« 4つあります:(1)落合栄一郎さんから(カナダ在住科学者)(2)オーフス条約(3)白井聡時事評論「社会は存在しない」(4)水蒸気爆発とセレナプロジェクト(伊方原発広島訴訟)他 | トップページ | 自衛隊・防衛大学内にはびこる「イジメ」「私的シゴキ」「リンチ」と、これを黙認して被害者を切り捨てる防衛省:(自殺自衛官後を絶たず)日本の防衛とは無関係なアメリカの「二軍・雑用係」のこんな軍隊に入るのはやめましょう »

2021年1月 5日 (火)

「日本共産党の政権参画に向けた課題を分析する(上・下) - 田中信一郎|論座」をめぐって

前略,田中一郎です。


◆「日本共産党の政権参画に向けた課題を分析する(上・下) - 田中信一郎|論座」
(上)https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020122900001.html
(下)https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020122900002.html?page=1

私とよく似た名前の人が書いた
興味深いサイトを見つけました。
ご覧になってみてください。
私の考えは下記の通りです。
前半は反対、後半は賛成=その通り、だと思います。


(1)3.11福島第1原発事故以降の共産党を高く評価
 既に何度か申し上げてきたように、私は3.11福島第1原発事故以降の共産党の動きを高く評価している。それまでの原子力の平和利用路線をきっぱりと捨て去り、原発・核燃料サイクル施設の即時廃棄=原発ゼロ方針を打ち出したこと、アベ戦争法が強行採決されて以降は立憲民主党とともに立憲主義と「市民と野党の共闘」を高く掲げ、その先頭に立ってきたこと、またその他の政治的諸問題においても、共産党の国会議員や地方議員はよく頑張っていて、私は既成政党の中では共産党がもっともまともだと、今のところ見ている。私の地元、東京都北区でもしかりで、生活相談や脱原発など、日々の活動もしっかりしている。共産党を「好き嫌い」だけで判断して「嫌いだからダメ」式に動いている市民運動・社会運動の参加者もいるけれど、その行動様式は、戦前のアカ呼ばわりや、自民党後援会・自民党支持層の行動様式とほとんど変わらず、まるで「AKB総選挙」然としたふるまいであることを自覚すべきである。世直しを実現せんとする時に、好き嫌いが最優先の判断基準になっているようでは、お話にならない。

しかし、他方で、共産党に問題がないわけではない。ないどころか、3.11以前の共産党については問題だらけと言ってもよく、しかも党としての無謬性を誇るようなところが強く感じられるため、年配者の中には共産党のその組織体質を忌み嫌う人も少なくない。今回、このサイトに書かれている「組織の問題」もそのひとつであり、また、最近の事例で申し上げれば、福島第一原発事故で浮かび上がった放射線被曝の危険性に対する見解の問題がある(党の中が2つに割れている様子がうかがえる)。ただ、こうした過去のさまざまなことや、当面現在進行形の問題は、「市民と野党の共闘」を成功させてホンモノの政権交代(形だけの政権交代=ニセモノ政権交代=2009年民主党政権のようなものは、今度は絶対にダメ、それをやったら、その後に、もっとグロテスクな、アベスガ政権以上に危険な反動政権が成立してくる危険性が高い)を実現させるための障害物にしてはいけない。こうした問題に慎重にうまく対応していくことが、当面は重要で、言い換えれば、小異を捨てずに大同に付き、見解の相違は早期に決着をつけるのではなく、辛抱強く検討を続け、そして自分が願う政策の実現率は60%(2/3)程度でしんぼうする、という「妥協的態度」=政治性・政治力が必要だろうと私は考えている。(それが嫌な人は「市民と野党の共闘」の外側にいて、「市民と野党の共闘」も含めて、既存の政治勢力による政治の展開に対して批判を続ければいい。私はそれはそれで存在意義があると思っている。)(それから、共産党の名誉のために申し上げておけば、3.11以前、特にバブル崩壊と細川護煕似非改革政権成立以降の共産党は、一部の社会党議員や無所属議員らとともに、既に腐敗を極めていた自民党など他の政党や政治勢力に比べればずっとずっとマトモであったのであって、決して「悪の帝国」のソ連共産党や東欧諸国の共産党のような政党ではなかったことも申し上げておく)


