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2017年2月10日 (金)

(報告)(必見)講演会:東電事故の汚染土を「安全に」「全国に、ばらまく」環境省方針って何?(BYまさのあつこさん)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

さる2月8日(水)、スペースたんぽぽにおいて、ジャーナリストのまさのあつこさんを招いての講演会「東電事故の汚染土を「安全に」「全国に、ばらまく」環境省方針って何?」が開催されました。この問題については、これまでもみなさまには院内集会のご報告その他でお伝えしてきましたが、今回は徹底した取材と緻密な分析、そして問題の核心を貫く鋭い判断で著名なまさのあつこさんに、現時点での概要と問題の所在を詳しく説明していただきました。UPLANさん(三輪祐児さん)の当日録画をお借りしてみなさまに、その簡単なご報告と関連情報をお送りいたします。是非ご覧ください。

 

幸いにして、いい加減で無責任極まりない環境(汚染促進)省に対して、もう一つのいい加減で無責任極まりない原子力規制委員会・規制庁が、この問題の放射線審議会への付議に難色を示している様子があり、現状では「踊り場」にあるようです。さしあたり、やれやれですが、しかし、予断は許しません。何故なら、環境省は、ひょっとすると苦し紛れに、愚か者が支配する自治体(特に福島県内)とグルになって、何の基準も規則も定めぬまま、なし崩し的に、この「除染ゴミ」(放射性物質で汚染された土やガレキなど)を公共事業に使ってしまう可能性があるからです。事実、これまでも南相馬市で実施された林野庁の海岸防災林造成事業でかなりの量の放射能汚染土を使っていますし、今もまた、試験事業と称して、同じく南相馬市内で「汚染ゴミ」を公共事業に使おうと画策しております。その事業を「3000ベクレル/kg以下にしてくれたらいい」と、自分の方から環境省に対して「誘致」に行くような気配を見せる桜井勝延南相馬市長の愚かしさが際立っています。

 

ともあれ、かようなことを環境省をはじめ、日本の政治や行政が推進していけば、やがて日本中は放射能汚染だらけになってしまうでしょう。いくら土の中に汚染物を埋設し盛り土をしたところで、大規模な自然災害が襲えば、そんなものはあっというまに破壊され、あたり一面が放射能汚染物だらけになってしまうことは誰にでもわかることです。愚か極まるとしか言いようがありません。究極の環境破壊であり、亡国政策です。

 

そもそもは、しなくてもいい除染・できもしない除染・してはいけない除染・すべき場所を間違えている除染を、巨額の公的資金を使いながら除染事業そのものを利権事業と化し、地域住民への放射線被曝を歯牙にもかけず、作業員の被ばく管理もロクすっぽせず、避難や移住の権利を踏みにじって、行ってきた政府の被害地域対策・被害者対策が歪みに歪み切っているところに大きな原因があるのです。「除染」と称して大規模に土壌除去などをやれば、大量の汚染ゴミが出て切るのは自明なことであるにもかかわらず、それをどうするのかを決めぬままに、情緒的に「除染」という「移染(汚染の移動)」を行ったことが間違いなのです。放射能汚染地域の被害者の方々を、まずは一旦、避難・疎開・移住させ、その上で、汚染度合いの低い地域から時間をかけて、ホット・スポットを撲滅するやり方で丁寧に除染を進めていく、被害者の方々に対しては万全の賠償・補償を行って、生活や仕事や教育などで苦しまなくてもいいよう、加害者の東京電力や原発メーカー、あるいは政府や自治体がきちんと対応する、そして、福島第1原発事故の責任を徹底して追求し、再発を断固として食い止める、そういうふうに動けば、今回問題化しているような愚かな事業などはあり得なかったでしょうし、カネばかりかかって効果が乏しい福島第1原発事故対策にはならなかったでしょう。

 

必要性も効果もない「除染」なる「利権事業」で大量の放射能汚染ゴミを発生させ、そのやり場に苦慮した政府・環境省が、それを全国に公共事業に使うことでばらまいていく、まさに末期症状に近いバカ丸出しの、愚か極まる福島第1原発事故対応と言わざるを得ません。この文章を書いている最中も体の中から怒りがこみ上げてきます。彼ら原子力ムラ代理店政府は、かようなバカなことをしながら、また再び原発・核施設を再稼働しようとしていますから、怒りは更に燃え上がるばかりです。

 

以下、ご報告を簡単にさせていただきます。

 

