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2017年2月 1日 (水)

(再論)ベーシックインカムについて(他のMLでの議論です:勘違いしてはいけない=「ベーシックインカム」は「生活保護」や「社会保障制度」とは似て非なるものです)

前略,田中一郎です。

(他のMLでの議論です)

 

念のために申し上げておきますが、「ベーシックインカム」は「生活保護」や「社会保障制度」とは似て非なるものです。「ベーシックインカム」の「キモ」は、有権者・国民ひとりひとりに最低限の生活に必要な費用を現金給付する代わりに、その他一切の生活関連・生存権関連の社会政策を廃止するという「究極の市場原理主義政策」のことです。そうすれば、社会保障制度を維持するための政府組織や機関・公務員も必要なくなります。最も小さな政府が自動的に出来上がり、国家は「夜警国家」と化すわけです。いわゆる「ヘリコプター・マネー」と言われる市場原理主義政策がありますが、あれは1回限りの「現金散布」であり、この「ヘリコプター・マネー」を制度化して毎年繰り返すのが「ベーシックインカム」です。こんなものに騙されてはいけません。

 

「ベーシックインカム」は世帯単位で考えるものではありません。個々人を徹底してバラバラにして個人給付を実施し、この給付以外のことは「自己責任」でやりなさい、もちろん健康保険や失業保険が必要と思うなら民間保険に入ればいいし、年金が必要なら個人年金を積み立てればいい、政府は関知いたしません、そんな制度です。また、仮に成人1人当たりの最低給付を20万円/月としたとすると、20万円×1億人×12カ月=240兆円、それに未成人2千万人にはその半額の10万円×2千万人×1224兆円を加えますと、概ね250兆円くらいの財源が必要になります。その半分としても120兆円です(でも月々10万円やそこらで暮らせますか? それ以外の社会保障政策はゼロですよ)。現実問題として、とてもできそうにありません。だから財務省などは「ベーシックインカム」などというものは「ネゴト」のたぐいと見て見向きもしないのです。

 

最低限の生活を国がしっかりと支える=これを「権利としての社会保障」の一環としてしっかりと築く、「生活保護」という言葉を転換して「生存権保障制度」とでもいいかえればいいのではないかと思います。なぜ、今ある制度=生活保護制度の見直しをきちんとしないのか、何故、今ある制度の問題点をきちんと整理し、その改善にとりくまないのか、ということであり、また、言葉の使い方も大事な一つです。

 

それから、下記に紹介されている民進党・古川の経済政策ですが、まだこんなことを言っているのか、という印象です。「野党は共闘」は大事な当面の政局的対応ですが、その「野党は共闘」でどのような政権や政策を築いていくのかという「中身」について、もっとしっかりとした議論とビジョン、それにコンセンサスをもっておかないと、また再びの「口先やるやる詐欺」政権となり、ああ、やっぱり駄目だったか、となるに違いありません。どこかから腹黒い支配者や巨大資本の幹部たちの高笑いが聞こえてきます。今のままの民進党では、原発1つさえも廃止にできぬまま再びロクでもないことを繰り返し、その結果、今日のアベ政権よりももっとひどいグロテスク政権を用意していくことになると思います。日本の有権者・国民よ、早く目を覚ませ、ということです。下記に古川の政策を簡単にコメントしておきます。

 

*「マイナンバーを活用した給付付き税額控除の導入」 「共通番号」であるマイナンバー制度はだめだ。税システムの中でやれ。全個人情報が世界へ向けて丸裸になる危険が伴っている。マイナンバー(共通番号)制度は廃止だ。

 

*「国民年金を全額税負担」⇒ 厚生年金加入者も基礎年金掛け金を負担しているが、その半分は雇い主の企業が掛け金を負担している。この企業掛け金を「税金」として別途徴収するのがセットであるということを明言しない限り、こんな制度は絶対にダメ。企業に巨額の「社会保険料負担免除」のプレゼントをするようなモノである。ふざけるな!

 

*「将来の財源は、所得税の累進課税の強化、消費税率の引き上げ、資産課税の強化などで賄うことになるが、当面は国債で調達するなら、日銀の国債購入額が増えて、金融緩和がより強化されて、デフレ脱却に向けた政策が強化されることになろう。拙速な増税で財源を手当てすべきではない。」

 ⇒ 消費税は廃止だ。奢侈物品サービス税に転換せよ。ましてや消費税増税による財源確保など、断固としてダメ。要するに本音は「拙速な増税で財源を手当てすべきではない」にあり、「所得税の累進課税の強化」「資産課税の強化」などは飾り言葉のようなモノ、どこまで本気かは???だ。そうでないなら、まず、この2つについて、徹底して具体論を述べてみろ、ということだ。そもそも、「タックスヘイブン」対策が挙げられていないのが「七不思議」である。

 

「税と社会保障の一体改革」という嘘八百に騙されず、税制は税制、社会保障は社会保障として徹底改革をかかげましょう。私は議論が全く足りないと感じております。本当の意味での政権交代は、まだまだずっと先のことかなと、悲しくなる次第です。

草々

 

201721日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]「日本型ベーシックインカム」をもう一歩進める一案

http://diamond.jp/articles/-/116205?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

