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2019年11月 7日 (木)

東電福島原発事故刑事裁判 東京地裁判決は「全員無罪」=日本の司法は「暗黒時代」へ突入(その3):真相究明も、社会正義の実現も、日本を亡ぼす原発・核施設過酷事故再発防止も実現できない日本の裁判

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)


(最初に若干のことです)
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1.(11.11)福島原発告訴団-地裁判決を許さず逆転有罪判決をめざす集会(参議院議員会館講堂)
 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.com/2019/10/blog-post.html

(関連)控訴が決まりました!(指定弁護士・被害者参加代理人コメント有)福島原発刑事訴訟支援団
 https://shien-dan.org/20190930-appeal/


2.関電の原発マネー不正還流を告発する会:あなたも告発人になってください
 https://00m.in/xeifV

(関連)(11.14)「関電の不正問題を追及する東京集会」(告発する会:憲政記念会館 午後3時)
 http://kandenakan.html.xdomain.jp/1114.pdf
(関連)(11.22)「関西電力㈱大疑惑に声を上げよう!」最終日(千代田区 関電東京支社前)
 http://www.labornetjp.org/EventItem/1572529927222JohnnyH


3.(11.27)東海第二原発20年延長を許さない!廃炉デー大アクション(秋葉原 日本原電前)
 https://drive.google.com/file/d/1jkEz4cpIV838R-NgVJYaeS-eLXrpsHYh/view
 http://www.labornetjp.org/EventItem/1570782711338staff01

(関連)キャンペーンについてのお知らせ「東電、日本原電・東海第二原発支援を決定」 · Change.org
 https://00m.in/u7gED
(関連)(別添PDFファイル)原電支援2200億円、東電が正式決定、東海第二 再稼働見通せず(朝日 2019.10.29)
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14235514.html

(関連)【署名】東京電力さん、私たちのお金を日本原電・東海第二原発の再稼働のために使わないでください|FoE Japan
 http://www.foejapan.org/energy/stop_restart/180411.html
(関連)声明:東電の日本原電・東海第二原発再稼働への資金支援に抗議する~原発事故被害者や市民に対する背任行為~|FoE Japan
 http://www.foejapan.org/energy/stop_restart/191028.html


4.キャンペーン
(1)キャンペーン · 被ばくデータを不当に利用した「宮崎・早野論文」の人権侵害と不正を公平に調査してください。 · Change.org
 https://00m.in/1Bvw8
(2)【署名】原発・核燃・プルトニウム利用の中止を求めます
 https://00m.in/0GYTi


5.イベント情報
(1)(11.9)#脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会)- 第13回新宿デモ みんなつながって、一緒に抗議の声をあげましょう!
 https://fukusima-sokai.blogspot.com/2019/09/13.html
(2)(11.11)オルタナティブな日本をめざして(第36回):「福島原発被害賠償訴訟の現状と課題」(新ちょぼゼミ:中川素充弁護士) 
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-597e39.html
(3)(11.22)第9回核ごみに関する政府との会合(午後2時から:参議院議員会館B104、核ごみ問題研究会、協力:福島みずほ事務所)
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/11/post-b945e5.html
(4)(11.25)オルタナティブな日本をめざして(第37回)「日本を潰すアベ政治:巨額の国富喪失と私たちの生活」(新ちょぼゼミ:上岡直見さん)
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-c1eed6.html
(5)(12.9)オルタナティブな日本をめざして(第38回):「外環道訴訟と大深度地下開発問題」(武内更一弁護士)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-e0067b.html
(6)(12.11)南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会- 次回期日は原告本人尋問です。10時集合!傍聴席を埋め尽くそう!
 http://minamisouma.blogspot.com/2019/10/blog-post.html
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(初めに)福島原発事故原因をつくった最高責任者=東電幹部3人(勝俣恒久、武黒一郎、武藤栄)を無罪放免にした裁判官3人の名前は下記の通り
 永渕健一(裁判長)、今井理(おさむ)(右陪席)、柏戸夏子(左陪席)

(巨悪の権力犯罪(巨大企業や国)を、もう一つの権力(司法権力)が追認し無罪放免にすることは、両者が団子状態となって同じ罪に陥ることを意味し、三権分立や裁判官の良心による職権行使を定めた日本国憲法に違反するものである。私は、反国民的亡国判決を下し、福島原発事故の責任をうやむやにしてしまったこの3人の裁判官は、「時効なし」で弾劾裁判にかけるべきだと考えています:田中一郎)

(もう一つ:再)見て、広めて下さい!【新作短編映画 『東電刑事裁判 不当判決』】(福島原発刑事訴訟支援団)
 https://www.youtube.com/watch?v=VY-iMQsxkNU

*福島原発刑事訴訟支援団ホームページ  https://shien-dan.org/
*DVDをご希望の方は、500円(送料込み)でお送りします。【振込用紙を同封します】
*問い合わせ先:支援団 080-5739-7279  infoアットマークshien-dan.org

