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2017年3月10日 (金)

「原発・原子力の出鱈目てんこ盛り」シリーズ再開(51):放射能・被ばくの危険性と科学者の使命(今中哲二氏論文(「原子力資料情報室通信」掲載)に物申す)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

(最初に昨日の私のメールの一部修正です)

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昨日の私のメール「日本学術会議の検討委員会が「軍事的安全保障研究に関する声明(案)」を公表:日本の大学は軍事研究を拒否できるか」の一部文言につきまして、下記の通り修正をさせていただきます。既にブログの方も修正をいたしました。(下記の「など」には、アメリカ以外の政府や国軍、諜報組織などを想定しております)

 

(修正前)防衛省や軍事産業・企業が提供する研究費に対して大学がどういう態度をとるのか、とるべきなのか

(修正後)防衛省・米軍や軍事産業・企業などが提供する研究費に対して大学がどういう態度をとるのか、とるべきなのか

 

●日本学術会議の検討委員会が「軍事的安全保障研究に関する声明(案)」を公表:日本の大学は軍事研究を拒否できるか いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-afda.html

 

(次にイベント情報その他です)

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1.原発事故賠償訴訟・崎山比早子氏意見書他

 https://www.dropbox.com/sh/twoitamfnhk3vsv/AAAcQC4YJ9XUYobj-CmOedHva?dl=0

(京都訴訟及び千葉訴訟で崎山比早子氏が提出された意見書などです:田中一郎)

 

2.“核のごみ”ずさんな管理 茨城・東海再処理施設

 http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000095779.html

 

(このずさんな管理は恐怖そのものです。今、東海村を巨大地震・巨大津波が襲えば、大げさな話ではなく日本は終わるかもしれません:田中一郎)

 

3.(イベント情報)(3.24 要予約)アジア記者クラブ定例会「日本人のアジア観、戦争観 日中戦争・盧溝橋事件から80年」(東京・お茶の水)

 http://www.labornetjp.org/EventItem/1488548853289staff01

 

4.(イベント情報)(3.31)国立景観訴訟のその後

 http://www.ueharafund.org/

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政府が年間20mSv安全論・累積100mSv健康影響無視できる論を(注*)、科学的実証的根拠もなく、ただただ国際原子力マフィアの1つである国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告をご都合主義的につまみ食いする形で導入を決めたのは福島第1原発事故直後の20114月です。さしあたりそれが地域住民への狭すぎる避難指示範囲の根拠なき「根拠」=つまりは「口実」にされました。その後、まずは学校の放射能汚染の問題で市民が文部科学省を問い詰め、1mSv目標は変わらないとまでは言わせたものの、それは長期目標だとして棚上げにされ、そのあとは、この20mSv自体は撤回されることもなく、いわば日本における被ばく限度のデファクトの「基準」のようなものにされてしまっています。明確な説明もないままに、「子ども・被災者支援法」の支援レベルや原発事故損害賠償の対象・非対象、そして昨今では避難の「正当性」の理屈付け=避難指示解除の形式的条件にまでされるようになってきているのです。そしてそれは、福島県を含む福島第1原発事故で汚染された地域のみに適用される「基準」で、そうでない地域は依然として1mSvとする「ダブルスタンダード」でもあります。そのいい加減さ一つをとっても、これが例えば憲法第95条違反など、さまざまな法律に違反する「逆治外法権」的行為であることは明白です。

 

(注*)20mSv×5年=100mSvだから、原発事故から6年も経てば全員に何らかの被ばく影響が出てくる可能性が高まり、直ちに避難の対象となってしかるべきであるにもかかわらず、全く何の説明もされずに放置されたままである。要するに、被害者住民を放射能汚染の土地に縛り付けておくための屁理屈なので、実際の健康影響がどうであるかなどは、どうでもいい、ということを、自然体で示していると言えるのではないか。

 

原子力ムラ代理店政策を変えようとはしない政府(民主党(民進党)政権であろうが自民党政権であろうが、この点は変わりません)は、福島第1原発事故の直後から、この原子力災害後の住民対策や原子力推進延命策を慎重に検討していたようで、まずは放射能や被ばくについての懸念が広がらないように、まるで知識のない人々を「洗脳」するかのごとく、放射能や被ばくの危険性について、とんでもない嘘八百や紛らわしい比較考慮や言い回しを駆使し、いわゆる御用アカデミズム総動員・国際原子力マフィア大結束の体制で、被害者住民はもちろん、日本全国一般の有権者・国民を繰り返し繰り返し翻弄し続けたのです。だいぶ前に書いた私のレジメ「20ミリシーベルトなんて、とんでもない」というレポートがありますので、下記にご紹介しておきます。日付は201311月となっています。

