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2017年1月12日 (木)

これは原子力ムラの「クーデター」だ(5):今般の福島第1原発事故の後始末費用負担の決め方は、さながらアジア太平洋戦争時代の「ガダルカナル島攻略作戦」のごときです(その3)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(最初にイベント情報他です)

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(1)(1.14)さようなら原発講演会「放射線健康被害のウソ:ICRPのまやかし」西尾正道(御茶ノ水駅)

 http://www.labornetjp.org/EventItem/1477199316771matuzawa

 

(2)2017115日 APASTイベント 「漂流する原発の行方」 APAST

 http://www.apast.jp/news/1066/

 

(3)【重要なお知らせ】1ー16(月)TPP交渉差止・違憲訴訟 第7回口頭弁論期日のご案内 TPP交渉差止・違憲訴訟の会

http://tpphantai.com/info/20161126-announcement-of-7th-oral-argument-about-tpp/

 

(4)台湾:「脱原発法」可決へ 再エネ比率、大幅引き上げ - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20170111/k00/00m/030/065000c?fm=mnm

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昨日(1/9)のメールの続きです。

 

● これは原子力ムラの「クーデター」だ(3):今般の福島第1原発事故の後始末費用の負担の決め方は、さながらアジア太平洋戦争時代の「ガダルカナル島攻略作戦」のごときです(その1) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-4153.html

 

● これは原子力ムラの「クーデター」だ(4):今般の福島第1原発事故の後始末費用の負担の決め方は、さながらアジア太平洋戦争時代の「ガダルカナル島攻略作戦」のごときです(その2) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-f0a2.html

 

 <別添PDFファイル>

(1)特集ワイド:福島事故賠償 疑問だらけ、将来世代が「過去分」負担(毎日 2017.1.10 夕刊)

 http://mainichi.jp/articles/20170110/dde/012/040/002000c?fm=mnm


(2)福島賠償 新電力も負担、政官業でツケ回し(毎日 2017.1.10

 http://ameblo.jp/goodmorning-news/entry-12236792857.html

 http://mainichi.jp/articles/20170110/ddm/001/040/132000c


(3)検証:福島賠償、新電力も負担(その2止) 経産省、託送料に執着 世論反発、廃炉に活用は断念 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20170110/ddm/003/040/115000c


(4)特定復興拠点 国費で除染へ、「救済」国民置き去り(東京 2016.12.17

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016121702000172.html


(5)除染・インフラ 300億円(日経 2016.12.14 夕刊)

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB22HCK_S6A221C1L01000/


(6)東電、原発を他社と統合、送配電も 再建計画に明記(日経 2016.12.6

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ05I4R_V01C16A2MM8000/


(7)汚染牧草焼却 続く不安(東京 2017.1.11

 http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201610/20161024_11012.html

 

 <関連サイト>

(1)(重要)閣議決定「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針について」(20161220日)

 http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu/pdf/2016/1220_01.pdf


(2)(重要)東電改革提言(「東京電力改革・1F問題委員会」 20161220日)

http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/touden_1f/pdf/161220_teigen.pdf


(3)東京電力:委員会提言(要旨) - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20161221/ddm/008/020/162000c


(4)パブリックコメント:総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめに対する意見公募

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620216013&Mode=0


(5)東京新聞 原発処理に総額30兆円 既に国民負担14兆円 本紙調べ経済(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201610/CK2016102002000131.html


(6)「過去分請求」に閣僚異論 原発賠償費、電気料金に転嫁:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12704513.html?ref=nmail_20161214mo

 

 <悪と無責任の巣窟:経済産業省の2つのトンデモ審議会>

(1)エネルギー・環境(METI-経済産業)=東京電力改革・1F問題委員会

 http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html


(2)基本政策分科会(METI-経済産業省)=電力システム改革貫徹のための政策小委員会

 http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html

 

(田中一郎コメント)

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4.膨れ上がった福島第1原発事故対策費=21.5兆円の中身を問え

 今回は21.5兆円の中身について、項目ごとにコメントします。

 

(1)福島第1原発の廃炉:2兆円 ⇒ 8兆円(最も問題です:ブログにアップした前回の私のメールの最後の方をご覧ください=下記URL)

