ニホンウナギの稚魚=シラスウナギ激減に見る水産庁の資源管理のいい加減と無責任(ニホンウナギだけではない絶滅危惧種と我が国の水産資源管理のデタラメ)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.署名用紙:主要農作物種子法に代わる公共品種を守る新しい法律をつくることを求めます(日本の種子(たね)を守る会)
https://docs.wixstatic.com/ugd/da4733_88a794dfc349423591d3b6654a06953d.pdf
2.(2.17)シンポ 晴海オリンピック選手村都有地投げ売り1200億円・9割値引き 住民訴訟を考える(神保町駅)
http://www.labornetjp.org/EventItem/1518225262540ylaur
「sensyumurayouti_yasunebaikyaku_news.pdf」をダウンロード
(田中一郎コメント)
「森友学園問題」=国が被った損害額は約10億円
「加計学園問題」=今治市・愛媛県の補助金約100億円
*「晴海オリンピック選手村都有地投売」事件=都が被った損害額は1,000億円(⇒今回)
「豊洲築地問題」=東京都が被った損害額は6,000億円以上
3.(別添PDFファイル)サンフランシスコ市「慰安婦」像設置をめぐる「歴史戦」(イントロ部分)(山口智美『世界 2018.2』)
「sensyumurayouti_yasunebaikyaku_news.pdf」をダウンロード
https://www.iwanami.co.jp/book/b345518.html
(一部抜粋)
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(中略)この像の碑文には、元「慰安婦」の「女牲たちの記憶のために捧げられており、世界中での性暴力や性的人身売買を根絶するために建てられたもの」だと設置の目的が書かれている。CWIC共同代表のシン氏、タン氏ともに、像設置が「一方的な主張」に基づくという日本政府や大阪市の見解に対し、CWICが一二月七日に出した声明の中で述べた「加害の事実にいくつもの解釈は存在しません。全ての性暴力の犠牲者にとって事実は一つであるのと同様、日本軍性奴隷制度の歴史的事実は一つ」という点を強調した。
さらにシン氏は、サンフランシスコの「慰安婦」像は日系人、日本人も含めた様々な市民たちが連帯して作られたもので、「反日」のシンボルなどでは決してなく、分断どころか平和運動に関わる人たちのさらなる連帯に繋がり、国際社会も応援してくれたと語った。金美穂氏も、さまざまな社会問題に取り組む人たちが「慰安婦」問題について「我々自身の正義の問題だ」と身近に意識しつつあるのを感じるという。
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(海外に出て行ってまで、歴史歪曲のかような愚かなことを繰り返せば繰り返すほど、世界中のあちこちに「慰安婦像」が日本へ向けて建立されていくでしょう。安倍晋三ゴロツキ・タカリ集団の口車に乗り、歴史をきちんと勉強もせずに、教訓にもせずに、大日本帝国の国家犯罪を隠蔽したり歪曲したりすることは、日本のプライドどころか世界へ向けての恥さらしそのものであることを強く自覚すべきです。歴史への無知や歪曲、過去の国家犯罪行為の合理化を自分のアイデンティティにするなどと言うことがいかに愚かなことか、申し上げるまでもありません。
アジア太平洋戦争時における日本帝国軍隊の「悪事」を一つ残らず明らかにし、被害を受けられた方々への心からの謝罪を子々孫々までつないでいくことが私たちの使命であり責任です。わが故郷である「昔は水の都・今はアホの都」の大阪府民・市民は、一刻も早く、恥を世界にさらす大阪維新の首長や地方議員どもを地方政界から追い払っていただきたい。そうしなければ、やがて大阪府民・市民もまた「アホの仲間入り」とみなされることになりかねません。:田中一郎)
(アベ自民党=ゴロツキ集団の証明)
(関連)上から下まで沖縄蔑視 野中氏死して“ヘイト集団”自民党(日刊ゲンダイ)
赤かぶ
http://www.asyura2.com/18/senkyo239/msg/204.html
4.新ちょぼゼミ「オルタナティブな日本を目指して」
(1)(2018年2月19日)「日本外交のあり方ー新しい日本外交を切り拓くー」(猿田佐世さん:新外交イニシアティブ(ND))(オルタナティブな日本を目指して:第8回目(新ちょぼゼミ)) いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/2018219-0837.html
