(他のMLでの議論です)経済政策と税制をめぐる議論です(その1)
前略,田中一郎です。
(最初に若干のことです)
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1.イベント情報:新ちょぼゼミ他
(1)(3.28)オルタナティブな日本をめざして(第25回):「「放射線安全神話」とわたしたちの放射線教育:学校現場から」(新ちょぼゼミ:根岸富男さん)- いちろうちゃんのブログ
(2)(4.11)オルタナティブな日本をめざして(第26回):「なぜ原発の再稼働は認められないのか-原発の仕組みから安全性の根拠を問う-」(新ちょぼゼミ:後藤政志さん)- いちろうちゃんのブログ
(3)(4.2)少人数読書会『民主党政権失敗の検証』(中公新書)
東京都中央区の明石町区民館で4月2日(火曜)午後6時より、標記図書の読書会を行います。今回は第5章の「子ども手当」です。まだ若干名の参加が可能ですの、様子を見に来られる方も歓迎です。是非いらしてください(今現在13名の参加)。
●東京都中央区明石町区民館
2.キャンペーン
(1)【緊急署名 3-31〆切】除染作業員の権利を求めます:グリーンピース
(2)キャンペーン · 武器より暮らしを❗️防衛費を増やすよりも、教育と社会保障に予算を振り向けて下さい❗️ · Change.org
(3)キャンペーン · 反原発・かごしまネット- (3号機増設の事前着工の重大な疑義に伴い)川内原発3号機増設計画を白紙に戻してください · Change.org
(4)キャンペーンについてのお知らせ · 森林環境税 27562筆の全国署名と要望書を総務大臣宛に提出!! · Change.org
3.<愚>原発温存政策が相次いでいます:ホンモノの政権交代で政治を変えないと、この流れは止まりません
(関連)原発支援へ補助制度案 経産省、2020年度創設めざす:朝日新聞デジタル
(関連)「原発安い」矛盾あらわ 「支援ないと継続困難」 補助制度案:朝日新聞デジタル
●(6.3)オルタナティブな日本をめざして(第28回):「容量市場と容量メカニズム:老朽化原発・石炭火力の経済的延命策か!?」(松久保肇さん:原子力資料情報室)- いちろうちゃんのブログ
(関連)国民民主党議員が再稼働要望:朝日新聞デジタル
(一部抜粋)
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電力会社の労働組合「電力総連」など産業別労組3団体が19日、国民民主党の衆参5議員とともに世耕弘成経済産業相に会い、原発再稼働の推進を求めた。国民民主党は先月、今夏の参院選の公約に「原発ゼロ社会の実現」を盛り込む方針を決めたばかりだ。原発ゼロを鮮明にする立憲民主党などとの共闘に、一部の議員が冷や水を浴びせた形だ。
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(かような政党に期待をして投票をしても、何も変わらない、ということは、既に2009年民主党・民進党政権で経験済みです。国民民主党は、更にそのロクでもない連中を濃縮したジュースのようなものですから、上記のようなことになるのです。危機の時代においては、日和見・中途半端は、改革の進展を遅らせマイナスにしかなりません。歴史がそのことを何度も証明しています。:田中一郎)
4.安倍政権・安倍晋三:日刊ゲンダイ他
(1)安倍内閣「不支持」2P増の4割に…4カ月連続で支持を上回る 日刊ゲンダイDIGITAL
(2)「私が向き合う」の仰々しさ 場当たり首相の北朝鮮利用(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
(3)トランプのノーベル賞や国賓のおべんちゃらが裏目に出たら|日刊ゲンダイDIGITAL
(4)安倍晋三「国会ウスラバカ答弁」もはや神がかりのトンチンカン 概要 日刊大衆
(5)古賀茂明「既得権とドヤ顔で癒着する安倍総理が率いる改革レガシーなき長期政権」AERA dot.
