風化させてはならないSPEEDI問題:福島原発事故を何倍にも悲惨なものにした事故直後の文部科学省と福島県庁を徹底検証せよ! そして内堀雅雄(現福島県知事)は県議会や裁判所で徹底尋問だ!
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.(予約必要)(5.20)オルタナティブな日本をめざして(第59回):「子ども脱被ばく裁判で見えたこと:福島原発事故と放射線被曝」(井戸謙一弁護士)- いちろうちゃんのブログ(この日は事務連絡以外に主催者側からのプレゼンはありません)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-35b23f.html
(この次)(予約必要)(6.7)オルタナティブな日本をめざして(第60回)「福島原発事故から10年:放射能汚染の実態とその諸問題」(青木一政さん・中村順さん:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ(この日は事務連絡以外に主催者側からのプレゼンはありません)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/04/post-458ec6.html
(関連)(別添PDFファイル)(チラシ)原発事故避難者、福島県が住宅から追い出し=5.14福島地裁 裁判始まる(2021.5)
ダウンロード - efbc88e38381e383a9e382b7efbc89e58e9fe799bae4ba8be69585e981bfe99ba3e88085e38081e7a68fe5b3b6e79c8ce3818ce4bd8fe5ae85e3818be38289e8bfbde38184e587bae38197.pdf
2.がいこつの唄 岡林信康 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-ffrIDEGqTY
https://ameblo.jp/kuh-spk/entry-12095451226.html
(姉は淫売、妹は芸者、末のチョロ松ァ博打打ち
兄キャ火葬場で骨拾い、おいら上野で煙草(もく)拾い
こんな一家に誰がした…)
↓
コロナ蔓延、会社は破綻、最後の望みはカジノと五輪
政治家・官僚 接待漬けで、おいらの生活 公園野宿
こんな日本に誰がした・・・
3.原発ニュース 直近版
(1)<東海第二原発 再考再稼働>(29)危険性の立証に手応え 元原発設計技術者・後藤政志さん(71):東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/102688
(2)元裁判長が示した「原発の耐震性」衝撃のデータとは -川口雅浩-毎日新聞「経済プレミア」
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210422/biz/00m/020/040000c?cx_fm=mailbiz&cx_ml=article&cx_mdate=20210504
(3)「原発に大地震来ない」は本当なのか?元裁判長の告白-川口雅浩-毎日新聞「経済プレミア」
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210430/biz/00m/020/016000c?cx_fm=mailyu&cx_ml=article&cx_mdate=20210506
(4)福島第一廃炉「乾いた島」構想、デブリ除去先送り 専門家提案(東京 2021,5.2)
https://bit.ly/3uxYdp3
(5)第3回 原発事故の後始末、なぜ焦ってはいけないのか?「原発ゼロ社会への道」【2021-4-5】-YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=rwIPq4s-Umg&t=7s
<田中一郎コメント>
来る7/24(土)午後1時から、東海第二原発運転差止裁判・水戸地裁判決の解説と今後の原発裁判について、後藤政志さんと上岡直見さんにご講演をいただく段取りにしています。詳細が決まり次第、ご案内いたしますので、みなさま、この日は空けておいていただければと思います。それから、上記(4)の東京新聞記事には必ず目を通していただければと思います。福島第一原発への対応として名案ですし、これなら汚染水を海にぶん投げなくてもすみそうです。しかし、原子力ムラ代理店業務に忙しい菅義偉スカ政権も経済産業省も原子力「寄生」委員会・「寄生」庁も、この名案には見向きも致しません。汚染水は海に捨てることは最初から決めてあることで、それは最も安上がりでもあり、他の方法などは検討さえする気もないからです。
4,東京(頭狂)五輪は「ご臨終」
巨額の都民の税金が銭ゲバ集団のボス「ぼったくり男爵」に「食いもの」にされています。こんなもの、さっさとやめちまえよ!
