今ごろベーシックインカム(BI)の特集を組む岩波月刊誌『世界』編集部の知的錯誤と時流迎合:特集すべきはBIではなく、新型コロナ大失業時代における「(権利としての)生活保障」や「雇用・労働政策」のあるべき論だ
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.(予約必要)(9.24)オルタナティブな日本をめざして(第50回):「スーパーシティ構想の危険性:後退させられる自治と民主主義」(内田聖子さん:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-11f035.html
(最初の1時間は「衆院選へ向けた経済政策」をテーマに主催者側からプレゼンを行います:田中一郎)
2.NHKスペシャル - 戦慄の記録インパール
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170815
(関連)NHKスペシャル「戦慄の記録 インパール」20170815 - 動画 Dailymotion
https://www.dailymotion.com/video/x5x3nxu
https://www.dailymotion.com/video/x5x62nw
(関連)太平洋戦争戦跡地-戦没者の60%強140万人は餓死であった
http://www7a.biglobe.ne.jp/~mhvpip/PacificWar.html
(戦って死亡した日本兵士の何倍もの兵士が、撤退時に食料を得られないままに餓死したり病死したりしていった。もちろんインパールというビルマの街にたどり着いた兵士は皆無で作戦は大失敗に終わっている。アジア太平洋戦争中でも最悪で無謀極まりない(とても作戦などとは言えない)「作戦」だったインパール攻略作戦。しかし、この作戦を立て、指揮した将校連中は生き残り、しかも何の反省もせぬまま、戦後は自分たちの作戦指揮を屁理屈で合理化している。これが大日本帝国陸海軍の生々しき実態である。何度映像を見ても怒りがこみあげてくる。:田中一郎)
*♬『教訓 Ⅰ』(cover-加川良)いわさききょうこ by Kyoko Iwasaki&Nobuo Tsunetomi ♬ - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=gx91eo-50ZA
3.(別添PDFファイル)合流新党、140人超す規模 立憲側、上積み目指す(朝日 2020.8.15)
https://www.asahi.com/articles/DA3S14587581.html
(関連)枝野氏、合流新党「来月上旬にも」立民、多数派の形成急ぐ(日経・毎日 2020.8.14)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62612250T10C20A8PP8000/
(関連)野党「合流新党」は150人規模の勢力に 分裂期待の自民落胆(日刊ゲンダイ 2020.8.15)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277312
(関連)田中龍作ジャーナル - 連合、国民議員に迫る「合流しなければ選挙を手伝わない」
https://tanakaryusaku.jp/2020/08/00023448
(「負け組選挙互助会」の国民民主党が早くも解散、今度は自分達よりもまだ支持率がある立憲民主党にへばりついて、何とか衆議院選挙を乗り切りたい様子。自分たちの議席さえ確保できれば後は何でもいいのだろう。呆れた連中だ。まあそれでも、選挙前だから、できるだけ1つになっておいた方が闘いやすいということはある。それに今回、前原誠司が合流しないような報道がなされているので、私がかねてより申し上げてきた民主民進党「5悪人」(仙谷由人(死去)、長島昭久(自民党へ)、細野豪志(自民党へ)、前原誠司(今回合流せず)、野田佳彦(今回合流))のうち、野田佳彦を除く4人がサイナラとなった。結構なことである。しかし、これで選挙に勝てる態勢が出来たなどと思ったら大間違い。もともと1つだったものが、バカバカしいことで2つに割れて(2017年前回衆議院選時)、また元に戻っただけの話。圧倒的多数の有権者・国民は「またやってんのか!?」と冷ややかに見ている。さっさと選挙に勝てる算段をしろよ、ということである。本当に「もういい加減にしとけよな!」である。選挙があるごとに「あっちウロウロ、こっちウロウロ」の「ウロウロ連合」(労働貴族・御用組合「連合」のバックアップ付きの「第2連合」だ)をくり返していたら、いずれ大阪や東京の地方議会のように、議席ゼロ(ないしは数名)という結末に転落していくことになるぞ! それでもいいのか!? :田中一郎)
(関連)内閣支持32%で過去最低目前…コロナ対応「評価せず」6割|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277363
(関連)内閣支持32%で最低目前 時事 - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6368329
4.(別添PDFファイル)上意下達の教育行政(前川喜平 東京 2020.8.16)
ダウンロード - e4b88ae6848fe4b88be98194e381aee69599e882b2e8a18ce694bfefbc88e5898de5b79de5969ce5b9b320e69db1e4baac202020.8.16efbc89.pdf
