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2019年5月 6日 (月)

(他のMLでの議論です)「市民と野党の共闘」は「反緊縮・生活優先」の経済政策を掲げ、アベ政権・自公政治に代わる「「オルタナティブな日本」を目指して闘え=国政選挙勝利と政権交代への最短距離

前略,田中一郎です。



(最初に若干のことです)
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1.「消費税10%、とんでもない!」チラシ…無料でお送りします。 - 薔薇マークキャンペーン
 https://rosemark.jp/2019/04/23/01-21/

(関連)薔薇マークキャンペーン
 https://rosemark.jp/


2.#脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会)- 5.11新宿デモ 政府の被ばく隠しは許せない! 今こそチェルノブイリ法日本版を!
 https://fukusima-sokai.blogspot.com/2019/04/511.html


3.(メール転送です)幕張メッセでの武器見本市に反対するネット署名 リーフ プレ抗議などのご案内
 https://kosugihara.exblog.jp/239250776/

◆【ネット署名】署名はこちらから <第1次締切:5月末>
 http://chng.it/7KpNry2t

<紙署名も集めています>
 https://drive.google.com/open?id=10z1jM_njHhLc8ZsvHs48KUt6MPrLDPdz
※こちらも5月末締切です。

◆【リーフレットを広めてください!】
幕張メッセでの武器見本市に反対する素敵なリーフ(A4で3つ折り)が完成。武器輸出をめぐる経緯やこれまで・これからのアクション、抗議先などに加えて、青井未帆さん、志葉玲さん、望月衣塑子さんからのメッセージも掲載。
 https://kosugihara.exblog.jp/239250776/

広めていただける方は、mnw.chiba@gmail.com まで郵送先、お名前、電話番号、枚数をご連絡ください。恐縮ですが、送料をご負担いただき、1部3円以上のカンパを頂戴しています。
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他のMLでの議論です。今年夏の国政選挙へ向けて「2019政治決戦」がいよいよ山場です。「市民と野党の共闘」の取組が遅れています。このままでは危ない。みなさま、各地元の立憲民主党、共産党、社民党、国民民主党へ声を挙げてください。ポイントは2つ、第一に「アベ政権・自公政治に代わるどのような政権・政治を目指すのかを骨太に示す政権構想(共通)マニフェストを「反緊縮・生活優先」の経済政策を大黒柱にしながら打ち出すこと、第二に、「野党は共闘・候補者一本化」(2人区・3人区の共倒れ防止を含む)とそのための立憲民主党のリーダーシップ、です。

(関連)参院選、野党共闘進まず 1人区候補、一本化遅れ - 毎日新聞
 https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190114/k00/00m/010/176000c
(関連)増税延期なら安倍退陣が筋 ドサクサW選という狂った論法(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
 http://www.asyura2.com/19/senkyo259/msg/892.html

(関連)立憲民主“三重苦”で…野党結集へ態度一変した枝野氏の焦り ダブル選ムード 結集、急加速(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
 http://www.asyura2.com/19/senkyo260/msg/134.html
(関連)国民、自由の合併効果なし 支持率1%切る | 共同通信
 https://this.kiji.is/496624022504670305


1.「市民と野党の共闘」は「反緊縮・生活優先」の経済政策を高く掲げましょう

いただいたメール(抜粋)
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反安倍政権を言うのであれば、改元騒ぎは無視して、冷静に税金の使途を考えるべきです。そのとき、私が単純な「反緊縮」に疑問を呈するのは、防衛費の拡大です。とうに五兆円を超えて膨張の一途です。現在、反緊縮として財政規律を弱めればそれは軍事費に向かいます。その政治的状況を考えずに、予算規模を増やすと社会保障費が自動的に増えるかのような議論は危険です。そもそも安倍政権は反緊縮です。
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(田中一郎コメント:一部加筆修正)
お早うございます。今日はこの話から1日がスタートです。

まず、アベ軍拡の問題ですが、これは難しく考える必要はないでしょう。別添PDFファイルは最近の『週刊金曜日』に掲載された東京新聞の半田滋さんの執筆記事ですが、かようなことを黙って見逃しておいていいのか、ということです。F35AとBだけで百数十機を買い入れ、その費用たるや、将来の整備費や人材育成費までを含めると数兆円にものぼるという金額です。そしてこれは、アベ政権がやっている税金の使い方の一つのシンボルにすぎず、軍事費だけを見ても、それ以外にトランプのアメリカの軍事企業から、山のように役に立たない兵器類をこれまで購入し、今後も購入していくことにしています。

(関連)航空自衛隊最斬鋭機「F35A」墜落事故の背景、米政府の要求「丸呑み」のツケ(半田滋『週刊金曜日 2019.4.19』)
 http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/002791.php
ダウンロード - e69c80e696ace98bade6a99fe3808cf35ae3808de5a29ce890bde4ba8be69585e381aee8838ce699afefbc88e58d8ae794b0e6bb8be3808ee980b1e5888ae98791e69b9ce697a5202019.4.19e3808fefbc89.pdf

(関連)NAJAT アクションシート 2019.5(アメリカ製兵器の爆買いをやめろ)
 http://chechennews.org/sharedoc/actionsheet_8_1.pdf

まさに、アメリカの手先の売国奴どもによる税金の無駄遣い・どぶに捨てる行為そのものです。そして、許しがたいことに、自衛隊員や全国の有権者・国民の命を危険にさらしていきます。何故なら、F35はいつ何時、日本国土のどこで、いきなり不具合を起こして墜落するかわからないからです。オスプレイと全く同じですが、そのオスプレイも大量購入されることになっています。日本の空は米軍機が自由勝手気ままに飛ぶことができる旨の「密約」が数十年前に締結され、それがそのまま今日に至っています。日本には自分の領土内での航空管制権もありません。

(関連)日米安保体制=日米密約同盟の隠された正体が一段と明らかに=(必見必読)『知ってはいけない 2』(矢部宏治著:講談社現代新書)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-2ecc.html

(関連)安全保障や軍事の議論をするときは、一般論抽象論ではなく、日米安保(日米密約同盟)や自衛隊(在日米軍と一体化した攻撃型軍隊)の実際のあり様をよく確かめてから具体的な形でしないと無意味- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/post-6e92.html

以前にも申し上げておりますが、日本の安全保障を論じる場合には、実際の防衛省・自衛隊が何をしているか、在日米軍がどういう態度をとっているか、そしてアベ政権がどういう態度でいるかをきちんと捕まえて論じなければ、ほとんど無意味です。それと同様に、軍事費の使い方についても同様で、一般的な軍事費拡大反対なら私の若いころからある議論ですが、それが日本の有権者・国民を説得して、軍事費拡大に歯止めをかけたという話はあまり聞きません。それどころか、昨今の日本の大方の世論は、軍事費は日本を守るためのものだ、などと情緒的に反応していて、実際にどうなのかを問う姿勢に乏しいのです。それは、戦争か平和か、などと言う議論の建て方にも共通しています。

