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2020年2月17日 (月)

(報告)(2.14)「子ども脱被ばく裁判」傍聴記(1)鈴木眞一福島医大教授証人尋問:隠して隠して隠して、逃げて逃げて逃げて、あとはつまらないおしゃべりに終始した鈴木眞一教授、ウソらしき発言もチラホラの誠意なき証言

前略,田中一郎です。


(最初に若干のことです)
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1.(3.4)「子ども脱被ばく裁判」=山下俊一(だました俊一)証人尋問(福島地裁)
 https://fukusima-sokai.blogspot.com/2020/02/21434.html

(関連)山下俊一トンデモ発言 - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=PuwFrNEgDTg

(関連)放射線被曝防護政策を正し、東京電力や国・自治体の責任を厳しく問う「子ども脱被ばく裁判」がいよいよ正念場です=(2.14)鈴木真一・(3.4)山下俊一を証人喚問(福島地裁)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/12/post-96894f.html


2.(3.13)福島原発かながわ訴訟控訴審 第2回公判(損害賠償訴訟)
 https://cutt.ly/prV9D13


3.(メール転送です)【安保法制違憲差止訴訟】3月13日判決
 先にお知らせしましたとおり、安保法制違憲差止訴訟では弁論再開の申し立てをしておりましたが、裁判所から弁論は再開しないとの連絡がありました。従いまして、当初の予定通り、3月13日に判決言い渡しとなります。なお、差止訴訟が係属しております民事2部の3名の裁判官にあてた署名を2月19日に提出します。お手元に署名用紙をお持ちの方は大至急ご返送ください。なお、まだ署名をされていない方は、ネット署名を明日2月18日まで受け付けますので、ご協力をお願いします。
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ネット署名:「内閣総理大臣は、安保法制に基づき 自衛隊を海外に出動させてはならない」 との判決を求めます!
 http://chng.it/QFYgQDVBTp

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3月13日のスケジュール
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13:00 東京地裁前アピール
13:30 傍聴券抽選に並ぶ
14:00 判決
15:00 報告集会 衆議院第二議員会館 第1会議室
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さる2020年2月14日、福島地裁において「子ども脱被ばく裁判」公判があり、この日は鈴木眞一福島県立医科大学教授の証人尋問となりました。以下、その傍聴記を簡単にご報告申し上げます。私の印象は、簡単に申し上げますと、メールの表題の通り「隠して隠して隠して、逃げて逃げて逃げて、あとはつまらないおしゃべりに終始した鈴木眞一教授、ウソらしき発言もチラホラの誠意なき証言」ということになります。

原告・被告双方から各1時間の尋問がなされたのですが、真実を明らかにして福島原発事故後の放射線防護政策について、その是非判断に寄与せんとする姿勢は皆無に近く、また、主として原告側から発せられる重要な質問については、通用しない「守秘義務」なるものを持ち出しては拒否するという姿勢(不都合事項の隠蔽)を取り続け、この裁判の重要な事件当事者としての証言責任を回避しています。医師法の第1条には「医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」とありますが、この人物は、この法律に記載された義務を全くと言っていいほど果たしませんでした。これでも医師・医学者と言えるのでしょうか? 私は尋問のやり取りを聞きながら怒りがこみあげてくるのを押さえるのに苦労しました。

(当日の法廷についてOur PlanetーTV の報道では、いつもは傍聴席にいて証言者(原告側がほとんど)の背中しか見ていなかった福島県庁の役人が、この日は被告席にいて証言台で証言する鈴木眞一福島県立医科大学教授をにらみつけていたそうです。私の推測は、鈴木眞一氏は、原子力ムラ・放射線ムラに乗っ取られて福島第1原発事故後も(破たんした原発安全神話を放射能安全神話に切り替えて)原子力推進に邁進する現アベ政権・日本政府(霞が関官僚ども)、並びにその「手下」に成り下がって県民の命と健康を守ろうともしない福島県庁などから、強い圧力を受け続けているのではないか、というものです。言い換えれば、この人物はひょっとして自由に発言ができない状況に追い込まれていたのかもしれない、ということです。)

(関連)医師法(昭和23年7月30日法律第201号)
 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80001000&dataType=0&pageNo=1


1.鈴木眞一福島県立医科大学教授のプロフィール(ネット情報)
 https://www.fmu.ac.jp/kenkyu/html/244_ja.html
 http://fmudte.umin.jp/about/chairperson.html
 https://www.fmu.ac.jp/byoin/new/sinryoka/kojosen.html

