何でもかんでも大規模化すればいいというものではない=さしたる検討もされずに今般成立した「森林経営管理法」と「森林環境税」は、大規模皆伐によって日本の森林・山林を荒廃させる可能性大
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.(10.11)「日本のダムと河川行政:この旧態依然をどうする?」(嶋津暉之さん)(オルタナティブな日本を目指して:第17回新ちょぼゼミ) いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/17-394c.html
●福島原発告訴団 お知らせ
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.com/p/blog-page_88.html
●公開座談会「不思議な紳士が語る 日本が目ざす不思議な未来」(東京・西早稲田)
http://www.labornetjp.org/EventItem/1536296614589staff01
2.キャンペーン
(1)キャンペーン · 内閣総理大臣 安倍晋三 いまこそウソとごまかしの「安倍政治」に終止符を! ·
Change.org
(2)キャンペーンについてのお知らせ · 10月からのさらなる生活保護基準の引き下げ反対署名運動の報告とお礼 ·
Change.org
(3)キャンペーンについてのお知らせ · 第3回「奈良公園の環境を考えるシンポジウム」に作家の夢枕獏さんと椎名誠さんが登壇
· Change.org
3.「国体の150年」としての近代日本史(白井聡)
- 個人 - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/shiraisatoshi/20180523-00085571/
4.室井佑月「竹中平蔵・パソナグループ会長」〈週刊朝日〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180905-00000009-sasahi-pol
https://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2018090500009_2
5.健康で文化的な最低限度の生活 - FOD - フジテレビの動画配信サービス
http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4f37/?ugad=DSnvHcnS&wapr=5b8e8099
(関連)健康で文化的な最低限度の生活 1巻 - 小学館eコミックストア|無料試し読み多数!マンガ読むならeコミ!
https://csbs.shogakukan.co.jp/book?book_group_id=8443
(柏木ハルコさん原作のマンガをベースにしたこの番組、とてもよかったのですが、昨日の放送によれば、次回来週で最終回だそうです。もっと長期にわたり、日本の生活保護行政の現場やケースワーカーさんたちの悩みや苦労を題材にして、こうした放送を続けてほしいものです。今のTVは貴重な番組の寿命が短いという致命的な欠陥を抱えています。:田中一郎)
6.トランプ政権 瞬間風速
このオレサマ政権は「どうしようもなく愚かでロクでもない」だけでなく「危険」です。11月の中間選挙で共和党を大きく敗北させ、トランプ政権をレームダックにする必要があります。しかし、私が見るところ、アメリカ国内はそのようには動いていないように思えます。最大の原因は、野党民主党が駄目だということです。また、最高裁判事たち(アメリカは終身判事)が保守反動化してしまい、あらゆる革新的な政策にクレームがつく事態に陥り始めています。日本と非常によく似た社会・政治現象が起きています。
(1)CNN.co.jp トランプ政権暴露本、発売前に100万部達成
https://www.cnn.co.jp/showbiz/35125417.html
(2)「政権幹部がトランプの悪政を阻止」匿名の高官が暴露 大統領激怒、大騒動に NewSphere
https://newsphere.jp/politics/20180907-3/
(3)CNN.co.jp トランプ氏の支持率低下、無党派層で最低値を更新 CNN調査
https://www.cnn.co.jp/usa/35125413.html
(4)トランプ大統領の2670億ドル対中関税、米消費者の「全身」を直撃へ (Bloomberg)
https://web.smartnews.com/articles/fdnhWYZmXFD
(5)トランプ政権、油井・ガス井へのメタン排出量規制緩和へ-関係者 (Bloomberg)
