「戦争する国・できる国」の総仕上げ=「重要土地等調査・規制法案」に対する反対運動を強めましょう(あいまい規定で有権者・国民をいかようにも始末できます)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.(予約必要)(6.7)オルタナティブな日本をめざして(第60回)「福島原発事故から10年:放射能汚染の実態とその諸問題」(青木一政さん・中村順さん:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ(この日は事務連絡以外に主催者側からのプレゼンはありません)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/04/post-458ec6.html
2.キャンペーン · 文部科学大臣 松野博一 - 障害者を差別する法制度をなくしましょう!日本スポーツ振興センター法などの改正を求めます · Change.org
https://bit.ly/3tlrAcO
3.(別添PDFファイル)福島第一廃炉「乾いた島」構想、デブリ除去先送り 専門家提案(東京 2021,5.2)
ダウンロード - e7a68fe5b3b6e7acace4b880e5bb83e78289e3808ce4b9bee38184e3819fe5b3b6e3808de6a78be683b3e38081e38387e38396e383aae999a4e58ebbe58588e98081e3828a20e5b082e99680e5aeb6e68f90e6a188efbc88e69db1e4baac2020212c5.2efbc89.pdf
(関連)事故から10年、廃炉遠く デブリは手付かず―東京電力福島第1原発:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021030600389&g=eco
4.(別添PDFファイル)熊本・川辺川ダム、緊急放流試算を破棄 国、リスク示さず(毎日 2021.5.3)
https://bit.ly/2RlCL7X
(またやってますね。不都合なことは隠せ、隠せ、隠せ、みな隠せ、のようです。ダムで洪水が防げる・治水ができるなんて、トンデモ勘違いですよ。それどころか、ダムは「人工鉄砲水」の製造装置のようなもの。集中豪雨はダムの貯水限界量など無視して降ってきますから、当然ながらダム貯水池があふれそうになり、下流住民よりもダムの方が大事だと思っている国土交通省や県庁の役人どもは「緊急放流」などと称して、鉄砲水を下流にぶん投げるんですよ。先般は四国で死者が出る被害が出ています。
川辺川ダムなどは既に死んだダム。それを熊本の「墓堀人」たちが再び掘り起こしてゾンビダムを造ろうとしているだけです。カバシマとかいう県知事がダム利権に媚びて逆立ちをしてバカシマになってしまったという話です。かようなダム建設は、他方で、川の流域の自然環境を決定的に破壊します。もういい加減にやめときなはれ、熊本が自然環境も住民生活もボロボロになり、地域が降雨災害により一層苦しむだけです。治水の手段は他にいくらでもあります。:田中一郎)
5.(別添PDFファイル)マイナンバー事業、社員出向企業が契約額の83%を受注 総額1140億円(東京 2021.5.4)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/102179
(関連)(報告)(4.28)「「マイナンバー制度」の危険性と「デジタル改革関連法案」について」(新ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/04/post-7e36d2.html
(マイナンバー制度は有権者・国民にとって有害・危険・人権侵害であるだけでなく、特権企業たちにとっては「たまらなくおいしい利権」になっているということね。:田中一郎)
6.水道「みやぎ方式」に市町村やきもき 水質管理、災害対応の説明なし(河北新報2021/5/5(水) 12:26)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8dd3b046b7f8c8eb5aec19518deb50ae61bd463f(
(一部抜粋)
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上下水道と工業用水の運営権を一括して民間に売却する宮城県の「みやぎ型管理運営方式」を巡り、県広域水道の受水市町村が気をもんでいる。県は運営権設定の議案を県議会6月定例会に提出する方針だが、水質管理や災害時対応など重要事項に関し、詳細な説明がなされていないためだ。全国初となる管理運営方式だけに、受水自治体は丁寧な対応を県に求める。
◆提案非公開
