« (予約必要)(4.28)オルタナティブな日本をめざして(第58回)「新型コロナワクチンの正体を知る」(岡田幹治さん「新ちょぼゼミ」)+ 直近「新型コロナ・ワクチン」関連情報 | トップページ | (メール転送です)2.13福島県沖地震(M7.3)と福島第一原発:地震によるイチエフの損傷が隠されているのではないか? »

2021年3月 8日 (月)

電力卸売市場(JEPX)での価格暴騰の舞台裏:巨大原発電力会社9社の地域独占を温存したままの(似非)電力自由化こそが事の元凶=原子力ムラと癒着して新電力・再生可能エネルギーつぶしを画策する経済産業省

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)


(最初に若干のことです)
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1.「新ちょぼゼミ」のご案内
(1)(予約必要)(3.24)オルタナティブな日本をめざして(第56回): 「菅政権グリーン成長戦略は「グリーン」か(あやしいカーボンニュートラル)」(上岡直見さん:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ(最初の1時間は、「市民と野党の共闘」が掲げるべき経済政策)
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/01/post-28c380.html

(2)(予約必要)(4.15)オルタナティブな日本をめざして(第57回)「どうする日本の司法:裁判員制度の問題点」(武内更一弁護士:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ(最初の1時間は、電力価格暴騰とホンモノの電力自由化について)
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/02/post-38efc4.html

(3)(予約必要)(4.28)オルタナティブな日本をめざして(第58回)「新型コロナワクチンの正体を知る」(岡田幹治さん「新ちょぼゼミ」)+ 直近「新型コロナ・ワクチン」関連情報- いちろうちゃんのブログ(最初の1時間は、「マイナンバー制度」の危険性)
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-93605c.html

<以下は、まだ受付を開始しておりません>
(4)(5.20)オルタナティブな日本をめざして(第59回):「子ども脱被ばく裁判で見えたこと:福島原発事故と放射線被曝」(井戸謙一弁護士)

(5)(6.7)オルタナティブな日本をめざして(第60回):「福島原発事故から10年:放射能汚染の実態とその諸問題」(青木一政さん・中村順さん)

(6)(6.29)オルタナティブな日本をめざして(第61回):「青森県六ケ所村再処理工場の実態とその危険性」(永田文夫さん)


2.イベント情報
(1)南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会- 判決期日…2021年6月10日午後3時に!(東京地裁)
 http://minamisouma.blogspot.com/2021/03/20216103.html

(2)3月17日緊急セミナー(ZOOM)「新型コロナウイルス ワクチン、PCR検査、消毒剤の問題点ー基礎研究者の視点からー」のご案内 - ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議(下記サイトに講師の木村-黒田純子氏の論文が掲載されています)
 https://kokumin-kaigi.org/?p=3602

(3)映画『シャドー・ディール 武器ビジネスの闇』公式サイト
 https://unitedpeople.jp/shadow/

(関連)シャドー・ディール 武器ビジネスの闇 SHADOW WORLD - シアター・イメージフォーラム
 http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/4102/

(ちょっとテンポが速い映画で、字幕の文字を追いかけるのに苦労しますが、なかなか迫力のある映画でした。アメリカの軍産情複合体の秘密組織がドローンを使って反米的な途上国政府要人や反米組織リーダーたちを暗殺していることが非常に強烈に印象に残ります(米国防総省にドローンで殺害されたイラン革命防衛隊司令官ソレイマニ氏もその一人か?)。また、「希望には2人の娘がいる=怒りと勇気だ」というナレーションの言葉も強く記憶に残りました。私は今日の日本の市民運動・社会運動が「怒り」を忘れているのではないかと時々思うことがあります。ところで、私が2月下旬に渋谷の「シアター・イメージフォーラム」にこの映画を見に行った時には映画館の中はガラガラで、私を入れて観客が5人だったような気がします。新型コロナなど心配せずに「シアター・イメージフォーラム」に、みなさまも観に行かれてはいかがでしょうか? 但し、マスクはお忘れなく。:田中一郎)

(関連)イラン革命防衛隊の司令官、米軍の空爆で死亡 バグダッド到着後 - BBCニュース
 https://www.bbc.com/japanese/50980333

(4)映画「サマショール 〜遺言 第六章」遺言プロジェクト
 https://www.yuigon-fukushima.com/

(関連)ポレポレ東中野:オフィシャルサイト
 https://pole2.co.jp/


3.キャンペーン
(1)菅義偉内閣総理大臣と井上信治科学技術担当相- 日本学術会議の総会を控え、 任命拒否を撤回させる署名にご協力ください。 日本学術会議の総会を控え、 任命拒否を撤回させる署名にご協力ください。 · Change.org
 https://bit.ly/2Ob6S0H

(2)キャンペーン · 大学の軍事研究に反対する(開始2015年10月) · Change.org
 https://bit.ly/2MRwvTu

(関連)キャンペーンについてのお知らせ · 日本学術会議会員候補6名の任命拒否を撤回せよ · Change.org
 https://bit.ly/3rn8dzK

(3)内閣総理大臣- 学長選考会議の権限強化に反対します―これ以上、大学を壊さないでください! · Change.org
 http://chng.it/Gr9xQ2Nm

(「反対」するだけでなく、大学の自治や学問の自由、大学の研究・教育予算の拡充などを取り戻すための「法制度化」を含めて、大きく幅広い社会運動を、まずは当事者である大学人が創ってください。:田中一郎)

(4)法務省出入国在留管理庁:難民を「犯罪者」にする「入管法改定案」の廃案を求めます! · Change.org
 https://bit.ly/38hTq1J

(5)名古屋市長・河村たかし様、減税日本代表・河村たかし様- 河村たかし名古屋市長はリコール不正署名の責任を取ってください · Change.org
 http://chng.it/KvVCLKmQ 

(6)原子力規制委員会 更田委員長の「審査ガイド」パブコメ無用発言に抗議する 団体賛同
 https://bit.ly/3boikyT

◆日刊IWJガイド・非会員版「IWJ設立以来最大の窮地! 今期第11期、ご寄付・カンパの累積不足分は7か月で1141万円! どうか皆さま会員登録とご寄付カンパのご支援によってIWJを存続させてください! よろしくお願いいたします!」2021.03.02
 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/48400