 

(関連)被曝限度20ミリシーベルト(/年)なんて,とんでもない(1) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/20-36a0.html

(関連)被曝限度20ミリシーベルト(/年)なんて,とんでもない(2) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-9848.html

 

その功が奏したというのでしょうか。あるいは、ナチス・ヒトラーが言うように、ウソも100回繰り返せば、そのウソが大きければ大きいほど、本当のこととして社会に認知されていく、ということなのでしょうか。昨今の福島県を始め、東日本一帯に広がる放射能汚染地帯では、まるで放射能汚染などなくなってしまったかの如く、まるで被ばくの危険性などは解消したかの如く、軽率で、根拠なく楽観的で、無責任で、ご都合主義的で、従来にも増して胸が悪くなるくらいに同調圧力が強く、そして愚かにも加害者・東京電力や事故責任者・国と同調的・調和的・許容的な雰囲気がつくられてしまい、他方では、頭がどうかしているのかと思うくらいに、毎日のようにマスごみが、さまざまな「安全・安心キャンペーン」PR報道を繰り返しています。

 

さながら「鬼畜米英は皇国日本の敵・1億火玉になりて敵を粉砕せよ」式の、アジア太平洋戦争時の社会状況に非常によく似た、息も詰まるような「放射能と被ばくの危険性もみ消し・不安感情押しつぶし」の社会状況がつくられ、人々は放射能と被ばくに「無口」でいることが社会的・体制的に強要されるような雰囲気が充満しています。この社会状況はどう見ても「異常」です。かような「異常」=社会的病理現象を放置していてどうするのか、ではありませんか?(愚かにも、この「異常」社会状況に「寄り添う」ことが脱被ばく支援の「必須条件」のように思い込んでいる御仁も市民運動・社会運動の中には少なくありませんが)

 

危ないものは危ない、強い不安があるものは不安だと、当然のごとく主張し、同調を求め、その状態を解消するために、その原因となった原発事故の加害者・東京電力や事故責任者・国に対して、当然のことを求めていく、こんなことは「当たり前」のことではないですか? 危険な放射能汚染の地域には居住はできない、子供たちの将来の健康が非常に心配だ、食べもの・飲みもののみならず、毎日息を吸って生きているのだから、呼吸による内部被曝が非常に気になる、こうした気持ちや感情は「当然」のことです。「当然」のことに対応して「当然」のことをすること、その「当然」のことを、原因をつくった加害者・責任者の側がきちんと賠償・補償で担保したりフォローをしたりすることは、これまた「当然」のことなのです。

 

しかしながら、これが今日の平成日本では、まったくできない状態に追いやられている、これはいったい何なのだ、ということです。このままでは危ないと思います。さながら「原子力翼賛社会」における「一億2千万人総被ばく押し付け合い状況」が出来上がっているかのようです。これについて国際放射線防護委員会(ICRP)は「現存被ばく状況」などというふざけたネーミングをつけておりますが、そんなものではありえない話です。未来へ向けて恐ろしい社会が生まれつつあると考えるべきでしょう。今日の「被ばく状況」は、自然現象のように現れたものではなく、ある(権力)集団によって意図的に政策的に「押し付けられ」「歪められた」非常に危険な「被ばく状況」なのです。

 

上記は、福島第1原発事故以降、脱原発のみならず脱被ばくや被害者救済の市民運動・社会運動に取り組んでこられた方々にとっては、もううんざりするほどに体験してきたことで、今さら詳しく説明されるまでもないことです。しかし、世の中には、脱原発について肯定的であっても、原発については厳しい言論を展開していても、被ばくの問題となると、どうも迫力に欠け、あるいは被ばくの危険性を意図してか、意図せずしてかはわかりませんが、過小評価したり歪曲したりして、おかしな言論を展開する人も少なくないのです。早野龍五や坪倉正治がもはや放射線ムラに近い人間達であることは明らかになっていますが、野口邦和、清水修二(彼らが書いた評判の悪い著書を下記にご紹介しておきます)、安斉育郎、益川敏英らは必ずしも「ムラ人」とは見なされてはおらず、にもかかわらず、その放射線被曝に対する見方の甘さは、多くの人々の批判をまねいた経緯があります。

