« (必読文献)ワクチン接種とマイナンバーの連結で国が狙うのは健康情報の一元管理(天笠啓祐『週刊金曜日 2021.2.12』) | トップページ | (メール転送です)40年廃炉訴訟市民の会メールマガジン第24号 2021/2/14 + 若干のいろいろ(立憲民主党代表=枝野幸男氏インタビュー他) »

2021年2月14日 (日)

(他のMLでの議論です)高福祉・高負担を主張して消費税減税・廃止に反対する人たちへ発信したメール:消費税は中小零細や貧者を苦しめる悪税であり、その代替手段を考えることこそが政治改革の基本中の基本(加筆修正)

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)


(最初に若干のことです)
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1.イベント情報(3月)
(1)(3.1)「子ども脱被ばく裁判」 判決公判(福島地裁)
 http://datsuhibaku.blogspot.com/2021/02/28.html

(この裁判の判決報告会を兼ねて、弁護団長の井戸謙一弁護士に5/20(木)にたんぽぽ舎でご講演をしていただきます。演題は「子ども脱被ばく裁判で見えたこと:福島原発事故と放射線被曝」です。井戸謙一弁護士の講演内容は大変充実したものであり、福島原発事故10年目の節目において歴史的な意味を持つものになると思われます。受付はもう少ししたら開始いたします。講演時間を十分にとって開催しますので、みなさま、ふるってご参加ください。:田中一郎)

(2)(3.6)フクシマの終わることのできない物語 ドキュメンタリー映画「サマショール ~遺言 第六章~」公開(3-6~ 東京、大阪)
 http://www.labornetjp.org/EventItem/1608988125638matuzawa

(3)(別添PDFファイル)(チラシ)(3.14)さよなら原発in飛鳥山(東京都北区:JR王子駅すぐそば)
ダウンロード - efbc88efbc93efbc8eefbc91efbc94efbc89e38195e38288e381aae38289e58e9fe799baine9a39be9b3a5e5b1b1efbc88e69db1e4baace983bde58c97e58cbaefbc89.pdf

(4)(別添PDFファイル)(チラシ)(3.21)2021原発のない福島を! 県民大集会
 https://fukushima-kenmin311.jp/


2.ネットジャーナリズム「IWJ」へのご支援のお願い
 https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

 インディペンデント・ウェブ・ジャーナル(略称:IWJ)は、ジャーナリスト岩上安身が2010年12月に設立した、インターネットを活用し市民に根ざした新しいジャーナリズムのありかたを具現化するインターネット報道メディアです。岩上安身の本拠地として、また、岩上安身の提唱する「兼業ジャーナリスト(市民ジャーナリスト)」「中継市民」の活躍の場として、日々、情報を発信しています。

─ 主な活動 ─
インターネット動画ストリーミングによる生中継
キーパーソンへのインタビュー動画の配信
生中継動画/配信動画のアーカイブと記事の提供
兼業ジャーナリスト/中継市民の育成(サポート)
イベントの開催

IWJは、一般市民からのカンパによって支えられてきましたが、こうした活動の安定化を目指し、定額会員制を導入しました。もちろん、公共性のあるコンテンツ(たとえば記者会見やデモなど)の生中継は、無料で広く一般に提供します。


3.内閣「不支持」初の4割超え 2カ月連続で「支持」を上回る|日刊ゲンダイDIGITAL
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/285182

(関連)室井佑月「政権交代を望みます」〈週刊朝日〉AERA dot.
 https://dot.asahi.com/wa/2021021000010.html?page=1

(菅義偉スカ政権が早くも末期症状の様相を呈してきました。自民党内部からも水面下で「菅おろし」の動きがあるようです。「市民と野党の共闘」がどこまでがんばって、菅義偉スカ政権のみならず自公政治に対して、どれだけ厳しい「王手」をかけられるかが焦点です。:田中一郎)


4.(メール転送です)街頭行動用スピーカーを改善しよう:太田光征

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◆トラメガ・音楽鑑賞用スピーカー・地声の比較 - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=QafJuTeM0DU&feature=youtu.be

※街頭行動用スピーカーを改善する取り組みの一環としてのテストです。ふだん使っているトラメガ(拡声器)の音質を確認する必要があります。「ぞんざいな音質はぞんざいな訴え」という印象を聞く人に与えるのではないでしょうか。Tronsmart Element Forceは音源近くであればTOA製800 WIRELESSモデルER-81Wのマイクボリュームツマミ4.5の場合とほぼ同じ音量を出せますが、後者の方が圧倒的に遠達性があります。前者は広範囲をカバーするPA用スピーカーとして推奨するものではありません(この用途では使えません)。

撮影日時:2021年2月7日(場所:松戸駅西口)
使用機材:
トラメガ:TOA製800 WIRELESSモデルER-81W(定格30W)
音楽鑑賞用スピーカー:Tronsmart Element Force(定格40W)
ミキサー:BEHRINGER XENYX 302USB アナログミキサー
マイク:FIFINE K8 ダイナミックマイク
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(太田さんのおっしゃる通りです。私の経験で申し上げても、市民運動・社会運動の街宣活動での「トラメガ(拡声器)の音質」に対する配慮の乏しさは痛感します。カネがないから少々オンボロでもしょうがない、という姿勢が目立ちすぎます。音質が悪ければ、いくらいいことをスピーチしていても、聞かされる一般市民・通行人にとっては「不快な雑音」以外の何物でもなく、街宣はかえって逆効果となります。この辺のところがバッチリと配慮されて実践されているのが山本太郎「れいわ新選組」の街宣スピーチです。一般の市民運動・社会運動も彼らを見習うべきでしょう。:田中一郎)