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-f0a2.html

 

(2)「除染」:2.5兆円 ⇒ 4兆円(「除染」しても人が住めないような放射能汚染状態、かつ膨大な量の「除染」ゴミ、これでは「除染」の意味がない)

 巨額の費用をかけて「除染」しても、人がとても住めるような状態でなかったり、安心して日常生活が送れないホット・スポットだらけのような状態では、除染する意味がありません。また、「除染」の結果出てくる放射能汚染ゴミが膨大な量で、適切に管理・処分できないまま無責任状態で作業現場(仮置き場)に放置されている状態で、現状では「除染」は「できもしない除染」そのものです。そもそも「除染」の根本的な方針が間違っています(下記参照)。現状では、いい加減で乱暴な「除染」よりも、放射能汚染がひどい地域を中心に住民の避難・疎開・移住に力点を置いた政策にシフトし、「除染」は下記で申し上げているように、汚染度合いの低い地域から、ホット・スポット撲滅型で、徐々に徐々に、きめ細かく進めていくべきです。

 

(2-1)「除染」対象地域の決め方や「除染」する順序がデタラメです。「除染」の対象地域は、「除染」をすることによって、一般の有権者・国民の年間放射線被曝限度である1ミリシーベルトを確実に下回る地域から徐々に始め(つまり低濃度の汚染地域から徐々にスタートする)、対象とした場所の土壌汚染の状況をメッシュ状態で徹底して調べたうえで、ホット・スポットを全滅させる計画で行われなければいけません。また、周辺が汚染森林で囲まれているような地域では、せっかく「除染」しても、しばらくすると元に戻ってしまいますので、当分の間は「除染」対象地域から外しておくべきです。

 

 原発事故後の数か月間は放射線がきついですから、放射能が降り注いだ地域では、少々面積が広くとも全住民をいったん避難させ、短半減期(放射性セシウム1342年くらいまで)の放射能がある程度減衰してから「除染」に取り掛かるべきです。住民の帰還は、除染終了後に、当然、一般の有権者・国民が住んでも問題がないレベル=1ミリシーベルト/年未満になってからです。放射線被曝の感受性が高い子どもや妊婦がいる家庭は1ミリシーベルトの半分ないしは1/4」以下を目安にすべきでしょう。被ばくについては、外部被曝もさることながら、呼吸による内部被曝に十分に注意を払わないといけません。

 

 しかし実際には、放射能汚染とは無関係に決めらた避難指示区域以外は、手当たり次第に、場当たり的に「除染」事業を開始し、しかもその仕事の仕方も多くがずさんなため、「除染」の目的を達しておりません。場所によって差がありますが、概して申し上げれば、「除染」事業の効果は1020%程度と言われており、空間線量や土壌汚染の減衰は、主として放射能自身の自然減衰によるもの(半減期が短い核種が自然崩壊したり風雨で流出されたりしたもの)で「除染」とは無関係と言われています。これでは「除染」する意味がありません。

 

(2-2)それどころか、原子力ムラや放射線ムラとその代理店政府、そしてその無批判的な下請けに甘んじてしまった福島県庁をはじめとする地元自治体は、「除染」で思うように放射能汚染が除去できないことに苦悩した挙句、住民を避難・疎開・移住させるのではなく、逆にその汚染状態に住民を合わせる「アワスメント」政策を強引にやり始めました。国内外の科学的実証的な疫学調査結果等から見ても危険極まりない「20ミリシーベルト/年」を、(似非)アカデミズムの権威を借りながらウソ偽りの「安全論」に仕立てて、それを権力的に振り回し、しかもその「/年」のところも昨今では取れてしまって、20ミリシーベルトなら、いくら長くその場所にいても大丈夫だといった感覚の、放射線被曝への無防備・無頓着状態を創り出してしまっているのです。

 

(いわゆる「放射線管理区域指定基準」は年間5.2ミリシーベルト、または4万ベクレル/m2(放射性セシウム)で、日本全国どこでも、今でもこの基準が適用されています。にもかかわらず、何故、福島県だけが、子どもや妊婦までを含めて20ミリシーベルトなのでしょうか? 福島県では、そしてその周辺の県の高濃度汚染地域では、汚染された野外にいるよりも放射線管理区域に入り込んだ方が被ばくの度合いが少なくて済み、より安全である、という、笑えない逆転現象が起きています。明らかにおかしい、きわめて重大な人権侵害というべきです。こんなことを国が率先してやっていてどうするのかということです)

