« 「悪知恵」電力3新市場について原子力資料情報室の松久保肇さんに聞きました:「容量市場」「非化石価値取引市場」「ベースロード電源市場」+ 直近の脱原発・脱被ばく情報 | トップページ | (報告)(8.28)新ちょぼゼミ:税制改革が目指すべき方向:不公正・不公平な税制のゆがみを正せ(その2) »

2019年8月30日 (金)

(押し売り屋トランプに額ずく安倍晋三)今度は安全性疑わしき「遺伝子組換え(GM)トウモロコシ」を「爆買い」するのか!?:日米FTA大筋合意のペテンと売国

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)


(最初に若干のことです)
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1.(9.10)オルタナティブな日本をめざして(緊急編):「白熱教室:これが日米FTA交渉の実態だ」(鈴木宣弘東京大学大学院教授:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-46c8d0.html


2.(傑作マンガ動画)私立Z学園の憂鬱-消費増税を凍結せよ-(1)~(8)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/08/post-d85291.html

(経済政策の議論や話は苦手とおっしゃるみなさまへ、この傑作マンガドラマをご覧になれば、そんな「食わず嫌い」もたちまち解消です。主人公の高橋あさみさんの「雄弁」「分析」を応援しながらご覧になってみてください。消費税増税や「税と社会保障の一体改革」のインチキ性がよく理解できると思います。:田中一郎)

(関連)(報告)(8.21)反緊縮経済政策Q&A:「市民と野党の共闘」が掲げる経済政策をめぐって(ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/08/post-2ecda0.html

(関連)(報告)(7.29)新ちょぼゼミ:税制改革が目指すべき方向:不公正・不公平な税制のゆがみを正せ(その1)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-37883f.html


3.イベント情報
(1)「アベ政治を許さない」(毎月3日・13時・全国で)
 https://sites.google.com/site/3histanding/

(関連)東京新聞-「アベ政治を許さない」デモ4年 作家・澤地久枝さんに聞く-特報(TOKYO Web)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2019082602000142.html

(2)(9.8)真実は隠せない―有罪判決を求める 東電刑事裁判 判決直前大集会「福島原発告訴団」
 http://www.cnic.jp/8677
 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.com/p/blog-page_88.html

(3)【判決】9-19 東電福島第一原発事故刑事裁判 - 原子力資料情報室(CNIC)
 http://www.cnic.jp/8680

(関連)短編映画「東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故」Youtubeで公開! - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=ZJhyDSnutqk

*キャラバンが9月1日(日)からスタートします。
 1、9月1日(日) 13:30~14:00 郡山市労働福祉会館
             14:40~     郡山駅西口
             16:30~     JR宇都宮駅西口
             17:30~     東武宇都宮 東武デパート北口前
 2、9月2日(月)17:00~ 高崎駅西口
 3、9月3日(火)11:00~所沢駅東口 12:15~航空講演駅 17:00~川越駅西口 18:30~大宮駅西口
 4、9月4日(水)12:00~水戸駅南口 14:00~東海駅東口 16:00~日立駅中央口
 5、9月5日(木)11:00~松戸駅 14:00~市川駅 17:00~千葉駅東口
 6、9月6日(金)12:30~東電本店前 14:00~新橋駅SL広場 17:00~経産省前 19:00~国会前金曜行動
 7、9月7日(土)14:00~JR川崎駅東口 17:00~横浜駅相鉄西口広場

*判決直前大集会
 9月8日(日)14:00~16:30 文京区民センター 3-A会議室             

*東電刑事裁判 判決言渡し
 9月19日(木)

■ 東京地裁104号法廷 13:15開廷 東電刑事裁判 判決言渡し
■ 11時頃~12時頃の間に地裁前行動を行います!
■ 公判終了後に裁判報告会を行います。
  時 間:閉廷後~
  
会 場:弁護士会館2階講堂 クレオBC
(千代田区霞が関1-1-3 地下鉄丸ノ内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」B1-b出口直結)