アベ軍拡による税金の軍事費への投入は、日本の防衛強化などにはつながらない、大半がアメリカのご機嫌取りのようなことであり、むしろ日本の有権者・国民を危険にさらすだけであり、防衛省・自衛隊の内部においても他の防衛予算を圧迫して評判が悪いことなど、ロクでもないことの巨大な山なのだということを有権者・国民に伝えていかなければいけないということです。軍事費拡大反対一般・戦争ではなくて平和一般を訴えても、私はほとんど効果がないだろうと思っています。

それから、財政政策のことについては先般お送りした私のメールの「新ちょぼゼミ」をご覧いただきたいのですが、まずもって申し上げておかなければならないのは、消費税増税は社会保障拡充のためになんぞ、使われてこなかったし、これからも使われることはない、ということです。その上で、国政選挙をにらんで、「市民と野党の共闘」が打ち出すべき経済政策は何かをよく考えた場合、それは財政赤字を煽ってアベ政権の軍拡予算を批判することではなく、また、社会保障を安定化させるには消費税増税はやむを得ない、などと、ボンクラ学者の井出英策のようなことを言うのでもなく、逆に反緊縮政策により、有権者・国民の生活や生存に直結する分野への財政支出を積極的に展開し、長期化しているデフレ経済から脱却せよという政策を掲げることなのです。そもそもデフレ経済からの脱却が税収増を生み出し財政赤字を減らしていきます。

(関連)2019年の国政選挙をいかに闘うか(アベ政権退陣と自公政治の抜本転換を求めて)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-b038e9.html

その際に、同時に着手しなければならないことは、(1)アベ政権・自公政治がやってきた税金の使い道を徹底して見直すということ、軍事費で言えば、アメリカからの役に立たない危険な兵器の爆買いは直ちにやめるということ、それ以外にも、原発・核燃料サイクル、ダム建設、カジノ・オリンピックなどの巨大イベント、MICEなどのハコモノ、都市再開発、リニア、高速道路その他の土建事業、など、土建屋は喜ぶけれども有権者・国民の生活や生存にあまり関係のないことへの税金投入を絞っていくということが必要です。(さらに生活関連財政支出の拡大だけでなく、労働法制や最低賃金大幅引き上げその他の制度政策や、社会保障制度の抜本見直しなども並行して行われなければなりません)

(2)税制を公正なものにすること=税金を払わない巨大企業や富裕層を見逃さないこと、特にタックスヘイブン対策は急務です。何をのらりくらりやっとるのかという話です。消費税率引き上げは注視して、逆に5%への引き下げを実施(消費税はいずれ廃止して奢侈品物品税へ移行)、などなど、税制の公正化へ向けての抜本改革が必要です。所得税の累進課税を少しずつ元に戻していく、課税標準(対象)の穴だらけを埋める、という基本コンセプトが必要で、そうした対応が、たとえば課税最低限の引き上げなどの財源を生み出していくのです。(税制の目指すべき方向性の話は、近々「新ちょぼゼミ」でやります)

(3)社会保障や福祉の財政政策の在り方の見直しや、そもそも国の政策の根底に流れる市場原理主義を、政権交代により払拭する必要があります。保育費無料化という、トンチンカン政策のバラマキ・エサをありがたいと飛びつく有権者・国民(それを契機に安倍政権与党に投票する)がどれだけいるのかはわかりませんが、「市民と野党の共闘」が財政赤字の危険性を煽って、引き続き財政再建が第一だ、緊縮政策・増税もやむを得ない、などとやっていたら、かような保育無償化というトンチンカン政策の方へ有権者・国民を追いやってしまうことになると考えておいた方がいいでしょう(保育無償化の前に、公設保育所の大増設と、なによりも保育士の労働条件・賃金改善による大量確保、の方が先です。それにより待機児童の解消を図れ、保育の質を落とすな、ということです)。

それから、国債の大量の発行残高についてですが、これも既にお送りした私の新ちょぼゼミで少し話しておりますが、それ自体=つまり国債発行残高1300兆円それ自体は、財務デフォルトを含む財政危機を招くリスクは小さいと見ていいということです。(1)国の所有資産も1300兆円ちかくあり、そのうち金融資産など処分可能なものがその半分くらいはありそうだということ、ネット債務は600兆円くらいです。(2)更に、日銀が保有する国債が460兆円くらいあります。そうすると、これらを差引いて、丸裸の資産の裏付けのない国債が約140兆円くらいですから、この程度の残高では財政危機が表面化するというのは考えにくいのです。(3)国債は大半が居住者が所有しており、その居住者投資家は「おとなしい」投資家で、自分から金融市場に投機を仕掛けるようなことは好まないタイプです。危険なのはヘッジファンドなど、非居住者の投資ファンドなどが保有する国債ですが、これはあまり多くありません。ただ、この辺の話は、あまりアテにはなりませんので、ほどほどに見ておけばいいでしょう。

ではリスクがないのかというとそうではありません。リスクは実は、黒田東彦(くろだはるひこ)異次元緩和により大量に購入した国債の代わり金が日銀にブタ積み預金されていて、これが危ないのです。これが約420兆円ばかりあります。何故危ないかというと、これが景気動向次第では「動き出す」可能性があり、そうすると、たちまちのうちに景気が一気に過熱してしまうかもしれないからです。いわゆる日銀預け金はマネタリーベースとかハイパワードマネーとか言われて、民間銀行による信用創造の「元」になるカネですから、これをかような巨額な状態で放置しておくことは潜在的にはリスクが非常に高いということです。いわゆるマネーサプライが膨張する可能性があります。

しかし、です。それはあくまで潜在的なリスクです。当面の日本経済を見てみますと、(1)大企業を中心に内部留保が巨額(約500兆円)であり、仮に投資をする場合でも銀行借入に依存することは考えにくいこと、つまり銀行借入は当分の間、増えそうにないこと、(2)銀行自身がこの金を海外へ投資するなど、自身で使う可能性もありますが、それもまた、日本の銀行のサラリーマン体質を考慮した場合、あまりドラスチックなことは考えにくい(もし大きくカネが動けば海外投資による「円売り」を招き、外為市場が荒れることになるでしょうし、大きなリスクを取って円投の海外投資が銀行群によって更に今から大きく展開されるとも考えにくいです)。