5.(新刊書)関西電力原発マネースキャンダル 利権構造が生み出した闇の真相とは-末田一秀著(南方ブックレット)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000034128709&Action_id=121&Sza_id=GG


6.これで何度目の騒動だ!:東京五輪は「五輪中」(ご臨終)
 開催する資格もなければ、主催する能力もなく、公開の場で公正に物事を決めることもできない人間たちが、マヌケのボランチアたちをこき使い、利権まみれの構造の中で巨額の税金を吸い取る「ドーピング・バカ騒ぎ」=それがオリンピック(スポーツ興行)である(いろいろな意味で「ドーピング」漬け)。オリンピック憲章に謳われる「スポーツ精神」なるものは、今や「ブラックユーモア」に変質している。やめちまえ! 東京五輪、引っ込め大日本帝国人種どもよ!

(1)【森喜朗】火に油を注いだ森会長には五輪中止まで暴走してほしかった|日刊ゲンダイDIGITAL
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/285137
(2)<もともと開催する資格などないのだ>欺瞞の五輪にふさわしい幕切れ(日刊ゲンダイ)赤かぶ
 http://www.asyura2.com/21/senkyo279/msg/142.html
(3)森会長後任「何ら決まってない」「正式な手続きを」五輪相がクギ - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20210212/k00/00m/050/039000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20210212
(4)森喜朗会長が辞任表明 川淵氏、後任拒否で組織委混乱は必至 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20210212/k00/00m/050/101000c?cx_fm=mailyu&cx_ml=article&cx_mdate=20210212
(5)川淵氏、会長職を一転受諾せず 五輪・パラ組織委- 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG123XY0S1A210C2000000/?n_cid=NMAIL007_20210212_Y
(6)自民党重鎮たちの失言を振り返ればわかる、これは「党の体質」だ - 古谷経衡 - コラム - ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
 https://www.newsweekjapan.jp/furuya/2021/02/post-6.php

*体罰擁護に対韓右派歴史認識! 差別発言で辞任意向速報が流れる東京五輪・パラ組織委森喜朗会長の後任に名前があがったのは、「月刊Hanadaの愛読者」で「櫻井よしこさんはまさに国士」と絶賛する川淵三郎氏! - IWJ Independent Web Jo
 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/488679

(コイツが森喜朗元総理の推薦した「後任」組織委員会委員長だそうだ。今の日本のスポーツ界は、こんなのばっかしなのか? 世界へ向けて恥さらしではないか? そもそも何で女性蔑視発言で辞任に追い込まれた森喜朗元総理が「後任」を決めとるのか? 推薦する方も、される方も、頭の中がどこかイカれているのでしょうね。まさに大日本帝国意識構造です。:田中一郎)


6.(メール転送です)ゲロゲロゲノム編集食品について

━ No.1105 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 有機農業ニュースクリップ 2021.02.10                

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≪ 今日の目次

■ゲノム編集トマトの受理撤回を求める意見書を提出 日本有機農業研究会など
■厚労省調査会 ゲノム編集魚類の議論を始める

≪ ゲノム編集
■ゲノム編集トマトの受理撤回を求める意見書を提出 日本有機農業研究会など

日本有機農業研究会など3団体は9日、12月に届出が受理されたゲノム編集トマトの受理撤回と種苗の無償配布を取りやめさせる措置など求める意見書を厚労省や農水省の提出した。意見書は、「ゲノム編集技術は未完成の技術であり、安全性審査も抗生物質耐性遺伝子の除去の明確な確認もないままの、こうした無責任な“人体実験”は直ちにやめさせるべきである」と指摘している。その上で、サナテックシードのゲノム編集トマトの「受理」を撤回するように求めている。また、後代品種についても安全審査や環境影響評価、表示の義務付けとともに、ゲノム編集技術応用品種の種苗に「ゲノム編集技術応用」という旨の表示義務付けやゲノム編集食品へ表示義務付けを求めている。

ゲノム編集トマトについて、サナテックシードが計画している種苗の無償配布は、「苗が配布されれば、ゲノム編集作物・食品が文字通り「野放し」状態になり、取り返しのつかない遺伝子汚染の恐れがある」として、早急に種苗配布の取りやめが必要だとしている。

・日本有機農業研究会, 2021-2-9
有機農業3団体 ゲノム編集作物「高GABAトマト」の届け出受理に反対する意見書を政府(厚生労働大臣、農林水産大臣、消費者庁担当大臣)に提出
https://www.1971joaa.org/app/download/8057547754/%E2%97%8F%E6%B0%91%E9%96%93%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E2%97%8F%E3%82%B2%E3%83%8E%E3%83%A0%E7%B7%A8%E9%9B%86%E9%AB%98GABA%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%88%E3%81%AB%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%A6%8B%E6%9B%B8.pdf

