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2019年2月 4日 (月)

(報告)オルタナティブな日本をめざして(第23回):「これでいいのか!? 原子力損害賠償法」(福島原発事故の教訓から)(竹村英明さん)(2019年1月30日)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

さる130日(水)、水道橋のたんぽぽ舎におきまして、標記「オルタナティブな日本をめざして(第23回):「これでいいのか!? 原子力損害賠償法」(福島原発事故の教訓から)(竹村英明さん)」を開催いたしました。たんぽぽ舎での講演会が数日続く中、この日もこの講演を聞きにおいでくださった皆様の熱心な聴講や質疑応答に支えられ、成功裏に終えることができました。感謝申し上げます。以下、当日のご報告を簡単にさせていただきます。

 

福島第1原発事故は、その事故に至るまでのプロセスがまさにデタラメで、原発事業者であった東京電力はもちろんのこと、それを監督すべき立場にあった国や原子力安全保安院・経済産業省・原子力安全委員会、さらには福島第1原発という欠陥原発を提供した原発メーカーやゼネコンなど、許しがたい連中がわんさと今も原発推進に邁進している状況です(この国はどうなっているのか!? と思います)。

 

しかし、それ以上に許しがたいのは、福島第1原発事故後の事故当事者の東京電力や事故責任者の国の対応です。まさに加害者・東京電力を救済し、被害者の地域住民・国民を切り捨てるという態度を取り続けている点です。その出鱈目の極致のような事のありようの根底に、この原子力損害賠償法の問題があるのです。あれだけの大事故が巨大な取り返しがつかない被害をたくさんの人々にもたらしたにもかかわらず、それに対して事故前はもちろん、事故後においてもきちんとした対応をとることをしようとせず、原発大事故で被害が出ても原発事業者の責任は相変わらず不問のままでいい、損害賠償・補償などまともにしなくていい、と言わんばかりの原子力損害賠償法の「改正」がこのほどなされています(昨年末)。こんなことは断じて認めるわけにはいきません。

 

福島原発事故後の被害者救済の極めて不十分な状況については、事故後の市民運動・社会運動の展開の仕方にも私は少し問題があったと考えています。それは、この原発事故被害の賠償問題を事故後の被害者への対応の最重要事項として、最優先事項として取り上げず、「子ども・被災者支援法」制定や除染問題などに運動の力点が行ってしまっていたように思うからです。脱原発は、脱被ばくと被害者完全救済とが三位一体で進められなければならず、その被害者完全救済の最大のポイントは、万全の損害賠償・補償をきちんとさせる(それが事故の再発を防ぐことにもつながる)という点にあります。その認識が私は市民運動・社会運動の側で弱かったのではないかと見ているのです。すべての基礎は「経済問題」にあります。

 

こうしたことは今後の教訓にするとともに、まもなく各地の損害賠償裁判が正念場に差し掛かってきますので、この裁判闘争を市民運動・社会運動は全力で支援・応援する必要があると考えています。福島県をはじめ、放射能で汚染された地域に居住を余儀なくされている方々の諸問題は、被害者が経済的にきちんとした賠償・補償を受けることができ「避難・疎開・移住」が自分の判断で実現可能となれば、相当程度に解決できる問題です。それを加害者・東京電力や事故責任者・国が、賠償金額を交通事故時の自賠責以下の金額へ封じ込めるようなことをしているから、おかしなことになってくるのです。(当面する原発問題で最重要なものは、原発運転・建設差止、福島事故責任追及、放射能汚染拡散防止、に加えて、この被害者への損害賠償・補償の問題などです)

 

事故時の民主党政権(菅直人政権)の最大の罪は、「直ちに健康に影響はない」(枝野幸男)などと言いながら、事故後の損害賠償による財政負担を強烈に意識して、避難指示を出す区域を放射能汚染の実態に関係なくきわめて狭く設定し、その後も、原発事故被害者の救済のために尽力をしなかった点にあります。今日の立憲民主党や国民民主党がこの点をどこまで反省しているのか、私はかなり疑問ではないかと思っているところです。

 

ともあれ、今回の勉強会の講師をしてくださった竹村英明さんのお話は、とてもわかりやすく明快で、加えて講演の後半部分では、日本における再生可能エネルギーの普及進捗状況や、それを妨害する原子力ムラとその代理店政府の問題についても説明をしてくださっています。まさに必見・必聴のご講演でした。残念ながら参加できなかったみなさまには、ぜひ、下記の報告をご覧いただければと思っております。

 

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●(このイベント情報)(1.30)オルタナティブな日本をめざして(第23回)「これでいいのか!? 原子力損害賠償法」(福島原発事故の教訓から)(竹村英明さん:新ちょぼゼミ)- いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/23-4c42.html

 

福島原発事故により東日本一帯は甚大な被害を受け、今もその原状回復や被害者の救済は遅々として進んでおりません。技術的な問題もしかりながら、やはり大きなネックは、加害者である東京電力や事故責任者の国が「原発過酷事故」時における十分な備えをせず、原子力災害対策のための費用負担=必要な資金の確保をあらかじめほとんどしてこなかった点にあります。既に事故直後の国会において、原発事故災害時の賠償責任や負担の在り方を定めた原子力損害賠償法については、その抜本改正が早急に必要である旨の附則追加や付帯決議が別の関係法制定時になされておりましたが、今般、遅ればせながら、この法律の改正案が国会で可決成立しました。しかし、その中身は、ほとんど現状維持のままのひどいものでした。今回はこの分野にお詳しい竹村英明様に来ていただいて、この改正法案のお粗末な内容や、そのどこに、どのような問題があるのかを、福島原発事故の教訓を踏まえながらお話いただくことにいたしました。みなさまのふるってのご参加をお待ちしております。