 

● 放射線被曝の理科・社会 四年目の『福島の真実』-児玉一八/著 清水修二/著 野口邦和/著(かもがわ出版)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033197281&Action_id=121&Sza_id=C0

 

こういう状況の中で、このほど私が定期購読する「原子力資料情報室通信(513号:201731日)」に掲載された、今回私が問題視している今中哲二氏の論文を目にしたわけです。以下、私がこの論文を問題だと考えるいくつかの点について、簡単に申し上げようと思います。今中哲二氏は、決して原子力ムラ・放射線ムラの御用学者などではなく、いわゆる「熊取6人衆」の1人と言われ、京都大学原子炉実験所で小出裕章氏らとともに日本の原子力政策を厳しくチェックしてきた、日本でも市民運動・社会運動に信頼の厚い科学者です。しかし同氏は、私が見るところ、2011年の福島第1原発事故直後から、放射能汚染と被ばくの問題については、どうもおかしな言動を繰り返し、そしてそれがはっきりとしてくるにつれて、脱被ばくを担う市民活動家などから厳しい批判を受けるようになりました。今中氏はそのこともよく心得ていて、最近は201113年頃の言動とは異なって、より放射線被曝の危険性について発言が慎重になったように思われます。

 

しかしながらです。私は今回のこの論文を読んでみて、上記で申し上げたような日本の(創られた)「現存被ばく状況」ならぬ「原子力翼賛状況」の下においては、脱原発に責任を持ち、福島第1原発事故後の日本の被ばく防護の在り方や原子力政策・放射能政策をその専門性においてリードしていただくべき「科学者」の論文としては、依然として不十分ではないかと思いました。今中哲二氏のようなリーダー格の科学者には、もっと果敢に、今日の放射能汚染や放射線被曝へのあまりの無頓着・乱暴な危険性無視・軽視に対して警告を発していただきたいと願っています。そして、そうしたことの最大の原因となっている政府や原子力ムラ・放射線ムラの被ばく政策=被害者対策が歪んでいること、被ばく限度20ミリシーベルトや100ミリシーベルトなどとんでもない話であって、今のままでは多くの人々が危険な状況に陥ること、従ってまた、帰還政策などは時期尚早であって、被害者の「避難の権利」を認め、少なくとも放射線管理区域指定基準を超える地域の人々は、政府による生活保障を用意したうえで強制移住政策が行われるべきであることなどを主張していただかなくてはいけないと考えています。

 

以下、簡単に申し述べます。

 

1.「現存被ばく(押付け)状況」ないしは「原子力翼賛状況」

 下記の報道をご覧ください。福島第1原発事故からの完全復興・復活を政治的に印象付けるとともに、地域住民・原発事故被害者に放射能汚染と被ばくを押し付ける「帰還(強要)政策」(経済的強要)と、放射能から逃れて避難を続ける被害者への棄民政策(賠償・補償・支援政策もまともに行わないだけでなく、唯一の支援であった住宅でさえ取り上げるという、重大な人権侵害・いやがらせ・性悪政策)とは表裏一体であること。もちろんこれが、重大な日本国憲法違反であり、「子ども・被災者支援法」違反であり、法治国家として看過できないことであるだけでなく、国と自治体の行政が一体となって進める「国家犯罪」であることも強調しておきたいと思います。

 

 それはちょうど、今から60年以上も前に起きた「ミナマタ」の犯罪と悲劇を、今度はよりスケールを大きくして繰り返そうとするものであり、かつ、このままでは近未来に必ず再び起きるであろう原発過酷事故に対する原子力ムラ・放射線ムラとその代理店政府の「備え」「準備」でもあると言えるでしょう。日本は、福島第1原発事故で核政策・原発政策を抜本的に反省・見直しするどころか、一般の有権者・国民の被ばく限度基準を大幅に切り上げつつ、次の原発・核施設過酷事故に対して「準備」しようとしているのです。いわゆる放射能安全神話・放射線安心神話に基づく原発・核燃料施設過酷事故との「共存」政策です。原発安全神話の後がこれでは、あまりに愚かという他ありません。

 

