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2020年4月29日 (水)

出来もしない「ベーシックインカムやるやる詐欺」にご注意を!:日本経済や社会を立て直すのに必要な財源を浪費して、放漫財政への道を掃き清める「愚か者論者」たち

前略,田中一郎です。


すでに何度も何度も申し上げてきておりますが、依然として「物事の道理」が頭の中に入っていかない人たちがいるようですので、再度、簡単に申し上げておきます。昨今のサイトをいくつかご紹介しておきます。

<日本国憲法>
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


1.【コロナ不況】ベーシックインカムは実現可能なのか?「一律10万円給付」の今こそ考える(BUSINESS INSIDER JAPAN)
 https://www.businessinsider.jp/post-212009
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200428-00000004-binsiderl-pol

 日本における「健康で文化的な最低限度の生活」のために1年間で必要な金額は、1人当たり200万円程度ではないかと推定しますと(これでは少なすぎるというご意見の方が多いと思いますが、今回の議論では少なめに見ておきます)、これを国民総人口1億2700万人+在日外国人約300万人全員にバラマクために必要な財源は、

 200万円×1億3000万人=260兆円

この金額が毎年必要になります。上記サイトの記事は、この点について何の言及もありません。つまり、ベーシックインカムばやりの「流行」に押し流されて、情緒的にテキトーなことを書いているにすぎないのです。仮に1回だけのバラマキ(ヘリコプターマネー)でも、この金額ではとても無理でしょう。

更に申し上げておけば、ベーシックインカムやヘリコプターマネーを、社会保障制度の一環だと勘違いをしている人も結構多いのですが、全く違います。ベーシックインカムやヘリコプターマネーという政策の原型は、その見返りとして、極端な夜警国家論を前提にしています。つまり、警察や軍隊を除くあらゆる政府の機能を無用のものとし、国家官僚や自治体官僚をほぼ全員解雇して、政府や国家の経済的機能を消去することが前提になっています。そうすることで、政府・自治体機能を維持するための役人の人件費その他が大幅にカットされ、この政策のための財源が確保できるというわけです(原型は、その財源の限りでやれ、というものです=つまり、給付の水準が「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するか否かはカンケーネーということです)。

昨今は、さすがにこのような究極の「小さな政府」論=市場原理主義政策論は受け入れられないので姿を消していますが、しかし、ベーシックインカムやヘリコプターマネーの「バラマキ的」本質のところは変化ありません。そしてその根底には、少し前に批判した「どん底への競争」という、全ての人間がかかえもつ「ねたみ、そしり」あるいは「支配権力への抵抗放棄」「世直し絶望感」のたぐいに基づく愚かな「経済弱者バッシング」があるのです。つまり誰もが持つ「ゲス根性」がその土台です。人間はみな「ちょぼちょぼ」ですから、誰にもこういう感情が潜在的にあっても仕方がありません(しかし、そのまんま放っておいていいはずはないのです)。

いわば、ベーシックインカムやヘリコプターマネーといった経済政策は、市場原理主義アホダラ教(究極の小さな政府論)と、「経済弱者バッシングによるどん底へ向けた競争」と、そして、政策の実現可能性をしっかりと考えようとしない、あるいは当該政策の悪性なインパクトを考慮しない、流行に流される情緒的な感覚、との共同合作であると言えるでしょう。無理に実行に移せば、間違いなく財政は破たん状態となるでしょう。

注:「ターゲット分野」を決めて行う「普遍主義的政策」はベーシックインカムやヘリコプターマネーとは違いますが、しかしこれも巨額の財源が必要になることが多いです。最近では、2009年の旧民主党政権が「子ども給付金」支給に必要となる財源(約5兆6千億円)を確保できず、公約を守れないで挫折した事例があります。私はこの普遍主義的政策を頭からは否定しませんが、財源確保や他の政策とのバランスなどをしっかりと考慮に入れて検討し、慎重な態度で臨むべきだと考えています(2009年旧民主党政権の失敗を繰り返さない)。当面は、たとえば小中学校の完全給食実現と給食の無償化や、大学授業料の大幅引き下げ、などが検討されていいと思います。保育園の無償化は待機児童がたくさんいる中では時期尚早です。保育園を増設し、保育士の給与を大幅に引き上げる支援政策・補助金行政改善が先です。