(6)米国の制限下にある日本 真の独立国ではない - 逢坂誠二の「耕雲種月」 - 逢坂誠二 - 毎日新聞「政治プレミア」
5.その他
(1)ゲノム編集食品 表示義務化へ- Yahoo!ニュース(新種の「遺伝子組換え食品」のことです)
(2)東京の「生活保護」はまったく機能していない 貧困に喘ぐ女性の現実 東洋経済オンライン
http://ur0.work/AvBM
(3)横畠裕介内閣法制局長官の辞任を求める<南丘喜八郎氏> - ハーバービジネスオンライン
(4)「放送は真実」 ニュース女子訴訟 DHC、弁論で主張 - 琉球新報 - 沖縄の新聞
(5)国民は国会に唖然 労政ゴロツキ学者と官僚が居座る世も末(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
(6)室井佑月「物とされた我々」〈週刊朝日〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース
6.「いちろうちゃんのブログ」より
(1)(報告)(2.21)ネオニコチノイド(農薬)&トリチウム(放射性元素)複合汚染問題(木村黒田純子&西尾正道)- いちろうちゃんのブログ
(2)(報告)(3.18)講演:「国家と除染」(日野行介毎日新聞記者):放射能汚染土「再利用」の目的は「見えない化」により「原発事故を政治的に終わらせる」ことにある + Foe Japanから関連重要情報- いちろうちゃんのブログ
(3)明日(3/21)のちょっとだけ情報:(1)化学物質過敏症と化学物質の管理(NNNドキュメント)(2)JCO竹田恒和会長辞任(3)『DAYS JAPAN』最終号について- いちろうちゃんのブログ
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経済政策と税制をめぐる他のMLでの議論を2つばかりご紹介いたします。いずれも私の執筆部分を一部加筆修正しています。
1.経済史から考える:日本政府債務、深刻度は大戦末期並み(東京大学大学院経済学研究科教授 岡崎 哲二氏)
(一部抜粋)
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政府は22日、歳出額が過去最大を更新する2018年度予算案を国会に提出した。高齢化に伴い医療や年金など社会保障費の拡大に歯止めがかからず、日本の政府債務は国内総生産(GDP)の2倍を超す。今の財政状況は太平洋戦争末期と酷似する。70年余り前、累積債務を「清算」したのは敗戦による過酷なインフレ。代償を支払わされたのは国民だ。
債務残高GNP比200%台、インフレで「清算」
日本の政府債務残高は2012年度末に991兆6000億円に達した。名目GDP(国内総生産)の208%にあたり、太平洋戦争末期における政府債務残高のGNP(国民総生産)比204%に匹敵する。現在の日本は、近代日本経済史上2回目の深刻な累積政府債務に直面していることになる。
1回目にあたる終戦時の累積政府債務は、そのほとんどが戦後の急激かつ大幅なインフレによって実質的に解消された。1944年から49年にかけて、日本の卸売物価は約90倍となった。その結果、政府債務残高は49年度末にはGNP比で19%まで低下したのである。これは、直接・間接に政府への債権を持っていた国民にインフレによる事実上の税を大規模に課すことで、累積した政府債務を一挙に縮小させたことを意味する。
経済復興と高度経済成長で、政府債務残高のGDP比は低下を続け、東京オリンピックが開催された1964年度末には4.4%となった。65年不況時の赤字国債発行を転機に上昇したが、ペースは緩やかなものにとどまった。再び明確な上昇傾向を示したのは75年度以降である。その後、バブル最盛期の88~91年度を除き、毎年上昇を続けて現在に至っている。
それでは、1回目の政府債務の累積はなぜ起きたのだろうか。政府債務の増加は1920年代の長期不況期に始まった。日露戦争により70%を超えた政府債務残高比率は、財政緊縮と第一次世界大戦期のインフレを伴う経済成長によって、19年度末にいったん23%まで低下した。以後、デフレと不況の過程で上昇に転じ、32年度には、高橋是清蔵相による「高橋財政」の影響が加わって58%となった。
注目すべきは、1933年度以降、政府債務残高比率が数年間にわたって安定していたことである。高橋財政の景気刺激効果によって、経済成長率が上昇するとともに緩やかなインフレが続いたのが一因だが、もう一つ理由があった。高橋蔵相34年度予算編成時から、財政規律を維持するために公債収入を前年度より減額する「公債漸減」方針を採り、36年度まで維持されたことである。