(2)前半:共産党は安保条約と自衛隊について、党の見解を転換すべきである=反対
 政権に参加するのなら安保と自衛隊についての従来の党の見解を転換せよと、まるで共産党に「踏み絵」を踏ませるような主張がなされている。これは事実上、共産党にも1990年代の社会党・村山政権のようにしろ、と言っているのと同じで、それはそのまま同じ失敗につながるだけ。私はまったく逆にとらえていて、共産党が戦後一貫して貫いてきた安保解消・自衛隊違憲の主張を撤回したり転換したりするのではなく、それを「棚上げ」にしてでも、アベスガ政権又はその後の自公暴走政治を止めるべく、立憲野党で一致協力すると打ち出し、「市民と野党の共闘」の先頭に立っている、それを高く評価している。よくぞ「棚上げ」「新政権=内閣には安保・自衛隊の自党の主張を持ち込まない」と無念の妥協をして、政権交代に協力する方針を取ってくれたと、絶賛したいくらいである。昔々、宮本顕治(共産党TOP)が現役の頃・生きていた頃では考えられなかったようなことである。私があまり信用をしていないジャーナリストの田原総一朗は『サンデー毎日』での志位和夫共産党委員長との対談の中で「野党の中では共産党が最も柔軟」とほめていた。私もそう思う。

実際問題として、今の自公政権を相手に、立憲民主党勢力と共産党勢力が、安保は破棄かそうでないか、自衛隊は合憲か違憲か、で論争したり争ったりしてみても、政治的には無意味どころかマイナスでしかない。そもそも安保も自衛隊も、その本当のこと=その実態がほとんどの国民に伝わっておらず、日本の有権者・国民は、外交も含めて、自国の安全保障や軍備、あるいは対米関係について、きちんと考えたこともなく、考えようともしていない。そんな中で、野党や一部の有識者だけで、安保や自衛隊について、ああでもない・こうでもない、と言っていても何も始まらない。議論のための議論、あるいは共産党を政権から排除するための道具にしかならず、論争すればするだけ、自公政権や維新の側から、「市民と野党の共闘」内部の不一致を突かれ、政権担当能力がない勢力と批判されるタネを提供するようなもの。やってはいけないことである。そんな中、共産党が一歩引いて「棚上げ」論を展開し、安保・自衛隊の問題では立憲民主党とともに、違憲のアベ政権戦争法制は即時破棄で一致した、それだけで十分である。仮に政権交代がなり、共産党が入閣して、安保や自衛隊の存続を前提として政策決定がなされ、それに共産党が反対をしなかったからと言って、直ちにそれが問題になるわけではない。立憲民主党も、対米隷属の日米安保でいいとは言っていないので、日米対等関係になるような方向性の中で、一歩一歩改善が進むのなら、共産党はそれでいい、と言ってくれるものと信じている。

そして、願わくば、共産党には、当分の間は、その「棚上げ」を続けていてほしいと思う。何故なら、ホンモノの政権交代を実現するためには、新政権は持続可能型で長期政権でなければいけないからだ。そしてその改革政権が、多くの有権者・国民に「これが有権者・国民のためのホンモノの政治です」というものを継続して見せてくれた時、自民党や維新、そして公明党などは、もはや政治勢力としては、圧倒的多数の有権者・国民から相手にされなくなり(一部のアホだけが支持する)、日本の政治は不可逆的に変わる。私はこの、自民党・維新・公明をほぼ政治勢力として、取るに足らぬ程度まで撲滅できた段階まで、安保・自衛隊の「そもそも論」は「棚上げ」にし、その状態で、日本の政治を極限にまで有権者・国民のためのものにしてほしいと願っている。そしてそれは、立憲民主党が心を入れ替えて共産党と本気で連立政権をやっていく覚悟を決めればできることであって、共産党がかつての社会党のような無様な真似をしなければいけないということではない。(むしろ連立政権の成立如何の問題は、共産党ではなくて、「市民と野党の共闘」の総大将である立憲民主党=とりわけ現執行部にあるのであって、枝野幸男・福山哲郎らとそのトリマキ幹部たちの覚悟のなさ・中途半端さ・展望力も政治力も判断力も乏しい、ところにこそ、ある。物事を見誤ってはいけない。ここでも、ものごとは、政党のスキキライの問題ではないのである)