(戦前の大日本帝国における皇民化教育(=臣民を天皇の私兵として育て、戦時にはその命を天皇と国のために投げ出すことを自発的に導くための教育)への反省から、戦後の日本国憲法下での学校教育は、教育現場の一人一人の教員が責任をもって「何が子どもたちの成長に必要であり重要か」を判断し進めていくものとされた。それを上から権力を使って歪みに歪めてきたのが自民党政治であり文部科学省の教育行政だった。まずは旧教育基本法を復活させ、戦後の民主教育の原点に戻って、この国の教育を一から立て直すことから始めるべきである。:田中一郎)
5.(別添PDFファイル)核ごみ処分場巡り調査応募を検討 北海道寿都町、全国初の表明(東京 2020.8.14)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/48728
(田中一郎コメント)
どうして日本の政治では、こういう人間が多いのでしょうね。困ったものです。私が問題だなと思ったのは、片岡春雄とかいう町長の別添PDFファイルにある次の発言です(2枚目)。「反対意見は当然覚悟している。地元以外からの反対に耳を貸すつもりはない」
高レベル放射性廃棄物処分場が巨大地震や火山噴火などで大事故となれば、「地元」などという猫の額ほどのエリア内での問題にとどまらないのは自明なこと。何をふざけたことを言っているのかという話でしょう。この町長には辞めてもらわなければいけません。ところで、どこまで本気かが今のところ不明ですが、下記の通り、北海道庁は今回の寿都町の動きを抑えにかかっていますから、まだいい方でしょう。ともあれ、核事故・核汚染から明日の北海道を守っていくにあたり、北海道庁の責任は重いです。愚かな妥協の余地などないことを肝に銘じてほしいものです。
*北海道、寿都町に「応募控えて」核ごみ処分場の選定調査で要請:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/49020/
私から申し上げておきたいことは、(1)脱原発は脱原発だけ訴えていてもダメだということ=原発の様な迷惑施設が過疎地域など経済的に困窮する地方に押し付けられるという経済的差別構造の中で原発が政治的に推し進められているということをしっかり念頭において、この国の政治の在り方、特に地方経済の持続的発展をどうやって実現していくのかという代替プランと共に脱原発を進めていかないと、目標は恐らく成就しないどころか「逆コース」で益々厄介な方向に行ってしまうということ、
(2)そのためには脱原発の運動の中で、原発の持つ社会的・経済的な意味をしっかりとつかまえて議論し、処方箋を絞り出していくことが重要であること(そのためには、運動の中で活発かつ建設的な議論が強く求められているにもかかわらず、一部のオレサマ活動家=「スターリンのミニブタ」たちが、参加する一般市民の言論や活動を統制したり妨害したりしていることが目に余る)の2点です。そもそも原発には何の合理性も経済性も安全性もなく、ただただ政治の力だけで推し進められているのですから、その政治を何とかしなければ原発はなくならないと思っていていいと思います。
(関連)(別添PDFファイル)核ごみ最終処分場、半数が否定的 都道府県アンケート、前向きなし(東京 2020.8.15)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/49059
(関連)北海道の寿都町に最終処分地候補? 意見交換会は非公開 - becquerelfree’s blog
https://becquerelfree.hatenadiary.jp/entry/2020/08/14/112718
(関連)核のごみ最終処分場 寿都町が調査応募検討 町長「財政見据えた」北海道新聞 どうしん電子版
https://cutt.ly/Jd4aGpj
(関連)漁業が盛んな寿都町が文献調査の「応募検討」北海道は「取りやめ」要請-どうする“核のゴミ” 北海道・幌延から
https://cutt.ly/Bd4aJbu
(関連)(別添PDFファイル)北海道寿都町、文献調査検討 核のごみ、反発必至、交付金狙う町長、住民理解程遠く(毎日 2020.8.16)
https://mainichi.jp/articles/20200816/ddm/002/010/067000c
5.直近NEWSから必見情報
(1)「核兵器のない世界」の前に「安倍のいない世界」を目指せ|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277310
(2)「憲法違反が常態化」学者グループ、臨時国会巡り批判:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASN8F7DC3N8FUTIL00T.html?ref=hiru_mail_topix2_6
(3)【新型コロナウイルス】死者・重症者が8月急増「9月が怖い」の声と安倍首相の無策|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277359
(4)首相は呆けた夏休み 猛暑と株高に覆い隠される経済破綻|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277301
(5)田中龍作ジャーナル【靖国神社】敗戦は2度やってくる 今度は「コロナ五輪」という焦土作戦
https://tanakaryusaku.jp/2020/08/00023453
(6)日本の敵はどこに?コロナ対策より防衛費に予算を割く愚行|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277330