日本の有機基準(有機JAS)では、「組換えDNA技術」を使わないよう規制している。遺伝子組み換えで組み換え遺伝子を植物の細胞に挿入するには、一般的に土壌細菌のアグロバクテリウムが使われているが、サナテックシードのゲノム編集トマトも同様の技術を用いて、ゲノム編集のためのDNAをトマトの細胞に挿入している。この点では、このゲノム編集トマトは、現行の有機JASでは、対象外の作物であることははっきりしている。また、農水省は2019年12月、有機JASでゲノム編集技術を原材料等に使用できないよう規定を明確にする方針を決定している。そのような中で、ゲノム編集トマトの種苗を配布し栽培させることは、意見書が指摘するように遺伝子汚染を引き起こす恐れがある。種苗配布を早急にストップさせることが必要だ。

■厚労省調査会 ゲノム編集魚類の議論を始める
 厚労省の遺伝子組換え食品等調査会は2月10日、ゲノム編集魚類の議論を始めた。10日の調査会は「個別案件ではなく、一般的な議論」としている。公開された資料では、岡本裕之氏(水産技術研究所育種部育種基盤グループ長)による、魚におけるゲノム編集の事例として、ブルーギルやブリ、フグなどが挙げられている。

・遺伝子組換え食品等調査会, 2021-2-9 資料
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16613.html

ゲノム編集のフグは、2016年に水産研究所が京都大学や近畿大学などとの共同研究が「マッチョなトラフグ」として報じられている。また、京都大学でもゲノム編集のマダイの研究が進んでいるという。昨年12月、ゲノム編集トマトの「届出」が「受理」されたばかりだが、近く、こうしたゲノム編集魚の「届出」がなされるのではないか。

・朝日, 2016-10-7 ゲノム編集でマッチョなトラフグ 餌モリモリ、成長早く
 https://www.asahi.com/articles/ASJB56TGLJB5PTIL02Z.html

・京都大学, 2018-6-26 京大発、「肉厚マダイ」参上
 https://www.kyoto-u.ac.jp/kurenai/201809/taidan/
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下記は、昨今、他のMLでの消費税をめぐる議論で私が発信したものです。大幅に加筆修正しています。ご参考までにお送り申し上げます。結論めいたことを最初に書きますと、消費税は中小零細事業者や貧者を苦しめる悪税であり、その代替手段を考えることこそが政治改革の基本中の基本だ、ということです。

また、メールの最後には、現状の「生活保護制度」への異議申し立ての声が高まってきており、その一部をご紹介しておきます。社会保障・福祉の充実を言う人たちが、最後のセイフティネットである「生活保護」制度の機能不全(人為的機能不全=ためにする受給妨害行政)について、まだまだ関心が低いのはどうしたことかと思っています。1人1人にはわずかばかりの現金を、しかし総額では巨額になる現金を、全国民に対して一律にバラマクような「一過性」の政策を推奨してやまない人たちほど、この「生活保護」への関心は低いようです。そして私が信じがたいのは、「反貧困」に取り組む人たちの中に、この生活保護制度を否定的に見ている人たちがいて、その人たちが「現金の一律支給」を訴えているという現状があります。アベコベです。頭から冷水でもあびて、その市場原理主義的な考え方を一刻も早く転換していただかないと困ります。だって、あの竹中平蔵こそが「一律の現金給付」=「ベーシックインカム」をこよなく愛しているのですから。そしてまた、社会保障給付をする場合には、国民全員に一律に給付しなければならない、などということになったら、それこそ社会保障は実践できない「絵に描いた餅」になりかねませんから。

(関連)菅政権がベーシックインカム検討? 竹中平蔵氏の狙いは:朝日新聞デジタル
 https://www.asahi.com/articles/ASNCS4H7HNCNULZU00Y.html


 <別添PDFファイル・関連サイト>
(1)米、国際課税協議に復帰へ,、イエレン氏が欧州各国に伝達、法人税率上げの布石に(日経 2021.2.11)
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09EBX0Z00C21A2000000/
(2)退職金の税優遇、なぜ見直しか 終身雇用前提 転職者に不利(毎日 2021.2.8)
 https://mainichi.jp/articles/20210208/ddm/013/040/023000c
(3)富裕層の節税に包囲網 非課税贈与、条件厳しく- 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMH121GJ0S0A211C2000000
(4)【改訂版:日本の税収推移(1987~2020)、消費税の税収パワーがわかる件】 - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=RP4J-6waXuI&feature=youtu.be

(田中一郎コメント)
 上記(1)は、アメリカが「グローバル・タックス」の協議に復帰するという報道です。トランプ政権の時は「アメリカファースト」で勝手なことばかり言っていて進展が足踏み状態になっていましたが、バイデン政権になって少し風向きが変わってきたということでしょうか。なお「グローバル・タックス」については下記の新書が発売されています。なかなかの良書ですので、みなままにはご一読をお勧めします。追って、私から解説&コメントメールをお送りする予定です。

(関連)グローバル・タックス 国境を超える課税権力-諸富徹/著(岩波新書)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000034129637&Action_id=121&Sza_id=B0

