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2020年7月27日 (月)

保育園行政に見る「市場原理主義アホダラ教」政策の結末=保育士の給料を削りに削って何してんだよ、株式会社保育園!(「ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2」小林美希さん『世界』論文から)

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)


(最初に若干のことです)
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1.(予約必要)(9.24)オルタナティブな日本をめざして(第50回):「スーパーシティ構想の危険性:後退させられる自治と民主主義」(内田聖子さん:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-11f035.html

(関連)日本は超監視社会への途を歩むのか。成立したスーパーシティ法案の問題点と法成立後の課題:海渡雄一 ハーバー・ビジネス・オンライン
 https://hbol.jp/220057


2.キャンペーン
(1)原発ゼロの希望ある未来、女川原発の再稼働中止を願う人- 女川原発の再稼働をしないように求める · Change.org
 https://cutt.ly/KscYwv0

(関連)キャンペーンについてのお知らせ · 女川原発署名提出は9月23日の予定! · Change.org
 https://cutt.ly/kscYTc5

(2)キャンペーンについてのお知らせ · 横浜の保育士ストライキをご支援ください! · Change.org
 https://cutt.ly/lscYXjA


3.図書のご紹介
(1)日航123便墜落圧力隔壁説をくつがえす-青山透子/著(河出書房新社)
 https://cutt.ly/GscIezL
(2)財界支配 日本経団連の実相-佐々木憲昭/著(新日本出版社)
 https://cutt.ly/oscUY0F
(3)日本の支配者-佐々木憲昭/著(新日本出版社)
 https://cutt.ly/2scUZJx
(4)ジョン・ボルトン回顧録 (仮)-ジョン・ボルトン 本・コミック : オンライン書店e-hon
 https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refBook=978-4-02-251717-3&Sza_id=MM

(関連)ボルトン回顧録 インテリジェンスのプロはこう読む|日刊ゲンダイDIGITAL
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4028
(関連)(別添PDFファイル)明かされた日本の安保と南北朝鮮問題、トランプ政権を揺るがすジョン・ボルトン氏の回顧録(イントロ部分)(孫崎享『週刊金曜日 2020.7.3』)
ダウンロード - e38388e383a9e383b3e38397e694bfe6a8a9e38292e68fbae3828be3818ce38199e382b8e383a7e383b3e383bbe3839ce383abe38388e383b3e6b08fe381aee59b9ee9a1a7e98cb2efbc88e382a4e383b3e38388e5adabe5b48ee4baabe3808ee98791e69b9ce697a5e3808fefbc89.pdf
http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/003057.php


4.内側から見た「れいわ新選組」 – 安冨歩
 https://anmintei.net/a/688

(田中一郎コメント)
 安冨歩(あゆみ)氏は福島第1原発事故直後から「東大話法」という(自分が所属する東京大学への)批判的用語で有名になった東大教授で、かなり変わった人だというのがその印象だ(東京大学東洋文化研究所教授)。2019年夏の参議院選挙に「れいわ新選組」公認で比例区に立候補しているが、上記はその安冨歩氏が、ちょうどその参議院選の頃に書いた心境メモのような文章である。

一読して、「明治維新によって成立した日本の「国民国家」システムの緩慢な解体期」とか「「富国強兵」の原理は「経済成長」というように言い換えられて今も生きており、安倍政権は「富国強兵」を露骨に再生しようとしている」とか、「意味のあるものが排除され、無意味な書類だけが蓄積されていくのが、現代社会の病理である」とか、「共産党以外の政党は、「選挙に当選して議員になりたい」と思う人が集まって、票を得られる方法をいろいろ考え、それを綱領や政策として出し、「政党」のフリをしている集団に過ぎない」とか、「私は、この無縁の原理の信奉者である。(中略)この無縁の原理こそが、現代社会の抑圧を打ち破る力を我々に与える、と私は考える」など、鋭いなと思わせる発言が散見される。

ただ他方で「まぁ、政策なんかどっちでもいい、と思う」に代表されるように、文章全体にアナーキズム(無政府主義)的なトーンが流れていて、これが将来、よろしくない方向に肥大化していかないか、私には気になるところである。議席少数の批判野党である間はいいが、政権党となり山本太郎代表が総理になる、などといった状況が生れてきたときに、この人は、さて「れいわ新選組」の「同志」として引き続き動けるのかどうか、私には???のような気がしてならない。

