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2018年10月 6日 (土)

経済政策を巡る議論です:(1)民主党政権時代の「農業者戸別所得補償制度」 (2)(メール転送です)「『お金がない』からという脅しにどう立ち向かうか―ー松尾匡さんの議論の危うさ:再論」(白川真澄さん:PP研)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

(最初に若干のことです)

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1.イベント情報

(1)(10.11)「日本のダムと河川行政:この旧態依然をどうする?」(嶋津暉之さん)(オルタナティブな日本を目指して:第17回新ちょぼゼミ) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/17-394c.html

 

(2)(10.20)「子どもの甲状腺がんと「県民健康調査」」(白石草さん:Our PlanetTV )(オルタナティブな日本を目指して:第18回新ちょぼゼミ) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/our-planettv-18.html

 

(3)(10.28)『週刊金曜日』創刊25周年記念集会のお知らせ 週刊金曜日から

 http://www.kinyobi.co.jp/news/?p=4016

 

(4)(11.6)(福島)原発事故による放射能汚染の実態:隠された汚染とその深刻な現実 いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/post-7da4.html

 

(5)#脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会)11.10(土)第11回新宿デモ 子どもを被ばくから守ろう! 家族も、自分も!

 https://fukusima-sokai.blogspot.com/2018/10/blog-post.html

 

(6)(11.13)緊急ちょぼゼミ「徹底検証 東海第二原発再稼働容認」 いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-cc7b.html

 

(7)(11.16)「社会保障制度改革と財政問題」(伊藤周平鹿児島大学法文学部教授)(オルタナティブな日本を目指して:第19回新ちょぼゼミ) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/19-6a4d.html

 

(8)(12.13)オルタナティブな日本をめざして(第20回):「アベ自民党政治と丸山真男政治理論:「戦後民主主義」を再考する」(浅井基文さん)(場所と時間はいつも通りです:午後6時から9時過ぎまで、水道橋のスペースたんぽぽ)

 

2.Avaaz - 沖縄の未来のために、私たちにできること

 https://secure.avaaz.org/campaign/jp/letter_to_denny_ln/

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経済政策を巡る2つの議論をご紹介いたします。

 

1.民主党政権時代の「農業者戸別所得補償制度」 

 この間から始めた少人数読書会「大川端」で私からご説明申し上げた民主党政権時代の「農業者戸別所得補償制度」(2011年度版)に関する補足説明です(読書会では、この民主党政権による「農業者戸別所得補償制度」に加えて、その前の自民党政権時代の「品目横断的経営安定対策」や、日本農業に関する基礎知識についてもご説明いたしました。いずれ新ちょぼゼミで同じご説明をしたいと考えております。

 

●(別添PDFファイル)パンフレット「農業者戸別所得補償制度の概要:暫定版」(農林水産省:2011125日)

 http://ur0.link/MjhR

 

(関連)食料自給率とは:農林水産省

 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html

(関連)(別添PDFファイル)コメ増産 1%止まり、18年産作付け減反廃止でも慎重(日経 2018.10.3

 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html

 

(田中一郎コメント)

 日本は主食用米の自給率は100%であり(注)、主食用米をこれ以上いくらたくさん生産しても、米価が暴落するだけで、食料自給率の向上にはつながりません。他方で、主幹穀物である麦や大豆は自給率が10%にもみたず、(麦、豆類(大豆・小豆など)、てんさい、ジャガイモ、の輪作体系ができている)北海道を除けば、小麦も大豆も、その産地形成ができていないのです(大豆なら佐賀県、麦なら群馬県・栃木県あたりが生産が盛ん)。理由は、麦や大豆は海外産のものに日本の市場を開放してしまったこと(麦は国家貿易品目ですが、市場は海外産が大半です。また、国産小麦は品質的にパンに向いていない、という問題があります)です。簡単に言えば、国際市場原理主義に(もっと言えば、アメリカ・北米産の麦や大豆やナタネに)、日本のコメ以外の飼料を含む穀物農業を献上してしまった結果です。

 

(注)にもかかわらず、アメリカなどから年間77万トンもの「ミニマムアクセス米」を押し付けられている現状は許しがたいものがあります。せめて国内市場への持ち込みをやめて、一部を海外援助米、一部を非常用の備蓄米、一部を飼料米などの用途に用いればいいものを、日本政府は、このうち10万トンを主食用米(SBS方式)、20万トンを加工用米、などとして販売しています(残りが飼料用と海外援助用)。

 

(関連)ミニマムアクセス米について(農林水産省)

http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokuryo/131128/pdf/251128_sankou_siryo1-3.pdf

(関連)「MA米の輸入義務」は大ウソ(99322日第399号)

 http://www.nouminren.ne.jp/dat/9903/99032201.htm

 

