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2017年8月19日 (土)

公正な税制なくして民主主義なし:(1)巨大資本と富裕層・資産家の納税適正化による税収増(概算) (2)タックス・ヘイブン退治の基本は納税自己申告の適正化 (3)消費税廃止は奢侈便物品税への移行で可能

前略,田中一郎です。

 

1.巨大資本と富裕層・資産家層の納税を適正化すれば、いかほどの税収増となるのか

 

巨大資本と富裕層・資産家層の納税を適正化すれば、いかほどの税収増となるのでしょうか。下記の3つのサイトの数字から大雑把に見てみましょう。

 

(1)黒字申告法人の所得過去最高=15年度、57兆円-国税庁:時事ドットコム

 https://www.jiji.com/jc/article?k=2017033000938&g=soc

 

(2)「1億総下流」は嘘っぱち「富裕層」101万世帯! プレジデントオンライン PRESIDENT Online

 http://president.jp/articles/-/16690?page=2

 

(3)税制について考えてみよう 財務省

 http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei/04.htm

 

(1)まず法人税

 申告法人所得57兆円に対して法人税収は8兆円となっています(財務省:2011年度=上記(3):年度の違いは無視)。実質的な法人税率は14%です。しかも、申告法人所得57兆円は「表に出た数字」なので、隠蔽されていると思わしき法人所得は 私は同金額程度あるのではないかと推察します。そうしますと、実質税率は10%以下となるでしょう。いかに日本の黒字法人(大企業中心に全体の2~3割と言われています)が法人税を納付していないかがわかります。

 

 この法人所得を30%の法人税率で徴収するとすれば、現状約8兆円の法人税収の約3倍以上、つまり24兆円以上ぐらいの法人税が納税され、増収は16兆円以上という計算になります。

 

(2)次に富裕層に対する所得税

 年収2000万円超が27万人だそうです。⇒ この27万人には総額5兆4千億円以上の年収があるということになります(2000万円×27万人)。この高額所得層が全体でいかほどの総所得があるのかは(隠蔽されていて)よくわかりませんが、仮に総額10兆円だといたしましょうか。日本では、この高額所得層はほとんど税金を納税していませんので(*注)、これに40%の所得税率をかけると4兆円くらいが毎年の富裕層からの税収増となります。

 

(*注)日本の所得税制は、配当金や株式譲渡益などの資産所得が源泉分離課税となっており、他の所得に比べて非常に低い税率で税が徴収されています(中には非課税所得もある)。こうしたすべての所得と税負担の対応関係を見た場合、だいたい年間所得で1~2億円くらいの所得層が最も税負担が大きく、それを超える所得がある層は資産所得が大半となるため、税負担率が下がっていくという「逆累進」の所得税制となっています。

 

●さらに大きいのが富裕層・資産家層の相続税・贈与税

 上記(2)にある準富裕層(純金融資産5000万円~1億円以上)以上の金融資産全てを足し合わせると約500兆円です。これは表に出ている数字なので、隠蔽されているものを足し合わせれば、おそらく700兆円以上あるのではないかと推測します? しかも金融資産以外も全部足し合わせれば、富裕層・資産家が持つ総資産の金額はもっと大きくなるでしょう。それが仮に1000兆円だとすると、

 

 1000兆円÷平均寿命70年=約15兆円/毎年=相続される資産 ということになります。

 

 これに相続税・贈与税をきちんと課税すれば(税率40%)、15兆円×40%=6兆円です。上記(3)の財務省のグラフによれば、現在の相続税収は1.4兆円しかありませんので、つまり4~5兆円くらいの相続税・贈与税の増収が見込まれるということになります。ここでもまた、いかに日本では、富裕層や資産家たちが税金を払っていないかがよくわかります。

 

(3)つまり、税制を公正な形に適正化すれば

 法人税      +16兆円

 富裕層所得税   + 4兆円

 資産家相続税   + 4兆円

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 計        +24兆円/年

 

 毎年24兆円くらいは、今よりも増収になるでしょう。大雑把な計算とは言え、バカにできない数字だと思います。表面化していない「隠された所得や資産」が、大企業群や富裕層・資産家たちにいかほどあるのかは想像もつきませんが、相当の金額で存在すると見るべきです。

 

(4)外国法人・外国FUNDの日本国内源泉所得

 上記に加え、外国法人(アマゾンやグーグルやアップルウやスタバなど)や外国人・外国FUNDの日本国内源泉所得がいかほどあるかですが、これもよくわかりませんが、私は数兆円あるのではないかと思います。これに源泉税20%をかけると、1兆円/年以上くらいの税収増になるのではないか、と思います。

 