福島原発刑事訴訟支援団
https://shien-dan.org/fukushima-event-20190919/


4.Avaaz - ブラジル政府、壊滅的なアマゾン破壊に終止符を!
 https://00m.in/1iwry

(関連)アマゾン脅かすブラジル大統領(The Economist)  -日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48215810V00C19A8TCR000/
(関連)アマゾンの熱帯雨林で火災多発 ボルソナロ政権は環境保護より開発重視 -新着 - 毎日動画
 http://urx.blue/XJwQ
(関連)アマゾンの森林火災がヤバイ - NAVER まとめ
 https://matome.naver.jp/odai/2156661631321470101
(関連)「地球の肺」が呼吸困難 アマゾン火災、日本も関わりが [今さら聞けない世界]:朝日新聞デジタル
 https://www.asahi.com/articles/ASM8W4KBFM8WUHBI01G.html?ref=hiru_mail_topix2_6

(日本でも、ブラジルでも、アメリカでも、イギリスでも、インドでも、ロシアでも、ハンガリーでも、ポーランドでも、どうして民衆はかようなバカ者を大統領や自分たちの代表に選んだりするのでしょう? 民主主義の危機は環境の危機を招き、地球と全人類・全生物の滅亡の危機を招きます。原子力・核・原発しかりです。:田中一郎)


5.(別添PDFファイル)たんぽぽ舎、脱原発 ぶれず訴え30年、3・11経て学習会600回超 広がる人の輪(東京 2019.8.29)
https://www.tanpoposya.com/
ダウンロード - e3819fe38293e381bde381bde8888ee38081e884b1e58e9fe799ba20e381b6e3828ce3819ae8a8b4e3818830e5b9b4efbc88e69db1e4baac202019.8.29efbc89.pdf


6.NHKスペシャル▽昭和天皇は何を語ったのか~初公開・秘録“拝謁(はいえつ)記」~20190817 - 動画 Dailymotion
 https://www.dailymotion.com/video/x7gj875

(関連)昭和天皇「拝謁記」 戦争への悔恨|NHK NEWS WEB
 https://www3.nhk.or.jp/news/special/emperor-showa/?tab=1&diary=1
(関連)(別添PDFファイル)「拝謁記」から象徴天皇制考える:吉田裕・保阪正康(毎日 2019.8.28)
 https://mainichi.jp/articles/20190828/ddm/004/070/032000c?fm=mnm
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今般、マスごみ報道で「日米交渉、大筋合意」なる首相官邸情報垂れ流しの報道がなされました。「日米物品貿易協定(TAG)交渉」などという造語を創ってまで有権者・国民を欺き、日米交渉などといっても、日本の側には何も得るものがない、かような「交渉」ならぬ「トランプ押し売り受入」茶番劇を「大筋合意」などと書いて喜んでいるのだから、この国のマスごみどもも、それにまんまとダマサレる有権者・国民たちも、末期症状的におめでたい話である。市場原理主義アホダラ教もほどほどにしとけ、という話ではないか。

もしもこの「日米経済協定」が「FTA」でないというのなら、これは明確なWTOルール違反であり、内外無差別・最恵国待遇の原則に反して、アメリカだけを特別扱いする不当な国際協定として、世界中からブーイングが来ることになる。WTOが唯一例外的に認めるのが「FTA」であり、また、当然ながら、相手国のアメリカが自国内で国民向けに使っている言葉も「日米FTA」だから、「TAG」などバレバレの嘘八百ということなのだ。貿易品目の関税についての「交渉」は最初だけの話、その後には、サービス取引、安全規制や表示問題、投資保護、為替条項など、それ以外の重要事項の「押し売り」も目白押しの予定である。まさに日本は「得るものなし」で「どの順番で奪われるか・失うか」という「自虐交渉」になっているのが実態なのに、しかし、これを日本のマスごみどもは、しっかりと国民や読者・視聴者に伝えることをしない。アベ政権ちょうちん新聞・忖度テレビだということである。