運営権を売却する9事業のうち、水道用水は「仙南・仙塩広域水道」「大崎広域水道」の2事業。仙南・仙塩は17市町、大崎は10市町村が受水する。県が卸売り、受水自治体が小売りの関係。市町村は県から水を買って各世帯に供給する。各市町村の2019年度の給水量に占める広域水道からの受水割合は表の通り。自己水源がある自治体もあり、広域水道への依存度はそれぞれ異なる。
県は4月9日、受水市町村との会議を開き、3月に優先交渉権者に選んだ水処理大手メタウォーター(東京)など10社グループの事業方針を説明した。だが、詳細な提案書は企業独自の技術が流出する恐れがあるとして、公開しなかった。
仙台市水道局は、仙南・仙塩広域水道受水団体連絡会の代表幹事を務める。神倉崇経営企画課長は「水質をどのような管理体制で維持、向上させるか確認させてもらいたい。危機管理上、災害時の連絡窓口が誰になるのかもできるだけ早く知りたい」と話す。連絡会は昨年9月、運営権売却を進める県に対し、(1)水質モニタリングの確保(2)災害時の対応(3)撤退時の事業継続(4)費用削減効果を料金に反映(5)県民への丁寧な説明-の確実な実施を求める要望書を提出した。
◆「なぜ急ぐ」
優先交渉権者の選定から議案提出までは、わずか3カ月。県は限られた期間で県民や受水自治体に説明を尽くすことになる。郡和子市長は4月28日の定例記者会見で「県への要望はこれまで何度も伝えている。市民、県民に説明が行き渡るようご努力いただきたい」と念押しした。 給水量の100%を広域水道に頼る柴田町。滝口茂町長は「民営化自体は反対しないが、なぜこんなに急ぐのか分からない」と首をかしげ「価格改定時は市町村との協議の場を必ず設けてもらう」と注文する。
県は30年にわたり、浄水場の運転管理を民間委託してきた。ある受水自治体の担当者は「運営権の一括売却は、これまでの民間委託の拡大にすぎないとして、特別丁寧な説明が必要だとは思っていなかったのではないか」と推測する。県は5月下旬に受水市町村の担当者を集めた会議を開催し、水質管理やモニタリング計画の骨格を示すことにしている。田代浩次水道経営課長は「市町村の助言を得ながら事業開始約1カ月前の来年2月中に実施計画をまとめる」と話す。
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<田中一郎コメント>
市場原理主義アホダラ教に頭がイカレているだけでなく、東日本大震災からの復旧復興にしても、福島第一原発事故後の対応にしても、女川原発再稼働問題にしても、この自衛隊上がりの宮城県知事=村井嘉浩は、首相官邸・霞が関各省庁・原子力ムラ・財界本部がある東京へ向かって、思い切り尻尾を振り、東京が言うことなら、宮城県民を苦しめようが、踏みつけようが、押しつぶそうが、おかまいなく盲従している、どうしようもないドアホです。西の大阪、東の宮城、というくらいに、今では「ドアホ首長の標本」のような人物ですが、さて今度は、宮城県民の「命の水=水道水」を特権的企業に売り飛ばそうとしているようです。これも「昔は水の都、今はアホの都」の大阪と同じ。宮城県民も、いい加減、こんな人物を知事から引きずり降ろさないと、近未来に大きな不幸が襲いますよ。
7.東京五輪推進の限界:村田光平(元駐スイス大使)からのメールです
http://kurionet.web.fc2.com/murata.html
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皆様、東京五輪については国内でようやく開催すべきか否かについての議論がメディアでも始まった感がありますが、海外では下記の通り引き続き開催に反対する論調が絶えません。最早議論の余地はなく、強行すればボイコットする国が続出することでしょう。インドの二重変異株による悲劇に対して国際社会はできるだけの支援の手を差し伸べだしておりますが、日本の支援の内容は不十分との批判が出ております。この際五輪中止を決定し、生じる余力をインドに対する支援に回すことこそ良識、常識との声が聞こえだしております。村田光平(元駐スイス大使)
*5月5日のThe Washington Postが安倍政権、菅政権のコロナ対策、五輪対策を批判
https://www.washingtonpost.com/opinions/2021/05/04/why-is-japan-failing-so-badly-vaccinations/
*(5月3日 英ガーディアン紙)看護師派遣要請を批判
https://www.theguardian.com/sport/2021/may/03/japan-nurses-voice-anger-at-call-to-volunteer-for-tokyo-olympics-amid-covid-crisis
*サンフランシスコクロニクル紙が「東京五輪開催すべきでない」という意見を掲載(5月3日 共同)
https://this.kiji.is/762126983589183488