自公維新が壊滅的な状態となり、ホンモノの政治とはどういうものかが有権者・国民に現実のものとして理解された時(理屈ではなくて)、共産党はあらためてそこで安保と自衛隊の問題を提出し、政治的に成長し成熟した多数の有権者・国民と、日本の進むべき外交や安全保障について議論してほしいと思っている。その時まで、我慢をお願いしたい。このサイトの著者のように、共産党は他党に比べて、書いたものに対して誠実である、というのなら、なおさら共産党に踏み絵を踏ませるようなことは不要だろうし、他の党とのバランス論から言ってもおかしな話である。共産党を安保・自衛隊論で攻めるよりも、たとえば政権党である自民党のTPPに反対という明々白々の公約違反こそを徹底的に叩くべきではないか。2009年民主党政権の背信行為などについても同様だ。


(3)上記の系:北方領土問題=これもおかしな議論だ
 「他にも、現実との調整が丁寧になされている内政と比べ、外交・安全保障では検討の不十分さが目につく。例えば、綱領で「国連憲章に規定された平和の国際秩序を擁護し、この秩序を侵犯・破壊するいかなる覇権主義的な企てにも反対」としつつも「千島列島と歯舞群島・色丹島の返還をめざす」と書いているのは矛盾である。日本政府は、千島列島の領有権をサンフランシスコ平和条約に伴って放棄しており、それを国際社会に要求することは、国連憲章第107条に抵触する。」(田中信一郎)

まず、色丹島は微妙ながら、歯舞諸島は千島列島には入らない、旧ソ連やロシアの歯舞諸島占拠は国際法に違反する不当なもの、そして千島列島も、もともとは全島が日本固有の領土であり、これは第二次世界大戦の末期に米ルーズベルトとソ連スターリンがヤルタで密約を結び、ソ連が対日参戦をするのなら千島をソ連に譲る、などと、これまた国際法違反で、かつ連合国全体の方針=領土的野心は持たない・領土侵略はしない、という基本方針から大きく逸脱したものだったこと、ここに根本問題がある。共産党はそれを問題にしているのであって、その考え方は正論だ。サンフランシスコ条約は、この千島領土問題で言えば、戦勝国が暴力的に日本から領土を奪う条約を、当時の日本の主権回復と引き換えに押し付けたのであって、それ自体が不当。今の国際情勢の中で千島全島を返還せよ、というのがどこまで通用するかはともかく、論理的には、千島全島返還論が正論である。もちろん、共産党は、野党連立政権に参加した場合には、こうした北方領土のそもそも論を政権内に持ち込むことはなく、これも「棚上げ」してくれるだろうと私は見ている。ただ、現段階で、綱領に書いてあること自体は私は問題はないと思う。


(4)共産党の政権参画に向けた最大の課題は組織にある=賛成、その通り
 下記に一部抜粋をしておきますが、私の考えとサイトの文章はおおむね一致します。まさにその通りで、共産党は「民主集中制」というレーニン主義的な党組織論からそろそろ脱皮しなければいけません。少なくとも政権参加するならです。共産党規約の「党の諸決定を自覚的に実行する」はともかく、「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」は、現代市民社会・民主主義政治体制下の政党としては、ご冗談でしょう! という内容で、こんなことをしていたら、共産党という組織は今後未来に向かって、どんどん小さく非力になっていきますよと、申し上げなければいけません。鉄の団結は20世紀型の革命政党にとっては重要なテーゼであっても、現代市民社会の民主主義政治の下では、むしろマイナスであることに早く気が付いてほしい。そして、この延長上に、同じく「党内に派閥・分派はつくらない」「意見がちがうことによって、組織的な排除をおこなってはならない」という相矛盾する規約が存在している。サイトの著者である田中信一郎氏が言うように、この規約の内容は、政権参加した共産党が政権崩壊の、あるいは政権離脱のタネになりかねない問題であり、更に言えば、共産党の今後の発展や党勢拡大のためにも、決してプラスにはならない、ということである。共産党には、複雑な現代社会の民主主義政治政党として、多様な考え方を可能な限り尊重し、自由闊達で活力のある「使命共同体」としての政党へと成長していただきたいと願うものである。

(一部抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(中略) 共産党の組織は、できる限り属人性を排し、論理的かつ計画的に運営する方向で形成されている。規約は「民主集中制を組織の原則」とし、具体的には「意思決定は、民主的な議論をつくし、最終的には多数決で決める」「決定されたことは、みんなでその実行にあたる。行動の統一は、国民にたいする公党としての責任である」「すべての指導機関は、選挙によってつくられる」「党内に派閥・分派はつくらない」「意見がちがうことによって、組織的な排除をおこなってはならない」としている。とりわけ、「党内に派閥・分派はつくらない」とすることで、役職に基づかない有力者の出現を抑制している。役職と影響力が必ずしも一致しない、派閥政治の自民党とは真逆である。