中略
この流れを変え、再び公債発行の増加にかじを切ったのは、2.26事件後に成立した広田弘毅内閣の蔵相・馬場鍈一であった。馬場は公債漸減方針を明確に放棄した。1932~36年度に8億~9億円だった新規国債発行額は、37年度に一挙に22.6億円に増加した。
政策転換の背景には馬場自身の財政経済政策に関する持論があった。1935年に東京帝国大学で行った講演で、「私は実は赤字公債をそんなに恐れない。恐れたところで出さねばならぬものは出さねばならぬ」と述べ、公債発行の大きな要因となっていた軍事費について、「私は国防費に対して不生産的経費といふ言葉は使はない」「国旗の翻る所即すなわち我が商権の進出する所、或あるいは民族の進出する所だと考へていけば、寧むしろ生産的だと言った方が宜よろしいぢゃないか」と論じた。公債発行で軍事費を含む財政支出を賄っても、中長期的には市場の拡大を通じて経済成長をもたらし、税の自然増収につながるのだから問題ないという議論である。
こうした楽観論は、戦争が拡大し、財政支出の増加がさらに著しくなると、政府全体に広がった。1941年、本来、財政規律を守る立場にあるべき大蔵省主計局の谷口恒二局長は、開戦以来累計250億円に達していた公債発行額について「支那事変の解決、大東亜共栄圏の確立された暁に於ける我国力の増進を考へるならば、この程度の公債は我国財政にとって懸念の要のないところである」と述べた。
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(いただいたメール)
101兆円の予算、それでいて物価偽装で生活保護基準は引き下げ、その一方で軍事費は急膨張という政治状況に危機感を持ってます。戦前、積極財政を行ったのは馬場鍈一です。「「私は実は赤字公債をそんなに恐れない。恐れたところで出さねばならぬものは出さねばならぬ」」と講演しているそうです。何やら似たような論調が現在でもあります。
「「私は国防費に対して不生産的経費といふ言葉は使はない」「国旗の翻る所即すなわち我が商権の進出する所、或あるいは民族の進出する所だと考へていけば、寧むしろ生産的だと言った方が宜よろしいぢゃないか」と論じた。公債発行で軍事費を含む財政支出を賄っても、中長期的には市場の拡大を通じて経済成長をもたらし、税の自然増収につながるのだから問題ないという議論である。」
と岡崎さんは指摘してますが、現在の安倍政権の財政政策を活写したような内容です。「「国旗の翻る所即すなわち我が商権の進出する所」それには軍隊が自国に引きこもっていてはどうにもならない、これが日本を戦争ができる国にしたい理由でしょう。安倍政権は「反緊縮」です。そして、赤字国債心配無用論で得た財政資金は軍事費に向けられています。
私は、この現在の状況と馬場鍈一がダブって仕方ありません。馬場鍈一の多磨墓地にあるお墓は立派です。わざわざ車を降りて誰の墓か確認したくらいです。お墓は立派ですが、彼の「反緊縮」政策がもたらした結果は悲惨です。軍事費を削って社会保障に廻せ、それがないと単に「反緊縮」だけでは戦前の間違いを繰り返します。
(田中一郎コメント)
上記のメールを拝見しましたので、思うところを若干申し上げます。
総合的な私の結論は「丁寧に議論をした方がいいと思います」ということです。
1.安倍軍拡と馬場軍拡は、その軍事費の政府総予算額に対する割合がだいぶ違いますし、また、前者はアメリカの兵器爆買い(輸入増=所得漏出)、後者は国内軍事産業育成(所得形成)で、経済的な効果も違います。
2.財政赤字や国債残高増大は、政府の処分可能資産を差引いた「ネット」で、つまり「純債務」で議論すべきです。先般見ていただいた植草一秀氏の論文によれば、日本政府のネット債務残高は、多めに見積もって約700兆円くらいだろうと思われます。(総負債1300兆円ー処分可能(金融他)資産600兆円=700兆円)
更に、そのうち日銀が保有している国債が480兆円ありますので、これを差し引きますと、ネットネットで320兆円程度になります。ただし、日銀保有国債については、全て民間銀行などからの買いオペ残高と見なしますと、この国債残高に対応した、いわゆる「ブタ積み日銀預り金」があり、この(銀行などによる)「ブタ積み日銀預り金」の動向が今後の金融政策の大きなリスクとなります(リスクは国債にあるのではなくて、この「ブタ積み預金」=巨額のマネタリーベースにあるのです)。
