(報告)(5.24)「日本国憲法と学校教育ー主権者教育の実態を問う」(高嶋伸欣さん)(オルタナティブな日本を目指して:第11回目(新ちょぼゼミ))
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
さる5月24日(木)、水道橋のスペースたんぽぽにおきまして「(5.24)「日本国憲法と学校教育ー主権者教育の実態を問う」(高嶋伸欣さん)(オルタナティブな日本を目指して:第11回目(新ちょぼゼミ))」を開催いたしました。以下、簡単にご報告申し上げます。
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●(イベント情報)(5.24)「日本国憲法と学校教育ー主権者教育の実態を問う」(高嶋伸欣さん)(オルタナティブな日本を目指して:第11回目(新ちょぼゼミ)) いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/11-e0d3.html
戦後、日本の多くの教育現場は大日本帝国時代への反省から、日本国憲法とその下に制定された(旧)教育基本法の精神を活かし、子どもたち・学生たち一人一人の個性や主体性が尊重される民主的な教育実践を心がけてきました。しかし、政権を握る自民党など、いわゆる保守・反動の政治家たちや、それを忖度する文部科学省の官僚たちにより歪められた教育政策が、財界や国家権力が求める「期待される人間像」を「上から押し付け」てみたり、貧困な教育予算の下で市場原理主義的な教育政策が展開されたりで、常に闘いと抵抗の職場でありました。昨今は第一次安部政権時に(旧)教育基本法が改悪され、それ以降、教育の国家主義的再編が露骨に進められ、あちこちの教育委員会では教員の人権をも踏みにじる職場「強制」が行われています。今回は教育現場にお詳しい高嶋伸欣琉球大学名誉教授においでいただき「日本国憲法と学校教育ー主権者教育の実態を問う」をテーマにお話をいただきます。危機にある教育の問題をみんなで考えましょう。
講師:高嶋伸欣(たかしま のぶよし)さん
1968年東京教育大学理学研究科(地理学専攻)修士課程修了。同年東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)社会科教員に着任。1992年(平成4年)に執筆を担当した高校教科書に対する検定意見をめぐり、10年以上に及ぶ教科書裁判を国と争った。1996年附属高校教員から琉球大学教育学部教授に異動。2008年同大を定年退職、同大名誉教授。 著書:単・共著多数;教育勅語と学校教育、教科書裁判は続く(岩波書店)、使ったら危険「つくる会」歴史公民教科書(明石書店)
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日本の教育政策は、2006年の第一次安部内閣の時に教育基本法が改悪されて以降、つるべ落としのようにおかしくなってきているように感じられます。特に歪んだ教科書検定に基づく教科書内容の劣化問題や、日の丸・君が代の教員や教育現場への押付けの問題は、日本の教育を大きく歪めるとともに基本的人権侵害の問題としても深刻化しています。本来なら司法・裁判所がこうした憲法違反の行政の不当不法行為にストップをかけなければいけないにもかかわらず、日本の司法・裁判所は行政や首相官邸・霞が関追随の「ヒラメ司法・裁判所」に堕落してしまっており、歯止めが利かない状態に陥っています。腹立たしい限りです。
しかし、高嶋伸欣先生の今回の講演では、現場がかなり頑張ってそれを食い止めている旨のお話もあり、力強く感じました。教育政策については、政権交代と政治改革を主張する市民や政治勢力が、もっと真正面から取り上げて、今、自民党のゴロツキどもが文部科学省を使ってやろうとしている教育の「再皇民化」や「国家的統制」、あるいは「市場原理主義的再編」などを大きく日本国憲法の方向に逆転していく必要があるのではないかと思います。
そのためには、保守反動の政治勢力による教育政策改悪の問題を様々な選挙できちんと争点化し、有権者・国民に分かりやすい形で提示しつつ、その改革の方向や具体策も適切に打ち出さなければいけないだろうと思われます(私は少なくとも2006年の教育基本法改悪後になされた教育関連の法律改悪を基本的にはアンワインドして元に戻し、日本国憲法と表裏一体の元あった教育基本法に基づく教育政策と教育実践が再び実現されるべきだと考えています)。今回の高嶋伸欣先生のお話を参考にしながら、今後のあるべき教育政策を考えていきたいと思います。
(関連)新旧教育基本法(比較)
http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/06121913/002.pdf
以下、当日の録画(VTR)や使用したレジメなどをご覧ください。このメールの後尾には、直近の関連する教育関係報道などもご紹介しておきます。なお、5月24日当日は、この連続講演会のメインテーマである「オルタナティブな日本を目指して」に沿い、高嶋伸欣先生が来られるまでの少しの時間を使って、(事務連絡の他に)現下の情勢を踏まえた政権交代への「政策論的アプローチ」のお話を「前半」ということでさせていただきました(時間切れで十分にご説明できませんでしたので、続きは次回とさせていただきます)。これもまた下記に一緒に掲載しておきますので、併せてご覧いただければ幸いです。
(前半)(オルタナティブな日本を目指して)現下の情勢を踏まえた政権交代への「政策論的アプローチ」(田中一郎)
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ポイントは、政権交代へ向けて、既存の情勢を所与とするのではなく、「市民と野党の共闘」の担い手が主体的にその情勢を大きく転換させ、自民党や公明党などが牛耳る今日の政権・政治ではない「もう一つの政権・政治」を実現させるということ、そのための覚悟と力量が必要であるということです。私たちが政治を自分たちに取り戻す=政治を変えるということは、現存する政治情勢を大きく転換して政治家を入れ替え、その上で政治や政策を、人員・体制をつくり、財源を用意して、必要に応じて法令を制定・改正しながら、具体的に進めていくということを意味しています。選挙での勝利は「ものごと=改革の終点ではなくスタート地点」です。選挙で勝てば事は終わりではなく、そこから具体的な改革が始まるわけですから、政権交代後にどのような政治や政策を、誰がどのように展開するのかをあらかじめ具体的に描いて「市民と野党の共闘」が共有化しておかないと、政権交代後に行き詰まってしまいかねません。
●(当日録画)20180524 UPLAN【前半】田中一郎(オルタナティブな日本を目指して)現下の情勢を踏まえた政権交代への「政策論的アプローチ」YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=SyUUllXZy9Y