(みなさまへ:IWJは数少ない貴重なネット・ジャーナリズム・サイトです。マスコミが「粗大ごみ」(マスごみ)化する中で、私たちが真実を知るための有力なメディアの1つです。みなさまのご支援でIWJの運営を維持させて下さい。ちなみに私はIWJとは何の関係もございません。一愛読者です:田中一郎)


4.「グローバル企業のための貿易協定であるRCEPは、非民主的であり、不平等を深め、労働者と社会を犠牲に」アジア太平洋地域の労働組合のRCEP協定反対声明(和訳紹介) - 大石あきこ
 https://www.oishiakiko.net/2021-03-01-rcep/

(日本のマスごみは相も変わらず国際市場原理主義経済協定の礼賛=グローバリズム賛美の「御用」報道を続けています。およそRCEPのみならず、TPP協定も日欧EPAも日米FTAも日豪EPAもWTO(ガット・ウルグアイラウンド)も、すべて「喜ぶのは一握りの巨大企業群」だけであり、その他の中小零細企業を含む圧倒的多数の人間・企業は「巨大多国籍企業の搾取・収奪・支配の対象」となるのです。人権など、どこ吹く風、です。これからの日本経済は、こうした巨大多国籍企業たちが牛耳る市場原理主義的な国際経済協定から脱出して「人間のための経済」づくりへとシフトしていくことが大事です。そのためには私たち自身が「市場原理主義アホダラ教」から脱出しなければなりません。:田中一郎)


5.夫婦別姓に反対する夫婦別姓夫婦=丸川珠代&大塚拓 両方とも自民党の「お笑い」議員です

丸川氏、7回続けて答弁拒否 選択的夫婦別姓の反対理由:朝日新聞デジタル
 https://www.asahi.com/articles/ASP334VQWP33UTFK016.html

*「夫がにくたらしい」新五輪大臣・丸川珠代が抱える家庭危機(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/9b7cee2c1e9034f2e9393f408ce1fc20bb58eedf

(田中一郎コメント)
 先日、教えてもらった情報です。他人様夫婦のプライバシー問題をのぞき込む趣味はありませんが、声高に夫婦別姓に反対する自民党の議員が、自分は夫婦別姓だ、ということのようで、これはもう、一種の珍喜劇「お笑い」という他ありません。丸川珠代&大塚拓=夫婦別姓に反対する夫婦別姓夫婦、こんな連中に選挙のたびに投票をしている諸君の頭の中もまた、「お笑い」というべきでしょう。

そもそも、有権者個々人の名前をどうするか、なんぞ、政治家が口出しすべきことなのか、名前こそ究極のアイデンティティのはず、こんなこと(夫婦同姓の強制)に平々凡々と付き従っていること自体が、有権者としての恥だ、まるで家畜かペット並みの扱いだ、との憤りくらい見せろ、と私は申し上げたいです。伝え聞くところでは、田吾作国家(宮台真司)の日本は、明治初期に、いままで名前だけで名字がなかった士農工商のうちの「農」は、村の知識人に名字を付けてもらったと聞いたことがあり、さしずめ私の名前の田中も、おそらくは田んぼの中に家があったという安直な理由で名づけられたのでしょう。

まあ、それでも、特に差支えはありませんが、しかし、政治家や役人たちから、お前の名字はこれこれにしろ、などといわれると、じゃかましい、と振り払いたくなりますね。福島みずほさん、国会で丸川珠代に夫婦別姓強引主張の理由を聞いているようですが、今度聞くときは、丸川珠代&大塚拓、あんたたちは夫婦別姓のようだけど、それどう思ってんの? と聞いてみてください。

(関連)選択的夫婦別姓制度に反対しながら自らは旧姓を通称使用する丸川大臣! IWJ記者の質問に「同氏と通称使用が混同されている」と噛み合わない答弁!~3.5丸川珠代 東京オリンピック・パラリンピック大臣 定例記者会見 - IWJ Independent We
 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/489462


6.全国どこでも補助 被災地復興予算流用 8172億円返還されず(毎日 2021.3.1)
 https://mainichi.jp/articles/20210301/ddm/001/040/118000c
 https://mainichi.jp/articles/20210228/k00/00m/040/115000c
 https://mainichi.jp/articles/20210301/ddm/003/040/113000c

(一部抜粋)
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 東日本大震災の復興予算1兆円超が被災地と関係の薄い使途にも流用されていた問題で、復興庁が2013年に管轄省庁に返還を求めた23の基金事業を調べたところ、最終的に少なくとも7割に当たる約8172億円が返還されないことが明らかになった。政府が11年7月に公表した復興の基本方針に「日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない」と盛り込まれたことが流用につながったとみられる。11日で震災から10年を迎える中、復興予算の使途の検証が求められる。
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(田中一郎コメント)
「少なくとも」との記述があるところから鑑みて、実際にはもっと巨額にあると推測されます。市民団体代表を含む第三者を入れた会計検査院チームによる「特別検査」を実施し、徹底的に調べ上げ、その責任者を処分する必要あり。そうしないと、こうしたことは今後もたびたび繰り返されることになる。税金の使い方が全くのデタラメだ。


7.(メール転送です)急がれる五輪の影響からの解放(村田光平元スイス大使からのメール)

皆様、所感をお届けいたします。
3月25日の五輪聖火の出発日が緊急宣言の延長の期限(3月21日)に影響を及ぼしていることが看取されました。5日に報じられたThe Time 紙の「東京五輪を中止するときが到来」との記事は反論の余地がありません。昨年2月のBACHIOC会長の来日の際、日本での感染者発生数を減らすためPCR検査能力を低く抑える方針が決定されたとの巷間の噂の正しさは、検査拡大による変異株対策の欠如の現状が立証しております。これは必要不可欠なことであるはずです。

フクシマ事故収束への全力投球、さらには新型コロナ危機への全力投球を妨げている東京五輪の影響は深刻であり、緊急な対応が求められます。五輪の商業主義についてはバイデン米大統領の「五輪出席については科学に基づいて判断する」との最近の発言が想起されます。五輪改革論議が始まっておりますが、遂にその廃止まで国際機関で傑出した経済専門家として活躍した実績のある方が訴えだしているとの情報に接しました。

五輪中止に備えての危機管理が求められます。皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。(村田光平:元駐スイス大使)
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みなさまは既に新聞報道などでご存知のことと思いますが、昨年12月から今年1月にかけて、電力卸売市場(JEPX)で取引される電力のSPOT価格が暴騰いたしました。通常時には5円~10円/KWH程度の価格であったものが、最高時には250円/KWH近辺にまで(約30倍)暴騰し、それも瞬時のことではなく、約2カ月にわたって電力価格の超高値状態が続くという異常事態となり、非常におかしく歪んだ我が国の電力市場のあり様が浮かび上がりました。

