市場原理主義アホダラ教政策の経済的帰結(その1):保育園を株式会社化して規制緩和をしたらどうなったか!? 犠牲者は子どもたちと保育士=保育園は養鶏場ではない!(岩波月刊誌『世界』小林美希さんレポートより)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.(お知らせ:緊急・重要)【延期します】 2020-2-24 『東電刑事裁判 控訴審の勝利をめざす集会』のお知らせ - 福島原発刑事訴訟支援団
https://shien-dan.org/tokyo-event-20200224/
(周りの方にも広げてください)
2.キャンペーン · 日本原子力発電(株) 取締役社長 村松 衛 - 東海第二原発再稼働に向けた工事の中止してください! · Change.org
https://cutt.ly/jr1Fnp7
(関連)(署名とイベント)STOP!東海第二原発 - 東海第二原発延長運転を止めよう
https://stoptokai2-shutoken.jimdofree.com/
3.(2.26)オルタナティブな日本をめざして(特別編):「日本の河川行政では私たちの命と生活を守れない!水害防災を市民の側から考える!!」(新ちょぼゼミ:早川芳夫さん)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/12/post-b94107.html
(関連)今月号の岩波月刊誌『世界』(2020.3)が「災害列島改造論」という特集を組んでいます。
https://www.iwanami.co.jp/book/b498394.html
4.NO OLYMPICS 2020> 反五輪の会 (Hangorin No Kai) - 反五輪運動の仲間への不当な家宅捜索に抗議する!
https://cutt.ly/Xr1FEhg
(とうの昔に廃止となった「治安維持法」の発動か? 少数支持者しかいないゴロツキ安倍政権の「犬」どもが異議申し立てを弾圧し始めた! さながらナチス突撃隊のごとしである。この国の民主主義や基本的人権など、とうの昔に消滅してしまっている現況を、この国の有権者・国民はどこまで理解しているのか!? 自力の市民革命を経験していないこの国の「民主主義メッキ」が剥がれ落ち、錆びだらけの「前近代」へと逆戻りの様相が現れてきている。にもかかわらず、市民運動・社会運動内部の一部オレサマ「タコツボ」活動家どもが一般参加市民の言論・表現や署名などの活動を妨害してはばからない現状もある。危機的事態進行中!!:田中一郎)
(関連)2020年オリンピックおことわり! - 2020年オリンピックおことわり!
http://www.2020okotowa.link/
(関連)関西生コン労組役員ら延べ81人逮捕に「正当な活動を処罰」労働法研究者らが抗議声明 京都新聞
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/95211
(関連)立憲・辻元議員宛てに「殺してやる」脅迫文 警察に通報:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASN2N6K0VN2NUTFK01R.html
5.20200219 UPLAN 高野孟「安倍政治を終わらせよう!2.19院内集会」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=JwTi3WhP6nI
6.東京新聞-衆院選へ共通政策づくり議論加速 4野党、市民連合と確認-政治(TOKYO Web)
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020021901001823.html
(関連)田中龍作ジャーナル - 長妻氏側が山本太郎側に圧力「立憲の選挙区に候補者を立てないでくれ」
https://tanakaryusaku.jp/2020/02/00022419
(関連)田中龍作ジャーナル - 山本太郎「自民党含む超党派で消費税5%を今国会に緊急提案すべし」
https://tanakaryusaku.jp/2020/02/00022402
(最も早くから、最も熱心に「野党共闘」を呼び掛けている「れいわ新選組」山本太郎を抜きにして、お前たちは何をしているのか!? 総大将の立憲民主党・現執行部に問題があるのではないのか!? コロナPANDEMICと並んで日本経済を更なる不況のどん底へと落とし始めている消費税増税にソッポを向き、何の「共通政策づくり議論」か? 「選挙負け組互助会」づくりなどをしても意味がないと言うておるのがわからんのか!? かような態度だから、京都市長選挙のように無節操に自民党とくっついて「自民党金魚のフン」となり、有権者・国民に対してキバをむいたりするのだろう!? 野党共同提出の「原発ゼロ法案」も、その実現性は、仮に政権交代があったとしても怪しくなってきている。何故なら、メチャクチャをやりだしている原子力規制委員会・規制庁に対して、立憲民主党をはじめ、(「れいわ新選組」山本太郎を除く)法案提出野党が何も言わないからだ。
ホンモノの政権交代を実現してアベ自公政治に終止符を打ち、全改革勢力が一致協力して長期安定政権をつくり、日本政治の抜本改革を少しずつ進めていく、そうした「危機突破・救国政治」ができないのなら、やる気がないのなら、後ろへ引っ込んでいてくれませんか? 邪魔ですから。消費税減税(5%へ)、脱原発・原発即時廃棄、日本国憲法完全施行・継承発展、戦争法・共謀法・特定秘密保護法などトンデモ安倍法律の一括即時廃棄、カジノ中止などは、当たり前の当たり前、である。もし今後もこのままなら、「れいわ新選組」山本太郎を「大勝利」させ、日本の野党勢力=オルタナティブな政治の実現を目指す勢力を最初から創り上げていくところからスタートしなければいけないかもしれない。実に情けない話ではあるけれど。:田中一郎)
7.その他必見情報
(1)【安倍晋三】“官邸ベッタリ”検事長定年延長問題 検察「国民に説明を」|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/269350
(2)3閣僚がコロナ対策会議より私的会合優先 岩田健太郎医師の告発に副大臣が反発ツイート〈週刊朝日〉AERA dot.
