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2019年5月12日 (日)

(報告)(5.9)新ちょぼゼミ:財政・金融政策を見定める基本(御用経済学者・忖度経済学派を見分けるコツ)(その4):現代の金融システム(基本解説)+ 少し丁寧に補足説明を追記しました

前略,田中一郎です。


さる5月9日(木)、水道橋のたんぽぽ舎において第27回「新ちょぼゼミ」を開催いたしました。以下、当日の録画や資料とともに簡単にご報告申し上げます。

今回は、これまで今年夏の国政選挙を強く意識しながら続けてまいりました「財政・金融政策を見定める基本(御用経済学者・忖度経済学派を見分けるコツ)」の第4回目です。前回までの3回(下記サイトにその報告をUPしています)は、主として財政政策の基本についてお話申し上げ、概ねその話は終了いたしました。今回はそれに続けて金融政策の話に移っていくわけですが、まずその第1回目として、現代資本主義社会における金融システムはどのようなものなのかの「基本中の基本」をお伝えいたしました。この「現代の金融システム」(金融制度と言ってもいいと思います)の成り立ちの基本を理解していませんと、次回以降の金融政策についての判断が適切にできないことになってしまいます。

 <これまでの経済政策に関する「新ちょぼゼミ」報告>
 下記サイトの「2.経済政策について」と、最後尾の「(追加1)」をご覧ください。

(関連)2019年の国政選挙をいかに闘うか(アベ政権退陣と自公政治の抜本転換を求めて)- いちろうちゃんのブログ
 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-b038e9.html


下記の当日録画の中でも私から何度か申し上げていますが、現在の経済学者たちは、この「現代の金融システム」(金融制度)の仔細を知らないまま、単純化された経済・金融モデル論を展開して、幼稚極まる「世の中知らず」の愚論を振り回していることが多いのです。その結果が今日の「黒田バズーガ」と言われる日銀の異次元緩和への固執です。18世紀か19世紀の金本位制時代を思わせるような貨幣流通論やマネタリズムが何の批判も受けずに横行し、そのトンチンカンな発想で、金融政策を現実の経済金融のありようを見ないままに権力的に遂行しようとするから様々な弊害やマイナス効果が顕在化してくるのです。

諸悪の根源は現代経済学の金融論・金融政策論にあります(*)。それは財政政策における「財政均衡主義」という、これまた19世紀時代の自由主義的資本主義時代を思わせるようなもう一つの陳腐化理屈を振り回す財務省(大蔵省)とともに、「誤った経済政策論」の双璧をなしているわけです。かような経済似非理論は、既に海外の先進資本主義諸国では「失敗の経験」という実証を経て、今では見向きもされなくなっています。しかし、日本では愚かにも(こうした謬論をしきりに報道する)マスごみに感化された少なくない有権者・国民が、これまた戦前・戦争時の「ぜいたくは敵だ」「借金は悪だ」式の「家計の発想」で政府の経済政策・財政政策を受け止め、まんまと財務省や「アホノミクス」のゴマカシにたぶらかされてしまっているのです。私の一連の経済政策のプレゼンは、これに一矢報いて、ホンモノの経済政策(財政政策・金融政策)をみなさまにお示しするところに狙いがあります。

(*)ピンボケ金融論・金融政策論には2つの流れがあり、1つはマネタリズム(貨幣数量説)、あるいはマネタリストと言われるもので、これが市場原理主義アホダラ教に感化されて現代風にアレンジされ、屁理屈体系が形成されています。もう一つは、何とケインズ経済学から派生してきたそうで、それに同じく市場原理主義アホダラ教の影響が強くかぶさり、結果として「修正マネタリズム」のようになっている「リフレ派」というものもあります。いずれも彼らの言うことに騙されてはいけない連中です。ともに市場原理主義にアタマがイカれているからです(リフレ派は半分だけイカれている)。

なお、今回は時間の関係で私の話が十分丁寧に詳細にはできておりません。申し訳なく思っております。従いまして、このメールの最後に「補論」として、言い足りなかった点や補足説明を付記しておきますので、併せてご参考にしていただければ幸いです。なお、それら「補論」につきましては、次回の6/3の新ちょぼゼミの際にご説明申し上げます。みなさまには引き続き「新ちょぼゼミ」をどうぞよろしくお願い申し上げます。


(当日録画)20190509 UPLAN 田中一郎「現代の金融システム」 - YouTube
 https://www.youtube.com/watch?v=hn942mZSBn4