http://www.labornetjp.org/EventItem/1513931913115staff01
(2)(3.14)「日本国憲法と現代日本」(講師:高橋哲哉東京大学大学院教授)(オルタナティブな日本を目指して:第9回目(新ちょぼゼミ)) いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-f247.html
http://www.labornetjp.org/EventItem/1516063903911staff01
5.奄美大島:重油漂着、アオウミガメ窒息死 環境省が調査へ - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180209/k00/00m/040/123000c?fm=mnm
6.橋下徹氏のスラップ訴訟!「請求原因は世界一ちっぽけでギネスものだが言論の自由への侵害はきわめて大きい」IWJ岩上安身が「日本にも反スラップ法が必要」と外国特派員協会で訴え! IWJ Independent Web Journal
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/411329
7.クローズアップ2018:世界同時株安 景気変調の不安、連鎖 米金利上昇引き金 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180207/ddm/003/020/146000c?fm=mnm
(関連)不気味な一致が次々…市場が震えるブラックマンデー再来
日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/222739
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今日は、いつもの原発・被ばく・放射能や戦争・共謀罪・税金などの話を離れて、あまりみなさまが日ごろ目にしない「水産資源管理」のお話をいたします。寒流と暖流が日本列島の近海でまじわり、さまざまな種類の魚種や海洋生物が大量に生息し、その豊饒の海から私たちはこれまでたくさんの海の幸を授かってきたのですが、それが戦後、わずか70年ほどで水産資源の枯渇とさまざまな生物種の絶滅の危機が迫るという、とんでもない事態が徐々に徐々に進行しはじめました。以下、昨今の報道などから水産資源と漁業について若干のご説明をいたします。
<別添PDFファイル>
(1)シラスウナギ絶不漁、絶滅危惧なのに規制緩く、水産庁「資源管理できている」「漁獲制限と生育環境改善を」(東京 2018.1.30)
(2)ウナギの稚魚減った? 養殖用前年の3.4%、河川環境悪化 乱獲も影響(毎日 2018.2.12)
(3)ウナギ稚魚 超不漁、前年の1/100 高騰必至(毎日 2018.1.15 夕刊)
(4)クロマグロ漁 自粛要請、水産庁小型魚、全沿岸漁業者に(日経 2018.1.24)
(5)魚介水揚げ量、記録的低水準に、サンマ 半世紀ぶりに不良(日経 2017.12.30 他)
(6)公海の生物保護 なぜ必要? 乱獲や環境破壊を防止、国連が条約検討(毎日 2018.2.10)
(7)魚介水揚げ量、記録的低水準に(日経 2017.12.30)
(8)日本漁業が衰退したのは非効率な家族経営体が原因か? 漁民の声無祝する規制改革にNO(『週刊金曜日 2017.9.15』)
(9)北極海公海の漁業禁止、当面16年間 沿岸国、日本合意、温暖化背景(東京 2017.12.4)
ますは下記の「コモンズ(共有地)の悲劇」をご覧ください。
(関連)コモンズ(共有地)の悲劇 - Wikipedia
これは古典的な公共財の取扱いの難しさをコンパクトに表現したものですが、21世紀に入った日本の漁業・水産資源管理の世界で、まさにこの悲劇が現実化しているのですから驚きです。漁業の世界や漁村では、こんなことは数百年も前から分かっていることで、世界各地の漁業や水産資源を管理する為政者たちは、この「コモンズ(共有地)の悲劇」が起きないためのさまざまな対策を講じて今日に至っています。