https://web.smartnews.com/articles/fd27DEamH9e
(6)米兵など捜査ならICC判事らの逮捕・訴追も、ボルトン米大統領補佐官 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/3189142
(7)米の制裁警告に「ひるまず」=国際刑事裁 (時事通信社)
https://web.smartnews.com/articles/fdjXvY3UFex
(9)トランプ大統領:日本は「大きな問題」に、米国との通商合意なければ - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-07/PEP3EX6JIJUO01
(9)もう利用価値なし 安倍首相がトランプにクビ宣告される日|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/237159
(Walking
Disgrace=「歩く恥さらし」安倍晋三、まもなく「ポイ捨て」の運命か? いやいや、トランプにしがみつく手段として日米FTAがある。売国奴政権がTPP協定の更に下を行く下劣経済協定を結ぼうと画策中です。一刻も早く政権交代を。:田中一郎)
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久しぶりに森林・林業の話をいたします。日本の森林・林業について申し上げたいことは、以前にお送りした下記サイトのレポートをご覧いただけるといいと思います。これからご紹介することも、この考え方に基づいております。また、木材生産林(経済林)の施業展開をどうするか=言い換えれば、日本の素材丸太生産業(これを狭義の林業という:*注)が今後どうしたらブレイクスルーをして復活産業から成長産業へと脱皮していけるか、その展望を描いたものが、下記の梶山恵司(かじやま
ひさし)氏の著書です(梶山氏には他にも著作が多くあります)。梶山氏は民主党の菅直人政権時代の内閣参与で、当時の森林・林業再生プラン策定のトップブレインだった人で、その論理展開は非常によくできています。また、政府・農林水産省が今現在で森林・林業をどう見ているかは、直近の森林・林業白書を見ておけばとりあえずいいでしょう。
●日本の森林・林業政策のどこがおかしいのか=森林を木材生産畑としか見ない産業至上主義が「人工単一樹種針葉樹単層林」という貧相な生態系森林を「拡大造林」と称して造り続けたところに根本問題がある
いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/post-c69e.html
今回は今般成立した「森林経営管理法」と「森林環境税」の2つに着目してみます。ポイントは、市場原理主義者やボケた経済学者の言うように、何でもかんでも大規模化すればいいというものではないということです。林業の場合には、本来の持続可能な林業で行われる施業方式をとれば、大規模化したからといってコスト低減になるとは限りません(林道路網の整備が大変、日本は傾斜地や「山あり谷あり」が多い、などだから)。しかし、大規模化して広域面積を乱暴に皆伐すればコストは安くて済むでしょう。しかし、その後が悲惨なことになります。
この法律と税制は、日本国中いたるところで大規模皆伐による日本の森林・山林を荒廃させる可能性が大きいということであり、また、木材産業が本来目指すべき木材の高度付加価値利用や「カスケード利用」など、川下産業の抜本的転換を棚上げにして、チップにして燃やしてしまったり、合板や集成材などの低質材用のEW(エンジニアリングウッド)に加工するなど、お粗末でもったいない国産木材資源の低レベル利用を横行させそうな気配です。更に、福島第1原発事故による放射能で汚染した福島県をはじめ、関東・東北の山林では、除染を兼ねた大規模伐採と、そのバイオマス発電利用が拡大しそうな様子もあり、放射能汚染の二次災害・二次汚染の懸念が出ています。(放射能汚染地帯での林業・木材産業を含むすべての産業活動をやめよ!)
(関連)カスケード利用 - Wikipedia
結論だけを申し上げておきますと、日本の林業や木材産業は、こうした大規模低コスト大量生産・低レベル利用の方向ではなく、林業ならば、素材丸太生産業として持続可能な長伐期択伐林業による良質大径丸太の継続的安定生産と、森林の様々な機能を生かした「森業(もりぎょう)」への転換、そして風土や気候に合致した多様な森林の造成(広葉樹林・照葉樹林の新規造林など)、また、川中の製材加工業では、スギ・ヒノキなどの無垢材の乾燥材(曲がりや割れを防ぐ乾燥技術が重要)供給体制の確立や産業としての「近代化」、川下の木材利用業では、何よりも(無垢材利用の)木造建築普及のための体制づくり(大工や左官の養成、地場建築業者へのテコ入れ、木造建築技術の高度化研究、大学や研究所での林学や木材加工分野での研究室の開設など)などが重要です。(木造建築住宅の普及推進については所管の国土交通省が消極的な姿勢を続けています。これでは日本の林業や木材産業は発展しません。林業や木材産業は、特に過疎地域や山村地域での地域経済振興の柱ですから、この国土交通省の態度は一変させる必要があります)