(関連)電力卸売市場(JEPX)
 http://www.jepx.org/
(関連)卸電力市場価格の急激な高騰に対する対応について(JEPX 2021.1.29)
 http://www.jepx.org/news/pdf/jepx20210129.pdf?timestamp=1615072491322

(関連)スポット市場価格の動向等について(電力ガス取引監視等委員会 2021.1.25)
 https://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_system/pdf/054_06_01.pdf
(関連)(別添PDFファイル)電力逼迫 エネ各社悲鳴、今期 市場調達コスト膨らむ(日経 2021.2.11)
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD095CH0Z00C21A2000000/

これまで電力取引市場などは、まさに限界的な「お遊び」程度のものにすぎず、電力のほとんどすべてが「地域独占の巨大原発電力会社9社」(沖縄を除く)によって供給されてきたため、特に関心を引くこともありませんでした。しかし、2016年から本格化し始めた「電力自由化」に伴い、いわゆる「新電力(会社)」(正確には新「電力小売」会社)が多く参入し(今現在で約700社あまり)、既存の地域独占電力会社の顧客を奪う形で電力販売シェアを20%程度まで伸ばしてきました。順調に見えていた「新電力」のシェア拡大と電力自由化でしたが、実はその「新電力」の多くが自身の販売商品である電力の大半を電力卸売市場(JEPX)から調達するという「いびつ」で「不安定」な構造になっていたことに加え、電力自由化を所管している経済産業省(およびその外郭団体の「電力広域的運営推進機関」と「電力ガス取引監視等委員会」)が、この電力自由化や電力市場の「期待される機能」発揮のための整備をきちんと行わず、また、電力市場運営のやり方も出鱈目で、その結果、電力価格が暴騰して「新電力」の経営に甚大な打撃を与える結果となりました(「新電力」によっては二桁億円~三桁億円の赤字で経営破綻=身売りまでに追い込まれています)。

 <経済産業省関連サイト>
(1)電力システム改革について|資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/system_reform.html
(2)電力小売全面自由化|資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/electricity_liberalization/
(3)電力広域的運営推進機関
 https://www.occto.or.jp/
(4)電力・ガス取引監視等委員会
 https://www.emsc.meti.go.jp/

こうした事態について、多くのマスごみ(TV、新聞、雑誌など)は、①備蓄ができない天然ガスの国際市場における価格高騰(新型コロナで価格は緩むはずなのに高騰したという)、②今年冬期の寒波が厳しく暖房用需要が膨らんだ、③太陽光発電などの再生可能エネルギーの不安定性が表面化して再生エネ電力の供給が細った(⇒ 嘘八百=太陽光発電など再生可能エネルギー供給はこの間一貫して増加しており、かつ、送配電網を握る大手電力などに逆に供給ストップをかけられていた)、いくつかの火力発電所のトラブルで電力供給が一時的に止まった、などの「場当たり的」で「いい加減」な(しかし、もっともらしく見える)理由付けをして、この問題の深刻な点の認識を妨げるようなチャンチャラ報道をしています。更には、大手電力業界のお先棒を担ぐかのように一部の経済誌や新聞などは、「新電力」が卸売市場からの電力調達に偏り過ぎていたことが問題の根源であり、今回の騒動は「新電力」の安易な経営姿勢にあったと言わんばかりの報道までが出ています。

(関連)2021年1月|JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト
 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/nglng/1007905/1008948.html

(私もシロウトでよくわかりませんが、「JKM」とは「SPOT価格(期近物)」の略のようです(Japan Korea Marker、Platts北東アジアスポットLNG査定価格)。そして暴騰しているのは「JKM」だけ)

しかし、今回の電力価格暴騰による騒動と、再生可能エネルギー取扱業者を含む「新電力」の経営破綻の「事の本質」はそんなところにはなさそうです。簡単に結論だけを申し上げれば、①電力卸売市場(JEPX)をはじめ「電力自由化」の制度設計が様々な欠陥を抱えていること、②その最大のものは、巨大原発電力会社9社の地域独占が温存され(発電のシェア80%、売電のシェア80%、発電・送配電・売電の3機能が「所有分離」されずに「法的分離」にとどまり、原発電力会社9社の各持ち株会社の下にぶら下がる形となっている)、正常な市場競争の確保ができない状態であること、およそ市場の8割を握り、送配電網を支配しているわずか9社の大手電力会社の独壇場となっている卸売市場が正常に機能しないことなどは「常識の中の常識事項」です、電力自由化の設計・管理監督官庁である経済産業省に加え、電力市場や電力供給の正常で健全な運営を担保するために創られた2つの組織(「電力広域的運営推進機関」「電力ガス取引監視等委員会」)が経済産業省の手下となっていて、御用人間だけで運営されているため、今回の事態に全く対応できなかった(権限もないと思われます)、電力の安定供給のためと称し、依然として危険極まりない原発が最優先電源として扱われ、主力エネルギーだなどと口先だけで推進されるフリをされている再生可能エネルギーが、様々な形で妨害され排除されていること、などが、今回の電力卸売市場(JEPX)における電力価格の無政府的暴騰の原因と思われます。

以下、いくつかの報道やレポートをご紹介し、それらから得られる結論を簡単に書き下ろしておきます。今回の事件から得られた結論=教訓は明らかであって、原子力ムラに牛耳られた現在の自公政権や経済産業省にホンモノの電力自由化やエネルギー革命を遂行していく能力も意欲も覚悟もありません。彼らは水面下で「巨大原発電力会社9社の地域独占」と癒着しながら、この旧態依然の9電力支配体制維持継続のために日夜努力をしているのです。脱原発が原発温存勢力によっては遂行不可能であるように、また、原子力規制が原子力に「寄生」する原子力「寄生」委員会・「寄生」庁では不可能であるように、電力自由化もエネルギー革命も本音ではそれを実現するつもりのない政権によっては遂行不可能なのです(私は原発ゼロや再生エネ推進を提唱している立憲民主党でさえ、最近の枝野幸男代表の発言などから鑑みて怪しいものだと見ています。ましてや国民民主党や日本維新などはニセモノ脱原発であることは明白です)。