 <別添PDFファイル>

(1)飯館の苦悩、月末に避難指示解除、それでも「自主避難」なのか(東京 2017.3.9

 http://qq2q.biz/CaQ4

(2)進む避難指示解除、進まぬ帰還(毎日 2017.3.8

 http://mainichi.jp/articles/20170308/org/00m/010/005000c

(3)大震災から6年 福島で生きる(3):放射線 数値で見せる(日経 2017.3.7

 http://tskeightkun.blog.fc2.com/blog-entry-1498.html

(4)町に居住なら昇進優先、楢葉町長発言 職員から不安の声(毎日 2017.3.7

 http://mainichi.jp/articles/20170307/k00/00m/040/034000c

(5)「自主避難」住宅無償提供打ち切り、新たな支援促す声(東京 2017.3.6

 http://kokokara-hp.org/

(6)追いつめられる原発事故の避難者たち(『フェミン 2017.2.15』)

「femin_hinansya.pdf」をダウンロード
 http://www.jca.apc.org/femin/

(7)避難者への住宅提供打切りへ、帰還政策で「国内難民」(東京 2017.3.8

 http://qq2q.biz/CaSF

(8)つらくても「自殺考えたらダメ」、横浜避難いじめ問題 生徒が新たな手記(東京 2017.3.9

 http://mainichi.jp/articles/20170309/k00/00m/040/107000c?fm=mnm

(9)Fukushima 帰還政策の恐るべき危険性を警告する201160427

 http://jimmin.com/legacy/htmldoc/156904.htm

 

 <関連サイト>

(1)<震災6年>帰還住民の高齢化率5割超 (河北新報) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170305-00000009-khks-soci

(2)<浪江町>避難指示解除へ 町長「苦渋の決断」 危機感も (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170228-00000022-mai-pol

(3)原発避難、今春4町村3.2万人解除 困難区域なお2.4万人:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12817450.html?ref=nmail_20170228mo

(4)自主避難者の住宅支援を打ち切らないで(緑の党)

 http://spue8y99.wixsite.com/rights

(5)特集ワイド:根深い「原発避難者いじめ」 横浜中1男子に続き群馬、新潟、千葉、埼玉、東京… - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20170309/dde/012/040/002000c?fm=mnm

(6)避難解除後、再生見えず 福島の4町村、生活環境が整わず:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12817443.html?ref=nmail_20170228mo

(7)福島第一原発事故から6年、住民帰還の道は開けたがNEWS ポストセブン)Yahoo!ニュース

 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170304-00000009-pseven-soci

(8)NPO法人 ココロとカラダを育てるハッピープロジェクト

 http://kokokara-hp.org/

 

2.飯館村における放射線量の現状調査報告(今中哲二 『原子力資料情報室 NO.513 2017.3.1』)

「iidatemura_senryou_imanaka.pdf」をダウンロード
 http://www.cnic.jp/category/cat010/cat012

 

 この論文について、私が問題だと受け止めている点は下記の5点です。簡単にコメントいたします。

 

(1)「避難指示の解除にともなって帰村するかどうかはそれぞれの人の判断になる」との記述

 今中哲二氏のこの論文の結論である飯館村の空間線量分布は、平均で概ね0.51.0μSv/時(最高1.83~最低0.18μSv/時)となっている。おまけに村内には約240万個のフレコンパックが積み上げられ、また、周辺の森林は除染をされることもなく汚染したままである。今回測定した空間線量が、今後安定的に低下していくかどうかは必ずしもはっきりしない。森林から放射能が住宅地域へ吹きおろしてくる可能性も高いからだ。こんなところに住民を帰還させるという政策は明らかに間違っている。しかも、避難が解除されれば被害者に対する賠償も打ち切りとなってしまう。帰還しない被害者は、それだけで経済的に苦しくなるだろう。何故、今中氏はそれを指摘した上で、帰還政策はおかしい、かような汚染地に住民を帰還させてはならない・帰還してはいけないとはっきり言わないのだろうか?