(関連)福島の小児甲状腺がん疑い例含め126人に〜鈴木眞一氏は退任 - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人(2015年5月)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1915


2.まずは次の各サイトを熟読してください(この裁判を理解するための基本情報です)
 少し前のOur PlanetーTV の報道を含んでいますが、この裁判や今の福島県の放射線防護の在り方を理解し、あるいは「福島県民健康調査」及び同委員会、並びに福島県立医大などについて知る重要な情報です。今日のマスごみ報道では知ることができない貴重なものです。

(1)福島県の甲状腺検査「新秘密会」?〜山下俊一氏が座長 - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人(2015.9.2)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1974

(2)存在していた!福島医科大「甲状腺がんデータベース」 - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人(2017.8.30)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node%2F2158

(3)小児甲状腺がんのDNA解析〜研究拠点は長崎大 - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人(2017.8.31)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2160

(4)福島の小児甲状腺がん180例を症例報告〜「過剰診断」を否定 - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人(2020.1.31)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2467


3.(速報)第37回「福島県民健康調査検討委員会」(2020年2月13日)結果:相変わらず「経過観察」その他で「甲状腺ガン」疑いの子どもたちがたくさんいる中、その子どもたちがどうなったか不明のまま=甲状腺ガン発症数把握をサボタージュ- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-799a60.html

(上記は直近の「福島県民健康調査検討委員会」の結果報告です。この裁判や今回の鈴木眞一氏の証言と密接に関係していますのでご一読下されば幸いです:田中一郎)


4.(メール転送)今回の鈴木眞一福島県立医科大学教授証人尋問に関する井戸謙一弁護士のコメント
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2020.2.14 第25回口頭弁論期日報告(弁護団長 井戸謙一)

2020年2月14日、第25回口頭弁論期日では、注目の鈴木眞一氏証人尋問が行われました。原告側60分、被告側60分の持ち時間制で行われ、限られた時間で有効な回答を引き出すことが求められました。私たちは、次の4つの目標を立てました。

(1)鈴木氏が甲状腺摘出術をした約180例のケースは、いずれも手術が必要だったケースであり、過剰診断、過剰治療ではないこと、したがって、今後、福島県民健康調査を縮小すべきではないという鈴木氏の意見をはっきりと述べてもらうこと、

(2)福島県民健康調査で多数の甲状腺がん患者が見つかったのはスクリーニング効果であり、福島県で小児甲状腺がんが多発しているものではないという鈴木氏の主張が不合理であることを裁判所に認識させること、

(3)経過観察に回した子供たちの予後を把握せず、福島の子ども達から発生した甲状腺がんの総数を明らかにしない点に、福島県民健康調査の闇があることを明らかにすること、

(4)被ばくと甲状腺がんの因果関係を否定する鈴木氏の判断に合理性がないことを明らかにすること、以上です。

鈴木氏は、(1)について、自分が執刀したすべてのケースにおいて、手術が必要だったこと、福島県民健康調査は今の「サイズ」で継続すべきことを明言しました。

(2)については、「福島で多発していないとすれば、摘出術が必要な子供が全国で1万2000人以上存在する計算になるがその子供たちを救わなくてよいのか」という質問に対し、回答を言い淀んでいました。鈴木氏が、本音では、手術を要する子供が全国にそんなにいるとは思っていない、逆に言えば、福島で多発していると思っていることを裁判所に感じ取っていただけたのではないかと思います。

(3)では、鈴木氏がいわき市や会津若松市の病院でも甲状腺の摘出術をしていること、その症例は福島県民健康調査の件数に入っていないこと等が明らかになりました。福島県民健康調査検討委員会は、甲状腺がんの悪性若しくは悪性疑いの数を237人と報告していますが、それ以外に甲状腺がんにり患した子どもがどれだけの人数隠されているのか、闇がいよいよ深くなったと思います。

(4)については、鈴木氏はそもそも複数の考え方が示されている問題について、そのうちの一つの考え方に固執しているにすぎないこと、そもそも悪性若しくは悪性疑いの総数が明らかにされていないのですから、被ばくとの因果関係について適切な判断ができるはずがないこと、それらのことを浮き彫りにして終わりました。