(関連)なぜ日本の住宅は「本物」の木を使わないのか エネルギーから考えるこれからの暮らし 東洋経済オンライン
(参考)日本林業はよみがえる 森林再生のビジネスモデルを描く-梶山恵司/著(日本経済新聞出版社)
(参考)森林・林業白書:林野庁
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/
(参考)林野庁ホームページ
注:申し上げるまでもありませんが、森林は木材生産のためだけに存在しているのではありません。人間を含めた地上の生物が生息する生態系の基盤・生物多様性の宝庫=生きる場として、また、光合成により二酸化炭素を酸素に転換して生物の呼吸源である酸素を大量に供給する「地球の肺」として、あるいは、人間との関係で見ても、森林はさまざまな効用を人間に与えてくれる「大地の恵み」でもあり、そうしたことはかつて農林水産業・林野庁でも「森林の多面的機能」と称して重視していました(例えば、森林の多面的機能に着目した森林計画制度など)。現在の森林・林業基本法は、それまでの木材生産のみに着目する林業基本法に代えて、森林の多面的機能に着目する基本法として、衣替えされたものでした。それがここにきて、目先のカネことだけで忘却・棚上げされようとしています。愚か極まりないことです。
<別添PDFファイル>
(1)持続可能な山づくりに逆行しかねない「森林経営管理法」(イントロ部分)(尾原浩子『世界 2018.8』)
(2)山林破壊「国富投げ売り」政策の暴挙、愚劣極まる「森林経営管理法」(『選択 2018.6』)
(3)林野庁が「森を無くす」? 「皆伐」に新規補助金、盗伐
全国で被害(東京 2018.1.18)
(4)「林野庁がデータ操作」、森林バンク法案
指摘受け資料修正(東京 2018.4.25)
(5)木材の「盗伐」相次ぐ(朝日 2018.8.31)
(6)手に余る人工林 管理委託、林野庁「森林バンク」創設へ(朝日 2017.9.18)
(7)森林経営の規模拡大と新税(秋山豊寛『生活と自治 2018.9』)
(8)年1000円の森林環境税創設、「隠れ放置資産」をなくせ(片野洋平『日経ビジネス 2018.5.28』)
(9)新建材CLT、国が100%補助、異例の厚遇 疑問の声、無垢材との補助率の差は歴然(東京 2018.5.17)
(10)(参考)協会報:日本林業
第2巻第9号(日本林業協会 2010.12.24)
1.持続可能な山づくりに逆行しかねない「森林経営管理法」(イントロ部分)(尾原浩子『世界 2018.8』)
「sinnrin_keieikanrihou_sekai.pdf」をダウンロード
https://www.iwanami.co.jp/book/b372513.html
(一部抜粋)
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(中略)このため、品質や山の特性を考えず、伐採量だけにこだわる大規模な皆伐が各地で社会問題化している。一度通るだけの作業道を無理やりに作り、伐採後は植林を一切しないような荒い伐採方法が目立つ。こうした儲け主義の伐採業者が「意欲ある林業経営者」とみなされかねず、さらに伐採を推奨する同法によりミスリードして過剰な伐採が進み、丸裸になる山も今以上に増える可能性がある。
徳島県那賀町で一〇〇ヘクタールの森林を所有し、自ら伐採、搬出、植林する林業者の橋本光治さんは「森林経営管理法の下では大規模な伐採業者だけに集約化される方向性に進むだろう。それでは絶対に日本の林業は良くならない。余計に荒れる山が増える」と警鐘を鳴らす。持続可能な山作りをする橋本さんは全国に講演に出向き、各地の山や林業者を知る。それだけに「忍耐強く持続的な森林を作ることが荒廃する森林の対策になる。林野庁は金の使い方が間違っている。法律のような、現場を知らない短期的な対策は失敗する」と明言する。
(中略)林野庁が伐採時期の目安を設定し、山の実情を知らない行政担当者が増えている現状や皆伐が社会問題化している実態を踏まえれば、「今だけ、金だけ、自分だけ」で伐採量だけを重視した施業が横行する恐れがある。
(中略)愛媛大学の泉英二名誉教授は「林業構造全体を、公共的な利益から経済性の追求に転換させるものだ。これまでの政策では、災害の防止を目的とした間伐に重点が置かれていた。しかし、今後は儲けるために大量の木材を供給する主伐を主軸に据えられる。森林所有者に伐採、造林、保育を義務化した上、実施しない所有者から経営管理権を奪って主伐してしまおうというのは、憲法が保障する財産権や、営業の自由を侵害する恐れがあり、強権性が際立っている」と指摘する。
