(他のMLでの議論です)経済政策と税制をめぐる議論です(その2):(最低賃金問題)ロスト・ジェネレーション世代をどう救済し、どのように正規職員としての職場を用意するかが日本経済最大の問題だ
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.新ちょぼゼミのご案内(ちょぼちょぼ市民のためのちょぼちょぼゼミナール)
(1)(4.11)オルタナティブな日本をめざして(第26回):「なぜ原発の再稼働は認められないのか-原発の仕組みから安全性の根拠を問う-」(新ちょぼゼミ:後藤政志さん)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/26-6266.html
(2)(予約優先)(5.9)オルタナティブな日本をめざして(第27回):「教育勅語と道徳教育」(前川喜平さん)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/27-b2fe.html
(3)(6.3)オルタナティブな日本をめざして(第28回):「容量市場と容量メカニズム:老朽化原発・石炭火力の経済的延命策か!?」(松久保肇さん:原子力資料情報室)いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/28-1e87.html
(4)(6.24)オルタナティブな日本をめざして(第29回):「今さら聞けない「遺伝子組換え」と「ゲノム編集」(基礎編)」(天笠啓祐さん:科学ジャーナリスト)
(5)オルタナティブな日本をめざして(第30回):「福島原発事故と初期被ばく」(榊原崇仁さん:東京新聞特報部)
(上記2つの時間(午後6時~9時)と場所(水道橋のたんぽぽ舎)はいつもの通りです)
2.賛同署名フォーム - 大学の危機をのりこえ,明日を拓くフォーラム
http://univforum.sakura.ne.jp/wordpress/signatureform/
(関連)設立趣旨(社会への呼びかけ) - このフォーラムについて - 大学の危機をのりこえ,明日を拓くフォーラム
http://univforum.sakura.ne.jp/wordpress/aboutus/charter/
(関連)大学の危機をのりこえ,明日を拓くフォーラム - 「大学の現実」を率直に見つめ,明日に向かって確実に歩むための道をじっくりと探り,社会に発信していきます.
http://univforum.sakura.ne.jp/wordpress/
3.福島原発刑事訴訟支援団:キャンペーンについてのお知らせ · 最終締切(4月20日)まであと3週間です。 · Change.org
http://qq1q.biz/OVcn
4.異質で異様 そして不可解な大阪ダブル選 問われる有権者の冷静な眼 ハーバービジネスオンライン
https://hbol.jp/188944
5.“裏切り者”の代名詞に…小早川秀秋が関ヶ原で見せた阿呆さ|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/250530
(今の日本にも小早川秀秋の「生まれ変わり」のようなのがいます。国民民主党にる前原誠司とかいうトンチキ政治家です。こいつのおかげで関ヶ原の合戦時の西軍のようだった野党第1党の民進党は「解体」となりました。戦国時代の小早川秀秋と同様、タヌキ(徳川家康)に騙される点も似ています。ただし、前原誠司の場合は「権力すり寄りハラグロ女タヌキ」(小池百合子)ですが。小早川秀秋も早死にしたように、現代の前原誠司も、その女ダヌキとともに、政治的に早死にしていただきたし。:田中一郎)
6.「いちろうちゃんのブログ」より
(1)(報告)(3.14)新ちょぼゼミ:財政・金融政策を見定める基本(御用経済学者・忖度経済学派を見分けるコツ)(その1)(田中一郎 2019年3月14日)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/2019314-e86f.html
(2)(報告)(3.28)新ちょぼゼミ:財政・金融政策を見定める基本(御用経済学者・忖度経済学派を見分けるコツ)(その2)(田中一郎 2019年3月28日)- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-467f.html
(3)(NEW!)広瀬隆さん「テレビ報道の深刻な事態」&昨今の放射線汚染・被ばくレポート(保存用)+ みなさまの力で真実報道ジャーナリズムを支えてください- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-43f7.html
(4)絶望的とも言うべき政局:これでは原発も、戦争法制も、その関連法制も(共謀罪・秘密法・盗聴法他)、沖縄も、市場原理主義経済政策やTPP等も、霞が関官僚や司法・裁判所の体たらくも、変わらない- いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-0b0b.html
