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2019年6月27日 (木)

(報告)(6.24)新ちょぼゼミ:財政・金融政策を見定める基本(御用経済学者・忖度経済学派を見分けるコツ)(その6):「市民と野党の共闘」が掲げるべき経済政策

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)


さる6月24日(月)、水道橋のたんぽぽ舎において第29回「新ちょぼゼミ」を開催いたしました。当日の最初の1時間弱で、私(田中一郎)から「財政・金融政策を見定める基本(御用経済学者・忖度経済学派を見分けるコツ)(その6):「市民と野党の共闘」が掲げるべき経済政策」をお話させていただきました。以下、当日の録画や資料とともに簡単にご報告申し上げます。

今回は、時間の都合で前回十分にはご説明できなかった部分から再スタートし、新しい文献などもご紹介しながら「市民と野党の共闘」が掲げるべき経済政策についてご説明しています。当日ご参加いただけなかったみなさまにも、是非、下記の当日録画やレジメをご覧いただけますと幸いです。来たる今年夏の国政選挙では、消費税増税の行方を含む経済政策や「アホノミクス」の評価などが大きな争点になるものと思われます。アベ政権・自公政治による経済政策に厳しい批判を向けていくためにも、みなさまには経済政策について、なお一層のご注目をお願い申し上げます。


 <これまでの経済政策に関する「新ちょぼゼミ」報告>
 下記サイトの「2.経済政策について」と、最後尾の「(追加1)」「(追加2)」をご覧ください。

(関連)2019年の国政選挙をいかに闘うか(アベ政権退陣と自公政治の抜本転換を求めて)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-b038e9.html

(今回は、直接的には、前回6/3(下記)の続編としてお話いたしました。初めての方は下記と併せてご覧ください)
(関連)(報告)(6.3)新ちょぼゼミ:財政・金融政策を見定める基本(御用経済学者・忖度経済学派を見分けるコツ)(その5):異次元金融緩和は弊害ばかりで効果なし・日本経済再生への道はどこにあるか- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-03f4ac.html


(次回は7/8です。今回の続きで、経済政策として、他にどのような課題や問題があるのかを、次回「新ちょぼゼミ」の際に、最初の1時間弱の時間でお話いたします。また、みなさまとの質疑応答やご意見をうかがう時間が取れませんので、それらをまとめて8/21に「ちょぼゼミ」を開催して、やっていきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます)

(次回)(7.8)オルタナティブな日本をめざして(第30回):「福島原発事故と初期被ばく」(榊原崇仁さん:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-e10eb7.html

(まとめて)(8.21)反緊縮経済政策Q&A:「市民と野党の共闘」が掲げる経済政策をめぐって(ちょぼゼミ:田中一郎)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-b29ade.html


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下記が今回の当日録画です。

(今回録画)20190624 UPLAN 田中一郎「現代の金融システム」 - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=AGeo72gfAzQ
 https://www.youtube.com/watch?v=AGeo72gfAzQ

 <当日の配布資料その他:別添PDFファイル>
(1)(レジメ3)現代の金融システム(田中一郎 2019年5月9日)
ダウンロード - efbc88e383ace382b8e383a1efbc93efbc89e78fbee4bba3e381aee98791e89e8de382b7e382b9e38386e383a0efbc88202019e5b9b45e69c889e697a5efbc89.pdf
(2)(レジメ4)金融政策に関する関連事項(追加説明)(田中一郎 2019年6月3日)
ダウンロード - efbc88e383ace382b8e383a1efbc94efbc89e98791e89e8de694bfe7ad96e381abe996a2e38199e3828be996a2e980a3e4ba8be9a085efbc88e8bfbde58aa0efbc89efbc882019e5b9b46e69c883e697a5efbc89.pdf
(3)各国の経済成長率ランキング(中野剛志『奇跡の経済教室』)
ダウンロード - e59084e59bbde381aee7b58ce6b888e68890e995b7e78e87e383a9e383b3e382ade383b3e382b0efbc88e4b8ade9878ee5899be5bf97e3808ee5a587e8b7a1e381aee7b58ce6b888e69599e5aea4e3808fefbc89.pdf
(4)EU主要国と日本の名目賃金(明石順平『データが語る日本財政の未来』)
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(5)名目賃金・実質賃金・消費者物価指数の推移(明石順平『データが語る日本財政の未来』)
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(6)資金循環表(2018年12月:日本銀行)
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(7)マネタリーベースとマネーストックの推移(明石順平『データが語る日本財政の未来』)
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(8)あとがき(『データが語る日本財政の未来』明石順平著:集英社インターナショナル新書)
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(9)社会保障と税の一体改革とは何だったのか(植草一秀 『月刊 保険診療』2019.1)
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(10)国債購入増30兆円割れ、日銀 異次元緩和開始以来で初、金利に軸足移す(日経 2019.6.15)
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46099730U9A610C1EA4000/