(7)米大統領選でトランプ落選ならば逮捕も 安倍首相も道連れ|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/277356
*電通の“2年ぶり黒字”に「安倍政権が仕事回した」「血税中抜きで儲けた」のツッコミ! 実際「官公庁・団体」の売上が873億円と倍増|LITERA/リテラ
https://lite-ra.com/2020/08/post-5575.html?utm_source=onesignal&utm_medium=button&utm_campaign=push
*昭和天皇の末弟「三笠宮崇仁親王」が日本軍の南京での行為を「虐殺以外の何物でもない」と明言し、歴史修正主義を批判 |LITERA/リテラ
https://lite-ra.com/2020/08/post-5578.html?utm_source=onesignal&utm_medium=button&utm_campaign=push
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リベラル派のクォリティ雑誌=岩波月刊誌『世界』(2020/9)が「ベーシックインカム」の特集を組んでいます。新型コロナPANDEMICを受けて、従来のデフレ経済がさらに深刻な不況へと転落する中、失業をしたり収入を激減させて生活苦に陥る多くの人々を対象に、各国政府が現金支給をはじめとする支援政策を様々な形で展開し始めています。この日本においても、1人10万円の現金を国民に対して一律に配布する「特別定額給付金」をはじめ、「持続化給付金」「家賃給付金」「雇用調整助成金&休業補償直接給付金」「ひとり親世帯・子育て世帯・学生向けの支援金」(しなくてもいい・してはいけない)「GO TOキャンペーン」などが施策として打ち出され、その金額も数十兆円規模の巨額なものとなっています。
(関連)新型コロナ 給付・助成金など支援制度まとめ - Yahoo!くらし
https://cutt.ly/Bd45TZq
岩波月刊誌『世界』の今回の特集は、こうした情勢を受けて、いわゆる「ベーシックインカム」といわれている政策の内容の再確認と今後の可能性を探るという目的で組まれたものでしょう。この特集の巻頭言として、『世界』編集部は次のように書いています。
(一部抜粋)
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パンデミックの大波が、不況と失業をもたらしつつある。’この情勢のもとで、いかに人々の生存する権利を保障するのか。いま、国際的にベーシックインカムをめぐる論議が活発化している。ベーシックインカムとは、「すべての人に、個人単位で、資力調査や労働要件を課さずに無条件で給付されるお金」である(本特集、山森論文より)。
今回、日本政府は域内に住むすべての市民に一律10万円を配布する政策を実行した。それによって、この構想を想像することは容易になった。だが、そこに落とし穴はないか。そもそも実現可能か。各国ではどのような取り組みが行われ、どのような構想が討議されているのか。今こそ本気で議論を開始したい。
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しかし、以前から私より申し上げている通り、「ベーシックインカム」なるものは、キメ細かな経済政策についての思考停止や、新自由主義・市場原理主義的な考え方をベースにした、愚かな単なる現金バラマキ政策にすぎず、1人当りの金額が小さくて政策効果がほとんどないに等しいにもかかわらず、国民全員(在住外国人が支給されるかどうかはイロイロあり)に現金がバラ撒かれるため巨額な財源が必要となり、デフレや新型コロナPANDEMICを受けて必要となっている多くの現場への支給や支援のための財源を浪費して、危機を深める効果をもたらすものなのです。再度、「ベーシックインカム」なるものの特徴を箇条書きにしてみましょう。
(1)「ベーシックインカム」(以下「BI」)は単純な現金バラマキにすぎず、国民全員という圧倒的多数の人々に配布するが故に1人当りの金額が小さくなって、狙いとする社会保障的かつ景気刺激的な政策効果も薄く、そもそもそれぞれの事情を抱える現場に対応したキメ細かな対応政策についての思考を停止させ、検討を放棄させた愚かな考え方・手抜き発想に基づくものです。単純な現金バラマキにすぎないものが「ベーシックインカム」などと表現されているために、あたかも洗練され鍛え抜かれた社会保障政策であるかのごときニュアンスを提供していますが、その内実はシンプルでつまらないものにすぎません。そして多くの「BI」支持者たちは、その内実や効果・弊害をよく知らぬままに、あたかも時流に流されるかの如く言葉に引かれて賛成をしているというのが現状でしょう。愚かというほかありません。
(2)更に申し上げれば、狙いとした政策効果とは逆行するような所謂「副作用」も無視できません。デフレ期のような不景気であると、経済的に困窮していない層に配布された巨額の現金はそのまま貯蓄に向かってしまって景気刺激にはならず、逆に景気過熱期であると、配布された現金がそのまま消費財などの購入へ向かってしまって景気をますます過熱させるなど、政策当局としては「困った副作用」をもたらす愚策の1つでもあります。
