前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
===============================
1.(ネット署名)原発事故被害者の人権をまもる(グリーンピース)
https://act.greenpeace.org/page/16936/petition/1
2.被曝線量の目安「毎時0.23」を検証へ〜放射線審議会 OurPlanet-TV
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2213
(関連)(別添PDFファイル)除染目安値 妥当か議論へ、規制委委員長の見解受け、放射線審議会(東京 2018.1.20)
https://mainichi.jp/articles/20180120/ddm/008/040/054000c
https://mainichi.jp/articles/20180120/k00/00m/040/158000c
(関連)被ばく線量の目安検討=「毎時0.23」実測と合わず-規制委:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018011701109&g=soc
(関連)除染基準「引き上げるべき」 規制委員長が表明 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/life/news/180117/lif1801170068-n1.html
(このお粗末人間、規制委に置いておくわけにはいかぬ、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を認め、あちこちの老朽化原発の再稼働も認め、神鋼や三菱マテなどの原発機器メーカーのインチキ行為を隠して庇い、おまけに放射線被曝の限度基準も緩めて、何をしておるのかということだ。:田中一郎)
3.キャンペーン · 東京電力福島原発刑事訴訟に「厳正な判決」を求めます! · Change.org
http://u0u1.net/I7zl
(関連)福島原発告訴団 第二回公判期日 傍聴券配布時間が発表されました
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2018/01/blog-post_16.html
4.やめろ!都心初のミサイル避難訓練!121・22緊急行動へ:杉原こうじのブログ
http://kosugihara.exblog.jp/
5.今月号(2018年2月)の『DAYS JAPAN』より
『DAYS JAPAN』は、みなさまの購読料のみにて運営されている、数少ない貴重な真実報道のフォト・ジャーナリズム雑誌です。みなさまの定期購読をお願い申し上げます。下記は今月号の記事から若干のイントロ部分を抜粋したものです。
●(別添PDFファイル)特集:福島県双葉町・大熊町、浮上した帰還計画(イントロ部分)(『DAYS JAPAN 2018.2』)
「utaba_ookuma_kikankeikaku_daysjapan_182.pdf」をダウンロード
●(別添PDFファイル)予算は1000億以上! 事故後に生まれた子どもの甲状腺検査 どうしてしないの?(イントロ部分)(おしどりマコ・ケン 『DAYS JAPAN 2018.2』)
「makoken_kodomokoujousenn_jigogo_umare_daysjapan.pdf」をダウンロード
昨今の朝日新聞・週刊朝日の報道内容はひどいものがあります。みなさま、もうそのような媒体を購入することはやめて、下記のような「まともな」報道媒体に切り替えませんか? 私からのお勧めは、『DAYS JAPAN』、『週刊金曜日』、『日刊ゲンダイ』、岩波月刊誌『世界』『科学』IWJ、Our PlanetーTV、原子力資料情報室通信などです。みなさまの有料定期購読がこうした「まともな」言論を支えます。
6.日刊IWJガイド・番組表「本日決着!
官房機密費関連文書の開示請求で最高裁が統一判断くだす! 『闇』に光はあたるか! 開示請求者である神戸学院大学教授・上脇博之氏に岩上安身が単独独占インタビュー!/マティス米国防長官『北朝鮮との戦争の計画ある』、平昌冬
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/34220
7.日刊ゲンダイ
(1)そんなに戦争をしたいのか 南北融和に苛立つ異様な世相
日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/221541
(2)捜査尻すぼみのリニア談合疑惑 ウラに官邸の“粛正人事”か 日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/221542
(3)口約束の「日韓合意」見直しを拒否する安倍政権の非常識
日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/221554
===============================
「原発・原子力の出鱈目てんこ盛り」シリーズ再開の第74回目です。昨今の放射線被曝をめぐる議論(その3)から「放射線とネオニコチノイド系農薬の複合影響の可能性」について、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」ML上での議論、及びその関連情報をご紹介いたします。
<別添PDFファイル>
(1)Fukushima
落合 放射線科学におけるウソとデマ
「otiaisan_usotosinjitu.pdf」をダウンロード
(2)17.12.25.放射線による脳障害
落合栄一郎氏
「17.12.25 OTIAI HOUSYA NOUSYOUGAI.pdf」をダウンロード
(3)Fukushima