 

 この論文が示した飯館村の空間線量は、村の大半が放射線管理区域指定基準を超えていることを示している(概ね0.6μSv/時以上)。そんなところに帰還するか否かは今中氏が言うように「それぞれの人の判断になる」というのなら、同じ理屈で、原子力施設や大学などの放射線管理区域に入るか否か、そこに何時間いるか否か、そこで飲食をするか否かは、すべて「それぞれの人の判断になる」ということになるだろう。そんなダブルスタンダードは許されないだろうし、しかも飯館村他の住民に対しては「帰還政策」という「権力」による「半強制」「圧力」が働いていることも忘れてはならないはずである。

 

 確かに今中氏は、この論文の最後において「被災者の判断如何にかかわらず東電や国は被災者の面倒を見る責任がある」と書いているが、飯館村の放射能汚染の状態や被ばくの危険性を鑑みた場合、そもそも帰還させることが犯罪の一種であると認識すべきだろう。今中氏は「どこまで被ばくをガマンするかということだ」という書き方をしているが、それは1mSv未満の場合であって、少なくとも放射線管理区域指定基準を超えるようなひどい汚染地域では、我慢するか否かなどという、被害者の「主観」「価値観」の問題ではないはずだ。国が福島第1原発事故の前に決めていた放射線防護の基準は、事故後においても順守されなければいけないことは自明ではないか。自明ではない、という人間たちは、被害者の命と健康、あるいは被ばくを拒否する権利(人権)を、他の事よりも劣位に置いているということを意味しているだけである(言い換えれば、原発事故で起きた放射能汚染の状況に応じて、被害者の被ばく限度を自分たちに都合よく増やしていいということを意味する)。ふざけるんじゃない、ということだ。

 

(2)放射性セシウムや放射性ヨウ素以外の核種に関して言及が乏しいこと

 福島第1原発事故により環境に放出された放射性核種は200種類を超える。その中のたった4種類か5種類の核種だけに注目しておけばいいと言うのであれば、それに見合う実証的根拠(相当強力な実証的根拠)を示していただかないと納得がいかない。私のような放射能のシロウトでも、たとえば放射性ストロンチウムや放射性ヨウ素129、プルトニウムやウラン、あるいは様々な核種が混然一体となったホット・パーティクルなどは、いったいどうなっているのかと思う次第である。何の説明も言及もせぬままに、放射性セシウムだけに話を絞り込むことは非科学的である。

 

(3)内部被曝(呼吸被ばく+飲食被ばく)に関する言及が全くないこと

 内部被曝には呼吸被ばくと飲食による被ばく、そして外傷からくる被曝がある。飯館村に帰還して定住した場合、放射線被曝は外部被曝よりも内部被曝(特に呼吸被ばく)が深刻である可能性が高い。しかし、説明も言及も皆無である。外部被曝と一緒くたにされて、どこまでガマンするか、の一つにされてはたまらない。

 

(4)空間線量の測定位置が地上1mであること

 これでは子どもたちの被曝の危険性は過小評価されてしまう。このことはこれまでもさんざん言われてきたことだ。

 

(5)測定対象が空間線量で単位がシーベルトであり、土壌汚染をベクレル・ベースで測定していない(あるいは記載されていない)

 何故、今中氏は土壌汚染を計測しないのだろうか。あるいは、何故、野生生物の汚染状況を計測しないのだろうか。また、その汚染も、(2)で申し上げたように、放射性セシウムだけでなく、その他の放射性核種についても計測してみようとはしないのだろうか? 飯館村は福島県でも最も汚染がひどい地域の一つであり、放射性セシウム以外の土壌汚染の測定には大きな意味があると思われるが、何故か言及すらない。(土壌の中には湖沼・河川の底泥も含む)

 

3.20129月時点で私が今中哲二氏を批判したメール

「今中哲二氏 「低線量被ばくの健康被害」の軽率講演を斬る!」

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前略,毎度のことで恐縮ですが,誤字脱字・文章推敲の不十分をご容赦ください。

 

田中一郎です。

 

下記URLは,つい最近,福島県いわき市において開催された京都大学原子炉実験所の今中哲二氏の講演録画です。同氏の低線量被曝の健康被害について,これほどまとまったVTRはなかなか他にはないのではないでしょうか。質疑応答を含めて全体で3時間,少し長いですが,ご覧になってみてください。

 

最初から私のこの講演に対する評価を申し上げて恐縮ですが,簡単に言えば「軽率」ないしは「ポイント外れ」の一語に尽きます。以下に,いくつか講演内容の問題点を列記しておきます。詳細に批判すれば,まだまだたくさんありますが,簡単にしておきます。今中氏は御用学者ではない,と信じておりますが,現下の情勢で,かようなことを言い続けるのであれば,それは限りなく「御用」に近づいて行くことになるでしょう。

 