(関連)東電刑事裁判無罪判決 裁判所はなぜ誤ったのか - 福島原発刑事訴訟支援団
 https://shien-dan.org/20190929-kaido/

*福島原発刑事訴訟支援団 HP|東京電力福島原発事故の真実と責任の所在を明らかに
 https://shien-dan.org/

*福島原発告訴団 HP
 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.com/


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 遅くなりましたが、「東電福島原発事故刑事裁判 東京地裁判決は「全員無罪」=日本の司法は「暗黒時代」へ突入(その3):真相究明も、社会正義の実現も、日本を亡ぼす原発・核施設過酷事故再発防止も実現できない日本の裁判」をお届けします。今回は、前回申し上げた検察や裁判官に対する批判のみならず、そもそも日本の裁判の「伝統的」ともいえる固有の「難点」=国民主権や民主主義社会にふさわしくない制度的欠陥や、法曹界が持ち続ける愚かなる頑迷・固陋のしきたりや一般市民には理解しにくいジャーゴン(法律用語)などなどについて申し上げたいと思います。いつもの「大阪下町じゃりんこ俗語」で言いますと、「事故原因を津波だけにわざと絞って、予見と回避の「可能性」となどというボケた2点を争点にしている裁判のやり方があかんのや、そんなもんではラチあかんワナ、事件の全容やその真相は闇に包まれたままやし、被害を受けた人らは救われんし、こんなことやってたら、またおんなじ原発大事故が起きてしまうがナ、ええ年こいで何しとんねん、アホちゃうのんか!」ということです。

(前々回)東電福島原発事故刑事裁判 東京地裁判決は「全員無罪」=日本の司法は「暗黒時代」へ突入(その1):東電旧経営陣無罪判決、裁判所が犯した七つの大罪 (海渡雄一弁護士:論座)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-264d98.html

(前回)東電福島原発事故刑事裁判 東京地裁判決は「全員無罪」=日本の司法は「暗黒時代」へ突入(その2):東電幹部3人を最初から無罪放免する方針で起訴・裁判に臨んでいた日本の司法・裁判所・検察- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-3ee520.html


1.(最初に)著名人のコメント:『週刊金曜日』
 『週刊金曜日』の2019年10月25日号が「東電福島原発事故刑事裁判 東京地裁判決」の特集を組みました。別添PDFファイルには、その中の2つの記事のイントロ部分を添付します。みなさまには是非、原本を入手の上、ご覧いただきますようお願い申し上げます(『週刊金曜日』は企業や役所からの広告を断り、みなさまの購読料のみにて運営されています。みなさまの定期購読で貴重な雑誌ジャーナリズムを支えてください)。

●週刊金曜日公式サイト
 http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/002908.php

 <東電刑事訴訟「無知」の永渕健一判決:『週刊金曜日 2019.10.25』(イントロ部分)>
(1)(別添PDFファイル)「絶対的な安全性は求められていなかった」とよく言えたものですね(座談会:海渡雄一,武藤類子,吉田千亜,司会・明石昇二郎)
ダウンロード - e6b0b8e6b7b5e581a5e4b880e588a4e6b1bae38081e3808ce7b5b6e5afbee79a84e381aae5ae89e585a8e680a7e381afe6b182e38281e38289e3828ce381a6e38184e381aae3818be381a3e3819fe3808de381a8e38288e3818fe8a880e38188e3819fe38282e381ae.pdf
(2)(別添PDFファイル)原発を止めた元裁判官2人が徹底批判 井戸謙一、樋口英明
ダウンロード - e69db1e99bbbe58891e4ba8be8a8b4e8a89fe588a4e6b1bae38081e58583e8a381e588a4e5ae98efbc92e4babae3818ce5beb9e5ba95e689b9e588a4efbc88e3808ee980b1e5888ae98791e69b9ce697a5e3808fefbc89.pdf

(あの、いつもニコニコ顔のおじさんで穏やかな海渡雄一弁護士が、今回の判決ばかりは烈火のごとく怒っています。どれほどひどい判決だったのかは、この海渡雄一弁護士の憤りの激しさからも見て取れます。それにしても、まだ永渕健一裁判長は判決文を公表していません。公開すると、判決のロクでもなさが一目瞭然となるからでしょうか。どこまで根性が腐っているのでしょう? 永渕よ、司法権力を濫用して出鱈目に振り回すなよ、このボケナス野郎!)


2.「世の中」のコメント:その他
 以下、いくつかご紹介します。

 <別添PDFファイル>
(1)東電刑事裁判「無罪判決」への疑念:明かした事実を反映委せず(イントロ部分)(添田孝史『世界 2019.10』)
 https://www.iwanami.co.jp/book/b480059.html
ダウンロード - e69db1e99bbbe58891e4ba8be8a381e588a4e3808ce784a1e7bdaae588a4e6b1bae3808de381b8e381aee79691e5bfb5efbc88e382a4e383b3e3838829efbc88e6b7bbe794b0e5ad9de58fb2e3808ee4b896e7958ce3808fefbc89.pdf
(2)東電刑事裁判無罪判決、裁判所は土俵を割ってまで東電役員を救済した(海渡雄一『原子力資料情報室通信 No544 2019.10』)
 http://www.cnic.jp/category/cat010/cat012
(3)崩壊してしまった民主主義、東電裁判全員無罪の衝撃(月山琉『週刊金曜日 2019.10.11』)
 http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/002899.php
ダウンロード - e69db1e99bbbe8a381e588a4e585a8e593a1e784a1e7bdaae381aee8a19de69283efbc88e69c88e5b1b1e79089e3808ee980b1e5888ae98791e69b9ce697a5202019.10.11e3808fefbc89.pdf

●(別添PDFファイル)記者の目:東電原発事故無罪判決、強制起訴制度の定着を(巽賢司 毎日 2019.11.1)
 https://mainichi.jp/articles/20191101/ddm/005/070/001000c

(一部抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(中略)しかし、地裁は裁判例の枠組みに沿って、丁寧に、公平に裁いたと思う。その結果が無罪だった。説得力のある判決だったと私は思う。