 <これまでの経済政策に関する「新ちょぼゼミ」報告>
 下記サイトの「2.経済政策について」と、最後尾の「(追加1)」「(追加2)」をご覧ください。財政政策に関するレジメや録画は下記のサイトにありますので、今回はこのメールへの添付を省略いたします((レジメ1)や(レジメ2)など)。

(関連)2019年の国政選挙をいかに闘うか(アベ政権退陣と自公政治の抜本転換を求めて)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-b038e9.html


 (今回のセミナーに関する私からのコメント)
 今回のメインテーマである「市民と野党の共闘」が掲げるべき経済政策のポイントを一言で申し上げれば「反緊縮政策」ということになります。具体的には、消費税増税などは中止して逆に消費税減税(当面5%へ)から廃止をにらみ、他方で、私たちの生活に密接に関連した政策(社会保障・福祉、教育・保育、医療・介護、労働、環境、住宅、地方経済再生、農林水産業復興、再生可能エネルギーなどなど)にしっかりと財政支出を行っていくということです。これにより、2000年前後から20年以上も続くデフレ不況の経済から脱出し、経済成長と税収増の好循環に日本経済を復帰させていくということです。この深刻化するデフレ不況の経済を何とか克服しないことには、日本経済はにっちもさっちもいかなくなってきていると言っても過言ではないでしょう。

しかし、それだけではありません。この「反緊縮」政策と並行して、経済政策はいくつかのことを実施していく必要があるのです。それを下記に箇条書きにしてみましょう。

(1)財政支出先を抜本的に見直しし(米国製兵器爆買、巨大公共事業・イベント、原発などの陳腐化産業への財政的テコ入れ、不要特別減税他)、浪費される税金を国民生活直結の支出へ転換すること、また、適正なメンバーによる「事業仕分け」なども復活させ、政府の財政支出の内容を常にガラス張りにしながら、しっかりと無駄の削減や利権化・私物化の防止に努めていく必要があります。現状は長期化したアベ政権による無駄と利権と私物化の塊のような財政支出構造になっているものと思われ、この解消がまず大きな課題となります(またそれが、新たな政策の財源ともなるのです)。

(2)公正な税制を実現(タックスヘイブン退治、大企業向特別措置や富裕層金融・資産所得分離課税の廃止、累進課税の復元、非居住者による国内源泉所得への課税他)し、景気回復や企業利益増収の割には法人税や所得税が増えない現状を解消(課税ベースの拡大)して財源確保に努める

(3)労働法制の抜本改革・改善と政府による雇用保障確立へ(最低賃金、労働条件、雇用状態、非正規廃止他)⇒ 生活苦からの解放や働き甲斐のある社会を目指し、個人消費・地方経済回復によるデフレ不況経済からの脱却をはかる ⇒ 税収増加へ + 国民生活改善。働く人たちへ相応のおカネが回るようにするため、財政支出を伴う経済政策だけでなく、法令を含む法制度改革も必要不可欠であるということです。中途半端な形で終わってしまっている地方分権制度改革や教育制度、社会保険制度などの改革にも着手していく必要があります。

(4)アベ政権・黒田日銀によってなされた愚かな「アホノミクス」の経済政策を「アンワインド」(出口政策)する必要があります。とりわけ公的年金基金と日銀が保有する巨額の国内外株式などのリスク金融資産が「時限爆弾」の様相となっており、これを元に戻していくことは容易ではありません。また、日銀に異常に積み上がった「ブタ積み」預金についても「正常化」していく必要があります。アベ政権を引き継ぐ「市民と野党の共闘」による「まともな政権」にとっては巨大な負の遺産を抱え込んでの再スタートとなるでしょう(覚悟しておかなければなりません)。