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8.その他
(1)【政界地獄耳】立憲民主党の国民投票法対応 付和雷同ではダメだ 政界地獄耳 日刊スポーツ
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202105050000075.html
(2)医療従事者を“ただ働き”で募集…五輪組織委に大ブーイング(女性自身) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/db011478c64587ffb50819d502383bd790471a06
(3)「オールジャパンで五輪開催できる」安倍氏の“根性論”に批判殺到(女性自身) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/ec677ef03fe31325d55740582bbb40486985b6f1
(4)赤木ファイル、存在認める 国方針、開示焦点 森友文書改ざん:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S14894152.html?ref=mor_mail_newspaper
(5)内田樹氏 総選挙で自民の公約は「改憲による行政府独裁と市民的自由の制限」-芸能-デイリースポーツ online
https://www.daily.co.jp/gossip/2021/05/04/0014297629.shtml
(6)米紙電子版「東京五輪、開催すべきでない」 コラムニスト記事掲載 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20210504/k00/00m/030/048000c
(7)五輪記者内幕リポート:世論逆なでのバッハ会長発言 「おかしいやろ」思わず叫んだ - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20210427/k00/00m/050/137000c?cx_fm=mailcp&cx_ml=article&cx_mdate=20210505
(8)マスク会食呼び掛けがゴーサイン 大阪の吉村知事は「裸の王様」 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20210430/k00/00m/040/191000c?cx_fm=mailcp&cx_ml=article&cx_mdate=20210505
*気づいていますか? 現在の格差が「世界恐慌なみ」だということに(宮台 真司,白井 聡,斎藤 幸平) - 現代ビジネス - 講談社(1-8)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82764
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「戦争する国・できる国」の総仕上げ=「重要土地等調査・規制法案」に対する反対運動を強めましょう(あいまい規定で有権者・国民をいかようにも始末できます)。
<別添PDFファイル>
(1)(別添PDFファイル)重要土地調査規制法案に関する緊急声明(複数市民団体 2021.5.4)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota15/tochikiseiseimei20210430.pdf
(2)(別添PDFファイル)「重要土地等調査・規制法案」の恐ろしさ、「戦争できる国」の総仕上げ、基地建設反対派は調査対象に(イントロ部分)(半田滋『週刊金曜日 2021.4.16』)
ダウンロード - e3808ce9878de8a681e59c9fe59cb0e7ad89e8aabfe69fbbe383bbe8a68fe588b6e6b395e6a188e3808de381aee68190e3828de38197e38195e38081efbc88e382a4e383b3e38388e58d8ae794b0e6bb8be3808ee98791e69b9ce697a5204.16e3808fefbc89.pdf
(3)基地等重要施設周辺土地等調査・規制法案(仲松正人弁護士 2021.4.15)
ダウンロード - e59fbae59cb0e7ad89e9878de8a681e696bde8a8ade591a8e8bebae59c9fe59cb0e7ad89e8aabfe69fbbe383bbe8a68fe588b6e6b395e6a188efbc88e4bbb2e69dbee6ada3e4baba202021.4.15efbc89.pdf
(参考)仲松正人法律事務所 - 沖縄県那覇市の弁護士です
https://nakamatsu-lawoffice.com/
<関連サイト>