https://dot.asahi.com/wa/2020021900088.html
(3)軍が守るのは国民ではないと教えるドキュメンタリー映画|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/269293
(4)室井佑月「組織は頭から腐る」〈週刊朝日〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200219-00000007-sasahi-pol
(5)サンダースと民主社会主義を支持する米若者世代 その背景とは? - Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
https://forbesjapan.com/articles/detail/32364
(6)電通初の赤字転落! 大手各紙は「忖度」なく報道したか? ネット上では「解体すべし」の批判が殺到 - J-CAST会社ウォッチ
https://www.j-cast.com/kaisha/2020/02/14379506.html
(7)囁かれる二度目のブン投げ説 安倍政権は五輪まで持つのか(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
http://www.asyura2.com/20/senkyo269/msg/782.html
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「保育」サービスを受ける権利が奪われたままになっています。この国の政治家や官僚どもは何をしているのでしょうか!? ボンクラで的外れなことばかりを「処方箋」としてやって、我々に対する権利侵害を改めようとはいたしません。市場原理主義アホダラ教に頭がイカれたまま、急所を外して財政負担があまりかからないことばかりをやりつづけているのです。「未来を担う全ての子どもたちにしっかりとした保育サービスを提供する」という最も大切にしなければいけないことを横にのけておいて、「保育サービス」を「商品」とすることで、公共サービスの「カネ儲け手段化」を最優先しているからです。もういい加減にしろ、ということだと私は思います。
(関連)(再論)市場原理主義とはどういうものか- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-e3dd.html
(ちょっと古くなってしまいましたが、ご参考までにご紹介いたします)
低賃金・劣悪労働条件が広がる中、生活を維持するためにやむなく夫婦共働きが増大し、生まれた子どもを保育所に預けて働きに出る家庭が一般化しています。そんな中、貧困極まるこの国の「子ども政策」の結果とも言うべき保育園の不足が深刻化し、待機児童がいつまでたっても減りません。保育園施設の数が足りないだけでなく、低賃金・劣悪労働条件の代名詞のようになった保育士の数も足りず、しかもその状態がいつまでたっても改善しないのです。保育園を増設しようとしても、保育を担ってくれる人がいない、保育士の資格を持った人はたくさんいらっしゃるのに、保育の仕事を引き受けて下さる人がいない、そんな状態です。
こうしたことに対する処方箋として出されてきたのが、保育政策の市場原理主義政策化=保育園の株式会社化を認めて規制緩和をし、保育事業者の参入を図る、というものでした。言い換えれば、保育園の仕事を金儲けの手段にして民間活力を活かせば、保育園が増えて待機児童が少なくなる、保育園どうしの競争も促進されて、保育サービスの質も向上する、そんな「夢物語」が語られて、こうした馬鹿げた「行政手抜き政策」が進められていきました。何故「行政手抜き政策」なのかと言えば、保育園の運営は本来は行政が(自治体が)責任をもって遂行すべきナショナルミニマムの政策であり、従ってまた、その保育行政サービスは、全ての希望者に対して、きちんとした質の良い安全な保育を提供する義務が行政の側にあるからです。その責任を放棄して、民間活力という「金儲け主義の銭ゲバ会社」たちに保育を丸投げしてしまったのが、この「保育の民営化」だからです。