(関連)松尾匡立命館大学教授「大西つねきさんの発言をめぐって」に関する私からの若干のこと- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-be37bc.html


5.直近情報から
(1)【災害】高潮の恐怖…都民はどこに避難を?海抜0m地帯を歩いてみた|日刊ゲンダイDIGITAL
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/276377
(2)コロナ禍を機に、クソくだらない仕事を背負わされて「死んでいるように生きる」状態から抜け出そう - ハーバー・ビジネス・オンライン
 https://hbol.jp/224393
(3)社説:一極集中是正 権限財源を移譲せねば:東京新聞 TOKYO Web
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/44752?rct=editorial
(4)欧米の避難所はエアコン、シャワーに食堂も この差なぜ:朝日新聞デジタル
 https://www.asahi.com/articles/ASN7J3GJBN7BUHBI01Y.html?ref=weekly_mail_top2
(5)金子勝教授 政府と東京都の姿勢に疑問「政府も都も自粛以外何もしない」-芸能-デイリースポーツ online
 https://www.daily.co.jp/gossip/2020/07/25/0013543532.shtml
(6)旧優生保護法訴訟 原告側の賠償請求棄却 東京地裁判決 仙台に続き - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/articles/20200630/k00/00m/040/165000c

(かような判決、絶対に許せんワ、ふざけんなバカヤロー! 裁判所にいる「腐ったヒラメ(裁判官)」どもを掃き出す算段を考えないといけない。司法権力を濫用してはばからず、かつ、有権者・国民から何のフィードバックも受けない前近代的な日本の司法システムは解体だ! :田中一郎)
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メールの表題にも書きましたように、日本の保育所行政・保育園運営がデタラメです。全部ではありませんが、株式会社保育園を中心に、保育という福祉サービスが金儲けの手段とされ、保育における保育士という最重要人材が浪費され(「やりがい搾取」)、その賃金がピンハネされて様々な用途に流用され、ひどい場合にはそれが株式会社の配当や保育園経営役員たちの「黒塗りの車」に化けたりしています。また、待機児童解消は、少子高齢化が進んでいるというのに、いつまでたっても進まず、そんな中、さまざまな保育園問題の抜本改革を棚上げにしたまま、多くの批判をよそに、選挙対策として「保育無償化」が認可保育園を中心に実施されることになっています(「無償化よりも待機児童解消が先だ」という当たり前のことにきちんと対応しない)。保育を巡る格差や、子どもたちそっちのけの保育園運営はますますひどくなる気配で、保育サービスの質的劣化と保育行政の欠陥(というか保育行政の無能と無責任ぶり)が同時並行で限界を超えています(社会福祉法人などが経営する保育園も「悪貨が良貨を駆逐する」形で劣化が進んでいる様子です。更に、認可外保育所など、様々な形での保育施設がたくさんありますが、それらは認可保育園以上にひどい状態であることは容易に想像がつきます)。

(関連)保育園・保育所の種類を知ろう!|保育の求人あるある
 https://www.hoiku-aruaru.com/content/blog-knowledge/type/hoikuentype.html

そんな中、今般の新型コロナPANDEMICは、この保育園行政・保育園運営の欠陥やデタラメぶりを目に見える形で浮き上がらせています。中でも許しがたいのは、下記にもご紹介している保育士の給与カットの問題です。国、都道府県、市区町村の税金と保護者が支払う保育料から「委託費」の形で保育士の給与相当額は休園しようがしまいが保育園に対して支給されていて、保育園経営サイドはそれを満額保育士に支払えば済む話です。それを「いつものように」保育士給与からピンハネをして6割しか支給しない(休業補償だとか何とか言ってゴマカス)、あるいは休園閉鎖してまったく支給しない、という保育園が少なからずあるというのです。厚生労働省が注意勧告の文書で通知して改善を求めてもピンハネをやめない、そんな保育園がいくつもあるというのですから、許せんな、と思う次第です。