また、上記(2)は、税制に関係するということで拾った記事です。大金持ちの金融資産優遇課税制度(分離課税)を改めもせず、また、大企業群にたくさんの税金優遇措置を残したまま、またぞろ働く者たちの老後生活の蓄えに対して増税をしろと言わんばかりの「毎日忖度腰抜新聞」記事です。いい加減にしろ、このドアホ、ですね。「生活保護」家庭よりももっと低収入で「生活保護」を受けずに暮らしている人々がいらっしゃるのだから「生活保護」をもっと削減しろ、と同じような理屈のようです。

 <故志賀櫻さんの著書です>
(1)タックス・ヘイブン 逃げていく税金-志賀櫻/著(岩波新書)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032894652&Action_id=121&Sza_id=C0
(2)タックス・イーター 消えていく税金-志賀櫻/著(岩波新書)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033190084&Action_id=121&Sza_id=E1
(3)タックス・オブザーバー 当局は税法を理解しているのか-志賀櫻/著(エヌピー新書)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033328209&Action_id=121&Sza_id=GG


(以下、他のMLでの議論に大幅に加筆修正したものです)
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「消費税廃止」論に対する意見

ご意見を拝見しました。内容は十分に理解できますが、残念ながら結論には賛同できません。随所に認識の甘さが見られますし、また、そもそもこの議論は「市民と野党の共闘」の分裂をもたらします。以下、ポイントを略記しておきます。

(1)「税と社会保障の一体改革」という政策があるように、社会保障は税制改悪の口実にすぎません。その税制改悪とは、税制の市場原理主義的再編=法人税はゼロ(法人擬制説)、所得税はフラット化の低税率、税収の主柱は消費税で、政府は極端に小さな政府、社会保障は「ベーシックインカム」で代用、ということです。消費税廃止論とは、この流れ、この権力の暴力に対する「NO!」の意思表示です。

(関連)税金を払わない巨大企業-富岡幸雄/著(文春新書)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033150910&Action_id=121&Sza_id=C0

(2)消費税の実質負担者は、アバウトで言って、半分が中小零細企業であり、あと半分が貧しき消費者です。かような税金は、いかなる口実があろうとも基本的に許されません。消費税は「奢侈品物品税」(付加価値税ではない)に切り替えていくべきです。また、消費税廃止への道のりも時間がかかるでしょう。まずは5%への減税で「元に戻す」ことが大事で、それと同時に、税金を払わない大企業や富裕層への課税強化をしなければいけません。タックスヘイブン退治はどうなっているのでしょうか。想像を絶するような金額のカネが隠されています。法人税法、所得税法(まっ先に金融資産課税の総合課税化と累進強化です)の改正に加えて、相続税・贈与税を忘れてはなりません。毎年、巨額の金額の資産が相続されており、子どもや孫たちの世代の人生における機会均等の確保のためにも、この2税の抜本改正は必要不可欠です。毎年、数兆円~数十兆円の税収増が見込めるでしょう(きちんとやれば)。

(関連)相続税の改正に関する資料 - 財務省
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/e02.htm

(関連)日本の金融資産(日本銀行)
 https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf

(田中一郎コメント)
 日本の個人資産は金融資産だけでも2千兆円あります。これに土地建物その他の実物資産を加えると、個人所有の総資産は3千兆円くらいになるのではないかと推察します(タックスヘイブンなどに隠されているものも含めて)。親から子への相続が30年に一度行われると仮定すれば、毎年平均で100兆円ばかりの金額の相続が行われていることになり、これに累進税率を利かせた相続税をかけ、その平均税率を仮に30%としても、毎年30兆円の税収が見込めます。

しかし、実際の相続税の税収は、相続税の補完税制である贈与税税収を入れても、だいたい2兆円前後のところで数十年間も変わらずに、ずっと推移してきています。この間、経済成長もあり、個人の資産も相当程度増えているでしょうに、おかしな話です。私はこれは、まずは富裕層が資産を海外に隠し持つことでかなりの規模で相続・贈与税を脱税・納税回避していること、更には、それが分かっているにもかかわらず、税務当局は何もしないばかりか、相続・贈与税に納税金額を減らすための様々な特例・特典を与えて税負担を大きく軽減しているのが原因ではないか、とにらんでいます。

こうした不公正な相続・贈与税制を改めれば、相当に大きな金額の税収が見込めます。しかも所得税や法人税のようなマイナス面もほとんどありません。むしろ、ため込んでいる貯金を消費や投資として支出させるような経済的刺激にもなるので、景気にはプラスに働くでしょう。何故なら、相続・贈与税は法人税や所得税のような所得(フロー)課税ではなく資産(ストック)課税だからです。

(関連)相続税、海外資産絡む申告漏れ 指摘件数149件で最多- 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG116P20R11C20A2000000/

(関連)相続と贈与の税一体化へ「富裕層の節税封じ」の意味 - 人生100年時代のライフ&マネー - 渡辺精一 - 毎日新聞「経済プレミア」
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210202/biz/00m/020/003000c?cx_fm=mailbiz&cx_ml=article&cx_mdate=20210209