しかし、脱原発も、電力自由化も、再生可能エネルギーの本格的推進・普及も、エネルギー革命も、すべて日本の未来にとっては必要不可欠であるにもかかわらず、それが長期化する自公政権やニセモノ民主民進党政権によって遅れに遅れて今日に至っています。エネルギー政策は経済政策の基本中の基本であり、また、エネルギーの在り方が一国の経済の貧富や生活の質、あるいは国民の幸福度を決める基本的要因でもあるのですから、現状のような体たらくを看過しておくわけにはいかないのです(この辺が理解できていない有権者・国民があまりに多すぎることが、バブル崩壊以降の30年間の我が国没落の大きな原因の1つです)。私たち有権者・国民は、一刻も早く、様々な意味でロクでもない自公政権をスクラップし、不可逆的な形でホンモノの政権交代=オルタナティブな日本を目指す新政権を打ち立てていく必要があるのです。覚悟が求められているのは、電力業界や政官財学だけでなく、私たち有権者・国民もまた、シカリなり、ということです。


 <今回の電力価格暴騰を理解するために不可欠な5つのレポート・報道>

(1)電力市場価格高騰で、再エネ系新電力が危機的状況!消費者としては何ができるの? – power-shift.org
 https://power-shift.org/210122_jepx/

(一部抜粋)
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(中略)FIT電気の仕入れ価格が、市場価格に連動して高騰
 2017年のFIT制度改革により、FIT電気の買取義務者は送配電事業者となり、あわせて小売電気事業者がFIT電気を調達する際の価格が、市場価格に連動することとなりました。そのためFIT電気の仕入れ価格は同様に高騰し、FIT電気を重視する再エネ新電力には大きな打撃となっているのです。他方、発電会社が受け取るのは、これまで通りの固定価格のみです。その差額分が送配電事業者にとどまるという状況になっており、これは明らかに制度設計の不合理です。再エネ新電力や地域新電力などのネットワークは、このFIT電気の仕入れ価格に上限を設けるべきということ、また送配電事業者にとどまっている利益を還元すべきということを働きかけています。
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(関連)(別添PDFファイル)電力高騰で大手に余剰金 経産省、制度見直しへ 家庭向けを減額検討(日経 2021.2.16)
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69123690V10C21A2EE8000/

(2)(別添PDFファイル)電力市場高騰、再エネ業者に痛手(毎日 2021.2.23)
 https://mainichi.jp/articles/20210223/ddm/013/040/021000c

(一部抜粋)
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(中略)関雷では11月、高浜原発4号機(福井県高浜町)の蒸気発生器内に不具合が見つかった。4号機と同じタイプの3号機(87万㌔㍗)は12月下旬に再稼働を予定していたが、確認検査が避けられなくなった。関電が3号機の再稼働延期を発表したのが12月15日。広域機関の融通指示は、関電の依頼を受けた措置だった。

(中略)その後、広域機関の融通指示は、関電大飯原発4号機(118万㌔㍗)が再稼働して発電が始まる前日のl月16日まで、計218回(そのうち関西電力向けは94回)発動された。電力ガス取引監視等委員会のデータによると、12月29日以降、大手電力会社が市場に出す電気よりも、市場から買う電気の量が上回るようになった。山家さん(エネルギー戦略研究所所長の山家(やまか)公雄・京都大特任教授)は「本来は電気の売り手である大手電力が供給余力を失い、買い手に回った。小さな池にクジラが入って来たようなもので、小魚(薪電力)はひとたまりもない」と語る。
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(3)(別添PDFファイル)「停電危機」でぼろ儲けした輩たち、卸売電力取引所「狂乱相場」の全内膜(『選択 2021.3』)
 https://www.sentaku.co.jp/articles/view/20795

(一部抜粋)
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(中略)(東京電力グループの新電力=テプコカスタマーサービス(TCS)は東電のエリアである関東圏以外で営業展開している。TCSは東電の販売会社である東京電力エナジーパートナー(東電EP)の子会社、東電HD(ホールディング)の孫会社で、販売する電力の50%は東電EPが供給している)

ところが、主力の親会社の電力が突如断たれたのだ。TCS(上記)はJEPX(電力卸売市場)へ走らざるを得ず、供給源の七〇%、三百五十万キロワット分の買い札が主に六十ヘルツ圏の市場へ集中したのである。それは、西日本の電力関係者が「停電」の疑心暗鬼に駆られるのに十分な量だった。買いが買いを呼ぶスパイク相場へ発展する。

(中略)では、インバランス精算はいくらになるのか。JEPXの一月の平均約定価格六十七円を前提とすると、例えば三百五十万キロワット分の顧客の電力を調達しょうとしたTCSの場合、すべてインバランスが発生すれば、精算総額は二百三十億円を超える。これを関電、九竃などの送配電会社へ支払うのだが、TCSにそんな体力はなく、東電EPが肩代わりすることになる。が、送配電会社の東京電力パワーグリッド(PG)は関電や九電へ盛んに応援融通していた。その対価と相殺すればお釣りがくるだろう。前出の新電力幹部の憤怒は募る。
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(注:月刊誌『選択』は通信販売雑誌なので書店にはありません。定期購読されるか図書館などでご覧ください。ちなみに東京では、例えば日比谷公園内にある図書館に、この月刊誌『選択』が置かれています)

(4)「ボロ儲け」で大手電力は高笑い?電気代爆上げ、メディアが報じない真の問題(志葉玲) - 個人 - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20210218-00223131/

(一部抜粋)
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(中略)取引価格高騰で1兆5000億円のボロ儲け?