(3)そもそも「BI」は巨額の財源が必要になります。「BI」といわれるものの原型は「生活に必要となる最低限の現金を全員に支給する」というのがコンセプトですから、現在の日本では1年間に最低1人当り200万円の生活費が必要だとして、200万円×1億2500万人=年間250兆円の財源が必要となります。しかし、こんな金額の財源を確保することなど不可能なことです。そうするとどうなるかというと、あくまでも「BI」に固執してこれを実施しようとすれば、1人当りの金額を絞っていくしかありませんが、たとえば半分の1人当り年間100万円にしたところで、必要財源は上記の半分の125兆円、年間50万円という「スズメの涙」ほどの金額であっても、必要財源は60兆円強ほどの金額となります。これでもとてもじゃないけれど実現は不可能でしょう(「BI」は1回限りの「ヘリコプターマネー」と違って毎年実施されることに注意)。
それだけではありません。今回の「特別定額給付金」のように、ほとんど無意味と言っていい金額の1人当り10万円を全員に配布しても約13兆円の財源を浪費していますので、これを仮に他の政策に使ったらどうだったかを考えますと、その無駄さ加減は際立ってきます。たとえば新型コロナPANDEMIC対応で疲弊する医療機関や医療関係者、および病院労働者らへの支援が不十分のままですが、これに対して13兆円もあれば相当のことができます。また、保育園の整備や保育士の処遇の改善、保育士大幅増員や待機児童の解消など、今日の市場原理主義的に歪み切った保育政策を抜本的に転換するのに13兆円も必要ないでしょう。また、大学生の授業料引下げ・減免や奨学金制度の抜本的拡充、大学での研究費助成大幅増などに使ったとしてもオツリがくるし、数十万人が入所待ちをしている特別養護老人ホームの増設や介護士の処遇改善と介護士人員大幅増も、これだけの金額があれば相当程度の改善が見込まれます。いずれもデフレ経済下の「アホノミクス」や今般の新型コロナPANDEMICによって大きなダメージを受けている現場ですが、そこへの十分な支援の手を差し伸べることをせぬままに、バカバカしい現金バラマキで13兆円という巨額の財源を浪費してしまっているわけです。歯がゆい限りではないですか。「BI」という愚かな政策の「機会費用」は巨額なのです。
(4)しかも今回は、わが日本政府が、この単純極まる現金バラマキ政策でさえきちんとタイムリーにできない、まさに行政劣化の極致の醜態を赤裸々にしたという「おまけ」までがくっついています。更に、「特別定額給付金」を除く各給付金を所管する霞が関の省庁が、自分たちの出先機関や外郭団体、あるいは関係業界団体などを使って給付実務を遂行するのではなく、電通をはじめとする「アベ友」的な特権的「シロアリ軍団」が官庁にまとわりついて数千億円もの取扱手数料をピンハネしているという(しかも給付実務はドシロウトの派遣労働者を日雇い的に採用して使うなど、給付サービスはサイテーのサイテーレベル)、許しがたい「利権構造」までが表面化しました。要するに日本政府という行政機関は、現金バラマキ政策を「適切に」実施する事務能力を持っていないということです。無理にやれば、そのコストは巨額になります。
(5)そして最も重要なことは、「BI」が新自由主義のイデオロギーに基づいて考案され、更に市場原理主義(アホダラ教)の政策として展開されるということがきちんと認識されていないという点です。私は新自由主義と市場原理主義を区別して考えていて、前者は人間社会や人間の理性・倫理といったものへの根源的な不信感に基づいて、いわゆる設計主義的な作為を基本的に否定する経済政策イデオロギーであり、その結論は規制緩和・撤廃や民営化・民間活用促進と、できるだけ小さな政府の実現=官僚組織の解体、ということになります。ところが後者の方は、そうしたイデオロギーというよりはもっとプラグマティックな発想で「1%のために99%を犠牲にする・食い物にする」政治や政策を遂行するためのご都合主義といっていいようなものです。そして日本で展開されているのは、実は前者ではなくて後者であり、「アホノミクス」はその典型事例の1つだということです。
そしてその新自由主義イデオロギーや市場原理主義ご都合主義が目標としているのが「究極の小さな政府」=税金などのコストがかからず、金儲けが好き勝手にできて、多くの人間たちを自在にコキ使ってもいい社会であり、その場合、そのままにしておけば社会が不穏になりかねないから、それを抑え込むために、最低限の生活ができる程度の現金を国民全員にバラ撒いておき、その代わりに政府や行政機関の大半は、警察・軍隊・消防署くらいを残して全部スクラップしてしまう(それでカットされた巨額人件費などの「BI」財源が浮かびあがる)、あとは自己責任でやってくれ、というものです。体のいい「19世紀的な夜警国家論」の現代版です。ちょうど今から30年ほど前に「派遣労働」が法制化された際にも「自由でフレクシブルな働き方」などというインチキ宣伝がなされたのですが(その結果はご承知の通りです)、今回もまた、それと似たような宣伝「フレクシブルで自由な人生を満喫」のような宣伝が「BI」推進側から流布されているようです。要するに「無理して働かなくてもいい」といった具合の文句です。
「BI」をイメージでしかとらえていない人たちは、このことが理解できていません。要するに不勉強極まりない情緒的な賛成や支持です。だから、「BI」を入れたら、その財源確保のために、既存の社会保障制度や福祉事業はドラスティックに整理・統合・廃止されますよ、というと、今度は、「既にある社会保障や福祉は削減しないでプラスαで「BI」をやるべきだ」などという調子のいい議論が飛び出てくるのです(岩波月刊誌『世界』の論文の中にもその主張が紹介されています)。しかし、です。現状では全く不十分な日本の社会保障制度や福祉事業が、それを抜本改善するのにも巨額の財源が必要となるのに、それをはるかに超える巨額の財源を浪費する「BI」を並行して実施する余裕など、どこにあるというのでしょう? できもしないことを、あれもこれもと並べてみても、そんなものは政策でも何でもありません。単なる自己都合優先の希望の羅列=つまりは夢想に過ぎないのです。市場原理主義がご都合主義なら、プラスαとしての「BI」もまたご都合主義にすぎません。まじめにやれー、ということです。