そもそも日米経済交渉問題は、2010年の菅直人民主党政権のときの、当時のTPP12協定交渉への参加に対する「よせばいいのに」の「スケベー根性」から始まっている。その後、アメリカの表裏ともどもの要請(市場開放や国政参画、規制緩和など)を受け、それに「前倒し」対応するような形で、日本のさまざまな制度や仕組みや規制などが次々と政治・政権主導で解体されていき、特にアベ政権になってからの有権者・国民、ないしは国内生産者・消費者無視の態度は際立っている。そもそもアベ自民党は「TPP協定には反対だ」を公約に掲げて政権を取り、政権を奪取したら「TPP協定」へ向けて民主党政権の時以上に猪突猛進して、日本側に何も得るものがないままに次々と譲歩・ぶん投げを行い、それを嘘八百の宣伝文句で飾り立ててマスごみどもに報道させている。

(関連)TPPプラカード(1):2012年総選挙の身民党の約束
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/files/tpp1_2012_jimintou.pdf

(関連)マンガ・イラストを集めました。さまざまな市民運動・社会運動にお使いください- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-ad35.html


当時の甘利明担当大臣などは、他の国が国益を可能な限り拡大しようと必死になって動いている交渉会場にいても「やることがなく」てブラブラしていたというから驚きだ。最初から「得るものなし・譲渡ぶん投げあるのみ」のスタンスなのだから「やることがない」のは当たり前ということだろう。アメリカにわずか2.5%の自動車関税を25年もかけて撤廃してもらうのが成果なのか? こんなものを真顔で「交渉の成果」だと報道するマスごみのイカレ頭には驚くばかりという他ない。日本にとってTPP交渉の「成果」など何もないから、やれ対中国の安全保障問題がどうのこうの、環太平洋の経済圏構想がどうたらこうたらと、内容のない「地政学もどき」のようなものを持ち出しては体裁をとっているだけの話なのである。その空疎さ、バカバカしさ、無内容さには、あきれるばかりというか、日本という国が「末期症状」を呈し始めているなという印象を強く受ける。(何度でも申し上げるが、TPP賛成などと言うとるアホウは、この経済協定で日本が得るものは何か、具体的に申してみよ!)

おまけにTPP協定の是非を審議する国会議員どもは、この協定の内容を全く知らずに、各条文や取り決めを読みもせず、もちろん問題点の審議検討もせず、首相官邸・党本部から言われるがままに「賛成」として可決成立させた。なにせ6000ページ以上にも及ぶ英語の条文で、和訳もされていなかったという代物、おまけに有権者・国民向けに協定案が一般公開もされず、交渉経緯もTPP協定成立後4年が経過するまでは非公開だ、などという、まるで憲法違反の「拘束」までついていたのだから、こんなものを可決成立させる国会とは一体何だという話である。

日米FTAもまた同様である。アベ政権は、ついこの間まで、日米直接の経済交渉はしない・FTA締結はしない、アメリカ抜きで成立させたTPP11にアメリカにも参加してもらう、と言っていた。その舌の根も乾かぬうちに「日米TAG交渉」だという。「日米FTA交渉」だと、もろに公約・公言違反になるから姑息な造語を使ってごまかしたのだろうが、しかし、「日米TAG」ではWTOルール違反なのだ。かようなショボイ知恵を付けたのは経済産業省のクソ役人どもに違いないが、日本の霞が関官僚たちの「質的劣化」も、この姑息なやり口から情けないほどにはっきりと見て取れるではないか。日本はTPP協定や日米FTAに食い荒らされる前に、政府の中枢部分から腐って朽ち落ちている。

その「日米交渉」が「大枠妥結」だという。その内容は定かではないが、日本側はアメリカに譲渡するものが「TPP水準」にとどまったので「よかった」が、アメリカは自動車関税の撤廃をするとは言わなかった、ただ、日本から輸出する日本車への関税課税だけは回避したので「よかった」、などという雰囲気で報道されている。これもまたバカバカしいの一語に尽きる。

