https://bit.ly/2Wpwomy
(5)「自助・共助・公助」という呪い まずは自己責任 そして共倒れするまで助け合え-ハフポスト
 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f586e58c5b62874bc15c4d6
(6)安倍前首相「桜を見る会」検審議決で告発団体会見 「再び不起訴許さぬ」(週刊金曜日) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/7b087ad225d9ea32b84f9627f8404e8d53ea5586
(7)総裁選スケジュール決定を前に政権支持率は発足以来最低の25.8%に…それでも“菅おろし”には至らず-若手・中堅・重鎮から意見が飛び交う党内の最新事情(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/99b14374ca2b06916bf745309ae850cbd48d299c


6.こんな野党で大丈夫? こんなリベラルで大丈夫?
 ♪「いつまでたってもダメな私」♪ を続ける野党、とりわけ立憲民主党の「枝野幸男・福山哲郎・泉健太」執行部。レゾンデートルともいうべき「脱原発」の歴史的使命を忘れたかのごとき言動をふりまき、経済政策や税制改革による国民生活の抜本改善のための政策・マニフェストも打ち出さず、御用組合「連合」やその代理店政党の国民民主党なんぞに足をすくわれて立ち往生しているこの政党執行部が、「新型コロナ」対策でいくら国民の命と健康を優先させる政策を唱えたところで誰が信用するのかという話である。

◆♪「いつまでたってもダメな私」♪
 https://www.youtube.com/watch?v=yKymLwcNuKk

 また、アベスガ自公政治が、ここまで日本をボロボロにしてしまっていて、もはやこんな政治は根絶しなければいけないという時がやってきているのに、「新型コロナ」トンチンカン政策で「挙国一致」の大連立政権を、今ごろになって提唱する「リベラル」とやらの「甘ちゃん」有識者たち。本来であれば今ごろは、「市民と野党の共闘」が一丸となってアベスガ自公政治の徹底批判と政権打倒、そしてそれに代わる「オルタナティブな日本」のための政策マニフェストを打ち出して、全国各地で街宣活動が行われていてしかるべきなのに、そんな姿は見たことなし。唯一、山本太郎「れいわ新選組」が「世直し」街宣の全国展開をしているだけ、というありさまである。これで来たる衆院選と、来年夏の参院選に「市民と野党の共闘」は勝てるのか!? 私はいたって怪しいと思っている。

◆♪「オラこんな野党イヤダ」♪
 https://www.youtube.com/watch?v=P4JN9Sfqz0c

(1)(別添PDFファイル)今こそ与野党「大連立政権」検討を:山口二郎(『週刊東洋経済 2021.8.28』)
 https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27824
(2)【菅義偉】野党は乗ってはダメ “救国大連立” や“政治休戦”は甘い罠|日刊ゲンダイDIGITAL
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/293615
(3)第2の保守へ結集探る、「1%政党」の現実 玉木雄一郎- 日本経済新聞
 https://s.nikkei.com/2UR3ZFG
(4)過去旧民主党系と深い関係…全トヨタ労連が自民党愛知県連幹部と政策について意見交換 与党側との連携模索(東海テレビ) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/734a7e8e13cce0ed5fbfad48d217f60f581b22cc
(5)野党勝利の裏に元「自民党プリンス」 若手連れ黄門行脚 [横浜市長選挙]:朝日新聞デジタル
 https://www.asahi.com/articles/ASP8Q4VY9P8LUTFK00C.html?ref=hiru_mail_topix2_6
(6)立民と国民、衆院選で覚書 連携強化、関係修復狙う - 琉球新報デジタル
 https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-1380866.html


7.小沢一郎氏が告白!「がん」「大量吐血」「心筋梗塞」との死闘 - FRIDAYデジタル
 https://friday.kodansha.co.jp/article/196261

(一部抜粋)
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最初は1969年12月27日の初当選後だった。選挙活動の間、とくに体調不良は感じなかったのだが、ふとしたときに首にしこりを見つけた。「たまたま首の右側を触ったとき、コロコロとしたものがあることに気付いた。近くの医者に行ってみると『扁桃腺だろう』と言われたので、様子を見ていました。しかし、いつまでもコロコロが消えないため『変だな』と思って、当時、東北大学病院で医者をしていた従兄弟に診てもらいました」