(1)伊波洋一さん Facebook:「重要土地等調査・規制法案」
https://www.facebook.com/photo?fbid=3743944325731638&set=gm.955711965173573
(2)「-重要土地-調査・規制法案 論戦の焦点は」(時論公論) - 時論公論 - 解説アーカイブス - NHK 解説委員室
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/446022.html
(3)21-5-3 「デジタル監視法・重要土地調査規制法に反対する緊急声明」発表 - 秘密法と共謀罪に反対する愛知の会
https://nohimityu.exblog.jp/32116713/
(4)自民、安保土地法案を了承 私権制限で修正、公明に配慮―「規制は必要最小限」明記:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021032301237&g=pol
(5)主張-土地調査規制法案-国民監視と人権侵害許されぬ
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-04-02/2021040201_05_1.html
東京では、私も参加している市民団体の皆様が、この法案の反対運動を盛り上げようと、勉強会開催なども準備されているようです。既に与党の自公に加えて維新や国民民主党も賛成の方向らしく、立憲民主党がどうするのか、揺れているとの情報も入っています。私はもちろん反対しています。上記の関連文書のうち「重要土地調査規制法案に関する緊急声明(複数市民団体 2021.5.4)」は必読ですので、是非ご覧ください(このメールの最後に転記しています)。
上記の文章の中では、特に「第3 法案の核となる概念や定義がいずれも極めてあいまいである」が深刻です。下記にも書いてありますが、刑罰付きなのだから、法定化して条文に列記しておかなければいけないでしょう。民主主義法制の常識ではないかと思いますが、アベ政権以降、こういう感じの法律が増えていますね。「共謀罪法」や「特定秘密保護法」と同じ建付けです。
それから、この法律に関連してですが、1つ申し上げておかなければいけないことがあります。それは、日本の土地利用の法的規制が甘すぎるということであり、逆に言いますと、土地所有権が法的に強すぎるということです。この弊害は、大都市などの街づくりでは、都市再開発や都市計画制度に典型的に現れているのですが、今回の「重要土地等調査・規制法案」の関連で申し上げれば、地方における森林(保安林や水源林など)や農地、および物権的扱いを受けている漁業権などです。
地方の森林(保安林や水源林など)が外国資本や外国人(特に中国)によって取得されている、しかも所有名義を隠し、日本人個人や日本企業の名義で取得され登記・登録されている(実質的な所有者は非居住者・外国資本)事例が後を絶ちません。そしてその実態もわからないままです。取得の目的もまた、よくわかりません。聞くところでは、かような外国資本・外国人のやりたい放題のまま土地規制を放棄している国は、途上国を除けば日本くらいなものだとも言われています。事例としては、北海道のニセコが有名ですが、それ以外の地域でも散見されています。この問題は今から20年近く前に問題提起されているのですが、WTO協定の自由貿易至上主義=国際市場原理主義アホダラ教のために、自公政権・民主民進党政権がともに放置してきた問題です。もちろんですが、森林の外国人・外国資本による取得に関しては、きちんとした規制を入れなければいけません。
もう一つが農地と漁業権です。前者については農地法、後者については漁業法で、日本では戦後一貫して外国人・外国資本の買収の魔の手からは守られてきましたが、アベ政権の時代に、いずれも「特区法」で骨抜きにされています。いわば日本人の食料源である土地および海域の基盤が、外国勢力に自由に荒らし回されてもかまわない、という「法制化」をしてしまったというわけです。愚か極まりなしで、政権交代後は、この特区および特区法は解体されなければいけません。
しかし、政権交代の首班と思われている立憲民主党は、はたしてきちんとした法制化をできるのでしょうか? 私は今のままでは大いに疑問だとみています。まずもって、今回の「重要土地等調査・規制法案」と同じような性格の「特定秘密保護法」や「盗聴法」(刑事訴訟法改悪)は民主民進党によって準備され、アベ政権によって制定されたものであり、後者の「盗聴法」(刑事訴訟法改悪)にいたっては民主民進党が賛成までしています。また、「市場原理主義アホダラ教」は民主民進党もまた信じ込んでいた邪教でもあり、いまの立憲民主党がどこまで正気に戻っているかは怪しい限りだからです。国民民主党にいたっては、先般RCEPに賛成をするなど、その歪んで固まった頭は回復しそうにありません。