もっと,現下の日本政府や原子力ムラの御用学者達がどのようなことを言い,どのようなことをしているか,それがどれほど危ないことなのかを強烈に意識して,現下の被曝管理を適正化する方向で話をしないといけません。この講演では,今中氏は低線量被曝がもたらす危険性を,ガン・白血病以外をことごとく「よくわからない」として退けています。それは近い将来に大きな悲劇をもたらす可能性があります。予防原則とは,こういう時に使う言葉です。

 

*今中哲二講演会「低線量被ばくの健康被害 "科学 "ではっきり言えることと、言えないこと」

 http://www.youtube.com/watch?v=GSRbFjsebRk&feature=related

 

【主催】いわき放射能市民測定室 Tarachine

【会場】いわき市生涯学習プラザ 大会議室

 2012.7.14() 1330 1630

 掲載HP URL http://1st.geocities.jp/nomorefukushima_2011/

 

 <今中哲二氏の講演に見る問題点>

・内部被曝を外部被爆とはっきり区別し,事故後における内部被曝の危険性を説明していない(話は外部被爆のこと)。相手が詳しくないことをいいことに,甘い話をしているように見える。体内に取り込まれたセシウムとカリウムとで,危険性にあまり差がない,などという驚くべき発言もある(市民の中にはかなり詳しい人,よく勉強している人がいる様子あり。その人達に対して失礼である)。ただ他方では,内部被曝の場合,生物学的半減期はかなり「誤差」がある,という注目すべき発言もある。

 

・「被曝を考えるときはシーベルト」などと言うのであれば,現下の「シーベルト」という評価尺度が極めておかしなものであることを説明すべきである。

 

・説明される被曝の健康被害が,急性障害とガン・白血病だけに限定されており,それ以外を「よくわからない」と度外視・切り捨てしている。科学的にはっきりしないのは,ガン・白血病でも同じこと,それ以外を今中氏のような態度で,認識まで拒否するのは全く理解できない。私の狭い範囲で知るところでさえ,山のように危険性をはらむ蓋然性の高いデータがたくさんある。科学者なら,今回のようなことをしゃべる前に,そうしたことをきちんと調べたらどうか。調べていないのなら,軽率なことはしゃべらないでいただきたい。万が一,低線量内部被曝が様々な健康被害をもたらすものであったなら,今中氏は自分の発言の責任をどう取るつもりなのか?(今中氏の発言の影響は御用学者の比ではない) むしろ,科学者の姿勢として,こうした非ガン・白血病の危険性について,もっと研究がなされ,データが公開され,広く国民が知るような方向へ導くようなことを話すべきではないのか。

 

・一方で,行政には「予防原則」が重要だなどと発言するが,他方では,学者は「予防原則」などいらない,と言わんばかりである。科学における研究テーマや観察や着眼点は,予防原則(一種の可能性の追求=多面的な想像)によって導かれる,という科学の営みの底流への無理解ではないのか

 

・今中氏曰く「「すぐに健康影響はない」という枝野幸男(当時は官房長官)の発言はその限りで正しいが,それだけではいけない。晩発性障害(ガン・白血病)がある」などというのは,ものごとのはぐらかしである。枝野幸男がその時しようとしていたことはどういうことだったのか,説明するまでもないでしょう。

 

・人間のデータで検証しないと本当のことはわからない,人間のデータでしっかりしているのは広島・長崎。・・・・・大ウソだ。『(増補)放射線被曝の歴史』(中川保雄)のP106107をご覧になればいい。内部被曝を無視している上に,過小評価につながるデータ収集上の重大な瑕疵がある。何故,これを言わないのか。知らないということか。知らないのなら,こういう講演を引き受けるのをやめたらどうか。

 

 <『放射能被曝の歴史』より>

第一に,被曝後数年間(194550年)に放射線被曝の影響で高い死亡率を示した被曝者の存在が全て除外されている

第二に,爆心地近くで被曝し,その後長く市外に移住することを余儀なくされた高線量被曝者が除外されている

第三に,ABCCが調査対象とした直接被爆者は1950年の時点で把握されていた直接被爆者数,283500人のおよそ1/4ほどでしかなかった。しかも,調査の重点は2km以内の被曝者におかれ,遠距離の低線量被曝者の大部分は調査の対象とすらされなかった。