東北大学病院で”コロコロした組織”を取り出して生体検査を行ったところ、悪性の甲状腺がんであることが判明した。「従兄弟から『がんだ』とはっきりと告げられました。従兄弟に『どうすべきか』と聞くと『手術するしかない』と言われ、すぐに入院しました。ショックを感じているヒマもなかったですね。頸部外科のエキスパートに執刀してもらうことができました」
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(この記事にはさすがに驚きました:田中一郎)

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「世界金融市場の構造と金融取引税について」の他のMLでの議論で、私が発信した2つのメールをご紹介いたします。下記は議論でご指摘を受けた点を加筆修正しています。今後のグローバルタックスや金融政策、あるいは金融構造改革の議論の参考になれば幸いと考えています。

また、小池百合子タヌキ知事が提唱しているような「国際金融都市・東京」構想のようなものは、基本的に「市場原理主義アホダラ教」に立脚しており、この女が得意とするところの耳目を引くパフォーマンス政策の出来損ないのようなものです。まさに時代遅れで都民のためにも国民のためにもならない、カジノ資本主義を追いかけるだけの「夢よもう一度」の愚策であることを申し添えておきます。バブル崩壊とその後の低迷する日本経済や悪化していく国民生活を経験した日本ですから、都民のための政策は、国民のための政策は、国内外の金融資本の金儲けや金融バクチ場を創るようなこととは真逆の方向にあることは、あえて詳しく申し上げなくても自明のことではないかと思います。

◆国際金融都市・東京-国際金融都市、特区・外国企業誘致-東京都政策企画局
 https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/pgs/gfct/


 <別添PDFファイル>
(1)G20、法人税最低15%合意…デジタル課税導入も 10月に正式決定、23年実施へ(東京 2021.7.13)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/116238
(2)国際課税に新ルール、不公平の是正へ、立場の違い越えて(朝日 2021.7.26)
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14987505.html

 <関連サイト>
(1)第57回「金融取引税とは?」 - 金融そもそも講座 - man@bowまなぼう
 https://manabow.com/somosomo/ftt.html
(2)米独の金融自由化とセイフティ・ネットの展開(2004.12)
 https://www.fsa.go.jp/frtc/nenpou/2004/04.pdf
(3)アメ リカの金融制度改革 と銀行経営破綻
 https://core.ac.uk/download/59178776.pdf

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(4)ニクソン・ショック50年(上) ドルの優位、当面揺るがず- 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75030690T20C21A8KE8000/
(5)ニクソン・ショック50年(中) 国際金融システム 再構築を- 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75069340U1A820C2KE8000/
(6)ニクソン・ショック50年(下) 国民生活改善への転機に- 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75105500V20C21A8KE8000/

(財界御用新聞の日本経済新聞の「経済教室」ですが、上記3つに関する限り、まあ、こういうこともあったな、くらいで見ておけばいいでしょう。現代経済学=つまりは「市場原理主義アホダラ教」の理屈で展開されていますので、ここに書かれていることを「真に受けない」ほうがいいと私は思います。:田中一郎)


1.一つ目のメール
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前略、田中一郎です。
世界金融市場の構造と金融取引税についての議論です。

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簡単に箇条書きにします。

1.今日の世界の基軸通貨はドル=米国の国内通貨です。ということは、世界金融市場は「ドル」を中心に形成されています。世界の金融取引の中心はNY市場であり、金融取引の種類は、大雑把に分けて、外為(EXCHANGE)、株式(STOCK)、債券(DEBT)、短期マネー、デリバティブ、の5つに分かれるでしょう。その他としては商品取引があります。金融取引は、取引所で行われるものと相対取引(店頭取引)があり、課税を考える場合には、これも念頭に置いておかなければなりません。そして、その国際通貨「ドル」の決済は、米国の銀行によって「最終決済」されます。これもKEYポイントの1つです。通貨はその発行国母国が「最終的な権限」を持っています。そして、国際通貨である「ドル」は、国際通貨であることによる「特権」のようなものを持つのです(例:信用度が高い)。