 <別添PDFファイル>

(1)(チラシ)東電事故の汚染土を「安全に」「全国に、ばらまく」環境省方針って何?(まさのあつこさん)

 http://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-12243771034.html

(2)ルポ・原発事故汚染土:リサイクル事業進める規制官庁、環境省の危ない役回り(杉本裕明『世界 2016.10』)

 https://www.iwanami.co.jp/book/b273371.html

(3)汚染土議事録 環境省 発言削除し開示、再利用誘導 隠蔽か(毎日 2017.1.5

 http://mainichi.jp/articles/20170105/ddm/001/040/153000c

(4)上限8000ベクレルの汚染土再利用、地元反発、3000以下で実験、南相馬(毎日 2017.2.5

 http://mainichi.jp/articles/20170205/ddm/041/040/126000c

(5)群馬・有害スラグ業者不起訴(毎日 2017.1.25

 http://mainichi.jp/articles/20170125/ddm/005/070/022000c

(6)「除染」が壊した地方自治(日野行介 『世界 2017.3』)

 https://www.iwanami.co.jp/book/b280808.html

 

 <当日の録画>

20170208 UPLAN まさのあつこ 東電事故の汚染土を「安全に」「全国に、ばらまく」環境省方針って何? - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=Y2YSQl9gwzQ

 

(私が下記の3つの質問をしています:録画の最後の方です:(1)と(2)は1時間15分あたりから、(3)は一番最後です。まさのあつこさんとともに、当日会場にいらしていた毎日新聞の日野行介さんも回答にご協力下さっています。感謝です)

 

(1)こうした事業を環境省がやる場合には放射線審議会を通す(承認を得る)必要があるということに法的な根拠はあるのか?

 ⇒ ある。(下記の放射線審議会関連サイトをご覧ください。根拠法は「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」です。この法律の「第六条 関係行政機関の長は、放射線障害の防止に関する技術的基準を定めようとするときは、審議会に諮問しなければならない」がこれに該当すると思われます)

 

(2)公共事業で使われようとしているのは8000ベクレル/kg以下のものなので、これらは中間貯蔵施設には行かないものが対象だ、という認識でいいか?

 ⇒ 福島県内のものはそうとも言えない。8000ベクレル/kg以下であっても中間貯蔵に行くことになっているようだ。また、福島県外のものについては8000ベクレル/kg超のものをどうするかは未定のまま宙ぶらりん状態の県が多い(8000ベクレル/kg以下のものは一般廃棄物処分場へ)。結局、福島県外については、中間貯蔵に行くのは10万ベクレル/kg超ということになるのだろうが、これも福島県が受け入れOKと言ったかどうかは???。ちなみに、この8000ベクレル/kgも、10万ベクレル/kgも、その基準に科学的実証的な(安全性の)根拠はない。きわめてご都合主義的でいい加減で危険な基準にすぎない。

 

(3)南相馬市では汚染物の埋設が試験事業として実施されているが、これから実施する工事も含めて、どこで(所在地住所詳細)、どれくらいの汚染物を使って、どういう内容の事業をしているか、ネット上の開示と、工事現場での立て看板等の開示は行われているか?

 ⇒ いない。まさのあつこさんが南相馬の現場に行ったときに、いったいどこで工事が行われているか探すのに苦労をし、地元の自治体の人などに効いてやっとたどりついた。これでは、地域住民も含めて、どこに放射能汚染物が埋まっているかも知らない状態だから、自然災害で環境に出てきたときに訳が分からなくなる。大問題だと言わざるを得ない、何故、工事場所まで隠すのか!?

 

●(別添PDFファイル)(6)「除染」が壊した地方自治(日野行介 『世界 2017.3』)

 https://www.iwanami.co.jp/book/b280808.html

 

(田中一郎コメント)

当日会場にいらしていた毎日新聞の日野行介さんの直近論考です。福島県伊達市の地方行政の歪んだ姿が克明な取材に基づいて記録されています。住民を放射線被曝の危険性に晒し、異議を申し立てる住民に対しては「お前たちは重箱の隅に付いた米粒だ」などと市役所の幹部が暴言を吐いているそうです。お前たちこそ「原子力ムラに額づくカネカネ亡者で、加えて不勉強からくる放射能の危険知らず」であるにもかかわらず、です。目先のことしか念頭になく、市内の除染すらきちんとしないで、住民に高濃度の放射能汚染との「共存」を押し付け、放射線被曝への懸念さえ口封じに忙しい様子です。伊達市民は、何故、かようなひどすぎる地方行政を傲慢な市長や幹部職員らとともに市役所から追放しないのでしょうか? 

 

私は若いころ、仕事の関係で今の伊達市の旧梁川町地区に2週間ばかり滞在したことがあります。稲作を中心に、果樹、野菜、各種畜産・酪農、そしてタバコ栽培や養蚕まで、当時は日本農業が小規模ながらもフルセットで存在しているような、平和で穏やかなとてもいい中山間の村でした。それが福島第1原発事故でメチャクチャにされてしまったのです。村民の憤りがいかばかりかは私にも推察ができます。村への愛着・郷土へのこだわりも強いものがあり、福島第1原発事故など、なかったことにしたい気持ちは痛いほどわかります。でも、放射能と被ばくの危険性軽視はいけません。特に子供や若い世代は危険です。今すぐには何の変化がなくても、年を追うにつれて健康被害が出たり、遺伝的な障害が出たりする可能性が高まります。将来に後悔しても手遅れです。放射能に対しては徹底して断固たる姿勢で臨んでほしいと思います。