 <当日のレジメ:別添PDFファイル>
 当日(5/9)使いましたのは、主として下記の(1)(レジメ3)と(2)(予備的事項)です。(3)~(7)は、これまで財政政策の説明の際に使いましたが、今後も金融政策や経済政策総括の説明をする場合に再び使う予定でおります。

(1)(レジメ3)現代の金融システム(田中一郎 2019年5月9日)
ダウンロード - efbc88e383ace382b8e383a1efbc93efbc89e78fbee4bba3e381aee98791e89e8de382b7e382b9e38386e383a0efbc88e794b0e4b8ade4b880e9838e202019.5.9efbc89.pdf
(2)現代の金融制度と金融政策(予備的事項)(田中一郎 2019年5月9日)
ダウンロード - e78fbee4bba3e381aee98791e89e8de588b6e5baa6e381a8e98791e89e8de694bfe7ad96efbc88e4ba88e58299e79a84e4ba8be9a085efbc89efbc88e794b0e4b8ade4b880e9838e202019.5.9efbc89.pdf
(3)(レジメ1)財政・金融政策を見定める基本(田中一郎 2019年3月14日)
ダウンロード - efbc88e383ace382b8e383a1efbc91efbc89e8b2a1e694bfe383bbe98791e89e8de694bfe7ad96e38292e8a68be5ae9ae38281e3828be59fbae69cacefbc88e794b0e4b8ade4b880e9838e202019.3.14efbc89.pdf
(4)(レジメ2)財政政策に関する関連事項(追加説明)(田中一郎 2019年3月28日)
ダウンロード - efbc88e383ace382b8e383a1efbc92efbc89e8b2a1e694bfe694bfe7ad96e381abe996a2e38199e3828be996a2e980a3e4ba8be9a085efbc88e8bfbde58aa0e8aaace6988eefbc89efbc88e794b0e4b8ade4b880e9838e202019.3.28efbc89.pdf
(5)財政政策に関する関連事項(追加説明:予備的事項)(2019年4月11日)
ダウンロード - e8b2a1e694bfe694bfe7ad96e381abe996a2e38199e3828be996a2e980a3e4ba8be9a085efbc88e8bfbde58aa0e8aaace6988eefbc89e4ba88e58299e79a84e4ba8be9a085efbc882019e5b9b4.4.11efbc89.pdf
(6)社会保障と税の一体改革とは何だったのか(植草一秀『月刊 保険診療』2019.1)
ダウンロード - e7a4bee4bc9ae4bf9de99a9ce381a8e7a88ee381aee4b880e4bd93e694b9e99da9e381a8e381afe4bd95e381a0e381a3e3819fe381aee3818befbc88e6a48de88d89e4b880e7a780202019.1efbc89.pdf
(7)資料スライドショウ用(第2回 2019.3.28)
ダウンロード - e8b387e69699e382b9e383a9e382a4e38389e382b7e383a7e382a6e794a8efbc882019.3.28efbc89.pdf


 <当日説明に使ったサイト>
(1)営業毎旬報告(3月31日現在) - 日本銀行 Bank of Japan
 https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2019/ac190331.htm/
(2)補完貸付制度 - 日本銀行 Bank of Japan
 https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/len_a/index.htm/
(3)準備預金制度とは何ですか? 超過準備とは何ですか? - 日本銀行 Bank of Japan
 https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/seisaku/b33.htm/
(4)準備預金制度における準備率 公表データ - 日本銀行 Bank of Japan
 https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/reservereq/junbi.htm/
(5)マネーストック統計のFAQ - 日本銀行 Bank of Japan(*)
 https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/faqms.htm/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(参考)政策委員会とは何ですか? - 日本銀行 Bank of Japan
 https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/outline/a07.htm/
(参考)日銀総裁って何をする人? ~その役割と日銀の組織について知る!:nikkei4946(全図解ニュース解説)
 https://www.nikkei4946.com/zenzukai/detail.aspx?zenzukai=107

*「マネーストック」とは「マネーサプライ」のこと(表現が変わった)



 (補足説明)
1.来たる国政選挙では経済政策が大きな争点の一つとなり、その際には「反緊縮・生活優先」の経済政策が「市民と野党の共闘」の大黒柱となるでしょう。戦争法制反対や憲法問題、脱原発、特定秘密保護法・共謀罪法反対、モリカケ問題の追及、安倍内閣閣僚の資質追及などだけでは、国政選挙に勝利することが難しいことは、既にこれまでの何度かの国政選挙で明らかになっています。選挙で勝利するためには、私たちの日常生活に関連した経済政策事項を「アホノミクス」に対抗する形で、できるだけ骨太かつ具体的に打ち出し、政権交代後はアベ自公政権よりもずっとずっと経済や生活の状態が、新政権の政治や政策や行政の改革によってよくなっていくであろうという期待感を形成していく必要があるのです。