 今回の日本卸電力取引所での電気取引価格の高騰が、不幸な偶然の重なりによって起きたものなのか、ある意図により起こされたのかは、現時点では不明だ。ただ、短期間に約1兆5000億円という莫大な金額が小売事業者から発電事業者(そのほとんどが大手電力)に支払われている。つまり、今回の取引価格高騰で大手電力は莫大な利益を得たと見ることができるだろう*。さらに、かつて自分たちが独占状態にあったところへ参入してきた新電力は顧客を奪い合うライバルであり、その不振は大手電力にとっては悪くないことだという構図がある。

*上述タスクフォース提出資料によれば、昨年12月20日から今年1月21日までのJPEXスポット市場の約定金額は、2019年度の2,148億円に対し、2020年度は1兆7,564億円。小売電気事業者のスポット市場からの調達費用が、1.5兆円増加した計算となるとのこと。

いずれにせよ、今回の卸電力市場での価格暴騰について大手電力の影響が大きいことは確かだろう。市場の電気の9割を売りに出しているのは、大手電力だからだ。前述のタスクフォースでの指摘にあるように、仮に大手電力が売り惜しみをすれば、簡単に価格は高騰する。それだけではなく、大手電力の小売部門が意図的に高値で買い注文を出しても、競争になるので価格が高騰するし、大手電力は発電部門が儲かるので困らないという構造があるのだ。そもそも、発電と小売を分離する“発販分離”が行われていないことが、市場の公正さという点で深刻だ。海外での電力自由化では、この発販分離が普通なのである。
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(5)STOP! 原発・石炭火力を温存する新たな電力市場ーリーフレット公開! │ eシフト
 http://e-shift.org/?p=3827

(田中一郎コメント)
 電力卸売市場(JEPX)での電力価格暴騰と直接は関係ありませんが、上記パンフで説明されている「容量市場」「非化石価値取引市場」「ベースロード(電源)市場」の3つは、いずれも減価償却がほぼ終わった老朽原発や老朽火力を温存し、何もしないでもカネが「地域独占の巨大原発電力会社9社」に流れ込んでくる仕組みになっており、今般の電力価格暴騰と通底している「欠陥政策」と言えます。

ご参考までに申し上げますと、先般実施された4年後(2024年)の第1回「容量市場」入札結果は「約14,000円/KW」=「対象発電容量は約17700万KW」、つまり14,000円/KW×177,000,000KW=約2兆5千億円が、自動的に「地域独占の巨大原発電力会社9社」に転がり込むこととなり、また、今般の電力卸売市場(JEPX)での電力価格暴騰によっても約1兆5千億円の金が「新電力」から「地域独占の巨大原発電力会社9社」に入るわけで、両方で約5兆円のボロ儲けとなるわけです。「地域独占の巨大原発電力会社9社」やその経営者たちは笑いが止まらないでしょう。

(関連)No.204 容量市場入札 1万4千円-kWになってしまった容量市場価格 - 京都大学大学院 経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座
 http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/renewable_energy/stage2/contents/column0204.html

(参考)電力需給ひっ迫???(どうもあやしい)
 電力需給ひっ迫の報道がなされ、電力卸売市場のSPOT価格が暴騰し、天然ガス調達難だとか大型火力発電のトラブルとか、寒波による電力需要の急増だとか、いろいろ後付け理由がまことしやかに言われています。私は怪しい限りだと見ています。もっぱら公開情報ですが、情報を収集しています。たとえば下記のようなものがあります。

以下はメール転送です。
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九州管内、とくに日本海側は先週末から厳寒へ、積雪もあって暖房用の電力使用が急上昇。本日からの会社・工場などの稼働による電力使用の上昇に、九電は警鐘を鳴らしている。とはいえ、2020年10月25日(日)を最後に実施されていなかった再エネの出力抑制を、2021年1月3日(日)に実施。

今回のような悪天候では太陽光発電量は低下するが、風力発電量は増加する。その風力発電について、九電(九電送配電)は59万㎾しか接続・使用していない。可能性まで含めると1354万㎾が想定されているが、そのうちの59万㎾、たった4.4%分しか使っていない。需給見直しでは、こうした点も含めて、検討すべきだろう。下記リンク先の末尾にある「九州本土(離島除く)の再生可能エネルギーの接続・申込状況(2020年11月末時点)」を見てほしい。
https://www.kyuden.co.jp/td_renewable-energy_application_index.html
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寒波の影響だというのなら、暖房に電気を使わずに、灯油のストーブを使えばいいでしょう。新電力を電力市場から締め出すことと、やっぱり原発は必要だというための根拠にする、ねらいがあるのではないか、と疑っています。

卸売市場の価格が10倍以上に暴騰するなどというのは、電力広域的運営推進機関や電力・ガス取引監視等委員会が、何をしとるのか、ということでしょう。いずれも経済産業省所管で「利益相反」です。消費者庁・消費者委員会に所管替えすべきです。(経済産業省はかつての大蔵省のように解体しなければいけません、ロクでもないことしかしません)

天然ガスの国際市場が揺れて入手難になっていることが1つの理由になっていますが、これも素直にはいそうですか、とはなりません。日本の天然ガスの調達構造をきちんと見てみないと何とも言えません。そもそも天然ガス電源(コジェネ・オンサイト・高エネ効率)は、未来の再生可能エネルギー時代と今日の化石燃料時代とをつなぐ「経過時代」の最有力電源だという意識はあるのでしょうか?

いずれにせよ、日本の電力自由化の在り方が歪んでいることが、今回の事態で明るみに出たということだと思っています。一過性のことよりも、電力市場や電力業界と、電力行政に関する構造的な問題に着目すべきです。


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 <今回の電力価格暴騰をどう見るか>

(1)上記でご紹介した毎日新聞記事にあるように、今般の電力価格暴騰の引き金は関西電力の高浜3,4号機の予定外の運転停止だった(2020年11月~12月)。その原因は加圧水型原子炉のアキレス腱と言われている蒸気発生器の(これまでになかったパターンの)トラブルによるもので(下記参照)、発電を過度に原発に依存しすぎている悪質会社=関西電力の電力供給力の不安定さを示すものである。原発が「安定電源だ」などというのは嘘八百であることは、こうして何度も何度も立証されていることである。これに更に、日常的なずさんな管理が原因と思わしき大型石炭火力発電所が複数基トラブルを起こしてストップしている(次に見るように、東京電力が孫会社を使って電力価格の暴騰を招くような市場操作をしていた疑いもあり、この火力発電所のトラブルが本当に技術的トラブルによるものなのかは徹底した追及が必要)。

(関連)先例なき伝熱管損傷が発生 高浜4号機蒸気発生器[滝谷紘一](『原子力資料情報室通信 NO.561 2021/3』)
 https://cnic.jp/38357

(2)上記でご紹介した月刊誌『選択』(2021年3月)にも書かれているように、東日本でも電力需給の逼迫が発生した折に東京電力が孫会社TCSへの電力供給を止め、その孫会社TCSが苦し紛れに電力卸売市場(JEPX)へ大量の電力買い付けに走ったため、電力価格が暴騰する羽目になった。また、それでも調達しきれなかった分は「地域独占の巨大原発電力会社9社」の送配電子会社が肩代わり供給し(実質的には発電子会社が肩代わりで電力を供給)、そのペナルティとして「インバランス料金」(200円/KWG)をTCSが送配電子会社に支払うことになるが、それをTCSは負担する能力がなく、結局、親会社の東電EPが負担するというのだから、これはグループを挙げての電力価格操作と見られてもおかしくない。