60分では時間が全く足らなかったというのが率直な感想です。しかし、制約がある中での一定の成果も獲得できたと思います。次回の山下俊一氏の尋問は90分間です。今回の経験を踏まえて、次回の戦略を立てたいと思います。引き続き、ご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。
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(関連)福島医大教授「新たな集計外」法廷で証言〜小児甲状腺がん - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人(2020.2.15)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2471

(関連)#脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会)- 20200214 子ども脱被ばく裁判 鈴木眞一氏が甲状腺手術180は過剰治療ではないと証言
 https://fukusima-sokai.blogspot.com/2020/02/20200214180.html


5.(田中一郎コメント)
 以下、井戸謙一弁護士がおっしゃる4つの目的に沿って私の印象や追加事項を申し上げるとともに、その他今回の証人尋問において取り上げられた若干のことについてコメントいたします。最初に申し上げておかなければならないことは、被告側(国や福島県庁や関係市町村)による鈴木眞一氏に対する尋問がほとんど無内容でつまらなかった他、事実を把握しないままに情緒的に決めつけて尋問をしているのではないかと思われる点が散見された等、裁判に臨む姿勢について大きな疑問を感じました。また、被告の中でも福島県庁が、この鈴木眞一氏の証人尋問について妨害的ともいえる対応をこの間ずっと続けてきていて、そもそも原発被害を受けた自治体を代表する組織として許されない姿勢であることも付記しておきます。重要な内容のやり取りが行われたのは、もっぱら原告側からの尋問の時でしたが、被告側が無内容な尋問のための時間を原告側と同時間要求した他、公判尋問の日程をわずか1日で、しかもたったの2時間で終われと主張して譲らなかったことに、真実を明らかにされたくない被告側の理不尽かつ(被害者原告に並びに県民対する)背信的な態度が見え隠れしています。

(1)過剰診療や過剰治療ではないこと
 鈴木眞一氏は、自身が原発事故以降、関与し続けてきた甲状腺ガンの手術について、それぞれの患者について手術をしなければならない臨床症状があった旨を発言し、一部の大学教授や研究者から出されている「過剰診療(治療)」説については否定をしています。当たり前のことです。しかし、「過剰診断」については「甲状腺疾患の場合には過剰診断となることを念頭において対応した」旨の発言があり、自分たちは「過剰診断」はしていないが、他の施設の医師たちの場合にはわからない、旨の含意を示していたことは気になるところです。

そもそも「過剰診断・過剰診療」などという福島県立医大に対する誹謗中傷ともとりうる話が出てきたのは、上記でご紹介したOur PlanetーTV の記事(下記)にもあるように、「甲状腺評価部会の委員・渋谷健司東京大学教授が、医学雑誌「ランセット」に、福島の甲状腺がんは「スクリーニング効果」では説明がつかず、「過剰診断」を招いている恐れがあるとした上で、検査を見直すべきだとの提言を投稿」したことがきっかけです。しかし、同記事での鈴木眞一氏と渋谷健司氏との激しいやり取りの中で鈴木眞一氏は「臨床データを我々が公表していないのに、なぜ取らなくてもいいガンだと断定できるのでしょうか。取らなくてもいい癌を我々が手術したということはありません。」と切り返している点にご注目ください。渋谷健司東京大学教授は、実証的な根拠もないままに「過剰診断」などとデマを飛ばしていたということではありませんか!? (こんな論文を医学雑誌「ランセット」がよく掲載したものだと軽蔑したくなります。編集者の目は節穴か、それとも政治的な掲載なのか!?)

いずれにせよ、「過剰診断、過剰診療、過剰治療」などというものは、私はデマに過ぎないのではないかと見ています。そもそもその実証的根拠がないからです。また仮に、もし「過剰診断・過剰診療・過剰治療」だということになれば、手術で摘出する必要のなかった甲状腺を200人近い子どもたちから摘出したことになり、これは看過できない重大な福島県立医大の医療ミスとなり、子どもの人権問題も含めて大問題となるでしょう。「福島県民健康調査」を潰したい一心で「過剰診断・過剰診療・過剰治療」などと騒いでいる御用学者どもは、そういうことを念頭に置いた上で発言しているのか、疑わしいと言わざるを得ません。こんなところにも原発事故の被害者や患者を無視する姿勢が垣間見えています。まさにクソ医者・クソ学者どもです。