将来を担う大切な子どもたちをしっかりと育てるという、国として、自治体として、最優先すべき仕事を、いわば金儲けの手段として放り出し、保育サービスを「商品化」して、その本来の目的やありかたを歪めてしまったのが、この政策です。その結果、どうなったか、それを緻密で精力的な実地調査に基づき詳細にレポートしてくれたのが、今回ご紹介する小林美希さんの岩波月刊誌『世界』に連載されている「ルポ 保育園株式会社 職業としての保育」です。このメールでは、その一部しかご紹介できませんが、みなさまには是非とも原本に当たっていただき、その全文をご覧いただきたいと思っています。
私がつねづね申し上げてきた日本経済没落=有権者・国民の生活貧困化の最大原因の一つが「市場原理主義アホダラ教」に頭がイカレた数々の政策ですが、中でもきわめてビジブルに、はっきりとわかる形で、その弊害やひどい結果を見せつけてくれるものが保育園政策と言えるでしょう。その最悪の経済的帰結が、解消しない待機児童と保育の質の低下であり、危険で不快で悲惨な保育園の現場なのです。その犠牲者は、保育園で育てられるたくさんの子どもたちであり、また、その保育園で懸命に働く保育士たちであることは申し上げるまでもありません。
こうした保育園の荒廃と保育困難社会の形成=「保育園落ちた、日本死ね!」の一般社会化は、繰り返しますが、上記で申し上げた「市場原理主義アホダラ教」の経済的帰結であるのですが、そのことはまた、日本の政治や行政の質的劣化と無責任化と裏腹の関係にあります。そしてそれは、今、新聞やTVのニュースをにぎわせている様々な事件が起きた後の行政当事者たちの言動を見ていれば露骨に見て取れます。一見反省をしているかにも見える時もありますが、根っこでは全く居直っていて、それは保育園経営や保育園政策についても同様なのです。数は少ないですが、真剣に保育園政策の改善に取り組む自治体がないではないですが、しかし、そうした自治体や首長は少数派であり、「失われた30年」を経てもなお「市場原理主義アホダラ教」に基づく政策が大手を振って跋扈している事態は変わっておりません。マスごみどもが「持ち上げ報道」してきた「アホノミクス」がその典型です。こんなものに期待をかけているアホウもいるそうですから話にならないのです。
「市場原理主義アホダラ教」政策による日本社会の荒廃と経済的苦難、それと裏腹の関係にある行政の質的劣化と無責任化、そして有権者・国民一人一人の「自己責任」への「責任の転嫁」など、一連の政策の根底にあるのが「諸悪の根源としての政治」=もっと具体的に言えば、アベ政権に代表される今日のゴロツキ・ガラクタ・タカリ人士たちによる政治=自公政治、なのです。今日の保育園は、まさにその犠牲となった「アホの国の子育て失敗政策」の帰結と言えるのではないかと思います。
こんなことは、もういい加減にやめなければなりません。保育園の荒廃と市場原理主義アホダラ教の経済的帰結など、怒りをもって「ひっくりかえしましょう」。みんなで全ての選挙で自民党・公明党・維新の会を落選させ、行政にオンブズマン制度を入れて、地道な行政リノベーションを積み上げていけば、まだまだ日本は甦る可能性を持っています。かわいい子どもたちに快適で安全な保育園と大切な幼児教育を、低価格でくまなく提供できるような社会を一刻も早く実現していきましょう。そのためには、アベ政権・自民党・公明党・維新の会のゴロツキ・ガラクタ・タカリ政治家どもを政治の世界から一掃しなければなりません。彼らに期待をして議員に当選させることは、日本の未来を没落と衰退と、そして1%のためのカネ儲けの手段として提供することを意味しているのです。
ともあれ、下記にご紹介申し上げる岩波月刊誌『世界』連載の小林美希さんの迫真の調査レポートを、是非とも原本入手の上、ご一読をお願いしたいと思います。読み進めるにつれ、許しがたい保育園経営の事業者たちの実像や、無責任にも逃げ回って事態改善に取り組まない行政の姿が浮かび挙がってきます。繰り返しますが、こうしたことの最大の犠牲者は、申し上げるまでもなく、こうした保育園に入る多くの子どもたちと、そこで働く保育士さんたちなのです。保育園は養鶏場ではないのだ!