奪われるものが「TPP水準」であるはずがなく(虚偽である 鈴木宣弘東京大学大学院教授のコメント参照)、わずか2.5%の自動車関税の撤廃などどうでもよくて、また、日本車輸出への追加関税20~25%課税回避は、トランプの恫喝=国際貿易ルール違反に対する屈服の上での一時的なもの、というニュアンスが強く、要するに日本という国がアメリカから経済的にも独立してやっていけるようにならない限り、トランプのような人間が出てくるたびに、あれに関税をかけるぞ、これは特許侵害だ、それは非関税障壁だ、アメリカ車を毎年どれだけ買うか約束しろ、などと恫喝され、いつまでたっても「脅され続ける」というジレンマを続ける羽目になるということを意味している。対米隷属の国に「交渉」などあり得ず、「服従か、しからずんば死を」という選択肢しかないことをマスごみは伝えるべきなのである。

(関連)【緊急寄稿】まさに「失うだけの日米FTA」【 東京大学教授・鈴木宣弘】クローズアップ JAcom 農業協同組合新聞
 http://urx.blue/Wiew


驚きなのは、今回、単なる「大筋合意」だけではなく、アメリカが中国に売りそこなった大量のトウモロコシ(安全性について疑いのある遺伝子組換え(GM):GM大豆も買うという情報もある)を、こともあろうに一国の首相みずからが「民間が買う」などとうそぶきつつ、記者会見で公表したことである。その量たるや275万トンという膨大な量である。そして、そんなものを何故、急きょ買うことにしたかの説明が、また出鱈目の出鱈目というありさまで、およそこのアベ政権のやることは、一事が万事、話にならないくらいにインチキであり、騙されるのは不勉強でアホウの有権者・国民ばかりという悲惨な状態を生み出している。この275万トンのGMトウモロコシについては下記の「有機農業ニュースクリップ」を参照されたい。嘘八百もいい加減にしろ! という話である。

押し売り屋トランプと宗主国アメリカに差し出されたのは、さしあたり農産物=牛肉・豚肉・酪農製品などの畜産物だ。しかし、これで終わりではない。既にオバマ政権の時から水面下で「密約」されていたと言われるコメや麦や大豆、あるいは果樹や野菜などの耕種作物がこれに続く。それに付随するように加工食品もぶん投げられる。世界一を誇った美味で安全で高品質の日本の農産物と日本農業は、飼料並みの輸入農産物に取って代わられ、安かろう・マズかろう・危なかろうの低品質低価格高危険度農産物が世の中に氾濫することになる。食べものを外国に売り飛ばすアベ自民党の売国奴行為は許されるものではない。食料を自給できないような国が安全保障も国防もあったものではない。が、しかしである。TPP協定も日米FTAも、アメリカの狙いは決して農業などではない。農産品を売り尽くしたら、その後に、医療・保健・教育・保育・介護・公共事業・公共サービス・交通・労働などなど、日本のあらゆるものが米系多国籍企業に貢物として差し出されていくことを忘れてはならない。その行き着く先が如何に悲惨かは、下記の堤未果氏の著作を読めば明らかである。

(関連)沈みゆく大国アメリカ-堤未果/著(集英社新書)
 http://u0u0.net/yPww
(関連)沈みゆく大国アメリカ 逃げ切れ!日本の医療-堤未果/著(集英社新書)
 http://u0u0.net/RT9u


日本に蔓延する市場原理主義アホダラ教が、いよいよ本格的な終末的事態を迎えようとしている。かつて破滅的な戦争にズルズルとはまり込んで破滅・滅亡した大日本帝国のように、現代日本は、このTPP協定・日欧EPA・日豪EPAに加え日米FTAにより、再びの敗戦を迎えようとしている。アジア太平洋戦争の敗戦が国民生活をボロボロ・ムチャクチャにしたように、この国際経済協定による敗戦は、福島第1原発事故による第二の敗戦に続く第三の敗戦と言ってよく、戦争や原発と共に、日本を徹底的に破壊していくことになるだろう。有権者・国民が、今日ある二世・三世議員を中心にしたゴロツキ・チンピラ・人間のクズのたぐいの自民党など与党政治家どもを一刻も早く「駆除」し、自分たちのために政治や外交をしてくれる代表を政権につけていかないかぎり、これからも敗戦は続いていく。今回の日米FTAの大枠合意などと言うものは、そのほんのささやかな「序章」だと見ておいて、私は間違いないだろうと考えている。