<別添PDFファイル他:当日レジメ>
(1)「オルタナティブな日本を目指して」レクチャーMEMO(田中一郎 2018.5.24)
「oruta_memo_itanaka.pdf」をダウンロード
(2)平成の黒い霧解散、今やったらこうなる、政党別議席「大予測」(イントロ部分)(『サンデー毎日 2018.5.20』)
「kaisan_sousenkyo_kekkayosoku_sanmai.pdf」をダウンロード
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/society/2018/05/20/post-2006.html
(3)特集ワイド:国民に恥じぬ立法府に、ばっちりまとまれば選挙で野党も勝つ(辻元清美
毎日 2018.5.21 夕刊)
「tujimoto_kokutaii_mainiti.pdf」をダウンロード
https://mainichi.jp/articles/20180521/dde/012/010/015000c
(4)日本の左派がとるべき道:欧米反緊縮左翼台頭の背景とその政策(一部抜粋)(松尾匡『週刊金曜日 2018.5.18』)
「matuotadasu_kinn_refuto3.0.pdf」をダウンロード
http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/002561.php
(5)社会保障給付 68兆円増、2040年度 政府推計190兆円(毎日 2018.5.22)
https://mainichi.jp/articles/20180522/ddm/001/010/129000c
(6)市民がつくるオルタナティブ日本の政権構想(素案:加筆修正)(2018年5月24日)
(後半)「日本国憲法と学校教育ー主権者教育の実態を問う」(高嶋伸欣さん)
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●(当日録画)20180524 UPLAN【後半】高嶋伸欣「日本国憲法と学校教育ー主権者教育の実態を問う」YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ko57Am9qXDU
<別添PDFファイル:当日レジメ他>
(1)(レジメ)高嶋伸欣先生(1)
「rejime_takasima_1.pdf」をダウンロード
(2)(レジメ)高嶋伸欣先生(2)
「rejime_takasima_2.pdf」をダウンロード
(3)(レジメ)高嶋伸欣先生(3)
「rejime_takasima_3.pdf」をダウンロード
(4)(レジメ)高嶋伸欣先生(4)
「rejime_takasima_4.pdf」をダウンロード
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(5)戦前の学校が民主的で平等? 都教委に訂正求める請願(『週刊金曜日 2018.1.19』)
https://ameblo.jp/kalle2/entry-12345796664.html
<直近の関連サイト>
(1)君が代斉唱時に不起立、教職員の再処分は4回目都教委、教師2人を改めて戒告に
| 週刊金曜日オンライン
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2018/03/19/antena-197/
(2)行為ではなく人格を裁くのか!~河原井・根津「君が代」裁判で不当判決
http://www.labornetjp.org/news/2018/0524shasin
(3)検閲を禁じる憲法下で、教科書の検定はなぜ許されるのか
http://blogos.com/article/167902/
(4)公共教育(山口二郎 東京 2018.3.18)
http://yamaguchijiro.com/?eid=1396
(5)発言:主権者教育 社会が支えて=杉浦真理、立命館宇治中学・高校教諭 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20160504/ddm/004/070/020000c
(6)青少年健全育成基本法とは、4年前廃案 再び国会提出へ、若者支援後退、改正案なのに、ほぼ別物(東京 2018.3.9)
(7)道徳「愛国心」など自己評価 専門家から疑問の声も:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL3V3DY9L3VUTIL009.html?ref=nmail
(8)児童凌辱のマンガも出版、ヘイト出版社・晋遊舎が“道徳教科書”に参入!
安倍のブレーン・八木秀次がバックか |LITERA/リテラ
http://lite-ra.com/2018/02/post-3816.html
(9)安倍政権による「道徳の教科化」はここがダメ! 前川氏、安倍首相の「お膝元」で教育改革を批判(HARBOR BUSINESS Online) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180505-00165077-hbolz-soci
(10)「道徳の教科化」に潜む愛国教育の危うさ 学校・受験 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/220068
(次回以降のご案内)
●(6.14)「(医療現場から見る)日本の医療政策と厚生労働省=どこにどのような問題があるか」(西尾正道(独)国立病院機構北海道がんセンター名誉院長)(オルタナティブな日本をめざして:第12回新ちょぼゼミ ) いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/12-ec55.html
●(予約優先)(7.5)(カネコノミクスが導く)日本経済再生への道:金子勝慶應義塾大学名誉教授(オルタナティブな日本を目指して:第13回新ちょぼゼミ) いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/13-455c.html
●(予定)(2018年7月30日)オルタナティブな日本をめざして(第14回):「国際原子力マフィアと放射線被曝をめぐる国際情勢」(川崎陽子さん)
●(予定)(2018年8月20日)オルタナティブな日本をめざして(第15回):「原発はどのように壊れるか:金属の基本から考える」(井野博満東京大学名誉教授)
●(予定)(2018年9月10日)オルタナティブな日本をめざして(第16回):「グローバル資本主義を乗り越える日本の食料・農業政策」(安田節子さん)
草々
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