<別添PDFファイル>
(1)職業としての保育園(上)(一部抜粋)(小林美希『世界 2018.2』)
(2)職業としての保育園(下)(一部抜粋)(小林美希『世界 2018.3』)
(3)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第1回):情報公開資料から探る賃金実態(イントロ部分)(小林美希『世界 2019.9』)
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(4)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第2回):情報公開資料から探る賃金実態(イントロ部分)(小林美希『世界 2019.10』)
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(5)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第3回):流出する委託費の行方(イントロ部分)(小林美希『世界 2019.11』)
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(6)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第4回):給食と玩具が削られる(イントロ部分)(小林美希『世界 2019.12』)
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(7)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第5回):疲弊する小規模保育(イントロ部分)(小林美希『世界 2020.1』)
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(8)ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第6回):規制緩和が保育にもたらしたもの(イントロ部分)(小林美希『世界 2020.3』)
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(9)園児危険 1万6249カ所、政令市など散歩コース、大津事故後点検(毎日 2020.2.12)
https://mainichi.jp/articles/20200212/ddm/001/040/098000c
(10)世田谷の保育施設 突然閉鎖、保育士 無給で自主運営、労働組合が寄付募る(東京 2019.12.4)
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/hoiku/24395/
●ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2(第6回):規制緩和が保育にもたらしたもの(小林美希『世界 2020.3』)
https://www.iwanami.co.jp/book/b498394.html
(一部抜粋)
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(中略)本誌二〇一九年九月号で詳報したように、保育士の〝年収〞が二〇〇万円台という保育所が散見され、都内の株式会社の認可保育所全体で見ても、その平均年間賃金は三二〇万円程度でしかないのだ(二〇一六年度の実績)。
認可保育所の設置が営利企業にも認められた二〇〇〇年以降、人件費が狙われた。市町村から保育所に支払われる運営費は、保育に必要な経費や人件費が積み上げ方式で計算されているため、本来は使い切る性質のものだ。そこから無理に利益を確保しようとすれば、運営費の八割を占める人件費を削るしかない。さらには、いまや子どもの玩具代までがコストカットのターゲットにされている(本誌二〇一九年一二月号参照)。
すると、現場では満足に玩具は買えず、保育の方法もマニュアル化。子どもは一人ひとり違うのに、時間で区切り、棚にしまった玩具をサーッと撒くようにして子どもに与えるようになる。食費も切り詰め、おかわりがない、こぼしたらもう食べられない。「こうした現場で働くうち、保育士が専門職としての倫理観をなくしていっても不思議ではない」と、株式会社に藍禁された二〇〇〇年より以前の保育を知る六〇代〜七〇代の園長らは危機感を抱く。
弦大路線を走って多数の保育所を展開すると、施設長であるはずの園長の権限はないに等しく、〝雇われ園長〝となってしまう。まるで、飲食店チェーンの名ばかり店長と一緒で、園長にとっても悲惨な職場と化している。ある園長経験者は「昔も保育士の労鋤環境は劣悪だったが、それでも経営者に志があった。今は理念すらないビジネスと化している」と眉根をよせる。保育業界では、こうした大手の保育所をまるでコンビニか飲食店同様、〝店舗〞と揶揄する言葉も聞かれる。
私立の認可保育所には、市区町村が運営費として「委託費」を毎月支払っている。委託費は税金を原資として国、都道府県、市区町村の負担と保護者が支払う保育料からなる、いわば公費だ。委託費は「公定価格」に基づき、預かっている年齢別の子ども一人当たりの単価が積算される。使途は、「人件費」、「事業費」(給食費、保育材料費など)、「管理費」(福利厚生費や土地建物の賃借料など)の三つで、国の想定では、委託費の八割が人件費とされている。
