これは原子力ムラの「クーデター」だ(4):今般の福島第1原発事故の後始末費用の負担の決め方は、さながらアジア太平洋戦争時代の「ガダルカナル島攻略作戦」のごときです(その2)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
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1.汚染土再利用 規制庁が疑義|ニフティニュース
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0109m040097/
(放射能汚染物を公共事業に使うために秘密会合を重ねて強引に押し切ろうとしていた環境省、しかし、こうした放射能汚染物を「利用」するには放射線審議会という原子力規制委員会・規制庁所管下の委員会に諮る必要がある。放射能汚染ゴミの基準を8000ベクレル/kgでもいいよ、などとしたのが放射線審議会だから、こんな審議会に諮ったところで物事がきちんと正されるわけではないが、それでも、そんな放射線審議会にさえ諮れないほどに環境省のこの「日本全土放射能汚染化プラン」はずさんなものだった。原子力規制庁の役人が入口のところでストップをかけているらしい。原子力規制委員会・規制庁の方も、もっぱら「リップサービス規制」程度のことしかできない役所だから、早晩、まあしょうがないか、ということになるのは必定と思われるが、しかし、ひどい話である。環境省は、その幹部たちを追放して一から立て直さないと環境を守る役所としては機能しない。水俣病の問題を未だに解決できていない官庁でもある。:田中一郎)
2.東芝の海外原発事業はハチャメチャでございます
昨今またぞろ、東芝が愚かにも買収したアメリカの原発会社WH(ウェスチングハウス)がらみで巨額の損失が出そうである旨の報道がなされ、東芝の株価が暴落しているが、その関連で下記のサイトを見つけた。でも、このサイトを見てもよくわからない。東芝は株主や債権者など、ステークホルダーに対しても説明責任を果たさない会社だということなのか。下記サイトは時系列で並べておく。
(1)東芝:プレスリリース (2016-02-10):米国サウス・テキサス・プロジェクトにおける建設運転一括許可の承認について
https://www.toshiba.co.jp/about/press/2016_02/pr_j1001.htm
(2)東芝:プレスリリース (2016-05-11):米国大手エンジニアリング会社CB&Iとの原子力発電所建設に関する協力関係の解消について
https://www.toshiba.co.jp/about/press/2016_05/pr_j1101.htm
(3)東芝、Stone & Webster買収で数十億ドル規模の「のれん」計上の可能性 - 化学業界の話題
http://blog.knak.jp/2016/12/stone-webster.html
3.東京新聞 カジノ法案の衆院通過 審議6時間弱 「時間余った」質疑で般若心経 政治(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201612/CK2016120702000129.html
(関連)谷川弥一(自由民主党)《カジノ解禁法案
審議入り》【衆議院 国会中継】~平成28年11月30日 内閣委員会~ - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=igyt5wN45uA
(上記録画で33分ほど経過したあたりから「お経」を唱え始めている。はんにゃはらみたしんきょうほんにゃらぽんたらぱらぱらぱ・・・・、カジノ法案に賛成している政党の人間が、まあ、よりによって国会質問で読経とは、いやはや。おまけにこのオヤジと一緒に一興をこうじていたのもいたとか・・・・。カジノができたら自分の賭けたカネが当たりますようにとでも腹の底で祈っているのかもしれない。こいつは地獄へ落ちること間違いなしだな。これもまた自民党=日本の恥。国会って、なあに、おじいちゃん?:田中一郎)
4.福島原発事故による放射能汚染地図
http://www.kananet.com/fukushima-osenmap/fukushima-osenmap1.htm
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下記の前回メールからの続きです。前回分の別添PDFファイルは一部のみ添付いたします(下記(1)と(3)、なお(3)『週刊ダイヤモンド』記事の前回分は2枚目のページ(P108~109)が欠落していましたのでそれを補充してあります)。また、今回新規に若干の別添PDFファイルと「関連サイト」を追加しました。それから、この一連のメールが2回では終わりそうにないので、今回は「後半」とはせず「その2」としておきました。あしからず。
●これは原子力ムラの「クーデター」だ=原発(推進)失敗のコストはすべて国民に押し付けても、これからもまだまだ続けます(1):市民団体抗議声明いろいろ
いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-00c0.html
●これは原子力ムラの「クーデター」だ=原発(推進)失敗のコストはすべて国民に押し付けても、これからもまだまだ続けます(2):(報告)(12.14)院内集会・政府ヒヤリング:原発の事故処理・賠償費用・廃炉費用 誰がどのように負担するか いちろうちゃんのブロ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/1214-cec1.html