 

講 師:竹村英明(たけむら ひであき)さん 

 イージーパワー株式会社代表取締役

 グリーンピープルズパワー株式会社代表取締役

 緑茶会代表/市民電力連絡会理事長、

 1976年横浜市立大学卒業。水俣病告発運動、公害反対運動、

 反核運動などを経験して原発問題に取り組む。

 

●(当日録画)20190130 UPLAN 竹村英明「これでいいのか!?原子力損害賠償法」(福島原発事故の教訓から) - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=qg19UnOQyZY

 

 <当日のレジメ>

(1)(別添PDFファイル)これでいいのか!? 原子力損害賠償法(竹村英明さん)(上)(2019130日)

「rejime_genbaihou_takemurasan1.pdf」をダウンロード

(2)(別添PDFファイル)これでいいのか!? 原子力損害賠償法(竹村英明さん)(下)(2019130日)
「rejime_genbaihou_takemurasan2.pdf」をダウンロード

●(レジメ一括・カラー)
https://drive.google.com/file/d/1Q1XRzjqhK1WZ7JvoY1CBTL2D-jQ4gbvS/view


 <関連情報:別添PDFファイル>

(1)原賠法の今回の見直しについて(弁護士河合弘之 2018.11.20

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/files/genbaihounituite_kawaibengosi_opinion.pdf

(2)改正原子力損賠法案、賠償へ備え増やさず、市民団体「福島事故の被害無視」(東京 2018.12.1

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120102000142.html

(3)原発事故の責任見直さず、改正法成立賠償準楯 1200億円のまま(朝日 2018.12.6

 https://www.asahi.com/articles/DA3S13799889.html

(4)賠償指針見直し求める、福島住民側 東電の和解案拒否続き(日経 2019.1.19

 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40184730Y9A110C1CC1000/

(5)原発事故 国民が払うツケ(朝日 2019.1.14

 https://www.asahi.com/articles/DA3S13848082.html

(6)原発事故賠償求め提訴、ADR決裂で精神的苦痛、福島地裁、浪江町民、東電・国相手に(東京 2018.11.28

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018112802000138.html

(7)東電 ADR和解案拒否 怒る原告、福島住民の苦しみ分かっていない、「東電がのめる額」に変遷(東京 2018.12.5

 https://ameblo.jp/tousekitetsu/entry-12423858828.html

(8)闘論席:古賀茂明(『週刊エコノミスト 2018.12.4』)

 https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20181204/se1/00m/020/046000c

 

 <関連サイト>

(1)原子力損害の賠償に関する法律,()原賠法,原子力損害賠償法

 http://www.houko.com/00/01/S36/147.HTM

(2)原子力損害賠償・廃炉等支援機構法

 http://u0u1.net/OoSD

(3)改正原子力損害賠償法が成立(時事通信) - Yahoo!ニュース

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181205-00000063-jij-pol

(4)原子力事故の備え引き上げ見送り(共同通信) - Yahoo!ニュース

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181205-00000061-kyodonews-soci

(5)東京新聞-改正原子力損賠法案 賠償へ備え増やさず 来週中にもスピード成立へ-社会(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120102000142.html

(6)声明:禍根を残した、原賠法の拙速な「見直し」~被害者、国民を置き去りのまま、原子力事業者、株主、銀行を守る仕組みを維持するのか| FoE Japan

 http://www.foejapan.org/energy/library/181205.html

(7)原発事故:ADR打ち切りで提訴 浪江町民13億円求め - 毎日新聞

 https://mainichi.jp/articles/20181128/k00/00m/040/111000c

(8)原発事故の責任見直さず、改正法成立賠償準楯 1200億円のまま(朝日 2018.12.6

 https://www.asahi.com/articles/DA3S13799889.html

 

 <こちらもよろしく>

●(2019.2.13)オルタナティブな日本をめざして(第22回)「徹底検証 日欧EPA&メガFTA:水道事業を外資に売り飛ばしていいのか」(内田聖子さん)(新ちょぼゼミ) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/22-f183.html

 

●(3.14)オルタナティブな日本をめざして(第24回):「どうする化学物質の管理:環境ホルモンがもたらす危険性から考える」(中下裕子弁護士)- いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/24-9464.html

 

●(3.28)オルタナティブな日本をめざして(第25回):「「放射線安全神話」とわたしたちの放射線教育:学校現場から」(新ちょぼゼミ:根岸富男さん)- いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/25-cdf2.html

 

●オルタナティブな日本をめざして(第26回):「なぜ原発の再稼働は認められないのか-原発の仕組みから安全性の根拠を問う-」(後藤政志さん)(2019411日)

 

●オルタナティブな日本をめざして(第27回):「教育勅語と道徳教育」(前川喜平さん)(201959日)

 

(上記2つは、時間と場所はいつもの通りです:午後6時~9時過ぎ、スペースたんぽぽ)

 

 <これまでの新ちょぼゼミ一覧>

●オルタナティブな日本を目指して(これまでのもの一覧)(更新) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/post-d0d3.html

草々

 

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「事故時の民主党政権(菅直人政権)の最大の罪は、「直ちに健康に影響はない」(枝野幸男)などと言いながら、事故後の損害賠償による財政負担を強烈に意識して、避難指示を出す区域を放射能汚染の実態に関係なくきわめて狭く設定し、その後も、原発事故被害者の救済のために尽力をしなかった点にあります。」ということを我々は決して忘れてはいない。よって、自民、公明は当然だが、立憲民主党を構成している奴らの手は汚れていて、政治生命は終わっているのだ!来る国政選挙で我々はどこに票を入れたら良いのか?嗚呼

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