ところがです。四方を豊饒な海に囲まれた漁業大国のこの日本では、漁業や水産資源の管理に責任を持つべき役所である農林水産省・水産庁が、簡単に言ってしまえば資源管理をさぼり、あるいは意図的に手抜きをし、水産資源の枯渇=生物種を絶滅の危機に追いやっているから驚きです。いったい農林水産省・水産庁は何をしているのでしょうか。話を進めるにあたり、とてもいい記事が東京新聞の「こちら特報部」に掲載されましたので、まずはそれを見ていただくのが早いと思います。
1.シラスウナギ絶不漁、絶滅危惧なのに規制緩く、水産庁「資源管理できている」「漁獲制限と生育環境改善を」(東京 2018.1.30)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2018013002000162.html
(一部抜粋)
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ニホンウナギの稚魚、シラスウナギが深刻な不漁に陥っている。鹿児島、宮崎などの主要産地では、前年の一割前後の採捕(漁獲)量が続いている。水産庁は詳しい原因は不明としているが、有識者からは資源管理の甘さを指摘する声が上がっている。ニホンウナギは国際自然保護連合(IUCN)が「絶滅危惧種」に指定しており、手をこまねいていると、日本の食卓から消えかねない。水産行政だけでなく、消費者の意識にも変革が求められている。
(中略)シラスウナギの漁獲高は一九六〇年代、年間百トン前後だったが、九〇年代以降は二十トン前後に落ち込む。記録的不漁の二〇一三年はわずか五トンだ。翌一四年、IUCNがニホンウナギを「近い将来、絶滅の危険性が高い種」である「絶滅危惧1B類」に指定した。このため水産庁は中国、韓国、台湾と協議。シラスウナギは漁獲時の監視が難しいとして、養殖池に入れるシラスウナギの量(池入れ量)を規制することになった。池入れ量の上限を一四年実績から20%削減し、21.7トンにした。
ただし、この基準となった一四年はシラスウナギの当たり年。規制は一五年から適用されているが、以後、規制に引っ掛かった年はない。事実上の「取り放題」状態が、今回の不漁につながったのではないか。水産庁栽培養殖課の担当者は「この仕組みで過剰な採捕は防げており、取りすぎたから減ったという指摘は当たらない。シラスウナギは管理できている」と話す。今回の不漁については「シラスウナギは豊漁と不漁がはっきりしており、資源管理とは分けて考えないといけない」と主張。今後の規制値の変更については「状況を見て判断する」と話す。種の絶滅に対する危機感は薄いようだ。
(中略)すでにサンマやマイワシなど七種で「漁獲可能量(TAC)」を事前に決める方法が取られており、対象魚種の拡大と解釈できる。この制度は、水産庁がTACの規制枠を、想定される漁獲量よりかなり大きく設定することで、骨抜きにされているとの指摘もあるが、ニホンウナギが対象魚種になれば、漁獲段階での監視の目は強まる。しかし、水産庁の担当者は「演説は水産資源一般のこと。シラスウナギについて導入する話はない」と取り合わず、従来の池入れ量での規制を続ける方針だ。
水産庁は「管理できている」と胸を張るが、そもそもシラスウナギ漁は、正確な漁獲量さえ把握できていないのが現状だ。同庁によると、二十四都府県で漁が行われており、約二万人が漁獲許可を受けている。一六年十一月から昨年五月にかけ、全国の池入れ量は19.6トンたったのに対し、都府県に報告された漁獲量と輸入の合計は12.5トンにととまり、7.1トンもの開きがあった。
なぜ、大量の「出所不明」ウナギが存在するのか。中央大ウナギ保全研究ユニット長の海部健三推教授(保全生態学)は、これらの差について、漁獲著が実際より少なく申告する「無報告」や許可を得ない「密漁」、台湾などからの「密輸」の可能性を指摘する。無報告については、シラスウナギを高く買ってもらおうと、指定の県内業者ではなく県外業者に販売し、県には漁獲量を過少申告するケースが考えられる。密漁の背景には、管理する地理的範囲が広く、簡易な道具で取れるシラスウナギ漁の特性に加え、暴力団の関与もささやかれる。
(中略)個体数の減少には、再生産を上回るシラスウナギの「乱獲」や、成育場となる川や湖でのダムや護岸整備などによる環境の劣化が考えられる。「漁獲制限と成育環境の改善という、両方の対策が必要だ」とみる。
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記事を読んだだけで、水産資源管理の基礎知識がそれほどなくても、こんな水産庁のようなことをしていてはニホンウナギは乱獲でいなくなってしまう=絶滅してしまう、ということがわかります。水産資源管理の考え方については、下記の水産庁のサイトが上手に説明しています。水産庁は、説明は上手ですが、どうも実践が伴っていないようです。