加えて、このOur PlanetーTV の報道記事では、次の点にもご注目ください。「福島の甲状腺がんは「スクリーニング効果」では説明がつかず」(渋谷健司東京大学教授)「今回一番小さい人が5ミリ台ですので、みなさんそこを捉えてますけど、リンパ節転移とか、腫瘍の浸潤とかそういうものを含めて、多くの人は 10ミリ以上」(鈴木眞一福島県立医科大学教授)「リンパ節転移の数はここでは公表しない。」(鈴木眞一福島県立医科大学教授)

⇒ 注目点は、甲状腺の多発が認められ、かつそれが「スクリーニング効果」(精密な機械でたくさんの子どもたちを検査したからたくさんの甲状腺ガンが見つかった)では説明がつかないこと、手術を余儀なくされた子どもたちの多くが「10ミリ以上の大きなガンであり、また、リンパ節転移とか、腫瘍の浸潤もあった」(つまり精密な機械で検査したから小さなガンがたくさん見つかったということではないということ=大半が大きいガン・悪性のガン)、そして「福島県民健康調査」の結果としての子ども甲状腺ガンの臨床結果を鈴木眞一氏は「守秘義務」をタテにこの頃から一貫して非公開としている点です。しかし、人数の公表を含めて、国の税金でなされている「福島県民健康調査」の結果を可能な限り公表しないということは許されないことであり、こんなレベルのことにまで「守秘義務」を理由に公開を拒否することは不当という他ありません。そもそも福島県民や原発事故被害者に対する背信行為です。また、下記のような「甲状腺がんデータベース」が福島県立医大にあるのですから、子ども甲状腺ガンの発生状況の全体像は概ねつかめているはずですが、鈴木眞一氏は下記のデータベースのことなどは「知らない」と法廷で答えていました(虚偽答弁?)。

(関連)存在していた!福島医科大「甲状腺がんデータベース」 - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人(2017.8.30)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node%2F2158

公判後の報告会で出た意見ですが、まず私から弁護団に対して「被告側からの尋問で「コレは!」と思ったものがありますか」とお聞きしたのに対して「国や福島県が鈴木眞一福島県立医科大学教授が行なった手術などの治療が過剰診療・治療ではないという本人の証言をバックアップしてくれるような質問を被告側弁護士たちがしなかった点について、ずいぶんと鈴木眞一氏に対して冷たいなという印象を受けた」とのコメントがあったこと、そしてもう一つが「過剰診断」と「過剰診療・治療」は峻別して言葉を使い分ける必要がある、何故なら、過剰診断の前提にある検査などの診察行為については、放射線被曝の健康被害のありようがよくわからない中では、しっかりと幅広くやってもらわないといけなくて、間違っても検査や診察などを縮小したり妨害したりしてはいけないのに対して、過剰診療・治療の方は、そういうことがないようにしてもらいたいからだ、との発言がありました。的を得ていたと思います。

(2)子ども甲状腺ガンの多発について
 上記で井戸謙一弁護士が指摘されている点はその通りで、鋭い尋問だったと思いますが、その前に、まずは上記でご紹介した「甲状腺評価部会の委員・渋谷健司東京大学教授が、医学雑誌「ランセット」に、福島の甲状腺がんは「スクリーニング効果」では説明がつかず」を投稿したということを裁判官にしっかりと知らせるとともに、「福島県民健康調査検討委員会」においても、子ども甲状腺ガンは多発していて、もはや「スクリーニング効果」では説明がつかないという点も大半の委員で合意されていることを伝えるべきだったと思います。

そして、そもそも科学的に考えて、「スクリーニング効果」は第1巡目にのみ現れる現象であって、同じ子どもたちを検査しているのに、2巡目以降に次々と多くの子どもたちに甲状腺ガンが発見されるということはあり得ません。何故なら、第1巡目でほとんどの甲状腺ガンを発見してしまっているからです。事実は、「スクリーニング効果」も多少はあるけれども、それ以外のもっと決定的な要因があるということであり、また、「過剰診断・過剰診療・過剰治療」などというものもあり得ない、つまり今のところ子どもたちに多発している甲状腺ガンの原因は、福島第1原発事故による放射線被曝以外には考えられない、ということなのです。

