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2017年1月 7日 (土)

これは原子力ムラの「クーデター」だ(3):今般の福島第1原発事故の後始末費用の負担の決め方は、さながらアジア太平洋戦争時代の「ガダルカナル島攻略作戦」のごときです(その1)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

(最初に若干のことです)

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1.福島原発告訴団 2017129日 福島原発刑事訴訟支援団結成1周年集会開催!

 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2016/12/2017129.html

 

2.くにたち大学通り景観市民の会:「上原元市長ひとりで1円たりとも負担すべきものでない」

 http://daigakudori.blogspot.jp/2016/12/blog-post.html?m=1

 

 (地方自治権侵害・スラップ訴訟追認・司法権濫用の最高裁の非を追求しつつ、再審請求をして食い下がってほしいですね:田中一郎)

 

3.民進除く3党は本気 野党共闘で97選挙区に“逆転”の可能性 日刊ゲンダイDIGITAL

 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196959

 

(本気にならない民進党は置いていきましょう。有権者・国民・市民のみなさま、野党第1党にかような民進党を据えておくことは、この国から永久に「政権交代」を葬り去ることを意味しています。選挙における自分の投票行動を精査してください。投票先を間違えば日本は自滅します。日本はゴロツキ政治のおかげで危機の時代に突入いたしました。平和ボケ・安定成長ボケはいけません。:田中一郎)

 

4.(1.21 午後11時)ETV特集 アンコール「原発に一番近い病院 ある老医師の2000日」 - NHK

 http://www4.nhk.or.jp/etv21c/x/2017-01-21/31/32723/2259575/

 http://dogatch.jp/news/nhk/41188 (⇒ 番組の解説)

 

(関連)福島・病院長死亡:県が主体で支援検討 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20170107/k00/00m/040/078000c?fm=mnm

 

(高野病院長が火事でなくなったら国や福島県が動き出しました。生前はいくら支援を要請しても見向きもしなかった連中が、です。番組の中には福島県庁の役人も出てきます。聞きたい事だけ聞いて(アリバイ行為)、そそくさと逃げ帰っていきます。また、この記事には、今村雅弘復興相やら塩崎恭久厚生労働相やらの名前が出ています。なんだこいつら、という印象です。下記は前回放送時(10/8)の私の感想です。この機会にお見逃しなく。1/21に再放送されるようです:田中一郎)

 

(コメントするのがはばかられるくらいに重い番組でした。人間の命と向き合うことの重大さ、厳しさ、熾烈さ、そうした中で医療とはどうあるべきものなのか、医師はどうあらねばならぬのか、はたまた看護に忙殺される人たちは、・・・。広野町に残ったこの病院の人たちと高野医院長らの必死の営みを私たちはどう受け止めればいいのか、この番組を見つつ押し黙ったまま、ただ目頭が熱くなり、あっという間に番組が終わりました。残念なのはこの番組の動画がネット上に見当たらないことです。番組の途中で、この病院を訪れる福島県庁の役人が出てきますが、それについてもコメントを控えておきます。役人という生き物は、所詮、あんなものです。期待する方がおかしい、ましてや内堀雅雄のような人間を県庁組織TOPの知事に選べば、その部下たちがあのようになってしまうのは必然と言えるでしょう:田中一郎)

 

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今般、経済産業省主導でまとめられた福島第1原発事故の後始末にかかる費用負担の見直しや、それに便乗した火事場泥棒のような原子力ムラ・経済産業省の作為について、以下のメールにおいて、脱原発・反原発の市民運動・社会運動ではあまり提起されていないことも含め、全体的なコメントをしてみたいと思います(メールを前半と後半に分けます)。総括的に申し上げれば、今回のこの原発過酷事故の後始末のやり方は、さならがアジア太平洋戦争時代の大日本帝国軍部による「ガダルカナル島攻略作戦」の如きです。明確な展望もないまま楽観的な見込みで作戦を立て、敵の強い抵抗にあって緒戦で撃退されると、今度は戦力を逐次投入して体力を消耗し、小さな失敗(敗北)に失敗(敗北)を重ねて、ついには多大な(累積)犠牲を払って撤退の憂き目にあう、そういう愚か極まる作戦でした。日本軍の南方戦線敗退の分水嶺となったこの作戦は、だいぶ前に日本軍の「失敗の研究」の題材とされています(下記参照)。