●これは原子力ムラの「クーデター」だ(3):今般の福島第1原発事故の後始末費用の負担の決め方は、さながらアジア太平洋戦争時代の「ガダルカナル島攻略作戦」のごときです(その1)
いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-4153.html
<別添PDFファイル:今回追加>
(1)東電の事業再編要求、福島第一 処理費倍増、有識者会議提言(毎日 2016.12.9 夕刊)
http://mainichi.jp/articles/20161209/dde/001/020/091000c
(2)電力大手 東電改革けん制(日経産業 2016.12.19)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H0I_V01C16A2EAF000/
(3)東電委が提言、16兆円捻出へ3種の改革(日経産業 2016.12.21)
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN1490AM.html
(4)新電力に低コスト電気、石炭や原子力
大手が供給(日経 2016.12.3)
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/873.html
(5)新電力に原発の電力、利用者「強制納得いかぬ」(東京 2016.12.6)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201612/CK2016120602000233.html
(6)原発事故費 8兆円、電気料金へ上乗せ!(『週刊朝日 2016.12.23』)
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/141.html
(7)英原発に1兆円支援、政府
日立受注案件に(日経 2016.12.15)
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/137.html
(8)東京電力:委員会提言(要旨)(
毎日 2016.12.21)
http://mainichi.jp/articles/20161221/ddm/008/020/162000c
<別添PDFファイル:前回分>
(1)(パンフ)原発事故費用・廃炉、東京電力が責任をとらないまま国民負担でいいの??(2017年1月)
https://publiccomment.wordpress.com/2016/12/20/baisyohairo/
(2)行き詰る東電支援(『週刊東洋経済 2016.12.10』)
http://mikke.g-search.jp/QTKW/2016/20161210/QTKW20161210TKW025.html
(3)原発漂流:「無理筋」の東電再編(『週刊ダイヤモンド 2016.12.17』)
http://mikke.g-search.jp/QDIW/2016/20161217/QDIWDW00394185.html
(4)福島第一処理費倍増21.5兆円、原発国民負担「過去分」2,4兆円、理不尽な「過去分」請求(東京 2016.12.10)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2016121002100009.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2016121002100010.html
(5)福島第一処理費倍増21.5兆円、返済計画甘い見通し(東京 2016.12.13)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016121302000135.html
http://mainichi.jp/articles/20161210/ddm/002/040/106000c
(6)原子力,再編相手を公募,送配電も,東電改革を提言,有識者会議(日経 2016.12.20 夕刊)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H0W_Q6A221C1MM0000/
(7)除染 国費300億円投入、帰還困難区域 来年度予算に計上(毎日 2016.12.19)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12706402.html?ref=nmail_20161215mo
http://www.asahi.com/articles/ASJDG5KMSJDGULZU00V.html?ref=nmail
(8)(1.6院内集会資料)経済産業省ヒヤリング
質問項目(2017.1.6)
(9)(1.6院内集会資料)東電改革提言(「東京電力改革・1F問題委員会」 2016.12.20)
(10)原子力国策の固定化目指す原発事故賠償有限貰任に強く反対する(海渡雄一弁護士『原子力資料情報室通信 NO.510 2016.12.1』)
https://www.bengo4.com/other/1146/n_4336/
<関連サイト:今回新規>