日本農業をアメリカに貢いだアベ自公政権を支持して、TPP協定には反対しないなどと、自滅方針を取り続けている、日本のバカ者集団の代表格=農協系統に軽蔑の鎮魂歌でもお送りしようかと思う。

(関連)日米貿易交渉基本合意 自動車業界は警戒 JAは一定の評価 - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/articles/20190826/k00/00m/020/201000c?fm=mnm


 <別添PDFファイル>
 一番最後(8)の日経記事を除き、全国各紙の報道内容は東京新聞も含めて、まさに首相官邸記者会見垂れ流しの、実にバカバカしい虚偽内容そのものである。下記でもご紹介したように、日本国内でのトウモロコシ生産のメインは人間食用のスウィートコーンであり、その生産量も20万トン程度である。今般「爆買い」輸入する飼料用のトウモロコシ(デントコーン)や大豆などの生産は日本国内においてはほとんどない。日本農業のイロハも知らず、日本の生産者・農家の苦労も苦しみも全く知らずに、安倍晋三や菅義偉ら、人間のクズのような自民党政治家どもが、日本農業をアメリカに貢いでいるということが、これほど明確になったことは今までなかった。そして、背後にあって政治家に知恵を付けている農林水産省もまた、お粗末バカの集団が幹部を構成するようになっているということなのだろう。日本は農業から「末法の世」に突入したのだ。(今般「爆買い」される飼料用トウモロコシは、下手をすると食用(甘味ブドウ糖製造の原料)に流用される可能性もある=要注意だ)

(1)日米交渉 大筋合意、日本車関税 撤廃見送り(東京 2019.8.24夕刊,25)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082502000157.html
(2)日米首脳 貿易で大筋合意、来月 協定著名見通し、日米貿易スピード決着(朝日 2019.8.26)
 https://www.asahi.com/articles/ASM8T544GM8TUTFK001.html
(3)牛肉の輸入関税9%に、豚肉は1キロ50円 日米交渉が大枠合意、農産品関税日本は突出(日経 2019.8.25)
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48973420U9A820C1MM8000/
(4)トウモロコシ追加購入に補助金、日米交渉 際立つ不平等(東京 2019.8.27)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082702000138.html
(5)日米貿易 来月署名へ、首脳会談 日本譲歩 大枠合憲、貿易 米へ配慮色濃く(東京 2019.8.26)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082602000124.html
(6)貿易交渉合意、日本TPP水準守る、自動車関税なお火種(毎日 2019.8.27)
 https://mainichi.jp/articles/20190827/ddm/002/010/052000c
(7)白米交渉 品目ごとの関税焦点、米中摩擦、大統領選をアシスト(東京 2019.8.26夕刊)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082602000250.html
(8)FTAの果実 日本つかめず、利用企業半数止まり(日経 2019.8.17)
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO48669530X10C19A8MM8000/


 <「有機農業ニュースクリップ」から>
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━ No.1002 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     有機農業ニュースクリップ    
                 2019.08.27
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≪ 今日の目次
■トランプの歓心買う「追加購入」はいらない

≪ FTA
■トランプの歓心買う「追加購入」はいらない

 G7サミットでの日米首脳会談で、米国の中国向けの飼料用トウモロコシを日本が替わりに購入するとの発表があった。この「追加購入」の理由として安倍首相は、九州で発生が確認されたツマジロヨトウによるトウモロコシの被害を上げているが、なんとも見え透いたウソでしかない。そもそも、日本で栽培されているトウモロコシは生鮮用のスイートコーンであり、生産量も22万トンしかない。そして米国から「購入」する飼料用のデント種のトウモロコシはほとんど生産していない。まず、被害の起きようがない。トランプの歓心買う「追加購入」はいらない。