 

しかし、それから約75年も経ったこの平成の時代に、今度は大日本帝国の軍部ならぬ「大日本原子力帝国株式会社」の「原子力ムラ」とその代理店政府が、(負け戦そのものというべき)福島第1原発事故を引き起こした張本人の役所である経済産業省を使い、まるで「ガダルカナル島攻略作戦」のごとき出鱈目・無責任な原発事故の後始末「作戦」をつくって、これを強行しようとしているのです。当時の大日本帝国の外交や安全保障政策の失敗が日米開戦につながったように、現代日本のエネルギー政策の誤りが原発・原子力・核燃料サイクルへののめり込みとなり、その結果、起きてしまった原発過酷事故への対応を、これまた失敗に失敗を重ねるようにして、楽観的な見込みやその場しのぎのご都合主義的な判断で、先行きの確たる見通しもないままに巨額の国民負担としてツケ回ししようとしています。

 

しかし、ガダルカナル島での成り行き主義的な緒戦が、日本軍の戦争資源の喪失と体力消耗につながったように、この後始末のやり方は、将来へ向けて巨額の国民負担を雲散霧消させる愚かな処方箋となるに違いありません。このままいけば、おそらくは近い将来、事態が好転することのないまま、更なる巨額の費用負担を有権者・国民が背負わされることになるように思われます。福島第1原発事故の責任を取らせて組織解体すべきであった経済産業省が、今度は日本の国そのものを愚かなエネルギー政策・原子力政策を振り回して破壊してしまいそうです。原発・原子力との「心中」政策、それが今、改めて再スタートさせられようとしているのです。

 

(参考)失敗の本質 日本軍の組織論的研究 中公文庫 - 戸部良一 〔文庫〕

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000018472494&Mail_id=2003&Action_id=121&Sza_id=G2

 https://elk.bookmeter.com/books/507067

 

(ノモンハン、ミッドウェー海戦、ガダルカナル、インパール、レイテ海戦、沖縄戦が題材に。◆ここで述べられる要素、それらは①戦略目的の曖昧さ。②短期決戦志向=近視眼的指向。③戦略=行動オプションの狭さと硬直性。)

 

 <別添PDFファイル>

(1)(パンフ)原発事故費用・廃炉、東京電力が責任をとらないまま国民負担でいいの??(20171月)

「panfu_toudensekinin_toranai.pdf」をダウンロード

 https://publiccomment.wordpress.com/2016/12/20/baisyohairo/

(2)行き詰る東電支援(『週刊東洋経済 2016.12.10』)

 http://mikke.g-search.jp/QTKW/2016/20161210/QTKW20161210TKW025.html


(3)原発漂流:「無理筋」の東電再編(『週刊ダイヤモンド 2016.12.17』)

 http://mikke.g-search.jp/QDIW/2016/20161217/QDIWDW00394185.html


(4)福島第一処理費倍増21.5兆円、原発国民負担「過去分」2,4兆円、理不尽な「過去分」請求(東京 2016.12.10

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2016121002100009.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2016121002100010.html


(5)福島第一処理費倍増21.5兆円、返済計画甘い見通し(東京 2016.12.13

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016121302000135.html

 http://mainichi.jp/articles/20161210/ddm/002/040/106000c


(6)原子力,再編相手を公募,送配電も,東電改革を提言,有識者会議(日経 2016.12.20 夕刊)

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H0W_Q6A221C1MM0000/


(7)除染 国費300億円投入、帰還困難区域 来年度予算に計上(毎日 2016.12.19

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12706402.html?ref=nmail_20161215mo

 http://www.asahi.com/articles/ASJDG5KMSJDGULZU00V.html?ref=nmail


(8)(1.6院内集会資料)経済産業省ヒヤリング 質問項目(2017.1.6

「keisansyou_hiyaringu.pdf」をダウンロード

(9)(1.6院内集会資料)東電改革提言(「東京電力改革・1F問題委員会」 2016.12.20

「TOUDENKAIKAKUTEIGENN.pdf」をダウンロード

10)原子力国策の固定化目指す原発事故賠償有限貰任に強く反対する(海渡雄一弁護士『原子力資料情報室通信 NO.510 2016.12.1』)

 https://www.bengo4.com/other/1146/n_4336/

 