(3)そもそも、電力卸売市場(JEPX)とその監視監督機関2つ(「電力広域的運営推進機関」&「電力ガス取引監視等委員会」)に、価格変動の上限(値幅制限)や緊急時の取引停止処分、あるいは非常用電源の供給(命令)を取り仕切る仕組みも権限もなく、今回の異常事態に対して、ただただ「お願い」を繰り返すのみに終わっている。公正で透明な電力取引の実現が使命であるというべき電力卸売市場(JEPX)とその監視監督機関が2つともこれでは、公設市場としては失格という他ない。また、「電力広域的運営推進機関」に至っては、関西電力の高浜原発の想定外停止に伴い、ただひたすら関西電力の電力供給を確保するために注力して動いていた様子もうかがえ、この2組織は何のために存在しているのか、その意義が疑われる。ちょうど、巨大企業群における御用労働組合のようなものと見れば、その本質が理解できるというものかもしれない。いずれにせよ、電力卸売市場(JEPX)の制度設計は今回の異常事態を受けて一からやり直しが必要だ。

(4)FIT電力(再生可能エネルギー電力)については、発電業者が「地域独占の巨大原発電力会社9社」の子会社である送配電会社に売る場合が「FIT固定料金」(販売価格が安い場合の不足分は電力価格に転嫁)で、その送配電会社が電力小売会社に売る際は電力卸売市場(JEPX)での取引価格に連動という「おかしな制度設計」になっている。おかげで、「地域独占の巨大原発電力会社9社」の子会社の送配電会社は、今回、労せずして巨額の差益を懐に入れることができた。当然ながら、この不当なる巨額な差益は「新電力」(電力小売会社)に還元すべきであるが、大手電力はもちろん、監督官庁である経済産業省までが難色(やる気なし)状態であるというから驚きである。

(5)電力小売会社が顧客に電力を販売していながら、その電力を自力で調達できなかった場合には、それを「地域独占の巨大原発電力会社9社」の子会社である送配電会社が肩代わりをし(実際には大手発電会社が供給)、そのペナルティとして「インバランス料金」というものを当該電力小売会社が当該送配電会社に支払わなければいけない決まりだ(上述)。しかし、今回の異常事態が発生するまでは、このインバランス料金に上限がなかったため、経済産業省はあわてて「インバランス料金」を200円/KWHと決めた。この200円/KWHが実質的な電力卸売市場(JEPX)における値幅制限=上限価格となる。しかし、これがとんでもなくおかしい。

それまで電力卸売市場(JEPX)で取引されていた電力料金は8~10円/KWHだったのだから、常識的には「インバランス料金」はその数倍の価格=つまり30~40円くらいというのが相場というものである。それをかような超高額な値段に監督官庁である経済産業省が決めているということ自体、同省が「地域独占の巨大原発電力会社9社」の利益を守り確保する側に立って動いているということの明白なる証左である。これは上記で申し上げたFIT電力に係る巨額の差益を還元しようとしない姿勢と裏腹の関係にあり、その思惑の底には、「地域独占の巨大原発電力会社9社」の商売敵である「新電力」を淘汰し、今現在700余りある「新電力」の数をドラスティックに減らしたいという思惑があるものと思われる。しかし、それはそのまま再生可能エネルギー電力の縮小・圧縮につながっていく。

(関連)(別添PDFファイル)新電力資金繰り、経産省が支援策、利用者保護条件に(日経 2021.1.29)
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68630500Y1A120C2EE8000/

(送配電会社や「地域独占の巨大原発電力会社9社」に溜まった今回の電力料金暴騰に伴う巨額利益(約1兆5千億円)を還元するのではなく、逆に100%「新電力」に支払わせるために「分割払い」という「恩恵」措置を与えてやる、というのが経済産業省の「新電力」への経営支援なのだそうだ。呆れかえって開いた口が塞がらない。電力市場を歪め、電力自由化を歪める、経済産業省などという役所はもういらない、一刻も早くスクラップせよ。:田中一郎)

(関連)(別添PDFファイル)電力高騰で大手に余剰金 経産省、制度見直しへ 家庭向けを減額検討(日経 2021.2.16)
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69123690V10C21A2EE8000/

(6)「地域独占の巨大原発電力会社9社」体制を温存したままの電力市場構造こそが諸悪の根源
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このメールの最初でも申し上げたように、①電力卸売市場(JEPX)をはじめ「電力自由化」の制度設計が様々な欠陥を抱えていること、その最大のものは、巨大原発電力会社9社の地域独占が温存され(発電のシェア80%、売電の主エア80%、発電・送配電・売電の3機能が所有分離されずに原発電力会社9社の持ち株会社の下にぶら下がる)、正常な市場競争の確保ができない状態であること、およそ市場の8割を握り、送配電網を支配しているわずか9社の大手電力会社の独壇場となっている卸売市場が正常に機能しないことなどは「常識の中の常識事項」です、③電力自由化の設計・管理監督官庁である経済産業省に加え、電力市場や電力供給の正常で健全な運営を担保するために造られた2つの組織(「電力広域的運営推進機関」「電力ガス取引監視等委員会」)が経済産業省の手下となっていて、御用人間だけで運営されているため、今回の事態に全く対応できなかった(権限もないと思われます)、④電力の安定供給のためと称し、依然として危険極まりない原発が最優先電源として扱われ、主力エネルギーだなどと口先だけで推進される付利をされている再生可能エネルギーが、様々な形で妨害され排除されていること、などが、今回の電力卸売市場(JEPX)における電力価格の無政府的暴騰の原因と思われます。
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ということなので、電力卸売市場(JEPX)を正常に機能させ、電力自由化の本来の目的を実現させるためには、次のことが必要不可欠となる。しかしこれは、ホンモノの政権交代を実現しなければ、まずもって無理というものです。日本のエネルギー政策の混迷や脱原発の停滞など、諸悪の根源はここでも政治であり、霞が関の官僚たち(今回は経済産業省や内閣府・内閣官房)であるということです。

a.送配電会社を「地域独占の巨大原発電力会社9社」から所有分離して公益公営組織とし、東日本50HZ、西日本60HZの各ゾーンで統合一本化する。「地域独占の巨大原発電力会社9社」間の系統配線網が依然として脆弱なため、精力的な建設計画の下、系統間電力融通施設の拡充投資を行う。また、送配電組織の運営は公正なものでなくてはならず、電力利害関係人を排した組織とし、電力業界とは別途、意見や要望や情報を交換する場を設ける。原発優先の送配電接続ルールを撤廃し、再生可能エネルギー接続最優先を徹底する。