この辺のところを、鈴木眞一氏は「検査で悪性ガンを見ると、最初は甲状腺のあちこちに小さな粒のような形で散らばっていたり、ぼやっとした影のようになっていたりしていて、発見に時間がかかる」などと説明していました。私は甲状腺臨床医ではないので、この発言の是非の判断はつきませんが、おそらくハッタリ(その場限りの言い逃れ)ではないかと推察します。少なくとも、そういう子ども甲状腺ガンもあったかもしれないけれど、そんなものがたくさんあり、どれもこれもが発見しにくいガンだったとは言えないのではないかと推察します。必要ならば、ちゃんとした甲状腺専門医に聞いて確かめればいいと思います。

(3)経過観察の子どもたちの「その後」=なぜ甲状腺ガンの発症状況を把握しないのか!?
 既に下記サイトで私からこれについて詳しく申し上げています。甲状腺ガンを発症した子どもたちの数を、見かけ上、ずっとずっと少なくするために、姑息な手段を取って実数把握を放棄しているのです。信じがたい連中です。この点については、鈴木眞一氏に原告側弁護士が、何度も何度も「子ども甲状腺ガンの総数が把握されていないのに、それを統計学的に処理してみても、所詮は実際の真実はわからないのではありませんか?」と問いただしましたが、次の「放射線被曝とは無関係」とともに、言を左右にして認めようとはしませんでした。この時点で、この人物は、「真実に忠実でなければならない」科学者・医学者・医師として失格です。

(速報)第37回「福島県民健康調査検討委員会」(2020年2月13日)結果:相変わらず「経過観察」その他で「甲状腺ガン」疑いの子どもたちがたくさんいる中、その子どもたちがどうなったか不明のまま=甲状腺ガン発症数把握をサボタージュ- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-799a60.html

(4)放射線被曝と甲状腺ガンの因果関係否定について
 井戸謙一弁護士のおっしゃる通りです。鈴木眞一氏をはじめ「福島県民健康調査検討委員会」にたむろする御用学者や御用人間たちの言うこと(因果関係の否定)に科学的実証的根拠はありません。そればかりか、別添PDFファイルにある牧野淳一郎氏の説明によれば、放射線被曝とは無関係の結論を導くために、これまた姑息なインチキ手法を用いていることが告発されています。科学者の風上にもおけぬ「インチキ連中」「似非科学者集団」が原子力ムラ・放射線ムラであることが、ここでも明らかになっています。

(5)福島県立医大における安定ヨウ素剤服用について
 尋問の中で井戸謙一から、福島第1原発事故直後の福島県立医大における安定ヨウ素剤の服用について、鈴木眞一福島県立医科大学教授への追及が行われました(下記サイト参照)。鈴木眞一氏は「安定ヨウ素剤が配られたことは知っていたが、それを大学の役職員が服用したかどうかは知らない」(⇒「カネ(ワイロ)を業者から受け取ったことは知っているけれども、それを使ったかどうかは知らない」と言っているのと大差なし:何という答弁か!?)「自分や自分の家族は服用していない」と答え、また、同弁護士から「自分たちが安定ヨウ素剤を配布・服用していることについて県民や県庁に知らせようとは思わなかったのか」との問いに対して「自分は安定ヨウ素剤の服用を指示する立場になかった」と答えていました。そんなことを聞いてんじゃねえのよ、ボケ! ということです。医師・医学者としてここでも失格!

(関連)「住民に配布しないヨウ素剤、県立医大関係者は服用、これは刑事告訴できる」 〜佐々木慶子氏、蔵田計成氏ほか - IWJ Independent Web Journal
 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/140425

(6)「セカンドオピニオンや追加検診を見合わせるように求める」通知について
 下記についても追及がなされましたが、まともな回答は鈴木眞一氏より返ってきませんでした。「福島県立医大でやっているのだから、それ以外の医療機関で余計なことはするな」と言わんばかりの態度であり、公判尋問ではそれを「より高度な形で福島でやっているので、原則として福島に任せてほしいけれども、それ以外の医療機関で、さまざまな事情や考えでおやりになることを止めるつもりはなかった、セカンドオピニオンを妨害する意図はない」などと答えていました。ざけんじゃねーぞ、ということです。苦しい答弁でした。

(関連)甲状腺の検査改善求め~市民が県立医大に要望 - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人(2012.9.15)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1441

(一部抜粋)
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(中略)セカンドオピニオンについて
山下俊一副学長と甲状腺調査を担当している鈴木真一教授は、今年1月25日、甲状腺学会会員に対して、セカンドオピニオンや追加検診を見合わせるように求める文書を送っている。
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(参考)中村隆市ブログ「風の便り」 - 山下俊一氏 福島県民の健康より 国家財政を重視する発言
 https://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-11753