第四に,その上で,ABCCは高線量被曝者と低線量被曝者とを比較対照するという誤った方法を採用して,放射線の影響を調査した

第五に,年齢構成の点においてもABCCが調査対象とした集団は,若年層の欠けた年齢的に片寄った集団であった

 

・チェルノブイリ・ハートと言う映画はつまらない,を何度も連発。しかし,その根拠があいまい。あの映画を否定できるようなデータがどの程度あるのか。IAEAが採用したベラルーシの研究者のデータを用いて説明していたが,論外である。IAEAのデータなど一切信用するな,と説明するのが科学者の正しい説明ではないか。

 

・自然放射能とK40,医療被曝,航空機での被曝など,原子力御用学者が常套手段にしているバカバカしい説明を繰り返している。そんなことはどうでもいい。聞きたいのは,福島第1原発から放出された放射性物質である。それについて,何故,詳細に語らないのか。

 

・海はわからない,といいながら,どこのいい加減な人間か分からないが,魚の専門家とやらの「海の魚は,海の汚染濃度と魚の体内の濃度とで一定のバランスが成立すると,それ以上は蓄積・濃縮しない」などといういい加減な発言を持ちだし,水産庁丸出しの説明をしている,ならば,最近発見されたアイナメ3万8千ベクレルの汚染は一体何だ? 海のことは分からないというのなら,最後まで,分からない,と言うべきである。川魚の危険性の話などは,既に自明のことである。

 

・プルトニウムやストロンチウムに対するスタンスも甘い。飯館村で測ったら大したことはなかった。チェルノブイリ原発事故と違い,福島第1原発事故は原子炉格納容器が大きく壊れず,揮発性の高いものが主に環境に出ていったから,少なくとも陸上は心配無用。・・・・・・などと説明している。何故,ろくすっぽ測りもしないで,かような軽率なことを言い続けるのか。よくわからないから,きちんと継続的に調べるべきであると言うべきだろう。

 また,福島第1原発事故では,3号機は核燃料プールの核爆発だった可能性もある。簡単に片づけてもらっては困る。

 

・免疫が弱っている(菅谷松本市長)という話には,自分はよくわからない,と対応し,よく調べるシステムを創る必要がある,と答えていた。それはそうだが,その最も重要なところがよくわからないのなら,こういう「低線量被曝」のいい加減な講演はおやめいただきたい。

 

・検査,調査,そして被曝治療については言及するけれども,被曝回避,避難,保養や疎開のことは一言も言わない。何故か。被曝医療などと言っても,いったん被曝すれば,それを治療する方法などないはずである。放射能に対する対応では,治療よりも被曝回避が優先のはず。

 

・今中氏曰く「行政には,予防原則も,目安になる規制値も必要だ。そして,それが説明できるものでないといけない。しかし,私は学者だから,私だったらこうする,こう考える,と言えるだけ。食品の新規制値の100mSVは,まあ,そんなものかな,という受け止め方だ」・・・・・はっきり言って無責任だ。学者であっても,きちんと考えて発言すべきである。私ならこうする,と言うだけでは話にならない。日本社会としてこうすべき,と言うべきである。これでは「求められたことからの逃亡」である。また,食品の新規制値を受け入れる姿勢もいただけない。新規制値には,子どもの問題をはじめ,多くの問題があるし,そもそも食品の測定体制が全然できていない。

(どうして食品の放射能汚染への対応と,化学物質汚染への対応を比較して,問題点を浮き彫りにしないのか)

 

・今の除染は無駄,放射能そのものはなくならない,費用は巨額,とネガティブな説明,除染して出てきた汚染物をどうするのか,と疑問を呈していた。除染する意味があるとすれば,低線量地域で現在居住しているところ。半分ぐらいまでは下げられるのではないか,とのこと。・・・これはOK 放射能ゴミは東京電力が引き取るべき。

 

・「福島県民健康管理調査」について,「調査だけするようで我々は人体実験されている,今現在20%までしか調査が進んでいない,やり方が悪いのでは?」という市民の質問に対して,山下氏が何故,あのように放射能を怖がるな,などと言ってまわり,福島県立医大の副学長になり,健康調査の元締めになっているのか,わからない。政府も県も対応が悪い。この調査は「臭いものにふたをする」ような動きだ。福島の「放射線影響研究所」をつくれ,と回答。・・・・これもOK

 

・結論,今中氏がこの話を「科学」の名で行うことは許されないのではないか。

草々

 

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