 トランプ大統領は「中国向けの全量を日本が買う」と発言したという。米国農務省(USDA)の需給見通しによれば、19/20年度に中国は500万トンのトウモロコシを輸入するとみている。米国からの輸入量は明らかではないが、最大500万トンの不要な飼料用トウモロコシを買わされかねない。そして、これが来年以降の継続についてどのような合意があったのかなかったのかは明らかではない。

 一応、報道によれば、今回の「追加輸入」はスポット的なもののようだ。ほかに隠された合意がないとすれば、毎年継続して購入を約束したものではないように見える。そうであるとしても、275万トンは異常な量だ。

 農水省のまとめた『飼料をめぐる情勢(イラスト版)』によれば、日本で生産している飼料用トウモロコシはわずか534ヘクタールでしかなく、生産量も統計にカウントされるほどの量はない。作物統計では、飼料作物としてカウントされるのは粗飼料用の牧草、青刈りトウモロコシ、ソルゴーの3品目だけである。米国から「追加購入」する飼料用トウモロコシは濃厚飼料に使用され、用途が違っている。

 今回の「追加輸入」の理由のツマジロヨトウによる被害について東京新聞は、農水省植物防疫課の話しとして「現時点では通常の営農活動に支障はない」と報じている。こじ付けにしてもすぐ底の割れるウソを持ってきているといえる。

 ・東京新聞, 2019-8-27
  トウモロコシ追加購入に補助金 日米貿易首脳会談 理由の「害虫被害」わずか 年間輸入3カ月分275万トン
  https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201908/CK2019082702000138.html

 ・農水省, 2019-7
  飼料をめぐる情勢(データ版)
  http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_siryo/attach/pdf/index-359.pdf

  飼料をめぐる情勢(イラスト版)
  http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_siryo/attach/pdf/index-363.pdf


 もう一つの問題は、輸入される飼料用トウモロコシのほとんどが遺伝子組み換え品種と予想されることだ。米国のトウモロコシの9割以上は遺伝子組み換え品種であり、NON-GMのトウモロコシは入手が難しいという。海外援助に使えという意見もあるが、相手国に拒否されかねないし、それ以前にはずかしいといわざるを得ない。

 財務省の貿易統計によれば2018年、トウモロコシは1580万トン輸入している(種子用を除く)。一時は輸入先の多様化で米国産は7割程度まで下がっていたが、昨年の米国からの輸入量は1450万トンで92%を占めている。2位のブラジルが80万トンで5%に過ぎない。この米国一辺倒の理由ははっきりしないが、米国以外で買い負けている可能性もありそうだ。

  表1.トウモロコシ輸入量
 -----------------------------------------
  輸入先    輸入量 [万トン]  割合
 -----------------------------------------
  米国      1450.1    91.8%
  ブラジル     79.6     5.0%
  南アフリカ    36.0     2.3%
  ロシア        8.6     0.5%
  アルゼンチン     4.5     0.3%
  その他       1.2     0.1%
 -----------------------------------------

  財務省:貿易統計より
  ※グラフ corn_import_2018.jpg
   http://organic-newsclip.info/img/corn_import_2018.jpg


 年間輸入量1580万トンの用途別の内訳は、飼料用は1127万トン(71%)を占める。他にはコーンスターチ用が342万トン(22%)、その他110万トン(7%)となっている。飼料用の平均単価はトン当たり約2万3千円であり、275万トンの「追加購入」に要する費用は、おおよそ650億円となる。

  表2.輸入トウモロコシの用途
 -----------------------------------------
  用 途    輸入量 [万トン]  割合
 -----------------------------------------
  飼料用     1127.0    71.3%
  コーンスターチ  341.6    21.6%
  その他      110.4     7.0%
  爆裂種       0.8     0.1%
 -----------------------------------------

  財務省:貿易統計より
  ※グラフ corn_use_2018.jpg
   http://organic-newsclip.info/img/corn_use_2018.jpg