米国防総省が発表した事故時甲状腺被曝量
「fukusima_koubousousyou_koujousen_hibakuryou.pdf」をダウンロード
(4)Fukushima
グールドSAT低下
「gurudo_sat.jpg」をダウンロード
(5)西尾正道元(独)国立病院機構北海道がんセンター院長レジメ(全体)(2018年1月)
<5-1>「nisiosan_rejime_1.pdf」をダウンロード
<5-2>「nisiosan_rejime_2.pdf」をダウンロード
<5-3>「nisiosan_rejime_3.pdf」をダウンロード
<5-4>「nisiosan_rejime_4.pdf」をダウンロード
(6)ネオニコの5つの問題:生態系の崩壊、ヒトの脳神経まで脅かす(イントロ部分)(水野玲子
『食べもの通信 2017.12』)
「neoniko_mizuno_tamenonotuusin_intro.pdf」をダウンロード
(7)世界に広がるネオニコチノイドの蜂蜜汚染は警告する(イントロ部分)(Aエイビイ他・平久美子訳 『世界 2018.2)』)
「neoniko_taira_sekai_intro.pdf」をダウンロード
<関連サイト>
原子力ムラ代理店の日本政府は、福島第1原発事故を「大した事故ではなかったこと」にするために、放射線被曝のゴマカシ・隠ぺい・歪曲や、放射能汚染発見のための調査・検査の中止・廃止に必死になっています。やることがマルでさかさまです。下記には「福島県民健康調査」で「経過観察」にされ、その詳細が公表されないままにされている小児甲状腺ガンリスクの高い子どもたちが2700人以上もいることが発覚したことを報じるOur PlanetーTVのサイトも付記しておきました。あれから1年が経過しようとしていますが、未だに経過観察の子どもたちの詳細について、調査もその結果報告も明らかにされないままです。また、今月号の『DAYS
JAPAN』でおしどりマコ・ケンさんたちがレポートしていますが、福島原発事故後に生まれた子どもたちの甲状腺検査をつべこべ言ってしようとしておりません。何故なら、事故前と事故後の子どもたちの甲状腺の症状を比較すると、原発事故による放射線被曝の影響が明らかになる可能性が高いからです。関係者の「総入れ替え」が必要です。
(1)甲状腺被ばく防止へ 来月、鎌倉の市民団体がヨウ素剤を自主配布
(カナロコ by 神奈川新聞) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180118-00023285-kana-l14
(2)風評被害の観点含め議論=福島第1原発「トリチウム水」処分―世耕経産相 (時事通信) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180118-00000093-jij-pol
(3)福島米:全袋検査縮小へ…20年にも 避難解除地域除き - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180119/k00/00m/040/159000c?fm=mnm
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(4)184人以外にも未公表の甲状腺がん〜事故当時4歳も
OurPlanet-TV
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2108
(5)甲状腺がん190人〜公表データ以外の把握、検討へ OurPlanet-TV
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2135
<渡辺悦司氏執筆の本>
(1)原発問題の争点 内部被曝・地震・東電-大和田幸嗣/著 橋本真佐男/著 山田耕作/著 渡辺悦司/著(緑風出版)
http://ur0.biz/I7ZH
(2)放射線被曝の争点 福島原発事故の健康被害は無いのか-渡辺悦司/著 遠藤順子/著 山田耕作/著(緑風出版)
http://ur0.biz/I7ZO
1.(メール転送です)子どもたちの知的低下の兆候が放射線影響である可能性
皆さま、渡辺悦司より(転送可です)。
GO-WESTの総会で、群馬県から避難されている方から、群馬など福島周辺諸県における子どもの「知的能力の低下」が見られるのではないかという提起がありました。これは、極めて重要で深刻な問題だと考えます。この低下と放射線被曝との関連が考えられるのではないか、検討してみましたので報告申し上げます。
もちろん、私としては、まだ推測の域を出ませんし、その意味で一種の仮説にとどまりますが、以下のような問題提起が十分に可能ではないかと考えて
おります。討論の材料になれば幸いです。ベースにしましたのは、以前に紹介させていただきました『別冊日経サイエンス
脳と心』の当該論文「宇宙放射線で脳障害」です。
http://www.nikkei-science.com/201706_080.html
もしも入手困難であればお知らせください。
この論文は、現在の科学技術では、大気のカバーの全くない宇宙空間を、火星旅行など長期に飛行することが、飛行士に深刻な脳障害と知的能力の低
下をもたらす危険があり、現状では事実上不可能であると考えるべきだという、衝撃的な内容です。これらの実験結果は、福島原発事故による健康影響を考えていく上でもまた、極めて衝撃的な内容だと考えるべきです。
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群馬からの避難者の方の発言で、子どもの知的障害が発生している兆候についてご指摘の部分は次のとおりです。