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他のMLでの「最低賃金(制度)」の在り方の議論を拝見していましたら、いろいろと考えているうちに、このメールの表題のような結論に至りました(ロスト・ジェネレーション世代をどう救済し、どのように正規職員としての職場を用意するかが日本経済最大の問題だ)。私は「反貧困」の運動に参加したことはありませんので、こうした問題についての「実体験」のようなものはありません。また、労働法制や労働問題についても門外漢ですので、下記に申し上げることは問題解決にとっては少しズレているかもしれません。実際問題として、書いていて何となく空しいというか、物足りないというか、何かが欠落しているような気がしてなりません。
(関連)ロストジェネレーション(ろすとじぇねれーしょん)とは - コトバンク
http://qq1q.biz/vUiF
しかし、福島第1原発事故以降、新聞や雑誌や図書やインターネットなど、労働問題や貧困・格差の問題も含めて、多くの問題について文献や情報を目にしてきましたが、しかし、ロスト・ジェネレーション世代(だいたい現在の年齢で35歳~45ないし50歳くらい:団塊ジュニア)を本気で救済し、生活再建と自立を実現し、何よりも正規職員として活躍できる場を保障しようという、総合的な対策を論じたものは、あまり目にした記憶がありません。不勉強なのかもしれませんが、私は、日本の「世直し」勢力が今日に至っても、まだこの「ロスジェネ問題」を本気できちんと総合的にどうするかを検討していないのではないかと見ています(そうした検討があればご紹介ください)。
しかし、です。おそらくは数百万人~1千万人を超えるであろう、まさに働き盛りにあるこの人々を、今のまま非正規の職場で、不当に劣悪な労働条件や低賃金で働かせ、貧困と生活苦の中に放置していて本当にいいのか、ということです。彼らにはもちろん貯蓄や蓄えはありませんし、福利厚生(フリンジベネフィット)も供与されていませんから、このままいくと、高齢化して無年金者、ないしは生活保護水準以下の低額年金者となっていくであろうことは目に見えています。いや、それどころか、そのずっとずっと手前で、ケガをしたり病気をしたりすると、まともに医療も受けられず、命にかかわる事態となるのではないですか。そんな非人間的な境遇を、この日本で許しておいていいのでしょうか?
私は、ロスト・ジェネレーション世代の老後のことを考えただけでも、今何とかしておかないと、近い将来大変なことになるような気がしています。おそらくは生活保護受給申請に人が殺到することになるでしょうから、財政負担は巨額になっていきます。また、こうした貧困や格差、あるいは非人間的で劣悪な労働現場ないしは苦しい生活を日本社会に大量に放置しておくことは、社会不安やギスギスした対立関係や、たくさんの不幸や、場合によっては排外主義的なファシズム的政治までもを醸成してしまうように思えます。そして悲しいことに、この貧困と格差は世代を経て継承・相続されていき、やがて(貧困と格差が)「固定化した新階級社会」のようなものを生み出していくでしょう。
つまり、ロスト・ジェネレーション世代問題を「他人事」として見ていると、今度はあなたが、私たちが、あるいは子どもや孫たちが、ロスト・ジェネレーション世代の仲間入りを余儀なくされていくということを意味しているのです。同じ国に住み、同じ国民経済活動の中にいて、何ゆえにかような理不尽に翻弄される人々がいるのでしょうか。日本経済というか、日本資本主義というか、日本企業社会というか、それに踏みつぶされる人々が大量に発生し、それに対して根本的な対処政策がいつまでたっても出てこない、そんな状態が今日の日本であるように思えます。最低賃金の水準やあり方だけを考えるのでは「足りない」でしょうし、社会保障・福祉だけでこの巨大な人口の塊であるロスト・ジェネレーション世代を支えていくというのも難しいと思います。社会保障・福祉は、あくまでその基本を「セイフティネット」と位置づけ、基本はそれぞれの人々が、それぞれの活躍と社会参加の場をもって、日々の生活を送り、協力共同し合って人間らしい営みを続けていくということではないでしょうか。
そう考えた時、私は日本の今日の経済政策は、徹底して「なってない」と思います。個々の経済政策1つ1つも「なってない」のが多いのですが、それ以上に、ロスト・ジェネレーション世代や貧困老人、あるいは子どもの貧困など、19世紀的経済現象が広範囲に深刻な形で現れてきているにもかかわらず、これに対して「総合的・抜本的」な対策・対応を考える人間が、全くと言っていいほどいないのですから。「構造改革」を自称するのなら、この「ロスジェネ問題」こそを日本経済の「構造問題」としてとらえ、その解決に全力を尽くすべきです。
本来その役回りを受け持つべき経済学者どもは、いつまでたっても市場原理主義アホダラ教にアタマがイカれていて、毎日毎日「寝言は寝て言え」と言ってもいいようなゴタクを繰り返し、政治家どもは1%のための政治に邁進して甘い汁を吸い続け、官僚たちも政治家に追随して根っこから腐りきって多くの有権者・国民の生活を踏みつぶすようなことを、ウソ・ゴマカシまでしてやり続けています。まさに「末法資本主義」が現実になっているわけです。
(関連)経済界(経済同友会・小林喜光代表幹事)、コンビニ問題で政府介入に疑問(日テレNEWS24) - goo ニュース