ということで、日銀のブタ積み預金も今まで通りになりそうで、これから大きく動き出すことは考えにくいのです。しかし、動き出せば「売りオペ」で吸い上げればいい、というのは乱暴です。仮に日銀が売りオペに出たとしても民間銀行がそれに対して「はい、わかりました」と素直に対応するとは限らず、無理にブタ積み預金を吸い上げようとすれば、国債の金利が上昇し始めますから、これは危ない話になります。何故なら、日本の財政構造を見た場合、国債の金利=長期金利が上昇し始めると、たちまち国債費が膨れ上がり、財政がその本来の機能を発揮できなくなるからです。支払金利が巨額となり、所得の再分配もできなくなりますし、財政支出を適切適正に配分することもままならなくなります。上記で申し上げたように、国は金融資産を600兆円かかえていますから、ある程度は国債の支払金利負担は軽減されますが、しかし、その金融資産の相手方がどういう所かにもよりますから、長期金利上昇による財政の硬直化と困難は軽視することはできないのです。

つまり結論から申し上げると、やはり財政支出と税金収入のアンバランスが日本政府はひどい状態にあるということですので、これを中長期的には解消する方向で、徐々に徐々に転換していかなくてはいけません。しかし、それは当面緊縮政策を行って、消費税増税までして達成すればいいというものではない、ということです。日銀のブタ積み預金は動き出すまでにはまだ時間がかかるでしょうから、それまでになすべきことをしておくことが必要です。それは緊縮ではなくて反緊縮による生活関連支出の拡充と、軍事費を含むくだらない財政支出のスクラップ、そしてボロボロガタガタにされてしまっている不公正な税制の抜本的な立て直しです。自動車減税などはただちにやめるべきです。時間との勝負と言ってもいいかもしれません。あるいは、長期金利を上昇させずに「アホノミクス」を慎重にアンワインドしていく、と言い換えてもいいかもしれません。

その場合、最大のがん細胞は、日銀と公的年金基金が抱え込んでしまった巨額のリスク資産であるETFを含む国内外の株式です。万が一、リーマンショック並みの金融パニックが再来すると、日本は厄介なことになりかねません。それまでに、日本の財政金融政策をどこまで正常化できるかが勝負だということです。しかし、巨額に買い込んでしまった株式を減らしていく「アンワインド」は容易ではないのです。

この辺の話は、来たる5/9と6/3の「新ちょぼゼミ」で詳しくお話いたします。よかったらおいでください。夕方午後6時、水道橋のたんぽぽ舎でやります。


2.MMTが間違った政策提言を導き出しているワケ 「インフレは昂進しない」という前提の危うさ(櫨浩一 : ニッセイ基礎研究所 専務理事 2019年04月28日)
 https://toyokeizai.net/articles/-/278558

(メール転送です)下記は上記に関していただいたメールです
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おはようございます。東洋経済オンラインから情報提供です。私も下記の論考と同じ理解をしています。反緊縮の方々も批判の対象として重なる議論かと思います。

①「失業者の発生や、企業の投資の減少といった経済活動の縮小均衡を避けるために、財政再建をせずに財政を拡張させるべきだという、問題解決の方向性は間違っていると考える。」

全体的には、これが結論です。
もう一つは、中央銀行の評価です。

②「主要国は中央銀行による国債の直接引き受けを禁止しており、教科書もそれが望ましいとしている。その結果、政府が国債を市中で売却して、中央銀行は市中の国債を買い入れるという操作を行っている。これはMMTが指摘するようにムダな操作だ。しかし、なぜこのような非効率な制度を採用しているのかと言えば、安全装置の役割が期待されているからだ。政府が常に最善な政策を行うのであれば何も問題は起こらないが、政府に自由に通貨を発行できる権限を与えると、必ずと言ってよいほど乱用して経済的な大惨事を引き起こすことを、歴史は教えている。だから、わざわざこのような非効率なことをする制度を多くの国が採用しているのだ。」

「政府に自由に通貨を発行できる権限を与えると、必ずと言ってよいほど乱用して経済的な大惨事を引き起こす」という政府への不信感です。これは市場はコントロールできないという理解に重なります。金融機関も投資家も国家の利害を超えてグローバルに行動します。つまり、日本の円の価値が低下しそうだと、そうした予測で金融資産を海外に逃避させます。予想で動きますし、国家の思惑を無視して行動します。典型的なのが1990年代後半のアジアの金融危機です。

③「国内発のインフレにせよ、為替下落によるインフレにせよ、いずれにしても富裕層は影響を緩和する手段をたくさん持っているが、所得や資産の少ない層ほど対応策が少なく苦しい思いをすることになるはずだ。その危険性を考えれば、財政赤字を拡大して完全雇用を目指す方法は低所得者にとってはリスクが大きすぎる。」

自国通貨の下落によるインフレ調整で国の財政は立ち直ります。国の財政は立ち直りますが、低所得者層には酷い打撃を与えます。ロシアの国債市場の崩壊がそれです。「GDPデフレーター(対前年比)は,1992年に前年の16倍,1993年に10倍,1994年に4倍,1995年に3倍,1996年に1.5倍となり,これは物価水準が数年で3000倍ほどに上昇したことを示している。」
http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/bitstream/10191/16649/1/90_115-150.pdf

これが何を意味するのかは理解しやすいかと思います。日本には起こらないと思い込むのは自由ですし、インフレは起こらないとして議論を組み立てるのも自由ですが、ひとたび通貨危機に見舞われてインフレが生じれば酷い目に遭うのは低所得者層だという事実は変えられません。では、どうするのかです。私は今、政策的ターゲッティズムを考えています。人々を対象とするからターゲッティズムはスティグマを招き、人々を分断させます。人々を対象にするのではなく、個別の政策を対象にして財政資金を投入させることです。要するに、社会政策に財政資金を重点的に投下せよということです。

私は、国保料を考えています。より具体的には国保料の均等割の国庫負担を政策的ターゲッティズムとすべきと思います。地元東京都北区では、子どもの均等割を半額にするのに一億数千万円の予算でできます。二億円程度の予算で実行できて、財政調整資金は170億円以上積み立てられています。このようなケースこそ、反緊縮を主張できます。積み立てて自由に使える財政資金のわずか1%程度で国保料の負担が軽減できます。ここには所得制限、非課税世帯などの条件はつけません。政策的ターゲッティズムをユニバーサリズムで行うという手法です。国保加入している人すべての家族均等割を半額に、さらにはゼロにするという提案です。国保加入者のみんなが恩恵を受けられますから、ユニバーサリズム的手法です。