(5)上記の政策を遂行するにあたり、次の2点はしっかりと念頭に置いておく必要があります。一つは国債発行のことです。これまでも私のセミナーにおいて、日本の現状における国債の発行残高は、総合的に見て懸念すべき状態にはなく、まだ政府財政には余裕がありますから、必要であれば活用すればいいということ(MMT(現代貨幣理論)を歪めて伝える一部の人たちのように、政府は自国通貨建てであれば無尽蔵にいくらでも国債発行が可能だ、などとは考えておりません。MMTについては、次回7/8の「新ちょぼゼミ」で簡単にご説明します)、但し、上記でも無駄の削減を申し上げているように、放漫な財政運営にならないよう万全の注意と体制を整えて財政運営をする必要があります。そしてデフレ経済からの脱却による税収増をもって、日本財政の恒常的な赤字構造からの脱却を図っていくべきでしょう(*)。

もう一つは、巨額の財源が必要となる普遍主義的政策には要注意だということです(最近の悪い事例は保育無償化です=こんなことよりも前に、保育士の給与水準を引き上げ、労働条件を改善して保育士の人数を大きく増やし、保育の質を落とさぬようにして公設保育所の増設を急ピッチでやっていく必要があります)。具体的に取り組む政策は、一つ一つを現場からの声をよく聞いて丁寧に検討し、巨額財源のいらないものから少しずつ改善を積み重ねていくやり方を取るべきです。「一発狙い」のような巨額財源が必要な普遍主義的政策は後回しにすべきです(たとえば、大学授業料や奨学金については、授業料無償化よりも大幅引き下げ(半減以上)、給付型奨学金大幅拡大よりも利息ゼロ・返済条件緩和、の方を先行させるべきです)。こうした「実績」の積み上げこそが「市民と野党の共闘」のよる改革新政権を長期政権としていく基礎となります。

(市場原理主義アホダラ教政策により、保育事業に民間資本を呼び込むため、いわゆる規制緩和が乱暴に行われました。その結果、保育園を経営する企業や団体に対して、保育士の給与支援として補助金が行政から支給されても、それを受けた側はそれを何に使ってもいいような制度にしてしまっています。それ故、ひどい場合には、保育園経営者のポケットマネー(報酬)となったり、経営者を送迎する運転手付きの黒塗り高級車に補助金が化けている場合もあるのです。こうした愚かで行き過ぎた「規制緩和」は抜本的に見直しです。また、保育園は「公設」を基本としていきましょう)

(*)アベ政権は、黒田日銀を使い、「異次元金融緩和」などと偽りの説明を弄して、事実上の国債の日銀による引き受けを行わせ、自らの放漫な財政支出=無駄・利権化・私物化の巨額財政政策のファイナンスとしている様相が強くなってきました。かようなことは、もはややめなければなりません。日本の経済や経済政策の持続可能性をアベ政権が壊そうとしているということです。

(*)ベーシックインカムやヘリコプターマネーのような乱暴な巨額ばらまき政策は絶対にダメです。そもそも財源確保の面から実現性は皆無です。愚かな「夢物語」はもういい加減にしておきましょう。下記の簡単な数式がベーシックインカムやヘリコプターマネーの不可能性を示しています。

 年間200万円×1億2000万人=240兆円 

年間200万円は1年間の最低生活費、これを全国民に配れば240兆円の財源が毎年必要(ヘリコプターマネーは1回だけ)になります。そんな財源は何処にもありません。また、ベーシックインカムやヘリコプターマネーを社会保障や生活保護の充実政策のように勘違いをしている人が時折いらっしゃいますが、とんでもない勘違いです。この2つは、現金給付を全国民にする代わりに、警察や軍隊などを除く一切の政府の仕事をなくしてしまえという乱暴極まりない「究極の小さな政府」論であり、市場原理主義政策の最先端のものです。政府の仕事をなくして公務員のほとんどを解雇し、それで浮いたカネを国民に配ればいい、という考え方です。こんなものは検討にも値しないということです。相手にしてはいけません。


 <推薦図書>
 今回、経済政策に関して私から推薦申し上げました図書は下記の3冊です。上記VTRをご参照ください。

(1)データが語る日本財政の未来-明石順平/著(集英社インターナショナル新書)
 http://u0u0.net/fNwI
(2)平成経済衰退の本質-金子勝/著(岩波新書)
 http://u0u0.net/oxvi
(3)目からウロコが落ちる奇跡の経済教室 基礎知識編-中野剛志/著(ベストセラーズ)
 http://urx.space/XJLq


(参考)オルタナティブな日本を目指して(バックナンバー)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-99f4.html
(こちらにも、これまでの「新ちょぼゼミ」での「経済政策」に関する講演記録を掲載しています)


これからも、みなさまの「新ちょぼゼミ」「ちょぼゼミ」へのご参加をお待ちしております。
草々

 

 

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