 米国抜きのTPPが発効し、牛肉や豚肉の輸入が増えているという。ただでさえ日本の畜産がダメになりつつあるとき、275万トンの輸入は需給バランスを崩すだけだ。飼料用トウモロコシはダブつき、結局、保管や処分に補助金をつぎ込むことになりかねないだろう。ツケは消費者にまわされることになる。

 今回の日米合意に対して農民運動全国連合(農民連)は8月26日、「満身の怒りをこめて抗議する」という抗議談話を発表した。トウモロコシの「追加購入」には「狂気の沙汰」と非難している。

 ・農民運動全国連合, 2019-8-26
  日米貿易交渉の「大枠合意」に抗議し、新たなたたかいを呼びかける
  http://web.kamogawa.ne.jp/%7Enm-tpc/danwa/20190826_USJTA_danwa.pdf
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 <アベ政権の「爆買い」の1つ>
安倍政権がフライング契約 米にイージス・アショア1399億円|日刊ゲンダイDIGITAL
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/260960

(関連)秋田 イージス・アショア反対が民意 上からは押しつけられない - 参院新人議員に聞く - 寺田静 - 毎日新聞「政治プレミア」
 https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20190821/pol/00m/010/001000c


 <必読の参考文献:鈴木宣弘東京大学大学院教授>
 鈴木宣弘東京大学大学院教授には、来たる9/10に「新ちょぼゼミ」においでいただいて、まさに焦点の「日米FTA」の現状とその実態についてお話いただく予定です(このメールの最初にご案内)。是非、この機会を見逃さず、ご参加ください(最初の1時間弱で主催者側(田中一郎)から事務連絡の他、税金・税制の話をいたします)。その鈴木宣弘東京大学大学院教授には、TPP協定に関係した著作がいくつかありますが、下記は、さしあたり手っ取り早く読める参考書として最適かと思われますので、ご紹介しておきます。

TPPで暮らしはどうなる?-鈴木宣弘/天笠啓祐/山岡淳一郎/色平哲郎/著(岩波ブックレット)
 http://u0u0.net/5MwM

(一部抜粋)
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(中略)「ブレない、TPP断固反対、ウソつかない」と訴えて、政権を取った人たちがTPPに突き進んでいる。これは、TPPに賛成か反対かという以前の問題として、国民に対する重大な背信行為である。「いや、背信ではない。〝聖域なき関税撤廃ではない〞と確認できたから参加できるのだ」という言い訳を聞くが、本当か。

二〇二二年二月の日米英同声明では、すべての関税を撤廃するという「TPPのアウトライン」を両国で確認している。だから、米国では、即座に政府が「日本がすべての農産物関税を撤廃するから喜んでくれ」と説明した。そして、米国の上・下院議員も業界関係者も日本は当然そうすると認識している。それを日本政府も知っていながら、日本国内向けには、「聖域が守れる」とうそをついた。完全な二枚舌というしかない。

しかも、日米のTPP事前協議の合意によって、①自動車、保険、BSE(狂牛病)、食品添加物や農薬などの「その他の非関税障壁」についての「入場料」にとどまらず、米国議会の九〇日の承認手続きの間に、さらに追加的な譲歩がないと日本の参加を認めないと脅され、さらには、日本の交渉参加後も、TPP本体の条文の交渉とは別に、並行してTPP交渉の終了時までに残る「支払い」不足分について米国の要求に応じることを約束させられた。

「TPPの条文上で国民健康保険などを取り扱わないと米国が言っているから大丈夫だというのは間違いで、TPPの交渉過程での取引条件などとして、過去の積み残しの規制緩和要求を貫徹させようとするのが米国の狙いだ」と私は指摘してきたが、まさに、それを明文化して確約させられた。米国の自動車関税の撤廃については韓国以上の長期間の猶予期間を認めさせられて、TPPで韓国との競争条件を回復するという名目も崩れ、一方で、日本の農産物関税の聖域については何の約束も得られていない。