https://news.goo.ne.jp/article/ntv_news24/business/ntv_news24-424255.html
(かような言論や人物は「批判の嵐」にさらすべきです。こともあろうに財界のトップですよ。こういう連中が日本の大企業を牛耳るようになっていることが日本経済低迷の大きな原因の1つなのです。そしてロスト・ジェネレーション世代の不幸の淵源もこいつらです:田中一郎)
「ロスト・ジェネレーション世代をどう救済し、どのように正規職員としての職場を用意するかが日本経済最大の問題だ」という私のこのメールの表題は、そういう問題意識で書きました。経世済民の術である経済学・経済政策が、経済の面から不幸に追いやられ、資本に翻弄される人々を救済する・事態を改善する処方箋を書けなくてどうするのでしょう? ことは個別政策問題(たとえば最低賃金)にとどまりません。経済がもたらす矛盾と人間の不幸や困難を根本的に解決するには、経済や経済政策を「総合的に」考えるしかない、と私は思います。
以下、他のMLでの議論をご紹介いたします(一部加筆修正)。
<別添PDFファイル:参考資料>
(1)どうするロスジェネ救済(日刊工業 2019.3.15)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00509884
(2)団塊ジュニアの深刻な「20年後」、貧困から脱出する2つの提言(湯浅誠『週刊エコノミスト 2019.3.19』)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190319/se1/00m/020/023000c
(3)働き方改革の死角:政府の助成金利用 1割未満、氷河期世代 進まぬ支援(東京 2019.3.19)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201903/CK2019031902000143.html
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((1)は問題提起はよかったが対策がいい加減、(2)は具体策の主張が弱く消費税増税まで容認、(3)はまずまずの記事)
(4)働き方改革の死角:人への投資 惜しむ起業(東京 2019.3.26)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201903/CK2019032702000149.html
(5)働き方改革の死角:派遣実態聞き取りへ、パソナ時給下げ「法の趣旨反する」(東京 2019.3.27)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201903/CK2019032702000145.html
(6)働き方改革の死角:抜け穴 過重労働懸念(東京 2019.4.1)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201904/CK2019040102000139.html
(7)無期雇用申請の社員解雇、日立「事業縮小」を理由に(朝日 2019.3.27)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13951514.html
↓
(8)無期雇用申請社員巡り団交2回目、日立「今月解雇」変えず(朝日 2019.3.30)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13956817.html
(この経団連会長の企業は自分たちの不当労働行為に居直りを決めています。「Bye-Bye 売国・日立」ですね:田中一郎)
(5)⇒ パソナって、あの竹中平蔵さんの会社じゃないの? 東洋大学と竹中さんには皆さん怒ってますよ。
(【 若者が貧しくなる竹中政策!】東洋大学正門前抗議「Bye-Bye 売国 竹中平蔵!」竹中平蔵による授業に反対! ③ 2019-2-22 YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=-iLPdZyKmis
1.(最初にいただいたメール)低すぎる最低賃金が人手不足の真の原因
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190329-62907528-business-bus_all
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『日経ビジネス』ですら日本の最賃は低すぎるという論考を掲載しています。詳細は本誌でご確認ください。こちらは抄録です。日本の企業は賃金の安さに安易に依存しているという主張です。それは、日本経済にとってもよくないという指摘です。その通りかと思ってます。多くの労組の主張は、最賃時給1500円です。『日経ビジネス』でもそうです。ところが、日弁連は時給1000円の主張です。