 <関連サイト>

(1)福島原発:賠償上乗せ2.4兆円上限に 新電力など負担 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20161213/k00/00m/020/089000c


(2)土記:原発費用の「過去分」=青野由利 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20161217/ddm/003/070/110000c?fm=mnm


(3)容量メカニズムについて

http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/shijo_seibi/pdf/02_03_00.pdf


(4)容量メカニズム、非化石価値市場

http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/shijo_seibi/pdf/04_04_00.pdf

 

 <悪と無責任の巣窟:経済産業省の2つのトンデモ審議会>

(1)エネルギー・環境(METI-経済産業)=東京電力改革・1F問題委員会

 http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html


(2)基本政策分科会(METI-経済産業省)=電力システム改革貫徹のための政策小委員会

 http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html

 

(田中一郎コメント)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.福島第1原発事故の責任を永久に不問にするスキームだ

 上記「別添PDFファイル」(1)「(パンフ)原発事故費用・廃炉、東京電力が責任をとらないまま国民負担でいいの??(20171月)」をご覧ください。全くその通りです。

 

(一部抜粋)

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最大の責任者である東京電力の経営者、株主、そして債権者(金融機関)が実質的に責任を取っていません。それを問わないまま「国民負担」にできるしくみを作ってしまえば、「こんな大事故を起こしても、無罪放免だ。それなら安全性はそこそこに経済性を追求しよう」というモラルハザードが原発業界に蔓延してしまいます。それが、原発再稼働、再度の原発事故につながり、同じ事が繰り返される恐れがあります。

 

福島第一原発事故を収束させるのに国民負担はやむを得ないとしてもまず、東京電力を法的整理して資産を売却し、その分国民負担を軽減すべきです。電力システム改革の趣旨は「発電」「送配電」「小売」を分離して自由・公平な競争を促進することであり、事故処理・賠償費用や廃炉費用を「託送料金で負担」は、将来にも禍根を残してしまいます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

物事をはっきりさせておきましょう。福島第1原発の責任を負うべきは誰なのか=それはまず真っ先に事故を起こした東京電力であり、その東京電力に福島第1原発の稼働を許していた規制当局・許認可当局・監督政策当局=経済産業省や原子力安全保安院であり、原子力安全委員会や原子力委員会であり、また、そうした組織を牛耳ってきた自民党や公明党や民主民進党、そして電気事業連合会や関係機関、(独)日本原子力研究開発機構などの原子力ムラ組織や、電力総連などの原発へのタカリ組織などです。更に、福島第1原発をつくった原発メーカーやゼネコン、そしてかような危険なものをさしたるチェックもせずに受け入れて、原発マネーで中毒症状を起こしていた福島県庁をはじめとする立地自治体です。加えて、地域住民の原発運転差止訴訟をほぼすべて原告敗訴にしてきた日本の裁判所にも重大な責任があるのです。もちろん、その責任追及は、当事者組織のみならず、その組織を牛耳っていた幹部の人間達に対しても行われるべきでしょう。少なくとも「福島原発告訴団」が告発した人間達は、きちんとその出鱈目ぶりが裁判その他で明らかにされ、相応の社会的制裁が加えられてしかるべきなのです。

 

一方、責任を法的に問う場合には、(1)刑事(法上の)責任、(2)民事(法上の)責任(損害賠償・補償など)、(3)行政(法上の)責任の3つの次元があり、有罪の場合には、たとえば(1)ならば懲役刑・禁固刑、(2)ならば賠償金負担、(3)ならば免許の取消や組織解体などです。特に私は(3)の行政法上の責任が全く不問にされているのは納得がいきません。東京電力は少なくとも原発運転免許ははく奪されるべきでしょうし、福島第1原発事故を防げなかった経済産業省や原子力安全委員会は「解体」されてしかるべきなのです。しかし、経済産業省は原子力安全保安院を原子力規制庁に看板替えするだけに終わっていますし、原子力安全委員会は解散となりましたが、代わって創られた原子力規制委員会が、原子力安全委員会以上にひどい委員人選で、まともに機能しておりません。:ふざけんな! という話です。