この委託費はもともと、「人件費は人件費に」と、それぞれ縛りがかけられ、使途制限があった。その規制を取り払い、相互に流用することを「委託費の弾力運用」と呼ぶ。遡ること一九六七年から、国は「児童福祉施設における措置費の経理について」という通知を出して、弾力運用を認めていた。ただ、当初は施設内でかかる人件費部分の「本俸」と「手当」(扶養手当や超過勤務手当、通勤手当など)の流用という小幅なものに限られていた。
ところが、男女雇用機会均等法が施行された一九八六年以降、不況も後押しして一貫して共働き世帯が増え続け、一九九七年に専業主婦世帯と逆転すると、いっそう待機児童が問題視されるようになる。保育という営みの公益性の高さから、それまで、認可保育所の設置は社会福祉法人のみに認められていたが、それだけでは需要に追い付かない。一方で、人件費比率が八割では利益が出ず、企業が進出するうまみがない。企業参入を促すためには、利益を確保できる仕組みを作らなければならなかったのた。そこで厚生労働省は、二〇〇〇年三月三〇日に二つの通知を出した。一つは、株式会社やNPO法人などの参入を容認する「保育所の設置認可等について」。もう一つが、弾力運用を大きく規制緩和した「保育所運営費の経理等について」だった。
大幅に弾力運用が認められたことにより、私立保育所が一定の基準を満たせば、人件費を事業費や管理費に回すことができるようになった。そして、同一法人が運営する他の保育所や子育て支援事業などへの資金流用も可能となった。二〇〇四年には、通知で、同一法人が運営する保育所以外の介護施設などの福祉施設にも資金を繰り入れることができるようになったのだ。さらには、委託費の年間収入の四分の一(三カ月分)まで流用可能となった。、
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(みなさま、岩波月刊誌『世界』を定期購読されませんか? 私は岩波書店の回し者ではありませんが、この月刊誌は今日の日本のマスコミの粗大ゴミ化やネット原論のお粗末化・フェイク氾濫現象など、日本の言論界が朽ち落ちる中で、孤高を保つようにその「ハイクオリティ(高品質)」を何とか維持しています。みなさまの浄財による定期購読が、こうした数少ない言論・出版を支えることになります。:田中一郎)
https://www.iwanami.co.jp/search/g8325.html
(田中一郎コメント)
小林美希さんの岩波月刊誌『世界』論文は上記の後も続いていく。それを下記に少しだけまとめて箇条書きにしてみよう(繰り返しますが、みなさまには原本を確保の上、ご覧いただきたいと思っております)。
<1>この間、さらに規制緩和が行なわれ、二〇一五年度には株主への配当にまや流用が可能になった-。企業にとって人件費を削減して事業拡大に委託費を使うことができるようになり、大きなメリットとなった。
<2>委託費の使途制限が大きく緩和されたとはいえ、あくまで適切な施設運営が確保されていることを前提として、運営費等の弾力運用は認められている。(中略)これらすべてを満たすことが運営費の弾力運用の前提要件となるが、実際には、ほとんど全ての保育所に弾力運用が認められている。(中略)少なくとも東京都で2000年以降、これまでの間に弾力運用が認められなくなったケースはない。
<3>立憲民主党の田島麻衣子参議院議員は二〇一九年二月一九日、厚生労働委員会で筆者の調査結果を引用しながら、「二〇一六年度の保育士の年収が二〇二万円など低いところもある」と問いただすと、加藤勝信大臣は、「これは多分、都内保育園の一番低いところ。高いところもたくさんあるはずだ」とまるで他人事のように答え、「処遇改善加算等は実際に処遇が加算されているか検証しながら適用を行なっている」と逃げた。処遇改善加算の話ではなく、弾力運用でバケツの底に穴が空いている状態という問題の本質について、大臣は答えなかったのだ。
<4>さらにいえば、積み立ては次年度以降その保育所の経費として使えるもので、人件費、修繕積立、備品等購入の積立資産に積み立てることができ、金額に限度は設けられていない。ただ、積立資産は、株式会社は監督する都道府県との協議、社会福祉法人は法人の理事会によって認められれば目的外に使用することもできる。東京都によれば、「ほとんどが新規開設のために使われている」ということから、事業拡大のために資金移動する抜け道となる。
<5>保育所は児童福祉法に基づいて設置される福祉施設であり、市町村が子どもたちの保育を担う義務がある。あくまで市町村でやりきれないところを民間に委託しているにすぎず、保育をビジネスにし、資産を増やしていいとは言っていない。
<6>それにもかかわらず、保育は市場化するために数々の規制緩和が行なわれてきた。小泉純一郎元首相が厚生労働大臣だった一九九七年に児童福祉法が改正され、保育は行政が入る保育所を決める「措置制度」ではなくなり、保護者が選択できるようになった。一九九八年には調理業務の外部委託が認められ、「宮から民へ」と転換していく布石が打たれていた。その後、小泉政権(二〇〇一年四月~〇六年九月)の下、二〇〇一年に園庭がなくても認可保育所が設置できるようになった。さらに保育士配置の最低基準が二〇〇二年に緩和され、常勤職員でなく短時間勤務者でも可能になった。二〇〇四年には公立保育所の運営費が一般財源化され、財政が苦しい地方自治体では、保育所整備が後回しになり、人件費削減をするための非正規雇用化や民間移譲が本拾化した。
