« 化石燃料大量消費と地球温暖化問題を巡る議論について:地球温暖化についての見解の相違で脱原発勢力が対立するのは愚かです + 新型コロナ続報など | トップページ | (報告)(3.16)古川元晴弁護士講演「東電元幹部の刑事責任ー無罪のままでは済まされない:危惧感説(合理的危険説)で考えてみよう」+ 転載・拡散のお願い=森下俊三氏のNHK経営委員辞任を求める署名 »

2020年3月16日 (月)

日本の大学は腐っている(3):科学者と軍事研究(池内了:岩波新書から)+ 地球温暖化と石炭火力に関する議論について(続報:最近の日経記事他)

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)


(最初に若干のことです)
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1.(3.31)オルタナティブな日本をめざして(第41回):「幻想の新型原子炉:超高温ガス炉(VHTR)と小型原子炉」(新ちょぼゼミ:後藤政志さん)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/12/post-66e445.html


2.イベント情報です
(1)(4.11)シンポ「地球温暖化・生物多様性・地域循環型の町づくり――女川原発再稼働に反対する!」
 http://chikyuza.net/archives/101691
(2)(別添PDFファイル)(チラシ)(4.16)福島原発被害東京訴訟 第1陣控訴審第3回公判&報告会
 https://cutt.ly/XthsGl3


3.経産省、関電に業務改善命令 - Yahoo!ニュース
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200316-00000008-asahi-bus_all

(経済産業省は電力会社に対して法的な許認可権限を持っているのですから、自らが関西電力に監督監査に入り、法的な権限を行使しながら徹底した調査ができるはずです。それを関西電力に対して「自ら調査せよ」などと、ドロボウにドロボウの取り調べをするようなことを命じておいて、中途半端なことしかできない「第三者委員会」の報告を受けて、待ってましたとばかりに「幕引き」の「(形だけ)業務改善命令」を出しています。また、その第三者委員会も、刑事告発は難しいなどと、寝ぼけたことを結論で導き出しているのです。このバカバカしい原子力ムラの茶番劇を真に受けてはいけないのです。(口先だけの)再発防止などではなく、態勢が抜本的に変わらない限り原発の運転・運営は無期停止の処分を下すべきところです。そうしなければ、原発ムラの腐敗構造は変わりません。:田中一郎)

(関連)関電第三者委 刑事告発難しい - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/pickup/6354125


4.(メール転送です)宇都宮けんじさんに、都知事選立候補要請をするための署名
 https://forms.gle/o1qUyRDFVFVfUf9SA

(関連)宇都宮健児さんに東京を託したい! 〜宇都宮都政を求める会〜 うつけんTOKYO
 https://sites.google.com/view/utsukentokyo/top


5.キャンペーン
(1)市民意見広告運動 - 2020年期(第22回)市民意見広告運動の賛同呼びかけを開始しました
 https://www.ikenkoukoku.jp/news/676/
(2)(別添PDFファイル)(チラシ)フリーター労組は労働相談ボランティアを募集しています(2020.3)
http://freeter-union.org/
ダウンロード - efbc88e38381e383a9e382b7efbc89e38395e383aae383bce382bfe383bce58ab4e7b584e381afe58ab4e5838de79bb8e8ab87e3839ce383a9e383b3e38386e382a3e382a2e38292e58b9fe99b86e38197e381a6e38184e381bee38199.pdf

(上記(2)は集会でもらったチラシです。詳細は知りません)


6.(メール転送です)3/12 立憲5野党へ消費税5%の緊急提言を届けました
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 従来、「99%のための経済政策フォーラム」運営委員会は、経済政策として消費税の低減を立憲野党に要望し、その税率%については政党間の協議に依るとして来ました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大と、安倍内閣の場当たり的独断による被害拡大という新しい局面を迎え、立憲野党が少なくとも消費税率5%への低減を揃って打ち出すことが緊急に必要と判断し、提言書を、立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の各党に届けました。提言の文面は下記HPをご覧ください。
 https://99forum.jimdofree.com/
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(田中一郎コメント)
 今回の「立憲5野党へ消費税5%の緊急提言を届けました」は「GOOD JOB!」です。今後、タイミングを見計らって、更に、「次期衆議院選挙へ向けての「市民と野党の共闘」の臨戦態勢を創ってください」を提言していただければと思います。