 

 「除染」は、いわば放射能汚染地帯での「居住継続」や「帰還」推進のためのアリバイ行為のようなものとなり(つまり「やりましたよ」くらいの意味しか持たない)、その当初の目的であった住民の居住環境の安全確保はどこかへ吹き飛んでしまっています。そして、こうした事態に対して不安や不満を口にすれば「復興を妨げる非国民」扱いをされたり、無用のバッシングを受けたりもする雰囲気までできてしまい、「除染」は福島県その他の放射能汚染地域にひどい社会状況と、住民(と作業員)の危険極まりない放射線被曝をもたらしています。こういう「本末転倒」は直ちにやめるべきです。巨額の費用を使って自分たちの首を絞めているようなものです。

 

(2-3)福島県以外の放射能汚染地域各県の状況がよくわかりません。マスコミが取材や報道をほとんどせず、放射能汚染の状況がどうなっているかや、「除染」事業、及び汚染した「除染」ゴミの動向もよくわからないままです。そもそも各県庁をはじめ、汚染地帯の各自治体は、そのほとんどが放射能汚染を隠そう・隠そうとしている様子がうかがえ、福島県以外での住民の健康状態に大きな懸念が出ています。こうしたことの背景には、加害者・東京電力や事故責任者・国による損害賠償・補償が、福島県外の放射能汚染地域の被害者に対して、全くと言っていいほどなされないことがあるものと思われます。看過できません。原発事故で甚大な被害が出ているのに、加害者・東京電力や事故責任者・国は、その賠償・補償をハナからしようとはしないのです。

 

(2-4)森林の放射能汚染は除去できません。国はこのことをはっきりと汚染地帯の自治体や住民に伝えていません・説明していません。これは福島県だけの話ではなく、西は群馬県や山梨県、東は岩手県南部くらいまでの放射能汚染地域についてすべて言えることです。従って、そうした森林に囲まれた山村地帯はもちろん、その森林の周辺地域も、基本的には当分の間「除染」を放棄して住民を避難させ、放射能の自然減衰を待って「除染」に取り掛かかる必要があります。

 

(2-5)「除染」の結果出てくる放射能汚染廃棄物の後始末の問題がおざなりにされています。まず「除染」の仕方を工夫することにより、極力廃棄物を出さない方法を取ることが肝心で、この点がこれまでの「除染」ではほとんど考慮されていません(下記の山田氏の文献を参照)。また、放射能汚染物は閉じ込めて厳重管理するのが原則であるにもかかわらず、「除染」廃棄物の取扱は放射能汚染物として、まるでずさん極まりないです。具体的事例を挙げるまでもなく、現状のようなことでは廃棄物が再び環境に拡散して「除染」した意味がなくなってしまうことになりかねません。

 

(参考)放射能除染の原理とマニュアル-山田國廣/著(藤原書店)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032730963&Action_id=121&Sza_id=C0

 

(参考)除染は、できる。 Q&Aで学ぶ放射能除染-山田國廣/著(藤原書店)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033003236&Action_id=121&Sza_id=C0

 

 いたるところフレコンパックの山だったり、放射能汚染の度合いも不明のまま、無造作に長期間放置され風雨にさらされています。台風や集中豪雨が来れば、誰が見てもまずいことになると思うでしょう。特に私が問題だと思っているのは、富岡町の海岸近くなど、太平洋に面した標高の低い土地に、フレコンパックに入れられた廃棄物が広大な面積に山のように積まれていますが、あれでは再びの大津波が襲ってきた場合には、廃棄物は全部海に持っていかれてしまい、海が(沿岸海域が)放射能だらけになってしまうでしょう。いったい何のために除染をしているのでしょうか?