(中略)もっとも、制度には改善すべき点が多くある。まず、審査の段階で、申し立てられた側に反論の機会が与えられていない。一方的で、不公平だ。意見陳述の機会や弁護人の選任権を保障すべきだろう。(中略)制度スタートから今年で10年。今回の無罪判決を改善のきっかけへとつなげ、日本の刑事司法にとって、なくてはならない制度として定着させたい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(もっともらしい記事見出しをくっつけて、毎日「忖度ちょうちん」新聞そのものの記事が、毎日「忖度ちょうちん」新聞記者執筆の形で掲載された。この記事を読んだ時に驚きや怒りを超えてアホらしさが先に立ってしまい呆れてしまった。大手新聞社の記者もココまで堕ちてきたか、もうおしまいだな、という印象だ。そもそも、この東電刑事裁判の東京地裁判決については判決文さえ未だに公表されていない。海渡雄一弁護士が言うように、公判で裁判長が読み上げた「判決文要約」は、肝心な部分があちこちカットされたご都合主義的なもの。にもかかわらず「説得力のある判決だったと私は思う」などとよく言えたものだ。「私は(私たちは)判決文など読まずに最初から決めていた結論をもっともらしい修飾語で飾って記事を書いております」と告白しているようなものだ。その判決文未公表についての言及も、この記事には全くない。オメエはそれでも新聞記者か! さっさとやめちまえ、ボケ野郎! という話である。

おまけに矛盾だらけの「検察審査会・強制起訴制度」についても、ボケたようなコメントまでおまけでくっつけている。この裁判が典型の1つだが、巨悪を見逃してしまうような腐った検察が起訴権限を独占していることこそおかしいのではないのか! かようなダボラ記事が、毎日新聞社では編集デスクでハネられることもないようである。毎日新聞を購読のみなさま、こんなゴミ新聞にカネなど払って購読しても無意味ですよ。やめましょう、かようなクソ新聞は潰しましょう。(さすがに「説得力のある判決だった」などと論評をしているアホはこいつだけで、今のところ他のマスごみには見当たらない):田中一郎)

 <関連サイト>
(1)福島原発刑事訴訟支援団ニュース第8号 青空 - 福島原発刑事訴訟支援団
 https://shien-dan.org/news-letter-no008/
(2)福島原発告訴団- 刑事裁判傍聴記:第38回公判(添田孝史)
 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.com/2019/10/38.html
(3)裁判史の恥辱・永渕健一裁判長「東電無罪」判決 (論座)
 https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019100300011.html
(4)【原子力資料情報室声明】憂うべき東京電力刑事裁判判決 - 原子力資料情報室(CNIC)
 http://www.cnic.jp/8771
(5)JAEA、「明治三陸型」大津波を茨城沖で想定していた - level7
 https://00m.in/dWOM2
(6)2019.9.20 山本太郎 代表談話「東電原発事故経営陣刑事裁判の判決について」 - れいわ新選組
 https://reiwa-shinsengumi.com/comment/3599/


3.最初に、今回の件を強制起訴に持ち込み、更に裁判において検察役をして下さっている弁護士その他の方々に心より感謝申し上げます。
 これから下記に、今回の東京地裁での東電福島原発事故刑事裁判に関して、そもそも裁判の在り方にまで言及しながらボロクソの批判を行う予定です。しかし誤解のないように申し上げますが、この裁判が始まるまでには、みなさまご承知の通り、海渡雄一氏ら弁護士各位や添田孝史氏らジャーナリストをはじめ、多くの方々が砕身粉骨の努力をなさって事故に至った経緯の解明や原因の追及に尽力をされ、まさに「象を針の穴に通す」くらいの困難を乗り越えて、奇跡的に検察審査会での二度の「起訴相当」の議決を得ています。

更に、その後も、本裁判において、自己の利益など棚上げした形で有能な弁護士の方々が検察官役を担って下さり、これまで明らかにされていなかったさまざまな事実を裁判の中で明らかにして下さり、まさに「ブラックボックス」だった福島第1原発事故の事故に至る経緯や事故実態の解明や事故原因の究明が大きく前進したと言っていいと思います。また、その過程で、福島原発事故を調査した政府事故調報告書が、実はその事務局を検察に牛耳られてしまって、事故に至った重大な経緯=特に国や東京電力幹部たちの責任に帰すべきような内容のことが隠蔽され、削除・無視されていたことも明らかになっています。つまり、この東電福島原発事故刑事裁判は、その裁判のやり方や判決はさておいても、多くの人々の努力によって起訴・開廷され、多くのことを明らかにできたこと自体が大変意義のあることであり、事実解明の観点からも大きな前進となったことを強調しすぎてもし過ぎることはありません。その意味で、関係された弁護士やジャーナリストをはじめ、多くの方々に心より感謝申し上げたいと思います。下記の文章は、決してこの裁判のこうした意味や意義を否定するものではないことを最初に申し上げておきます。その上で、少し違う観点より、「そもそも論」的な批判をするものです。

(参考)東電刑事裁判で明らかになったこと 予見・回避可能だった原発事故はなぜ起きたか-海渡雄一/編著 福島原発刑事訴訟支援団/監修 福島原発告訴団/監修(彩流社ブックレット)
 https://00m.in/n5ZZp

(参考)市民が明らかにした福島原発事故の真実 東電と国は何を隠ぺいしたか-海渡雄一/著 福島原発告訴団/監修(彩流社ブックレット)
 https://00m.in/gRiDG