(1)東京電力:委員会提言(要旨) - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161221/ddm/008/020/162000c
(2)東電改革提言(「東京電力改革・1F問題委員会」 2016年12月20日)
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/touden_1f/pdf/161220_teigen.pdf
(3)東電:送電で提携検討 需給調整を効率化 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161208/k00/00m/020/150000c?fm=mnm
(4)東電改革での統合・再編案、誘導する競争政策を検討=経産相-ロイターニュース 経済:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN1490AM.html
<関連サイト:前回分>
(1)福島原発:賠償上乗せ2.4兆円上限に 新電力など負担 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161213/k00/00m/020/089000c
(2)土記:原発費用の「過去分」=青野由利 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161217/ddm/003/070/110000c?fm=mnm
(3)容量メカニズムについて
(4)容量メカニズム、非化石価値市場
<悪と無責任の巣窟:経済産業省の2つのトンデモ審議会>
(1)エネルギー・環境(METI-経済産業)=東京電力改革・1F問題委員会
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html
(2)基本政策分科会(METI-経済産業省)=電力システム改革貫徹のための政策小委員会
http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html
(田中一郎コメント)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3.東京電力との合弁や共同事業などは福島第1原発リスクを押し付ける限り実現しない
福島第1原発事故の後始末のための負担は、実質破綻会社の東京電力がその大半をひねり出す、そのためには柏崎刈羽原発の再稼働が必要不可欠、しかし地元新潟県をはじめ、東京電力の原発運営については不信感が広がっていて容易なことではGOサインが出せない、だから柏崎刈羽原発は東京電力単独ではなく、何らかの形で信頼される「第三者」をかませて再稼働にこぎつけたい、また、東京電力のその他の部門についても、さまざまな合弁や共同事業をからませて破綻会社としての「風采」を払拭・粉飾したい、ざっといえば経済産業省という「実業」=「ビジネス」を知らない「若造官僚」どもが描いたシナリオはこんなところだろう。まさに絵に描いた「腐った餅」である。
前回の別添PDFファイル(3)の『週刊ダイヤモンド』記事をご覧いただきたい。そこには東京電力との共同事業を押し付けられようとしている東北電力や中部電力の幹部たちの困窮した顔色を窺わせる内容の記事が掲載されている。経済産業省の審議会で、愚か者の委員が「ジェラ(東電と中部電との合弁火力発電会社)は福島への貢献についてどう考えているのか」と発言し、「こりゃ、まずい」と思った経済産業省の役人が「ジェラに福島のリスクは及ばないので安心してほしい」と「波風を抑え込んだ」とある。事故原発の福島第1のリスクの波及がありうる限り、東京電力との合弁や共同事業はあり得ない。合弁のメリットよりも、負わされる様々なレベルの責任や因縁のマイナスの方が大きくて底なしだからだ。「ブラックホール」と合弁するバカな経営者はいない。これは発電部門だけでなく、経済産業省が何とか実現しようとしている送配電部門やその他部門においても、である。それくらいは経済産業省もわかってはいるようである。
しかし、この『週刊ダイヤモンド』の記事には、看過できない記述があった。P109の右側下に「ジェラ設立の際に、ジェラと中部電力が福島リスクをかぶらないよう,東電の原発事業の債務保証を実質的に送配電部門が担う仕組みを構築したこと。つまり現状は東電の送配電部門から福島リスクを切り離すことができないようになっている」と書かれている。何だこれは、という話だ。送配電部門は東京電力だけでなく、たくさんの一般発電事業者や電力小売業者が利用する、言ってみれば「共同利用の公共施設」のようなものだ。それを特定の原発発電事業者の債務保証、に使うなど、公私混同も甚だしいと言わざるを得ないではないか。東京電力の本当の意味での後始末は、これで益々やりにくくなってしまった。不器用者が毛糸をもつれさせ、それをほどこうとして益々毛糸がもつれてどうしようもなくなっている様子さながらである。この記事の続きには「そんな送配電部門と、誰が組むだろうか」と書かれている。全くその通りだ。
柏崎刈羽原発の方は、私は近々、日本原電が共同出資者を募った上で買い取って、政府のバックアップを受けながら強引に再稼働していくだろうと見ている。日本原電は東京電力の出資が約3割あり、トップを含めて人的に東京電力が支配している会社である。その日本原電も、保有する敦賀原発と東海原発がいずれも再稼働の見込みが立たず、このままでは、その存在意義を失って会社解散の憂き目となる。柏崎刈羽原発を手に入れることは、この会社の経営から見れば、願ってもない「慈雨の雨」と言えるだろう。そして私の更なる推測では、その後は時期を見計らって、日本原電と東京電力が合併でもするに違いない。両社はいわば同じ原子力コインの裏と表のようなものだからだ。新潟県民は、かような「サル芝居」に騙されてはならない。
