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2018年8月27日 (月)

(松尾匡立命館大学教授からのコメントをお送りいたします)Re:松尾匡立命館大学教授との経済政策を巡る議論(その2):問題は「反緊縮」政策の中身です

前略,田中一郎です。

 

松尾匡立命館大学教授より、昨日の私のメールについてコメントをいただいています。

ご参考までにお送りいたします。

 

以下はメール転送です。

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田中さま

 拡散くださりありがとうございます。めんどくさい制限すみません。ウェブ上の個人作成のグラフの利用について詳しいルールをご存知のかたはご教示いただけたら幸いです。

 

 課題と問題意識がみんなで共有できれば7割型は解決だと思いますので、その点で田中さんに合意いただいたように思いますことは心強いことです。(私はマルクス派の先輩方については概して尊敬しているものですが。)

 

 とりいそぎ、誤解を中心に。

 

 信用創造廃止論は「ポジティブマネー派」やその他の有名なヘリマネ論者が唱えていますが、MMT派は概して廃止論には批判的であるようです。ニューケインジアンも含め、廃止論に批判的な論者の論調は、私見のかぎりでは、実現可能性や現実に運用するときの問題に類するものが多いように思います。廃止とまでは言わなくても、現実の信用創造そのものの問題点については諸論者に共有されているのではないかなと思います。銀行が私益のために野放図におカネを作って経済に混乱をもたらすのは野放しなのに、なぜ政府が公益のためにおカネを作るのはダメなのかという論調はよく聞かれるように思います。

 

 それから、欧州反緊縮左翼は、EUの財政ルールについては、批判的でないどころではなく、諸悪の根元のように目の敵にしています。私のプレゼンでもこれまでご紹介してきたつもりなのですが、使い回しを繰り返すうちに落ちていったかもしれません。隠すつもりはなくむしろ強調したいところですので、意識から抜けていたことを反省します。

 

 欧州の論者のうちのコービノミクス型のもの、つまり、直接にせよ間接にせよ中央銀行の作ったおカネを公共的な投資(先方では「投資」という言葉はポジティブなイメージがあるようで、教育や福祉なども含めてこの言葉を使っている感覚がある)に使うアイデアは、直接に欧州中銀が投資するのではなく、たいてい、何かの政策銀行をかまして、直接にはその政策銀行が具体的な融資をするスキームになっています。

 

 拙論に関しましては、「消費税とその増税に対して寛容」ということはないと自覚しております。経済や財政というものが何のためにあるのかという根本に照らせば、大衆の生活に必要なものを生産する部門を抑制して労働を浮かせることは本末転倒な事態だと思いますので。

 たしかに将来的に好況が定着して人々の生活がもっと楽になり、インフレ傾向で、他に手を尽くしてもどうしても仕方ないなら、消費税を上げることは否定しませんが、その場合には、まず先に人々が豊かな福祉体制を経験した上で、これを続けるかどうかということで民意を問うべきだと思います。

 

 なお、アベノミクスが「持ち上げられ」すぎていて、他方で、民主党政権の経済政策は酷評されていて、ちょっと偏りすぎではないかとのことですが、私がこのテーマで言論活動してきたことは総じて、最初から反安倍であることが明白な人々に向けて、作戦を語るためにしていることです。安倍自民党に票を入れるかもしれない人々に向かって宣伝するときには、もっと強調すべき現実経済のひどい側面があることは承知しております。その点では例えば山本太郎さんが日頃安倍さんを攻撃して語っていることが私の認識でもあるとお考えください。

 私の役割は、有権者大衆を宣伝対象ではなくて分析対象としてとらえて、なぜ大衆が安倍自民党を支持するのかを解明することにありますので、このような点を強調することになるのだということをご理解ください。

 ちなみに、民主党政権の経済運営については、リーマン恐慌のドン底から出発したからこそ、有権者の期待が大きかったわけで、それに応えられなかったことはやはり総括してもらわないといけないところです。リーマン恐慌のドン底だったということは、田中さんが分析的におっしゃるのはかまわないですが、民主党政権をになった政治家が言ったとすると言い訳にならないと思います。

 震災についても、復興のために国債を日銀引き受けすることには錦の御旗の事態だったはずで、あんなデフレの真っ盛りでしかも震災のせいでますます円高が進んでいる時、インフレが悪化する条件など微塵もなかった。それで十分な復興や補償をしていれば、被災者は助かり復興はできておまけに景気はよくなり、悪いことは何もなくていいことばかりで、民主党政権は続いていたと思います。戦争法も秘密保護法もなかったと思います。

 

 あとは、水掛け論になりそうですが、従来中央銀行の財政ファイナンスがタブーだったのは、財政支出は一旦増やすとインフレになったからといって簡単には削れない、インフレに合わせた機敏な増税も難しいということが合理的理由だったと思います。それよりは、金融政策の方がインフレに対処した機敏な調整ができるということなのだと思います。

 欧州反緊縮論者の間では、コービノミクスに対するヘリマネ給付論のレンルイスによる批判があるのですが、それはやはり、中央銀行の作った資金で公共的な投資をすることは流動性のわなのような不況の事態での話で、景気が良くなったらやめなければならないのに、一旦公益のためにはじめた事業は簡単には撤退できないというのが理由でした。彼自身の提唱するような、人々への一律の給付金の場合は、インフレにあわせて減らしたり無くしたりするのが簡単だということです。私はこの議論に説得力を感じています。

 

 ところで、ご提案の「ニューニューディール」はいいご提案が多いと思います。

 私たちが去年の総選挙用に某党のために作って日の目を見なかった「反緊縮経済政策マニフェスト」と重なるものが多いと思いますので、またご検討いただけたらうれしいです。

 https://economicpolicy.jp/2017/12/04/1022/

松尾匡

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(昨日お送りした私のメールです)

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 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/post-54aa.html

草々

 

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