2.世界金融市場の中心というか、金融市場そのものは「ドル」の取引市場です。それ以外のLDN市場やTOKYO市場などは、下記に申し上げるオフショア市場(ユーロ市場)を除いて、「ポンド」や「円」がローカル通貨なので、国際金融取引とはいい難い面があり、一般的には「ドメスティック市場」と認識されます。他方で、LDN市場を含む国際金融市場と言われるトコロでは、「ドメスティック市場」とは別に、いわゆるオフショア市場(ユーロ市場:基本的に店頭市場です)がありますので、それも念頭に置いておく必要があります。オフショア市場は、原則無規制、非課税、非公開の「第二のタックスヘイブン」ともいうべきものです。国際金融市場としては、NY市場が開いていない時間帯に、LDN市場やTOKYO市場が、補完的に取引を行っているという認識でよくて、LDN市場の場合は、歴史的経緯もあって、いわゆる「ユーロ市場」(オフショア市場=タックスヘイブンの一種)取引が活発であり(LDN市場はオフショア市場の方がメインです)、他方、TOKYO市場は自国通貨「円」の取引(株、国債、円短期資金、円ドル為替、円関連のデリバティブ)=つまりは「ドメスティック市場」さながら、という特徴があります。

3.ここ30年くらいの各国の歴史的変化で、少しずつ様子が変わってきているようですが、基本は上記だと認識しています。LDN市場でいえば、英EU離脱(ブレグジット)で金融取引の拠点が大陸市場(フランクフルト?)に移りつつあると報道もされていますが、はたしてどうでしょうか? 私は怪しいと思っています。LDN市場のオフショア市場(ユーロ市場)の歴史的な厚みは相当なもので、大陸の市場はそれに比べればずっとずっと小さく薄っぺらいものだと認識しています(そうではないという事実があればお伝えください)。

アジアの香港市場は、ご承知の通りのことで、国際金融市場としては、もう機能しないでしょう。中共中国の植民地市場のようになっていくだろうと推察します。つまり、中共中国の公的機関や企業が利用する市場ということです。第二上海市場のようなものです。SGP市場は、まさに島国なので「ドメスティック市場」はないに等しく、オフショア市場(ユーロ市場)だけに特化した金融都市のような様相ですが、今から30年ほど前は、短期のマネー市場と一部デリバティブがある程度で、典型的なTOKYO市場のシャドウ・マーケットでした。要するにSGP発祥で相場が大きく動くことはない、ということです。相場の実質決定力を持っていないという意味です。ただ、日本経済がバブル崩壊以降に低迷し、徐々に徐々に、金融市場でも衰退色が強まり、取引が同じ時間帯のSGP市場に移っているという話は耳にします。さもありなん、と私は思っています。超金融緩和の超長期化と、日銀及び公的年金基金による株式の大量購入がこれに拍車をかけています。「円」をめぐる市場は、だんだんと「国際的な投機筋」に狙われやすい、いびつな形の「弱い」構造に変わりつつあり、投機筋の仕掛けによる「円」の暴落も近未来にあり得ない話ではないと私は見ています。

4,それで、金融取引税の話ですが、まず「(国際)金融取引税」という観点であれば、米国政府がどうするか、次第でしょう。国際金融市場の構造が上記のような形ですから、米国が「YES」と言わない限り、それは「(国際)金融取引税」ではなくて、「ドメスティック金融取引税」になり、その効果も金額も限定的になります。そして、金融市場を設ける各国政府の姿勢は、自国だけ税を課せば取引が外国に逃げる、と思ってしまうので、どうしても「金融取引税」には消極的になりがちです。逆に言えば、米国が「NO」でも、各国がドメスティックな市場で(自国通貨表示の国内市場)でやる分には、ある程度の裁量が効く可能性があります(SGP市場などは「ドメスティック市場」がないので、金融市場への規制や課税には強く反対するでしょう=無視すればよろしい)。