東北電力も中部電力も、その他の電気事業者や電力市場への新規参入を考える企業も、東京電力との合弁や共同事業は、繰り返しになるが福島第1原発リスクの完璧な切断がない限り、乗ってくることはないだろう。ただでさえ、自分たちの会社の経営が大変なのに、何を好んで「ブラックホール」のコスト負担を引き受ける必要があるのか、である。東京電力をまともな会社に生まれ変えさせ、他方で、福島第1原発事故への対処をきちんとするためには、これまでの計画が実質的に破たんした今こそ、東京電力に会社更生法を適用し、過去を清算して責任者を断罪し、利害関係者に応分の負担をさせたうえで、新体制に移行すべきなのである。それをしない理由は、唯一点、原子力ムラとその代理店政府は、福島第1原発事故の責任を一切取らない・取らせないことを、すべてのことの最上位に置いているということを意味している。
4.膨れ上がった福島第1原発事故対策費=21.5兆円の中身を問え
私が今回の問題について、脱原発・反原発の市民運動・社会運動が見落としている大きな批判的観点の一つに、福島第1原発事故対策費が従来11兆円から、ほぼその倍の金額の21.5兆円に膨れ上がっているのに、その中身について、徹底した情報公開と、その精査や検討を求めていない点=あるいはわかっている限りでのその中身に対する徹底した批判の欠如があるように思われる。それを裏返して申し上げれば、これまでの6年間、民主党政権の時代も含めて、原子力ムラとその代理店政府が進めてきた福島第1原発事故後の対処・対策に対して、一部の脱原発・反原発の市民運動・社会運動は、政治的リアリズムを求めるあまり、徹底した批判的な観点を持ってこなかったためではないか(あるいは見失ってしまったのではないか)、とも思われてならない。
以下、今回の21.5兆円の中身について、(福島第1原発の)廃炉、除染、中間貯蔵施設や放射能汚染廃棄物処分、そして賠償・補償のそれぞれについて、簡単にコメント(批判)する。以下でも申し上げているが、私はこの中でも、特に「廃炉」に投じられる8兆円(従来の2兆円の4倍)こそが最も大問題の「カネの浪費」だと考えていて、こんなものにかような巨額のカネを投じることは、とりもなおさず原子力ムラの企業群や人間達を、これから長期にわたり養っていくための原資にしかならない、まったくのムダ金だと評価している。
そもそも、廃炉・溶融デブリの取り出しどころか、その溶融デブリがどこにあるのかさえ分からず、その探し方さえ確定していないような状態で、しかも、事故原発が環境に放出する放射能は野放図のままに放置された状態で、福島第1原発の二次災害のリスクも回避されずに、将来に向けてたくさんの被ばく労働を前提に巨額費用の「廃炉」なるものが設計されていることは、私はとても認めるわけにはいかないと考えている。そんなことをしているヒマとカネがあるのなら、当面はさっさと放射能放出を閉じ込める「石棺」化を真剣に検討し(水による冷却から脱出し空冷や金属粉による包み込みなどの検討を含む)、他方で、二次災害防止と地域住民の避難・疎開・移住に全力を挙げるのが、まともな人間の考えることである。
●これは原子力ムラの「クーデター」だ=原発(推進)失敗のコストはすべて国民に押し付けても、これからもまだまだ続けます(2):(報告)(12.14)院内集会・政府ヒヤリング:原発の事故処理・賠償費用・廃炉費用 誰がどのように負担するか いちろうちゃんのブロ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/1214-cec1.html
(上記より一部転記)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回のこの密室でのインチキ手続きにより(「東京電力改革・1F問題委員会」は非公開)、福島第1原発事故への対策費用はこれまでの11兆円から21.5兆円へと倍増させられようとしています。確かにその巨額に膨れ上がった費用を、事故を起こした当事者の東京電力の役員や株主、大口金融機関、あるいは原発メーカーや原発建設ゼネコン、原子力ムラ組織・人士らに負担させないまま、その事故責任をも不問にし、広く電力消費者・国民に転嫁しようということは許されないことです。それに、この21.5兆円にしたところで、これで全部というわけではなく、近い将来、また再び金額が足りないという話になり、同じように消費者・国民に負担が押し付けられてくるのは必定かと思われます。
また、今回のどさくさに紛れて、福島第1原発以外の一般原発の廃炉費用不足分を再生可能エネルギーのみの電力ユーザーまでもを含む一般の消費者・国民から託送料金で吸い上げようとしたり、卸売電力市場を通じて原発由来電気の売買ができるようにして、いわゆる「みそクソ」ごちゃまぜの原発永続型電力市場を創設しようとしてみたり、あるいは電力小売市場では再生可能エネルギー由来電力である旨の表示を妨害したり、原発由来電力である旨の表示をしなくてもいい仕組みにしたりで、まるで電力市場自由化の主旨を原発・原子力ムラ存続のために捻じ曲げようとしているかの如くです。これも許せるものではありません。