(関連)資源管理の部屋:水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/
資源管理の手法として大きく3つの種類がある(TAC(産出量規制)、テクニカル(技術的規制)、TAE(投入量規制))と上記で水産庁は説明をしていますが、ほとんど獲れなくなったニホンウナギについては、TAC規制の対象にもしていませんし、技術的規制をしている様子もありませんし、TAEに至っては漁獲許可を受けている人が2万人もいるというのですからあきれてしまいます。ただ、ニホンウナギの稚魚であるシラスウナギを池に入れて養殖する量を養殖業者に申告させて、その数字を見ているだけで資源管理をしている気分になっているにすぎないのですが(その池入れ量と都道府県が把握した漁獲量とを比べると数字が全然合わないと記事にはありますが、何故合わないのかを水産庁や都道府県が追及する様子もありません)、それでも水産庁はニホンウナギの資源管理はできていると突っ張るわけです。
この記事でもいいですし、下の関連記事でもいいですが、そこに掲載されているシラスウナギの漁獲量の年度別推移のグラフを見れば、その量の減り方が尋常ではなく、これはやばいと、誰でも思うでしょう。にもかかわらず水産庁は何かをするわけではないのです。
水産庁がニホンウナギ資源を守るためにしなければならないことは自明です。まず、当面数年間は漁獲禁止とし、それを漁業者に厳守させるため、密猟の取り締まりを厳格化することです(シラスウナギの漁獲は暴力団が関係していると昔から言われていますので、警察に協力を求めて、夜の見回りや、密猟を発見したら直ちに逮捕して起訴し、巨額罰金を課すなどの厳しい対応を定着させることなど)。そしてその数年後、ウナギ資源が回復したら、漁獲量上限を決めてTAC制度の対象とし、その厳格適用を図っていけばいいのです。漁獲禁止の間は関係業者には営業補償が必要ですし、また、漁獲許可を与える人の数を激減させ、それ以外の人には許可を出さない=生業でやってきた人には廃業補償金も交付するような形で、人間の漁獲圧力を下げることを考えないといけません。そして最後は輸入制限です。
(成魚のニホンウナギは日本国内ではほとんど獲れません=今でも漁獲しているのは高知の四万十川くらいでしょう。これだけでも危機感が必要なのに、水産庁の役人の態度は新聞記事にある通りです)
日本は中国や台湾や、昨今では多くを香港から、大量のウナギ、シラスウナギ、ウナギ加工品などを輸入しています。しかし、香港からくるものの大半は「アウトロー」もの=つまり中国や台湾で禁止されているのに漁獲されたウナギやシラスウナギが、香港を経由して日本に入ってきているということ(香港にはウナギの漁獲漁業や養殖はない)、にもかかわらず日本はそのような「ブラック・ウナギ」を平然と大量に輸入しているということです。これをやめて輸入禁止にしないといけません。
また、ウナギが生息できる河川環境の回復も必要不可欠で、これは西日本を中心に、全国で30~40河川くらいを「ウナギ保全河川」に指定して、ウナギが生息できる河川に戻していく=「コンクリートからウナギへ」の環境改善政策を打っていけばいいのです。
(関連)パンフレット「利根川をウナギがすみやすい川にしよう」 水源連
http://suigenren.jp/news/2017/07/18/9422/
上記で申しあげた「なすべきこと」が農林水産省・水産庁により今日までなされないままで、なおかつ自然環境の悪化とともに人間の自己都合による乱獲を毎年毎年受け続けることで、ニホンウナギは絶滅の危機に直面し始めているのです。そしてこれは大量のニホンウナギを日本が輸入していることにより、中国や台湾でもニホンウナギが乱獲され、あるいは生息地域を環境破壊され、同じく絶滅の危機に瀕しています。ヨーロッパでは、既に国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定し、その後、ワシントン条約の取引規制対象種とされたため、もはや商業取引を国際的にすることはできなくなっています。ニホンウナギについても一刻も早くそのようなしなければいけません。ともかく、しばらくの間、漁獲せずに、かつ、ウナギの生育環境を改善して、ウナギの数が回復するのを待て、ということです。農林水産省・水産庁は、そのための有効な対策を早く打て、ということです。
(関連)(別添PDFファイル)ウナギの稚魚減った?