「当連合会は、2011年6月16日付け「最低賃金制度の運用に関する意見書」等を公表し、毎年、最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明を発してきたところであり、早急に1000円に引き上げることを求めている。2020年までに全国加重平均1000円にするという政府目標を達成するためには、1年当たり50円以上の引上げが必要であるから、中央最低賃金審議会は、本年度、全国全ての地域において、少なくとも50円以上の最低賃金の引上げを答申すべきである。」
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2018/180411.html
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2011/110616_5.html
ビジネス誌以下の主張です。『日経ビジネス』の記事では、「中澤准教授の調査では、健康で文化的な最低限度の生活水準として想定した生活を送るには、時給にして1500円以上が必要だと分かった。」としています。そうすると、日弁連は「健康で文化的な最低限度」以下の最賃を組織として提言していることになります。これで人権擁護といえるのでしょうか。日弁連はこの軟弱な労働者の人権を無視した提言を猛省してほしいと思います。労働者の人権擁護どころか足をひっぱっています。
2.(2つ目のメール)「日弁連がまずは全国加重平均1000円と言い続けてきました」という反論に対して
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1500円が現在での生活費原則での最賃です。最低賃金審議会の実現可能性が考え方の基準ではありません。「1000円でよいと言ったたことは一度もなく」というのは、理解しがたい言い方です。日弁連声明にある「早急に1000円に引き上げることを求めている。」というのは、どのように理解すればよろしいのでしょうか。よくない基準に引き上げることを求めているということになります。「生活費原則からすれば最賃は1500円とすべきである。早急に1500円に引き上げることを求めている。」という提言をすべきなのです。
労働界、ビジネス界ですら最賃1500円と提言している中でとりあえずでも最賃1000円という提言はダメなのです。なぜだめかというと、それは生活費原則を満たしていないからです。『日経ビジネス』の記事はそれを指摘しているのです。日弁連が「早急に1000円に引き上げることを求めている。」のですから、この最賃1000円で健康で文化的な最低限度の生活が送れることを実証すべきです。基準はあくまでも、健康で文化的な最低限度の生活が送れることです。1000円への引き上げで生活費原則を満たしているのかどうか、そこを再考してください。提言とはできそうなことを語るのではなく、必要なこと、すべきことを語るべきなのです。それでこそ提言です。
韓国では最賃問題が零細事業者を直撃している側面はあります。しかし、韓国政府はクレジットカードの手数料の削減、人件費の補助などの中小・零細企業対策も実施してます。同時に、収入は増えての生活向上もありますが、そうしたプラス面は報道されません。日本的構造での問題として、コンビニでの人件費問題があります。ここにはまず、収奪的なフランチャイズ制度があります。労使関係として認められず団体交渉もできない、日本の労働法制の貧弱さがあります。
日本の人件費が上がらないのは、労働法制の弱さとそれを克服できない労働側の弱さがあります。首都圏大学非常勤講師組合の執行委員として毎週のように団交に臨んでいると実感します。雇い止め、賃下げが横行しています。また、賃金の低さだけでなく、逆累進的構造の国保料があります。この負担は多少の賃上げを相殺してしまいます。
生活費原則を考えるとは、収入マイナス支出で考えるということです。それが生活費です。負担構造も併せて考える必要があります。4月4日には日弁連のシンポの紹介をお願いします。どんな内容か楽しみにしてます。
3.(私からは下記を発信)最低賃金引上げその他の労働条件改善の取組は中小零細の経営支援とセット、そして・・・
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ご主旨に賛同します。
私は働く人たちへの支援や中小零細経営支援の具体策については、それほど詳しくはありませんが、いくつか挙げておきましょう。最低賃金引上げその他の労働条件改善の取組は中小零細の経営支援とセットで検討されるべきです。いずれの項目も具体策となると山のように課題がありますが、何一つ検討がされぬままに時間だけが過ぎています。
一方、中小零細企業の経営の苦しさは今に始まったことではありません。伝統的な原因は巨大企業による中小零細への「優越的地位の濫用」です。まずもって、これを徹底的に取り締まらなければいけません。もう一つは、大企業を中心に広がってしまった企業経営の市場原理主義=株主資本主義ないしは「一握り経営者の私物化資本主義」です。これを防止するには会社法改正が必要になります。少なくともステイクホルダー及びCSR尊重型の修正資本主義に転換させていく必要があります。