ですので、この集会の主催者・協賛団体はもちろんのこと、多くの有権者・国民・市民が、今回の政府の出鱈目なやり方に対して大きな憤りを持っていることは当然のことです。しかし、問題はそのことだけにとどまりません。そもそも、この巨額の福島第1原発事故対策費用の21.5兆円の中身・内容は問題ないのでしょうか。詳しくは次回に申し上げようと思っておりますが、私は、福島第1原発事故対策の「廃炉」「除染」「賠償・補償」「放射能汚染物処理(中間貯蔵を含む)「その他」の中でも、「廃炉」にかかる費用が従来の2兆円から何と4倍もの8兆円にされてしまっていることを大問題だと見ています。
福島第1原発の現状は、現場が放射能で強く汚染されていることもあり、惨憺たる状態が解消できておりません。事故を起こした4機の原子炉を廃炉にするどころか、炉心溶融を起こした3機については、その溶融炉心デブリがどこにあるのかさえ分からず、どこにあるかを捜索する機器類さえ、強い放射線のためにきちんと用意できないでいる状態です。こんな中で無理な廃炉作業を強引に推し進めれば、たくさんの被ばく労働者が出てしまうことになるでしょうし、廃炉そのものも技術的に難しくて、時間と費用がかかる割にはその進展が見られない空しい結果となりかねません。
他方で、福島第1原発の現場では、猛烈に放射能汚染した排気塔鉄塔が一部損壊していて今にも倒れそうであること(使用済み核燃料プールの上にでも倒れ落ちたら大変なことになりかねないし、そうでなくても倒壊すればあたり一面放射能だらけとなる)や、使用済み核燃料プールが手付かずであること(プール内の使用済み核燃料は超危険物=3.11時の4号機プール騒動を思い出せ)、あるいは再度の大地震・大津波(特に大津波)対策がほとんどできていないことなど、緊急に対応すべきことが放置されています。
加えて、国会・政府の2つの事故調査委員会から申し送られている福島第1原発事故の実態解明や原因究明は原子力規制委員会・規制庁によって放置されたままになっており、そのまま事故原発を解体などすれば、いよいよ貴重な原発事故証拠物件・証拠現場が破壊・損壊され、福島第1原発事故は闇から闇へと葬り去られてしまうことになってしまいます。彼らが廃炉を急いでいるのは、こうした福島第1原発事故の証拠隠滅を急いでいるせいもあるのかもしれません。
更に、福島第1原発の廃炉の取組が原子力ムラの人間達のみによって行われていることにも注意が必要です。事故を引き起こした・引き起こす原因をつくった人間達が、その後始末を非公開の秘密談合の中で独断的に決め、費用は国が立て替えるがゆえに青天井で湯水のように使いたい放題であり、その進捗状況や結果についてもどうなったかの明確な報告も対応の仕方へのフィードバックも明らかにされず、まるで「廃炉ブラックボックス」の中で、費用だけが無尽蔵に費消されていく、そういうトンデモ状態が長く続いているのです。似非専門性に隠れた原子力ムラの「焼け太り」と言っていいでしょう。この状態で、これまでの廃炉費用の枠を2兆円から8兆円にするというのですから、これで原子力ムラは福島第1原発廃炉ビジネスに「寄生」することで、今後少なくとも10年間は自分たちの「食い扶持」を確保でき、かつ8兆円の枠内で、まるで「振出の小づち」「使いたい放題の財布」のようにこのカネを自在に使っていくことになるでしょう。金額のあまりの巨額さに対して、その支出内容のノーチェックの度合いのコントラストは目に余ります。
私は、かような福島第1原発の廃炉への取組はそもそもやめればいいと思っています。つまり廃炉費用は廃止です。そして、福島第1原発の後始末のための体制を、オール日本・オール世界の形でフラットにして、かつオープン(情報公開)にして、事故実態解明・事故原因究明と並行しながら、最低限、福島第1原発の二次災害防止と放射能の環境放出を食い止めることに全力を挙げればいいと考えています。原子力ムラを原発事故後処理の担い手として使っていけなくはありませんが、彼らの存意にさせてはいけませんし、そもそもやっていることをすべて公開する・批判を甘んじて受け止める、という開かれた体制をつくっておかなければいけません。言い換えれば、廃炉にして溶融燃料デブリの取り出しよりも、様々なやり方による事故原子炉の封じ込め(広義の石棺化)=放射能追加汚染と二次災害の防止に注力せよということです。
ですので、今回のこの集会で提起された事柄に加え、そもそも「倍額にされた21.5兆円の中身・内容はどんなものなのか、特に廃炉は原子力ムラが食いものにしている様子がうかがえるので徹底して精査せよ」という点が重要かと思われます。こうした論点については、他のいくつかの問題と合わせて、次の私のメールでも追加して論じていきたいと思っています。
(福島第1原発事故を引き起こした張本人たちともいえる原子力ムラが、事故原発の後始末や廃炉を「ビジネス」として排他的独占的に掌握して、やりたい放題をするというのは、あたかもアジア太平洋戦争後の日本の復興期に、旧帝国軍部の幹部たちがまたぞろ自衛隊編成の仕事に群がってきて、その旧帝国軍隊の悪しき文化や思想を色濃く引きずりながら今日の「国軍」(安倍晋三)=自衛隊・防衛省に至っていることと酷似している。その一つの結果が、田母神俊雄のような人間が自衛隊・防衛省の制服組トップにのし上がってきたということでもあります。昔軍閥・今原発は、ここでも生きているようです)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
草々
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