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2018年11月15日 (木)

(報告)(11.13)首都東京が危ない! 徹底検証 東海第二原発再稼働容認(緊急ちょぼゼミ)

前略,田中一郎です。

 

さる11/13(火)、たんぽぽ舎さんのご厚意により、勉強会「(11.13)首都東京が危ない! 徹底検証 東海第二原発再稼働容認(緊急ちょぼゼミ)」を開催いたしました。この勉強会の目的は、原発にあまり詳しくない方々のための説明会を開催し、原子力規制委員会・規制庁がこのほど再稼働にOKを出した東海第二原発について、その危険性がどの辺にあるのかを広く浅く知っていただくことでした。以下、当日の資料と録画により、簡単に報告をさせていただきます。

 

●(イベント情報)(11.13)首都東京が危ない! 緊急ちょぼゼミ「徹底検証 東海第二原発再稼働容認」

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-cc7b.html

 

●(当日録画)20181113 UPLAN 田中一郎「徹底検証東海第二原発再稼働容認」 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=_u5tYLZ9L8A

 https://www.youtube.com/watch?v=_u5tYLZ9L8A&t=3540s

 

(田中一郎コメント)

 申し訳ありません。当日、申し上げるのを失念しておりました。下記に追記しておきます。

 

(1)高速増殖炉「もんじゅ」で何故ナトリウムが使われているか

 一般の原発原子炉は、当日申し上げましたように「減速剤」として軽水を使い、水によって減速された遅い速度の中性子を利用して核分裂を引き起こし、それを利用してエネルギーを取り出します。ところが、高速増殖炉「もんじゅ」の場合は「高速中性子」による核分裂連鎖反応を利用しますので、軽水は(一次冷却系には)使えないのです。この点は大事なところですので、テイクノートしておいてください。(なお、「軽水」とは「重水」と区別して使われる言葉で、水=H2Oを構成する水素が普通の水素の場合には「軽水」、重水素(デューデリウム)の場合には「重水」といいます。重水素とは、その原子核に陽子だけ(=普通の水素)でなく1つの中性子が加わった、所謂「同位体」です)(しかし、それでもなお、何故、危険な金属ナトリウムを一次冷却剤に使うのかは???です。それ以外のものでは試行錯誤したが駄目だったということか? よくわかりません)

 

(2)核暴走事故と冷却水喪失事故

 説明のし忘れです。核暴走事故とはチェルノブイリ原発事故のような事故で、核分裂・臨界反応が制御できなくなって核暴走(核爆発)し、ものすごいエネルギーが出て原発施設を吹き飛ばしてしまうような事故のことです。他方、冷却水喪失事故とは、文字通り、冷却配管大破損や全電源喪失(SBO)などによって原子炉を冷やす水がなくなり、炉心溶融を起こしてしまったような事故のことで、スリーマイル島原発事故や福島第1原発事故などがこれに該当します。冷却材喪失事故のことを英語:で「loss-of-coolant accident」(LOCA:ロカ)と言います。

 

(3)活断層がなくても

 基準地震動の説明のところでの説明漏れです。①平均値を使うな! ②原発は2回以上の連続大地震に耐えられない、③入倉・三宅式の過小評価、に加えて、4つめとして、活断層がないと思われていたところでも大地震は起きる、です。その典型事例が「岩手宮城内陸大地震」(2008614日)です。この地震の震源地に活断層があるとは思われていませんでした。加速度は4000ガルを超えていました。活断層があるかないかだけをチェックしている今の原子力規制委員会・規制庁の原発安全審査・基準地震動評価は、地震ナマズからみれば、いかにもバカバカしいことをしているように見えるでしょう。

 