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(田中一郎コメント)
この法律は、上記にもあるように、ほぼ間違いなく「森林荒廃促進法」となるだろう。持続可能で多様な森林を造成・維持していくための森林施業の方法が定まらないうちに、伐採時期が来たからと、戦後営々と築かれてきた針葉樹の人工林を、できる限り集約・大規模化して皆伐し、低価格の材木を大量供給させようというのがこの法律の狙いである。材価が安い今日のような時には無理に伐採せずに間伐・択抜を繰り返して長伐期林業にシフトし、持続的に山林・森林を活かしていこうとする林家・森林経営者は、経営意欲のない者だと決めつけられ、この法律に基づき、自分の森林が勝手に伐採・処分されてしまうことになりかねない。この権力的で強引なやり方は、このところ農林水産政策において目立ち始めており、おそらくはその背後にアメリカを筆頭にする多国籍資本の動きがあるものと推測される。日本の山林・森林は、さまざまな観点から外国資本により狙われていると言っていいだろう(例:水源林(水)、観光林(レジャー)、木材生産林(材木)、など)。
(以前にメール発信した私のコメント)
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別添PDFファイルに書かれている今日の林野庁の林業政策は、まさに「森林=木材生産畑」の発想でなされてしまった旧態依然の林業政策で、しかも、森林・木材資源の多様性や特性を無視し、今はやりの「何でもかんでも燃やしてしまえバイオマス発電」に忠実に寄り添う、私から言わせればトンデモ林業政策です。貴重な森林・木材資源は、その特性や品質に対応した、いわゆる「カスケード利用」を基本とすべきであって、なんでもかんでも燃やして電気にすればいいというものではありません。
しかし、別添PDFファイルで尾原さんがご指摘のように、この新法をなすが儘に任せておくと、日本の森林は今以上に荒廃する可能性が高いのです。今や政策能力が極めて疑わしくなった林野庁の考え方の根底にあるのは、旧態依然の「短伐期(約50年)皆伐林業」であり、森林は「木材生産畑」であって、それ以外の森林の多面的機能などは「グリコのオマケ」「一般の人をだます方便」くらいにしか考えられていないということです。
そういう意味では、別添PDFファイルの論文は「森林経営管理法」という今般の新法を問題としておりますが、ことはそうした新法に限定されるものではなく、およそ日本の森林・林業政策に通底する、かなり深刻な「思考停止の林業固定観念」の問題ともいえるものです。このままこの林野庁の法律をなすがままにしておけば、日本全国各地で乱暴な皆伐放置林業が頻発し、日本の森林環境や林業の在り方に深刻な弊害をもたらすであろうことが推測されます。市町村への啓蒙活動も含めて、日本の林業政策の抜本転換を模索していく必要があると思われます。
今から数年前、民主党政権の少し前くらいから、富士通総研の梶山恵司(かじやま
ひさし)氏が何度も何度も日本林業に提案をしていた、長伐期択伐林業と林道・路網の整備、人工林における環境保全型林業の考え方は、今や林野庁においては歯牙にもかけられていない様子が見て取れます。愚か極まりないというよりも、不勉強極まりない、と言った方がいいでしょう。
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2.山林破壊「国富投げ売り」政策の暴挙、愚劣極まる「森林経営管理法」(『選択 2018.6』)
https://www.sentaku.co.jp/articles/view/18020
(この『選択』の記事の主旨も、上記1.と同じで、強権発動法である「森林経営管理法」で、まずは民有林から大規模面積の森林を皆伐させて大量の木材を川下業界(製材加工業者、住宅業界、バイオマス発電事業者、木材輸出商社など)へ送り出させようという主旨の法律であるということ、そしてこの記事では、今度は国有林野経営管理法、ないしは国有林経営方針が改訂され、外資を含む民間企業に国有林野が売りに出されてしまう(立木売り)であろうことを予測している。その通りである。
森林の多面的機能や多様な森林の造成、21世紀にふさわしい高付加価値の高度化林業に関するビジョンも技術もないままに、ただ森林資源が成熟してきたからまとめて伐採してしまえ、バイオマス発電用にチップにして燃やしてしまえ、もしくは木材加工に回して合板にしてしまえ、などという、お粗末・乱暴・低付加価値・無駄の多いの川下木材の利用を促進してしまうことになるだろう。