(3)税の仕組みは、取り方の違い、であって、誰が負担するのかと大きく関連します。法人税にしろ、所得税にしろ、消費税にしろ、最終的には、その年の国民所得から納税されるのであり、出どころは究極的には同じです。景気への影響は少し違ってきますが(法人税や所得税は同額で政府支出につながる限りは景気にプラスですが、消費税はそうではありません。日本の産業界の大半を占める中小零細企業が疲弊するため、マイナス要素の方が大きい)、そんなことよりも、誰が負担するのか=納税の応能原則をきちんと確保することの方がはるかに重要です。生活する一般市民を優先し、大事にする税制をもとめなければいけません。

(4)こんなことはできません。
「輸出品については、医療機関と同じく非課税とし、還付金をなくせばよいでしょう。仕入れ額に含まれる消費税分だけコストがかかることになりますが、輸出企業の利益の中から負担させます。」⇒ 非課税にはできますが、巨大企業は仕入業者を叩いて値下げさせることになります。そのプロセスは外からは見えません。巨大企業の仕入れ契約1つ1つに政府が介入することは不可能です。資本主義経済は「経済力」が決定的にものをいうのです。

「大企業による下請け企業への不当な価格支配を厳しく監視してやめさせる、また地元の小さな商店を大事にするように安売り競争を規制することが必要です。」⇒ 同上です。「大企業による下請け企業への不当な価格支配を厳しく監視」することは必要ですが、それによって大企業による中小零細への不当な支配を完全に取り除くことはできません。また、安売り競争防止も、極端なものはともかく、一般的な価格競争に政府が介入することは、政治的に非常に困難です。だからこそ、価格を政策決定できる公共サービスは重要なのです(例:公共住宅)。

むしろ、中小零細企業は、大企業から独立をして、大企業を顧客の1つくらいの存在にしていかなければいけません。政策はそのためにあらねばならず、それには中小零細の経営を痛めつける消費税は逆効果となります。日本の経営体は、自営業者まで含めると、その大半が中小零細であり、そこにはたくさんの人々が働いています。中小零細を痛めつけるということは、そのままそこで働く人たちを痛めつけることを意味します。

(5)海外諸国(特にヨーロッパ)の消費税制の表面だけを取ってきて日本と比較するのはまずいです。さまざまな特例があったり仕組みがあったり事情があったりしますから、それらを詳細に評価しないと何とも言えません。更に、日本のような大企業による中小零細企業への支配が海外諸国ではどういう形でなされているのか、それに対して政府や自治体はどうしているかなど、総合的に見ないと何とも言えないのです。現実の経済政策を検討する時に、表面だけ見て議論するのは「机上の空論」になります。また、遠い将来、日本社会のあり様が大きく転換した場合に、所得分配の完全公平・公正を前提に、海外諸国との比較で消費税活用の議論ができるかもしれませんが、当面は、それどころではないでしょう。何故なら、日本の企業社会・産業社会は、前近代的・半封建的で遅れたビジネス文化を未だに引きずっているからです。

(6)「市民と野党の共闘」は、消費税の5%への減税、で足並みをそろえなければいけません。これに反対をしている現在の野党政治勢力は、事実上、自公政権の補完勢力ばかりです。消費税減税・廃止反対などと主張することは、この日本の政治改革の勢力である「市民と野党の共闘」を分裂させ、混乱させる効果しかありません。現状では、良識と良心を兼ね備えた賢明な有権者・国民が圧倒的多数で広範に存在している上での「消費税論争」ではありません。問われているのは、上記で申し上げたように、市場原理主義政策としての消費税をこのまま続けていくのかどうか(ストップをかけなければ、消費税はおそらく20%へ向けて今後も税率引き上げがなされていくでしょう)です。

当面は消費税は5%へ減税、並行して、税制の抜本的改革に着手し、徹底した公正な税制を実現する、まずはこれに全力を集中することです。消費税は奢侈品物品税への移行とセットで廃止をその先に見据えておけばいいでしょう。いきなりの「消費税ゼロ」は私は乱暴だと思います。そして一刻も早く、ホンモノの政権交代を実現し、まずは上記で申し上げた税制の抜本的改革の成果を見定めていく必要があります。このことは、消費税減税・廃止論者が社会保障・福祉などの財源のことをちゃんと考えていないという批判に応えることにもなるでしょうし、また、大企業優遇・大金持ち優遇の税制を改正して公正なかたちで税収増を実現させることは、中小零細事業者や庶民いじめの消費税減税や廃止とあいまって、日本社会に大きな政治的インパクトを持つことになるでしょう。

ついでに申し上げておけば、MMTは、「ベーシックインカム」や「ヘリコプターマネー」と同様に、まやかしの世間知らずの謬論です。放漫財政を誘発し、やがて財政破綻(際限のない円安と突然のインフレーションを併発)をもたらすことになります。当面、国債の発行の余地はまだありますから、緊縮政策に走ることなどはせずに、国債を日本経済再生のために使うのはいいですが、その財源は大切に、しっかりと「必要な人に必要なだけの支援」を実現するように使わなければいけません。様々な法制化を伴いつつ、不可逆的な経済体制づくりとセットです。