2.その経済政策ですが、肝心な点は「反緊縮・生活優先」の財政政策と、それに関連した制度改革や、財政支出があまり伴わない経済成長ないしは経済安定化を促す仕組みづくりです。それは言い換えますと、個人消費の拡大を通じたデフレ経済からの脱却による景気浮揚と税収増で財源を確保しながら、国民生活を守り豊かにする経済・財政政策へと徐々に転換していくことです。もちろん、再生可能エネルギーの普及拡大を妨害しながら原発・核燃料サイクルに多額の税金を投入したり、アメリカの兵器を爆買いするようなおかしな税金の使い方も徹底して見直していくことになります。


3.また、税制についても、消費税増税どころか逆に5%への引き下げをはじめ、ほとんど税金を払わない大企業や富裕層を見逃すような不公正な税制を抜本的に改めることで、いわゆる大衆増税ではない形の「公正税収」の実現によって財源は確かなものとなっていきます(税制改正のあるべき方向性については、来月以降の「新ちょぼゼミ」でご説明する予定です:乞うご期待です)。


4.現時点での政府債務(国債等)1300兆円は、それに見合う政府の処分可能資産がその金額の半分くらいあり、また、日銀も460兆円もの国債を保有していますから、財務デフォルトのリスクはほとんどありません。累積財政赤字や発行済国債の残高だけを強調して財政危機を煽る扇動に騙されてはいけないのです。そして、日本政府の財政がまだ余裕のあるうちに、この財政を活用して「生活優先型」の財政政策=つまりは個人消費拡大をもたらす政策を展開することにより景気浮揚を図り、更に、経済成長ないしは安定化を促す仕組みづくりを組み合わせることで、デフレ経済からの脱却を図るのです(例:第二次地方分権改革と公務員増員、あるいは農林水産業や地場産業の再生・復興による地域振興・地方経済再生の政策など)。消費税税率の10%への更なる引き上げなどもっての外です。


5.反緊縮と「生活直結政策」積極主義の経済政策は、これからの「市民と野党の共闘」の「共通政策」(共通マニフェスト)とすべきです。そして、およそ経済政策に限らず、2013年以降、7年近くにわたりアベ自公政権によって積み上げられてきた「反国民的」で危険な様々な政策をいったんアンワインドし、改めて1から、それらの在り方を議論し、少しずつ「痛めつけられた日本」を修復していかなければなりません。「安倍政権違憲立法並びに反国民立法一括廃止法案」を政権交代と同時に即座に可決成立させる必要があるのです。

(参考)2019/5/6 希望ある経済政策が見えてきました!「99%フォーラム」の学習成果を一枚の図に
 https://99forum.jimdofree.com/


6.経済政策において金融政策は、当分の間は黒田日銀の行った「マイナス効果しかない異次元緩和」を直ちに停止し、そのアンワインドを慎重に行っていくことが「市民と野党の共闘」の課題となります。金融政策は、金融緩和を正常なものにして、あとは上記の財政政策その他の政策実施の邪魔にならないよう、おとなしくしていればいい、ということです。


7.その金融政策について、5/7の「現代の金融システム」(金融制度)に関する私の説明の舌足らずな点を下記に補足しておきます。参考にしていただければ幸いです。

(1)現代資本主義経済では、貨幣の供給は民間銀行の信用創造(新規貸出)によってなされます。事業者(法人・個人)に貸出を行った銀行は、自行内にある事業者の預金口座に貸出金相当額を入金記帳するのです。これにより、新たな貨幣(預金通貨)が生れます(逆に預金口座を引き落として貸出を返済しますと、その金額だけ貨幣=預金通貨は減少するのです)。一般的に貨幣の供給(マネーサプライ)が多いときは景気がいい時であり、また、景気が良ければ投資需要が旺盛ですから、銀行の貸出が伸びて預金通貨がたくさん生まれます。つまりマネーサプライと景気は表裏一体であることが多いのです(スタグフレーションなどの例外もあります)。

(関連)貨幣の種類:M1、M2、M3
 日銀は、貨幣の種類をその流動性に着目して、上記の3つに区分しています。
 https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/faqms.htm/

(2)現代資本主義社会で、商品取引や資本取引の決済に使われる貨幣は、そのほとんどが預金通貨であり、現金(日銀券)が使われることはほとんどありません。そして、その決裁の仕方は、次の3種類に大きく分類できます。(通貨のうち預金通貨が80~90%を占めています)