政策的ターゲッティズムをユニバーサリズムで行う、なんかよくわからない表現ですが、現実的だと自負してますが、どうでしょうか。
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(田中一郎コメント)
「財政再建をせずに財政を拡張させるべきだという、問題解決の方向性は間違っていると考える。」⇒ これでは「財政再建を優先しろ」「緊縮政策はやむを得ない」「生活保護はカットして社会保障も切り詰めろ」「消費税増税もやむなし」「政府に寄り掛かるな、自己責任でやっていけ」といった結論になってしまいます。私はこの考え方が駄目なのだ、アベ政権に対するこの批判の仕方がマズいのだ、現在の財政について認識が不十分だ、アベ政権・「アホノミクス」への幻想を生み出している、市場原理主義政策の隠れ蓑だ、と申し上げているのです。

現段階の日本政府の財政状態であれば、まだ「生活関連重点支出」をさしあたり国債の発行で賄いながら、財政支出構造や不公正税制の是正を組み合わせていけば、十分に日本の経済政策は転換可能です。大きな財政支出を伴わない経済制度政策なども重要です。そしてそれが、日本経済をデフレ・不況から脱出させ、税収増をもたらしながら財政再建を並行して進めていけることにもなるのです。但し、昨今アメリカで「流行」しているMMTなるものはいけません。一種の極論であり、財政モラルハザード=放漫財政を導いてしまいます。


3.(メール転送です)コービンの「反緊縮」政策(柴田武男さん)

海外投資、日本の稼ぎ頭に 経常収支の構図変化 日本経済新聞 2019/2/8 23:19
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41096450Y9A200C1EA4000/

※経済産業省の資料によると,2001 年度から 2006 年度にかけて,海外現地法人の経常利益は 4.2 倍に増加したのに対して,内部留保残高は 23.5 倍に急増しており,2006 年度には 17兆円に達していると推計されている(国際租税小委員会,2008)。そこで,海外利益の国内還流に際しての税制上の障害を取り除くため,2009 年度税制改正において,内国法人が海外子会社から受け取る配当金を一定の条件のもとで非課税(益金不算入)とした。この税制改正は外国子会社配当益金不算入制度と呼ばれている。この結果,日本の法人所得に関する国際課税制度は,外国税額控除方式(全世界所得課税方式)から国外所得免除方式へと移行した3)。
 https://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list7/r127/r127_08.pdf

以下はメール転送です。
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おはようございます。

「候補者ジェレミー・コービン」をなんとか読み終わりました。彼が労働党党首になるまでと、2017年の総選挙で躍進したところまでが群像ドラマとして描かれています。群像ドラマとあえて表現するのは、政策そのものよりこの著者はどんな人々がコービンを支えたのか、そこに関心があったからです。従って、彼自身の政策については読者にとって既知のモノとして扱われています。それは、英国の毎日の新聞で確認してくださいと言うことですが、英国の新聞は読まない私にとってそもそも彼の経済政策は何?というもどかしさがありました。

2017年6月の総選挙の結果は、保守党317議席、労働党262議席という結果です。さらに保守党は英国全土で42%の得票率と1370万票を獲得しています。結果的には保守党勝利、労働党躍進程度に終わったのですが、この躍進というのがここでの評価です。コービンの「反緊縮」政策ですが、私には社会保障費削減反対、大学授業料無償化、移民歓迎、というオールド左翼の政策そのものです。欧州の「反緊縮政策」を語るときには、EUの緊縮政策を前提に語られるべきです。各国経済は財政権はあっても、それはEUに加入する限り大幅に制限されています。典型がギリシャです。オリンピック開催、膨大な軍事費、放漫財政とねつ造された財政報告でギリシャ国債が暴落します。その暴落によって厳しい制裁が加えられます。その経済制裁は経済弱者を直撃します。それに対する政治的反発が反緊縮政策です。

類似の事例として、1997年の韓国のIMF危機、そして日本では夕張市を思い浮かべれば分かりやすいと思います。夕張市がなぜ経済的に窮迫しているのでしょうか。なぜ、反緊縮政策をとらないのでしょうか。地方債を増発して資金調達して、人々の生活の充足に使わないのでしょうか。したくともそれができないからです。

韓国のIFM危機では、「金集め運動」が起こりました。「韓国を通貨危機から救い出そうと、本当に国民が自主的に行った寄付運動です。1997年11月20日「セマウル婦女会」の「指輪集め」で始まり、民間団体に広がって行きました。このような動きを政府が報告を受けたのは、半月も過ぎてからでした。そして翌年の1998年1月から「KBS金集めキャンペーン」が始まり全国的に拡散されました。毎日感動的な話が伝えられました。新婚夫婦の結婚指輪、子供の1歳のお祝いのための指輪、高齢者が手にはめていた子どもが買ってくれた親孝行リングなど、意味のある金製品が銀行に集まってきました。運動選手は生涯誇るべき金メダルを出し、キム・スファン枢機卿は枢機卿就任時に受け取った金の十字架を寄付しました。このようにして集まった金が約227トン。2011年韓国銀行の金保有量が39.4トンであったことと比較すると、どれほどの規模で集まったのか推測することができます。そうして集まった金はほとんど輸出されました。金を輸出して稼いだドルは22億ドルで、1997年11月基準で韓国の利用可能な外貨準備高であった20億ドルを上回る規模です。」
 http://mottokorea.com/mottoKoreaW/QnA_list.do?bbsBasketType=R&seq=6574

なんという愚かなことでしょうか。反緊縮政策を用いて、国債を増発して資金調達すればよろしいではないでしょうか。韓国に国債はないのでしょうか。そんなことはありません。韓国でも国債残高は政治的に常に議論の対象となっています。韓国の国債発行で入手できるのはウォンです。しかし、そのとき韓国にはドルが必要だったのです。国際貿易での決済はドルです。韓国にドルを貸してくれるのはその時IMFだけでした。そして、韓国は屈辱的な条件でドルを借金したのです。ギリシャも同様です。自国通貨ドラクマではなくユーロという発行制限のある共通通貨を必要としていました。ドラクマに戻そうという政治的動きもありましたが、それは閉鎖経済、つまりドルを決済通貨として用いる国際貿易からはじき出されることを意味します。ギリシャが経済的に孤立してやっていけるわけがありません。国際貿易に組み込まれているからです。

日本も同様です。日本は国債を低利で発行できて、ドルとの交換も順調です。なぜか。それは国際金融取引でドルを確保できているからです。具体的には、金融収支です。対外収支は黒字です。しかし、それは貿易収支で儲けているのではなく、金融収支で儲けているのです。日本は貿易大国ではなく金融大国とかなり前になっています。さらに、この金融収支の在り方が大きく変化しています。日本の金融収支は間接投資が多く、利幅が少なかったのですが近年直接投資が増えています。それを示したのが下記の日本経済新聞記事です。「海外展開を進めて現地で稼ぎ、収益を日本に戻している。」のです。海外で稼いでいるのがドルです。海外でドルで稼いでそれを円に替えて国内に貫流しているのです。海外でドルを稼げていますから、日本の国債は安泰なのです。その限りでの日本国内の国債残高なのです。日本の国債残高の限界は、この国際収支にかかっていると理解しています。