(参考)東電原発裁判 福島原発事故の責任を問う-添田孝史/著(岩波新書)
 https://00m.in/IosCT

(参考)原発と大津波 警告を葬った人々-添田孝史/著(岩波新書)
 https://00m.in/vaUI8


4.そもそも日本の裁判制度・裁判所が「なってねえ」
 さて最初に、日本の裁判のあり方そのものについて言及しておきます。こんなやり方をしている限り、私は半永久的に日本の裁判はよくならない、真相究明も、社会正義の実現も、有権者・国民の納得のできる法秩序も、実現することはない、権力犯罪は罪を問われることもなく闇に葬られるだろうと思います。私は3.11福島第1原発事故以降、企業や国や自治体、あるいは政治家や官僚や大企業・大組織の幹部たちが被告となる多くの裁判を傍聴する機会を得ました。それは福島原発事故に関連するものに限りません。それまでは、裁判や裁判所などというものは遠い世界の事柄であり、関心がなかったわけではありませんが、大半の裁判とその結果について、さしたる注意も払わず、おかしな判決が出たら「ああ、またか」と思う程度の反応ぶりでした(とはいえ毎度の最高裁判事の国民審査では候補者全員に「×××××」をつけていました)。

それがここ数年間で多くの裁判を傍聴した結果、「こんなんじゃ、いつまでたってもダメや」と強く思うようになりました。東電福島原発事故刑事裁判は、検察役が東京電力の責任を追及する弁護士によって担われるという、通常の裁判とは少し違ってはいますが、事の本質はあまり変わりません(腐った検察が起訴しないからこうなっただけ)。日本の裁判・裁判所・裁判官や検察がこのままでは、巨悪の権力犯罪は裁かれることなく野放しとなり、多くの被害者・善良な市民は「泣き寝入り」をさせられて生活苦・人生破壊を余儀なくされ、ひいては日本の社会正義実現を困難にさせて日本の民主主義や法治国家の土台を掘り崩していくことになると、私は強い危機感を持っています。以下、日本の裁判が、どのように「なってねえ」か、体験談に基づき箇条書きにしてみましょう。

(1)裁判の公開原則(日本国憲法第82条)がないがしろにされている。わずか数十名しか入れない法廷で、すべてのテレビカメラや撮影をシャットアウトして裁判が行われている。今回の東電福島原発事故刑事裁判の東京地裁判決の日には、800名を超える市民が傍聴券を求めて列をつくり、それに対して抽選で当選して入廷できたのは、わずかに50名程度だった。日本の裁判は事実上、非公開の秘密裁判として実施されている。国会は法律を制定して、裁判所法廷にテレビカメラを入れ、撮影・放映を自由化せよ(それが日本国憲法の定めるところである)。

(2)裁判長自らがマイクを使わないので声が小さく聞き取りにくいことが多い。更に、被告となる企業や国側の弁護人の声も聞き取りにくい。傍聴する市民から時折、聞こえねえぞ! のヤジが飛んでいる。法廷には傍聴市民がたくさんいるにもかかわらず、裁判官や被告(企業や国など)は傍聴人を無視するかのごとき態度である。ロクでもないことして罪を問われ、それに屁理屈を付けて言い訳をし、罪を逃れようとするから声が小さくなるのだろうし、裁判官に至っては、裁判の内容を無視して被告たちの権力犯罪を無罪放免してやろうと最初から決めてかかっているから、おのずと声も小さくなるに違いない。そもそも、裁判官が座る席が、原告・被告や傍聴市民よりも高い位置につくられていて、裁判官どもは裁判当事者たちを「見下す」形の法廷の設営になっている。これがもたらす精神構造が気に食わない(裁判官は江戸時代の「遠山の金さん」や「大岡越前」ではないにもかかわらず、市民傍聴席に市民が土下座させられるような雰囲気だ)。いっそのこと、裁判官どもの席は、逆に原告・被告・傍聴市民の席よりも低い位置に置いたらどうか。

(私は全国の裁判所の建物を全部建て替えて、法廷の形を抜本的に転換すべきだと考えている。少なくとも、①広くてたくさんの市民が傍聴できる法廷をつくる、②TVカメラが入る取材コーナーを広くつくり裁判を公開する、③インターネットを含むスライドショウができる設備環境整備(弁護人たちの口頭弁論資料用)、④マイクの使用を法的義務とする、⑤裁判資料などが原則全部公開され、その複写も認める(そのための設備を整える)、⑥裁判官席を高い位置におかない、などの改善が必要だ。)

(3)裁判官や裁判所事務員の傍聴市民への態度が悪い。何様だと思っとるのかという話。お前らは市民の納税により飯が食えているということを忘れたか、という話である。東京地裁での東電福島原発事故刑事裁判では、裁判長の永渕健一が職権を乱用して傍聴市民を敵対視した無用の「いやがらせボディーチェック」を頻繁に行い顰蹙を買っていた。これも一種の人権侵害であり、また、市民への侮辱罪である。こうした裁判官による法廷運営のデタラメ(権限の濫用)を法律で禁止しておくべきである。また、裁判所事務員たちも傍聴市民を敵対視して態度が悪く、裁判所内での裁判関係資料やチラシ類の配布を妨害したり、入廷に当たって傍聴市民をアゴで指図するような振る舞いが目立っている。

(4)「口頭弁論主義」がないがしろにされており、法廷での口頭での原告・被告のやり取りが皆無に近い。公判が「形だけの口頭弁論」に終わっていて内容に乏しい。おまけに、電話か事前の「進行協議」などで打ち合わせておけばいいような日程調整や提出書類の確認などを、裁判官が率先して公判時に時間を割いてやっている始末で、見ていて「何をやっとるのか」という印象だ。裁判官は「書類審査官」という事務官僚に成り下がっていて、裁判を傍聴していても、スカみたいな感じで、時間だけが過ぎていく。そして、ここでも傍聴市民はまるでいないかのごとくの「蚊帳の外」である。