<1>取引の当事者が同じ銀行に預金口座を持っている場合は、その銀行内の口座振替で決済される

<2>取引の当事者が別々の銀行と取引している場合には、銀行送金(全銀内国為替システム)または手形・小切手の支払いで決済される。そしてそれは、前者の銀行送金であれば、全銀内国為替システムにおける各銀行の仕向け送金・被仕向け送金の差額(内国為替尻)が、日銀内の各銀行の口座振替で決済され、後者であれば、手形交換所の「交換尻」が同じく日銀内の各銀行の口座振替で決済される。

<3>国際間の取引はコルレス契約を結んだ各国銀行間の決済に伴う短期与信に基づいて通貨ごとに口座振替で決済される。

(3)日銀は民間銀行が野放図に貸出を行って預金通貨を増やし過ぎないように様々な金融政策を行っています。その1つに「準備預金制度」というものがあり、民間銀行は預かった預金の一定割合を日銀に預けることが義務付けられており、これにより、民間銀行の貸出純増には一定のブレーキがかかるようになっているわけです。このことを逆にとらえると、民間銀行は日銀に預けてある金額に「預金準備率」の逆数を掛けた金額まで貸出を行うことができることを意味します。

つまり、民間銀行から見ると、日銀に預けてあるカネは新規貸出の元ガネのようなものなのです(例えば、預金準備率が1%だとすると、100億円の日銀預け金があれば、その100倍まで(1%=0.01=1/100の逆数は100です)貸出ができるということを意味します)。この民間銀行の日銀への預け金は、その何倍・何十倍もの新規貸出=預金通貨の供給源になるということで「ハイパワードマネー」とか「マネタリーベース」とか言われています。そして、その民間銀行による日銀への預け金が、今現在は430兆円と巨額になっているのです。

(4)「黒田バズーガ」の異次元緩和をやっている連中は、この「ハイパワードマネー」を増やし長期金利を下げれば民間銀行貸出が伸びて景気が良くなる、物価が上昇してくる=そもそも物価は貨幣的現象だから通貨を増やせば物価が上がる、と思い込んでいるのです。だからその「ハイパワードマネー」を増やすために民間銀行から国債を買いオペにより買い集め、日銀のブタ積み預金を山積みにしました(430兆円)。それを元にして民間銀行の貸出が増えることを期待したわけです(あるいは金利が下がることにより、事業者の投資や消費者の消費支出が増えることを期待した)。

しかし、その結果は現実から見事に裏切られています。民間銀行貸出は景気が悪くて投資マインドが冷え切り資金ニーズがないことに加え、大企業を中心に企業が460兆円もの内部留保を抱えていますから、仮に設備投資などをするにしても銀行から借入する必要がないのです。金利が低いことなどはほとんど影響ありません。消費支出も誤った政治や政策が生み出した生活不安の広がりで縮む一方です。つまり異次元緩和などはクソの役にも立っていないということです。それは1990年代末から超金融緩和・異次元緩和とやってきて、ちっとも経済がよくならないことを素直に観察すれば、誰にでもわかることです。それを彼らは「まだまだ緩和が足りない」と踏ん張っていて、自分たちの政策の根本的な誤りを認めようとしないのです。

注:現代経済では、貨幣供給量のコントロールは、預金通貨も現金も間接的にしかできません。もちろん日銀が輪転機を回して紙幣を印刷し、それを意のままに供給しているわけではないのです(いわゆる「ヘリコプター・マネー」ではない)。しかし、今日の経済学者たちの多くは、マネーサプライを政策的にコントロールできると思っている者も少なくなく、まずもって経済政策・金融政策を論じるその前提の、現代の経済金融制度の認識がきちんとできていないと言ってもいいと思われます。

(5)さて、それで、現在の経済政策のリスクの所在は、国債発行残高の1300兆円という巨額な金額にあるのではありません。これを家計と同じように考えて、財政破たんする・国債残高が巨額だなどと、財政危機を煽るのは間違っています。日本の財政の現状は、まだ余力が十分に残っているのです。実は今日の経済政策に伴う問題のリスクは以下の3つにあります。特に<3>については財政政策関連のリスクですので、5/7の説明ではお話しておりませんが、強く意識をしておいていただきたいことです。

<1>日銀に銀行が預けているブタ積み預金430兆円が動き出すリスク
<2>何の役にも立たない異次元緩和でも足りないと「マイナス金利政策」にまで踏み込んだこと
<3>毎年毎年、単年度の財政赤字=2桁兆円の赤字国債の発行が巨額で、こういう財政運営を未来永劫続けることはできないこと