詳しくは、下記サイトの下の方の「新ちょぼゼミ」経済政策論報告をご覧ください。税制についても複数回、コメントしています。

*オルタナティブな日本を目指して(新ちょぼゼミ バックナンバー)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-cddae1.html

(報告)(7.29)新ちょぼゼミ:税制改革が目指すべき方向:不公正・不公平な税制のゆがみを正せ(その1)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-37883f.html

(報告)(8.21)反緊縮経済政策Q&A:「市民と野党の共闘」が掲げる経済政策をめぐって(ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/08/post-2ecda0.html

(報告)(8.28)新ちょぼゼミ:税制改革が目指すべき方向:不公正・不公平な税制のゆがみを正せ(その2)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/08/post-a8a688.html

(参考)(傑作マンガ動画)私立Z学園の憂鬱-消費増税を凍結せよ-(1)~(8)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/08/post-d85291.html

(報告)(9.10)新ちょぼゼミ:税制改革が目指すべき方向:不公正・不公平な税制のゆがみを正せ(その3)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-83dd8f.html

(報告)(10.21)新ちょぼゼミ:「2019年度税制改正要望重点項目」(立憲民主党 税制調査会とりまとめ )について- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-61783c.html


 <参考:MMTの欠陥>
(1)インフレについての認識が甘い(空想的インフレ認識主義)
 MMTを支持する論者たちは、どうも現在のデフレ経済の延長上にインフレがやってくるようなイメージをしている様子があり、しかも、インフレが現れても強力な金融政策や税財政政策を使えば容易に抑え込めると思い込んでいるフシもあります。しかし、戦争時や途上国に時折見られるようなハイパーインフレ以外は、みな、いわゆる「クリーピングインフレ」(少しずつ物価上昇率が上がっていき2%に達するという認識)になるとは限りません。むしろ、じわじわと経済危機が深まっていき、ある日突然、何らかのことを契機にして物価が高騰し、しかもそれが止まらない、しかも止まらないどころか、際限のない円安を伴うため輸入物価も高騰し、日々の生活が大変なことになる、という想像力を持っておいた方がいいでしょう。日本の食料自給率はわずか37%、飼料自給率は10%を切っています。まずは「食いモノ」の争奪戦が予想されます。日用品も今回のマスク騒動の例があったように、ほとんどが海外製品と見た方が無難です。いつまでも、あると思うな、親と円高、です。

それから、インフレ対策は政治的な要因があるため、金融政策や税財政政策をそう思うようには使えません。インフレが起きると有権者・国民の生活は一気に苦しくなりますが、そんな時に、金利を急激に引き上げることには厳しい批判が出ます(=景気がガクッと落ちます=解雇や休業が出ます)し、税制の課税強化の方向での見直しは大反発を食らうでしょうし、財政支出カットも同様です=切るに切れません、そして実は、こんなことは1970年代の日本経済を襲ったインフレで既に経験済みなのです。当時の教訓から言えば、スタグフレーション(不況下のインフレ)もあり得ます。あまり物事を(世間知らずで実体経済知らずの)「経済プラモデル」的発想で考えない方がいいでしょう。

(2)放漫財政への転落リスク
 経済政策と言えども、ともすればポピュリズムに陥りがちな政治家たちが担うわけですから、ケインズ経済学の弱点である「ハーヴェイロードの仮説」に依拠するのはやめておいた方がいいです。財政にはインフレ以外に制約はなく、国債を発行してどんどん使えばいい、などということが今日の自民党の連中の「カモンセンス」にでもなれば、厄介なことになりかねません。グロテスクな利権集団が巨額の財政資金を動かして日本をボロボロにしながら、取り返しのつかない財政破綻へと導いてしまいかねないのです。中央銀行制度を廃止して政府自らが通貨を発行すればいい、などというMMT論者達の議論も、この点が理解されていないと言えます。何のために日銀=中央銀行に「通貨の番人」をさせているか、よく考える必要があるでしょう。

(3)税制は財源調達のためにあるのではないという極論
 MMTにおいては、税制は、経済調整=景気の安定化のための手段であって、財源確保のためにあるのではない。財源は、国債を発行すればいくらでも調達ができ、その国債の発行限度は、インフレになるかならないか、という点にある。インフレにならないのであれば、特に今のようなデフレ経済下においては、どんどん国債を発行して、どんどん使えばいい。税制はそのインフレ率調整のために使うものだ、という考え方をしている。

しかし、これは極論であって、実際には税制は財源調達の手段に現になっているだけでなく、本来的な主たる財源調達の手段なのであって、それを経済調整の手段に過ぎないなどと極論するのはいただけない。もちろん、税制は経済調整のための政策手段でもあるが、他方で「租税民主主義」という言葉もあるように、税制は同時に財政政策の財源確保のための手段でもあるのだ。また、インフレを税制調整で退治できると考えている甘さは上記で申し上げた通りである。

ただ、今日の主流派経済学・財政論、あるいは大蔵・罪務省の言うように、国債は将来に返済すべき借金であり少なければ少ない方がいいとか、税金で財源が調達できないなら社会保障などの財政支出もやめざるを得ないとか、深刻な長期デフレ経済=ゼロ成長=労働賃金長期低迷の今日の日本のような状況下においても「緊縮」政策を掲げて財政再建こそがまずもって最重要とか、財政政策には依存できず、かつその効果も疑問だから、金融政策一本やりで徹底したバズーガ緩和・インフレターゲットこそが唯一の解決策、などとする議論もバカげている。徴税権や通貨発行権などを持つ中央政府の財政と、そうしたものがない一般家計や企業、あるいは財政健全化規制法制下にある地方自治体の財政とを混同してはいけない。