(5)公判と公判の間が長すぎて裁判が無用に長期化している。詳細な証拠調べや見解の対立があって裁判が長期化するのは差し支えないが、公判と公判の間を毎度毎度長くとる必要はない。裁判官がたくさんの裁判を抱えて大変だというのなら、裁判官の数を増やせ、という話である。私は「わざとやっている」としか思えない。つまり、権力犯罪を裁く裁判ほど、裁くわけにはいかずに無罪放免にしなければいけないから、世論の関心がほぼ消滅する時期まで判決を引き延ばし、秘密裁判を続けて、こそっとロクでもない判決を出して終りにするという魂胆が見え隠れしている。また、東電福島原発事故刑事裁判で東京地裁は、起訴相当の議決を検察審査会が行ってから1年以上にもわたって裁判開始を必要もないのに先送りしていた。許せない話である。(また、長期化する公判の途中で裁判官が変わることもたびたび起きている=公正な裁判を担保する上で、これはまことによろしくないので原則禁止にすべき)

(6)裁判官の訴訟指揮が出鱈目であることが多い。真相究明に万全を期すことを最優先とせず、証人・証拠採用から実地検分、事実認定に至るまで、予断と偏見を持って裁判に臨んでいることが透けて見えるような裁判官が少なくない。ひょっとして、長沼ナイキ訴訟において札幌地裁で見られたような、担当裁判官への水面下での「圧力工作」がなされているのではないのかと疑いたくもなる。少し前に導入された「進行協議」なるものが、真実を求めて多様な深みのある訴訟の妨害になっているのではないかとの議論もある。こんなことでは「公正な裁判」など、夢のまた夢、だ。

(7)証拠類の取扱いが秘密主義・限定主義でアンフェアである。東電福島原発事故刑事裁判で明らかにされ、提出された証拠類や事実認定されたことが非公開のままにされ、他の福島原発に関係する裁判(損害賠償など)では使うことができないなど、意味のないというよりは有害な「取り扱い上の制約」が強制されている。また、東電福島原発事故刑事裁判では、政府事故調の重要資料として残されている被告・東京電力3幹部やその他の重要参考人の証言記録を、裁判官の職権で公開させていただきたい旨の申請が検察側から出されたが、永渕健一他3人の裁判官により「門前払い」されてしまっている。(他の裁判でも証人喚問が必要不可欠であるのに裁判官が認めない事例や、不必要に非公開とされた証拠物件のインカメラ調査の拒否などが多発している=有害物質で汚染された豊洲市場用地の(東京都による)不当高値買取事件に関する石原慎太郎元都知事への証人喚問申請の却下などがその一例。こうしたことはアメリカなど海外の民主主義国家では考えられない不当な扱いである)

(8)政治(家)や行政(官僚)の不正や犯罪に加え、明らかに日本国憲法に反する権力者犯罪に対して、日本の裁判所・裁判官は判断を回避し逃亡することが多い。それを「司法消極主義」などと格好をつけてネーミングしているが、要するに「適正な判決を下すことから逃げ回っている」ということだ。戦争法違憲訴訟や米軍基地迷惑裁判(日米安保条約や日米地位協定関連)のみならず、TPP違憲訴訟(司法権放棄、基本的人権侵害など)や日の丸・君が代強制違憲裁判、防衛大学内の組織的パワハラ事件裁判、生活保護行政違憲裁判、各種情報公開裁判、そして東電福島原発事故刑事裁判を含む福島原発事故関連の裁判などなどだ。列挙し始めたらきりがないくらいに「当たり前の判決」を下さずに裁判所・裁判官が逃げ回るという、唾棄すべき事態が頻発している。

(関連)日本の司法・裁判所は行政(安倍・自民党政権)よりもひどい日本国憲法無視・人権踏みにじりの「現代の悪代官所」です(その9)= 基地裁判:国と一体化する司法(『DAYS JAPAN 2019.1』)他 いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/days-japan-2019.html

(9)東電福島原発事故刑事裁判の東京地裁判決では、判決文をいつまでたっても公開しない。信じがたい話である。刑事事件では時々そうしたことがあるなどと弁護士たちは言っているが、どうしてそのようなことを日本の法曹界が許しているのか? しかも、判決文要約として公開されたものは、肝心な争点部分がカットされたご都合主義の塊だというから、許しがたい話である。

(10)裁判官に対する有権者からのフィードバックがない(市民の上に君臨する独裁者)。唯一、日本国憲法に定められた最高裁判事の国民審査も、その運営が出鱈目で形骸化させられている。また、自民党政権が長い間節操を保って維持してきた最高裁判事の候補推薦枠の内々のルールも、アベ政権になって以降踏みにじられ、何と、あの加計学園の元監事が最高裁判事になるなど、最高裁判事が「アベ友」一色に代わりつつある。これは由々しき事態であり、何らかの立法措置により、裁判官選任の適正化に加えて、裁判官に対する有権者からのフィードバックシステムを構築する必要がある。

(加えて、検察(及びその手下の警察)は刑事事件の起訴権限を独占しているにもかかわらず、権力犯罪を起訴しないのみならず、罪もない人々を証拠改ざんまで行って罪に陥れる「冤罪製造機関」になってしまっている。検察審査会の機能強化(起訴相当議決を過半数議決とする他、事務局その他の拡充など)や起訴権限の分散と共に、日本の検察=法務省はいったん解体しなければならない=検察幹部たちを公職追放し民主的組織に再編)