経済政策については、私から下記の5点を申し上げておきます。私は今の立憲民主党執行部がこうした経済政策をきちんとできるのかどうか、かなり怪しいのではないかと見ており、もしそうだとすると、仮に立憲民主党首班の内閣が出来て政権交代がかなったとしても、またぞろ2009年の民主党政権のようになってしまうのではないかと危惧しています。有権者・国民に真にためになるオルタナティブな経済政策を実現できないような野党第1党ならば、近々、退いていただくほかないのではないかとも思っています。

1.国債を増発しての消費税減税はスジが悪い話です。持続可能性が乏しい。

2.税金を払わない大企業、納税から逃げ回る富裕層、日本国内で事業をして利益を上げても納税しない外国企業、この現在の日本の税制の3大巨悪から、きちんと税金をとれば、消費税減税ないしは廃止をしても、十分におつりが来ます。

3.今日の日本経済の閉塞感を払しょくするには、①市場原理主義政策との決別(民営化という私物化、規制緩和という特権企業のやりたい放題、TPPや日米FTAや日欧EPAなどの国際経済協定他をやめる)、②財政政策の積極的展開によるデフレ経済からの脱却、の2つが重要です。

4.にもかかわらず、財政危機をいたずらに煽り、財政再建が最も重要・最優先であるかのごとき議論を展開するのは愚かである。

5.但し、財政支出の内容を徹底的に精査・見直しを行い、その支出構造を抜本的に転換する。有権者・国民の生活改善や今後の日本経済にとって重要な政策以外の無駄を大胆にカットする。

詳しい話は下記サイトの下の方をご覧ください(経済政策)
オルタナティブな日本を目指して(新ちょぼゼミ バックナンバー)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-cddae1.html

また、4/12(日)の「新ちょぼゼミ」では、金子勝立教大学教授による岩波月刊誌『世界』(2020/4)誌面上での山本太郎「れいわ新選組」批判論文についてコメントする予定ですので、よかったらご参加ください。

*(4.12)オルタナティブな日本をめざして(第42回)「戦後改革の歴史的位相:帝国の解体と象徴天皇制」(新ちょぼゼミ:山田朗明治大学教授)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/01/post-2d4991.html

(関連)もし君が首相になりたいと言うならば(イントロ部分)(金子勝『世界 2020.4』
 https://cutt.ly/athdz6z
(関連)政策 - れいわ新選組
 https://reiwa-shinsengumi.com/policy/
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日本の大学が腐っています。今回は「その3」=科学者と軍事研究(池内了:岩波新書から)をお送りしたいと思います。池内了先生の下記著書はコンパクトな新書ですが、その内容は充実しており、昨今における軍産学共同のありようを一般市民にもよく理解できるよう、わかりやすく丁寧にご説明して下さっています。みなさまにもご一読をお勧めいたします。今回はその中から、2カ所ばかり、ほんのわずかな部分を一部切り取って、みなさまにご紹介申し上げます。(下記のユーチューブ掲載のVTRは少し古い録画です)

科学者と軍事研究-池内了/著(岩波新書)
 https://00m.in/z8ERg

(関連)兵器と大学 なぜ軍事研究をしてはならないか-池内了・小寺隆幸編(岩波ブックレット)
 https://00m.in/HiJu4
(関連)科学者と戦争-池内了/著(岩波新書)
 https://00m.in/5yFmH