豊かな森林をこれまで維持してきたこの日本が、この法律と、森林・林業の実態を知らない・知ろうともしないボンクラ官僚やゴロツキ・タカリの政治家たちによってボロボロにされてしまいそうである。しかも、まもなく創設されるという「森林環境税」などという「虚偽表示税制」で吸い上げられた税金が、こうした森林破壊施業(大規模皆伐)に使われるとなれば、穏やかではいられない。日本という国は、政治や行政がおかしくなり、歪み切った政策や施策が、国を亡ぼすような事態となってきた。:田中一郎)
3.林野庁が「森を無くす」? 「皆伐」に新規補助金、盗伐
全国で被害(東京 2018.1.18)
「kaibatu_hojokin_tokyo.pdf」をダウンロード
(サイトにある記事を是非読んでみてください。自分の森林が知らない間に伐採されていて(討伐)、しかも、その伐採施業に補助金が交付されていた、などという「お粗末」では済まされないようなことが起き始めようとしている様子です。警察や地方行政は、何ゆえにこの森林の盗伐をもっと厳しく取り締まらないのでしょうか? 何か裏事情でもあるのでしょうか? :田中一郎)
(関連)「森林バンク 森はよみがえるか」(時論公論)解説アーカイブス NHK 解説委員室
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/298661.html
(関連)森林バンク創設=市町村管理で林業活性化:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018052500248&g=eco
4.「林野庁がデータ操作」、森林バンク法案 指摘受け資料修正(東京 2018.4.25)
https://matomedane.jp/page/7383
(制定しようとする法律がまともな法律なら、かような詐欺行為はしないものだ。こういうことをやってまで法案を通そうとしているところを見れば、やはり問題だらけの法律案なのだ。その法律の名は「森林経営管理法」、別名「森林バンク法」だ。農業政策の「農地バンク」「農地集約=大規模化」とそっくり同じ発想である。しかし、何でもかんでもデカくすればいいというものではない。かようなことよりも、日本の森林を木材生産畑と見ないこと、そして、木材生産を目的とする森林の場合には、持続可能な施業の在り方や、川下におけるニーズ開拓に合致したような木材の供給体制をつくる必要がある。私はそれを、長伐期択伐林業による大径木材搬出と無垢木材の高付加価値利用ではないかと考えている。:田中一郎)
5.木材の「盗伐」相次ぐ(朝日 2018.8.31)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13658094.html
(昨今では、全国各地で起きているようだ。私の記憶では、TBS「報道特集」で見た宮崎県の事件では、県警がこの盗人事件が起きても動こうとはせず、多くの被害者・山林地主さんたちが泣き寝入りをしている様子だった。警察は何をしているのか! 怠慢そのものだ! こういう盗人行為をとっつかまえるためにこそ警察があるのであって、仕事をしないのなら、さっさと解散してくれ! :田中一郎)
6.手に余る人工林 管理委託、林野庁「森林バンク」創設へ(朝日 2017.9.18)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13138735.html
7.森林経営の規模拡大と新税(秋山豊寛『生活と自治 2018.9』)
http://seikatsuclub.coop/seikatsujichi/about.html
8.年1000円の森林環境税創設、「隠れ放置資産」をなくせ(片野洋平『日経ビジネス 2018.5.28』)
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/093000009/051800138/?ST=pc
(この記事は「森林環境税」のカネで整備するという森林の所有者がわからなくなってきていて、それでは整備もできないので何とかしろという話を解説しています。関連して申し上げておけば、日本は世界でも珍しく森林などの国土を外国企業や非居住者が取得するにあたり、何の法規制もない、というおかしな国です。それがためか、北海道や長野県・和歌山県・三重県などを中心に、外国企業や非居住者の森林取得が拡大しているというのです。しかし、所有名義が日本人や日本企業など「ダミー」を使ったものになっていたりして、その実態はよくわかりません。林野庁が調査してその結果を公表したりしていますが、あんなものは表面だけをなぞったものにすぎず、物事のごく一部にすぎません。やはり、罰則付きで申告制度を創り、きちんとした調査を行い、外国企業や非居住者の森林取得には必要な規制を入れていくべきでしょう。また、所有者不明の土地や森林が増えていることについても、相続時の登記義務化や不明地の没収など、適宜適切な対応を行っていくべきです。所有権を金科玉条にして、森林を含む環境整備の手抜き行政をしていてはいけないだろうと思われます。:田中一郎)