「塾の先生をしている知人は、子供たちの明らかな知能低下をとても心配しています。私達が群馬にいる頃、遊びに来た娘の友達が『私最近.授業中とかに自分で何してるのかわかんなくなっちゃうの。なんかね、おばあちゃんみたいになっちゃってる〜』と言っていて大変驚いた事もありました。知り合いの子供は、突然親の名前が思い出せなくなり、心配して病院に連れていったところ兄弟で、知能障害の診断を受けたそうです。」
この方の発言はこの他の点でも貴重で重要です。以下のサイトに公開されていますのでぜひお読みください。
http://www.gowest-comewest.net/event/20171217soukai/
------------
『別冊 日経サイエンス』の論文では、マウスでの実験で、荷電粒子(酸素やチタンなど)を全身で0.05~0.3Gy照射すると、記憶力や思考能力を表す
「識別指標」が「大幅に低下」し「6ヵ月の時点で約90%も低下」したという結果が公表されています。つまり、マウスの場合、最低で50mGyの被曝で、記憶力や思考能力の低下が生じるということになります。
今までは、知的障害は、脳への数十Gy(Sv)、全身で数百mGy(Sv)のレベルの被曝ではじめて起こると考えられていました(例えば、以下のサイトを参照ください。ちなみにICRPによる脳の組織荷重係数は0.01です。つまり脳被曝量×0.01=全身被曝量)。
http://plaza.umin.ac.jp/sawamura/braintumors/radiationnecrosis/
ですから、知能の低下が非常に低い線量域から生じていることになります。さらに、300mGyをマウスに照射すると、8週間後、脳の記憶に関連する領域で、神経細胞の樹状突起棘(スパイン)の数が20~40%減少したとされています。この点も、ここでは検討できませんが、重要です。もちろん、マウスでの実験結果を直接人間に当てはめることはできません。しかし、一定の補正をすれば、大まかな概数ですが、数値を人間について
推測することは、不可能ではないと思います。以下、この数値について、試論的に考察してみましょう。
論理の流れを要約しておきますと以下の通りです。(1)重粒子線の生物学的効果比(RBE)あるいは放射線荷重係数、(2)ラットと人間の放射線感受性の比、(3)子どもの放射線感受性の高さ、(4)内部被曝量の加算、(5)初期被曝量の概算、(6)個人間の放射線感受性の相違、(7)(8)他の場合の状況証拠。数字は全て大まかな概数です。
(1)上記マウスの実験は、宇宙放射線に近い「荷電粒子」、いわゆる重イオン、重粒子線による外部照射とされています。ですので、福島事故によるガンマ線やベータ線を中心とする被曝(もちろんアルファ線による被曝もありますが)よりは、生物学的効果比(RBE)が大きいと考えられます。教科書的な重粒子線のRBEは、最大で「8」程度とされています(たとええば松本義久『人体のメカニズムから学ぶ放射線生物学』メディカルビュー、274ページ)。
ただICRPは、RBEをベースに、重イオンの「放射線加重係数」を「保守的に」20としており、ここではこの数字も採ることとしましょう(つまり重粒子線の1Gy=20Svと仮定、2007勧告236ページ)。つまり、RBE=8とICRPの20の両方で計算してみましょう。
(2)マウスと人間では、種が違いますから、当然、外部被曝における放射線感受性が異なります。この比率、大まかには、外部被曝による半数致死線量(LD50)の比と考えてよいでしょう。LD50は、マウスの7Gyに対して、人間は4Gy程度です(『Radiobiology
for theRadiologist』121ページ)。高等生物である人間の方が、マウスよりも放射線の影響を受けやすく、放射線に対しておよそ7/4倍(1.8倍程度)脆弱であるということができます。つまり、マウスでの線量に4/7を掛ければ、およその大まかな数値ですが、人間の場合に相当する線量に換算することが可能ということができます。
(3)子どもの放射線感受性の高さも考慮する必要があります。ここではICRPによる平均化した値に対して約3倍と、大阪大学の本行教授の推定される約10倍の両方で考えてみましょう。
(4)チェルノブイリでは、内部被曝を外部被曝の3分の2として被曝量に算入しています。これも、チェルノブイリと同じようにやってみましょう(ただしチェルノブイリのこの操作は明らかに内部被曝の過小評価です。不溶性微粒子による内部被曝の場合、実際には、桁違い、おそらく2桁~3桁の内部被曝量でしょうが、ここでは置いておきましょう)。もちろん、もとの実験は外部被曝であり、この内部被曝の要因は、捨象しても結論は変わりません。
(5)そうすると、重粒子線についてマウスの最低値50mSvというのは、人間でベータ線・ガンマ線の場合に換算すると、以下のようになります。50×(8あるいは20)÷1.75÷(10あるいは3)÷1.67=13.7~114mSv、事故時の初期被曝量を考慮すれば、各年ごとに分割されて蓄積されていく線量はもっと低くなります。隣の栃木県についての米軍データ(添付)では、成人で甲状腺被曝量は12mSvです(群馬県についての米軍データはないようです)。
ですから、甲状腺組織荷重係数をICRPの0.04と仮定して、子どもの被曝量を成人の2倍として全身被曝量に換算する(×2×0.04)と、甲状腺被曝だけで、おおよそ全身で1mSv分になります。他の臓器とその他の被曝量を考慮に入れて、初期被曝量を大雑把にこの2倍、全身で2mSvと仮定しましょう(かなり過小評価ですが)。結局、マウスの重粒子で50mSvは、人間(北関東在住)について、初期被曝を除いて、およそ12~112mSv程度になります。事故以降の経過時間を6.5年とすると、年間で1.8~17mSv/y程度です。1時間当たりにすると、0.21~1.9μSv/hです。
群馬県や北関東の汚染度の高い地域で、この程度の線量(最低の場合0.21μSv/h+事故前の群馬県の平均線量0.031μSv/h=約0.241μSv/h)の地域は、少なからずあるでしょう。また、上記のマウスの実験の場合のように、記憶・思考能力指標が「90%低下」するまで行かなくても、知能低下が顕在化するレベルの被曝量は、さらに低いと考えられます。しかも、この6倍のレベルで、マウスの実験で樹状突起棘が20~40%減少した線量になることが、予想されます。