 

 廃棄物の管理については放射能汚染ゴミの焼却の問題もあります(たとえば「別添PDFファイル」(7)汚染牧草焼却 続く不安(東京 2017.1.11)を参照してください。岩手県や宮城県の話ですが、事情は福島県やその他の県でも同じであり、かつ、福島県ではもっと量が多くて事態は深刻です)。福島県では県内いたるところで放射能汚染ゴミを燃やす焼却炉の建設ラッシュが起きているという話を聞いています。燃やせば放射能は再び拡散されてしまいます。最新鋭の豪華で高価な焼却炉であれば閉じ込め能力が高いという方もいらっしゃいますが、事実はあやしいですし(漏れる)、事業を進めている環境省や自治体が、そうした高価な新型炉を入れるかどうかもはっきりしないものがあるのです(放射能閉じ込め性能が義務化されていない?)。

 

 「除染」をして廃棄物を大量につくりだし、その始末に手を焼いて、今度はそれを焼却炉で焼いて減容化する。その結果(焼却灰のずさんな管理も含めて)、放射能を再び環境に拡散してしまう。これはまるで、巨額のカネをかけて「ぐるぐる回り」をしている=一種の「積み木崩し」のようなものでしょう。愚かなことはやめるべきです。

 

(2-6)「除染」労働者の被ばく防止管理や労務管理、作業員教育などがきわめてずさんです。従ってまた、きめ細かく調べてホット・スポットを撲滅するとか、廃棄物を極力出さないとか、個々の住民の事情に合わせた臨機応変な対応を取ることができないなど、「除染」作業の「品質」が非常に疑わしいものが多いようです。本来ならば全部新品と入れ替えた方がいいものを費用をケチってそうしないなど(例:屋根や壁など)、「除染」事業の杓子定規は、所管している環境省の役人の質の悪さにも大きく影響されているように思われます。そもそも「除染」現場を知らない人間が基準や規則や指針を作っている様子さえうかがわれます。

 

(2-7)「除染」事業が巨額になっていて、その請負が利権化し、福島第1原発事故の原因をつくったような原子力ムラの企業や組織、そして原発建設ゼネコンのようなところが、「除染」を新たな美味しい収入源にして、「除染」のための「除染」のような展開にしてしまっています。こうなると除染事業はまさに本末転倒です。結局、「出来もしない除染」「やっても無駄になる除染」を、巨額の費用をかけて延々とやり続け、放射能汚染環境はほとんど変わらず(「除染」効果は上記で申し上げたように1020%程度)、住民には大きな不満や不安が残ったまま、後には「除染」作業員の恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)と、膨大な量の「除染」ゴミ、そして、あたり一面のフレコンパックの山か「廃棄物」を埋めた穴だらけが残るという悲惨なことになっているのです。

 

(2-8)更に昨今では、国は、放射能汚染がもっとひどい帰還困難区域にまで手を出し、汚染者負担原則を捻じ曲げてでも国が費用を負担する形で、帰還困難区域の除染に手を付け始めました。当然、帰還困難区域は福島第1原発に近いところですが、その福島第1原発は、いつ再びの二次災害を起こすかわかりません。今現在は、猛烈に放射能汚染した12号機建屋横にある排気筒の支柱が中間あたりで折れていて、いつ倒れてもおかしくない状態が続いています。しかし、それも長期間、放置されたままなのです。万が一、原子炉建屋や使用済み核燃料プールの上に倒壊すれば大変なことになりますし、そうでなくても原発周辺地域は再び放射能まみれとなる可能性大です。そんなところへ住民を戻すためのアリバイ行為が、この帰還困難区域の「除染」ですが、国はこれに数年間で数千億円ものカネを投じるというのです。

 

(結論です)

 つまり、かような「除染」などは即刻中止し、住民がどうしたら元通りの生活を取り戻せるのか、避難・疎開・移住を中心に据え、他方で、低線量地域の慎重な「除染」も組み入れて、生活インフラも無理せずに徐々に徐々に充実させていきながら、被害者本位の「人間の復旧・復興」を目指すべきだと思われます。これまでの「放射能汚染地帯への定住と帰還の押付けのための「除染」事業」をやめること、が本来のなすべきことなのです。

 

