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2017年2月 7日 (火)

ポスト・トゥルース(脱真実)時代の言論について(その1):ネット言論はさしあたり「便所の落書き」のたぐいと思っておけばよい=リテラシーを持てるかどうかがポイント

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

今週の『週刊金曜日』に「ネット依存社会:骨抜きにされるジャーナリズム(斎藤貴男×武田砂鉄 『週刊金曜日 2017.2.3』)」という非常に興味深い対談が掲載されています。現代のネットを中心にした言論状況や、ゴミと化したマスコミの報道について、鋭い分析がなされています。『週刊金曜日』をお求めになり、是非ご覧ください。また、これに関連して、生活クラブ生協の月刊機関誌『生活と自治 2017.2』に掲載されました作家の辺見庸氏の時事評論「「脱真実」の時代」、『自然と人間 2017.2』に掲載されました秋山豊寛氏の「ソーシャルメディアの時代」という時事評論、並びに東京デマックスTV(東京MXテレビ)に関する報道などを若干まとめておきました。併せてご参照いただければと思います。

 

私からは、ゆがんだネット依存と魂の抜けた似非ジャーナリズムが混在する平成「末法」言論について、若干のことを申し上げます。

 

(1)ネット情報や言論などは、さしあたり「便所の落書き」のたぐいと思って見た方がいい。私の経験談で申し上げれば、「便所の落書き」は、たいていがとりとめもない、スケベーな、歪み切った、汚らしい、いろいろなことが書かれていますが、中には「ほほほー」と思うような興味深いもの・面白いものもあります(一例:毛沢東は毛沢三)。ネット情報などは一部の例外を除いてそんなものだと思っておけばいいということです。もちろん、すべてがゴミやクズのような情報や言論ばかりではないでしょうから、その玉石混交の情報の山の中から、きちんとした「選眼力」(リテラシー)をもって「玉」を取捨選択することが重要です。逆に「ポスト・トゥルース」などと言って「自己情緒」をいやすような取捨選択をしていたら、やがて自分の脳内が「クソまみれ」になるのは必然です。

 

(2)いわゆるネトウヨとかヘイトスピーカーと言われているネット上の言論は、その便所にたかるハエのようなもの。キンチョールでシューとばかりに退治してしまいましょう。(但し、害虫退治にはネオ・ニコチノイド系の殺虫剤はお使いにならないでください)

 

(3)検索サイトなどに見られる「ターゲティング広告」に違和感を持つどころか「便利だ」と思うセンチメントは、MLにおいて自分に送られてくる来るメールが気に入らないからと、発信制限をルール化しろだの、11通の発信回数にしろだのと言っているセンチメントと通底しています。与えられることに慣れ切った時代の「養鶏場」文化のようなもの。言論・表現の自由は、その反対側に、言論・表現を取捨選択し、自分でそれを評価していく、リテラシーと主体性が求められるのです。誰かに選んでもらって、誰かに食べやすく加工してもらって、情報や言論をかみ砕く丈夫な歯を持たぬまま、まるで「流動食」のごときもので事足りるとする姿勢、それが当たり前になっている社会では、言論は「誰かの都合に合うようにうまく調理される」ことになるでしょう。それが「ポスト・トゥルース」の言論状況なのです。活字が嫌われることとも大いに関連しています。

 

(4)ツウィッターなどというネット手法は、わずか140文字ばかりの中に無理やり複雑なものを押し込めて表現する、いびつ極まりないものです。おのずと物事の単純化が必要不可欠となり、それはそのままファシズム文化へと連なっていきます。何故なら、ファシズム体制下における支配権力の「宣伝」とは、嘘八百を単純化して耳ざわよくし(つまり民衆の情緒に訴える)、それを何十回・何百回も繰り返すことですから。しかも、このツウィッターは、事実や情報や論理を表現するには極めて使いにくいツールですが、自分の感情や気持ちをコンパクトに表現するには便利な道具です。情緒表現の手段が情報や言論の伝達手段と化しているため、両者にシビアな区切りというか禁欲的な境目がなくなり、「ポスト・トゥルース」言論がおのずと生まれてくるのでしょう。私は、ツウィッターは一切やらないことにしています。