「1つは海外子会社のもうけにあたる直投収益の10兆308億円。もう1つは外国債券の利子などにあたる証券投資収益の9兆8529億円だ。貿易黒字は1兆1877億円」これが日本の膨大な国債残高を可能としている理由です。このことは日本経済に二つの影響を与えています。つまり、日本の国富の源泉が外国からの収益と言うことは、それを手にできる巨大企業と衰退する国内市場に依存する企業との格差をさらに拡大すると言うことです。もう一つは、国内市場には衰退する産業構造が拡大すると言うことです。比較的給与の高い製造業から給与の低いサービス産業へと雇用構造が大きくシフトしていることです。例は悪いかもしれませんが、沖縄経済化していると言うことです。沖縄の給与水準が低いのは、基地に依存する経済構造を強いられて、製造業が伸び悩み、給与水準の低いサービス産業優位の雇用構造になっているからです。

国際収支によって拡大するこの格差構造を縮小するには、海外からの収益に課税することです。税の再配分機能をここで発揮することです。しかし、それが全くできていないのです。外国子会社配当益金不算入制度がそれです。下記※参照 要するに日本に資金環流すると税金がかかるので還流させないのです。日本の外で稼いで日本の外で使えば日本の税金がかからないのでよろしいわけです。それでも日本に還流してくるわずかの資金に税金をかけるのか、それとも課税を少なくして日本に資金還流させるのか、という二択になります。結果、後者が選択されたのです。

今、日本企業がこの海外で稼いだお金になんとか税金をかけようという努力と工夫をしていますが、なかなかうまくいきません。それがタックスヘイブンの存在です。それが利用できるのは大企業です。そして、税金をかけないことで日本に還流してくる海外収益をモトにして日本の国債発行が可能となり、自民党政治を支えています。アベノミクスを支えている「反緊縮」財政はこれによって支えられています。この経済構造自体、海外からの直接投資を低税率で享受できるかできないかということで、格差を助長しています。

要するに、欧州の反緊縮という言葉にだけ引きつけられて、欧州でも反緊縮だ、だから日本でも反緊縮だという理屈は的外れなのです。
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4.松尾匡立命館大学教授より上記に対する反論のメールをいただきました(以下はメール転送です)
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時間がありませんので雑駁に。

> コービンの「反緊縮」政策ですが、私には社会保障費削減反対、大学授業料無償化、移民歓迎、というオールド左翼の政策そのものです。

そのとおりです。これまでの労働党が緊縮政策をとってきたことから、オールド左翼への転換が歓迎されたということです。ちなみに反緊縮マニフェストの付属資料を私たちが和訳しています。福祉、教育などへの支出増には、富裕層課税の強化で同額の財源をつけ、インフラ投資は「歴史的な低金利を活用して」国家変革基金を通じて行うというものです。
 https://economicpolicy.jp/wp-content/uploads/2017/07/translation-006.pdf

韓国の通貨危機については、事実上のドルペッグ制(事実上の固定為替相場制)をとっていたことが原因だったとされています。こちらにちょっとそのことが書かれています。
 https://core.ac.uk/download/pdf/144568387.pdf

ギリシャもユーロに入っていますので固定為替相場制の極限で自国通貨がありません。夕張市もそうです。

変動相場制ならば、自国通貨が下落すると輸出が伸びて景気がよくなるというそれだけです。結局韓国経済もそれで復活しました。そして国内に生産力があれば、そうやって輸出が伸びることが見込まれますので、どこかで通貨の下落は止まることになります。

日本は海外からの大量の利潤送金なんかあるせいで、ほっとけば円高圧力がかかって、国内経済は空洞化し雇用は失われ、大企業ばかりもうかって労働者にとってはろくなことはありません。そしてこれが放置されると、やがて国内の生産力は失われ、それがいきついたときこそ円暴落に歯止めがかからない可能性がでてきます。

利潤送金されたら円高になって困るのですから遠慮なく課税すればいいというそれだけだと思います。
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5.私からの上記2つの方への議論(ちょっと長いですが是非ご覧ください:一部加筆修正しています)

みなさま、お早うございます。

柴田様におかれましては、日々活発な読書と投稿に敬意を表します。とりわけ読書スピードの速さには、私のような鈍亀型人間にとっては、ついていくのが難しいくらいの驚異的なもののように思えます。これからもどんどん議論をリードしていただければと思います。

ところで、柴田様のメールに刺激を受け、再び経済政策の問題についてメールをお送りすることにいたします。このメールは5月2日にお送りした私のメール(上記1.)の続編のようなものとお考えいただければ幸いです。何故かくも経済政策にこだわるのかと申しますと、来たる国政選挙(衆参同日の可能性あり・場合によっては憲法国民投票も同時、あるいはそのすぐ後)において、この経済政策が決定的に重要だからです。夏の国政選挙まで、もう3か月くらいしかありませんが、既存野党も、「市民と野党の共闘」も、依然として選挙マニフェストと経済政策=つまりは「オルタナティブな日本」の骨太構想を打ち出せておりません。このままいけば、ほぼ間違いなく選挙は敗北、場合によっては衆参大敗北に加えて国民投票でも負けの「トリプル敗北」となる可能性も出てきています。戦争反対や脱原発、共謀法や特定秘密保護法反対だけでは国政選挙に勝てないことはすでに実証済みであるにもかかわらず何をしているのか、というのが私の偽らざる心境です。世直しを唱える勢力が、その世直しの手段の有効性を考えずに動いているという印象です。

まず、国債の大量発行による財政破たんリスクについては、政府の総債務1300兆円に対して、保有資産もほぼ同額の1300兆円あり、そのうち処分可能資産は金融資産を中心に、およそその半分くらいありそうだということ、また、日銀が国債を500兆円程度保有していますので、結局、資産の裏付けがないままに政府+日銀で債務として抱えているのは、国債が150~200兆円前後、日銀紙幣が100兆円程度で、これくらいの規模なら、財務デフォルトの可能性は低い、ということです。