(6)上記<1>については、民間銀行貸出は経済情勢が変わらない限り増えそうにありませんし、銀行自身が日銀のブタ積み預金を引き出して国内外に積極投融資することも考えにくいので、さしあたり、大きく動き出すことは考えにくいです。しかし、かような日銀の民間銀行からの預かり金を巨額のままにしておくのは潜在的には危険ですから、今のうちに、少しずつ減らしていく算段をしなければいけません(いわゆる「出口政策」)。

上記<2>のマイナス金利は、地銀を含む中小金融機関の運用手段を奪い経営不振に追い込みますし、更に、公的年金や企業年金などの運用手段をも奪うことで、社会保障制度の運営にも悪影響を及ぼします(公的年金が株式などのリスク運用を巨額な金額で行っています=非常に危ない)。百害あって一利なしですから、直ちにやめるべきものです。

上記<3>は、まさに常識的な話で、2桁兆円の赤字国債発行を前提とするような財政構造が、未来永劫いつまでも続けられるはずもありません。つまり、日本政府の財政は、ストックベースではそれほど危機的だとまでは言えませんが、フローベースでは危機の状態が常態化しており、この構造は何とかチェンジしなければいけないということです(単年度黒字化をしろという意味ではありません)。しかし、これを目先の税収を追いかけて、消費税増税で解消する、というのはいけません。景気腰折れで、国民生活が悲惨化する中での税収減少という逆効果をもたらす可能性があります。


8.最後に、政府の財政政策について、再度下記を確認しておきます。わが国では、どうも財務省の理屈に引きずられたマスごみ報道の影響を受けて、依然として政府財政と家計とを同じように見る人が後を絶ちません。まず、政府の経済政策(財政政策)を評価する場合には、政府財政と家計とを峻別して考えてください。そして、むしろ家計と財政は「逆のパフォーマンス」であると認識をしていただきたいと思います。しかしそれは、今注目され始めているMMT(現代貨幣理論・現代金融理論)のように、自国通貨建ての国債なら、どこまでも青天井に発行してかまわないというものではありません。「財政均衡主義」の世俗版のような「家計発想」と、MMTのような「赤字国債青天井可能論」という2つの両極端を、まずは排除してほしいと思います。

(1)財政はあくまで国民生活をよくするための手段であって、それ自体が目標にはならないし、目標にしてもいけない。

(2)従って、財政赤字の解消を金科玉条の最高位の目標に置き、国民生活そっちのけで消費税増税に走るなどという政策は本末転倒である。

(3)国債は絶対に返済・償還しなければならないというわけではなく、また、少なければ少ない方がいい(借金は敵だ)というわけでもない。

(4)国債は保有する方から見れば一種の貯蓄手段であり、貯蓄と投資を結ぶ金融ツールでもあるので、アプリオリに国債=悪という認識は誤りである。

(5)ポイントは、国民経済のありようと国債発行状態(ストックとフローの両面)とのバランスの問題であり、また、そのバランスは一時的ではなく長期にわたり安定していなければいけない。

(6)財政赤字状態の改善は、単純直接増税よりも、個人消費増進などによるデフレ脱却・景気回復を促した上での税収増による間接的な改善の方が、国民生活の破壊を伴わず、スマートな形で事態の完全を図ることができる。

(7)財政状態如何よりも上位にある目標である国民生活の改善を図るには、財政支出の量の問題だけでなく、財政支出の質の問題も問う必要がある。繰り返しになるが、米製兵器の爆買いや軍備拡張、原発・核燃へのテコ入れ、ダムや高規格道路やハコモノの乱建設など無駄な公共事業、一過性の巨大イベント、国民資産の民間企業への投げ売り・払下げ、などなど、安倍政権・自公政治が勝手気ままに展開してきた財政支出のデタラメな内容を徹底して見直すこともまた、財政赤字のリスクを軽減して国民生活優先の政策を展開していくための重要な財源づくりの一つであることを強調しておきたい。


(5/9の私の話が分かりにくかったという声が複数ありましたので、上記に少し説明をさせていただきました。長くなってしまって申し訳ありません。話をあまりに短く端折ってしまいますと、かえってわかりにくくなり、情緒的に判断しがちなので、できるだけ説明は丁寧にと思っております。次回以降の「新ちょぼゼミ」では質疑応答の時間も取って、みなさまにできる限りご理解いただけるよう努力したいと考えております。:田中一郎)
草々 

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