◆キャンペーン · 人々の命と暮らしを守るために、#東京五輪の開催中止を求めます #StopTokyoOlympic · Change.org
https://bit.ly/33qj95t
●(別添PDFファイル)東京五輪 万事休す(東京 2021.5.8)
ダウンロード - e69db1e4baace4ba94e8bcaa20e4b887e4ba8be4bc91e38199efbc88e69db1e4baac202021.5.8efbc89.pdf
(1)「五輪中止を」32時間で10万筆 - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6392611
(2)【東京五輪】「五輪中止を」署名25万筆超!政府無視なら次はスポンサー|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/288873
(3)IOCバッハ会長 来日見送りへ 緊急事態延長で、懐疑論に拍車も:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/102778
(4)医療は限界 五輪やめて-立川相互病院 窓に張り紙-コロナ病床抱え、悲痛訴え話題に
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-05-08/2021050815_01_1.html
(5)現実直視し五輪に「ノー」を 宮本亞門さんに聞く 「コロナ禍 勇気づけられる状況でない」:中日新聞Web
https://www.chunichi.co.jp/article/249750
(6)「勝手にしろ」五輪中止発言で二階幹事長が見せた“動物的勘” 菅政権はコロナとオリンピックを乗り切れるか(文春オンライン)Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/e1a705fc6a5a4fd0edaeb80ac6fea44a406cb1dd
5.「いちろうちゃんのブログ」より
(1)「戦争する国・できる国」の総仕上げ=「重要土地等調査・規制法案」に対する反対運動を強めましょう(あいまい規定で有権者・国民をいかようにも始末できます)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-2a60b4.html
(2)時事問題4つ:(1)正念場を迎える日本のアカデミズムと日本学術会議(2)新型コロナを巡る議論(3)「朝日カバカバ新聞」が益々「カバカバ化」(4)(メール転送です)ふくかな(福島原発事故賠償裁判 神奈川)他- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-c1a37b.html
(3)台湾を巡る米中戦争に巻き込まれるな!(1):対中国戦争準備を進める日米タカ派勢力と、新外交イニシアティブ(ND)の提言、そして立憲民主党の覚悟の決まらない中途半端な態度- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-87fd78.html
(4)昔はこういう大学教授がたくさんいらっしゃった:水田洋名古屋大学名誉教授:国家は手段、まず先に個人がある、権力への抵抗 行動で示す- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-ea1379.html
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過去の失敗を、というよりは、過去の犯罪的デタラメを、きちんと検証し、当事者どもの責任を追及してしかるべき罰を与え、再発防止のための制度や仕組みをつくる、こんな「当たり前」のことを何にもしないで、原発事故の被害を見えなくして、時間の経過とともに福島県民や有権者・国民の忘却を促すという、「塀の外の懲りない面々」を野放しにしていてはいけないのです。
国会事故調も政府事故調も、その報告書に「宿題」として書き残した「福島第一原発事故の実態解明と原因究明」は全く終わっておらず、責任者の追及や処罰もなされず、被害者への賠償・補償も全く不十分で、被害地域の原状回復も手がつかないまま、廃炉や除染などといった「原子力ムラ企業や人間たちのための全くの無駄ガネ」が湯水のように使われています。原発事故からの復旧・復興の演出や「安全安心キャンペーン」にたぶらかされていて、もう福島原発事故は過去の終わったことのような気分になっている人もいるのかもしれませんが、私たちはもっと賢明にならないといけないのです。