日本の土地規制・土地利用規制は、大都市部も、農村・過疎地域も、ともに抜本的な見直しが必要であり、それは、これからやってくる人口減少時代の「まちづくり」「地域づくり」の基本中の基本になるということです。しかし私は、今の市民運動・社会運動に、その問題意識が薄いように思えてなりません。
草々
(追)
蛇足で付け加えさせていただければ、私は政策的な「規制」をするという時には、誰が規制をするのか、という点も大事だと思っていて、今回のような「土地規制」については、基本的には自治体が規制主体でいいのではないかと思っています。
*大都市部の都市計画や都市再開発
現在は都市計画法や建築基準法により都道府県知事が権限を持っていて(裏側には国土交通省と与党自公、大阪は維新がいます)、ここが利権の巣窟=蜘蛛の巣城になっています。ですので、規制権限は基礎自治体の市区町村におろせばいいのではないかと思います。
*森林
都道府県知事でいいと思います、複数の府県にまたがれば農林水産大臣です。
但し、その運営状況が適正になされているかどうかを監視する組織が必要(農も漁も同じ)
*農地
農業委員会の承認を条件として、都道府県知事が規制する形
*漁業権(沿岸漁業:沖合漁業は漁業権漁業ではなく許可漁業です)
漁協優先原則を徹底する(漁協が使わないときだけ漁協以外にも認める)都道府県知事権限
ただし、現在の農林水産政策や、農林漁業団体政策も、転換する必要があります。
草々
(下記はメール転送です)
————————-
重要土地調査規制法案に関する緊急声明
憲法と国際人権規約に反する「重要土地調査規制法案」の撤回を求めます
重要土地調査規制法案に反対する市民団体(末尾に列記)
はじめに
日本の社会における表現の自由の侵害、政府に関する情報の秘匿化などに疑問を持つ多 くの NGO が、国連自由権規約委員会へのオルタナティブレポートを提出し、委員会の勧告 を求め、その勧告の実現を日本政府に求めていくことを共同の目的として表現の自由と開かれた情報のための NGO 連合(NCFOJ)を結成しました。すでに2020年9月30日に共同レポ ートの第一弾を自由権規約委員会に提出しています。
国連自由権規約委員会の日本審査は、世界的な新型コロナ感染拡大のために大幅に遅延しています。そうした中でも、日本社会における表現の自由の侵害、政府に関する情報の秘匿化などの状況は悪化しているといわざるをえません。NCFOJ 内部で、追加レポートの 作成を検討しています。その検討過程で、今般国会に提出された「重要土地調査規制法 案」には、人権保障上、特に表現の自由、市民活動の自由、プライバシー権、知る権利と の関係において、看過することのできない問題点が含まれていることに気づきました。
何としてもこの法案は成立させてはならない、その思いから、NCFOJ としての追加レポ ート作成とは別個に、同様の問題意識をもつ NCFOJ 内外の市民団体の連名で、急遽、声明 を発することとしました。法案の撤回と廃案を求める理由を以下に述べます。
第1 立法の経緯と法案の概要
本年3月26日、日本政府は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の 調査及び利用の規制等に関する法律案」(重要土地調査規制法案)を閣議決定し、国会に提出しました。
この法案は、昨年12月10日に自民党政務調査会がまとめた「安全保障と土地法制に関する特命委員会」の提言をもとに、閣法として提出されたものです。法案提出にあたって、当初は連立与党の公明党は「まるで戦時下を思わせる民有地の規制」(漆原良夫公明党前議員の「うるさん奮闘記」より)などとして強い難色を示していましたが、法案の微修正によって個人情報への配慮条項を付加すること、指定については、「経済的社会的観点」 から留意することを法文上に盛り込む方向などが確認されたために、法提案に応じた経緯がありました。
法案では、基地など安全保障上の「重要施設」周辺概ね千メートルの区域や「国境離島 等」を「注視区域」または「特別注視区域」に指定して土地・建物の利用状況を調査し、 重要施設や国境離島等の「機能を阻害する行為」に対し行為の中止または「その他必要な措置」を勧告・命令することを定めたものです。命令に従わない場合は懲役刑や罰金刑を課すことができます。「特別注視区域」に指定されると、土地売買等の取引の際は事前に取引の目的等の報告が求められ、虚偽の報告をしたり、報告を怠った者は同じく処罰され ます。
第2 立法事実は存在しない。不必要である
前述のように、法案の提出作成に至ったきっかけは、外国人・外国政府の基地周辺や国境離島での土地取得に規制を求める自治体議員や自民党議員の要望でした。しかし実際には外国人の土地取得によって基地機能が阻害される事実(立法事実)が存在しないことが 明らかになっています(2020年2月25日、衆院予算委員会第8分科会)。