松尾匡立命館大学教授らは、このマネタリーベースが過激に動き出した場合には売りオペで対応するとおっしゃいますが、事はそう簡単ではなく、そもそも民間銀行群が日銀の売りオペに「はいはい分かりました」と素直に対応してくるかどうかはわかりません。銀行の動向次第では長期金利が上昇してきますので、そうなると国庫の支払い金利金額が一気に膨張していきます。それは、(1)財政の硬直化、(2)財政の所得分配機能の低下どころか「逆再分配機能」を招きます。(また、公的年金基金や地銀などの中小金融機関が抱える国債などの債券が値崩れを起こし、経営危機に陥っていきます)。つまりとんでもない事態が生れます。今の財政構造や日本経済の構造をこのままにしていては、金利上昇は絶対に回避しなければいけないので、この「ブタ積み預金」は時限爆弾化しかねません。
(この辺の話は、私の新ちょぼゼミでやりたいと考えています)
(関連)マネタリーベースの解説 - 日本銀行 Bank of Japan
3.「軍事費を削って、社会保障に廻せ、それがないと単に「反緊縮」だけでは、戦前の間違いを繰り返します。」は懸念には及ばないでしょう。少なくとも松尾匡立命館大学教授の「薔薇マークキャンペーン」や、私が申し上げている脱市場原理主義アホダラ教的な経済政策の抜本転換は、「反緊縮」を(永久にではなく)当面のものと位置づけ、かつ、確保された財政資金の使い道を社会保障・福祉を含む「民生需要」=有権者・国民の生活の拡充に使え、という主張とセットにしています。ただ、既存の財政支出先の見直しも併せて行えという主張には強弱があり、以前にも申し上げたように、「財政の質」(支出先・資産内容や税制・負債サイド)を問う議論が少ないのは残念に思っています。
(関連)(報告)(3.14)新ちょぼゼミ:財政・金融政策を見定める基本(御用経済学者・忖度経済学派を見分けるコツ)(1)(田中一郎 2019年3月14日)- いちろうちゃんのブログ
(関連)薔薇マークキャンペーン
(関連)安倍政権は緊縮政策です(薔薇マークキャンペーン)
(関連)薔薇マーク認定(地方選・衆院補選・参院選)予定候補者全名簿(2019.3.20)
4.私が駄目ですよ、と申し上げているのは「反緊縮」ではなくて、財政資金調達面においては「日銀による国債の直接引き受け」(あるいは政府紙幣の発行など)であり、また「黒田バズーカ」を筆頭とする「やりすぎ金融緩和」です(たとえばETFの大量購入や国債の買いすぎ(ブタ積み預金膨張))。あるいは、財政資金の支出先では、ヘリコプターマネーやベーシックインカム(BI)などのバラマキ政策です。AI普及による失業増大に対してBIで対応、などというのは話になりません。
そもそも、そんな経済体制を創るくらいなら、AIなどいらないでしょう。社会保障・福祉は、「最後は金目」だけでなく、公共サービスのニーズ把握とその提供の仕方・され方なども含めて、丁寧に総合的に検討されるべきと考えています。(たとえば宮本太郎氏の岩波新書に2冊ばかり社会保障・福祉について書いた本がありますので、それでも見ていただけるとイメージがわくと思います)
(関連)共生保障 〈支え合い〉の戦略-宮本太郎/著 本・コミック : オンライン書店e-hon
(関連)生活保障 排除しない社会へ-宮本太郎/著 本・コミック : オンライン書店e-hon
(ちなみに私は宮本太郎氏の議論は、自治体を含む政府ファクターの役割についての言及に迫力がなく、全体的に物足りない印象を持っていますので、必ずしも宮本太郎氏の議論に賛同しているわけではありません。しかし、上記の2冊は具体的な事例がたくさん書かれていて、別の面から見ていい本だと評価しています)
4.普遍主義的政策については、私は慎重に行くべきで、何をどういう順序でやっていき、そのための財源はどうするということを明確にした上で検討すべきであると考えています。子ども手当で失敗した民主党政権の過ちを繰り返すのは愚かです。さしあたり、老人介護の拡充(特に認知症対策)と義務教育における保護者負担の軽減(給食無償化など)かなと思います。保育については、たくさんの待機児童を長い間放置したままで「保育無償化」をするなどというのは本末転倒で、逆に格差拡大となるでしょう。消費税率引き上げを有権者・国民・納税者に押し付けるための「アメ玉」のようなものです。要するに有権者・納税者をバカにしているのです。「保育園落ちた、日本死ね!」はいまだに続いています。安倍政権に代表される妙な政治家を選挙で選ぶからこうなるのです。