現代社会は、マヌケやお人好しは、徹底して「食い物」にされる世の中です。福島第一原発事故の「後処理」で言えば、今進められていることは全部いったん停止して、対応対策を根本から見直し、二度とかような人災が起きぬよう、万全の手を打つとともに、御用学者を含む責任者を追及して処罰し、公的機関から追放し(第二次公職追放)、被害者に対して万全の賠償・補償と再建支援を行うこと、それが日本再生にとっての「正道」であり不可欠・不可避の道です。もちろん原発・核燃料サイクル施設は即時廃棄、全国各地にある危険極まりない使用済み核燃料プールや高レベル放射性廃液タンクの安全対策に全力を挙げることが当面の必須の課題です。それがいつ来るかもしれない南海・東南海・東海大地震や東北・北海道沖の大地震に対して大事に至らないための備えでもあるのです。
そのための最低限の処方箋は3つ、(1)国を亡ぼすかもしれなかった福島第一原発事故の民事、刑事、行政法上の法的時効を過去にさかのぼって「なし」にする特別法を制定する、(2)この期に及んで原発を推進したり容認したりしている政治家ども=自民、公明、維新、国民民主党を、あらゆる選挙で落選させ、政治の世界から追放する(これをしないかぎり原発・核燃料サイクル施設は絶対になくなりません)、(3)被害者救済を最も最優先とすること=言い換えれば「人間の復興」に最高価値を置く復興基本法を(今更ながら反省を込めて)制定し、それに忠実に動く政治・行政を実現する、ことです。
<SPEEDI情報隠蔽に見る地域住民の「命と健康」の後回し政治・行政>
「子ども脱被ばく裁判」控訴審でも徹底して告発・追及していただきたいと思います。
(1)SPEEDI情報は真っ先に在日米軍に提供され、それを見た在日米軍や日本大使館は、日本にいる米国人に対して福島第一原発から80km圏外に避難するよう緊急声明を出した。しかし、日本政府は何もしなかった。この辺の当時の事情を徹底的に調査して解明せよ。深刻な大事故の真っ最中に自国民を置き去りにして米国・在日米軍に尻尾を振りに行くとは何事ぞ。この売国奴というか、傀儡政権センチメントの政治家どものふるまいの責任を徹底追及しなければいけない。
(2)SPEEDI情報の使用に関して実務的に実権があったのは、当時の文部科学省副大臣だった鈴木寛(当時は民主党国会議員)だったと言われている。この人物に対する追及が甘い(というか、ほとんどなされていない)、こいつは今は政治家を辞めてどこかの大学教授をやっているようだ。ともかく当時のSPEEDIの所管省庁だった文部科学省に対する追及や調査・検証が甘い。
(関連)歴代文部科学副大臣:文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/soshiki/rekidai/hukudaijin.htm
(関連)鈴木寛 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E5%AF%9B
(3)下記の記事にも出てくるが、SPEEDI情報を提供しなかった・できなかった理由は、「緊急時対策支援システム」(ERSS)が故障して機能なかったため、福島第一原発のデータがSPEEDIに送られず、放射能汚染の正確な量的予測状況が把握できなかったため、などとされている。これについての追及や調査・検証が甘い。日本の原発関連機器のうち、事後的に事故やトラブルを検証するために必要な様々な装置や、住民の命と健康を守るための機器類や設備は、事故と同時に故障する「性癖」を持っているようである(例:地震計)。ERSSが、何故壊れたのか、どのように壊れたのか、そもそも本当の話か(私はウソと思っている)、今後ERSSはどうするのか、再発防止はどのようにとられたのか、などなど、肝心なことは10年たっても全く分からないままである。ということは、次回の原発・核燃料サイクル施設過酷事故でも同じようなことがまた起きるということだ。
(4)福島第一原発事故時のオフサイトセンターのお粗末は今や有名な話になっている。原発大事故の際のための放射能防護装置を取り付けていなかったため、あっという間に室内の線量が高くなって人間がおれなくなった。そのため、ここに参集していた現地事故対策の責任者たちは、避難できないままの地域住民や病院・介護関係者に先駆けて、真っ先に福島市へ逃げて行ったという。当時の民主党国会議員で経済産業省副大臣でオフサイトセンターの座長の役目(現地対策本部長)だった池田元久に至っては、東京から車でやってきて大渋滞に巻き込まれて極度に遅刻した上、その後は「体調不良」を口実にして現地対策本部長も経済産業省副大臣もやめてしまった(その後も現地対策本部長は民主党政権の中で「たらい回し」されていたらしい)。まさに「口先やるやる詐欺」集団の中の「平成無責任男」さながらである。こいつに対する追及も、調査も検証も甘いままだ。つまり、原発大事故の際には機能させるはずだった現地対策本部が何故に事故前に定められていたようには機能せず、核被害を受ける地域住民を見捨てて逃げてしまったようなことになったのか、検証されていないということだ。このことは井戸川克隆元双葉町長の提訴した「福島被ばく訴訟」で追及されている問題でもある。(福島原発事故後、全国の原発・核燃料サイクル施設周辺ののオフサイトセンターは、放射能防護や耐震・免振の構造確保はできているのか? 今度同じようなことをやったら犯罪だぞ!)