(4)原子炉建屋のブローアウトパネル

 最近話題になっていた話です。東海第二原発の現物模型を「人工的に地震のように揺らせてみて、その壊れ具合を見る」実験がなされたのですが、その際に、建屋のブローアウトパネルが想定通りに閉まらなかった、という結果です。これではダメだ、建屋とブローアウトパネルは設計からやり直しせよ、と批判されています。私はむしろ、自動で閉まらないことよりも、手動で(電機などなくても)開閉できるようにしてあることが重要ではないかと思っています。何故なら、福島第1原発事故の際に、1号機の水素爆発のおかげで、隣接していた2号機建屋のブローアウトパネルが開いてしまい、従って建屋に水素ガスがたまらなかったため、2号機は建屋の水素爆発を免れています。この経験があるのですから、建屋のブローアウトパネルは全電源喪失の際でも手動で開けられるようにしておいて、建屋での水素爆発を防げるようにしておくべきです。

 

(5)原発のおける爆発の種類は4種類

 水素爆発と水蒸気爆発と核爆発(使用済み核燃料プールを含む)は講演の中でご説明しました。もう一つ、一酸化炭素爆発というのがあります。この一酸化炭素は、溶融した高熱の炉心デブリ(破片)と原子炉をつくっているコンクリートとの熱反応で生まれてきます。日本で使われているコンクリートは石材に石灰岩を使う場合がほとんどなので、その石灰岩の中の炭素が熱反応して一酸化炭素が大量発生します。これが爆発してしまうのです。3号機の爆発は実はこの一酸化炭素爆発だったという人もいらっしゃるようです。この炉心溶融デブリと原発コンクリートとの反応のことを「コア・コンクリート反応」(molten core-concrete interaction, MCCI)と言います(MCCIによって一酸化炭素だけでなく、水素ガスもまた大量に発生すると言われています=つまり、水素爆発に拍車をかけるわけです)。

 

(参考)炉心溶融物とコンクリートとの相互作用による水素爆発,CO 爆発の可能性(岡本・中西・三好『科学 2014.3』)

 http://urx.blue/Nztq

 

 <当日レジメ:別添PDFファイル他>

(1)(レジメ)(11.13)東海第二原発の再稼働をみんなで止めよう:益々危険となる原発再稼働(田中一郎 2018.11.13)A3
「rejime_1113_toukaidai2_itanaka.pdf」をダウンロード
(2)沸騰水型と加圧水型

 http://www.oshietegensan.com/atomic/atomic_j/2178/

(3)東海第二 工事計画認可、規制委 運転延長も通過見通し(東京 2018.10.19

 http://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/828

(4)那珂市長「NO」に原電の「隠し玉」、協議ルールあいまい、「拒否権」明示されず(東京 2018.10.23

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2018102402000158.html

 

 <その他 東海第二原発に関連する直近情報:別添PDFファイル>

(1)茨木・東海第二、那珂市長 再稼働「反対」、同意対象6市村で初(東京 2018.10.23

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018102302000154.html

(2)東海第二の延長認める、最長20年 規制委手続き終了、地元意向 最後の歯止めに(東京 2018.11.7

 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37460820X01C18A1MM0000/

(3)東海第2原発延長認可、再稼働反対「命のため」、地元福祉施設「避難耐えられぬ」(毎日 2018.11.8

 https://mainichi.jp/articles/20181108/dde/041/040/026000c

(4)6市村に「事前了解」、「拒否権」有無で溝、東海第2 玉虫色の安全協定(毎日 2018.11.8

 https://mainichi.jp/articles/20181108/k00/00m/040/172000c

(5)東海第二、「40年超」許可、被災原発発、原則骨抜き、規制委(東京 2018.11.8

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018110702000305.html

(6)「再稼働拒否権」否定発言か、原電副社長「協定のどこにもない言葉」、東海第二周辺首長ら反発(東京 2018.11.10 夕刊)

 https://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/44545b621c489cf94dc7c496b1b421b4

(7)再稼働反対表明 那珂市長引退へ、東海第二 拒否権、原電否定か(東京 2018.11.11

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111102000163.html

 

●(必見)NNNドキュメント「首都圏の巨大老朽原発 再稼働させるのか‘東海第二’ 」動画 Dailymotion

 https://www.dailymotion.com/video/x6x1slt

 https://www.dailymotion.com/video/x6x2udt

 