(関連)第57回「金融取引税とは?」 - 金融そもそも講座 - man@bowまなぼう
 https://manabow.com/somosomo/ftt.html

ただ、現状では、法人税課税の「どん底へ向けての国際間ダンピング競争」を止めるべく、国際合意がはかられようとしており、当面はそのことで精いっぱいの様子がうかがえます。そもそも、今進められているような「尻抜け・形だけ・納税回避合法化」のような内容でいいのか、不公平・不公正ではないか、という問題が重大で、世界の市民運動・社会運動は、今回の合意では不十分だ、という声を大きく挙げていく必要があります。ですので、(国際)金融取引税についての米国説得のタイミングはもう少し先、ということになるように思われます。バイデン政権が、この(国際)金融取引税について、どう考えているか、あまり報道されていませんね。おそらく、まともに検討はしていないでしょう(ウォール街は猛反対ですから)。

(関連)グローバル・タックス 国境を超える課税権力-諸富徹/著(岩波新書)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000034129637&Action_id=121&Sza_id=E1

(関連)(別添PDFファイル)G20、法人税最低15%合意…デジタル課税導入も 10月に正式決定、23年実施へ(東京 2021.7.13)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/116238
(関連)(別添PDFファイル)国際課税に新ルール、不公平の是正へ、立場の違い越えて(朝日 2021.7.26)
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14987505.html

5.では、米国以外の先進国(中共中国以外)は、当面どうすればいいのか? 私は、ドメスティック市場(自国通貨表示の国内市場)での金融取引税を実現すればいいのではないかと思っています。日本で言えば、有価証券取引税、の復活です。為替市場でのトービン税は、NY市場で米国が実施しなければ、その実現はむつかしいように思われます。また、デリバティブ取引(取引所取引以外の店頭取引)に課税しようとすると、色々と工夫が必要になるでしょう。なお、デリバティブについては、課税よりも、バブルやその崩壊を繰り返さないように、適切な金融規制を入れる方が先です。クレジットスワップ(注)のやりすぎで経営破綻したAIGのような金融機関を二度と生み出してはならないからです。

(注)債務保証契約とクレジットスワップ契約との違い
 前者は、保証人、被保証人=債務者、債権者の3者による契約ですが、後者は、クレジット売買取引(倒産リスクとフィーとの交換)当事者である2者の契約です。一種のプットオプション取引です。 

それともう一つが、タックスヘイブン退治です。私はこれに対しては、①タックスヘイブン否認の法理(ないものとみなす:法制化するのがベター) ②強制連結課税(法人)、③税務申告制度の強化(個人:たとえば海外資産の申告制度)、④納税義務当事者のみならずほう助者(知恵を貸したもの・手助けしたものを含めて)の脱税や違法行為に対する厳罰(巨額の罰金)、⑤巨大企業や超富裕層への「マルサ」(税務調査)体制の拡充、などにより各国が解決していけばいいと考えています。タックスヘイブンはアングロサクソン系の国(というよりもまさに大英帝国)が創設したものであり、それの適正化を、それを創設した英国や米国にゆだねること自体が「ダメ」(利益相反:ドロボウにドロボウの取り締まりを依頼するようなもの)ということです。アングロサクソン系以外の、主としてヨーロッパ大陸系の先進国や発展途上国とタッグを組んで政治的に動いていくことで、タックスヘイブンの退治は実現可能です。(中共中国やロシアは、おそらくこうした動きに反対をするでしょう。これらの国々の支配層や政権幹部らが密かにタックスヘイブンを利用している可能性が高いからです。政権が変わるまで、放っておくしかありません。ロクでもない国々です)