従って、この状態を少しでも是正すべく、農林水産省は、主食用米の「転作」=生産調整を続けてきました。主食用米の生産をやめて、主食以外の多用途のコメ(米粉を含む加工用米、飼料米など)や他の作物(小麦、大麦、大豆、ソバ、ナタネ、露地野菜など)への転作を奨励してきたのです。しかし、ご説明申し上げたように、その奨励金の金額が不十分で、本格的な産地形成政策も取られませんでしたから、この主食用米の転作政策は結局は日本の農村で根付かなかったのです。純粋に経済的問題です。主食用米をつくるほうが、他の作物をつくるよりも圧倒的に収入がいい、という状態を解消しないまま、不十分な予算で政治の力で転作を生産者・農家に強要した、その結果が、主食用米の生産調整への歪んだ見方、あるいは「恨み節」です。自民党政府・農林水産省の、自国農業を裸のまま国際競争にさらす市場原理主義政策と、「カネ(奨励金)の出し惜しみ」政策の失敗が今日の食料自給率低迷を招いています。

 

上記の日経記事をご覧いただければ、いまだにこの財界御用新聞が「減反」(主食用米を作らせないために奨励金を出す政策)などという言葉を使っています。けしからんデマ報道です。「減反」政策など、日本には存在しません。あるのはコメ需給調整のための「転作政策」です。そして、かれら日経・財界グループの狙いは、主食用米の生産調整(転作)を廃止して生産過剰に陥らせ、その結果主食用米の価格が暴落すれば、(1)国際市場価格と同水準となる、(2)生産調整奨励金の財政負担がいらなくなる、(3)中小零細の高コスト生産者・農家が廃業に追い込まれ、日本の農業の構造改革が進む、(4)国際経済協定交渉において農業が足手まといになることを防げる、という点にあるのです。

 

この考え方の決定的な間違いは、(3)にあります。こういうことをすれば、(一部の高価格の金持ち用の農業を例外として)日本から農業は消えてなくなるということを意味します。稲作農業が全く採算が合わなくなり、稲作農家は自分たちで食べる分(自家米及び縁故米)を除き、廃業となります。実は稲作農家は、他の作物=麦、大豆、露地野菜、果樹、特産物などの生産者でもあり、そうした非主食用米以外の国産作物も同時に消えてくのです。農村では、あたり一面が耕作放棄地の田畑ばかりとなるでしょう。(この辺の話は次回の少人数読書会「大川端」の時に少し補足いたします)

 

2.(メール転送です)「『お金がない』からという脅しにどう立ち向かうか―ー松尾匡さんの議論の危うさ:再論」(白川真澄さん:PP研)

 経済政策に精通しておられる「ピープルズ・プラン研究所(PP研)」の白川真澄さんと、松尾匡立命館大学教授の経済政策提案について議論いたしました。その一部を下記に転記いたします。

 

以下はメール転送です。

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●ピープルズ・プラン研究所 - 「お金がない」からという脅しにどう立ち向かうか  ――松尾 匡さんの議論の危うさ:再論/白川真澄

 http://www.peoples-plan.org/jp/modules/article/index.php?content_id=209

「sirakawamasumisan_matuohihan_ronbun.pdf」をダウンロード

僭越ながら若干のことを申し上げます。まずは、白川様の立論には多くの点で私の主張と共通するものがあり、大いに共感を持ちつつ拝読いたしました。松尾匡立命館大学教授の議論の弱点については、既に同氏との議論の(その1)~(その4)で申し上げておりますので、重複は避けて、今回は白川様の小論文の限りで、下記の諸点を指摘させていただきます。

 

1.松尾匡立命館大学教授の議論は、いわゆるケインズ政策における「ハーヴェイロードの仮説」への信頼があるように思えます。しかし、現実の政治や政策は、ポピュリズムや選挙民の「世論」動向に左右されやすい生身の政治家が執り行いますから(原案は官僚がつくるにしても)、必ずしも適切な財政・金融政策が実施できるとは限りません。そう考えた場合、やはり、国債の日銀直接引き受けや、更には日銀(中央銀行)廃止による政府貨幣創造論のようなものは、財政・金融政策の深刻なモラルハザードを招きかねず、賛成できないのです。効果はそれほど大きくなくても、一定のけん制機能を持たせるために、日銀・中央銀行のある程度の独立性は担保しておいた方がいいでしょう。

 

2.松尾匡立命館大学教授の議論のもう一つの弱点は、白川様もご指摘かと思いますが、かなり単純化された「経済モデル」的発想から導かれているという点です。「完全雇用」概念が政策実務的には使えない旨の説明を私がしておりますが、それ以外でも、この経済モデル的発想が非常に気になります。おそらくうまくいかないのではないかと感じるのです。

 

3.「アベノミクス(の2本の矢)を上回るアベノミクスを掲げて安倍政権とたたかうという松尾提案に胡散臭さを感じ、批判を続けてきました」という点は、なかなか是非判断が難しく微妙な感じがします。私も松尾匡立命館大学教授に、アベノミクスを評価しすぎているのではないかという主旨のことを申し上げております。しかし他方では、松尾匡立命館大学教授が、左翼勢力は「反緊縮」の経済政策を掲げて選挙を闘えと主張され、また、そのための財源確保の一環で、国債などの国の借金は直ちに返済しなければならないものだとか、全部が将来世代の返済負担となる負の遺産だとか、といった主張を否定されている点は大いに評価できると、私は考えています。(私は今現在の日銀保有の国債の一部(売りオペに使わないもの)を無利息の永久債に切り替えて塩漬け機関へ移せばいいのではないかと考えています。そして、少しずつ日銀の金融政策をアンワインドしていくのがいいでしょう)