(4)財政支出の内容を問わない旧態依然の経済論
 日本経済が低迷し、財政政策や経済政策が有効に機能しないまま、世界の先進国で唯一、日本だけがゼロ成長を30年近くも続け、有権者・国民の生活水準は全くよくならないどころか、貧富の格差が拡大して、私たち一般市民はますます日々の生活に追いかけ回されるようになっている。東日本大震災復旧・復興のための財政支出や新型コロナ経済対策などがその典型だが、数十兆円規模の巨額の財政資金が投じられているにもかかわらず、政策目標が達成できないばかりか、事態の改善にもいたらずに、多くの悲劇を日々生み出しては同じような愚策をくり返しているのが現状である。これからの財政政策は、その財政支出の内容もまた、厳しく問われなければいけない。

しかしMMTは、ケインズ経済学の「端くれ」でもあるためか、この財政支出の内容を問い詰める態度に乏しい(唯一、不況時の公的機関による雇用増政策を提唱している程度)。この点では主流派経済学と同じである。経済の量だけを議論し、質を無視・軽視する「経済学」は今や出来損ないの似非理論であることを強調しておきたい。(財政支出をどのように支出していくか、言い換えれば、財政支出における「公正」性についても関心が薄い。それは当然のことで言わずもがな、ということなのだろうが、現実はそう甘くはなく、この「公正」を担保する財政政策の在り方議論の欠如もまた、MMTの弱点でもある。(例:新型コロナ経済対策の「持続化給付金」や「家賃給付金」と電通他の特権的受注企業の振る舞いを思い出していただきたい)

(以上、4つばかり挙げておきましたが、それ以外にもまだいくつかMMTの欠点があります。MMTについては、上記の「新ちょぼゼミ」でも再三にわたり言及しており、たとえば経済評論家の中野剛志氏の2冊の著書を詳しくコメントした時の録画や資料なども上記ブログにアップしていますのでご参照いただければと思います。MMTは中野剛志氏の議論とほぼ同じです。:田中一郎)


(追)(メール転送です)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本会議で「経済が回復するまで、消費税を廃止するつもりはないか」と立憲民主党議員が、総理に質問(つなぐ・つながる通信2021/2/11(転送歓迎、重複ご容赦))

■下記は、立憲民主党会派を代表しての本会議での発言ですので、幹部もチェックした上での公式見解で、一歩踏み込んだ発言です。山は少しずつ動く。さらなる世論作りを。

「生活に困窮する方を支援し、消費の促進を通して事業者を支えるために、経済が回復するまでの当面の間、消費税を廃止するつもりはないか」

衆議院ビデオライブラリ:2021年2月9日 (火)
会議名:本会議  所得税法等の一部を改正する法律案
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=51394&media_type=

日吉雄太議員のところをクリックすると動画が見られます。
経過時間 0:40:30 の部分

なお、1:17:20のところでは、日本共産党の清水保史議員が、460兆円もの内部留保をためこむ大企業への減税ではなく、税制は応能負担であるべしと主張しています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(田中一郎コメント)
 かつて自公と合意した「税と社会保障の一体改革」に拘泥して、いつまでもグズグズと覚悟の決まらない「市民と野党の共闘」の総大将=立憲民主党に、ようやく消費税廃止への動きが出てきたかのように見えます。しかし、これもまた、リップサービス=アリバイ行為=口先だけ・質問するだけ、の可能性もあります。立憲民主党の現執行部に対しては、厳しい態度で「市民と野党の共闘」によるホンモノの政権交代を迫っていかなければいけません。そのポイントの1つが税制の抜本改革を含む経済政策の中身です。次の政権交代は、2009年の時のようなニセモノでは許されないのです。


=========
(追)現代日本の最後のセイフティネット「生活保護」制度に異議あり=新型コロナ困窮を契機に抜本改革せよ!

昨今、「生活保護」制度への異議申し立てが活発化してきました。その理由は明白で、新型コロナによる経済困窮が多くの人々を襲い始めているからです。新型コロナ騒動は、日本経済の脆弱性や矛盾を様々な面で露呈させましたが、とりわけ貧困の問題が多くの人々を窮地に追い込んで自殺者を増やし、あろうことかそれに対する政治や行政の取組が決定的に不足・不十分なのです。しかも、その処方箋を政府に迫るべき野党各党や市民運動・社会運動が、まるで一過性で場当たり的な一律現金給付などをバラバラに主張して議論を混乱させ、それをアベスカ政権や自公政治がずる賢く取り込んで自分たちの利権構造の肥やしにするなど、看過しがたい惨状が今日の日本で展開されています。