(6)しかも、上記の試算には、大阪大学の本行教授が強調しておられる個人間の放射線感受性の相違(最大で100倍、つまり上下に各10倍)は考慮されていません。
http://seisan.server-shared.com/664/664-68.pdf
この事情を考慮に入れれば、子どもの感受性をICRPの3倍でとっても0.6mSv/y程度から、感受性10倍でとれば0.18mSv/y程度から、影響が出始めることが十分に予想されます。年々の被曝影響の蓄積によって、感受性の高い子どもたちの間に放射線による知的障害が個々的に起こり始めた可能性は十分あると考えるべきでしょう。
ですから、避難者の方の指摘しておられる「子供たちの知的能力の低下」は、過小評価されたICRPのモデルを使って計算しても、放射線科学的には「十分起こりうる」事態であるということになります。
(7)このような低線量被曝による子どもたちの知的レベルの低下の可能性を示唆する事例としては、グールドが指摘している、アメリカで、核実験が行われた時期に産まれ育った子どもたちのSAT(大学進学用共通テスト)の点数が、顕著に低下した事実があります(国語が1945年産まれの480から1963年産まれの424に)。
ジェイ・マーチン・グールド『低線量内部被曝の脅威』(緑風出版)87ページにありますので見てください。私どもの『原発問題の争点』(同)をお持ちでしたら、192ページに引用しています(添付)。これは、全米の平均の点数ですから、州ごと地域ごとに見れば、もっと顕著な低下が見られた場所があったはずです。
(8)もう一つの状況証拠は、マウスに全身照射すると、X線で(重粒子線ではありません)50mGyという低線量でも、マウスの胸腺や脾臓、腸管のリンパ球にアポトーシスが起こることが証明されていることですです。
https://academic.oup.com/jrr/article/33/Suppl_1/109/925652
免疫機構に影響が及ぶということは、脳にも影響がある可能性があります。証明は難しいでしょうが状況証拠の一つにはなるでしょう。
--------------
これらのことから、避難者の方が指摘されている、群馬における「子どもの知的能力の低下」の兆候は、福島原発事故がもたらした放射能汚染による低
線量被曝との関連している可能性が十分にあると推論することができます。この関連を公然と主張しても、決して「風評被害を流している」というような非難には全くあたらないと確信いたします。それどころか、被曝影響は蓄積していきますので、ご指摘の事実は、福島や関東の汚染地域に子どもを長期にわたって居住させることの法外な危険性を、子どもたちの避難が絶対に必要であることを、明確に示しているといわざるをえません。
以上、まだ暫定的なものですが、ご検討いただければありがたく思います。
2.(メール転送です)放射線とネオニコチノイド系農薬の複合影響の可能性
皆さま、渡辺悦司より
ご指摘の群馬県での子どもの知的活動の低下について、放射能汚染だけでなく、複合要因として知能低下を促しかねない特別の事情がありました。『世界』の2月号に、「世界に広がるネオニコチノイドの蜂蜜汚染は警告する」という記事が掲載されていまして、そのなかに日本女子医大の平久美子氏が、これまた衝撃的な解説を書いておられます(別添PDFファイル)。
(関連)(別添PDFファイル)世界に広がるネオニコチノイドの蜂蜜汚染は警告する(イントロ部分)(Aエイビイ他・平久美子訳 『世界 2018.2)』)
https://www.iwanami.co.jp/book/b345518.html
ネオニコチノイド系農薬は、ご存知の通り、子どもの精神発達の異常を引き起こす危険性が指摘されています。そのネオニコチノイドを、群馬県では、2004年頃から松林に松枯れ対策として散布が始まり、周辺住民に「中毒症状が多発」し、「記憶障害、頭痛」などを症状として含む「小児を含む中毒患者が急増」したということです。ネオニコチノイドが「ヒト、特に小児の神経発達に悪影響を与える可能性を示す論文が続々と発表されている」と指摘されています。おそらく、以下のものなどを指しているのだと思われます。
http://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2012/02/Kagaku_201306_Kimura_Kuroda.pdf
http://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2012/02/Kagaku_201307_Kimura_Kuroda.pdf
ご指摘の現象は、おそらく、ネオニコチノイドと放射能汚染との複合要因だと思われます。また、放射性物質では、内部被曝とくにストロンチウムの影響を考えないと行けないと思っています(まだ未完成ですが)。この点、補足したいと思います。群馬県などにおけるネオニコチノイド系農薬の大量散布について何か情報をお持ちでしたら、お知らせいただければ幸いです。
3.落合栄一郎先生より(カナダ在住:化学専攻)
渡辺さん:
ネオニコチノイドとの複合影響の可能性についての情報をありがとうございます。ただ、群馬県という条件が絡んで来るので、先の母親の発言との関連を考えておられるのでしょうが、この現象(子供達の脳力の低下)は、群馬県で特に顕著なのでしょうか。もちろん、ネオニコチノイドが、脳の機能を阻害することは事実です。ニコチンそのものは、植物が、昆虫の害を減らすという自己防衛のためにつくり出しているもので、とくに脳の機能の阻害は、脳細胞間の情報伝達物質アセチルコリンを伝達後に分解(しなければならない)するアセチルコリンエステラーゼを阻害するのです。