(関連)「大学は軍事開発研究を市民が見ていることを知ると躊躇する!」~池内了氏が軍学共同の現状を報告!青井未帆氏・杉原浩司氏も講演――NAJAT11.15集会17.11.15 - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=DWvv-6o3h0w
(関連)学問の自由の危機「軍事研究の協力拒否を宣言する大学が多く出てくることを願う」――池内了名古屋大名誉教授ら軍学共同反対連絡会が記者会見で訴え 17.1.31 - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=HVkv7DAjFhE

(関連)軍学共同反対連絡会 – Japanese Coalition Against Military Research in Academia
 http://no-military-research.jp/
(関連)筑波大学(国立大学協会会長校)の大規模軍事研究に反対する署名にご協力を! (2020/03/04)
 http://no-military-research.jp/


1.(別添PDFファイル)防衛省と大学との研究交流 & 米軍資金(一部抜粋)(『科学者と軍事研究』池内了:岩波新書)
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 (別添PDFファイル)現在進行中の防衛装備庁との技術協力一覧(一部抜粋)(『科学者と軍事研究』池内了:岩波新書)

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 池内了先生は、この新書の中で「(防衛省並びにその関係機関・研究所との)研究交流」「大学教員と防衛省との協力関係」「学生インターンシップ」「米軍資金」「なぜ米軍資金に群がるのか、米軍の狙いはどこにあるのか」の各節表題を順々に掲げ、それぞれについて丁寧に現状の説明をなさっています。下記にその一部を抜粋してみましょう。

 <(防衛省並びにその関係機関・研究所との)研究交流>
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(中略)研究交流という形で大学教育の現場に防衛省の人間が入り込み、その軍事化路線に大学人を引っ張り込む(大学に食い込む)状況が生じているのである。このような「交流」はもう10年以上続いており、通常のカリキュラムに組み込まれるようになっていて日常化しており問題が多い。
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 <大学教員と防衛省との協力関係>
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(中略)このようにさまざまな機会を通じて防衛省と関係を持った大学教員は、何がしかの報酬を得ることもあって、防衛省に対して少なくとも否定的な感情を持つことがなくなると考えられる。防衛省はそれを期待しているのである。防衛省の存在を認知させ、さらに協力する素地を作っていくことを目指しているのだから。自衛隊の基地を一日間放して多くの子どもたちを受け入れ、武器に触らせたりブルーインパルスで感動させたりして、自衛隊への親近感を強めるのと同様で、警戒心のない大学教員を気楽に防衛省の催しに協力させて仲間に引き込んでいく手法と考えねばならない。
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 <学生インターンシップ>
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(中略)この10年来、防衛省が意識的に学生対策として行なっていることとして「学生インターンシップ」がある。学生の体験入学を受け入れて、その感想文をホームページに掲載するなどして宣伝に努めており、学生勧誘に余念がない。各大学は随衛省のインターンシップ募集のチラシを一般企業とまったく同じ扱いで学生に公示しており、大学当局(学生部委員)や学生課職員の鈍感さに呆れている
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(大学構内で市民運動・社会運動のイベントチラシでも配布しようものなら、人相の悪いガードマンが飛んできてそれを妨害し、やめさせようとするのが今日のほとんどの大学のあり様です。更には、下記のようなことまでやっています。にもかかわらず、他方では上記のような軍学共同を平気でやっているのですから、開いた口が塞がらないというものです。それはともかく、オーナー会社その他の民間会社でも、雇い人としての優越的地位を濫用し、自衛隊への体験学習(戦争訓練)参加を職員に強要するところもあります。頭の中が腐っているのでしょう。:田中一郎)

(関連)東洋大、竹中平蔵氏批判の学生に「退学」勧告? 立て看板とビラ配布 - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/articles/20190125/k00/00m/040/410000c

 <米軍資金>
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米軍からの大学等の研究者への資金供与は、第二次世界大戦終了後間もなく始まったと思われるが、明確な証拠があるのは一九五九年以後であり、現在もなお続いている。最初にこれを暴いたのは朝日新聞で一九六七年の五月のことであった。それによって日本学術会議が一九六七年に軍事研究を拒否する「声明」を出し、前年に開催した国際会議のために米軍からの資金を受け取った日本物理学会が、一切の軍事および軍事組織と関係しない「決議3」を採択したことは前著『科学者と戦争』で述べた。