(5)(暫定的な)結論

 こうしたことがきちんとされずに、つまり税金を納付すべき経済主体が納付しないで放置されているのに、大衆課税である消費税など、ばかばかしくて払ってられるか、ということです。「税金なんてものはな、正直者のマヌケか貧乏人が納めるもんなんだよ」と高笑いをする大企業経営幹部たち、経営コンサルたち、そして富裕層・資産家たちの姿が想像されます。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.タックス・ヘイブン退治の基本は納税自己申告の適正化

 

 私は税法・税制の専門家でもないので、それほど豊富な改善プランがあるわけではありませんが、タックス・ヘイブン退治にしろ、他の税制の改善にしろ、まずもって重要なのは、「納税の自主申告」を有効にすることが肝要と思われます。

 

 私が見るところ、庶民の小口脱税や納税回避は重箱の隅をつつくくらいに手厳しく、かつ提出書類の整備などについても、こうるさい税務署ですが、他方で、大企業群や富裕層・資産家に対しては、やりたい放題にさせているのではないか、という印象です。つまり、ゆるゆる、ということ

 

 まず、これを改めることです。タックスヘイブン退治は下記が重要です。私は特に下記の(1)(3)(5)が重要と考えています。そもそも今の日本の税務当局・税制政策当局は信用できません。(地方税は国税がちゃんとすれば、それに引っ張られるはず)

 

(1)大企業や富裕層・資産家層の所得、および所有資産の自己申告制度を厳格に運用すること

(2)この場合、名義にかかわらず、実質支配・実質所得の原則を徹底すること

(3)虚偽申告や違反・違法の脱税や納税回避行為に対しては厳しいペナルティ=巨額の重加算税(数倍)で臨むこと

(4)嘘八百を自首して出てくれば、少しは許してあげる

(5)国際税務調査体制を大幅に拡充すること(数千人の部隊=巨大企業を調べるのは容易ではない)

(6)法人については、国際連結納税が必要不可欠

(7)税務時効は10年とする

(8)内部告発制度(公益通報者保護制度を含む)をきちんとつくる

(9)国の徴税業務の監査が必要(大口のところを中心に:会計検査院の仕事か?)

10)実質基準に基づく「みなし」規定を法制化する(事前相談制度も創る)

 

 上記のようなことは、きちんと納税をしている企業や人間にとっては、どうということはない話ですが、納税回避や脱税をしているものにとっては激辛です。やっかいなのは、タックスヘイブンに関する国際的な取り決めです。それと、外国企業の国内源泉所得に関する課税も、問題は多いでしょう。専門家の方の出番です。

 

 国内税制の改革・改善は並行して進めるべきです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.消費税廃止は奢侈品物品税への移行で可能

 

 下記につきまして、2つばかり申し上げます。

 

(1)「所得税と法人税とともに基幹税になってしまった消費税を完全廃止するのは困難かとは思いますが・・・・?」

 消費税は奢侈品物品税へ移行すれば完全廃止が可能です。しかし、税収は大きく減少しますから、その代替財源を探さなければいけません。それが「不公正税制の解消」です。最大の目玉はタックスヘイブン退治、その次が、法人向けの租税特別措置の見直しと、富裕層・資産家層向けの「総合課税」です。そして、相続税・贈与税も含めた累進課税の強化です。しかし、このうちのタックスヘイブン退治は容易ではありません。決意のみならず、知恵も結集する必要があります。(法人税率引き下げをやめることも必要ですが、引き上げは数%程度か、あるいは後回しでもいい)

 

(2)「このようなデータに基づいた(税収増に関する)見解についてどのようにお考えでしょうか?」

 このように聞かれると、たいていは、その「「不公平税制を是正した場合、国税と地方税合わせて○○兆円の増収になる」という試算」の試算の仕方がそれで正しいかどうかのチェックをするという反応になりますが、確かにそれも重要ですが、私はそれ以上に、巨大企業(外国企業を含む)や富裕層・資産家層は、そう簡単には増税という制度の改正に「お付き合い」をしてくれるとは限らないと思っています。つまり、「上に政策あれば、下に対策あり」で、必ずや納税を何とか回避する方策を考えて動いてくるだろうと思います。従って、税法という法律を変えれば、ただちに予定通りの(計算通りの)増税が実現できるなどとは、あまり考えない方がいいと思っています。

 

 では、どうすればいいのか。答えは2つ、(1)大企業向け及び富裕層・資産家層向けの「マルサ」体制の抜本的強化(重要納税者制度に基づく税務監査制度の導入 数千人の部隊を用意すべきです=その代わりに庶民いじめの小口税務調査はやめるか大幅縮小する)、(2)脱税行為・納税回避行為に対する厳罰=経済罰=巨額罰金、の2つを用意するということです(この場合、「みなし規定」(たとえば法人格の否認)を法律に謳い、税法と税逃れの知恵比べ「いたちごっこ」に終止符を打つ)。これをやらない「公正な税制へ向けた対策」などというものは、私は所詮、似非である=単なる貧乏人向けのポーズである、と見ています。

草々

 

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