しかし、中小零細支援も有効な対策を早期に打っていかないと、私が認識するところでは、中小零細企業が毎年ドンドン廃業に追い込まれ、数が減っているという危機的状態ではないかと思います。特に地方がひどい。そして、申し上げるまでもなく、大量生産されている非正規労働とその疲弊、そして高齢化です。このままいくと、日本は数十年後に働くことのできない貧困老人を山のように抱えて、にっちもさっちもいかなくなる可能性があります。最大規模の日本経済危機が間もなくやってくるのです。
ともかく、いずれも「総合的に考えることが必要」、こうした日本経済再生プランをまとめて当会で発表してはどうかと思います。下記はあくまで例示で、書いていて不十分さを感じます。そして、こうしたこともいくつかでも実現するためには、ホンモノの政権交代が必要です。安倍政権や自公政治では、絶対に実現することはありません。
<1>共通政策:これにより労働者及び中小零細への支援政策のための財源を確保
(1)消費税税率引き上げの中止と、まずは5%への引き下げ、更に奢侈品物品税への移行(付加価値税の廃止)
(2)法人税および所得税の改正(法人税はさしあたり租税特別措置の見直し(研究開発減税や損失繰越などに上限、受取配当金に課税他)、所得税は金融所得の源泉分離の廃止=総合課税化、大口納税者に「マルサ」担当を張り付けなど)
(3)タックスヘイブン退治(強制連結課税、タックスヘイブン否認の法理(同族会社に対する法人格否認の法理のようなもの)他)
(4)非居住者の国内源泉所得への課税(課税主権の行使)
(5)巨額の納税回避行為や脱税への厳しいペナルティ(インチキ3倍取りで「抑止効果」)
<2>反貧困(ワーキングプア解消)を含む労働条件改善のための施策
(1)労働法制抜本改革(非正規労働の段階的非合法化=派遣法といびつな請負、およびフランチャイズなど その他課題山積み)
(2)公契約法(全国一律で制定)と非正規への社会保険の義務化
(3)失業保険制度、および職業あっせんの拡充
(4)最低賃金制度の改善(全国一律の最低賃金、最低賃金の3年で1500円/時への引き上げ)
(5)公営住宅の拡充
(6)「地方振興公社」(仮称)の創設と中高年ワーキングプア層の正規公務員としての大量採用(数十万人から数百万人の規模)
(7)生活保護制度の抜本改善と受給資格者全ての方々に支給実現を(申請時の「いやがらせ」ルールの撤廃など)
<3>中小零細企業(農林水産業を含む)への支援政策
(1)中小零細企業取引適正化法の制定:「優越的地位の濫用」に対する厳しい罰則と監視(内部告発制度や公正取引委員会に専門部署を外部人材を入れて創設など、告発対応制度を整える)
(2)中小零細企業の事業承継支援
(3)中小零細企業・自営業の新規起業支援
(4)地域商店街など、中小小売りへの支援と卸売企業(食品卸などは独禁法を適用し企業分割が必要か?)への支援をセットで展開、また、大店法に「地域独占」の概念を入れ、更に、市街化調整区域内での開発行為の厳重な抑制により、野放図な出店を規制する。
(5)中小零細への財政支援は、ザル制度にしない、ゾンビ・反社会的企業などの支援とならぬようにする、など、具体策となるとなかなか難しい=投じる財政規模の費用対効果もよく考える必要があるし、また、投じられた財政資金の資金使途に対する縛りも重要
(6)社会保険の掛け金を税金とし、中小零細の掛け金負担を緩和・大企業の掛け金を重くし、全体最適をはかる
(7)上記「地方振興公社」からの(低コスト)人材派遣
(8)中小零細職員に限定した福利厚生施設の公的提供
(9)無利息融資の拡充(金額、超長期など)
(10)消費税廃止は中小零細にとっては強力な経営支援
(11)農林水産業に対して競争政策から保護育成政策へと転換
<4>会社法改正
申し訳ありませんが具体策については知識が及びません。10年以上前に読んだ会社法関連文献の記憶では、日本の会社法はアメリカの会社法をチェリーピッキング(いいとこどりのご都合主義)した、経営者会社私物化法のようになっている印象です。抜本改正が必要だと考えています。組合法などの法人関連法を含む会社法における「規制緩和」の市場原理主義アホダラ教は目に余ります。
<5>コンビニ人手不足6割 経産省調査、異例の是正要請 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42928970W9A320C1EE8000/
(一部抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(中略)経済同友会の小林喜光代表幹事は26日の記者会見で「国家が企業の行動に対してあまりに関与するのはいかがなものかと思う」と述べ、企業の選択の問題だと指摘した。
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(こういう連中には国民的な批判の集中砲火を浴びせる)
(追)日本弁護士連合会の「最低賃金1000円提言」などは無意味。おっしゃる通りで、昨今の日本の法曹界の体たらくを象徴するものの一つとして受け止めておけばいいでしょう。なお、上記のうち、まずは「税制の抜本改革の方向性」に関しては、私の新ちょぼゼミで取り上げる予定です。是非、いらしてください。
4.(いただいた3つ目のメール)ひとつ気になっていることがあります。