(そもそも送配電会社の「所有分離」の排除=子会社化による「法的分離」にとどめる、という電事連をはじめとする電力業界の「画策」は2009年の民主党政権時の水面下で進められた。再生可能エネルギー推進だの、脱原発だの、電力自由化だの、エネルギー政策の転換だなどと、浮かれたことを言っていた民主民進党こそが、大飯原発を再稼働し(野田佳彦政権時)、原子力規制委員会・規制庁にロクでもない人間どもを配置し、電力自由化を歪めてきた張本人であることも忘れてはいけない。現在の野党第1党=立憲民主党がこれをどこまで反省し、再びの政権交代後に覚悟の決まった改革をどれだけ実践するかは未知数で、私たち有権者・国民の厳しい監視と政権選択がモノを言うということになる)

b.電力小売会社と発電会社もまた、「地域独占の巨大原発電力会社9社」の持ち株会社の下にぶら下がる同一グループ内子会社であり、そのシュアは発電も小売もともに80%にもなる。これでは電力市場も電力自由化もまともには機能するわけがない。即時に分割が必要だ。まずは「小売」と「発電」を「所有分離」すること、また、小売と発電の各分野で独禁法を適用し、分割して複数の会社にしてやる必要がある。その場合、原発は全部まとめて使用済み核燃料ともども国が簿価の何割かで買い取り、国の責任で廃炉(スクラップ)や使用済み核燃料の安全対策を実施する(有償脱原発:実際の作業は今まで通り国の委託を受けて各原発電力会社が実施:下記参照)。②小売と発電の各分野での上限シェアは30~40%程度、発電部門は、オンサイト電源・コジェネ(熱電併給)・高エネルギー効率(80%以上)の電源配置を目指していく、などがポイントとなる。

(関連)脱原発のため、電力4社への補償3100億円で合意 ドイツ政府:東京新聞 TOKYO Web
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/89895

c.電力卸売市場(JEPX)や電力自由化の制度設計は、上記で申し上げた「現状のおかしなこと」とは逆方向で「やり直し」をする必要がある。その際、社会的公正を最優先して制度設計をする他、その制度を運営する組織(現在は「電力広域的運営推進機関」と「電力ガス取引監視等委員会」)もちゃんとした人間で構成させ、今回のような典型的な御用組織にならぬようにしなければいけない。また、両組織には、非常時において適切に対応できるよう、必要な権限と責任を付与し、たとえば電力需給ひっ迫時には自らが電力を供給したり、供給を命じたりできる権限と能力が与えられている必要がある(下記)。更に、その外側には「オンブズマン制度」を設け、市民運動・社会運動団体にも協力を受けながら、運営の適正性の監視もしっかりと行うことが重要となる。

d.非常時の電力供給の仕組は、具体的には、①自らが出力コントロールのしやすい予備電源を一定レベルで持つ、②Jパワー(電源開発)を含む大手電力やIPP(独立系発電事業者)、あるいは自家発電会社とあらかじめ電力供給枠設定契約(銀行におけるコミットメント枠=有償与信枠のようなもの)を結び、非常時に発動して相場を冷やす、などの措置を検討する(老朽原発や老朽火力を温存してしまう「容量市場」(下記参照)などではなく)。どこに予備電源設備や権限を持たせるかは要検討である。その場合、それが「地域独占の巨大原発電力会社9社」ではありえないことだけは明白である。

(関連)IPP|用語集|新電力ネット
 https://pps-net.org/glossary/43317

(7)ロクデモナイ3市場
 既に上記で申し上げている通りです=「電力卸売市場(JEPX)での電力価格暴騰と直接は関係ありませんが、下記パンフで説明されている「容量市場」「非化石価値取引市場」「ベースロード(電源)市場」の3つは、いずれも減価償却がほぼ終わった老朽原発や老朽火力を温存し、何もしないでもカネが「地域独占の巨大原発電力会社9社」に流れ込んでくる仕組みになっており、今般の電力価格暴騰と通底している「欠陥政策」と言えます。」

(関連) STOP! 原発・石炭火力を温存する新たな電力市場ーリーフレット公開! │ eシフト
 http://e-shift.org/?p=3827

加えて、自公政権&経済産業省は、少し前に、①福島第一原発事故に伴う被害者への賠償費用の一部を送配電会社の託送料金に上乗せすることで、本来ならば福島原発事故の加害者・東京電力や事故責任者・国が負担すべきものを電力小売会社を通じて電力消費者に転嫁していること、②福島第一原発以外の全国の原発の廃炉費用もまた、送配電会社の託送料金に上乗せして、再生可能エネルギー電力取扱会社も含む全ての電力小売会社に負担させる、③福島第一原発事故の後始末(廃炉、除染、賠償、中間貯蔵施設、その他の追加的負担)にも巨額の公的資金を投入し、現段階でも21.5兆円もの費用の多くを電力料金や税金で賄うことを決めている。

ここには、資本主義経済の原則である企業経営の自己責任原則はどこへやら吹き飛び、まるで典型的な原子力ムラの「親方日の丸」体質が露骨に現れて、電力自由化を大きく歪めている状態にある。他方で、加害当事者の東京電力の株主や大口金融機関など、本来ならば原発事故の責任を背負わねばならない組織や人間たちが、ビタ一文の負担をすることもなく、ゆうゆうとその無責任状態を許されているという事態が、この国のエネルギー政策の決定的な不公正・歪み・犯罪として私たちの前に立ちはだかっている。そして、その東京電力という経営破綻会社=ゾンビ会社が柏崎刈羽原発を再稼働しようとしているのである。まるでこの国は法治国家をやめてしまったかのごとき「原子力専制帝国」状態に陥っている。

(8)天然ガス・LNG調達の国家的戦略
 下記の「脱原発ロードマップ」でも、天然ガスによる発電は、再生可能エネルギー100%社会が実現するまでの数十年の間の「過渡期」における主力エネルギーとして位置付け、その海外調達には「国家戦略」としての重要な位置づけが必要である。ドアホの政治家たちや一部の官僚どもが原発や核燃料サイクルを「国策」だなどと勘違いをし、巨額の財源を原発・原子力に投入するという愚を犯しているが、それは直ちに改められなければならない。