 しかし国は、この意味のない「除染」、むしろ有害な「除染」に、これまでの2.5兆円のほぼ倍額の4兆円をかけて、これからも続けていくと言っています。そして、この「除染」にかかった費用は、汚染者である東京電力に請求するのではなく、国が持つ東京電力の株式を将来売却して、その売却益で費用をカバーするなどと、夢物語のようなことを言っているのです。売却益が4兆円の金額になるには、東京電力の株価は今の10倍以上の価格=10002000円以上に値上がりしないと実現できません。しかし、少なくとも実質的に倒産している東京電力は、「ブラックホール」とでもいうべき巨大な「収益吸い取りの穴=福島第1原発」を抱えつつ、国の政治の力でゾンビのように「死に体のまま生き延びている」だけです。そんな会社の株が、そんな値上がりをするでしょうか? 結局は、この無駄の固まり・マイナス要素の固まりの「除染」にかかる巨額費用は国民の負担となるのです。かような「除染」はやめるしかありません。

 

(3)中間貯蔵施設:1.1兆円 ⇒ 1.6兆円(このまま進めれば「中間貯蔵」ではなく「最終処分場」となるのですが、しかし用地確保のメドすら立ちません)

 廃棄物の貯蔵施設は必要でしょう。それは何があっても放射能を環境に出さない頑強・強固で厳重な管理下のものである必要があります。しかし、今進められている「中間貯蔵施設」なるものは、その規模があまりにも巨大で、どうみてもうまく行きそうにない愚かな施設計画であるように思われます。そもそも、上記で申し上げたように「除染」のやり方がデタラメで、やらなくてもいい「除染」を行って、やたら廃棄物を増やしている上に、「除染」作業を極力廃棄物が出ないようなやり方でやるという工夫や技術開発がないからです。

 

 中間貯蔵施設に運び込まれることになっている廃棄物の量は気の遠くなるほどの量で、これはどう見ても実現しそうにありませんし、また実際、この施設のための用地買収も遅々として進んでおりません。相続がどうのこうの、登記がされていないから持ち主がわからなくて云々、という話がマスコミ報道されておりますが、私はそれよりも、買収価格が安すぎること(故郷を永久に取り上げる値段にしてはひどすぎる)と、福島第1原発周辺地域は永久に人が住むことのできない「放射能汚染地」「死の地帯」となってしまったことを、国が住民の方々にきちんと説明していないことが大問題だと思っています。

 

 こんなものに、国が自腹を切って1兆円以上ものカネをかけるという、しかも、これまでよりも更に数千億円も施設の経費を増やすというのです。許せるものではないでしょう。「除染」が汚染者負担なら、その「除染」の結果出てきた放射能汚染ゴミや廃棄物の処分もまた、汚染者負担でなければいけないのは自明です。加害者・東京電力の責任をあいまいにしたままでの中間貯蔵施設建設費の国庫負担は許せるものではありません。その金額の巨額たるや、唖然とします。

 

 ここまで「廃炉」「除染」「中間貯蔵施設」の3つを見てきましたが、その3つを合計しますと、従来の2+2.51.15.6兆円が、8+4+1.613.6兆円と、約2.5倍に膨れ上がっています。中でも私が最も問題だと申し上げている「廃炉」の4倍増がダントツに目立ちます。しかし、上記で申し上げましたように、この3つは、これから更に巨額の公金を投じてみたところで、今日の事態の改善が確実に図られるという見込みはありません。いやそれどころか、現状の対処の仕方では、さまざまな手落ちや手抜きや出鱈目やいい加減が、あちこちに散在していて、逆に事態は悪化する可能性さえあるのです。

 

 まさに、事態好転の確たる見込みもないまま、福島第1原発事故を引き起こしたことの責任追及や実態解明・原因究明を避けることを最高命題に置くばかりに、財政資金や経営資源を場当たり的に、なし崩し的に、目的や効果もはっきりさせずに、無責任体制のままで続けていく、当面のことだけしか考慮せず、国も自治体もその最後のゴールへの道筋も時期も示せないままに、時間とカネと、そして労働力が浪費されていく、そんなやり方がこれからも続けられようとしているのです。大日本帝国軍部の「がダルカナル島攻略作戦」のような「大失敗」が、今、福島第1原発で繰り返されようとしています。

草々

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