6.いずれにせよ、国際経済も国際税制も、その去就を米国が握っていますから、米国の世論形成がカギです。巨大多国籍資本に勝手な真似はさせない、カジノ資本主義はよろしくない、金融界にも一定の税負担をさせる、そんな世論が大きくなるような取り組みが大事です。他方で、中共中国やロシア、あるいはインドのような新興の大国(特に今では中共中国)は、いずれもロクでもない動きをしていて、このまま彼らが膨張していくと、世界は新たな危機の時代に入っていくように思われます。民主主義が徹底した、基本的人権が守られる、新しい政治経済体制や社会情勢が生まれるまでは、こうした国々との経済・金融の取引をむやみに膨らませることは、私は問題だと思っています。中共中国の改革開放政策に便乗して、目先の金もうけに走ったご都合主義がもたらした結果が、今日の多くの困難をまねいていると言ってもいいと思います。とはいえ、政府間では少なくとも軍事的には平和共存政策をとらざるを得ませんから、中共中国など新興の大国を転換させる原動力は我々一般市民が日々の経済活動その他において使命を果たしていくほかないでしょう。チベットや内蒙古に加えて、香港やウィグルのようなことが発覚している今、中国製品への「不買」が大規模に展開されてしかるべきです。ミャンマーも同様です。ましてや、中共中国の共産党幹部やミャンマー軍部と内通しながら甘い汁を吸う企業や政治家がいるとしたら、もってのほかと言わざるを得ません。

(関連)[NHKスペシャル] 武器を取る若者たち - 混迷ミャンマー 軍弾圧の闇に迫る - NHK - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=uwCQiSxiy-w
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2.二つ目のメール(LDN市場について:追加)
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前略、田中一郎です。

私の書き方というか、表現の仕方がよろしくなかったためか、誤解された(?)かもしれないのでちょっと追記しておきます。また、LDN市場への「思い入れ」がお強いようですので、それはチート違うと、ご指摘もしておきます。

まず「LDN金融市場はポンド通貨が国際通貨でない以上、ローカルな市場である」というところですが(TOKYO市場も同じ)、これは正確には「ポンド建て」の英国国内市場がローカル市場だ、ということです。私のメールを拡散するときは、その点に誤解が生じないように修正しておきます(修正済み)。一方、LDN市場には「もう一つの顔」があり、それが「オフショア市場=ユーロ市場」です。しかし、LDNのオフショア市場は、ポンドはマイナーな通貨で、その大半がドルですから、金融市場としては米国市場には及ばない「2番手」ということになり、NY市場が開いていない時間帯での取引として重宝されていると見ておいていいでしょう。既に申し上げた通りです。

もともとは、戦後まもなく、ソ連の保有する「ドル」が米国にある米国の銀行に預けておくと、冷戦の激化で危ない、ということで、LDNにある英国の銀行に預けるようになることでスタートし、その後、アラブのオイルマネーもまた流入して、LDNがオフショアマーケットとして大きく成長しました。1970年代当時は、オフショアマーケット(ユーロ市場)と言えばLDN以外にはないも同然で、かつ、当時の取引の中心は短期のマネー預け金(ユーロ預金)でした。LDN市場は、大英帝国の時代に世界貿易取引・世界資本取引の決済拠点として繁栄してきた歴史がありますから、戦後は米国と英国は経済的金融的地位が逆転したとはいえ、ナンバー2の金融市場としてLDN市場が、国際金融取引の場を提供していたと言えるでしょう。(米国は戦後長い間、オフショア市場を嫌がっていましたから、米国金融市場と言えば、米国の国内市場であり、非居住者・外国企業はその米国国内市場を使わせてもらう=規制も課税もあり、という形で事が進んでいました)

1980年代以降、いわゆる金融自由化が進展し、LDN市場以外の世界各地でユーロ取引市場ができ(と言ってもその大半は短期のマネー取引と外為取引ですが)、またLDNでは、短期マネー取引以外のさまざまな取引も「ユーロ取引」として拡大発展していったのです。しかし、そうしたユーロ取引の様々な形態も、そのもともとの発祥の地は、米国NY市場で、従ってまた、取引の規模や市場参加者、あるいは投資家や仲介業者(投資銀行など)などの層の厚みは、NY市場が圧倒的です。世界の相場はNY市場が決定しています。