 

 <関連文献>

(1)(新刊)あなたの隣の放射能汚染ゴミ (集英社新書)-まさのあつこ 集英社新書 - 紙の本:honto本の通販ストア

 https://honto.jp/netstore/pd-book_28287896.html

(2)(新刊)制定しよう放射能汚染防止法 総理!逃げた後はどうなりますか-山本行雄/著(ブイツーソリューション)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033545713&Action_id=121&Sza_id=GG

(3)除染は、できる。 Q&Aで学ぶ放射能除染-山田國廣/著(藤原書店)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033003236&Action_id=121&Sza_id=C0

 

 <関連サイト>

(1)(別添PDFファイル)東日本大震災:福島第1原発事故 汚染土議事録 環境省、発言削除し開示 再利用誘導、隠蔽か - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20170105/ddm/001/040/153000c

(2)恐怖の放射能汚染土の全国拡散が今、始まる→福島の除染廃棄物を全国へ 福島原発事故の真実と放射能健康被害

 http://www.sting-wl.com/20160608.html

(3)(2つのメール転送です)(1)(報告)「8000ベクレル除染土を再利用」方針の撤回を求めて…5.2 署名提出と政府交渉(満田さん) (2)電力自由化は原発稼働電力会社を葬り去るチャンスです(東電株主代表訴訟:堀江さん) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/800052-6845.html

(4)ルポ・原発事故汚染土:リサイクル事業進める規制官庁、環境省の危ない役回り(杉本裕明『世界 2016.10』より) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/201610-232b.html

(5)環境省、除染除去土壌の公共事業への再利用を決定――広島原爆5発分の「死の灰」を全国に拡散する恐怖の計画(渡辺悦司 2016.9.15

 http://urx3.nu/ByIT

 

 <原子力災害対策特別措置法 関連>

(1)原子力災害対策特別措置法 - Wikipedia

 http://urx3.nu/ByJS

(2)原子力災害対策特別措置法(原災法:20129月改定) (10-07-01-11) - ATOMICA -

 http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=10-07-01-11

(3)日本の原子力防災対策の概要-考え方と体制 (10-06-01-01) - ATOMICA -

 http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=10-06-01-01

(4)我が国の新たな原子力災害対策の基本的な考え方について(佐藤 宗平・山本 一也 原子力緊急時支援・研修センター)

 http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/pdfdata/JAEA-Review-2013-015.pdf

 

 <放射性物質汚染対処特別措置法 関連>

(1)放射性物質汚染対処特別措置法の概要について(環境省 塩見拓正)

 http://urx3.nu/Bymm

(2)放射性物質汚染対処特措法の概要|除染のしくみの整備|除染についての基礎情報|除染情報サイト:環境省

 http://josen.env.go.jp/about/tokusohou/summary.html

(3)環境省_原子力発電所事故による放射性物質対策

 http://www.env.go.jp/jishin/rmp.html

 

 <放射線審議会 関連>

(1)放射線審議会 概要

http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/shingikaitou_12_02_03.pdf

(2)放射線障害防止の技術的基準に関する法律(放射線審議会設置根拠法)

 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S33/S33HO162.html

(3)放射線審議会 原子力規制委員会

 https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/

 

 <放射線障害防止法 関連>

(1)放射線障害の防止に関する法令 概説と要点 改訂10版-日本アイソトープ協会

 https://honto.jp/netstore/pd-book.html?prdid=26158232

(2)放射線障害防止法とは 原子力規制委員会

 https://www.nsr.go.jp/activity/ri_kisei/kiseihou/

 

 <土壌汚染対策法 関連>

(1)土壌汚染対策法のしくみ(環境省・日本環境協会)

 http://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/pdf/full.pdf

(2)環境省_土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)

 http://www.env.go.jp/water/dojo/law.html

(3)「土壌汚染対策法」関連文献

 http://urx3.nu/Byif

 

 <群馬県:大同特殊鋼の鉄鋼スラグ問題 関連>

 大同特殊鋼と佐藤建設工業=何故、かような悪質「犯罪」が起訴されないのか? 企業の巨悪を見逃していたら、日本中が企業犯罪だらけになってしまうでしょう。日本の検察は完璧に腐っているという他ありません(裏で政治家が動いている可能性があります)。

 

(1)「鉄鋼スラグ」問題嫌疑不十分で大同特殊鋼など不起訴 群馬 - 産経ニュース

 http://www.sankei.com/region/news/161223/rgn1612230012-n1.html

(2)(別添PDFファイル)群馬・有害スラグ業者不起訴(毎日 2017.1.25

 http://mainichi.jp/articles/20170125/ddm/005/070/022000c

(3)拡大するスラグ使用箇所(国交省と群馬県による12月の報道発表と関連記事) 八ッ場(やんば)あしたの会

 http://urx3.nu/BylH

草々

 

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