(報告)(6.3)オルタナティブな日本をめざして(第28回):「容量市場と容量メカニズム:老朽化原発・石炭火力の経済的延命策か!?」(松久保肇さん:原子力資料情報室)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
去る6月3日、水道橋のたんぽぽ舎におきまして、原子力資料情報室の松久保肇さんをお招きして、下記の講演会を開催いたしました。以下、簡単にご報告申し上げます。
*(イベント情報)(6.3)オルタナティブな日本をめざして(第28回):「容量市場と容量メカニズム:老朽化原発・石炭火力の経済的延命策か!?」(松久保肇さん:原子力資料情報室)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/28-1e87.html
電力自由化の本格化とその進展に伴い、電力需給の大きな変動にも耐えられる予備電源の確保をどうするかが大きな問題として浮上しています。海外では「容量メカニズム」と呼ばれるいくつかの制度設計を行い、再生可能エネルギーを中心に置きながら、この問題の解決を図っているところもありますが、日本の場合には経済産業省が中心となり、「容量市場」という制度に「決め打ち」をするような形で、この問題への対応が検討され、まもなく実施に移されようとしています。しかし、その内容を見てみますと、老朽化原発や老朽化石炭火力の経済的延命策かとも思われるような仕組みとなっており、このまま看過しておくことは問題ではないかと思われます。今回はこの問題に詳しい原子力資料情報室の松久保肇さんにおいでいただき「容量市場と容量メカニズム」のテーマでご講演いただきます。ふるってご参加ください。
講 師:松久保 肇(まつくぼ はじめ)さん
原子力資料情報室 事務局長、研究員(国際担当)
*(当日録画)20190603 UPLAN 松久保肇「容量市場と容量メカニズム:老朽化原発・石炭火力の経済的延命策か!?」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zcsnxWbnVoo
<当日レジメ:別添PDFファイル>
*(レジメ)電力システム改革で作られる新市場の問題点:容量市場を中心として(松久保肇・原子力資料情報室 2019.6.3)
ダウンロード - efbc88e383ace382b8e383a1efbc89e99bbbe58a9be382b7e382b9e38386e383a0e694b9e99da9e381a7e4bd9ce38289e3828ce3828be5aeb9e9878fe5b882e5a0b4efbc88e69dbee4b985e4bf9de8828720202019.6.3efbc89.pdf
(田中一郎コメント)
「容量市場」という「発電設備そのものの存在を取引する」のだという「虚構」により、老朽原発1基あたり1年間で100億円ものカネが労せずして、何もしなくても流れ込んでくるような「インチキ・ピンハネ」制度が創られようとしています。電力の需給変動に対する調整の方法はいくらでもあるのに、1年間に1兆5千億円ものカネを電力消費者に負担させながら「容量市場」なるものをでっちあげ、老朽原発・老朽火力への経済的テコ入れ延命策を行おうというのですから穏やかではありません。おまけに今回の松久保肇さんの講演では、「非化石価値取引市場」や「ベースロード電源市場」なるものも併せて教えていただきましたが、これにより、再生可能エネルギーの普及推進を妨害・抑圧しながら、原発や老朽火力を電力市場に大量に潜り込ませ、現存する地域独占電力会社のデタラメな経営を労せずして今後も維持していけるよう、巧みに仕組まれていることもわかりました。
かようなものを容認すれば、ただでさえ世界のエネルギー革命に後れを取る我が国のエネルギー・電力業界はいよいよ陳腐化の度を深め、我が国は巨大なリスクと高コストと膨大な放射性廃棄物を抱え込む「バカの国」に転落していくことになるに違いありません。「市場」という看板を掲げて、さも公正公平な形を装ってはいますが、その狙いとするところは明々白々、原発と老朽化火力の延命・温存なのです。必要もない「市場」なるものをでっちあげ、電力消費者から巨額の発電設備維持費をふんだくろうという魂胆そのものです。
この悪だくみの総本山は経済産業省です。安倍首相官邸に付け入り、忖度どころか政権主導の「悪事」を次々と企画しては有権者・国民に押し付けてくる、この福島第1原発事故責任官庁=経済産業省は、もはや「解体」すべき時が来ています。電力をはじめとする日本の産業の陳腐化と劣化を政策的に促すだけの「お邪魔虫」官庁であり、その合理化のための「悪知恵」だけは今も活発に思い浮かんでくる反社会的・反国民歴組織、それが今日の経済産業省なのです。この役人どもが仕事をすればするほど、日本はどんどん悪くなる、そういう事態が生まれてしまっています。
「容量市場」に加えて、「非化石価値取引市場」や「ベースロード電源市場」、それに「経済産業省」もまとめてスクラップいたしましょう。彼らの計画では、今年の国政選挙を経た2020年から、この原発・老朽火力延命のインチキ政策を本格スタートさせるつもりでいるようです。政権交代がこれを止める唯一の手段と言ってもいいでしょう。ともにがんばりましょう。
<参考VTR>
(1)20190121 UPLAN これからの電力市場について考える~容量市場とは何か?そしてその課題は?~ - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=GCNSSkOPUoQ
(2)FFTV 改訂5分でわかる電力容量市場 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=xdT37npsJAc&feature=youtu.be
(3)FFTV 3分でわかる原発にお金を流す「非化石価値市場」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ipvjvABeb5g
<関連サイトなど>
(1)容量市場 その概要と問題点 - 原子力資料情報室(CNIC)
http://www.cnic.jp/8457
(2)(別添PDFファイル)電力市場 変わらぬ寡占、自由化から3年、競争環墳整備に課題(日経 2019.6.6)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45727760V00C19A6EA1000/
(3)(別添PDFファイル)再生エネ機器 生産急減、風力9割縮小 太陽光は半分(日経 2019.5.12)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44689180R10C19A5EA5000/
(4)(別添PDFファイル)非化石価値取引市場一新電力は生き残れない(松久保肇『原子力資料情報室通信 NO.540』2019.6.1)
ダウンロード - e99d9ee58c96e79fb3e4bea1e580a4e58f96e5bc95e5b882e5a0b4efbc88e69dbee4b985e4bf9de88287202019.6.1efbc89.pdf
(5)【声明】原発・石炭火力が脱炭素社会を阻害する 長期戦略懇談会提言をうけて-原子力資料情報室(CNIC)
http://www.cnic.jp/8462
<関連情報>
下記サイトは「容量市場」「容量メカニズム」をKEYワードにして検索した結果、たまたまヒットしたサイトです。いずれも批判的な観点をもってご覧ください。
(1)容量市場の在り方等に関する検討会・勉強会|各種委員会・検討会|電力広域的運営推進機関ホームページ
https://www.occto.or.jp/iinkai/youryou/
(2)(参考資料)容量市場の概要(電力広域的運営推進機関 企画部 2018年10月12日)
http://u0u1.net/07XV
(3)火力発電の調整力を売買する「容量市場」、2020年度の開設に課題多く (1-2) - スマートジャパン
https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/23/news034.html
(4)容量メカニズムとは何か、また容量市場(キャパシティ市場)とは何か - コミュニティーエネルギー研究所
https://www.community-energy.jp/archives/3203
草々
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