(中略)多くの大学ではたとえ米軍からの金であっても教員の意向を尊重して問題にしないようで、ほとんどの教員は気楽に受け入れている。その結果報道されたような実績となっているのが現実である。研究者が個人契約によって資金を得ることについて大学当局は基本的には干渉しないのだ。むしろ最近では、外部資金を多く稼いでいるとして、大学当局から褒められるくらいである。

(中略)さらに、米軍資金の流れに新しいルートが現れたとの報道もあった。まず米軍から大学の名誉教授に資金供与があり(名誉教授は退職した教員だから大学への届け出は不要)、その名誉教授が現役の教員に寄付するという方法である。こうすると大学には寄付者として名誉教授の名前しか出ず、米軍からの資金供与とは気づかれないから問題にされる可能性が全くない。このように、さまざまな形で迂回援助を行なって日本の学術界に食い込み続けるというのが米軍の作戦のようである。
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(よりによって外国の軍部から、ステルス型寄付金をもらって、素知らぬ顔をしている、というのが今日の大学の実態らしい。あきれるどころではない。どうしようもない腐れようだ。今こそ「大学解体」ではないのか!? :田中一郎)


 (田中一郎コメント)
 日本の大学=アカデミズムが「総御用化」の様相を呈し、国家権力や巨大企業など、支配する側・権力を持つ側の理不尽な振る舞いや人権侵害を、アカデミズムが合理化したり、言い訳したり、理由付けしたりして、追従・追認する嘆かわしい事態が日常化し始めています。軍産学共同もまた、その中の深刻な腐敗・堕落の1つと考えていいと思われます(他にも原発・核、放射線被曝、バイオテクノロジー、化学物質などなど山のようにあります)。嘆かわしいを超えて、看過できないまでに度が過ぎていて、そもそも学問研究の存在意義を疑わせるどころか、存在そのものが「悪の片われ」「雇われ御用似非科学」「嘘八百屁理屈体系」と化しているのです。アカデミズムもあったものではありません。

軍学共同でカネをもらって研究をして、その結果生まれてきた「効率的効果的な人殺し道具」「敵社会徹底物理的化学的生物学的破壊道具」を、自分や自分の家族、親戚・友人・知人・所属組織には害が及ばない「カンケーネー」ものだとでも思っているのでしょうか? そう思うなら、一度その兵器を肩に担いで、一兵卒として戦争の最前線にでも行ってこい、と言いたくなります。自衛のための兵器開発なら構わない、などというのは、ご都合主義的な言い古されたヘボ言い訳に過ぎないのです。そんなことを発言した時点で、学者として、研究者として、失格です。何故なら、学者・研究者というのは、物事を徹底して突き詰めて考え検討する職種であり、ご都合主義の立場に立った時点で資格を失うからです。

最近、下記のような図書が出版されて話題になり、よく売れているとのことです。「今だけ、カネ(研究費)だけ、自分(の研究)だけ」のエゴイズムや視野狭窄を強める日本の学者・研究者たちは、内田樹(たつる)氏に言わせれば「サル」だということになるのでしょう。まさに無能なゴロツキ政治家が君臨する政府・防衛省や、世界中で戦争を引き起こして回っている米軍・国防総省・米国軍産情報複合体などからエサをもらって、「サル回し」のサルのごとく踊っているのが今日の日本の学者・研究者たちと言えるのではないかとも思ってしまいます(日本の大学に少数ですが存在していらっしゃる良心的な学者さんたちは、今日の大学が極めて居心地の悪い職場となっているように推察します)。カネをくれれば何でもやります、ということなのでしょう。その結果、日本の大学の研究力や学力、学生たちの知的水準が、見る見るうちに低下して活力を失い、世界の趨勢からだんだんと引き離されていく・落ちこぼれていく、そんな事態にまで至ってしまっているように思えます。