<7>小泉政権下の規制緩和を引き継ぐような形で、第二次安倍政権(二〇一二年一二月から現在)でも規制緩和が加速。保育士配置や面積基準の地方条例化、三歳児以上の給食の外部搬入の容認、小規模保育や企業主導型保育で実質的な保育士配置基準-の緩和が実施された。
(なお、上記では明示的ではありませんが、多くの保育園事業者は、その経営内容のディスクロ(情報公開)が悪く、小林美希さんの今般の保育園調査においても幾多の困難に直面していたようです(もちろん中にはディスクロのいい保育園もありますが少数派です、特に営利追求型の株式会社保育園がひどそうです)。国民の税金を巨額に投入してもらっていながら、その経営内容や保育園の実態を明らかにしない、そんな理不尽が罷り通っています。ロクでもない保育園経営をしているから公開したくないことは目に見えています(すばらしい運営をしていれば公開してPRしようとするのが自然です)。法的なディスクロ規制(経営情報公開義務)を課す必要があります。小林美希さんの一連のシリーズレポートを読んでいて「こんなこと(情報公開義務)もしていないのか」と、驚くばかりでした。陰に隠れてコソコソと、保育園ビジネスで甘い汁を吸う連中が後を絶たないようです。)
もはや唖然とするばかりである。こんな状態をそのままにしておいて、あるいはまた、こんな保育政策を進めてきたアベ政権・自公政治やゴロツキ・タカリのクズのような政治家どもを放置しておいて、あるいは保育をあくどい金儲けの手段にして荒稼ぎする事業者たちをそのままにして、この保育政策に巨額の税金を投入しても効果は上がらないことは明らかである。まさに「保育園落ちた、日本死ね!」「保育園食いものにされた、自民党・安倍政権死ね!」である。
市場原理主義アホダラ教に頭がイカれていては、今日の日本の困難や窮状、様々な矛盾や問題を、きちんと解決することはできない。現代資本主義の下では、お人好しや無知、そしてアホウは、徹底的にむしり取られ、利用され尽くす、(そして役に立たなくなったら古ゾウキンのように捨てられる)ということを忘れてはならない。
<企業保育問題>
(1)クローズアップ:企業型保育所 相次ぐ不正 甘い審査、見透かされ - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190812/ddm/003/100/067000c?fm=mnm
(2)甘いチェックで荒稼ぎ 真面目な事業者不採択 審査不透明 企業保育所 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190811/k00/00m/040/238000c?fm=mnm
(3)待機児童対策の切り札に群がったブローカー 企業保育所不正指南、横行 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190811/k00/00m/040/213000c?fm=mnm
<その他関連情報>
(1)「給料上げてよ」ある保育士の悲痛な叫び 7年目で手取り12万円のリアル(沖縄タイムス)Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190915-00471160-okinawat-oki
(2)クローズアップ:待機児童問題 保育士不足、入所に壁 自治体、厚遇掲げ争奪戦 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190625/ddm/003/100/062000c?fm=mnm
(3)なぜ6割の保育士が働きたくても働けないのか? - wezzy|ウェジー
https://wezz-y.com/archives/68015?utm_source=onesignal&utm_medium=button&utm_campaign=push
(4)ベビーシッター「1時間150円」 都の補助制度は「額面通り」ではなかった - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200213/k00/00m/040/316000c?fm=mnm
(5)「辞めます」と園長に伝えると担任の責任を問われたので、言い返した言葉は…「よくぞ言ってくれた!」同じ保育士から称賛の嵐 - citrus(シトラス)
https://citrus-net.jp/article/84419
(6)大きな危機か…国が直視しない保育園の「本当の現実」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200211-00070279-gendaibiz-soci
(7)認可保育、4人に1人落選 自治体待機児童調査
https://www.47news.jp/3578563.html
(8)保育士という報われない職業の過酷すぎる現場 - 東洋経済オンライン
https://00m.in/4MGYr
(9)保育士の賃金はなぜまだ低いのか 補助金が圧倒的に足りていない - wezzy|ウェジー
https://wezz-y.com/archives/69787?utm_source=onesignal&utm_medium=button&utm_campaign=push
(10)命を落とすかもしれない「危ない保育所・危ない幼稚園」の見極め方(猪熊弘子)現代ビジネス-講談社
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56432
草々
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