 

(一部抜粋)(全文は上記サイトをご覧ください)

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民進党が発表した「日本型ベーシックインカム構想」

 

 (中略)しかし、現在、党勢が衰弱しているとはいえ、最大野党である民進党がベーシックインカムを正面から取り上げようとするなど、ベーシックインカムは筆者の想像以上に関心を集めているようだ。

 

 古川氏の談話を読むと、まず、基礎控除、配偶者控除、扶養控除を高額所得者の控除が大きくなる所得控除から税額控除にリニューアルすることを第一段階とするとしている。この過程で、配偶者控除と扶養控除を廃止して、「世帯控除」を新設する構想のようだ。

 

 古川氏は、与党が主張する配偶者控除を拡充したうえで所得制限を設けるとの手法を批判しているが、この点はもっともだと考える。現在、東京都の小池百合子知事が検討中の私立高校無償化の所得制限にも言えることだが、所得制限は、一般受けしやすいが、特定の所得レベルを境に稼ぎのインセンティブを歪めるし、制度を不必要に複雑化して国民・官僚双方の手間が増える「愚かな」仕組みなので、原則として止める方がいい。給付は一律に行って、高所得者(あるいは高額資産家)の負担は税金で調整するのが簡明で効率の良い方法であり、「ベーシックインカム的」な政策の基本的な考え方だ。

 

 民進党案の第二段階は、マイナンバーを活用した給付付き税額控除の導入だ。「給付付き税額控除」とは普及の障害になりそうな冴えないネーミングだと常々思っているのだが、かつてミルトン・フリードマンが効率的な再分配の構想として提唱した「負の所得税」と同じものであり、所得の捕捉が完全に行われているとする場合、再配分の効果は基本的にベーシックインカムと同等だ。古川氏は、これを「日本型ベーシックインカム」と呼びたいとしている。

 

(中略)国民年金を全額税負担としてベーシックインカム化する。

 民進党の日本型ベーシックインカム構想をヒントに、ベーシックインカム的な政策をもう一歩進める一案を考えてみた。国民年金を全額税負担として、ベーシックインカム化してしまうといいのではないか。

 

 現在、自営業者は国民年金に加入して年金保険料を払っており、サラリーマンは厚生年金あるいは共済年金を通じて国民年金に相当する基礎年金の保険料を負担している。加えて、一定の所得に満たないサラリーマンの配偶者は国民年金の保険料を払っているとみなす制度があり、この公平性がしばしば議論の対象になっている。基礎年金は現在、2分の1が国庫負担であるが、これを全額国庫負担として、対象者全員が保険料を払っていると「みなす」とどうなるだろうか。

 

 国民年金の保険料は平成28年度で月額16260円だが、現在年金保険料を納めている現役世代にとって、この負担がなくなることの手取り所得増加の効果は、一人当たり年間約195000円あり、これが継続的に行われると期待されるなら、現在低調な個人消費を大きく底上げすることになるだろう。基本的に所得に関係なく定額で還元されるので、所得との対比では低所得者のメリットが大きい。

 

 一方、平成26年度の公的年金制度の国庫負担額は118000億円だが、これがおよそ倍増することになる。厳密には、これまで免除その他で保険料を納めていなかった人たちが保険料を払ったとみなされるようになるので、将来の給付額が増えることになるが、その効果が出てくるのは比較的ゆっくりだ。

 

 将来の財源は、所得税の累進課税の強化、消費税率の引き上げ、資産課税の強化などで賄うことになるが、当面は国債で調達するなら、日銀の国債購入額が増えて、金融緩和がより強化されて、デフレ脱却に向けた政策が強化されることになろう。拙速な増税で財源を手当てすべきではない。

 

 目下、デフレ対策として、財政政策の役割が注目されているが、非効率的になりやすくまたメリットを受ける層が偏る公共事業などの「財政出動!」ではなく、広く国民(特に若い世代に)に現金を渡す政策なので、資源配分の無駄が起こりにくい。

 

 また、現在、制度運営のため過大に大きな積立金を保有し、GPIF等の運用機関が運用に苦労しているが、積立金を縮小して、いわば国民に返すスムーズな方法の一つとして、当面、積立金の取り崩し額を増加して、財源の一部に充てることを組み合わせてもいい。加えて、国民年金の保険料徴収などの事務が不要になることのコスト削減効果も重要なメリットだ。日本年金機構は、大幅に縮小できよう。

 

(中略)年間十数兆円の財源が必要なのでは実現は難しいと考える方がいらっしゃるかもしれないが、現役世代の手取り所得が先の計算で年間19万円以上増えるのだから、将来の税金の負担能力も増えているはずだ。増税の方法によって差は出るが、低所得者も高所得者(あるいは高額資産保有者)も現役時代に定額のメリットを受けて、高所得者が税金を多く負担することによって、「再分配」がなされる効果があることは間違いない。

 

 もちろん、セーフティーネットとして、また再分配の手段と規模として、国民年金のベーシックインカム化だけでは不十分だが、ベーシックインカムの比較的簡単な部分導入方法の一つとして、検討してみてもいいのではないだろうか。

 

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

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草々

 

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