さしあたり問題は、国債の残高にあるのではなく、黒田日銀が異次元緩和で抱え込んだ銀行からのブタ積み預金(日銀から見ると預り金、銀行から見れば預け金)にリスクがあります。この預金は民間銀行による「信用創造」のモトになるカネで「ハイパワードマネー」とか「マネタリーベース」とか言われているもので、これが日本経済や世界経済の動向次第では動き出す可能性があり、動き出せば厄介なことになるであろうという意味で、リスクがあるということです。いかんせん金額が460兆円ですから、これの数倍~数十倍の信用創造が起きてもおかしくはない金額です。そして、これを日銀の「売りオペ」で解消しようとすれば、ほぼ間違いなく長期金利は上昇し始めますから、そうなってくると、財政側の、つまり国債の金利負担が急増して財政がその本来の機能を果たせなくなってしまうのです。それでも巨額のブタ積み預金が動き出して日本経済に危機が迫るようであれば、最終手段として、ブタ積み預金の「強制凍結」=不胎化政策を行わざるを得なくなるでしょう。しかし、この政策は、さまざまな弊害と別の意味での危機をもたらす可能性が高いと言えます。

つまり、いくら財政破たん危機が低いとは言っても、今後の経済政策運営において、日本政府や日銀は長期金利の上昇を抑え込みながらやっていかなければいけないということを意味しています(そしてもう一つ、黒田日銀と公的年金が抱え込んだ巨額の内外株式という時限爆弾があります)。MMTとかいうアメリカで流行し始めた乱暴な議論では、自国通貨建ての国債はデフォルトしない、いくら赤字が巨額になっても問題ない、などと言っているようですが、私は大いに疑問で、現実を見ない極論だと考えています。

まずもって、柴田様がおっしゃるように、財政収支の大赤字や国際収支の大赤字に対して「強い耐性」をアメリカが持っているのは、アメリカの自国通貨・ドルが国際決済通貨であるからだということをしっかりと認識しておかないといけないことです。そしてそれも、ほどほどにしておかなければ、やがてドルへの信認の崩壊とドル暴落を招き、アメリカが国際決済通貨発行の地位を失うことにもなりかねません。確かにアメリカは国際経済の中心にいて、その取引通貨を供給する事実上のラスト・リゾ-トのようなところがありますが、国民国家・国民経済が国際経済の基本となっている(世界政府は存在しない)以上は限界があるのです。ましてや右肩下がりのアジアのチンピラ帝国の日本がMMTのまねごとでもしようものなら、短期間のうちに円暴落・インフレないしはスタグフレーションのしっぺ返しを食らい、今以上に苦しい経済情勢を甘受せねばならない事態に陥ってしまうでしょう。

また、MMTには「財政モラルハザード」という「ハーヴェイロード仮説」が成立しないボンクラ政治家どもの問題もありますから、制度としてもこれはまずいのです。放漫財政が止まらなくなる可能性が高いのです。(これは経済政策を論じる際に量的なことしか念頭に置かない現代経済学ないしは市場原理主義アホダラ教の特徴の一つでもあります)。

話を戻しますと、当面する国政選挙に勝利をしていくための経済政策を考えなければいけないという前提でモノを考えた時に、経済政策は財政政策と非財政政策(財源が直接には不要なもの)の両方を使い「総力戦」で立ち向かうこと、他方、金融政策については、これまでのマイナス効果しかない状態に陥っている異次元緩和や公的資金による株式投資を「アンワインド」し、「正常な金融緩和状態」にシフトしていかなければいけない、ということです。そして「これからの金融政策の在り方」を別途考えないといけないということです。(当面はこの「「異次元緩和アホノミクス」のアンワインド」をどのようにやるかが金融政策の焦眉の問題となるでしょう(いわゆる「出口政策」です)。まさにアベ政権・「アホノミクス」によりつくられた「マイナス状態」からの出発です)

他方で、財政政策を考えた場合、上記で申し上げたように、ストックベースで財政赤字を見た場合には、まだ「危機到来」まで金銭的・時間的に余裕がある、これを使わない手はない、ということです。しかし、フローベースで見た場合には、毎年2桁兆円の赤字国債の発行が続いており、これはこのまま何処までも続けられるとは思わない方がいいだろうということです。何故なら、やがて政府純債務が巨額に膨らみ、国債への信認が危うくなってくるからです。どこかでこの「構造的な財政赤字構造」もまた、アンワインドしなければいけない。ですが、これを今、「基礎的収支のフラット化」などといって消費税増税を使ってやるというのは、いかにもトンチンカンで、それでは財政政策の目的である国民の経済福祉や幸福の実現を踏みにじって、財政そのものをよくすることを目標とすること意味します。逆累進型の弱者いじめの大衆課税という「悪税」ですから。また、日本経済も景気腰折れ、のようなことになり、消費税増税して税収は景気悪化で減少する、という事態も考えられなくもないのです。少なくとも、思うような税収にはなりにくい。

これではアベコベ政策です。アベ政権を批判できません。それどころか、消費税増税を言い出したアベ政権が、ここで消費税増税延期を打ち出して選挙に突入すると、今のままの野党ではボロ負けするかもしれないのです。ましてや、例えば野田佳彦のように、財政再建のためには消費税増税は不可欠だ、社会保障を持続可能なものとするには消費税増税だ、などと言っていればなおさらです。一部のお人好しや間抜けをのぞいて、消費税増税が社会保障のためだなどとは誰も感じて(信じて)いませんし、実際これまでもそうではなかったですから。(財源をあまり必要としない経済政策も重要です。よく検討する必要があります)

さてそれで、財政赤字解消と積極的な財政支出政策とを両立させるコツは何か、ということですが、それが(1)財政支出先(財政支出の質)の見直であり、(2)公正な税制の実現による税収の確保です。もちろん、この「反緊縮」の経済政策は、上記と組み合わせて、国債発行を引き続き利用しながら国民経済の福祉向上とデフレ脱却・景気回復を行っていくということですので、(1)と(2)だけを実施するのではありません。

(1)は柴田様がつねづねおっしゃっていた軍事予算を削減せよ、という話に要約できます。「大砲からバターへ」は古いので、今なら「アメリカ兵器から国民生活へ」とか「ミサイル・戦闘機・空母から保育・教育・労働・介護へ」でもいいでしょう。更には「再びコンクリートから人へ」や「原発から再生可能エネルギーへ」などもセットです。「巨大公共事業・ハコモノ建設ではなく地域の生活関連・地場産業関連公共事業へ」「地方分権改革=権限と財源を地方へ」なども含まれます。今日の日本財政の支出先が、自公政治と霞が関官僚どもの「私物化・食いもの」にされている、この状態を「正常化する」という風に考えておけばいいのです。財源は既存の財政支出先の抜本見直しからも巨額に発生します(かつての民主党政権のように、覚悟が決まらずに肝心かなめの巨悪を見逃すような「事業仕分け」=核燃サイクルや宝くじなど当時も今も巨悪はたくさんある、ではダメなのです。単なるポーズとしての「見直し」ではなく、抜本的「見直し」です。巨悪退治です)。