さて、これまで何度も何度も似たようなことを書いてきましたから、もう書く方もうんざり感があるのですが、しかし、「BI」などという愚かな政策を未だに知的錯誤から「本気で議論する」などと言っている人たちがいる以上、日本の経済政策が誤った方向に行かないよう、何度でも徹底的に叩いておかなければ、未来は危ういと言わざるを得ません。そして私が今回、またこのメールを書くことになった理由は、何とこれまでみなさまに現代日本の必読クォリティ雑誌として推薦を続けてきた岩波月刊誌『世界』が「ベーシックインカム」の特集を組んだことに他なりません。「岩波月刊誌『世界』よ、お前もか」と言いたくなります。
(関連)(増補版)ベーシックインカム待望論の危うさ(大崎明子『週刊東洋経済 2020.7.18』)と『週刊エコノミスト』のベーシックインカム特集=竹中平蔵もこよなく愛する究極の市場原理主義政策、それがベーシックインカムです。- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-2c2fe4.html
(関連)コロナPANDEMICの経済対策とベーシックインカムについて(まだ「BI」だなどという人たちがいる!)⇒ 世界の株価が暴落を始めた! いよいよ待ったなしの危機に突入か!?- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-0025d3.html
一部の向こう見ずなラディカリストやリベラル勢力・政党が「ベーシックインカム」を提唱しているのは事実ですが、それに便乗をして時流迎合的な特集を組んでいてどうするのかというのが私の批判です。このメールの表題にも書きましたが、特集すべきは「ベーシックインカム」などではなくて、新型コロナ大失業時代における「(権利としての)生活保障」や「雇用・労働政策」のあるべき論なのです。何故なら、長期化する市場原理主義アホダラ教政策と「アホノミクス」によって、我が国の数千万人の人々が労働現場も生活もボロボロにされ、それに新型コロナPANDEMICが追い打ちをかけており、特に最後のセイフティネットと言われる生活保護制度の運営内容は全くのデタラメ=人権侵害のデパートとなっているからです。それを棚上げにしておいて(その少し前の岩波月刊誌『世界』で特集したと言いたいかもしれませんが、その内容も「緊急提言」的な中身になっていて不十分です)、「ベーシックインカム」にうつつをぬかしていてはダメでしょう、ということです。(岩波書店の『世界』編集部が、どうしても「BI」を特集したいのであれば、例えば「社会保障を空洞化させるベーシックインカムを徹底批判する」くらいの特集でやればよろしい)
以下、今回と次回以降、複数回に分けて、岩波月刊誌『世界』の「ベーシックインカム」特集として掲載された4つの論文を批判的にご紹介したいと思います。そしてそれに加えて、今回は、そんな「ベーシックインカム」のダボラ論文よりももっと重要で貴重な論文が1つ、同じ『世界』(2020/9)に掲載されていましたので、それを合わせてご紹介しておきます。
<岩波月刊誌『世界』(2020/9)に掲載された「ベーシックインカム」特集論文>
(1)連帯経済としてのベーシックインカム(山森亮 同志社大学教授
(2)主要各国の新型コロナウィルス対策(千葉則和 横浜国大非常勤教員)
(3)可視化されたベーシックインカムの可能性(本田浩邦 獨協大学教授)
(4)ベーシックインカムを日本で導入しようというならば(今野晴貴 NPO法人POSSE代表)
(上記の特集4論文のうち、私が評価しているのは(4)の今野晴貴氏の論文だけです。追ってご説明します。今回は(1)論文を簡単にコメントいたします)
1.(別添PDFファイル)連帯経済としてのベーシックインカム(イントロ部分)(山森亮『世界 2020.9』)
https://websekai.iwanami.co.jp/
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(一部抜粋)
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(中略)この一〇年、議論の舞台が社会運動や象牙の塔から、ダボスやシリコンバレー、各国の主要メディアや国会へと広がっていくにつれて、連帯経済や社会経済の取り組みとは正反対の、既存の社会政策などを全廃してベーシックインカムをという議論も登場している。ベーシックインカムとはそのようなものではないということを定義に書き込むべきだという動きが、ベーシックインカムの国際NGOである「ベーシックインカム地球ネットワーク」で二〇一二年から二〇一六年にかけてあった。
筆者はその問題を討議するワーキンググループの座長を務めたが、最終的に以下のような決議が採択された。「私たちは、以下の形のベーシックインカムを支持する。すなわち…‥その水準は、他の様々な社会サービスと結びつくことによって、物質的貧困を根絶する政策戦略の一部となり、かつすべての個人の社会的文化的参加を可能にするに十分高いものである。[ベーシックインカムの導入と引き換えに]社会サービスや権利を削減することには、もしそのよぅな削減が、相対的に不利益な状態に置かれている人びと、脆弱な状態に置かれている人びと、低所得の人びとの状況を悪化させる場合には、反対する」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(田中一郎コメント)