(関連)サル化する世界-内田樹/著(文藝春秋)
 https://00m.in/XGKpc

(関連)「サル化する世界」についてのインタビュー - 内田樹の研究室
 http://blog.tatsuru.com/2020/03/03_0856.html

私は今の大学生や大学の若い研究者についても問題だらけだと見ています。まず第一には、さまざまなことについてのリアリティにかけている=認識自体がおかしい、まるでスマホゲームかテレビドラマのような感覚で物事をとらえ、そのレベルで判断を刹那的に下して、それを検証してみようともしません。権力を持つ組織や人間たちの振る舞いに対して懐疑的批判的な発想や疑いの目を向けるということを知らない、まさにインキュベータの中の精神的にひ弱な人工植物のように見えてしょうがないのです。第二に、その結果として、今日の大学自治の解体を進め、学問の自由を少しずつ奪って学問を権力のご都合主義的な下僕道具にしようと考えているアベ政権・自公政治に対して、全くと言っていいほど異議申し立ての動きも感情も持ち合わせていない様子で、そもそも大学に何しに来ているの? という状態に陥っているように思えることです。

少なくとも若い時期=青春時代を「真の学問」に接して、その感動や教訓をその後の人生に生かしていく、組織環境や権力に盲従するだけの人間の生き方ではなく、価値実現の可能性やその是非を自分なりに追いかけて検証してみる、そういう大学生としての本来の在り方がどこかへ吹き飛んでしまい、場合によっては今日の大学が「総合娯楽センター」、あるいは「より良き就職のための足場・踊り場」と化しているのではないかとも思われて仕方ありません。そういう腐敗・堕落した大学が、軍部からカネをもらって人殺し道具の研究開発にいそしみ、それについて何の懸念も後悔も反省も罪の意識もない状態が生まれ始めているというのは、さもありなんことなのかもしれません。

日本はよく資源小国などと言われます(私はそうは思っていませんが)。そんな日本にある資源といえば、私は何をさて置いてもまず人的資源であり人材ではないかと思うのですが、それを鍛える大学が腐り、日本国中の大学が御用化していく今日のあり様は、この国の近未来の没落・破滅を予期させるものとして、ゆゆしき事態ではないかと思います。みなさまも軍学共同反対の市民運動・社会運動に立ち上がっていただき、返す刀で、大学の正常化=学問の府としてのあるべき組織への転換を実現させていく動きにも、ご協力をいただきますよう、切にお願い申し上げます。私とたんぽぽ舎が主催しております「新ちょぼゼミ」でも、この問題を今後取り上げていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

なお、別添PDFファイルには、この新書の中で記載されていた「現在進行中の防衛装備庁との技術協力一覧」(2017年段階)を添付しておきます。ここには横浜国立大学や慶応大学、九州大学など、7大学6公的研究機関の名前が挙がっています。今だともっと数が増えているかもしれません。ここに名前が挙がった大学などの組織については「恥を知れ!」と申し上げておきましょう。


2.(別添PDFファイル)日本学術会議の組織変遷(一部抜粋)(『科学者と軍事研究』池内了:岩波新書)
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 アベ政権・自公政治が巨額の予算を投じて進める「安全保障技術研究推進制度」が契機となり、今から少し前に日本のアカデミズムを代表する組織である日本学術会議の専門委員会「安全保障と学術に関する検討委員会」が「軍学共同問題」を検討議論し、報告書を策定しました。その中身は、日本学術会議がアジア太平洋戦争時の日本のアカデミズムの在り方への深い反省と「二度と戦争に協力はしない」という決意から、軍学共同を拒否する声明をかつて二度に渡って出していますが(1950年と1967年)、基本的に今回もそれを踏襲する内容となりました。そして日本学術会議はその報告書に沿った声明を出しています。今日の日本のアカデミズムの危機的状況から鑑みて、この報告書や声明は非常に重要で価値のあるものとして受け止めることができます。関係された研究者のみなさまには心より感謝申し上げたいと考えています。