(関連)経済産業副大臣 - ja.LinkFang.org
https://ja.linkfang.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%89%AF%E5%A4%A7%E8%87%A3
(関連)井戸川裁判(福島被ばく訴訟)を支える会
http://idogawasupport.sub.jp/
(5)下記の記事によれば、現福島県知事で当時は副知事だった内堀雅雄もまた、そのオフサイトセンターにいたようだ。こいつからは、当時の福島原発事故直後の現地対策、特に県民・住民の被ばく防護にどのように取り組んでいたのかを詳細に聞き出さなければいけない。SPEEDI問題では、下記の記事では、佐藤節夫(当時、福島県生活環境部長)に責任を押し付けて「自分は知らなかった」ようなことを言っているが、そんなことが許されるはずもない。SPEEDI情報の原発大事故時の活用については、原発事故が起きる前の訓練などでも周知され知っていたはずだ。それが使われていないなら、自らが指示して、活用するように段取りをつけるのがこいつの仕事だったはずである。
内堀雅雄には、その他にも、①県庁職員による安定ヨウ素剤配布妨害の問題(福島県三春町)も含む安定ヨウ素剤配布・服用問題(福島県立医大が自分たちの関係者だけで安定ヨウ素剤を服用し、福島県民にはずっと隠していた問題を含む)、②弘前大学の床次眞司教授を含め初期被ばく検査妨害問題、③スクリーニング妨害問題(13,000CPM⇒100,000CPM)、④福島県民健康管理調査検討委員会の運営問題(裏委員会や山下俊一招聘など)、⑤2010年当時のプルサーマル導入時における津波対策手抜き黙認問題など、知られている問題だけでも山のように疑問がある。福島第一原発事故対応「まっくろけ」男だ。福島第一原発事故の悲劇を何倍もの悲劇にした最高責任者の疑い濃厚なのだ。(昨今では、地元がこぞって猛反対しているにもかかわらず、福島第一原発の汚染水の海洋投棄を容認するかのごとき発言をし、返す刀で「風評被害」対策とやらを口実に国に「カネくれ」おねだりをする始末だ。知事の風上にも置けない野郎ではないか)
(関連)(別添PDFファイル)内堀雅雄現福島県知事は知っていた!? 見送られた津波評価、プルサーマル実施を優先(北国新聞 2015.10.26)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/files/utibori_sitteita.pdf
こんな人物を福島県民が知事に選んでいることが、私は福島県民が自分で自分の首を絞めている、と思うのだけれども、それはともかくとして、内堀雅雄福島県知事(当時は副知事)に対する徹底した追求と、当時の事情の調査・検証は避けて通れない。福島県の県議会は何をしているのだろうか。本来はこうしたことは県議会での追及マターでもあるはずだ。ともあれ、「子ども脱被ばく裁判」控訴審(仙台高裁)では、内堀雅雄福島県知事の証人尋問を、じっくりと時間をかけてやっていただきたい次第である。
草々
(下記はメール転送です)
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Sent: Friday, May 7, 2021 11:37 PM
Subject: 風化させてはならないSPEEDI問題
福島県民を救う気などサラサラなく顔もみたくないのですが。。。ネットに出ていた記事をご紹介します。福島市にある出版社発行で驚きました。
https://note.com/seikeitohoku/n/n07131a01f2a7?fbclid=IwAR0yX-t_pwtVOylPLr8BuN2fvBR9ZtobfvMoUY-TN8QqRxckt2R31F_Xmew