(関連)コロナで保育士の「給与4割カット」は大問題だ-コロナショックの大波紋-小林美希 東洋経済オンライン
 https://cutt.ly/6scJ4qO

こうしたことのベースには、そもそも保育行政が2000年頃からいわゆる市場原理主義アホダラ教政策の対象となり、それまでは公立の認可保育園や社会福祉法人経営の保育園しかなかったものが、そこに金儲けを主眼とする株式会社保育園がどっと参入してきて、足りない公立保育園に代替する勢いとなり、かつ、行政もそれを促すべく、保育を「儲かるビジネス」とするために、規制緩和や補助金(委託費など)の流用などを認めて、やりたい放題の仕組みを作ってしまったわけです。しかし、保育園経営経費の大半は、保育士の給与と子どもたちのための資材や飲食品ですから、保育園経営で利益や配当、あるいは投資原資をねん出しようとすれば、この肝心かなめの2つの経費に手を付けて「かすめ取らない」限り、どこからも湧き出てくるはずもないのです。

おまけに、下記にご紹介するレポートを見ると、株式会社保育園を中心に(特に悪質な運営をしているところほど)、その経営内容のディスクローズも非常に悪く、まともな決算報告書・業務報告書もディスクロせず、外部の取材からも逃げ回っていて、自分たちの保育園経営についての説明責任をおよそまともに果たそうとしていません。もちろん行政の方も無責任極まりなく(国も自治体も)、こうした事態を改善するための保育園実地検査などに真剣に取り組んでいる様子もなく、徹底した情報開示の法的仕組みを作るわけでもなく、従ってまた、制度を抜本的に転換して、少なくとも保育士給与や子どもたち向けの資材経費のピンハネや流用は許さない体制を創るということもしていない、そんな状態なのです。

そもそも「規制緩和をすれば行政サービスはよくなる」「民営化して民間活力を入れたら行政サービスは活気を回復して効率的になる」「市場原理を入れたら大きく経費削減につながる」などという「根拠なき迷信」が、この日本では1990年頃のバブル崩壊以降、根強く残り続け、今でも、空港民営化や上下水道民営化や国有林民営化や農林水産業規制撤廃などで幅を利かせています。それがそもそもの大間違いで、そういうことを続けてきたからこそ、バブル崩壊以降の日本は経済も社会もボロボロになってしまったのですが、ここまで煮え湯を飲まされても、まだ理解できない大バカ者がこの日本では少なくないようです。津波が来ても自分は大丈夫という「正常化の偏見」の亜種のようなものなのかもしれません。

(参考)人はなぜ「自分は大丈夫」と思うのか,防災研究家の片田群馬大学教授に聞く(前編・後編) - 日経クロステック(xTECH)
 https://xtech.nikkei.com/it/article/Interview/20070409/267753/
 https://xtech.nikkei.com/it/article/Interview/20070409/267754/?i_cid=nbpnxt_reco_atype


私からはこれまで何度も申し上げてきましたが、「民営化」とは「私物化・私兵化」の言い換えであり、規制緩和とは「経営側のやりたい放題」のことであり、市場原理主義とは「1%の利益最優先を合理化するご都合主義の屁理屈」のことだと申し上げています。そしてこれについてもう一つ大事なことは、こうした市場原理主義アホダラ教に基づく「民営化」や「規制緩和」は、行政を「質のいい公共サービスの提供」や「適正化規制・管理」などの有権者・国民のための最も大切な仕事から解放して民間への丸投げを許し、その結果責任からも解放されるという、「行政の無責任化と無能・不作為」をもたらしているということです。また「民間とのつながり」は、そこにおのずと贈収賄などの行政や政治の腐敗が絡みつきます。今般の新型コロナPANDEMICでも、たとえば「持続化給付金」と電通その他で経験したことでありますし、また、生活保護行政の現場では、低質・悪質・人権侵害の民営「無料低額宿泊所」の押付け行政がまかり通っています。いずれも市場原理主義アホダラ教が生み出した「行政の責任放棄」の一つの形態です。