しかしながら、今回の日本学術会議の報告書や声明は、もろ手を挙げて歓迎し称賛できるものでもなさそうです。その仔細を池内了先生はこの新書の中で詳しくご説明されていますが、中でも今回ご紹介する「日本学術会議の組織変遷」は、今後のこの組織の機能や役割について重大かつ深刻な懸念をもたらすものだと思われます。日頃、私たち一般市民には、日本学術会議などのアカデミズム組織はあまり関係がありませんが、しかし、日本の科学やアカデミズムの在り方を考える上では決定的に重要な1つのファクターではないかと思われます。

簡単に申し上げれば、まともな政権交代がないままに何十年間も自民党支配ないしは自民党型政治の支配が続くこの国で、科学や学問を時の権力の下僕として都合よく使いたいという考えから、当初発足した時の日本学術会議とは似ても似つかない「御用化組織」に組み替えられてきた、情けないほどにお粗末な組織改悪の歴史が説明されています。そしてあまり明確には記載されていませんが、こうした「上からの日本アカデミズムの再編」に呼応して、世渡りうまく立ち回る日本学術会議や日本アカデミズム内の「御用研究者」による「下からの改悪迎合」があったようにも思われます。いずれにせよ、この章の池内了先生の記述は大変貴重で、みなさまにも是非ご一読を願いたいところのものです。以下、一部抜粋しておきます。

(一部抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(中略)翌二〇一五年に防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」が具体的に動き出したことから、これを問題にする日本学術会議会員も増えてきた。大西会長があちこちのマスコミに登場してこの制度の許容論を主張したため、あたかも日本学術会議の公式意見であるかのように受け取られる状況になったからだ。このような情勢の中で慎重派の会員が声を上げ始め、結局二〇一六年五月に、日本学術会議として公式にこの間題を正面に据えて議論する「安全保障と学術に関する検討委員会」を発足させることになった。私たちはこの委員会の議論を注視しつつ、必要な場合には意見を述べて日本学術会議が真っ当な声明を出すように働きかけることにした。第六回の検討委員11月18日開催)で、私が参考人として述べた議論を第2節にまとめている。

最終的に、検討委員会でまとめられた意見が合意を得て二〇一七年三月二四日に「軍事的安全保障研究に関する声明」が出され、四月一三日にはその付属文書である「報告:軍事的安全保障研究について」が出された。その内容については第3節にまとめるが、大学等における軍事研究に関して一九六七年以来五〇年ぶりの声明であり、その歴史的意義は大きい。

この「声明」に呼応して、多くの大学が防衛省の「安全保障技術研究推進制度」には応募しないとの態度表明をしているが、それに反対して応募することを奨励する大学も少数ながらある。また、二〇一七年度の応募結果に見るように、公的研究機関と企業が「声明」に関わりなく多数応募していることが目につく。この状況が今後どのような影響を与えるか予断を許さない。

このような日本学術会議における議論の経過をまとめるのが本章の目的であるが、その詳細に入る前に、第1節において日本学術会議の会員達出方法の変化について解説しておく。発足時から大きく様変わりしたため、研究者でも日本学術会議の現状を知る人間が少なくなり、ましてや市民の方々の多くに日本学術会議の詳細が衆知されていないようなので、ここで整理しておくことにする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


*「いちろうちゃんのブログ」より
(1)日本の大学は腐っている(1):学問や真理の探究、大学の自治など何処へやら=今や「反社会的勢力」の端くれに成り下がったのか!? 日本の大学- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-8d00.html

(2)日本の大学は腐っている(2):正体を現した似非アカデミズム=「住民に背を向けたガラスバッジ論文ー7つの倫理違反で住民を裏切る論文は政策の根拠となりえない」(宮崎真&早野龍五論文)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-5dd5.html