養殖用前年の3.4%、河川環境悪化 乱獲も影響(毎日 2018.2.12)
https://mainichi.jp/articles/20180212/ddm/003/070/166000c
(関連)(別添PDFファイル)ウナギ稚魚 超不漁、前年の1/100 高騰必至(毎日 2018.1.15 夕刊)
https://mainichi.jp/articles/20180115/dde/001/040/056000c
<関連サイト>
(1)稚魚が取れない!「ウナギ価格」高騰の懸念 週刊東洋経済(ビジネス) 東洋経済オンライン
(2)ウナギ稚魚 1匹600円(毎日 2018.2.6 夕刊)
https://mainichi.jp/articles/20180206/dde/041/020/031000c
(3)シラスウナギが暴力団資金源に…高知県、排除へ身元照会:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASKDH4HWJKDHPLPB007.html?ref=lettermail_0110_arti_news
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(4)ウナギに関する情報:水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/unagi.html
(5)ウナギをめぐる状況と対策について(水産庁 2016年7月)
2.クロマグロ漁 自粛要請、水産庁小型魚、全沿岸漁業者に(日経 2018.1.24)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO26041080T20C18A1EE8000/
(田中一郎コメント)
ニホンウナギと同じように水産庁の資源管理の手抜き・いい加減で絶滅危惧されているのがクロマグロです。こちらはシラスウナギと違い、漁獲しているのは巻き網漁船、漁獲対象は成魚のクロマグロもそうですが、それ以上に、クロマグロの稚魚=ヨコワとかメジ(マグロ)といわれているマグロの子どもです。このクロマグロの稚魚は、巻き網漁船が乱獲をして大量に水揚げし、それをマルハやニッスイなどの大手資本や大手商社など(の子会社)が一手に買い受けて、それを生簀内で畜養して大きく育て、主としてサシミ用のクロマグロとして出荷しています。
この「マグロ畜養」のビジネスは儲かるので多くの大手資本が手を出しています。西日本の湾という湾はほとんどが「クロマグロの畜養生簀」と言ってもいいくらいに「畜養だらけ」になっています。そのために毎年毎年大量のクロマグロの稚魚が乱獲され、日本近海のクロマグロが絶滅の可能性に瀕するようになっているのです。しかし、これを水産庁は資源管理することができない=何故かというと管理する相手が大手資本だからです。
(ちなみにこの「畜養マグロ」の成魚は全身が脂身=つまり「全身トロ」という「異常」なマグロです。一般論で恐縮ですが、マグロやクジラなどの大型海洋生物の脂身には、ダイオキシン・PCBや重金属や抗生物質など、人体に危険な有害物質がたまりやすい(油に溶けやすい)と言われており、多食するのは危険かもしれません。ちなみに私はマグロのトロはいっさい食わないことにしています)
今から10年ほど前、東京海洋大学で水産経済学・資源管理を教えるあるベテラン教授に話をお聞きした際、水産庁は今から20年以上も前からクロマグロの稚魚の水揚げ量を報告させていて、当然ながらその過剰漁獲・乱獲を知っていましたが、それを公表せずにひた隠しに隠し、クロマグロ畜養ビジネスに口出しすることを控えていた、と内緒話を聞いたことがあります。さもありなんです。おそらくは大手資本のバックにいるであろう政治家を恐れ、あるいは、自分たちの天下り先のご機嫌を損ねないように気を使っていたに違いありません。災難なのは日本近海のクロマグロとその子どもたちです。
そもそもクロマグロの稚魚を乱獲していた巻き網漁業は、それ以外の魚種についても乱獲の連続で、いわゆる沖合漁業の焼き畑漁業で、かつ沿岸漁業荒らしの業態として、かねてより問題視されています。本来ならば農林水産省・水産庁が音頭を取って、老朽化巻き網漁船を中心に大幅減船=廃業を促し、漁船の数を大きく減らす(漁獲圧力を大きく下げる)とともに、作業環境が快適で効率的な新巻き網漁船を建造して、漁船の更新もしていかなければいけないところです。