みなさまには是非原文をお読みいただきたいと思いますが、私からはこの論文が次のような諸点について不十分であり、よろしくないと評価していることを申し上げておきます。そもそも、「ベーシックインカム」について、これまでも財源問題を含めて厳しい批判がなされていたにもかかわらず、それらについて丁寧で説得力のある説明や反論がなされている様子がないのはどうしたことなのでしょうか? この論文は「ベーシックインカム」などからは離れて、世界各地の「連帯経済」の試みをレポートするものとして展開されれば、立派な論文だったのにと、惜しまれてなりません。所詮は、のべつくまなく現金を配るだけの政策に「連帯」という美辞麗句のアクセサリーで飾ったところで、その実態や本質が変わるものではないのです。むしろ「ベーシックインカム」の仔細を知らぬ人たちに誤解と的外れな期待を持たせるマイナス効果しかないと言えるでしょう。
(1)この論文で紹介されている海外の事例、すなわち、①ブラジル・マリカ市、②同フォルタレザ市パルメイラ地区、③ブラジル・ルラ政権による児童手当、④サンパウロ郊外のコミュニティ(100人ほど)、⑤ブラジル下院の低所得者向け新型コロナ緊急給付金、⑥インド「自営女性協会」による給付金、⑦スペイン・バルセロナ市の「最低所得プロジェクト」などは、いずれも給付対象が絞り込まれており、いわゆる「ベーシックインカム」ではない。要するに、世界中どこを探しても、いわゆる「ベーシックインカム」などという政策は、机上の空論や「きれいごと」「世間知らずの理屈の塊」にすぎず、現実化していないということか(???)。
(2)財源について全くと言っていいほど言及がない。上記の事例では、①ブラジル・マリカ市における現金給付について、その財源はマリカ市沖合の油田だという(市の財政収入の70%)。これでは持続可能とはとても言えないだろう。何故なら、石油が枯渇すれば「BI」も終わらざるを得ないからだ。そもそも経済的に比較的豊かな先進諸国でさえ、「ベーシックインカム」のための財源確保は難しいのに、経済的に苦しい発展途上国の場合にはさらに問題で、上記でも申し上げたように、本来投下されるべき社会保障や福祉、あるいは医療や公衆衛生、あるいは教育・保育・介護などの分野の財源を奪ってしまうことになることは必定ではないかと推測される、途上国においては、「ベーシックインカム」などよりも、医療や公衆衛生を含む生存権保障の内容を少しでも厚くすることの方が重要である。
(1回きりの「ヘリコプターマネー」ならばともかく、毎年実施されなければいけない「BI]の財源を、国債の日銀引受で調達すればいいなどと、バカげたことを言う御仁はいないでしょうね。あらかじめ「バカ止め」を打っておきます)
(3)新自由主義や市場原理主義と「ベーシックインカム」との関係についての分析がほとんどない。しかし、「ベーシックインカム」推進に熱心なのは、どちらかといえば緊縮政策などもからめながら、できるだけ政府機能を縮小していこうとする「小さな政府論」者の方である。このトンデモ処方箋を振り回している勢力の分析こそ、「ベーシックインカム」徹底批判として展開されるべき知的営みではないかと私は思う。
(4)上記で抜粋しておいたように、「ベーシックインカム」と従来の社会保障や福祉は並行して実施してほしいという「虫のいい話」が展開されている。いわゆるご都合主義の議論だと私が批判している主張である、そんな財源がどこにあるのか、実現可能性を示してから言っていただきたい。「世直し」勢力が「お気楽」改革ムードに乗って、自分たちだけの間で通じるご都合主義の議論をしていてどうするのかと私は思う次第だ。
(5)「ベーシックインカム」に関する多くの疑問や否定的な見解に丁寧に答えていない。不都合無視は「アホノミクス」と何ら変わらない。
2.(別添PDFファイル)ホームレス・クライシスに立ち向かう(一部抜粋)(稲葉剛『世界 2020.9』)
https://www.iwanami.co.jp/book/b527882.html
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(一部抜粋)
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(中略)「ハウジングファースト」の支援を
これまで見てきたように、「ホームレス・クライシス」に対する私たち民間支援団体と行政機関の対応は、対照的であった。民間の私たちは、規模は小さいながらもアウトリーチ型の緊急支援を展開し、相談者の所在地まで駆け付けた上で、「ハウジングファースト」型の住宅支援につなげていった。相談者を行政の支援策につなげる際にも、ご本人の希望を踏まえて行政と交渉し、無償よりも居住環境の良いビジネスホテルでの宿泊を認めさせた上で、そこから早期にアパートに移れるように、住民票の設定や携帯電話の取得、部屋探し等の支援を行なった。
他方、各行政機関はアウトリーチどころか、東京都の「六カ月ルール」や各区・市の「水際作戦」等、せっかく窓口に来た人を恣意的に選別するという姿勢が顕著であった。そして、「ハウジングファースト」ではなく、「施設ファースト」という従来の処遇方針をコロナ禍においても転換しない自治体が数多く見られた。