(2)公正な税制実現による財源の確保は、所謂「増税」ではありません。少なくとも一般庶民は関係がない。本来納税すべきものがズルをして、税金納付を避けている、合法的な納税回避もあれば、違法な脱税もある、これを根絶して、とにかくアンフェアな税金逃れを許さないという厳しい態度で臨むということです。本来、納税すべき企業や人が納税をしていない、それをしていただきましょう、ということですから「増税」ではないのです。「納税の適正化」と表現すべきでしょう。

具体的には、①タックスヘイブン退治(タックスヘイブン否認法と巨大企業への強制連結課税+尻抜けに対する巨額のペナルティ・ほう助者処分、オフショアバンキングの絞り込みと金融商品への源泉課税+取引税)、②非居住者の日本国内源泉所得の捕捉強化とそれへの課税、③租税特別措置などによる大企業優遇税制の廃止(巨大企業の実質納税負担率を引き上げる=今は数%)、④金融資産所得の源泉分離課税から総合課税への移行(所得税率の実質逆累進の解消)、⑤所得税・相続贈与税の累進税率のアップ(回復)、くらいをさしあたり挙げておきます。消費税は税率を当面は5%に引き下げ、更に3%から廃止へと移行させ、それに代えて奢侈品物品税を少し高めの税率で導入すればよろしい。(東京新聞の「こちら特報部」で連載中の三木義一青山学院大学学長さんは、紙面を税金小話やダジャレで汚すのではなく、日本の税制の歪みをコンパクトにきちんと指摘していただきたいですね。新聞紙面で下手な落語家稼業をやっていてもしょうがないでしょう:別途メールします)

さて、このあと、社会保険制度や生活保護制度の見直しも必要になるでしょう。私はさしあたり、①国民健保に加入する非正規労働者の保険掛け金の半分を企業に支出させること(税金で取れ)、また富裕者の保険掛け金を引き上げ、貧者の掛け金を引き下げないしは免除、②介護保険は社会保険をやめて政府サービスへ移行(税金で対応)、③失業保険や労災保険の内容を拡充するとともに保険掛け金も引き上げる、④健康保険や年金については別途検討(国民年金の最低保障年金への移行はいいとしても、その移行の仕方はよく考えないといけない。また、国民健保の制度見直しは急務です)、⑤生活保護については、2000年以降の生活保護費カットを全てご破算にして元に戻すこと、これをまず直ちにやること、その後はその在り方を慎重に検討です(生活再建支援やロスジェネ支援、住宅政策、介護や保育、福祉政策などとセットです)。

最後に、柴田様から問題提起があった、国際収支と国債発行および円相場との関係です。簡単に箇条書きにいたしましょう。

(1)(松尾匡立命館大学教授)「日本は海外からの大量の利潤送金なんかあるせいで、ほっとけば円高圧力がかかって、国内経済は空洞化し雇用は失われ、大企業ばかりもうかって労働者にとってはろくなことはありません。そしてこれが放置されると、やがて国内の生産力は失われ、それがいきついたときこそ円暴落に歯止めがかからない可能性がでてきます。利潤送金されたら円高になって困るのですから遠慮なく課税すればいいというそれだけだと思います。」⇒ その通りです。

(2)日本の大企業群、およびそれに付き従って海外進出している中小企業の海外事業展開を手放しで肯定するわけにはいきません。日本国内では許されないようなことを、海外の発展途上国では法的規制が緩いことをいいことに、やっている可能性があるということです。海外事業展開Gメンでも創設し、海外事業展開のコンプライアンス、ないしは社会的公正チェックシステムを作る必要があります。

(3)内需拡大政策=その1つとして、企業の日本国内へのリターン政策を考えなければいけません。そのためには、内需対応国内企業を大切にする産業政策が必要になります。まず申し上げられることは、TPP協定や日欧EPA、あるいは日米FTAなどはすべて破棄=脱退することが大前提です。これらを総括して「国際市場原理主義経済体制」と申し上げますが、この体制下においては、日本国内でのまともな産業活動は時間をかけて不可能になっていきます。1%の多国籍巨大企業群や政権と結びつく特権的な企業・実業家だけが潤う仕組みになっているからです。

WTO体制もまた厄介です。こちらは時間をかけて変えていくしかありません。さしあたり、関税自主権をきちんと行使する、輸入の安全と質と量と持続可能性は主権として日本が決める(=事例としての「食料主権」の具体的中身)、国際貿易・国際経済関係を共存共栄型に運営する形で、個別に新型「経済相互協力協定」をいろいろな国と締結し、世界中に日本の経済政策のシンパを拡大していく。

(4)私はこれから中期的に貿易収支は赤字ないしはトントン・貿易外収支は大幅黒字が恒常化するように思っています。しかし、海外に出かけて行ってロクでもないことをして、その上がりで国際収支を黒字にしているというのは、日本経済の在り方から見て健全ではないでしょう。国際経済の中で、日本経済を健全な形で、しかも、ちゃんと食っていけるようにするには、どうしたらいいのか、こうした議論が乏しいように思っています。現代経済学は経済の量のことしか議論しませんが、ここでも経済の質が問われています。

(5)ギリシャは自国通貨を持っていませんから、発行国債もユーロ建てて非居住者が大量に保有し、投機的な動き・足の速い動きに翻弄されるため、国民経済はガタガタにされてしまいます。本来はEU委員会とECBが協力して支援しなければいけませんが、両方とも市場原理主義にアタマがイカれていて(ECBの場合はドイツの財政均衡主義の影響も大きい)、ギリシャ国民をそっちのけにして緊縮政策を押付け、より一段と経済がボロボロになっています。韓国は自国通貨を持っていますから、1997年当時の韓国政府の対応は、はっきりって誤りです。同時期にアジア危機に陥った東南アジア諸国も同様で、IMF・世銀の「ワシントン・コンセンサス」勢力に経済侵略されてしまっています。そこそこ闘っていたのはマレーシアくらいでしょうか。

欧米を中心とした(昨今では、他にもロシアや中国、それにファンドに化けたアラブ諸国や世界のアングラマネー)投機的資本(カジノ資本主義マネー)に翻弄されないように、国民経済を守る政策、更には、カジノ資本主義勢力に襲われないように未然に防止する・経済健全化体制を創る前広な経済金融政策が重要です(最近「プルーデンス政策」なるものがもてはやされているようですが、私はこれも怪しいと見ています)。