(関連)国は「所有者不明化」の実態と土地制度の不備を直視すべき
国土資源保全 東京財団政策研究所
https://www.tkfd.or.jp/research/land-conservation/a00875
9.新建材CLT、国が100%補助、異例の厚遇 疑問の声、無垢材との補助率の差は歴然(東京 2018.5.17)
「clt_100_hojo_tokyo.pdf」をダウンロード
(一部抜粋)
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政府は国産木材の活用を促進するとして、商業施設などを建てる際、新パネル建材CLT(直交集成板)を使用すれば、建設会社にその購入費用の全額を丸ごと補助する異例の制度を今月から始める。政府は以前からCLTの活用を後押ししてきたが、普及は進んでおらず、この優遇策で利用拡大を図る狙いとみられる。しかし、林業関係者からは他の建材との補助率の差を疑問視する声や「CLTが普及しても国内林業の活性化にはつながらない」との指摘が出ている。
(中略)制度では、CLTは千五百万円を上限に、一立方㍍当たりの補助額は市場の平均価格の十五万円。つまり、補助率は100%だ。一方、工法が異なる無垢材は百万円を上限に、建物面積一平方㍍当たり二千円に設定されている。
(中略)他にも奇妙な点がある。同制度の背景には、戦後道成した人工林を活用し、林業を成長産業にするという大義がある。ところが、補助金は輸入材にも出る。実は、輸入CLTは国産の半額程度と安価だ。「国内産だけに税金を投入すると世界貿易機関(WTO)に提訴される恐れがある」(林野庁担当者)というが…
さらに不思議なのは、昨年秋に各省庁が行った本年度予算の概算要求で、同制度は「JAS無垢材の利用拡大」とされ、CLTへの言及はなかったことだ。林野庁の担当者は「概算要求時点ではCLTは考えていなかった」と認めた上で、「その後、施策の誘導などがあり、もっと広げるべきだとの意見があったので、CLTも入れることになった」と釈明するが、無垢材の事業が、CLT中心にすり替わったように見える。
(中略)CLTを製造するJAS認定工場は、全国に八つあったが、今年三月に秋田県能代市の会社が自己破産を申請し、七つに減った。CLTへの設備投資に見合う需要がなかったことが一因と考えられる。
(中略)林野庁の補助事業は普及への起爆剤のつもりかもしれないが、CLTとは別の新建材開発に取り組む、ある企業の担当者は「こんな補助は聞いたことがない、CLTを製造できる工場が7か所しかない以上、特定メーカーの優遇になっている。大きな違和感がある」と不満を漏らす。
(中略)「CLTの活用自体は否定しない」と語るが「製造時の木材乾燥技術が未確立という課題があるのに、拙速に推進し、日本の林業再生の救世主であるかのごとく扱うのは疑問だ」と強調する。
(中略)現在のスギの丸太価格は1m3あたり1万3千円。国産CLTが安価な輸入品に対抗するには、これを同(注 国産スギ丸太の1m3あたり価格:田中一郎)三千円にまで下げなければならないとの試算もある。「CLTの推進を目的に丸太価格を下げる圧力が高まれば、林業者の破たんにつながりかねない」
(中略)「木を伐るために何とかして法律を通さないといけない、と考えたのだろう」と嘆く。「林野庁には、日本の森林を長期にわたってどうしていくか、というビジョンがない。直近2~3年間の木材利用を増やすという考えばかりだが、このままでは10年後、20年後に日本ははげ山だらけという、ぼろぼろの状態になってしまう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(田中一郎コメント)
私はこの記事を見た時に、アホか、と思いました。今や林野庁の役人どもは、林業や木材産業の現場を知らず、従ってまた、林業や木材産業の政策を策定する能力もほとんど喪失してしまっていることを意味しているように思えます。上記でも申し上げましたように、また、この記事の中にも出てきますように、今現在、日本での木材利用推進の柱は、無垢材の利用促進と木造住宅の供給体制の整備です(人的体制も含め)。そのためには、木材の乾燥技術に磨きをかけて、建材としての木材の価値を高めなければいけませんし、規格を統一するなど、建材としての木材の供給を安定化させて、恒常的に住宅産業に使ってもらえるようにしなければいけません。合板の一種であるCLTにだけ肩入れしても弊害が生れるだけで、木材利用の推進・促進にはつながらないのです。ことは川上所管の農林水産省、川下所管の国土交通省が、連携・協力しながら進めなくてはいけなくて、そのためには政治主導が必要です。今のゴロツキやタカリばかりを集めた自民党には無理でしょう。政権交代を待つしかありません。