新卒者の漁業後継者がほとんどいないのは、危険なボロ船で、前近代的な労働環境下で、いわゆる3K仕事を長時間強いられ、かつ賃金も安い、ということが大きな原因となっています。こうしたことを抜本改善するには、巻き網業界のような漁船漁業界に対して、水産庁が大きくメスを入れて業界の抜本的な構造改革をしなければいけないのです。が、しかし、農林水産省・水産庁は、いつまでもいつまでも手を付けずにほったらかしを続けています。つまり旧態依然の巻き網漁業の乱獲は、クロマグロに限らず今でもさまざまな魚種について続いています。
<関連サイト>
(1)クロマグロ漁に法規制、太平洋 上限超で「停止命令」、水産庁(毎日 2018.1.8)
https://mainichi.jp/articles/20180108/ddm/003/020/070000c
(2)漁獲枠9割で操業停止、水産庁太平洋クロマグロ規制(日経 2018.1.15)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO25669380U8A110C1MM8000/
(3)蓄養マグロの問題|マグロについて|WWFジャパン
https://www.wwf.or.jp/activities/2008/09/624828.html
(4)クロマグロ養殖と畜養は違う
http://blogos.com/article/10907/
(参考:乱獲により自滅しつつある代表的な漁業業態は、いわゆる沖合漁業の巻き網漁業と沖合底引き網漁業です。乱獲されている魚種は、たとえば巻き網で言えば、サバ、アジ、スルメイカ、カツオ、マグロなど、沖合底引きでいえば、ホッケ、スケソウダラ、キンキ、キンメなど、それ以外にも、たとえば、サワラ、ハタハタ、サンマ、タチウオ、などです。要するに、魚が買い叩かれて値段が安いので、その分たくさん漁獲して何とか手取りを増やそうとし、逆にそれが供給過剰で益々魚価安を誘導しつつ、他方では漁業資源が枯渇していくという悪循環を繰り返しているということです。日本の漁船漁業、特に沖合漁業は抜本的な改革が必要とされています)
<日本の漁船漁業の改革で一刻も早くすべきこと>
(1)減船+漁船の更新(そのためには廃業補償金の予算が必要です)
(2)毎年1千億円近い「漁港漁場整備」と呼ばれる水産土建予算が組まれている
⇒ 中身を精査して廃止し、この予算を上記に切り替え
(3)TAC対象魚種の拡大(ウナギ、ブリ、ホッケ、マグロ、カツオなど)とTAC管理の厳格化(尻抜け防止)
(TACでいわゆるIQ(個別割当)やITQ(譲渡可能個別割当)を入れよという声があるが、私は一部のIQ以外は賛成できない)
(4)TAEについては、もっと多彩できめ細かな対策を打ち、ルールを守らない漁業者をなくす
(5)水産物の6次産業化など、さまざまな方法による生産者手取りの拡大(現状は価格の2割程度、農産物は3~4割が生産者へ)
(6)漁業協同組合の再生と活性化
(7)水産特区など市場原理主義漁業政策をやめること(水産特区とは「浜=沿岸漁場」の私物化=プライベートビーチ化だ)
(8)絶滅危惧水産資源の保護とサンクチャリ水域の設定(水産生物の住環境改善を含む)
3.公海での水産資源乱獲
様々なものがありそうですが、以下では最近話題になっているものを4つばかりご紹介しておきます。国連海洋法条約が、いわゆる200カイリ排他的経済水域の沿岸各国による「囲い込み」を許し、その返す刀でその外側にある公海を「コモンズ(共有地)」としてしまったため、この公海で「悲劇」が起きています。具体的には水産資源と海底鉱物資源の乱獲であり、そのために海洋環境や海洋生態系の破壊が起きています。公海については、下記にご紹介する通り、ようやく資源および環境の持続性確保のための条約づくりが開始されているようです。
(関連)海洋法に関する国際連合条約 - Wikipedia
(1)東京新聞 サンマ半世紀ぶり不漁 17年、30%減の7万7169トン 経済(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201801/CK2018010602000121.html
(関連)(別添PDFファイル)魚介水揚げ量、記録的低水準に、サンマ
半世紀ぶりに不良(日経 2017.12.30 他)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25399220V00C18A1QM8000/
(関連)不漁:サンマ過去2番目のワースト水揚げ - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180106/k00/00m/040/138000c?fm=mnm
(田中一郎コメント)