(7)鈴木眞一福島県立医科大学教授の「守秘義務」主張について
 鈴木眞一福島県立医科大学教授だけでなく、福島県立医大や「福島県民健康調査検討委員会」の御用学者どももまた、一方では「守秘義務」だとか何とか言って、守秘する必要のない情報(個人情報ではないデータ等)を福島県民や有権者・国民に対して隠しまくっているにもかかわらず、他方では、様々な国際会議や学会集会などでは具体的に公表しながら説明しているという(ご丁寧に大半の日本人が見ても訳が分からないように英語にしてあるそうです)、この二枚舌を許してならないでしょう? この辺の突込みは公判では時間切れでできていなかったように思われます。

(関連)「福島甲状腺がんの報告」鈴木眞一教授~第5回国際専門家会議 - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=6oXw2axaHNk

(8)最後に裁判所・裁判官の問題
 既に私の主催した「新ちょぼゼミ」でも取り上げて問題にしていますが、この「子ども脱被ばく裁判」についても、福島地裁の裁判官の訴訟指揮が「真実解明」のためには不十分なまま、被告の国や福島県に押されるような形で、原告側を封じ込めるように行われている様子がうかがえます。原告側からの証人尋問要請の大半を退けたり、ようやく実現した鈴木眞一福島県立医科大学教授や山下俊一福島県立医科大学副学長の尋問時間を(被告の主張に引きずられて)短くしてしまったりしており、尋問当日も原告側弁護士の尋問を妨害するかのごとき発言が被告の福島県の代理人弁護士から出されても、それを止めるのではなく、原告側に「もうやめろ、時間だ」という主旨の法廷指揮を行ったりしています。日本の司法・裁判所は根本的に叩き直す必要がありそうです。

(関連)(報告)(2.13)オルタナティブな日本をめざして(第40回):「日本の司法制度と裁判官:何故おかしな判決が相次ぐのか」(新ちょぼゼミ:澤藤統一郎弁護士 )- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-ab6361.html

(関連)(報告)新ちょぼゼミ:東電経営者幹部3人の福島原発事故刑事裁判に見る日本の司法・裁判、裁判所・裁判官のデタラメとそのひどさ(日本の司法を解体・再編せよ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-42c18e.html


6.この裁判の関連サイト
(1)子ども脱被ばく裁判のブログ
 http://datsuhibaku.blogspot.com/
(2)子ども脱被ばく裁判 弁護団のページ
 http://fukusima-sokaisaiban.blogspot.com/

(関連)#脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会)
 https://fukusima-sokai.blogspot.com/
(関連)子ども脱被ばく裁判を支える会・東日本
 http://sasaerubimbo.hatenablog.com/
(関連)「子ども脱被ばく裁判」を支える会・西日本
 http://kodomodatu.jugem.jp/


7.「3.11以降の科学リテラシー」(牧野淳一郎:岩波月刊誌『科学』)
(1)(別添PDFファイル)3.11以降の科学リテラシーNO.84(イントロ部分)(牧野淳一郎『科学 2019.12』)
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/
ダウンロード - efbc93efbc8eefbc91efbc91e4bba5e9998de381aee7a791e5ada6e383aae38386e383a9e382b7e383bcno.84efbc88e382a4e383b3e38388efbc89efbc88e789a7e9878ee3808ee7a791e5ada6202019.12e3808fefbc89.pdf

(一部抜粋)
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福島県の甲状腺検査の本格検査l回目(検査2巡目)について甲状腺検査評価部会は,「有意差がでたやり方を捨てて有意差がでなかったやり方を採用する」という根本的に問題がある方法をとりました。これは「地域差がない」という結論ありきの解析で 非科学的というしかありません。本格検査2回目(検査3巡目)については,患者数が少ないため,地域差のあるなしの結論はでないと見込まれます。
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(2)(別添PDFファイル)3.11以降の科学リテラシーNO.85(イントロ部分)(牧野淳一郎『科学 2020.1』)
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/
ダウンロード - efbc93efbc8eefbc91efbc91e4bba5e9998de381aee7a791e5ada6e383aae38386e383a9e382b7e383bcno.85efbc88e382a4e383b3e38388efbc89efbc88e789a7e9878ee3808ee7a791e5ada6202020.1e3808fefbc89.pdf