風化させてはならないSPEEDI問題10
https://note.com/seikeitohoku
2021/05/06 09:23
根強い現場責任者・内堀氏への疑念(2021年3月号より)
震災・原発事故からの10年を振り返る中で忘れてならないのが、SPEEDI(=スピーディー、緊急時迅速放射能影響予測システム)のデータが避難に生かされず、無用な被曝をした住民がいたことだ。とりわけ県がそのデータを活用できず、届いていたメールを消去してしまった問題は大きい。この機会にあらためて検証する必要がある。
SPEEDIは関係機関とネットワークを結び、放出源情報や気象条件、地形データを基に大気中濃度や被曝線量などを予測するシステム。原子力施設での事故で放射性物質が放出された際の災害対策として、約130億円かけて開発された。年間維持費用は約7億8000万円。
運用しているのは文部科学省の外郭団体である原子力安全技術センター。予測データはオフサイトセンター(事故が発生した施設=オンサイトから離れた場所で応急対策を取るための施設)をはじめ、関係省庁、当該自治体(県など)などに送られる。当然ながら、福島第一原発事故でもフル活用されるはずだったが、実際に役立つことはなかった。
原子力安全技術センターや原子力安全・保安院では仮定の放出量に基づき、原発事故直後から約5000枚の飛散予測データを作成していた。だが、公表されたのは2011年3月23日に1枚、同年4月11日に1枚、わずか2枚のみ。しかも、各地の放射線量などを基に後からシミュレートしたものに過ぎなかった。
民主党政権は5月になってからデータを全公表し、細野豪志首相補佐官(当時)は「公表して社会にパニックが起こることを懸念した」と釈明した。その後の報道によると、関係機関の連携不足により、地元市町村はおろか、首相官邸にすら届いていなかったというからあきれる。
驚くのは、県も震災2日後には原子力安全・保安院から飛散予測データを受け取っていたのに、市町村に伝えていなかったことだ。県は「ファクスを受け取った時点で半径20㌔圏内の住民はすでに避難しており、過去のデータとなっていた」、「放出量が最小値で試算されていた」として、信頼性に乏しいと判断し、当時の佐藤節夫県生活環境部長の判断で非公表を決定していた。
震災当日の深夜以降は、原子力安全技術センターから県原子力センターにメールで1時間ごとに更新されたものも届いていた。ところが、県は15日朝までメール受信に気づかず、さらにメールの受信容量を確保するため、送られてきた飛散予測データを消去していた。受信メールは計86通。USBに保存されていたり、印刷され残っていたのは21通。65通が消去された格好だ。
県では原子力安全対策課のウェブサイト上に「SPEEDI電子メールデータ削除問題」という特別ページを設け、調査結果をまとめている。そこでは、県の対応の問題点について、①県災害対策本部事務局におけるSPEEDI試算結果の情報共有不足、②県災害対策本部事務局における県と国の見解相違に係る詳細調査の懈怠――と総括している。要するに、飛散予測データの重要性が職員間ですら認識・共有されておらず、その後SPEEDI情報の扱いがマスコミなどで話題になった後も詳細調査を行わなかった、と。
県原子力安全対策課の担当者は反省の意を示す一方で「飛散予測データを正確に読み解くのは難しいし、時間によって異なるデータを避難指示の参考にするのは現実的に考えて難しかっただろう」と述べる。
ただ、データの中には、現実の汚染状況と同じく、福島第一原発から北西方向への飛散を予測していたデータがあったのも事実だ。原発事故直後、福島第一原発北西方向に当たる浪江町赤宇木地区、同町津島地区、飯舘村長泥地区は高濃度の放射性物質で汚染され、空間線量が100マイクロシーベルト毎時を超えたところも複数あった。放射線量が高いと知らず、子どもを連れて給水や買い物に出かけたり、原発20㌔圏内から避難してきた人もいた。子どもに無用な被曝をさせたことを後悔している人も多い。それだけに、情報を活用できなかった県への怒りは根強く残っている。