また、LDN市場の特徴は、19世紀から20世紀にかけての貿易金融から派生して発展したマーチャントバンク・ビジネスがあり、これはLDN市場に特徴的です。銀行と証券会社とM&Aと、その他商売になることなら何でもやります式の「よろず屋」稼業ですが(例:金やダイヤモンドの取扱)、いかんせん大英帝国の没落とともに規模が小さくなり、今では金融市場の「俳優」としてはあまり目立ちません(ロスチャイルドをはじめ、いろいろと、あやしげな陰謀論がありますが、私はあまり信用しておりません。但し、広瀬隆氏著の『赤い楯』に描かれているロスチャイルド家を中心にした金融資本家たちの血縁・姻戚を契機にした歴史的人的ネットワークやファミリーについてはリアリティがあり、この人脈がどの程度世界資本主義の支配に結びついているかは未知数です。そうしたことが陰謀論を生む土壌になっているのでしょう)。むしろ米国の投資銀行(日本の証券会社に相当)や商業銀行の方が動きは活発で、一時は世界の金融市場を制覇する勢いでしたが(日本も1980年代後半のバブル期は似たような雰囲気がありました=BIS規制を入れられて叩き伏せられ、更にバブル崩壊で自滅)、2008年リーマンショックでまさに大ショックを受け、今は「変遷期」ではないかと見ているところです(NY市場を中心に市場の主力メンバーが少しずつ変わりつつあるのかな?)。

(関連)赤い楯 ロスチャイルドの謎 上下-広瀬隆/著(集英社)
(上)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000018506064&Action_id=121&Sza_id=F3
(下)https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000018506062&Action_id=121&Sza_id=F3

LDN市場のもう一つの特徴は保険市場です。ロイズが再保険引受会社として有名ですが、この保険もまた、私はLDNでは貿易保険から発達していったものと見ています。保険についてはあまり詳しくないので、申し上げることはできませんが、米国の保険市場も当然、巨大です。リーマンショックで米巨大保険会社AIGがデリバティブのやりすぎで経営危機というか、事実上倒産して、米国政府に助けてもらっていましたね。いわゆるTOO BIG TO FAIL です(あまりに巨大すぎて、倒産すると影響が甚大で、倒産させられない)。

話を戻しますと、簡単に結論的にLDN市場の金融市場としての特徴を申し上げておくと、ポンド建ての「ドメスティック市場」(外為、株、債券、マネー、派生商品(デリバティブ))はローカル市場であり、ほとんど国際的な関心外、オフショア市場としてのLDN市場は、NY市場が開いていない間をカバーする国際金融市場として今も健在で、米国内で行われている取引はたいていがLDN市場でも可能、但し、その取扱ボリュームや投資家層の厚み、あるいは金融市場を支配的にリードしてくる様々な市場参加者(この20年はいわゆる「私募FUND」の力が強くなっている)ではNY市場に見劣りしている。そして、ドルという通貨の通貨主権を握るのは米国の金融規制当局ですから、米国政府やFRBの意向は決定的で、もちろんLDN市場にも及びます。やはり国際金融市場の相場を決めているのはNY市場です。為替(ドル相場)も株(米国株)も債券(ドル中長期金利)もマネー(ドル短期金利)も、NY市場でその相場が決まります。考えてみれば当たり前です。そしてデリバティブはこれらの派生商品(派生取引)ですから、当然にNY市場がメイン市場となるのです。ドル以外の金融商品では、円の株や国債、ユーロ建ての株や債券なども国際金融市場では一定程度の関心がもたれ、相応の取引が行われていますが、ドルほどではないのです。ユーロなどはいっときドルに代わる基軸通貨になるのか、などと言われたことがありましたが、ブリュッセルの市場原理主義スタッフたちが「通貨同盟」を急ぎすぎて失敗している状態で、当分の間は、まず無理、と見ていいでしょう。