にもかかわらず、法案は広く国が定める「重要施設」周辺の土地・建物の所有者や利用者を監視し、土地・建物の取引や利用を規制するものになりました。この法案に対して、市民の財産権を侵害し土地取引や賃貸を伴う経済活動を停滞させるとの懸念の声がありま す。
しかし、本声明では、それにも増して広く市民が監視され、市民の調査活動・監視活動等が萎縮・制限されることにより、表現の自由、市民活動の自由、プライバシーの権利、知る権利が大きく損なわれることに警鐘を鳴らしたいと思います。
第3 法案の核となる概念や定義がいずれも極めてあいまいである
この法案は、法案中の概念や定義が曖昧で政府の裁量でどのようにも解釈できるものになっています。まず、注視区域指定の要件である「重要施設」のうちの「生活関連施設」 とは何をさすのかは政令で定め、「重要施設」の「機能を阻害する行為」とはどのような 行為なのかも政府が定める基本方針に委ねています。
重要施設には自衛隊と米軍、海上保安庁の施設だけでなく、「その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずる恐れのあるもので政令で指定するものを含む」とされており、原発などの発電所、情報通信施設、金融、航空、 鉄道、ガス、医療、水道など、主要な重要インフラは何でも入りうる建付けの法案となっ ています。
調査の対象者のどのような情報を調べるのかについても政令次第になっています。さら に調査において情報提供を求める対象者としての「その他関係者」とは誰か、勧告・命令 の内容である「その他必要な措置をとるべき旨」とはどのような行為を指すのかについては、政令で定めるという規定すらなく総理大臣の判断に委ねられています。市民の自由と基本的人権を阻害する可能性のある、市民に知られては都合の悪い規定は、法文中ではなく政府がつくる基本方針や政令、総理大臣の権限で決められるようにしているのです。刑罰を構成する要件規定が法律に明示されないということは、刑事法の基本原則すら満たしていないものであり、刑罰の構成要件の明確性を求めている憲法31条、自由権規約9条にも違反するものであると言わなければなりません。
また、刑罰の対象となる行為が明確となっていないため、表現の自由・市民活動の自由に対して萎縮効果を及ぼすこととなり、調査・監視活動が阻害され、憲法21条・自由権規約19条にも違反するおそれがあります。
第4 法案の具体的な問題点
この法案が成立するとどのようなことが起こりうるか、問題点を以下にあげます。
1.法案7条により、重要施設周辺の土地・建物利用者の個人情報はことごとく収集され監視されることになる
「施設機能」を阻害する行為やそれをするおそれがあるかどうかを判断するためには、 その者の住所氏名などだけでなく、職業や日頃の活動、職歴や活動歴、あるいは検挙歴や犯罪歴、交友関係、さらに思想・信条などの情報が必要となります。すなわち、重要施設 の周辺にいる者はことごとくこれらの個人情報を内閣総理大臣に収集され、監視されることになるのです。法案3条は、「個人情報の保護への十分な配慮」「必要最小限度」などと規定していますが、これらの気休めともいえる規定が実効性のある歯止めとなる保証はどこにもありません。このような法案は思想・良心の自由を保障した憲法19条、プライバシーの権利を保障した憲法13条、自由権規約17条に反すると言えます。
2.具体的な違法行為がなくても特定の行為を規制できる
「重要施設」の周囲や国境離島に住んでいるか仕事や活動で往来している者に対して、 政府の意向で調査でき、「機能を阻害する恐れ」があるとの理由で行動を規制できるようになります。しかもその規制は命令に従わなければ懲役刑を含む罰則も含むという苛烈なものです。このような法案は、居住・移転の自由を定めた憲法22条、表現の自由を保障した憲法21条、自由権規約19条に反するものと言えます。また、刑罰の明確性の原則(憲法 31条、自由権規約9条)にも違反することとなります。
3.「関係者」に密告を義務付け、地域や活動の分断をもたらす
法案8条は「重要施設」周辺や国境離島の土地・建物の所有者や利用者の利用状況を調査するために、利用者その他の「関係者」に情報提供を義務付けています。「関係者」は従わなければ処罰されますので、基地や原発の監視活動や抗議活動をする隣人・知人や活動協力者の個人情報を提供せざるを得なくなります。これは地域や市民活動を分断するも のであり、市民活動の著しい萎縮、自己規制にも繋がります。このような法案は、憲法19 条と自由権規約18条が絶対的なものとして保障している思想・良心の自由を侵害するものです。また、市民の団結を阻害するという意味において、集会結社の自由(憲法21条、 自由権規約21条・22条)に対する侵害のおそれもあります。
4.事実上の強制的な土地収用である