象徴的だったのは、相部屋の無償への入所をやめさせるため、四月一五日に私が電話で直談判をした際の東京都の担当者の発言だ。相部屋の無低への入所を容認するという都の姿勢は、国の感染症対策に逆行していると私が抗議すると、彼は「そんなことを言ったら、高齢者の施設も、障害者の施設も一緒ですよ」と述べたのである。
この発言は、皮肉にも日本の社会福祉の現状を端的に言い表した言葉だと、私は考えている。五月二日、加藤勝信・厚生労働大臣は衆議院予算委員会において、新型コロナウイルスの「クラスター」(感染者の集団)が発生したケースについて、五月一〇日時点で「約二五〇件あるのではないか」と述べ、その内訳は医療機関八五件、福祉施設五七件、飲食店二三件であると答弁した。
患者が集まってくる医療機関の次に、福祉施設での「クラスター」発生件数が多いことの背景には、高齢者や障害者の入所する福祉施設において眉住環境の問題が軽視されてきたことと無関係ではないだろう。福祉政策における居住の軽視という問題の背景には、戦後の日本において、福祉政策と住宅政策が別々に実施されてきた歴史がある。前者は厚生省(現・厚生労働省)、後者は建設省(現・国土交通省)と、管轄する省庁が異なるため、両者の連携は現在に至るまで限定的なものにとどまってきた。残念ながら、コロナ禍で住まいを失う人が増加しっつある現在においても、両者が連携をしている形跡はない。
一昨年に亡くなられた早川和男・神戸大学名誉教授は、「福祉は住居に始まり、住居に終わる」という北欧の言葉を紹介し、居住を福祉政策の根幹に据える「居住福祉」という理念を提唱してきた。だが、残念ながら日本ではまだ「居住福祉」の理念は実現していない。住宅政策と切り離された福祉行政が「施設ファースト」に固執することで、その実現を阻んでいるのだ。
窓口での恣意的な選別と「施設ファースト」に共通するのは、利用者目線の欠如である。その背後には、福祉的な支援策の利用を権利として保障するという意識に欠ける行政機関の体質がある。コロナ禍がもたらした「ホームレス・クライシス」があぶり出したのは、日本の福祉行政が抱える宿病とも言うべき人権感覚の欠如である。五月二五日、緊急事態宣言は解除されたが、不況からの脱出は見通せず、多くの人が住居を喪失しかねない危機は継続している。私たちは生活困窮者への個別支援とソーシャルアクションを継続することで、この危機に立ち向かっていく。ぜひ応援をお願いしたい。
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(田中一郎コメント)
この稲葉さんの論文は非常に重要で、かつ素晴らしい内容のものです。まさに現場を知り、現場で苦労に苦労を重ねている人だから書くことができる、ホンモノの論文です。みなさまには絶対にお読みいただきたい論文です。「一昨年に亡くなられた早川和男・神戸大学名誉教授は、「福祉は住居に始まり、住居に終わる」という北欧の言葉を紹介し、居住を福祉政策の根幹に据える「居住福祉」という理念を提唱してきた」とは、まさにその通りで、反貧困とは、まず真っ先に住宅の貧困=いやそれ以上に安心して快適に住むことができる住居の確保こそが、全ての基本中の基本であることは申し上げるまでもないでしょう。その住宅確保政策が、この日本では極めて怪しいのです。ホームレスの方々を都市公園から追い払えばそれで済むと、簡単に考えている人が如何に多いか。そのために公園管理職員の公務員や警察官を増やして取り締まりを強化すればいいなどと、平気で言う人たちも少なくない。しかし、オマワリをいくら増やしたところで、ホームレスという経済状態を解消しない限り、ホームレスで路頭に迷う人はなくならないということ、そんなことは自明なことなのです。
今回の新型コロナPANDEMICでは、まずもって住民票のない人が「特別定額給付金」を受け取れないという事態が発生し、そのことを何としても解消しようという姿勢が厚生労働省や自治体に見られないという悲惨な事態が生れています。また、非正規切りで職と共に住居を失う人も出て(これからも出てくる)、収入のない中、路頭に迷う人も少なくありません。そして、そんなときこそ、しっかりと支えにならなくてはならない生活保護制度が、これまたひどいこと極まりなしで、人権侵害と違法行為の巣窟のようになっています。昨今、生活保護関連の文献をいくつか読んでみて、このすさまじくひどい行政の下で苦しめられる方々のことを思うと、目頭が熱くなりました。本当に許せんぞ、という話です。
別添PDFファイルの稲葉さんの論文の抜粋には、三重県桑名市の自動車工場で働いていた若い非正規労働者の男性が突然解雇され、事実上の無一文で路上に放り出される話の部分を添付しておきました。章題は「支援のたらい回し」とされていますが、この男性が桑名市の福祉事務所(生活保護窓口)から始まって、東京へ戻りつくまでの各地を転々とする中で、どこの自治体も救いの手を差し伸べようとしない、全く理不尽極まり対応を受けた実話が記載されています。許せんな、という思いがこみ上げてきて、こんな自治体の窓口の対応をした連中をすべて刑事告発と民事損害賠償で訴えてやりたい気分になります。
(関連)生活保護 知られざる恐怖の現場-今野晴貴/著 本・コミック : オンライン書店e-hon
https://cutt.ly/Td41HZr
私が見るところ、現在の日本の生活保護行政のひどいあり様(自治体窓口での対応のひどさ)には、次のような原因があり、これを払しょくして抜本改善しない限り、事態はよくならないのではないかと思います。
(1)生活保護給付その他(人件費など)にかかる経費の1/4が自治体負担となっているため、生活保護者を多く受け入れれば入れるだけ自治体の財政が圧迫されることになる。ただでさえ厳しい自治体財政は、それではもたない。全額国が負担する形にしなければダメである。生活保護はナショナル・ミニマムとして国が費用を全額負担し、国が法定受託事務として自治体にやってもらう形でなければいけない。