懸念されるのは、今般の新型コロナPANDEMICにより、ひどい労働環境にある保育園が更にひどい状態に陥り、少なくない保育士さんたちが「もう我慢の限界だ、保育士をやめたい」と言い出していることです。下記の本日付け(7/27)日本経済新聞記事は必読ですので、原本にあたって是非ご一読願いたいと思います。誰でもこんな理不尽でひどい職場からは逃げて行ってしまうでしょう。「やりがい搾取」ももういい加減にしろという話です。日本の保育園は、よくなるどころか年々劣化していき、子どもたちにも危険な場所となっているだけでなく、保育士のなり手がないままに保育現場が崩れていく、そんな事態がもう目前に来ています。政治の劣化が行政の劣化を導き、それが保育園と保育行政を潰してしまう、そうしたことが起きようとしているのです。

(関連)(別添PDFファイル)保育士もう辞めたい、「園児が集団感染したら…」負担増す対策 待遇低く現場疲弊(日経 2020.7.27)
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61919310V20C20A7SHB000/


さて、上記で保育園行政のひどさについて申し上げたことは、実は下記にご紹介する岩波月刊誌『世界』に連載されたジャーナリストの小林美希さんのレポートによるところが大きいのです。私には子どもがいませんので、およそ保育園は一生無縁で終わると思っていましたが、たまたま定期購読をしている岩波月刊誌『世界』掲載の小林さんの連載ルポを読んで、そのひどさに驚いたという次第です。ちょうど今月号の『世界』でこの連載が終了となったので、下記にそれを簡単にご紹介するとともに、昨今の保育園に関する情報も添付しておきます。

(小林さんのレポートは第1回目と最終回のそれぞれについて、一部抜粋版を添付しますが、みなさまには是非原本にあたって、すべてのレポートに目を通していただきたいと思います。岩波月刊誌『世界』は図書館などにあります。また、小林美希さんには、今回のシリーズに続いて、認可保育所以外の様々な保育所の現状と問題点や、保育無償化に伴う様々な問題についても、是非、その鋭い徹底した調査と分析によりレポートして下さることに期待いたします。できれば私たちの勉強会「新ちょぼゼミ」にも講師で来て下さればありがたいです)

保育園行政=これこそ最も生活に密着していてプリミティブで難しくない行政の仕事であるにもかかわらず、ひどい内容の行政が続いて、そのしわ寄せが保育士や子どもたちに行ってしまう。しかもそれがいつまでたっても改められないし、また待機児童問題も解消しない。簡単に言えば、この原因は行政と政治にあります。更に端的に申し上げれば、自民党や公明党や維新や、その息がかかった首長や地方議員たちが政治や行政をつかさどっているから改善しないのです。

先般実施された1人10万円の役に立たない現金バラマキ政策に使った税金原資は約13兆円ですが、他方で、この保育園問題(特に待機児童=保育園不足問題と保育士給与・労働条件改善と保育士絶対的不足問題)を解決するための財源は、1~2兆円もあれば、おそらくオツリが来るくらいの話です。バラマキなどやめて、その一部を保育士の給与アップをはじめとする保育園行政の抜本改善に使えばよかった。そして財源のみならず、市場原理主義アホダラ教政策を転換して、「民営化」から「公共サービス拡充」へ、「規制緩和・撤廃」から「適正な規制行政」へ、を徹底させることで、保育所問題は直ちに解決するでしょう。それができていないということは、ずばり自公政治・「維新」地方行政がなくならないからであり、日本の有権者・国民=つまりは幼い子どもを持つ親たちが、きちんとした政治家を選挙で選ぶという肝心かなめのことを放棄してしまっているからに他なりません。その意味では、残酷な言い方かもしれませんが、一種の自業自得であると言えなくもないのです。


(注:保育とよく似た状態にあるのが老人介護です。こちらもまた2000年頃から市場原理主義政策に毒されながら制度化が進められ、老人介護を女性に押し付けずに「社会化」するとの掛け声のもとに多くの株式会社企業が介護ビジネスに参入してきました。保育と同様、介護もまた、そのニーズのある老人やその家族のための公共サービスであるにもかかわらず、それが金儲けの手段とされ、従ってまた、介護士は保育士と同じように低賃金でこき使われて搾取され、また貧乏人に対する介護は儲からないから切り捨てられていくという宿命を負わされたのです。特養も含めて一般に老人介護施設の状態は、老朽化していたり、危険な場所にあったり(水害など)、手入れが行き届いていなかったり、汚かったりと、概して居心地がよろしくないところが少なくなく、とてもお勧めできるようなところでないことが多い状態です(これとは別に金持ち向けの介護付き(高額)老人ホームなどは次々と建設されています)。