本誌2012年6月号では、浪江町の馬場有町長(当時、故人)が「本当に腹が立ちます。町民は死に物狂いで避難し、結果的に何も知らないまま(放射線量が高い)津島地区に留まったわけですから」と怒りを表し、「国・県を刑事告発する」とまで述べていた。
当時副知事で、現地災害対策本部長を務めていた内堀雅雄氏(現知事)に対する不満の声もこの間多く聞かれている。知事(当時)の佐藤雄平氏、内堀氏は、飛散予測データが提供された有無を含め、報告を受けていなかったと県議会で答弁している。そうなると、前出・佐藤県生活環境部長の独断で飛散予測データの非公表を決定したことになるが、いくら何でもそんなことがあり得るのか。さらなる検証を行うべき
内堀氏は震災直後の3月11日、大熊町のオフサイトセンターに入ったが、原子力安全技術センターは翌3月12日から、ファクスで飛散予測データを送っていたという記録が残っている。つまり、内堀氏がファクスを見ていた可能性は高い。内堀氏が見てもその重要性を把握していなかった可能性はあるが、東大卒の官僚(旧自治省)出身で、現在も国の動向を見て慎重な発言に終始することが多いだけに「国がSPEEDIの情報を控えているのに、県が先駆けて公表するわけにはいかない」と考えて非公表を指示したとしても不思議ではない。
本誌2011年8月号で、県災害対策本部原子力班の片寄久巳リーダーは「確かに内堀副知事はオフサイトセンターにいたが、放射線対策だけでなく、震災全般の指揮をとっていたので、国から送られたデータ地図を見る余裕があったかどうかは分からない」とコメントしていた。
また、内堀氏は後日、「あの時は非常に混乱していて、やるべきことをやりつくせなかった」と反省を口にしていた。真相はどうだったのか、疑念は燻り続けている。
SPEEDIをめぐる問題に関しては、国会の「東京電力福島第一原発事故調査委員会」(国会事故調)と政府の「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」(政府事故調)で検証されている(本誌2012年8月号参照)。それによると、国会事故調では「緊急時対策支援システム(原発の状態を監視し、外部への放射性物質の放出状況を予測するシステム)から放出源の情報が得られなかったため、SPEEDIは初動の避難指示に役立つものではなかった。ただ、そのことについて十分な説明がなされなかったため、誤解や不信感を招いた」と結論づけた。一方の政府事故調では「それでもSPEEDIを活用する余地はあったはずだ」とその対応に疑問を呈した。
県では両事故調の検証と、前出の電子メールデータ削除問題の調査をもって、検証は終わったという考えを示している。さらに、原子力規制委員会は2014年、原子力発電所の重大事故での住民の避難を決める際、SPEEDIの予測データは利用しないことを決め、SPEEDI問題は過去の話となりつつある。ただ、中央の混乱ぶりや内堀氏の判断の真相なども含め、なぜ拡散予測データが住民避難に活用されなかったのか、あらためて検証すべきではないか。
本誌でもたびたび紹介している通り、新潟県では福島第一原発事故の原因、健康・生活への影響、避難に関する3つの検証委員会を立ち上げ、独自検証を進めている。原発事故被災県の本県こそ、第三者による検証を積極的に行うべきだ。
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草々
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