5.今日の日本の税制は、いわゆる「課税ベースのエロ―ジョン(浸食)」がひどくて、ボロボロです。これを抜本的に見直すべきですが、今の与野党の政治家がアホすぎて、どうも政治的には前に進む様子がありません。「有識者と市民の共闘」で政治家を動かし、財務省の官僚組織を転換しないと、どうしようもないでしょう。そのとりかかりは「反緊縮」を掲げての政権交代です。
(関連)2019年度税制改正要望重点項目について - 立憲民主党
(政権交代を目指す野党第1党の税制政策綱領として見た場合には、いかにも貧弱でお粗末です。近々、厳しく批判いたします)
(関連)田中龍作ジャーナル - 消費税増税分「84%が使途不明」 山本太郎事務所が突きとめる
2.価値の消費ではなく、価値の創造に課税とは
(いただいたメール:一部省略)
別のところでも書きましたがここにも転記しておきます。あと、さいごにMMTに関する日銀黒田総裁の会見内容もご紹介していきます。
(中略)なかでも法人税は所得税と並んで、税の中でも最重要な税目ですが、近年、経済活性化の名のもとに、あるいは他国との税の競争で優位を占めることが優先され、引き下げるのが当たり前の風潮さえ見られます。しかし今、国際的な税の改革の動向は法人税の改革に向かっています。OECDのBEPSプロジェクトがいまデジタル巨大企業課税にとり組んでいますが、その中心理念は「経済活動が行われ価値が創造されたところで課税すべき」というものです。
どこで課税すべきかをめぐってはいま米欧の対立がありますが、いずれにしても価値を創造する企業に課税しようというのが、いま百数十カ国が共同して進めている目標です。
またIMFも今年に入り「グローバル経済における法人税」と題する政策文書を出し、OECDのBEPSプロジェクトを乗り越えてさらに取り組むべき課題を示しています。価値を消費する消費課税ではなく、価値を作り出す企業に課税を強めようという、この世界の動きに注目する必要があります。
日銀黒田総裁会見(3月15日)
(問) 総裁ご存知のように、MMT(Modern Monetary Theory)というのが、アメリカ・欧州の方でも議論されているようなのですが、これについての総裁の考え方をお願いします。というのも、日本では成功しているじゃないか、と おっしゃっている専門家の方もいるものですから、
(答) MMT(Modern Monetary Theory)は、最近米国で色々議論されているということは承知していますが、必ずしも整合的に体系化された理論ではなくて、色々な学者がそれに類した主張をされているということだと思います。そのうえで、それらの方が言っておられる基本的な考え方というのは、自国通貨建て政府債務はデフォルトしないため、財政政策は、財政赤字や債務残高などを考慮せずに、景気安定化に専念すべきだ、ということのようです。
ただ、 こうした財政赤字や債務残高を考慮しないという考え方は、極端な主張だと思いますし、米国の学界でも非常に少数の意見であり、広く受け入れられた考えではないと思っています。
(田中一郎コメント)
「経済活動が行われ価値が創造されたところで課税すべき」について若干のことです。
(1)いわゆる所得の「源泉地」における課税ということだと思いますが、私はまず、国際取引においては、金融所得も含めて源泉課税(税の一部先行納税)が重要だと考えています(のちほど清算・還付・追徴)。現代の国際金融の世界では、そのほとんどが源泉非課税で取引されており、これを転換する必要があります。但し、日本だけが行うと円安リスクがあります。
(2)強制連結課税制度を採用すべきだと思います。その際、チェリーピッキング(いいとこ取り)を防ぐための仕組みを作っておく必要があります。また、過少申告その他の納税回避に対しては、悪質度に応じて巨額のペナルティを支払わせる必要があると思われます(納税回避行為に対する抑止効果)。
(3)「タックスヘイブン否認の法理」を特別法で制定すべきです。上記の「強制連結」とセットです。
(4)巨大企業や超富裕層に対する税務調査(及び先手立法化)体制の強化・拡充を図るべきです。納税回避行為防止の体制ができていません。
(5)日本国内において営利行為・事業活動を行っている外国企業を含む非居住者に対する課税がまるで「ザル」状態です。これに対しても総合的な対応・対策が必要です。しかし、これを妨害しているのがTPP協定などの市場原理主義的国際経済協定であると思われます。特にISDS条項は決定的です。
草々
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