また、他方では、介護をしない介護保険制度も作られ、まずは介護度ランク査定で実態以上に「軽い」介護度とされ、更に要支援などの軽度介護必要者とされた老人に対しては介護保険の対象から外して基礎自治体の行政サービスにしてみたり、要介護者についても「特養」(特別養護老人ホーム)に入れる介護度のランクを引き上げて、狭き門を更に狭くしてしまっています。そうしたこともあって、認知症老人を抱える家族や、いわゆる老々介護状態の人たちを中心に、特養への入所待ちは数十万人の規模に膨れ上がっているのです。その人数たるや、待機児童どころの話ではありません。介護士不足は深刻で、問題の抜本改善をしないままに、それを外国人労働者でカバーするなどという愚かなことをやり、更に昨今の新型コロナPANDEMICに突入してからは、介護士不足が決定的となって介護現場の崩壊も始まっている様子です。政治や行政のひどさが老人介護の現場を悲惨なものにしている、それにもかかわらず、未だに介護行政の最大の眼目はコスト削減なのです。私も老人の端くれですから、腹の底からこの事態に対して憤りを感じます。しかし、今の自公政治・「維新」地方行政を一掃して、オルタナティブな政治や行政が始まらない限りは、この悲惨な事態は改善することはないでしょう)


 <別添PDFファイル>
(1)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第1回):情報公開資料から探る賃金実態(イントロ部分)(小林美希『世界 2019.9』)
ダウンロード - e383abe3839d20e4bf9de882b2e59c92e6a0aae5bc8fe4bc9ae7a4be20e881b7e6a5ade381a8e38197e381a6e381aee4bf9de882b2efbc92efbc88e7acacefbc91e59b9eefbc89.pdf
(2)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(最終回):コロナ禍の保育園(一部抜粋)(小林美希『世界 2020.8』)
ダウンロード - e383abe3839d20e4bf9de882b2e59c92e6a0aae5bc8fe4bc9ae7a4be20e881b7e6a5ade381a8e38197e381a6e381aee4bf9de882b2efbc92efbc88e69c80e7b582e59b9eefbc89efbc88e4b880e983a8e68a9ce7b28befbc89.pdf
(3)保育士の賃金カット横行 運営費は休園中も支給されるのに(東京 2020.6.17)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/35571
(4)(新型コロナ)保育士、届かぬ休業補償 パートに「全額」5割切る、「なし」15%超 認可園など調査(朝日 2020.6.26)
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14526547.html
(5)保育士もう辞めたい、「園児が集団感染したら…」負担増す対策 待遇低く現場疲弊(日経 2020.7.27)
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61919310V20C20A7SHB000/
(6)保育士らの声 発信、コロナで噴き出す怒りや不満(東京 2020.5.19)
 https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/message/31678/
(7)保育園、6月も行けない? 親は疲弊「今もギリギリなのに」(朝日 2020.5.30)
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14494563.html
(8)休園で虐待疑いある家庭へ、保育所1割「対応せず」(東京 2020.7.17)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/42951?rct=national
(9)都知事選2020:使命感頼みの保育、コロナ対策過酷、待遇なお低く(毎日 2020.7.4夕刊)
 https://mainichi.jp/senkyo/articles/20200704/dde/041/010/028000c

 <岩波月刊誌『世界』に掲載された小林美希さんの迫真のレポート>
(1)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第1回):情報公開資料から探る賃金実態(小林美希『世界 2019.9』)
(2)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第2回):情報公開資料から探る賃金実態(小林美希『世界 2019.10』)
(3)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第3回):流出する委託費の行方(小林美希『世界 2019.11』)
(4)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第4回):給食と玩具が削られる(小林美希『世界 2019.12』)
(5)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第5回):疲弊する小規模保育(小林美希『世界 2020.1』)
(6)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第6回):規制緩和が保育にもたらしたもの(小林美希『世界 2020.3』)
(7)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第7回):手厚い保育を守るために(小林美希『世界 2020.4』)
(8)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第8回):変動の中の社会福祉法人(小林美希『世界 2020.5』)
(9)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(特別編):緊急事態がもたらした分断(小林美希『世界 2020.7』)
(10)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(最終回):コロナ禍の保育園(小林美希『世界 2020.8』)