そのことは私も自著(Chemicals for Life and Living, Springer Verlag, 2011)で議論しています。ニコチンはタバコの煙の中のように微量ならば、刺激剤にはなるが、少し量が増えれば、毒性がでてきます。ですから、ネオニコチノイドは、昆虫の脳に作用すると考えられている、それが人間の脳にも作用を及ぼすことは大いに考えられますし、黒田さんの論考はそれを充分に検証していると思います。
(関連)落合栄一郎先生執筆の著書・論文など
(1)(別添PDFファイル)17.12.25.放射線による脳障害 落合栄一郎氏
http://vsa9.blogspot.jp/
(2)(別添PDFファイル)Fukushima 落合栄一郎氏 放射線科学におけるウソとデマ
(3)福島第一原子力発電所事故による健康被害 落合栄一郎 どうしても取り返すために
http://blog.torikaesu.net/?eid=50
(4)放射能と人体 細胞・分子レベルからみた放射線被曝-落合栄一郎/著(講談社ブルーバックス)
http://ur0.biz/I80b
(5)放射能は人類を滅ぼす-落合栄一郎/著(緑風出版)
http://ur0.biz/I80i
4.上記に対する渡辺悦司氏の返信
落合先生、渡辺悦司より
群馬県で特に顕著かどうかですが、私の知っている限りでは、茨城県在住の方からも、ほぼ同じような指摘があり、証拠はありませんが、関東に広く
広がっている可能性があると思われます。どなたか、その他の情報についてご存知の方がおられましたら、ぜひ御教示ください。群馬県は、ネオニコチノイド散布に関しては、特にひどいようで、以下のサイトに、平久美子・青山美子氏の詳細な分析が掲載されています(15ページ以降)。
(関連)ネオニコチノイドのヒトへの影響(平久美子、青山美子)
http://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2012/10/taira.pdf
とくに、群馬県の盆地状の地形も影響しているのかも知れません。「昆虫の脳に作用する」というご指摘の点、重要と思います。人間とくに子どもの脳にも影響し、しかも長期にわたり残存し影響が蓄積し、それに放射線影響が加わってさらに障害が蓄積され、現在問題になっているいわゆる「高次脳機能障害」をもたらす可能性があると考えるべきでしょう。いずれにしろ、未解決の問題が含まれていますので、さらに検討してみたいと思います。
5.西尾正道元(独)国立病院機構北海道がんセンター院長より
皆様
渡辺悦司さんが群馬県の子どもの学力低下の問題からネオニコチノイド系農薬の問題までご指摘しいますが、現在の日本の健康問題は単に放射線だけではないことは明らかです。私が講演などで使用していたスライドの数枚を添付します。ご参考となれば幸いです資料の1枚目は2013年に群馬県での農薬散布が問題となったことが報じられています。
現在の生活環境は多重複合汚染であり、野村大成氏の動物実験で証明されているように
多くの要因が絡んで相乗的に発がんも起こしているのです。1975年の日本のがん罹患者は約20万人でしたが、1985年には約33万にとなり、2016年はついに100万人となりました。約40年間で4~5倍の罹患者数となっているのです。放射線だけでは説明がつきません。
またネオニコチノイド系の薬剤が、最近では発がんのリスクもWHOから指摘されていますし、認知症やうつ病なども関係しているという報告も出てきています。全てを放射線のせいにして考えるのではなく、総合的に判断し、議論することが望まれます。
http://www.com-info.org/medical.php?ima_20171226_nishio
を参考として興味があれば購読して下さい。
(関連)西尾正道元(独)国立病院機構北海道がんセンター院長の著書・論文など
(1)西尾正道元(独)国立病院機構北海道がんセンター院長
レジメ(全体)(2018年1月)
(2)被ばく列島 放射線医療と原子炉-小出裕章/〔著〕 西尾正道/〔著〕(角川新書)
http://ur0.biz/I80z
(3)放射線健康障害の真実 がんセンター院長が語る-西尾正道/著(旬報社)
http://ur0.biz/I80C
(この本はお勧めの放射線被曝入門書です:田中一郎)
6.上記に対する渡辺悦司氏の返信
西尾先生、渡辺悦司より
ありがとうございます。ネオニコチノイド系農薬による汚染と福島事故由来の放射能汚染との複合汚染の可能性についてのご指摘、まったく同感です。つまり、複合汚染がある場合、この場合はネオニコチノイド系農薬ですが、被害を引き起こす放射線量は、著しく低くなる可能性があるということです。ニコチノイドですから、喫煙との類似性が、言えると思います。
過小評価が明かなUNSCEAR2006年報告の叙述でも、広島原爆被爆者のうち、喫煙者の肺がんリスクは、毎日1~15本のタバコを吸う人で4.9倍、毎日25本超を吸う人で13.3倍です(146ページ)。最低で採っても、放射線影響の閾値は5分の1になる可能性があります。つまり、最低で4.9倍としても、12mSvの4.9分の1でおよそ2.4mSv程度になります。年間では、0.47mSv/y程度になります。
ですから、高次脳機能障害が子どもに現れていたとしても、何の不思議もないという結論が出てきます。西尾先生、御教示ありがとうございました。原発の通常運転によるトリチウムなどを起因とするがん発症については、西尾先生の評価は、明らかに大きな過小評価と思われます。以下をご参照いたけると、幸いです。
国連科学委員会のデータから5基の年間稼働で最大7000件の発がん・1700人のがん死の可能性――原発の通常運転が生み出す健康被害を推計する~放出される放射性トリチウムの危険性(2017年)
http://jimmin.com/2017/06/27/post-3511/