一方、議院内閣制は属人性を前提としている。内閣に入る政治家が、その人格・識見を最大限に発揮して、内閣を運営することが期待されている。彼ら・彼女らが、それにふさわしいのかチェックする責任が国会にあり、ふさわしくなければ不信任することが期待されている。

内閣の実務においても、民意を反映させようとするほど、内閣の一員である政治家の力量が問われる。内閣の運営方法は、形式として存在するものは儀式に近く、実際にはほとんど政治家の属人性に依存している。閣僚委員会の設置のように、ある程度は制度化できるものの、内閣内部の信頼関係に依存する面が大きく、完全には難しい。

連立与党内での意思形成においても、同様の問題が発生する。野党のときと比べものにならないくらい、与党では様々な事柄について意思形成が求められる。それも突発的に発生したり、急いで決めなければならなかったりと、機動性も求められる。

そうなると、大臣や議員である党員は、党の判断をあおぐ間もないまま、自らの責任で微妙な判断を迫られるようになる。特に、内閣・行政の内部においては、メンバーシップが極めて重視され、大臣、副大臣、大臣政務官は、外部から一切の助けを得ずに、困難な判断や交渉しなければならない局面がある。大臣秘書官として党から連絡役を送り込んでも、閣僚間の折衝や外交交渉など、決定的な局面では陪席すら難しく、ましてや発言や助言はできない。

内閣に入った党員に対して、党が予め白紙委任をしていれば問題はなかろうが、現在の組織文化からすると難しいのではないか。例えば、規約の「党の諸決定を自覚的に実行する」「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」という党員の義務が、大臣としてのギリギリの判断や交渉に関して、抵触するおそれがある。こうした問題は、自民党や立憲民主党では起きがたい。党運営に属人性が織り込まれ、入閣しての属人性も暗黙の了解事項となっているからだ。自民党に至っては、常設の最高意思決定機関である総務会が、派閥代表で実質的に構成されるほどだ。

共産党の望む「民主主義的な改革」を実現できる政権では、政権内での信頼関係を維持することが不可欠となるが、形式の決定者と実際の決定者が異なる人事配置は、それを決定的に損なう。かつての民主党政権では、そのことに伴う政権内での相互不信の増大が、政権の崩壊に直結した。共産党から内閣に入った政治家には裁量がなく、すべて党にお伺いを立てているという状態では、政権内での信頼関係が維持されないだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

みなさまはどうお考えになられますか?
特にこのメールをご覧になった共産党のみなさまには、是非、活発で建設的な議論をお願いしたい。
草々

« 4つあります:(1)落合栄一郎さんから(カナダ在住科学者)(2)オーフス条約(3)白井聡時事評論「社会は存在しない」(4)水蒸気爆発とセレナプロジェクト(伊方原発広島訴訟)他 | トップページ | 自衛隊・防衛大学内にはびこる「イジメ」「私的シゴキ」「リンチ」と、これを黙認して被害者を切り捨てる防衛省:(自殺自衛官後を絶たず)日本の防衛とは無関係なアメリカの「二軍・雑用係」のこんな軍隊に入るのはやめましょう »

コメント

あなたのご意見の通り、野党の中で最もしっかりした方針のもとに党運営をしているようです。私も共産党の方と10数年「九条活かそう」の運動を共にしてきておりますし、赤旗の読者でもあります。また、共産党の北九州地区大会には、呼ばれて開会の挨拶をさせられております。最近の共産党の綱領も読ませていただいておりますから、共産党を取り込んだ野党共闘は絶対に必要だと考えますが、共産党に牛耳られる野党共闘にはなって欲しくありません。立憲民主党が幼い状況から脱皮して、政権運営の力を身につけ、たくましさを持った政党に成長して欲しいと念願しております。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 4つあります:(1)落合栄一郎さんから(カナダ在住科学者)(2)オーフス条約(3)白井聡時事評論「社会は存在しない」(4)水蒸気爆発とセレナプロジェクト(伊方原発広島訴訟)他 | トップページ | 自衛隊・防衛大学内にはびこる「イジメ」「私的シゴキ」「リンチ」と、これを黙認して被害者を切り捨てる防衛省:(自殺自衛官後を絶たず)日本の防衛とは無関係なアメリカの「二軍・雑用係」のこんな軍隊に入るのはやめましょう »

最近の記事

無料ブログはココログ