しかし、今日の日本は、まさにその逆を行い、自分たちがカジノマネーのような態度で経済政策を展開していますが、私から申し上げれば「思い上がりも甚だしい」のであって、今や日本の産業・企業は「陳腐化」の段階に入ってきており、早晩、カジノマネーとして世界を食い物にするのではなく、逆に食いものにされる国へと転落しているということを自覚する必要があるでしょう。(かつて日本の一流メーカーと言われた企業群が次々とゴマカシ・インチキ・隠蔽・不正・粉飾などを行い、毎日のようにTVに登場しては頭を下げています。あの人間達のハゲ頭では日本経済はもうもたないでしょう。要するに、青の連中は世渡り上手で経営幹部に登ってきた無能なボンクラどもだということですから、日本の巨大企業群には、もうまともな経営者はいないのです。「失われた30年」の大きな原因の1つです。)

時間をかけて、日本の産業は凋落を続けていますから、これを元に戻していくには、同じく時間がかかるでしょう。そして今は、その「右肩下がり」の自覚がないままに、旧態依然の滅びゆく巨大恐竜のような「20世紀型スクラップすべき産業」を政府が様々な形で「お友だち支援」しているということです(その典型事例が原発・核燃料サイクルです)。私が見るところ、日本経済の未来はこのままでは絶望的です。あらゆる破綻の芽が徐々に徐々に大きくなっています。「アホノミクス」を展開する「アホ」どもを一刻も早く政治の世界から追い払う必要があるのです。そのための「オルタナティブな経済政策」を私たちは考え抜かなければいけません。

(6)ということで、目先は松尾匡立命館大学教授がおっしゃるように円高傾向が見られるでしょう。しかし、円高は日本経済にとって悪い話ではないのです。日本の国際的な通貨価値が上がるわけですから。これに対抗する手段は内需拡大です。内需拡大のためには最終消費を増大させるための所得政策=賃金その他の引き上げとセイフティネットの拡充が必要です。それと妙なものを輸入しないという、輸入適正化政策です。ここが日本はまったくと言っていいほどできていない、成金国家としての発展途上国ニッポンの正体がここにも現れています。いずれにせよ、円高を日本経済改善のために生かすことは私はできると思っています。輸出だ、輸出だ、などと、トヨタに盲従しているから、何が適切な経済政策なのかが見えなくなっているのです。海外からいいものを安く手に入れて、それを有効に使えばいいのですから。しかし、私はこの円高バイアスもそう長くは続かないだろうと見ています。いつまでも、あると思うな、親と円高、です。

(7)海外子会社から送金される配当金に課税せよというのはそれでいいと思いますが、私はそれ以上に、上記でも申し上げたように、タックスヘイブン否認法制と、一定規模以上の企業に対しての強制連結課税、がより適切だと思っています。そして、その尻抜けを防ぐため、個々の巨大企業ごとに、納税適正化委員、を税務署に置いて、厳しい税務調査と巨額の虚偽申告・税逃れに対する巨額ペナルティ(偽った金額の3倍以上の金額)、そしてそれを助けた会計士やコンサルに対する厳しい罰則・罰金が必要だと考えています。その人たちは納税回避企業の用心棒になるのではなく、政府税務当局が厚遇して、納税回避行為がほぼなくなるまでの期間、成功報酬付きで雇用すればいいのです。それくらい、今の大企業群(および富裕層)はまともに税金を払っていない。いい加減にしとけ、このクソ野郎ども、ということです。(ちなみに、厳しい税務調査と言っても、一般庶民や中小零細は関係ありません、巨大規模ないしは巨額の利益を得ている企業に対しての話です)

(8)国際収支が構造的に赤字体質となってしまったら、これは円高リスクどころの話ではありません。円という通貨安が底なしで続いていく可能性が出てきます。底なしの円安は、そのままインフレとなって国民生活を直撃してきます。国債発行は金利面からままならなくなるでしょう。MMTが言うように、国債の日銀引き受けや政府自らが通貨を発行などすれば、なおさら円安は進んでいきます。私はこうした事態に日本経済が陥ってしまうことを大変懸念しています。そのための今現在の処方箋の一つは、極端なことはしてはいけない、ということです。日本経済は昔と比べてかなりお粗末になりましたが、それでもまだ余力があります、それを一握りの特権企業や富裕層のために使うのではなく、圧倒的多数の国民のために使っていく、そういう国民経済が実現する方向で財政政策や経済政策を使えということです(金融政策はその邪魔にならないように、安部・黒田異次元緩和のアンワインドが終われば、しばらくは寝ていていいですよということ)。

長くなりましたが、今日はこれくらいにします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
草々

 

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コメント

前略、greens-ml経由で貴ブログを毎日拝見しております。 本日('19.05.06.)の貴コメントに賛同し、関連した私見を述べます(下記)、ご一読ください。

【政治と経済】
「政治」 とは、社会を運営する仕組みのことであると考える。
大昔人間は、自然の中に食を求め、住を定め、家族や集落として生活を営んでいた。
人口が増え、生活レベルが上がってくると、食の取り合いや、”なわばり”のことで集落間の
争いが起こるようになった。
争いだけでなく、旨くことを運ぶための智慧も出てきた、「経済」的概念に基く処理方法である。
”需要”と”供給”を取り持って大きくなった社会の運営をうまく行う概念である。
物々交換から始まって貨幣を媒体とする通商へ、さらに貨幣の機能を高めようとする”金融”の概念も発達した。

近代になって科学・技術が高度に発展すると「経済」も非常に複雑なものになった。
”社会主義経済”と”資本主義経済”の争いが20世紀に”冷戦”の形で頂点に達した。
共産主義のソ連が崩壊して、”資本主義経済”が勝ったかのように見えたが、21世紀に
なってこれもおかしくなって限界が見えてきた。
その原因を考えると; ”経済成長”を前提にした経済政策に大きな問題がある。
”需要”とは何か? ”供給”とはなにか? 現今のグローバル経済に於いては従来のものとは
大きく違って来ている。
”需要”について云えば;どんな物が、どれぐらい、何処で要求されているか、を詳しく調べる
必要がある。
”供給”についても同様に分析しなければならないが、最近非常に懸念されるのが、”軍需”の
押し売りである。
”抑止力”なる理屈を付けて”軍需”を煽るのは正常な経済活動と云えないし、これが進むと
人間社会は破綻を来たしてしまう。

安倍自民は、改憲、消費税延期・教育費無償でダブル選挙に出てくるかも知れません。
「反緊縮・生活優先」では、改憲、消費税増税延期に対して、今一わかりにくいのではないでしょうか?

安倍自民は、9条に自衛隊明記などの改憲を打ち出しているのだから、

「軍縮・消費増税凍結で生活優先」を打ち出すとともに、「原発ゼロ・反改憲で安全と平和優先」もはっきり打ち出した方が良いと思います。また、反緊縮は生活緊縮のイメージと繫がってしまうので、ストレートに反軍縮を打ち出した方がわかり易いと思いますが。

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