 

4.白川様の小論文については下記を申し上げます。

(1)たとえ大企業や富裕層への増税であっても、「増税」が実体経済(景気)に対して及ぼすネガティブな影響は「ある」と考えて慎重な対応をすべきだと思います。特に、タイミングやその内容、及び規模は非常に重要です。また、選挙などでは「増税」などという言葉は使わない方がいいでしょう。「不公正な税制を正すことによる財源ねん出」くらいにしておけばいいと思います。そもそも、課税されるべきものがきちんと課税されていない、あるいは巧みに納税が回避されているのですから、増税ではなくて、税制・納税の公正化です。

 

(2)公的年金基金と日銀が大量の株式などのリスク資産を抱えています。以前なら、こんなことはなかったのですが、この2つの要因により、国内外の株価動向に万全の注意を払って財政・金融政策を慎重に展開していかなければならなくなりました。これこそが、将来世代に対する最大の負の遺産です。市場をだましだまししながら、この2つの公的機関から、株式やリスク資産の処分を少しずつしていく他ないでしょう。容易ならざる事態です。

 

(関連)2020年、限界の見えたアベノミクスの「出口戦略」で年金が消える? - 政治・国際 - ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]

 https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2018/10/06/107231/

 

(3)ということで、黒田バズーガ政策で、おかしくなってしまった日銀のバランスシートや金融政策を、どうやって正常化させるか=いわゆる出口戦略を考えなければいけませんし、アホノミクスで歪められた過剰リスクの公的年金運用の在り方、更には公的年金制度の在り方も再検討が必要です。これも厄介です。

 

(4)「公正な税制」をどう実現するか、という税制改正の議論が全く不十分で、安易に消費税増税が主張され、「消費税(増税)不可欠神話」がはびこっています。これを徹底的に批判する必要があるでしょう。まずは市民運動・社会運動の側も、「公正な税制実現プログラム」を策定していく必要がありそうです。税制改革のメニュー(例)については、下記サイトの最後の方に書いておきました。

 

(関連)(他のMLでの議論です)松尾匡立命館大学教授との経済政策を巡る議論(その4):「公正な税制を求める市民連絡会設立3周年記念集会」講演を巡って いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/3-1be5.html

 

(その1)~(その3)は下記サイトにあります

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(関連)政権交代実現と、そのあとに何を目指すのかの議論に最適=『終わらない「失われた20年」:嗤う日本の「ナショナリズム」・その後』(北田暁大著:筑摩選書) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/20-c05f.html

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(関連)「消費税不可欠神話」を叩きつぶせ!:相続税をきちんと納税させれば、毎年どれくらいの税収が見込めるか いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/post-6e1a.html

 

(5)松尾匡立命館大学教授もそうでしたが、税制にせよ、国の借金にせよ、調達した財政資金をどのように使うのか、そのプログラムについても検討が十分にされていません。松尾匡立命館大学教授は「左翼に経済政策がない」と批判されていますが、(それはその限りでその通りですが)、しかし、ご自身の「不況期」における国債発行資金の使い方は、大企業を中心とする企業の投資への補助金や、ヘリコプターマネー・普遍主義的な現金バラマキのようなことに使うことを提唱されています。これについても私は大反対です(下手をすると、ここだけ「食い逃げ」されてしまいます)。社会保障にしろ、何にしろ、もっと財政支出を丁寧に、きめ細かく考え検討することが必要です。

 

(6)アベノミクスでいうと「第三の矢」に当たる政策=つまり、21世紀の日本の経済や産業をどう創っていくかという議論もまた、決定的にたりません。今の経団連に集まる財界首脳たちは、20世紀型の旧態依然の重厚長大型産業群のボンクラ経営者ばかりです。「技術立国ニッポン」などは日本のメーカー各社の相次ぐ不祥事を見れば「今は昔」の話であり、今日の日本は「インチキ技術立国」さながらです。原発・核燃料サイクルがその典型と言っていいでしょう。日本企業は役職員一体となってモラル低下が著しい事態となっています。これでは日本経済の将来は暗い。この経済政策というか、産業政策というか、ビジネスモデル改造というか、企業文化・社会的責任というか、これらを地域経済活性化・振興政策と関連させて、もっと議論しなければいけないと考えています(私は、数十万人の人を正規職員として採用する「地方振興公社」(仮称)政策を1つのメニューとして考えています。いわゆる「NEWニューディール政策」です。特に、正規職を得られない若者や、中年化したロスジェネ世代へのきちんとした職場として設置すべきです)。

 

まだ他にもあるかもしれませんが、それはおいおい申し上げていきます。

よろしくお願い申し上げます。

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草々 

 

 

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