「店頭デリバティブ(金融派生商品)取引の45パーセント近く、ユーロ債取引の70パーセント、国際通貨取引の35パーセントをシティが占めていた。」とおっしゃっているのは、LDN市場のオフショア取引です。ただ「国際的な株式取引の半分」というのはよくわからない記述で、一般的に株式の取引は国内取引になるからです(海外から投資しても、取引としては国内取引扱い=オフショア扱いしてもらえないハズ、何故なら、株式取引はたいていが取引所取引ですから、いわゆるオフショア市場のように、外々取引(外国人同士の直接取引)にはなりえないからです。あるとすると、非上場会社の株の直接取引くらいでしょうか? なんとなくマフィアっぽい話です)。それから「国際的な新規株式公開の55パーセント」という指摘ですが、これもよくわからない話で、米国株式市場に新規公開するのにLDN市場の業者がかかわった、くらいの意味ではないかと推測します。実務的な作業はLDNで行われ、株式公開・上場はNY市場、というパターンです。何故なら、上記でも申し上げたように、LDN市場の株式市場は、ポンド建てはもちろんですが、ドル建てであっても、米国株式市場に比べると見劣りするからです。これも当然と言えば当然です。ドルの母国市場の方がLDN市場よりも厚みがあるのは当然ですから。

「しかし、このドルをコントロールしているのも、ニューヨークではなく、ロンドンのシティであることが、多くの日本人に知られていないとは思います。」というのは虚偽です。そんなことはあり得ません。そもそもドルという通貨の主権を持つのが米国であることを忘れているのではないかと思います。むしろ、米国はレーガン政権くらいからは自国中心主義が強くなっていて(トランプがその典型)、国際通貨としてのドルの特権的な強みを生かした対外経済政策を取る傾向が強くなっていて、グローバルタックスなどについても、その自分勝手な言い分には、いささかうんざりさせられます。ドルの金融市場の相場を決めるのが外国だ、などという状態を米国が黙って見ているはずはありません。

また、「このシティで、ユーロダラーが、ミッドランド銀行(現在のHSBC、旧香港上海銀行)を経由して発行され、世界に拡散されたことも、このタックスヘイブンの闇の本では詳しく書かれています。」ですが、ユーロ市場ないしはユーロマネー市場の発祥は、上記で申し上げたように、最初はソ連、そのあとにオイルダラーです。そしてそれに金融自由化と米国金融資本の肥大化・拡大があります。ミッドランド銀行にしても、現在のHSBC、旧香港上海銀行にしても、金融市場の1プレイヤーであって、市場の支配者でも創設者でもありません。

(関連)タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!-ニコラス・シャクソン/著 藤井清美/訳(朝日新聞出版)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032707098&Action_id=121&Sza_id=F3

その他、LDN市場を偉大で美しいものとして飾るようないくつかの記述については、読んで楽しむことはできますが、何となく大英帝国の20世紀の栄華を思い出させるようなところがあって、わびしさも漂います。英国としては、英EU離脱(ブレグジット)もあり、LDN市場の(国際)金融市場としての機能と地位を今後どうして維持していくか、かなり悩んでいるのではないかと私などは推測しています。英国経済やポンドという通貨に、かつての大英帝国のような勢いも支配力も安定性もありませんから、そんな中で国際金融市場としてのLDN市場の優越した「機能」とは何か、他の市場よりも取引がLDN市場に集中してくる「魅力」とは何かを、日々、考え続けているような気がします。

ですから、英国のような国の政府に、グローバルタックスの改革を期待しても、私は望み薄だと見ています。米国も似たようなところがあり、双子の赤字=経常収支と国家財政の赤字がどんどん膨らみ、産業の国際競争力が落ちていく中で、権威主義国家=中共中国がそれを脅かすように台頭してきている、そんな中で、自国優位でずっとやってきた金融市場(それは国内金融市場であると同時に国際金融市場でもあります=外国に自国のルールを押し付けるのが得意な国が米国です)を今後どうしていくのか、これもまた悩ましいのです。こういう情勢下、米国のような政府にグローバルタックスの改革を期待しても、これまた私は望み薄だと見ています。

情勢を変え、事態をより良き方向に転換できるのは、有効な投票行動と賢明な消費選択を日々の日常生活の中で鍛えた名もなき無数の「ちょぼちょぼ市民」しかいないのではないかと私は確信しています。多くの有権者・国民=「ちょぼちょぼ市民」が、自分たちの真の利益・利害に目覚めたとき、グローバルタックスの適正化も、(国際)金融取引税の構想も、実現することになるのだろうと私は思っています。「お任せ民主主義」では事態の改善はありえないのです。
草々 

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