私は天然ガスをめぐる情勢については、ほとんど何も知らない。昨今、いくつかの報道に目を通してみたが、①備蓄が難しい、②長期契約とスポット契約があり、日本は前者が圧倒的に多い、③しかし、日本の長期契約は足元を見られて諸外国の天然ガス調達コストに比べて極めて割高な値段であること、④天然ガスの調達のためには、それを液化してLNGの形で運搬する専用タンカーの確保もKEYとなる、などの情報を得た。

いずれにせよ、原発・核燃への「熱入れ」をやめて、天然ガスの海外からの調達へと、国の注力・努力を切り替えること、天然ガス調達について、国家的な戦略を打ち立てること、が重要かと思われる。(今回の電力価格暴騰の原因に天然ガスの国際市場での需給ひっ迫が挙げられているが、私は当たらないと思っている。契機にはなったかもしれないが、根本的な原因ではない。何故なら、電力は天然ガス火力以外の方法でも調達可能だからだ。

(9)脱原発ロードマップと電力市場自由化
 電力市場自由化の制度設計は、脱原発ロードマップと整合的に策定されなければいけない。この脱原発ロードマップについては、本来ならば、政権交代を目指す立憲民主党を総大将とする「市民と野党の共闘」が、あらゆる選挙の争点として有権者・国民に提示し、選挙でその是非を問うべきである。しかし、そのことがいつまでたっても前に進まず、昨今では枝野幸男立憲民主党代表が、使用済み核燃料の処分問題を口実に「脱原発は実質的にできない」かのごとき暴言を吐き始めている。言い換えれば、だいぶ前に有権者・国民に示していた「原発ゼロ法案」なるものは、まるでかつての「子ども・被災者支援法」のごとく「絵に描いた餅」の「基本法」として(具体化する各法がなければ脱原発など一歩も進まない)、お飾りにされそうな気配が濃厚となってきている。怪しからん話だと私は思っている。

立憲民主党をはじめ、「市民と野党の共闘」をリードしている諸君は、下記の私が策定した「脱原発ロードマップ」を参考に、早く選挙の争点として脱原発の骨太な具体策を打ち出していただきたい。我々脱原発市民は、私の描いた「脱原発ロードマップ」をベンチマークとして、政治家たちが打ち出す「ロードマップ」を比較検証し、評価するモノサシとしたいと思っている。

(関連)(報告)(新ちょぼゼミ 「オルタナティブな日本を目指して」第3回企画)討論集会:脱原発ロードマップと新エネルギー政策 当日録画 & レジメ(2017年9月7日)-いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/201797-9b54.html


 <別添PDFファイル>
(1)「停電危機」でぼろ儲けした輩たち、卸売電力取引所「狂乱相場」の全内膜(『選択 2021.3』)
 https://www.sentaku.co.jp/articles/view/20795
(2)電力市場高騰、再エネ業者に痛手(毎日 2021.2.23)
 https://mainichi.jp/articles/20210223/ddm/013/040/021000c
(3)電力市場における公平な競争とは何か(諸冨徹『科学 2021.2』)
 https://www.iwanami.co.jp/kagaku/
(4)LNG長期契約の油断、寒波到来で不足 スポット価格最高値(日経 2021.1.28)
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68584010X20C21A1EA1000/
(5)新電力資金繰り、経産省が支援策、利用者保護条件に(日経 2021.1.29)
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68630500Y1A120C2EE8000/
(6)電力高騰で大手に余剰金 経産省、制度見直しへ 家庭向けを減額検討(日経 2021.2.16)
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69123690V10C21A2EE8000/
(7)電力逼迫 エネ各社悲鳴、今期 市場調達コスト膨らむ(日経 2021.2.11)
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD095CH0Z00C21A2000000/
(8)(東日本大震災10年)混迷の電力・原発:7 自由化でも大手支配の影、改革半ば(朝日 2021.2.21)
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14807788.html
(9)電力仕入れ価格暴騰の真犯人は、瀕死に追いやられる新電力(『週刊ダイヤモンド 2021.1.30』)
 https://diamond.jp/articles/-/259635
(10)電力逼迫、根底に大手頼み 燃料不足や価格高騰、課題露呈(朝日 2021.3.4)
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14820457.html


 <関連サイト>
(1)【公式】規制改革チャンネル - YouTube(再生可能エネルギー関連など)
 https://www.youtube.com/channel/UC06V_Ro0hwfbhCmTIoWFNLA
(2)Jパワー、石炭火力を重油で緊急再稼働 電力逼迫で- 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ121VV0S1A110C2000000/
(3)経産省が新電力に救済措置、インバランス料金の支払いを分割可能に(スマートジャパン) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/348de2c9a091a7d0735b054cac2360ba7afe835a
(4)経産省が新電力に救済措置、市場価格高騰でインバランス上限を200円-kWhに(スマートジャパン) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/fbb3e4f93e20966fcaa99d7bfc50ccdfb4936886
(5)原発推進の意図が透けて見える経産省の「サボり」と「ウソ」(週プレNEWS)-Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/7ebe27274d096e740e3f338bd3b80773f1e18c50
(6)今冬の電力逼迫で注目「2030年電源構成」めぐる論点 - 経済記者「一線リポート」 - 工藤昭久 - 毎日新聞「経済プレミア」
 https://bit.ly/3coAT5p
(7)事業継続危うし、新電力から「電力市場の正常化」を求める悲痛の声:日経ビジネス電子版
 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00237/011800006/?n_cid=nbpnb_mled_mre
(8)焦点:大寒波で価格高騰、もろさ露呈した日本の電力自由化(ロイター) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/44b412e38a8352193d35d716691a06b3828ab9e6
(9)大寒波とLNG不足が直撃、電力逼迫の「異常事態」 - 資源・エネルギー - 東洋経済オンライン
 https://bit.ly/3qp9FjU
(10)電力の異常高騰、新電力56社が梶山経産相に要望書(オルタナ) - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/articles/4d851e9062c0d2122738903780338d0cc64e813c

*卸電力市場の価格高騰に伴う2月以降の電気料金への影響と対応につきまして(個人・法人低圧契約のお客さま)「顔の見える電力™」のみんな電力
 https://minden.co.jp/personal/news/2021/01/08/3359
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