(関連)大量の流木、二次災害懸念 豪雨、川に押し寄せ氾濫の原因に:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S13606291.html?ref=nmail_20180726mo
(「人工単一樹種針葉樹単層林」ばかりを造林し、造林した後、手入れもせずに放置しておくから、山は荒れ、台風や集中豪雨があると、山肌の土砂もろとも、そのツマヨウジのような針葉樹立木が、人里に向かって流れ出てくることになるのです。針葉樹林は樹木の根も浅く、保水力は広葉樹林に比べて劣ります。森林・林業政策の失敗=森林を木材生産畑としか見ない愚かな考え方が、現代日本の災害の激甚化をもたらしていると言えます。:田中一郎)
10.(参考)協会報:日本林業 第2巻第9号(日本林業協会 2010.12.24)
http://www.j-forestry.or.jp/publics/index/21/
11.キャンペーン · 衆議院議長様 参議院議長様 内閣総理大臣様 農林水産大臣様 環境大臣様
全国市長会会長様 全国町村会会長様 スギ・ヒノキの放置人工林を、森林環境税をつかって、天然林に再生してください ·
Change.org
(田中一郎コメント)
森林を「木材生産畑」としか認識せず、市場原理主義的な発想で森林経営を矮小化し、結果として、貴重な天然林・自然林・広葉樹林を皆伐しては「人工単一樹種針葉樹単層林」という極めて貧相な生態系森林づくりを「拡大造林」と称して邁進し、そしてその後は財政資金が枯渇して、(針葉樹の苗木を)植えっぱなしにしているのが、今の林野行政であり、国有林経営です。ですので、「放置人工林を天然林へ」という選択判断は、非常に貴重なものです。
ただ、その場合、大事なことは、どのようにして(森林施業の方法や政策展開の仕方など)、どの場所の「放置人工林を天然林へ」誘導していくか、また、その森林経営や森林施業主体は誰なのか、という点が重要です。そして、それに関連して、
(1)民有林の場合には、外国資本や外国人(非居住者)による森林取得がやりたい放題に放置されており(名義借りも横行しているので、林野庁などの単純な表面的調査ではその実態はわかりません)、これに対して厳格な法規制をかけなければ、やがて厄介な事態となりかねません(水資源の争奪の可能性など)。しかし、日本政府や自民党のアホウどもは、国際市場原理主義に頭がイカれていて、日本の国内森林やその他の土地への外国からの投資への規制が国際経済秩序を乱すと認識して放置したままにしています。こんな国は日本くらいのものでしょう(農地や沿岸海面は農地法や漁業法で守られてきましたが、それも今や危うくなっています=規制改革推進会議がその破壊の先兵です)。
(2)ご指摘の通り、国有林は「売りに出される」可能性があります。「保安林指定」があれば大丈夫などとは思わない方がいいと思われます。その運営もまた、過去の経験から鑑みると極めていい加減です。国有林経営もまた、2000年代初頭に、一度ガラガラポンで過去の赤字の清算をしたはずですが、そもそもの「木材生産畑」発想が依然として改まらず、かつ、その後の日本の市場原理主義アホダラ教の歪みが一段とひどくなっていて、今度は外国資本や外国人投資家に売り飛ばされる可能性も十分にあります。愚か極まりなしです。
(3)森林・林業を抜本改革し、日本の国土を保全するためにも、自民党政権を生かしておいてはいけないのです。
<関連サイト>
(1)山林放置の危うさ、保全の担い手育てよう(日経 2018.7.24)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33265230S8A720C1CR8000/
(2)「全国森林計画」から大規模皆伐を考える(田中淳夫) - 個人 - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20131008-00028735/
(3)地球環境を破壊する「無責任銀行ジャパン大賞2018」に三菱UFJ! みずほ・三井住友も温暖化や森林破壊を加速(HARBOR BUSINESS Online) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180709-00170004-hbolz-soci
草々
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