国債の発行は、現状の日本の国家財政から見て、まだかなりの金額で可能です。また、市場原理主義アホダラ教やバブル経済崩壊、あるいは福島第1原発事故などで痛めつけられた日本の経済や社会の現状を再生し、有権者・市民の生活や生存をきちんとしたものにしていくためには、単なる財政支出の増額ではなくて、制度改正を伴う財政支出構造の転換や歪み切った税制の抜本改革が必要です(消費税は減税してのち廃止し奢侈品物品税に転換)。つまり、財政支出を積極化させ、同時並行で制度改正も行って、日本経済や社会を転換していけばいいという考え方です。金融政策はもうだめです。日銀がやっている今のようなことは、やればやるほど益々おかしくなり、泥沼にはまっていくだけです(ねずみ講=金子勝立教大学教授)。


2.「コロナ危機」から国民を救う政治家を登場させる方法【中野剛志:国民を救う強力な経済対策ワクチンを処方する】(BEST TIMES) - Yahoo!ニュース
 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200428-00011613-besttimes-bus_all

中野剛志さんの著書『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』については、私の「新ちょぼゼミ」で取り上げて複数回にわたってご説明してきました(下記サイトを参照)。全くの机上の空論に過ぎない現代経済学に比べれば、中野剛志さんの議論はずっとずっといいのですが、それでも、80%正しく、20%は間違っている、と私から「感覚的に」コメントしています。

今回の上記サイトでの議論も、80%OK、20%×、といったところです。1つはMMTに対する評価が甘い、2つ目は財政支出を提唱するのはいいのですが、それがマクロ経済的な「量」の問題としてだけ論じられているのがよろしくない=制度化改革という「質」の問題としても論ずるべき、3つめは、中央銀行の日銀に積み上がっている巨額の保有国債と銀行の預け金(ブタ積み預金)のリスクについて言及も懸念も示されていない、4つ目は、日銀と公的年金基金の巨額の購入株式という時限爆弾、5つめは、放漫財政という政治的な潜在的危険性の軽視(ケインズのハーヴェイロード仮説に関する無警戒)、などが、私から見ると甘い=つまり、20%×、の部分ということです。

(関連)オルタナティブな日本を目指して(新ちょぼゼミ バックナンバー)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-cddae1.html
 (上記サイトの下の方をご覧ください)

(関連)コロナPANDEMICの経済対策とベーシックインカムについて(まだ「BI」だなどという人たちがいる!) 世界の株価が暴落を始めた! いよいよ待ったなしの危機に突入か!?- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-0025d3.html

(関連)次期衆議院選挙へ向けての「市民と野党の共闘」の総合政策と、当面する緊急経済対策について(その6):新型コロナPANDEMICに対する緊急経済対策の基本的な考え方- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-180bde.html


3.関連サイト
(1)金子勝教授「アベ恐慌が来る」とツイート(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200428-00000140-dal-ent
(2)【金子勝の言いたい放題】No10 アベ「大恐慌」に備えよ 20200403 - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=tkOjN1da5dk

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(下記が「日本経済や社会を立て直すのに必要な財源を浪費して、放漫財政への道を掃き清める「愚か者論者」たち」)

(1)森永卓郎が提言「毎月10万円給付を!」~誰も負担せずにできるというその仕組みは(ニッポン放送) - Yahoo!ニュース
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200422-00000014-nshaberu-soci
(2)国債発行で100兆円の給付を 全業種支援で自民山本・安藤氏提言(ロイター)Yahoo!ニュース
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200424-00000125-reut-bus_all
(3)西田 昌司 氏 自民党参議院議員:FACTA ONLINE
 https://facta.co.jp/article/201907020.html
(4)“禁じ手”に手を染めた「中央銀行の不安」と「中央銀行への不安」(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース
 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200428-00236013-diamond-bus_all
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草々 

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