「これからの交渉で勝ち取れる」というのもうそである。米国がメキシコやカナダの参加を認めたときも、屈辱的な「念書」が交わされ、「すでに合意されたTPPの内容については変更を求めることはできないし、今後、決められる協定の内容についても、現九カ国が合意すれば、口は挟ませない」ことを約束させられている。そのようなものは合意していないと日本政府は表明したが、これもうそだった。日本が実質的に交渉に関与できる権利も時間も制約されている中で、日本はほとんど何も得られないままTPPの条文を受け入れ、並行協議でも米国に身ぐるみ剥がされるとい一方的な屈辱外交が白日の下にさらされた。
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(TPP協定は、菅直人・野田佳彦民主党政権の「よせばいいのに」の「スケベー根性」から始まり、アベ自公政権による「暴走政治」により超加速されて今日に至っている。ゴロツキ与党とニセモノ野党の、まさに「合作」と言ってよい。とりわけアベ政権の協定内容や現場実態を見ない出鱈目な「交渉態度」は目に余る。背後にいてアホウの政治家に知恵を付けている霞が関の官僚たちの質的劣化も甚だしい。日本は確実に没落過程にはまり込んでいる。TPP協定や日欧EPAや日豪EPA、あるいは今回の日米FTAなどは、一刻も早く破棄する以外に対策はない。市場原理主義アホダラ教のマインドコントロールから抜け出せということだ。:田中一郎)


 <必読:日刊ゲンダイ他>
(1)“TPP水準”という茶番劇 欺瞞とマヤカシの日米貿易協定(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
 http://www.asyura2.com/19/senkyo264/msg/874.html
(2)トランプに取られ損…日米貿易交渉は「失うだけの協定」|日刊ゲンダイDIGITAL
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/260840
(3)米国余剰トウモロコシ輸入決定 日本に“危険食品”大量流入危機|ニフティニュース
 https://news.nifty.com/article/domestic/government/12136-385551/
(4)日米首脳会談:米トウモロコシ購入、企業困惑 「害虫対策」首相説明に疑問 - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/articles/20190828/ddm/008/010/049000c
(5)トランプ氏、輸入車関税「後でやるかも」 脅し継続か(朝日新聞) - goo ニュース
 https://news.goo.ne.jp/article/asahi/business/ASM8W20H0M8WUHBI003.html
(6)安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い! 参院選密約の代償 それでも「ウィンウィン」の強弁を垂れ流すマスコミ LITERA/リテラ
 https://lite-ra.com/2019/08/post-4926.html
(7)安倍首相はやっぱりトランプの下僕だった! 日米首脳会談で巨額の農産品購入の約束、特攻隊賛美を嘲笑されたことも判明 |LITERA/リテラ
 https://lite-ra.com/2019/08/post-4899.html


 <関連サイト:その他>
(1)の毎日新聞記事などが、大手新聞の「アホラシイ記事」の一事例だ。何が「痛み分け」だ、ボケ! もう少し大局的な見地に立って、中身をよく見てみろ! それに日本農業についての知識ももう少し持って記事をかけ、このドアホ! かような記事に騙されてはいけないのだ。

(1)クローズアップ:日米首脳、薄氷の「蜜月」 貿易交渉「痛み分け」 - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/articles/20190826/ddm/003/010/114000c?fm=mnm
(2)トランプ氏に約束「トウモロコシ輸入」は本当に必要か? - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/articles/20190827/k00/00m/030/249000c?fm=mnm
(3)日米 自動車関税の撤廃見送り - 2019-8-24(土) 16-55 - Yahoo!ニュース
 https://news.yahoo.co.jp/pickup/6334373
(4)日米、大統領選にらみ貿易交渉妥結 トランプ氏予測不能、安保でリスク - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/articles/20190825/k00/00m/030/290000c?fm=mnm
(5)日米貿易交渉 野党が基本合意に反発 政権、火種抱える - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/articles/20190826/k00/00m/010/162000c?fm=mnm
草々

 

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TPP,日米貿易交渉,アベ以下霞が関の人間共は売国奴。原発事故に続く日本没落過程。

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