(関連)コロナがあぶり出した保育士「ありえない格差」-コロナショックの大波紋-小林美希 東洋経済オンライン
 https://cutt.ly/WsnaZ28
(関連)公然と消える「保育士給与」ありえないカラクリ-コロナ後を生き抜く-小林美希 東洋経済オンライン
 https://cutt.ly/8sndmKE

(関連)ルポ保育格差-小林美希/著(岩波新書)
 https://cutt.ly/ssnsJlN

●ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(最終回):コロナ禍の保育園(一部抜粋)(小林美希『世界 2020.8』)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(中略)度重なる規制緩和により、委託費の弾力運用をめぐっては、二〇〇五年に年間収入の四分の一も流用が可能となり、安倍政権下の二〇一五年には株主への配当まで認められるようになってしまった。保育の業界団体の幹部でさえも「今の弾力運用は、株主への配当まで認めていて規制が緩すぎる。二〇〇〇年の通知まで戻すべきだ」「一定の人件費比率を下回ったら、弾力運用を停止すべきだ」と主張するほどの状況だ。委託費の弾力運用は、確かに「保育への再投資」を実現して、保育の受け皿を増やしたかもしれない。しかし、低賃金で保育士が疲弊し、運営基準を守ることのできない保育所が現れてきたのも事実だ。そうした保育所に、安心して子どもを預けられるだろうか。

(中略)弾力運用の最大の問題は、人件費をどこまで流用していいのかという指標や制限がないことだ。神奈川大学の幸田雅治教授が指摘するように、委託費の弾力運用の通知は、地方自治法で定められる「技術的な助言」で法的拘束力はない。東京都世田谷区が実施しているように、一定の条件のもとで人件費比率が五〇%以下の保育所に独自補助しないことでハードルを設けるなどの施策はいくらでも可能なのだ。

(中略)もう一点、保育士の処遇を守っていくための前提として、国がより詳しく保育士の年収を通知で示す必要がある。現在、毎年度、保育士の全国平均の年収が示されているが、あくまで全国平均にとどまっている。公定価格は「積み上げ方式」なのだから、少なくとも、設定されている全国八つの地域区分ごとに年収を示すことは可能なはずだ。仮に規制強化が難しかったとしても、情報開示は時代の流れからしても必要不可欠で、東京都が取り組む「こぼる」のような情報開示を、全国で行なうことも重要だ。

(中略)保育は、ビジネスでも産業でもない。子どもの最善の利益を考えて、親子を守る役割がある。前述したように、保育士配置も基準ギリギリで違反も多い状態では、保育士は疲弊し、その役割を十分に果たしていくことが難しくなる。だから待遇の改善が必要なのだ。保育の質を守るため、委託費の弾力運用に一定の制限をかける。四半世紀近くに及んだ規制緩和の問題に、決着をつける時が来ている。 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 <関連サイト>
(1)「保育士らは慰労金5万円の対象外」に疑問や不満 なぜ支給なし?厚労省に聞いた(J-CASTニュース)
 https://www.j-cast.com/2020/06/03387249.html?p=all
(2)犠牲になるのは保育士と園児たち 保育園の「委託費の弾力運用」問題
 https://cutt.ly/ssndrXr
(3)広がる保育士感染に現場から悲痛な声 濃厚接触、3密も「原則休園は3割」 - 毎日新聞
 https://cutt.ly/UsnftE1
(4)新型コロナ感染で保育園休園、代替措置実施は3割 遅れる対応、保護者負担大きく-毎日新聞
 https://cutt.ly/ZsnfQIb
(5)保育園、入れない子いても「0」待機児童の数え方とは:朝日新聞デジタル
 https://www.asahi.com/articles/ASN6Y5K4QN6SUTFL00T.html?ref=hiru_mail_topix2_6
(6)保育園再開 「3密」回避対策も「子どもは身体的接触で心が安定する」悩み - 毎日新聞
 https://cutt.ly/SsngHcI

大丈夫?保育の質 - 子育て世代がつながる - 東京すくすく ― 東京新聞
 https://cutt.ly/Ysnf11c
草々 

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