7.放射線とネオニコチノイド系農薬の複合影響の可能性
続報
皆さま、渡辺悦司より、下記、追加いたします。
群馬県だけで特に顕著かどうかという点、私の知っている限りでは、茨城県在住の方からも、ほぼ同じような指摘があり、確たる証拠はありませんが、関東に広がっている可能性があると思われます。どなたか、その他の情報についてご存知の方がおられましたら、ぜひ御教示ください。群馬県は、ネオニコチノイド散布に関しては、特にひどいようで、以下のサイトに、平久美子・青山美子氏の詳細な分析が掲載されています(15ページ以降)。
(関連)ネオニコチノイドのヒトへの影響(平久美子、青山美子)
http://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2012/10/taira.pdf
とくに、群馬県の盆地状の地形も、影響しているのかも知れません。「昆虫の脳に作用する」という指摘、重要と思います。この農薬は、昆虫の頭脳を破壊し機能させないようにすることによって、害虫を駆除するというものだそうです。それによって、ミツバチは目的地に行くことも巣に帰ることもできなくなり、社会的に崩壊するとのことです。人間の脳にも同じ損傷作用を及ぼしますので、恐ろしいことです。しかも影響は蓄積していきます。
つまり人間とくに子どもの脳にも影響し、しかも長期にわたり残存し影響が蓄積し、それに放射線影響が「加わって」さらに障害が蓄積され、現在指
摘されているような、いわゆる「高次脳機能障害」をもたらす可能性が十分に「ある」と考えるべきでしょう。ネオニコチノイド系農薬による汚染と福島事故由来の放射能汚染との「複合汚染」の可能性については、複合汚染がある場合(今の場合はネオニコチノイド系農薬の影響ですが)、被害を引き起こす放射線量は、著しく低くなる可能性があります。
ニコチノイドですから、喫煙との類似性が、言えると思います。過小評価が明かなUNSCEAR2006年報告の叙述でも、広島原爆被爆者のうち、喫煙者の肺がんリスクは、毎日1~15本のタバコを吸う人で4.9倍、毎日25本超を吸う人で13.3倍です(146ページ)。つまり、大雑把に言って、脳への放射線影響の場合、最低で採っても、閾値が5分の1になる可能性が示唆されます。つまり、最低で4.9倍としても、12mSvの4.9分の1でおよそ2.4mSv程度になります。年間に換算すると0.47mSv/y程度になります。群馬など北関東ではいろいろな場所で計測される数字です。
以上、全くの類推に過ぎませんが、低線量で高次脳機能障害が子どもに現れていたとしても、複合影響としては何の不思議もないという結論が出てき
ます。いずれにしろ、未解決の問題が含まれていますので、さらに検討してみたいと思います。
8.ネオ・ニコチノイド系農薬の危険性に関する情報
(1)(メール転送です)有機農業ニュースクリップ No.876(2017.12.27)
■日弁連 ネオニコ系農薬の禁止を求める意見書を提出
日本弁護士連合会(日弁連)は12月21日、予防原則に立ちネオニコチノイド系農薬の禁止を求める「ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書」を取りまとめ、農水大臣へ提出したと発表した。日弁連は意見書で、次の3項目を要求している。
・新規のネオニコチノイド系農薬の登録を保留すること
・農薬取締法を改正しネオニコ系とフィプロニルの登録停止、販売と使用を禁止をできるようにすること
・当面、農取法の改正を待たず速やかに次の措置をとること
(1) クロチアニジン、チアメトキサム、イミダクロプリド、アセタミプリド、ィプロニルを再登録しないこと
(2) ネオニコ系農薬の使用削減のために、農産物規格規程の着色粒規定の廃止と、斑点米カメムシ類への指定有害動植物の指定解除
意見書の中で、ミツバチや他の昆虫や生態系への影響だけでなく、ヒトの健康への影響についても言及している。これまでの研究成果を引用して「ネオニコチノイド系農薬については胎児・子どもの発達に有害なニコチンに類似した構造を持つことから胎児・子どもへの発達神経毒性の懸念があること等を勘案するならば、到底安全であると断定できるものではない」として、早急な措置を求めている。生態系やヒトの健康に対する影響懸念がある以上、予防原則に立って禁止を求めることは当然のことだ。
・日本弁護士連合会, 2017-12-21
ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書(リリース)
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2017/171221_2.html
ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書(全文)
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2017/opinion_171221_2.pdf
日弁連が意見書で、農産物規格規程の着色粒規定の廃止を求めていることも重要な点だ。日本におけるネオニコ系農薬の使用量を増大させている原因の一つとして、かねてより農産物規格規程の着色粒規定の存在が指摘されている。1千粒に1粒(0.1%)までで1等米、2粒で2等米とランクされ、たった1粒で500円前後の等級価格差がつく。この「500円の等級価格差」も「ウソ」だという指摘もあるが、このことから、斑点米カメムシ類の防除目的にネオニコチノイド系農薬が過剰に使われているという。しかし、斑点米は色彩選別機を使うことで除去が可能で、斑点米が消費者の目に触れることはないし、たとえ混入していたとしても味は変わらない。消費者からすれば、全く意味のない規定ということになる。これこそ政府与党の得意な「規制緩和」をすぐにもやるべきだ。