 <その他関連サイト>

(1)課題続出、曲折した審査=期限20日前に認可―東海第2(時事通信) Yahoo!ニュース

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181107-00000035-jij-soci

(2)原電の和智副社長 おわびで茨城訪問も首長には会えず(茨城新聞クロスアイ)Yahoo!ニュース

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181114-00000012-ibaraki-l08

(3)原発再稼働反対、動画で訴え(共同通信) - Yahoo!ニュース

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181110-00000023-kyodonews-soci

(4)東海第2原発 6市村首長「自治体了解なしに再稼働なし」(毎日新聞)Yahoo!ニュース

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181109-00000121-mai-soci

(5)地元は早くも「反対」の声 東海第二原発の運転延長認可(朝日新聞デジタル)Yahoo!ニュース

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181107-00000086-asahi-soci

 

(6)東京新聞-「人口密集地なのに…」東海第二延長容認 30キロ圏に96万人-茨城(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201811/CK2018110802000162.html

(7)東京新聞-茨城・ひたちなか市長選告示 東海第2再稼働の同意対象-政治(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018111101001617.html

(8)東京新聞-原発延命 「原則40年」は、どこへ-社説・コラム(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018111002000144.html

(9)東京新聞-東海第二、延長容認 「住宅密集地避けて」死文化-社会(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018110702000301.html

10)東京新聞-東海第二「再稼働反対表明を」市民団体が常陸太田市長に署名提出-茨城(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201811/CK2018110902000160.html

 

11)東京新聞-東海第二原発・地元住民 有志 ユーチューブで反対訴え-社会(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111002000262.html

12)東京新聞-東海第二再稼働 那珂市長「明確にノー」脱原発派との面会で強調-茨城(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201810/CK2018102502000146.html

13)日本原電の「拒否権」否定発言に反発=東海第2の周辺首長 謝罪要求:時事通信Yahoo!ニュース

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181109-00000166-jij-soci

14)東京新聞-東海第二原発・地元住民 有志 ユーチューブで反対訴え-社会(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111002000262.html

15)田中三彦 渡辺敦雄 後藤政志 福島第一原発事故報告批判 グーテンナハト

 https://ameblo.jp/wakameyurayura/entry-11060761713.html

草々

 

 

(追)【東海第二】署名提出(11/20)&審査請求に連名募集(締切11/22

 http://urx.blue/Nzhp

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

みなさま(重複失礼、拡散歓迎)

FoE Japanの満田です。お願い2つです。

 

1.署名提出(11/20

4月より多くのみなさまにご協力のもとに集めていた、「私たちのお金を日本原電・東海第二原発の再稼働のために使わないでください」を1120日(火)に提出いたします。提出式には、どなたでも参加できます。

 

日時:1120日(火)13:0013:45

12:45から、参議院議員会館ロビーにて入館証を配布します)

場所:参議院議員会館B109

受け取り:経済産業省、東京電力、原子力規制庁

 

※まだ間に合います。お手元の署名をお送りください。1119日に最終的な集計作業を行います。まだの方はオンラインでぜひ!

http://www.foejapan.org/energy/stop_restart/180411.html

 

2.審査請求に連名募集

※連名してくださる場合は、以下からお名前、ご住所等をご記入ください。(審査請求に必要なので…)

https://pro.form-mailer.jp/fms/57cb3e6a158468

(締切:20181122日)

 

このたび、日本原電の「経理的基礎」にしぼって、東海第二原発の設置変更許可を不当として、審査請求を行おうとしています。なるべく多くのみなさまからの連名をお待ちしております。連名していただる方は、以下ご一読の上、上記のフォームにご記入ください。

 

(趣旨)※現在、以下の趣旨に基づく「理由書」を作成中です。

 

