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2019年2月22日 (金)

(メール転送です)「講談社は、戦争好きの子どもを育て、徴兵に役立てるつもりなのか」 & 私の雑感

前略,田中一郎です。

(他のMLでの議論です)

 

講談社に子供向けの『はじめての はたらくくるま』という絵本があるのだそうで、それに掲載されているのが、自衛隊の戦車だったり、装甲車だったり、ミサイル運搬車だったりしているので、これはおかしい、というメールをいただきました。それについて「雑感」として、私が返信したのが下記です。(一部加筆修正)

 

(関連)『BCキッズ くわしい解説つき! はじめての はたらくくるま 英語つき』(講談社ビーシー)|講談社BOOK倶楽部

 http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000319160

 

(関連)「講談社の初めての働く車1」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)

 http://urx.space/U6Qm

 

<いただいたメール>

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新制中学1年で学んだ、「新しい憲法のはなし」の戦争放棄のイラストは、戦車や、戦闘機や、軍艦などが大きな坩堝の上から入れられ、下から消防車や、電車や、商船が出てくるものでした。この講談社の写真集を見ていると、同社が安倍政権を忖度して、無批判に戦争好きの子どもを育て、徴兵に役立てようとしているか、良く分かります。憲法違反のこうした編集をみんなの声で批判して行きましょう。

 

(添付写真参照他)

(1)あたらしい憲法のはなし_戦争放棄

「sinkenpou_sensouhouki.png」をダウンロード

(2)講談社の初めての働く車1(略)


(3)講談社の初めての働く車2

「hajimeteno_kuruma_koudansya.jpg」をダウンロード

(4)講談社の初めての働く車3(略)

 

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講談社ビーシーと講談社による絵本「はじめてのはたらくくるま」。3~6歳向け。ステップアップ知育図鑑。英語つきと書かれている。「しょうぼう」から始まって、「けいさつ」「こうじげんば」「まちのなか」「いろんなばしょ」につづいて、唐突に「りくじょうじえいたい」が登場。「せんしゃ」をはじめ「そうこうせんとうしゃ」「きどうせんとうしゃ」などの写真が散りばめられ、米海兵隊の日本版といわれる水陸機動団が使用する「すいりくりょうようしゃ」をはじめ、水平に銃を構えた自衛隊員が乗っている「こうきどうしゃ」やミサイルの発射機を搭載した車両まで紹介されている。

 

さらにページをめくると「こうくうじいえたい」「かいじょうほあんちょう」「かいじょうじえたい」もある。これらがなぜ「はたらくくるま」なのか…? 最後のページには「写真協力」のコーナーがあり、写真の順序とは違い、真っ先に「陸上自衛隊」、ついで「海上自衛隊」「航空自衛隊」がつづき、そのあとに「警視庁」「東京消防庁」などが列挙されている。(添付写真13参照)

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(田中一郎コメント)

ひどいですね。編集した人間の頭のどこかがイカれているのでしょう。

 

しかし、私の子どもの頃、いわゆる少年雑誌のたぐい=少年マガジン・サンデーや月刊少年漫画雑誌もまた、アジア太平洋戦争時に壊滅した日本軍の兵器・武器・その他の写真やプラモ宣伝や戦記物マンガ(日本軍を美化)であふれかえっていました。この講談社の編集担当は、その当時の頭の中身とあまり変化ないのでしょう。

 

その後、私が大人になるにつれて、アジア太平洋戦争とはどういうものだったか、を様々な形で知るにつれ、考え方が変化しながら固まっていった記憶があります。この講談社の写真集をみただけで好戦的な人間になっていく、軍国主義者に育つ、とは私には思えません。こうしたことよりも他に問題があるのだと思います。

 

私は、この講談社のバカみたいな企画の問題よりも、そもそも、子どもたちが成長するにつれて、日本の現代史やアジア太平洋戦争の実態を知る機会がないことが、大問題ではないかと思っています。

 

たとえば、岩波やその他の出版社は、日本の現代史を通史で、きちんと記述した図書を出版しているのでしょうか? たとえば戦後の民主化改革について、私が全体像を知ろうとして文献を探したけれど見つからなかった記憶もあります。唯一、見つけたのが、ジョンダワー氏の「敗北を抱きしめて」という本でした。

 

(数年前に岩波新書で見た日本近現代史の通史は、どうもいただけない内容のものだった記憶があります。あんなものはマイナスにしかならない)

 

(だいぶ前に小学館とか中央公論社が日本の近現代史を通史で出していましたが、とくに昭和から平成の時代にかけての話が薄いのではなかったかと思います)

 

アジア太平洋戦争で日本が敗北して直後の数年間、いったいどういう時系列で、どのように改革が行われ、どういうことが議論され、決まっていったか、あるいは排除されたか、それを知ろうと思っても、通史でまとまった文献がない、こんな状態でいいのか、ということです。マンガも出版すべきです。そうしないと、小林よしのり、のようなのが繁殖します。

 

(私は「今日の大学が腐っている」と申し上げているのは、こういう「肝心なこと」を学者どもがしようとしない、ということもその理由の1つです)

 

私は今日の若者たちの戦争リアリティ・リアリズムの喪失の原因の1つは、日本の歴史学者をはじめ、戦後史や近現代史の研究者・学者たちの怠慢にあると見ています。10年に一度くらいの頻度で、日本史・世界史の、現代史を、通史としてきちんと書いて残していき、それを若者の必読書としていくような学者の営みこそが、私は大切な「反戦」世論形成の1つの在り方だと思っています。

 

いわば、学校向けでなく、一般の有権者・国民向けの歴史教科書をお作り下さい、ということです。

 

そうした努力の積み重ねと、政権交代による教育政策その他の抜本転換こそが、真の意味で日本を平和国家に生まれ変わらせていくことになると思っています。

 

ホンモノの政権交代がなければ、日本はこのままズルズルと戦争国家への道を歩み、あるいは原発・核燃料サイクル施設の再度の大事故による破滅・滅亡となるか、あるいは、市場原理主義アホダラ教政策により、ボロボロにされていくでしょう。政治を転換できない市民運動・社会運動は、今日の日本の危機を救済できないと、私は見ています。

 

集会やデモで「戦争ヤメロ」を叫ぶだけでは、もう何も変わらないということを、平和勢力はキモに銘じて、選挙対応を含む新たな様々な取組を開始すべきです。

草々

 

 

 

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