日弁連の意見書でもう一つ重要な点は、着色粒規定と対をなす、「斑点米カメムシ類に対する指定有害動植物の指定解除」を求めている点だ。2000年に斑点米カメムシ類が指定有害動植物に指定され、翌2001年に農水省は斑点米カメムシ類の防除指導を徹底するように各地方農政局に通知している。このころからネオニコ系農薬の使用が増えてきている。この間、反農薬東京グループなどが、この「指定有害動植物の指定」の根拠の開示を求めてきたが、農水省は一貫して該当文書が存在しないという無責任な回答に終始している。全く根拠もなく指定したことすら疑われる。
・米の検査規格の見直しを求める会
米と農薬の関連年表
http://hantenmai.sakura.ne.jp/doc/kome_nenpyou_1411.pdf
日弁連が速やかな措置を求めている着色粒規定の廃止と斑点米カメムシ類への指定有害動植物の指定解除が、日本におけるネオニコ系農薬の使用量削減を実現する第一歩になる。農家とて、コストアップとなる農薬を使う理由はないからだ。フランスは来年9月からネオニコ系農薬の禁止に踏み切るなど、世界的にもフィプロニルやネオニコ系農薬は禁止の方向に動き出している。
生き物共生農業を進める会など8団体は、ネオニコ系農薬の禁止を求める署名「農薬をむやみに使わないお米がいい!」を10月から始め、すでに5千筆余りの署名が集まっている。一部の生協では、ネオニコ・フリーの米の販売も始まっているなど、ネオニコ系農薬禁止の声は着実に広がっている。
・農薬をむやみに使わないお米がいい!
https://act.greenpeace.org/page/14323/petition/1
【関連記事】
・No.834 ネオニコ系農薬と斑点米の冊子が無料公開
http://organic-newsclip.info/log/2017/17070834-1.html
・No.678 ミツバチ大量死とカメムシ防除のネオニコ系農薬 パンフレットを発刊
http://organic-newsclip.info/log/2015/15070678-1.html
(2)(メール転送です)有機農業ニュースクリップ No.875(2017.12.26)
■農水省 ネオニコ系スルホキサフロルを農薬登録
農水省は12月25日、新たなネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルについて、新たにダウ・アグロサイエンスなど3社の6種類を農薬登録した。同時に厚労省も25日、スルホキサフロルの残留基準値を官報で告示した。スルホキサフロルは2016年3月、米国で承認取り消しを受けて、厚労省審議会での承認作業が中断したが、2017年2月、米国での再登録を受けて再開していた。
● スルホキサフロル:適用作物
イネ、キャベツ、だいこん、きゅうり、トマト、ミニトマト、レタス、かんきつ、なし、りんご
・農水省,
2017-12-25 農薬登録情報・速報
http://www.acis.famic.go.jp/searchF/index/20171225.html
・厚労省, 2017-12-25 食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/1225-2.pdf#page=14
・厚労省,
2017-12-25
「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(案)」(食品中の農薬(スルホキサフロル)の残留基準設定)に係る御意見の募集について寄せられた御意見について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495150239&Mode=2
残留基準値に関する意見公募(パブリックコメント)は2回行われ、1回目に537件、2回目には386件の意見が寄せられたという。その意見の多くが反対だったという。今年5月には、反農薬東京グループなど4団体で構成する「ミツバチと子どもをまもる実行委員会」が約8千筆の承認反対署名を提出していた。こうした多くの反対の声も届かず登録・承認された。なんとも無粋な「メニー・クルシミマス・プレゼント」。
グリーンピース・ジャパンは26日、「私たち消費者や養蜂家、科学者を含む市民は、1000件以上のパブリックコメントや約8,000筆の署名をとおし、厚労省に対して危険な農薬はいらないと何度も訴えてきました。今回の決定は、その市民の度重なる声や科学的意見を無視するもので、容認しがたい結果です」と、スルホキサフロルの承認を非難する声明を発表した。声明はまた、「世界では、ネオニコチノイド系農薬の規制が進み、自然と調和し人々の健康を第一においた有機農業や自然農法などの生態系農業が広がっています。政府は、危険な農薬の使用拡大をやめ、生態系の力を生かす農業を支援するべきです」と政策転換を求めた。
・グリーンピース・ジャパン, 2017-12-26
グリーンピース声明「ミツバチに有害な農薬の日本解禁に抗議」厚労省と農水省、ネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルの残留基準値および新規登録を決定
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2017/pr20171226/
・反農薬東京グループ
残留基準のパブコメはアリバイづくり~スルホキサフロルとグリホサートにみる厚労省審議会のいいかげんさ
http://home.e06.itscom.net/chemiweb/ladybugs/kiji/t31204.htm
米国はスルホキサフロルの再登録にあたり、かんきつ類やウリ科野菜(キュウリなど)への使用禁止、リンゴやナス科野菜(トマトなど)への開花期の使用禁止を条件とした。しかし農水省は、米国と使い方が違うとして、開花期規制などを盛り込まなかった。残留基準値を審議する薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会)では、こうした点は問題とされず承認された。残留基準値は、白菜、ブロッコリー、コマツナ、レタス、ホウレンソウなど、よく食べる葉もの野菜の残留基準値が6ppmと高く設定されている。