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法律改正も必要な点は多々ありますが、その前に、法律が活かされていない現実があります。
「元部長は、高橋さんに違法残業をさせたとして労働基準法違反容疑で2016年12月に書類送検され、東京地検が17年7月に不起訴とした。一方、法人の電通に対しては、検察から略式起訴を受けた東京簡裁が異例の正式裁判を開くことを決め、17年10月に罰金50万円の有罪判決を言い渡し、刑が確定している。高橋さんの母、幸美さんは判決後の同12月に検察審査会に申し立てた。その後、今年1月の会見で、元上司が高橋さんに「君の残業時間は無駄だ」「女子力がない」などと述べたとされるのを批判。「悪質な上司の行為を罰することは労基法順守、職場改善、過労死防止のために重要だ」と主張していた。」
結局、上司の刑事上の罪は問わず、法人たる電通に罰金50万円を科して一件落着です。業務上過失致死と思わせる事件でも、罰金で済んでます。これでは、従業員が死んでも50万円で済みますよ、と司法がアナウンスしているようなものです。
労働基準法の違法残業の罰則は、法律上「6か月以下の懲役か30万円以下の罰金」です。昨日、労働問題に詳しい弁護士数人と食事をしていて、労働基準法で懲役刑とはあったのかと問うと聞いたことがないという返答です。つまり、労働基準法はあってもその適用は緩くざる法となっているのです。使用者側に大甘な適用で、結果的に労働者を苦しめています。この論点も是非強調してほしいものです。
5.(私の返信)おっしゃる通りだと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
労働法の世界が無法地帯であるのと同様に、原発や安保・防衛の世界もまた、無法地帯です。原発に至っては裁判所までがそれを追認しています。裁判所がヒラメの養殖場です(昨今ではクソ判決ばかりを出すので「クソダメ」「ドツボ」の方が適切な表現です)。
福島原発事故の国の責任をまたしても認めなかった千葉地裁、先般の原発損害賠償訴訟の千葉第2陣の判決結果概要をまもなく送ります。ヒラメどころか、同じ千葉地裁での第1陣判決を出した先輩裁判官に対して、それを覆す判決は出せないと忖度して出した「仲良し仲間」判決だ、とのもっぱらの評価です。バカバカしいったらありゃしない。これは近未来において、裁判官を裁く弾劾裁判を国会でやらないといけません。
日本の法曹界は弁護士も含めてボロボロですが、でも、原発関連裁判で頑張ってくださっている少数ながらも立派な弁護士さんたちもいることも付記しておきます。
<関連サイト>
(1)悪夢の平成、次もまた悪夢 新元号で浮かれている場合なのか(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/848.html
(2)安倍首相「内定率は過去最高」はいいトコ取りの目くらまし(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
http://www.asyura2.com/19/senkyo258/msg/842.html
(3)今の生活保護費は「健康で文化的」か?良識問われる厚労省の新検討会 (ダイヤモンド・オンライン) https://web.smartnews.com/articles/fKUyKfTwzef
(4)東京の「生活保護」はまったく機能していない - 貧困に喘ぐ女性の現実 - 東洋経済オンライン - 経済ニュースの新基準
http://qq1q.biz/Q2Vj
(5)時代錯誤の検証で年金改革を遅らせるな 「100年安心」の落とし穴、見落とされる非正規労働者 WEDGE Infinity(ウェッジ)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15648
(6)平成は大転落の時代 日本経済をダメにした戦犯首相は誰か|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/249982
(7)フルタイム平均月給30.6万円 過去最高 正・非正規、格差拡大 18年賃金統計 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190330/k00/00m/020/159000c?fm=mnm
(8)「働き方」改革 あすスタート さらば、平成の過労働 - 琉球新報 - 沖縄の新聞
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-896598.html
=============================
(追)中高年ひきこもり若年層超え 男性76% 7年超46% 61万人 内閣府推計(東京 2019.3.29夕刊)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201903/CK2019032902000320.html
(関連)ひきこもり100万人、内閣府調査 61万人は中高年(毎日 2019.3.30)
https://mainichi.jp/articles/20190330/ddm/001/040/127000c