法案11条によれば、勧告や命令に従うとその土地の利用に著しい支障が生じる場合、当該所有者から総理大臣に対して買い入れを申出ることができ、総理大臣は特別の事情がな い限り、これを買い入れるものとされています。命令に従わなければ処罰されることになり、やむなく買い入れを申出なければならないのであれば、これは、法案10条3項による 土地収用法の適用ともあいまって、重要施設周辺の土地の事実上の強制収用であると言えます。土地収用法は戦前の軍事体制の反省に立ち、平和主義の見地から、土地収用事業の対象に軍事目的を含めていませんでした。軍事的な必要性から私権を制限する法案は憲法前文と9条によって保障された平和主義に反し、さらには憲法29条によって保障された財産権をも侵害するものです。
5.不服申立ての手段がない
権利制限を受ける市民は、本来それらの指定や勧告・命令に対して不服申立てができるようにすべきですが、法案にはそのような不服申し立ての手段や方法は定められておら ず、憲法31条に定められた適正手続きの保障すら著しく侵害するものです。
第5 法案成立が及ぼす影響―私たちは、この法案の撤回と廃案を求めます
1.膨大な量の個人情報の入手・蓄積・分析のために情報機関が強化される
この法案が成立した場合には、実際の調査では、聞き込み、張り込みはもちろん、警備公安警察が現地で調査し収集して所有する個人情報も入手されることになるでしょう。その収集や分析には相当な人手が必要であり、内閣情報調査室などの市民監視のための情報機関の大幅な拡充や機能強化につながっていく恐れがあります。
2.基地や原発の調査・監視行動も規制の対象とされる
米軍機による騒音や超低空飛行、米兵による犯罪に日常的に苦しめられている沖縄や神奈川などの基地集中地域では、市民が自分たちの命と生活を守るために基地の監視活動や 抗議活動に長年取り組んできました。また、ジャーナリストや NGO もこれらの施設につい て調査活動を行い、その問題点を社会に明らかにしてきました。自衛隊のミサイル基地や 米軍の訓練場が新たに作られたり、作られようとしている先島諸島や奄美、種子島でも同じ状況に置かれています。このような、自分たちの命と生活を守る当たり前の基地調査行動・監視行動ですらこの法案は規制の対象にしているといえます。
また、その規制は南西諸島や基地周辺に限らないことは前述したとおりです。重要施設は、原発をはじめ放送局、金融機関、鉄道、官公庁、総合病院などの重要インフラの周辺にまで拡大される可能性があります。大都市圏に住むほぼすべての人が監視と規制の対象となる可能性を含んでいるのです。
このような法案は、市民の多様な表現の自由及び市民の知る権利を保障した憲法21条、 自由権規約19条に反するものと言えます。
3.法案は戦前の「要塞地帯法」の拡大版の再来であり、憲法と国際人権法を著しく侵 害するもの。廃案・撤回するしかないすなわちこの法案は、憲法改悪の「緊急事態条項」を先取りする形で市民の監視と権利制限を日常化、常態化させる法律なのです。そのような意味で、この法律は、戦前の社会 を物言えない社会に変えた軍機保護法・国防保安法とセットで基地周辺における写真撮影や写生まで厳罰の対象とした要塞地帯法(明治32年7月15日法律第105号)の拡大版の再来だ といえるでしょう。この法律が成立すれば、市民と市民団体の活動に対する萎縮は限りな い連鎖を生み、戦前のように、日本社会を沈黙の支配する社会へと国が変えてしまうことが再現されることすら予想されます。安保関連施設を厚いベールで隠し、一切の批判を封じることから、戦争に向かう政策を補強する戦争関連法の一環であると言わざるをえませ ん。このような法案は決して成立させてはなりません。私たちは政府に対して、日本国憲 法と国際人権規約に真っ向から反する、問題の多いこの人権侵害法案を撤回するよう求め ます。
重要土地調査規制法案に反対する市民団体(順不同)
・アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資館」
・板橋高校卒業式事件から「表現の自由」をめざす会
・沖縄ドローンプロジェクト ・沖縄と連帯する会・ぎふ
・共謀罪対策弁護団
・共謀罪 No!実行委員会
・グリーンピース・ジャパン
・市民社会スペース NGO アクショ ンネットワーク(NANCiS)
・名護市政を考える女性の会(いーなぐ会)
・ピースボート
・秘密法と共謀罪に反対する愛知の会
・秘密保護法対策弁護団 ・秘密保護法廃止へ!実行委員会
・辺野古ドローン規制法対策弁護団
・ヘリ基地反対協議会
・ヘリ基地いらない二見以北十区の会
・武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
・日本国際ボランティアセンター
・日本消費者連盟
4月30日時点 賛同団体の第二次集約は2021年5月9日
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以上
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