5.「事故原因を津波だけに絞り、予見と回避の「可能性」の2点だけを争点にしている裁判のやり方」に問題あり(その1)
 申し上げるまでもないが、原発の安全は「津波対策」さえしていれば確保されるというものではない。当然ながら、地震の揺れに対する原子炉工学的な安全設備構築をはじめ、定期検査や維持管理・修理修繕を含む日常的な安全運転確保のための(マニュアル整備やそれに従っての役職員の訓練を含む)様々な対応・対策や、非常時における適切・迅速な即応体制の整備など、まさに総合的な対策・対応が求められる。更には、原発周辺のかなり広い範囲(少なくとも60~100km圏)に居住する住民の放射線防護をはじめとする安全保護対策や関係自治体と締結した安全協定の遵守、あるいは原発および放射能の危険性についてのウソ偽りのない情報提供などなど、それこそ関連する事柄を上げれば山のような課題があり、それらがしっかりと守られてこその原発の安全性である。

しかし、今回の福島第1原発事故においては、これら原発の安全確保のための全ての事柄について、事故前に地域住民や有権者・国民に対して東京電力や国が説明していたことが何一つとして守られていないことが明らかとなり、原発推進の関係組織や関係者たちが「原発安全」神話に寄り掛かったまま、極めていい加減なことをくり返していたことが判明した。私たち一般市民はもちろんのこと、地元や原発周辺の住民にとっては、そのショックたるや絶大である。

であれば、「事故原因を津波だけに絞り、予見と回避の「可能性」の2点だけを争点にしている裁判のやり方」に問題があることは自明ではないか。加えて申し上げておかねばならないことは、原発過酷事故というものが国を亡ぼすくらいの巨大・絶大・永遠の放射能被害をもたらすものであり、絶対に許されない重大犯罪・過失であること、また、今回の福島第1原発事故が「あの程度」の被害で済んだのは全くの幸運な偶然が重なっただけのことであり、事故の進展いかんによっては東日本一帯が壊滅して人の住めない土地となっていた可能性も大いにあるのである。

このことを踏まえれば、この刑事裁判は、まずもって事故を引き起こした当時者=東京電力の最高責任者たちの刑事責任(結果責任)を問う裁判であるだけでなく、再びの原発過酷事故の再発を防ぐため、事故に至る経緯や事故後の経過も含めて、そのトータルが可能な限り明らかにされ、それぞれについて関係当事者の責任が問われることで、何よりも今後の同様の原発・核施設過酷事故の再発を防ぐことが、もう一つの主眼とされなければならない。信賞必罰というか、原発運営でいい加減なことをやり、万全の注意を怠れば、厳しく罰せられるということを衆目の下に明確化させることで、それが担保されるのである。

こう考えると、私は従来の裁判の在り方を転換し、ことこの裁判については少なくとも次の4つの争点(場合によっては更にもういくつかの争点で)を主題にした「分科会」的な裁判を同時並行的に行い、可能な限り判決を早く下していくことが必要ではないかと思っている(具体的には、次の4つをテーマにした法廷が4つ開廷され、それぞれ別々の裁判長が有罪・無罪の判断を下し、それを取りまとめて全体裁判の裁判官がこれに対する量刑を判決するというやり方だ)。裁判とはこうあらねばならぬ、という固定観念を捨て、国を滅ぼしたかもしれない原発・核施設の巨大過酷事故に対して「総合的な判断」を下す必要がどうしてもあるということを私は強く感じる。裁判のあり方は時代や社会情勢の変化とともに変わらなければならない。

 <福島原発事故刑事裁判が問わねばならない最低限4つの事項>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)巨大地震に対する原子力工学的な安全対応・対策は万全であったか(外部電源の堅確性(福島原発では容易に液状化してしまう土地に外部電源の変電所を設置他)、水素爆発防止対策(スリーマイル島原発事故の教訓)、ECCS機能、ベント装置、水位計、重要度分類、全電源喪失(SBO)対策、原発や核施設の安全確保のための国際基準である深層防護(IAEA)など)、

(2)津波対策はどうだったのか(これだけが裁判で問われているという「異常」)

(3)事故発生直後からの対応は適切だったのか(「徴候ベース」マニュアル無視(原子炉等規制法違反)問題、外部からの支援体制整備状況、ERSS(緊急時支援システム)とSPEEDIの機能不全、3/15の東電の動き(現場から逃走)、炉心溶融の長期間隠蔽、汚染水垂れ流し・遮水壁造らず、労務管理のデタラメとセキュリティ対策、情報連絡設備や体制などの不備他)

(4)地域住民対応(オフサイトセンター機能せず、情報隠しと住民の無用の被ばく、避難体制整備状況と事故前訓練、初期被ばく計測、安定ヨウ素剤など)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


6.「事故原因を津波だけに絞り、予見と回避の「可能性」の2点を争点にしている裁判のやり方」に問題あり(その2)
 改めて再度申し上げておくと、上記のような「本来の刑事裁判の在り方」から鑑みた場合の、この裁判の在り方の不当性・不十分性は明らかである。永渕健一他3名の裁判官どもが不当極まる無罪判決を下す前から、裁判の設営の仕方そのものが歪み切っており、こんなことでは真相究明も、社会正義の実現も、日本を亡ぼす原発・核施設過酷事故再発防止も実現できない、ということを意味している。