●スルホキサフロル使用規制
日本:落花後規制なく、作物受粉の7 割を担う野生昆虫への対応なし。開花時も3回~2回使用可能
米国:野生昆虫に対応しかんきつ類、ウリ科野菜は使用禁止。リンゴやナス科野菜へは落花後規制を追加
EU:一部ウリ科、ナス科野菜へ1 回のみ
・スルホキサフロル(各国比較)
http://organic-newsclip.info/doc/1702_Sulfoxaflor.pdf
2018年9月からネオニコチノイド系農薬の使用禁止を決めたフランスでは、スルホキサフロルは協議のネオニコチノイド系ではないとして登録されたが、行政裁判所は今年11月に環境NGOの訴えを認め、一時差し止め命令を出している。
【関連記事】
・No.809 スルホキサフロル登録反対署名を提出 残留基準値を決める厚労省は「科学的」か?
http://organic-newsclip.info/log/2017/17050809-1.html
・No.773 緊急署名 スルホキサフロルを承認しないで
http://organic-newsclip.info/log/2017/17030773-1.html
・No.771 スルホキサフロル 4団体が厚労省へ要望書提出
http://organic-newsclip.info/log/2017/17030771-2.html
・No.767 スルホキサフロルの承認をやめて 4団体が要望書を提出
http://organic-newsclip.info/log/2017/17020767-1.html
・No.766 ネオニコ系新農薬スルホキサフロル 近くパブコメか
http://organic-newsclip.info/log/2017/17020766-1.html
・No.760 スルホキサフロルの承認手続き再開 米国のような「落花後」規制は盛り込まれず
http://organic-newsclip.info/log/2017/17020760-1.html
・No.869 フランス行政裁判所 スルホキサフロルを一時差し止め
http://organic-newsclip.info/log/2017/17120869-1.html
■厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
厚労省は12月5日、除草剤グリホサートの残留基準値を大幅に緩和する改正を告示した。小麦ではこれまでの5ppmが30ppmに緩和されるなど、大きく緩和された。厚労省は6月に意見公募(パブリックコメント)を行なったが、25日の改正告示に合わせてその概要を公表した。寄せられた504件の意見には、緩和に賛成する意見は見られず、グリホサートの禁止を求める声もあったとしている。
● 主な緩和品目と残留基準値 [ppm]
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食 品 現行 変更案 国際基準 備考
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小麦 5 30 30 申
大麦 20 30 30
ライ麦 0.2 30 30
とうもろこし 1 5 5 IT
そば 0.2 30 30
その他の穀類 20 30 30
小豆類 2 10 10(豪) IT
その他の豆類 2 5 5
テンサイ 0.2 15 15
しゅんぎく 0.1 0.2
ぶどう 0.2 0.5 0.5(EU) IT
ひまわり種子 0.1 40 40(米) IT
ごま種子 0.2 40 40(米) IT
べにばな種子 0.1 40 40(米) IT
綿実 10 40 40(米) IT
なたね 10 30 30(米) IT
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注1)「申」 国内での新たな適用申請
「IT」 輸入にかかる申請
注2)国名のない国際基準は出所は不明
・厚労省, 2017-12-25 食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/1225-2.pdf#page=10
・厚労省,
2017-12-25 「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(案)」(食品中の農薬(グリホサート)の残留基準設定)に係る御意見の募集について寄せられた御意見について http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495170076&Mode=2
EUは先ごろ、グリホサートの農薬登録について5年の延長を決めたが、欧州議会は2022年までに段階的に完全禁止を求める決議を可決している。加盟国の中でもフランスは、段階的に完全禁止の方針を明らかにしているなど、禁止の方向に向かっている。また、日本と異なり、EUではグリホサートの家庭での使用は禁止となっている。
【関連記事】
・No.824 グリホサート残留基準を大幅緩和 意見公募始まる
http://organic-newsclip.info/log/2017/17060824-2.html
・No.785 グリホサート:残留基準値が大幅緩和へ
http://organic-newsclip.info/log/2017/17030785-1.html
・No.866 EU かろうじてグリホサートの登録5年延長を決定
「変心」したドイツが賛成に回る
http://organic-newsclip.info/log/2017/17110866-1.html
草々