(2)上記と裏腹の関係で、生活保護審査の基準や内容がひどい。特にプライバシーを侵害したり、生活に必要不可欠な最低限度の資産や現金までもをはく奪するような審査基準は人権侵害である。
(3)生活保護の担当セクションにいるケースワーカーをはじめ、担当公務員の数が絶対的に足りない。新型コロナPANDEMICでこれがさらにひどくなった。また、ケースワーカーに対しては教育や研修が不十分で、保護対象となる方々の基本的人権についての認識が全くと言っていいほどできていない。ケースワーカー自身が生活保護受給者をいじめたり、嫌がらせをしたりしている始末で、およそ人の弱みにつけ込んで、唾棄すべき「人権侵害のデパート」に成り下がってしまっている。
(4)生活保護が受けられることの有権者・国民向け政府広報が・自治体広報が全く不十分であり、また、生活保護を「国からの施し物」のごとく説明したりしている。権利としての生活保障(稲葉さんも同じことをおっしゃっている)の広報活動をもっと積極的にやらなければ、この制度は生きてこない。日本国憲法第25条の生存権保障のための最後の砦である。
(5)行政もひどいが司法もひどい。行政のデタラメを追認ばかりしている。私は司法を叩き直す必要があると強く思っていますが、その前に「生活保護行政」についてのオンブズマン制度を導入し、人権派弁護士をオンブズマンとして採用して、生活保護行政現場へのチェック機能を強化する必要があると思っている。
以上です。稲葉さんは、この論文の最後にこう書いています。「私たちは生活困窮者への個別支援とソーシャルアクションを継続することで、この危機に立ち向かっていく。ぜひ応援をお願いしたい。」⇒ みんなで力を合わせてしっかりと応援していきましょう。また、新型コロナPANDEMICで被害を受けられた方々に対しても、その応援の輪を広めていきましょう。ガンバレ、稲葉さんと、ガンバレ、(社団)つくろい東京ファンドの皆さん、そして同じように反貧困で日々努力をなされているみなさま、です。
(関連)NNNドキュメント ニッポン貧困社会~生活保護は助けてくれない - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=050kAOmNHeM
(関連)第526回:「死ね、と言っているのと同じ」〜生活保護基準引き下げ違憲訴訟、名古屋地裁判決とこれまでの自民党議員による生活保護バッシング。の巻(雨宮処凛) - マガジン9
https://maga9.jp/200701-1/
<関連サイト>
(1)(別添PDFファイル)歪んだ生活保護の現場(『週刊東洋経済 2020.6.27』)
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/23901
(2)10万円、路上には届かない 住所の登録、総務省「ネットカフェでも」:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S14521003.html
(3)コロナで派遣切りするな!/「雇い止め」当事者たちが記者会見
http://www.labornetjp.org/news/2020/0730shasin
(4)コロナで派遣切りするな!厚労省記者会見 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=euZHJrh6LO0&feature=youtu.be
(5)(社説)子どもの貧困 実態把握と支援拡充を:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S14581135.html
(6)階級構造の現実を知る - コロナ時代の新教養 - 特集 - 週刊東洋経済プラス
https://cutt.ly/Ld42cuc
(7)残高119円、資金届かず「もう限界」申請殺到でパンク [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASN7Z6CZ0N7KUUPI00V.html?ref=mor_mail_topix3_6
(8)田中龍作ジャーナル - 上級国民以外はいつ生活困窮者になってもおかしくない
https://tanakaryusaku.jp/2020/08/00023423
(9)田中龍作ジャーナル - 総務省前で野営 定額給付金の支給求め
https://tanakaryusaku.jp/2020/08/00023395
(10)消費税の増税で皆を「受益者」に:井出英策慶応大学教授(東京 2020.8.15)
https://www.chunichi.co.jp/article/104713/
(この世間知らずのお気楽リベラル学者は、まだ前原誠司などとくっついて消費税増税を言っているのか!? 消費税増税の前に、税制でやるべきことが山ほどあるだろうに、お前は財政学者のくせして、それもわからないのか?(例:日本の法人の課税ベースは30%にもいかない低水準=欧米は50%程度ある、例:やりたい放題のタックスヘイブン退治や、非居住者の日本国内源泉所得課税がキチンとできていないではないか!) いや、分かっているのに、あえて言わないわけか!? だったら世間知らずなのではなくて、実に狡猾巧妙なズル賢い御用学者ということになる。どっちだ? :田中一郎)
草々
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