(1)東京電力は日本最大の電力会社であり、業界のトップリーダーであり、福島第1原発は日本でもトップクラスの巨大原発群であった。万が一にもこの原発が過酷事故など起こすことは絶対に許されることではなかったし、また、東京電力も、それを規制監督する原子力安全保安院、経済産業省、あるいは原子力安全委員会なども、更には原発メーカー群や、関係する学者・マスごみなどもみな、原発・核施設の過酷事故などありえない=絶対に起きないと、何度も何度も口を酸っぱくして強調していた。それが、いざ東日本大震災という、たかだか震度6強、津波高さ16m程度の、たいしたこともない地震・津波に襲われたくらいで原発施設がボロボロ・ガタガタとなり、全電源喪失と水素爆発を含む原発爆発まで起こして環境に大量の放射能をまき散らすという、文字通りの過酷事故を起こしてしまった。

しかも、事故が起きた後の東京電力や国を含む関係当事者たちの対応も劣悪極まり、日ごろから非常事態対応・対策をきちんとしていれば、もっと被害を小さくできたであろう事故であったにもかかわらず、いたずらに被害を大きくし、また、地域住民を無用の放射線被曝に長期間さらし続けたのだ(今もこれは続いている)。これがトータルとして真相究明されず、従ってまた正されることもなく、悲惨な事故の結果に対して結果的に誰も罪に問われないままに、愚かにも、また再び全国で原発・核施設が再稼働されていく、そんな無法状態・原子力ムラやりたい放題の現実が私たちの眼前で展開されている。東電福島原発事故刑事裁判は、こうした「国を滅ぼしかねない(亡国の)」巨悪の振る舞いに対して「断固たる態度」で立ちはだかる必要があるのであって、それが今日の日本の司法・裁判所・裁判官に課せられた有権者・国民からの付託であり、使命である。(それができないのなら、とっとと司法の世界から消え失せろ!)

(2)以前にも申し上げた通り、上記「(2)津波対策はどうだったのか(これだけが裁判で問われているという「異常」)」についても、予見可能性や回避可能性ではなくて、国を滅ぼしかねない(許されない)原発過酷事故を防ぐためには、さまざまな可能性を鑑みて最大限の予見を行い、回避措置をとる、という「絶対厳守義務」が課されていると考えて、この事件を裁かなければいけないところを、まるで一般の刑事事件を裁く時のように、しかも、現代社会の複雑・複層化する中での企業が行う事業の社会的責任が厳しく問われる時代としては、いささか古臭い視野狭窄の刑事責任の認定手法を使っての消極的な判断を争点としている点において、原発事故裁判としては「失格」と言わざるを得ない。

そして何よりも私が懸念するのは、検察役の弁護団側が残されていた記録などを徹底して調査してたくさんの有罪証拠を出せば出すほど、逆に、ここまでしなければ原発事故に至るまでの関係当事者のデタラメは有罪になることはない、という既成事実を積み上げているような格好になっており、更に、それでもアホの裁判官が無罪判決を出しているのだから、これだと「原発・核施設の場合は、その安全管理に関して、どんなデタラメやいい加減なことをしても、刑事責任を問われることは、まずない」というお墨付きを与えてしまうことになるということだ。原発事故の刑事責任有罪立証に対する「ハードル」をこの裁判が高くしてしまっている。

(しかし、常識的に考えて、いつ大きな津波が来てもおかしくない東日本の太平洋に向かって、その岸壁べりのわすか標高10mたらずのようなところに、非常用電源を2つとも、配電盤と一緒にして設置して、何の防水・耐水対策も打たずに放置しておくなどということは、全くの安全管理の手抜きであり、そのことだけをもってしても、この3人の被告を有罪にすることができるし、また、しなければいけない。今後の原発・核施設における安全管理のモラル・ハザード防止のためにも、関係責任者の刑事責任有罪立証のハードルを上げるな、と強調しておきたい)

検察役の弁護団側が詳細な調査結果を公表して下さることは、まことに結構なことで、本来、国会や行政がまともに機能していれば判明していたであろうことまでも明らかにしてくれていて、それは大きな成果と意義を持っているが、しかし、裁判官の方は、そうした詳細の立証がなくても、以前に申し上げているように、原発を過酷事故に陥れるような事態が発生しないかどうかを「予見する義務」、そしてそれに対して「過酷事故をしっかりと回避する義務」を、原発を運営する側が万全な形で果たしていたかどうかを厳しく問えばいいのである。「予見可能性」ではなくて「予見義務」、「回避可能性」ではなくて「回避義務」が問われなければならない。何故なら、原発・核施設過酷事故は国を滅ぼしかねない大事故であり、許されるものではないからだ。

(関連)東電元幹部刑事裁判 最終弁論:次々と明らかになった隠し事=もはやこの3人に逃げ道はなく有罪は確定だ:それにしても日本の原発法体系や裁判は問題だらけ=新法「原発・核施設事故処罰法」(仮称)を制定せよ- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/3-329a.html


7.そもそも我が国の法律や裁判が有権者・市民の見方であったことがあるのか
 支配権力がロクでもないことをやり、犯罪を犯したときに、その被害を受けた何の落ち度もない一般の市民や有権者の基本的人権やさまざまな権利が踏みにじられ、その損害がきちんと償われないどころか、犯罪を犯した当事者の刑事責任さえ問われない、そんな無法国家状態が、ここ20年くらいで際立って目立つようになったと感じられる。そもそも法律そのものの内容がよろしくなく、支配権力者がやりやすいように、好き勝手出来るように、何か不祥事などがあっても罪や責任を問われないように、早く時効が来て法的責任がおしまいになるように、巧みに法律がつくられていることがままある。