この現状を見定め、ホンモノの政権交代によるホンモノの政治こそが、こうした惨憺たる状況を大きく転換するものです。そのために、来たる衆議院選挙でどういう経済政策を掲げて闘えばいいのかを、3/24の「新ちょぼゼミ」でお話したいと思っています。下記に、その中でも大黒柱の一つである「生活保護」制度への異議申し立ての状況を、若干の報道記事からご紹介しておきます。ご参考にしていただければ幸いです。

「生活保護」は「有権者・国民の権利=生存権(日本国憲法第25条)という基本的人権」であること、そして、その権利性を明確にさせ、かつ充実した内容の「生活保護」という行政サービスが提供されるよう、生活保護関連行政の現在の組織や運営のあり方を抜本的に転換した「生活保障制度」を新たに発足させ、最後のセイフティネットの抜本改革が必要であること、などがポイントです。

*キャンペーン · 困窮者を生活保護制度から遠ざける不要で有害な扶養照会をやめてください! · Change.org
 https://bit.ly/2ZcIEFh

(関連)キャンペーンについてのお知らせ · 厚労省に第一次提出!菅総理の言う「弾力運用」では不充分。扶養照会の抜本的見直しを! · Change.org
 https://bit.ly/3jLtRdY

 <別添PDFファイル>
(1)「生活保護を親族に知られたくない」…申請時の扶養照会見直し求め支援団体が厚労省に署名提出(東京 2021.2.9)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/84747
(2)最後のセーフティーネット、生活保護 受給阻む「扶養照会」「抵抗感」5割超 支援団体調査/東京(毎日 2021.2.8)
 https://mainichi.jp/articles/20210208/ddl/k13/040/132000c
(3)首相答弁、炎上に見る 生活保護利用、「壁」の解消を(朝日 2021.2.8)
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14792241.html
(4)生活保護 親族照会緩和、厚労省方針 心理的ハードル配慮(東京 2021.2.5)
 https://news.yahoo.co.jp/articles/3d080c9bdd5b611d4dc30c9d72abfc0b53c0d185
(5)万全ではない「生活保護」(雨宮処凛『週刊金曜日 2021.2.12)』)
ダウンロード - e4b887e585a8e381a7e381afe381aae38184e3808ce7949fe6b4bbe4bf9de8adb7e3808defbc88e99ba8e5aeaee587a6e5879be3808ee980b1e5888ae98791e69b9ce697a5202021.2.12efbc89e3808fefbc89.pdf
(6)生活保護制度における扶養紹介は廃止を(宇都宮健児『週刊金曜日 2021.2.12』)
 http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/003183.php

 <関連サイト>
(1)生活保護は権利 利用妨げる壁取り除け:東京新聞 TOKYO Web
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/84665
(2)生活保護利用せず34% 理由は…家族に知られたくない 支援団体「自治体の扶養照会 有害無益」:東京新聞 TOKYO Web
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/81323
(3)最後のセーフティーネット、生活保護 受給阻む「扶養照会」 「抵抗感」5割超 支援団体調査 /東京 - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/articles/20210208/ddl/k13/040/132000c
(4)「生活保護を親族に知られたくない」…申請時の扶養照会見直し求め支援団体が厚労省に署名提出:東京新聞 TOKYO Web
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/84747/
(5)(記者解説)首相答弁、炎上に見る 生活保護利用、「壁」の解消を 編集委員・清川卓史:朝日新聞デジタル
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14792241.html

(議論は多く出ていますが、その中には「生活保護」行政を直接つかさどる自治体の「生活保護」にかかる財政負担を軽減せよという主張が見当たりません。「生活保護」行政にかかる各自治体の負担とは、給付金額の1/4に加えて、担当するケースワーカーをはじめとした公務員の人件費や、行政を実施するための事務経費などがあります。こうしたものが、「生活保護」給付を自治体に抑制させる目的で自治体に無理やり押付けられているのですから、この自治体の財政負担を大幅に軽減しない限り、「生活保護」窓口での「追い払い政策」や、受給期間中の行政側からの嫌がらせなどの「受給辞退促進政策」はなくならないでしょう。自治体行政の担い手もまた人間であり、その人間はみなチョボチョボですから、いくら倫理や使命を強調しても事態は改善しないでしょう。特に「反貧困」に取り組んでいる方々には、自治体負担軽減の声を大きくしていただければと思います。:田中一郎)


 <「いちろうちゃんのブログ」より>
(1)(報告)(4.27)新型コロナに対する緊急経済対策について(1):個人の生活補償(「新ちょぼゼミ」)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-b3c498.html

(2)生活苦の個人(自然人)に対しては貸出、経営難の法人に対しては現金給付という「サカサマ」はいけない:生活困窮者支援の現場で何が起きているのか 年末年始を迎えて(大西連)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/12/post-4d6bd8.html

(3)(報告)(8.19)新型コロナ緊急アクション第二回報告会&緊急政府交渉:最後のセイフティネット「生活保護」行政がメチャクチャだ(人権侵害のデパート)+踏みつぶされる在日外国人+ホームレスに届かない10万円給付金- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-61d980.html

(4)今ごろベーシックインカム(BI)の特集を組む岩波月刊誌『世界』編集部の知的錯誤と時流迎合:特集すべきはBIではなく、新型コロナ大失業時代における「(権利としての)生活保障」や「雇用・労働政策」のあるべき論だ- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-12905f.html
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