 

(5)少し前の小泉純一郎政治や大阪維新・橋下徹、そして今日の小池百合子東京「劇場」政治などは、こうした「ポスト・トゥルース」言論がその背景にあり、情緒が情緒と共鳴して、熱しやすく冷めやすい、一時的で無責任な「似非政治改革ブーム」を創り上げてしまいがちです。こんなものに振り回されていては、いつまでたっても我々有権者は救われないし、自分たちのための政治も実現できないだろうということです。

 

<別添PDFファイル>

(1)ネット依存社会:骨抜きにされるジャーナリズム(イントロ部分)(斎藤貴男×武田砂鉄 『週刊金曜日 2017.2.3』)

「nettoizon_intro.pdf」をダウンロード
 http://www.labornetjp.org/news/2017/1486080488863staff01


(2)「脱真実」の時代(辺見庸 『生活と自治 2017.2』)

 http://plaza.rakuten.co.jp/articlenine/diary/201701300000/

「datusinjitu_henmiyou.pdf」をダウンロード

(3)京都竹やぶ日記(61):ソーシャルメディアの時代(秋山豊寛 『自然と人間 2017.2』)

 http://www.n-and-h.co.jp/

 

<別添PDFファイル・関連サイト:東京デマックスTV(東京MXテレビ)>

(1)MXテレビ「ニュース女子」の中傷報道に批判、「沖縄ヘイト」堂々と(東京 2017.1.20

 http://u0u1.net/BrMT


(2)「ニュース女子」問題 深く反省(東京 2017.2.2 他)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201702/CK2017020202000241.html


(3)「沖縄ヘイト」言説を問う(3)(雨宮処凛 東京 2017.2.6

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201702/CK2017020402000137.html


(4)MX番組問題:東京新聞「深く反省」 論説副主幹が司会 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20170202/k00/00e/040/198000c?fm=mnm


(5)〈時代の正体〉虚偽放送は「公開処刑」 (神奈川新聞) - LINEアカウントメディア

http://news.line.me/issue/oa-kanagawa/1hrot5ah4dyr5?utm_source=Facebook&utm_medium=share&utm_campaign=none&share_id=ZSj85677844926

 

(加害者側は居直っております)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(6)ニュース女子番組見解について DHCシアター

 https://www.dhctheater.com/information/2017-01-20-283265/


(7)東京新聞:反省「言論の自由侵害」 MX番組司会副主幹、民放ラジオで「辞めぬ」と反発 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20170207/ddm/041/040/102000c?fm=mnm

 

 <その他関連サイト>

(1)法務省:「これがヘイトスピーチ」 典型例を提示 - 毎日新聞

http://www.excite.co.jp/News/society_g/20170206/Mainichi_20170206k0000e040213000c.html

 http://mainichi.jp/articles/20170206/k00/00e/040/213000c?fm=mnm


(2)検索結果削除に厳格要件、最高裁 初の判断基準(東京 2017.2.2

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201702/CK2017020202000136.html

 

(単に検索サイトを運営する米系企業に逆らいたくなかっただけじゃないの? 「現代の悪代官所」=最高裁も「アメリカ宗主さま」には全然頭が上がらないからね。南町奉行所のような連中が、またぞろ水面下でアメリカ大使にでも「こんな判決でよろしおますか」などと聞きに行っとるのじゃないのか。大昔の伊達判決前の田中耕太郎最高裁長官のようにだ。:田中一郎)

 

(参考)砂川事件「伊達判決」と田中耕太郎最高裁長官関連資料

http://www.masrescue9.jp/fukawareiko.pdf#search=%27%E4%BC%8A%E9%81%94%E5%88%A4%E6%B1%BA%E5%89%8D%E3%81%AE%E7%94%B0%E4%B8%AD%E8%80%95%E5%A4%AA%E9%83%8E%27

草々

 

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