(3)日本大学夜明けかたそがれか!?:「新しい日本大学をつくる会」(代表:牧野富夫元日大副総長)が田中英寿理事長他の日本大学経営陣の責任を追及して損害賠償請求訴訟を提訴- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-e7c494.html
草々


 <追>地球温暖化と石炭火力に関する議論について(続報:最近の日経記事他)
 以下を他のMLに発信していますので、追加情報としてお送りいたします。

・・・・・・・・・・・・・・
(その1)既に申し上げておりますが、地球物理学が専門でもない一般の市民が、地球温暖化や化石燃料原因説についての議論を繰り返すことは、私は無意味だと考えています。地球温暖化が進んでいようがいまいが、化石燃料の大量消費は改めるべきですし、CO2の大量排出は環境の面から見てもやめた方がいい、ということです。

化石燃料大量消費と地球温暖化問題を巡る議論について:地球温暖化についての見解の相違で脱原発勢力が対立するのは愚かです + 新型コロナ続報など- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-adbb3c.html

むしろ私たち市民が議論をしなければいけないことは、
(1) 脱原発ロードマップを早く作る

(2) CO2の大量排出や化石燃料の大量消費を回避するための具体策=つまりはエネルギー政策の在り方を検討する(含むエネルギーの消費)(但し、再生可能エネルギー100%を今すぐ実現や化石燃料を一切認めないなどの極論には反対です)

(3) 近未来の日本社会や経済の在り方(エネルギー消費を中心にして)

(4) 上記を実現するためには今日の政治を転換しなければいけません。まずは国内政治の抜本転換、並行して世界の環境を守る外交展開をどの様に行うのか、

などであると考えています。


(その2)
昨今の日経から、地球温暖化と石炭火力に関する記事を3つばかりご紹介しておきます。そのうち2つは森林火災についての記事で、一方は地球温暖化が原因だと言い、他方は原因不明だという(インド洋の気候現象が原因か?)。私たち市民がこうした記事を見た時に考えなければいけないことは、大規模森林火災による二酸化炭素の大量発生や環境・生態系の致命的破壊の原因は地球温暖化なのか否か、ではありません。(そうしたことは科学者たちの研究に任せておけばいい)

 <別添PDFファイル>
(1)森林大火災、「主犯」は温暖化(日経 2020.3.15)
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO56757070T10C20A3MY1000/
(2)インド洋変調 豪火災招く(日経 2020.3.6)
 https://r.nikkei.com/article/DGKKZO56430720V00C20A3TJN000?s=5
(3)石炭火力、崩れる価格優位、日本で新設断念の動き(日経 2020.3.7)
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO56518700W0A300C2EA4000/

大事なことは、どういう原因かはよくわからないけれど、山火事が発生したら早期に消火できる体制をつくる、ということです。それを政府や自治体にさせていくようにしなければいけません。福島県の例で言えば、あれだけ放射能で汚染された森林が広がっているのに、まともな山火事防止対策さえ国も自治体もしていないということです。その森林が燃えれば、放射能は拡散します。温暖化論議よりもはるかに重要なことは、森を燃やすな・火が出たらすぐに消せ、そのための日常不断の体制を国や自治体の行政が作れ、ということです。更に申し上げれば、熱帯雨林を破壊しているような産品(たとえばパーム油)の輸入はやめよ(止めるための行政上の措置を取る)、ということです。

もう一つの記事は、石炭火力の再生可能エネルギーに比べての経済的優位性が薄れてきているという記事です。結構なことです。ならば、石炭火力など、やる必要はないでしょう。天然ガス発電との価格差も縮まっているようです。世界的には再生可能エネルギーのコストが大きく下がっているのに、日本では何故、再生可能エネルギーのコストは下がらないのでしょうか? きちんとした説明を見たことがありません。日本のエネルギーに関する議論はどうもおかしいように感じています。
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以 上

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