(関連)クローズアップ2019:ひきこもり高齢化、深刻 就活失敗、抜け出せず - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190330/ddm/003/040/121000c?fm=mnm
(関連)ひきこもり、長期・高齢化顕著に、支援急務 「8050問題」深刻化も - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190329/k00/00m/040/358000c?fm=mnm
(関連)中高年ひきこもり「相談したい」半数が回答、親亡き後に困窮 - 琉球新報
https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-895958.html
(関連)定年退職、専業主婦も…ひきこもり多様な姿 問題の根深さ示す - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190329/k00/00m/040/080000c?fm=mnm
(田中一郎コメント)
「引きこもり」などと表現すると、何だか「引きこもっている」人間の方に問題がありそうなニュアンスが強いけれど、そうじゃないんじゃないの? 日本経済というか、日本資本主義というか、経済のありように翻弄された結果、身動きが取れなくなってしまっている、というのが実態ではないのかな。ならば「引きこもり」などといういい方はやめて、「貧困状態あるいは困窮状態への押し込め」「封鎖された生活空間」「無縁貧困社会」「コミュニティ崩壊下のアトム化」「孤立無援の境遇」「透明化される困窮」などと表現すべきでしょう。
そして、その大きな原因の一つが、下記のような政治・行政による犯罪的経済政策にあることを忘れてはならないのです。大半の「引きこもり」に「自己責任」など「ない」と見るべきです。(2009年の民主党政権は、自民党政権がカットした生活保護の「老人加算」の復活を公約に反して行いませんでした(「母子加算」だけを復活)。しかし、この「老人加算」は主として冠婚葬祭を含む老人の交際費に充当されていたもので、この結果、生活保護の老人は外出経費を失って「家に引きこもらざるを得なくなった」と言えるでしょう。)
*(別添PDFファイル)物価偽装に関する研究者声明(宇都宮健児『週刊金曜日 2019.3.29』)
http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/002777.php
(一部抜粋)
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(中略)研究者声明では、毎月勤労統計問題以上に生活保護の給付水準の決定に際して厚労省による悪質な意図的操作が行なわれており、統計法3条2項の「公的統計は、適切・かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならない」という公的統計の基本理念・大原則を疎かにしていると指摘している。
生活保護制度の生活扶助基準は、2013年8月から15年4月まで段階的に引き下げられたが、削減率(最大10%)も総削減額(670億円)も史上最大であった。削減額の約9割を占める580億円は、物価下落の考慮すなわち「デフレ調整」によるものであった。
(中略)研究者声明は、厚労省の「物価偽装」ともいうべき統計の濫用について、第三者による検証、これを根拠とする生活扶助基準引下げの撤回、不利益を受けた低所得者の被害回復、などの措置をとることを強く求めている。研究者声明の指摘は、きわめで的を射た指摘と言える。
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(田中一郎コメント)
私も「研究者声明の指摘は、きわめで的を射た指摘と言える」と思います。特に「第三者による検証、これを根拠とする生活扶助基準引下げの撤回」だけでなく、「不利益を受けた低所得者の被害回復、などの措置をとること」としているのは非常にいいと思います。唯一点、私が抜けていると思うのは、更に、こうした不正操作を行った厚労省官僚たちの責任者を厳重処分するとともに、統計法違反で刑事告発すべきだという点です。そうしませんと、霞が関の官僚たちは、また同じことをすると思います。やっても罰せられないんだから、またやればいい、とばかりに、です。
(関連)(別添PDFファイル)厚労省の物価下落率「偽装」、生活保護以外にも被害(東京 2019.2.28)
http://inabatsuyoshi.net/2019/03/05/3418
(関連)(別添PDFファイル)危機の統計(1):生活保護削減「手荒な算定」(朝日 2019.3.18)
http://qq1q.biz/3aVJ
(重要サイト)生活保護費大幅削減のための物価偽装を暴く
http://hinkonkakeiken.com/
*生活保護削減のための物価偽装を糾す!ここまでするのか!厚労省-白井康彦/著 森永卓郎/対談(あけび書房)
http://qq1q.biz/S0Om
草々
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