東海第二原発を動かすべきでない理由はたくさんあります。運転開始から40年たつ老朽原発であること、東日本大震災で被災した原発であること、ケーブルの防火対策などの安全対策が不十分であること、30km圏内に96万人もの人が居住するのにもかかわらず原発事故時の避難計画の実効性については審査されていないこと、などなど…。新聞調査によっても茨城県内の世論は、6割以上の多数が再稼働反対であり、また、多くの自治体議会が反対の決議をあげています。日本原電の財務状況もぼろぼろの状況です。

 

原子炉等規制法第43条の3の6第1項第2号では、「その者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があること」としており、この「経理的基礎」も審査対象になっており、原子力規制委員会は、「経理的基礎がある」と判断しました。しかし、以下の理由から、日本原電には「経理的基礎」があるとはいえません。

 

1.日本原電の財務状況から「経理的基礎がある」とはいえない・2012年以降は発電をしていない・東日本大震災以降2011年~2017年の平均は25億円の赤字である・日本原電の建設仮勘定は1,660億円であり、純資産は1,562億円を上回っている。この建設仮勘定の内容は明らかではないが、現在、更地の状態の敦賀34号機であるとすれば、その完成および運転の可能性は低く、資産性は疑わしい。・所有する原発のうち、敦賀原発1号機は廃炉が決まっている。敦賀原発2号機は、建屋直下の断層が、原子力規制委員会が設置した外部有識者会合によって、「地盤をずらす可能性のある断層」と認定されたことにより、再稼働は極めて困難な状況にある。既に廃炉措置が進められている東海原発を含めて、日本原電にはこれら原発の廃炉費用がのしかかる。

 

2.「借入金による資金調達の見込み」 は確認できていない原子力規制委員会は、以下のように記述している。「当委員会は、過去の借入れにおいては、取引銀行から受電電力会社による債務保証が融資条件とされていたことから、申請者に対して借入れによる調達の見込みが確認できる書面を示すよう求めた。これに対し申請者は、東海第二発電所の受電電力会社である東北電力株式会社及び東京電力ホールディングス株式会社が資金支援を行う意向を表明した書面を提出した。これにより、本件申請に係る工事に要する資金のうち、借入金による調達の見込みがあることを確認した」

 

日本原電は、再稼働のための工事に要する資金として、約1,740億円を調達しなければならないとしている。また、特定重大事故対処設備の設置が5年以内に義務化されている。これにも約1,000億円相当の費用がかかるとされている。日本原電の財務状況からして、そのほとんどを借り入れによって賄うしかない。日本原電は平成30314日付で、東京電力と東北電力の二社に対して、支援の意向を文書で出すように求める書面を提出したが、この中で、「電気料金前払、債務保証等によって弊社に資金支援する意向を有している旨、書面をもってご表明いただきたく…」と、「債務保証」に加え「電気料金前払」という言葉を入れている。

 

ここで、日本原電が「電気料金前払」という手段を入れた理由は、実際は、取引銀行は融資保証をつけても全額の貸し付けを行うことに二の足を踏んでいることを示している。

 

東北電力、東京電力の回答文書は、多くの前提をおいた「意向表明」でしかなく、東京電力は、「債務保証」という言葉すら使っていない。審査書の記載とは異なり、「取引銀行による借入金による資金調達の見込み」は確認できていない。

 

3.実質的に破たんし、国の支援をうけている東京電力が、他社を支援することはできない。

 

東電は2012年度以降、1Whも日本原電から電気を買っているわけではないのにもかかわらず、2011年度~2017年度は累計3,228億円にものぼる電気料金を日本原電に支払っている。東京電力には、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」経由で多額の公的資金が注入されており、本来、賠償や廃炉に全力を注がなければならないはずである。債務保証であれ、電気料金の前払いであれ、さらなる日本原電への資金支援は、国民や被害者への背任行為ともいうべきもので、到底是認できない。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

--

満田夏花(みつた・かんな)

携帯:090-6142-1807

国際環境NGO FoE Japan

173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9

TEL: 03-6909-5983  / FAX: 03-6909-5986

 

 

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