中国船、台湾船、韓国船、ロシア船が、北西太平洋の公海で、サンマを大量漁獲しており、資源乱獲が懸念されています。中国船や台湾船は規模が大きい新造船でやってきて、サンマを群れごと、ごそっと獲っていくようです。日本のサンマ漁業は、いわゆる「棒受け網漁業」で、零細な中小漁船ばかりですから、あまり遠洋に出ていくことができません。なので、日本漁船が秋になって北海道や東北沖の漁場に出て行っても、既にその向こうの公海で大量にサンマが獲られてしまっているため、ここ数年、サンマの日本漁船水揚げが大きく減少しているのです。日本からは関係各国に、北西太平洋公海におけるサンマ資源管理の国際協定を呼び掛けていますが、中国などが難色を示し合意には至っていません。しかし、愚かにも日本は他方で、台湾などから大量の生サンマを輸入しており、言うこととやっていることが矛盾しています。
(2)秋サケ・カツオ、今年も不漁か 日本経済新聞 2017.6.29
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ29H13_Z20C17A6QM8000/
(関連)鰹が食べられなくなる?鰹の漁獲高減少 お節介オヤジのNote to self
(田中一郎コメント)
カツオ資源についてもサンマと似たような状況です。春になってカツオが黒潮に乗り日本近海まで北上して来る前に、東南アジア周辺海域で、現地の巻き網漁船によってカツオが大量に漁獲されており、日本漁船がアクセスできるカツオ資源が激減しています。もはや伝統的なカツオ一本釣り漁業が経済的には成り立たないところまで来ている状態です(実はクロマグロ以外のメバチマグロやキハダマグロ、あるいはビンナガマグロの乱獲もひどい状態です)。国際的なカツオ・マグロの資源管理組織はあるのですが、なかなか有効には機能しそうにありません。しかし、資源管理を叫ぶ日本が他方では大量にカツオ・マグロを輸入することも続けており、ここでも言っていることとやっていることが真逆状態です。まもなくカツオはニホンウナギやクロマグロと同様に食べられなくなる可能性があります。
(3)(別添PDFファイル)公海の生物保護 なぜ必要?
乱獲や環境破壊を防止、国連が条約検討(毎日 2018.2.10)
https://mainichi.jp/articles/20180210/ddm/003/070/037000c
(関連)魚介水揚げ量、記録的低水準に(日経 2017.12.30)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO25258030Z21C17A2EA3000/
(日本漁業は戦後、高度経済成長時代に遠洋漁業を拡大させ、諸外国の近海に押し寄せて行っては大量の魚を獲って帰っていました。それから約50年がたち、今度はその逆を外国からやられる番だということでしょうか? 公海における水産資源管理に日本政府や漁業界がどれだけリーダーシップを発揮できるか、心もとないものがあります:田中一郎)
(4)北極海公海の漁業禁止、当面16年間
沿岸国、日本合意、温暖化背景(東京 2017.12.4)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201712/CK2017120402000114.html
4.日本漁業が衰退したのは非効率な家族経営体が原因か? 漁民の声無祝する規制改革にNO(『週刊金曜日 2017.9.15』)
https://ameblo.jp/kalle2/entry-12311175331.html
(市場原理主義者が農業のみならず漁業においても陳腐なアホダラ政策を展開して伝統的な日本漁業をつぶそうとしています。確かに日本漁業の現状は改革すべきところも多く、漁協や漁業会社など、漁業の担い手についても、その体質の改善や資質アップなどが求められていることは確かです。しかし、だからといって市場原理主義者の言うようなことをしていたら、日本漁業は巨大資本の食い物にされ、やがて荒廃していく憂き目にあうことになるでしょう。だまされてはいけません。:田中一郎)
(関連)亡国の漁業権開放 協同組合と資源・地域・国境の崩壊-鈴木宣弘/著(筑波書房ブックレット)
(関連)漁業「特区」の何が問題か 漁業権「開放」は沿岸漁業をどう変えるか-加瀬和俊/著(漁協経営センター)
(関連)3時間でわかる漁業権-加瀬和俊/著(筑波書房)
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033172637&Action_id=121&Sza_id=C0
草々
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