(一部抜粋)
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(中略)前回は福島県の甲状腺検査関係の動きを振り返りました。検査2回目(本格検査1回日)について甲状腺検査評価部会に提出された解析が データ数からありえない解析結果になっているとこの連載で指摘したところ,間違いは訂正され,この連載で予想したのとほぼ同じ結果になりました。地域差は修正前よりずっと大きくなりましたがエラーバーも大きくなり,「有意差はない」という結論には変わりはなかったのですか それ以前の問題がありました。先行検査の時に使って有意差がでなかった4地域区分では本格検査では有意差がでていだのですが,それを特に理由なく使わないことにして別の方法で被曝量の影響はみられないと結論する,という統計学の教科書で「やってはいけない」例に使えそうなことをやっていました。
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8.次回の山下俊一(だました俊一)に対する証人尋問について
 公判後の報告会において私から弁護団に対して、次回の山下俊一氏の証人尋問において、次の4点を追及していただきたい旨、口頭で発言要請いたしました。弁護団でご検討いただけるようです。みなさまにおかれましては、次回来たる3月4日の山下俊一氏への証人尋問について、福島地裁の法廷の傍聴席を満席としていただきますよう切にお願い申し上げます。

(1)山下俊一氏が「福島県民健康管理調査検討委員会」の座長だった頃、所謂「裏委員会」を開催して「表委員会」でどう演技するかの下打ち合わせ・口裏合わせをしていたこと、そして、そのことが毎日新聞の日野行介記者のスクープで暴露された結果、その責任を追及されて座長並びに委員の辞任を余儀なくされたにもかかわらず、その後もまた再び、福島県立医大内に同様の「裏委員会」を設け、「表委員会」の「黒子役」を演じている様子があること、この「二枚舌」政策を追及していただきたい。

(関連)中村隆市ブログ「風の便り」 - 福島健康調査「秘密会」で見解すり合わせ (毎日新聞)
 https://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-11734

(関連)福島原発事故県民健康管理調査の闇-日野行介/著(岩波新書)
 https://00m.in/X6E3r
(関連)福島原発事故被災者支援政策の欺瞞-日野行介/著(岩波新書)
 https://00m.in/VBTZx

(関連)福島県の甲状腺検査「新秘密会」?〜山下俊一氏が座長 - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人(2015.9.2)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1974

(2)「福島県民健康調査」において、経過観察や未受検の子どもたちの甲状腺ガンの発症状況が把握されていない問題について、これでは福島第1原発事故後の県民全体の子どもたちの状態が把握できないことについて、どう考えているか?

(3)チェルノブイリ原発事故に際には、事故後10年を経過して、事故後に生まれた子どもたちに甲状腺ガンが発症しなかったことが、甲状腺ガンと原発事故による放射線被曝を因果関係で結び付けた決定的証拠となった。にもかかわらず、県民や多くの有識者・市民からの要請があるにもかかわらず、「福島県民健康調査」では、何ゆえに福島原発事故後1年以上経過してから生まれた子どもたち(いわゆる事故後生まれた子どもたち)の甲状腺検査を実施しないのか?(重要事実の隠蔽工作か?)

(4)山下俊一氏がチェルノブイリ原発事故での子どもたちを含む被災者住民の健康や甲状腺疾患について発言したり論文に書いたりしていたことと、福島第1原発事故後の言動とは大きく違っている。この矛盾を追及していただきたい。

(関連)山下俊一放射線アドバイザーにNO〜解任を求め署名開始- OurPlanet-TV:特定非営利活動法人
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1124
 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/7700

(関連)福島の甲状腺がん「放射線影響ではない」〜国際会議 - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1732


9.(最後に)Our PlanetーTV へのご支援のお願い
 上記でご紹介いたしましたように、マスごみが、福島第1原発事故後の福島県の在り方、とりわけ放射線被曝防護政策や被害者住民への対応(不十分極まる支援や切り捨て政策)などについて、きちんとした取材や報道が出来なくなってしまっている今日、Our PlanetーTV による一連の調査報道は非常に貴重な情報源となっています。この独立系ジャーナリズムの組織経営を潰さないよう、みなさまの浄財によるご支援をお願い申し上げます。ちなみにOur PlanetーTV は特定非営利活動法人ですので、寄付金は税還付の対象となります。何卒よろしくお願い申し上げます。

ご支援のお願い - OurPlanet-TV:特定非営利活動法人
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1523
草々
 

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