しかし、仮に法律の条文はもっともらしい美辞麗句で飾られ、あたかも価値中立的に書かれていても、その下でつくられる政省令や通達(告示・細則・事務連絡・指導文書)のたぐい、あるいは、裁判所のロクでもない判例の積み重ねや、法曹界の固陋なる慣習やしきたり、更には人間関係までもが、社会正義を歪め、アンフェアな法律とその運営を継続的に担保している状態となっている。また場合によっては、せっかくの法律が政治家や官僚たちによって「棚上げ」にされ、あるいは「捻じ曲げ解釈」され、有効に機能しないこともままあるのである。日本国憲法の9条平和主義や25条生存権、あるいは「子ども・被災者支援法」「公害犯罪防止法」などがその一例である。そして、こうした支配権力による法治の出鱈目行為を司法・裁判所・検察が一般市民にはわかりにくい法律用語(ジャーゴン)を使って煙に巻き、あるいは隠蔽・歪曲してしまうのだ。まさに「法治国家」ならぬ支配権力犯罪の「放置国家」でさながらある。

所詮、法律や裁判などというものは、支配権力から有権者・国民を守るためにあるのではなく、有権者・国民から支配権力を守るためにある、と考えてみると、何事も「ピタッと」来るのだ。もうだまされんぞという話である。もちろん、こんなものは「ひっくりかえしましょうぞ」である。次回の論考で、どうしたら、この唾棄すべき日本の司法・裁判所および検察を転換できるか、考えてみたいと思っている。まずもってみなさまには、来たる衆議院選挙時に毎回行われている「最高裁判事の国民審査」において、候補者全員に「×××××」をおつけいただきたい。私は司法改革・裁判民主化のすべてのことは、そこからスタートすると考えている。そして返す刀で自民党・公明党・日本維新の立候補者たちを落選させるための投票行動を日常化していただきたい。日本の司法・裁判所・検察が、今日の政治権力により頭を押さえつけられている以上、ホンモノの政権交代を実現し、自民党政治を一掃しない限り、私は、事態は変わらないし=右肩下がりでどんどん悪くなっていくと考えている。まさに「諸悪の根源」は政治なのだ。

(関連)ひっくり返しましょうぞ!のうた♪ - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=hHPQzFaGYFg


 <別添PDFファイル>
(1)(チラシ)2019年9月19日福島原発事故東電元幹報全員無罪:東京地裁判決
ダウンロード - efbc88e38381e383a9e382b7efbc89e7a68fe5b3b6e58e9fe799bae4ba8be69585e69db1e99bbbe58583e5b9b9e5a0b1e585a8e593a1e784a1e7bdaaefbc9ae69db1e4baace59cb0e8a381e588a4e6b1ba.pdf
(2)(チラシ)東京地裁判決は許せません(2019.10)
ダウンロード - efbc88e38381e383a9e382b7efbc89e69db1e4baace59cb0e8a381e588a4e6b1bae381afe8a8b1e3819be381bee3819be38293efbc882019.10efbc89.pdf
(3)視点:原発事故の刑事裁判、「想定外」の論理に驚く(東京 2019.10.17)
ダウンロード - e58e9fe799bae4ba8be69585e381aee58891e4ba8be8a381e588a4e38081e3808ce683b3e5ae9ae5a496e3808de381aee8ab96e79086e381abe9a99ae3818fefbc88e69db1e4baac202019.10.17efbc89.pdf


 <関連サイト>
(1)「チャレンジャー事故」と重なる…原発事故の実態が刑事裁判で判明|AERA dot.
 https://dot.asahi.com/aera/2019100200013.html
(2)東電「津波想定」引き下げるため圧力 東北電力のメールで明らかに (1-2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)
 https://dot.asahi.com/aera/2019100200014.html
(3)室井佑月「子になにを教えてゆくのか」〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
 https://dot.asahi.com/wa/2019100200009.html
(4)東電3人が無罪! ”ヒラメ裁判官” と最高裁が司法を腐らせる - 白坂和哉 デイ ウォッチ白坂和哉 デイ ウォッチ
 https://k-shirasaka.com/tepco-not-guilty-by-hirame/
(5)福島原発事故、東電よりも罪が重い原子力行政:田中秀征 (論座)
 https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019092500008.html


 <今村文彦教授らは事実上被告側擁護の有力証言者>
(1)【東北大学】今村文彦教授への寄付金、受託契約など 2008年〜2012年 - level7
 https://level7online.jp/2019/1179/
(2)【東北大学】災害科学国際研究所、今村文彦教授への寄付金、受託契約など 2012年〜2016年 - level7
 https://level7online.jp/2019/1179-2/


 <永渕健一判決が招いた1つの原発モラルハザード>
 永渕健一のロクでもない東京地裁判決が、たとえば下記のようなことにつながっていくのである。「原発の過酷事故起こして何が悪い、地震や津波や火山なんぞ、みな不可抗力や。いちいち、かまっておったら原発なんぞ動かせんようになる。裁判所も安全対策なんぞテキトーでええ、と言うとるではないか。」=これが政治家どもを含む原子力ムラの人間たちの「本音」だ。永渕健一(裁判長)は、それに対して「そんでエエで」とお墨付きを与えたということである。

●東電は2200億円超 電力大手が東海第2原発再稼働に巨額支援|日刊ゲンダイDIGITAL
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/263472
●東北電、原電へ600億円支援 再稼働しないと損失も 東海第二:朝日新聞デジタル
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14239698.html

●再稼働見通し立たぬまま 東電、原電に2千億円超支援へ:朝日新聞デジタル
 https://www.asahi.com/articles/ASMBX55NZMBXULFA024.html?iref=com_footer
●東電による東海第2原発への資金支援「経営陣の裁量」=梶山経産相(ロイター) - Yahoo!ニュース
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191029-00000059-reut-asia
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