 

政権交代後の菅直人民主党政権下で起きた福島第1原発事故ですが、その後始末に関しては、第一に、この事故を引き起こした出鱈目な責任者・責任組織の責任が追及されないようにすることが最優先で事が進められてきました。従って第二に、加害者企業である東京電力が最優先で救済され、上記「別添PDFファイル」(1)にもあるように、東京電力の役員たちはもちろんのこと、株主や大口金融機関の責任も損失負担も一切不問、その他の責任組織・人間達も責任不問のまま、今日に至っては、福島第1原発事故に関して嘘八百をつきまくった挙句に、事故の実態解明も原因究明もしないままに、今現在は原発・核施設の再稼働に猪突猛進するリーダーの役割を果たしているのです。規制当局の原子力規制委員会も原子力ムラが占領中で、原発推進追認組織に変貌しています。信じがたいことだと言わざるを得ません。さながらアジア太平洋戦争後の日本の戦争責任不問を見せつけられるかのごとしです(連合国が主催した東京裁判がなかりせば、誰一人として、アジア太平洋戦争の戦争責任は問われることはなかったでしょう)。

 

そして、許しがたいことに、第三番目として、たくさんの原発事故被害者の「切捨て」が事故当初から想定されていて、それはあのみょうちくりんな福島第1原発周辺地域からの避難指示の出し方に端的に現れています。要するに、のちのち必要となる賠償・補償費用を極小化するため、放射能の拡散や汚染状況とは関係なく、極力狭い範囲内に行政サイドからの避難指示区域を押しとどめたということです。地域住民の命や健康のことなど二の次だったことは、もう自明のことになっています。「直ちに健康に影響はない」(枝野幸男(当時)官房長官)でしたから。

 

その後は、放射能から逃れて避難する人を「自主避難者」などと誹謗中傷したり、食べ物や環境の危険な放射能汚染を「風評被害」だなどと馬鹿にしながら、原発事故被害者に対して、まともな償いも生活再建のための支援も放棄し、ひたすら事故対策費用の削減に全力を挙げる始末です。放射能汚染と被ばくを住民に押し付けつつ強引に進められている帰還政策や賠償の打ち切りなどは、こうした方針の一環であり、その背後には、チェルノブイリ原発事故で「事後対応を失敗した」と認識する 国際原子力機関(IAEA)らの国際原子力マフィアが暗躍していることも見逃すわけにはいきません。彼らはこれまでの日本の被害者切捨て型の原発事故対応を絶賛していて、フクシマでは成功したので、これからはこれを世界の原発・核施設過酷事故対応のモデルケースにしようと画策しています。

 

許しがたい話ですが、こうした加害者救済=被害者切捨ての「アベコベ」政策は、上記でも申し上げたように菅直人民主党政権下で「基本的な型」がつくられました。菅直人政権の最大の罪と責任はここにあるのです。そして、その民主党がつくった「アベコベ」政策の基本方針を、放射線ムラの力を借りつつ原子力ムラの復活のために大きく「育て」「発展」させているのが、今日のアベ自公政権です。今回の福島第1原発事故処理対応の第三幕のスタートは(第一幕は民主党政権、第二幕はこれまでのアベ自公政権)、いよいよこの「アベコベ」政策を不動のものとし、過酷事故を含む原発のほぼすべてのツケを有権者・国民・市民に回付して、今後の原発・原子力の推進体制を「完全回復」させるものに他なりません。そこでは原発事故の加害者としての「責任」など、もはや問うことも問われることもない世界が拡げられていくことを意味します。アジア太平洋戦争時に「ガダルカナル島攻略作戦」で致命的な打撃を受けた大日本帝国は、やがて滅亡していきました。それと同じように、この原子力ムラが繁殖する「無責任」のパラダイスは、まもなくの「大日本原子力帝国株式会社」の滅亡を用意するものです。

 

2.こんなスキームでは電力会社として東京電力は長続きしない

 今般、経済産業省がまとめた福島第1原発事故の損失負担スキームでは、形式上にすぎませんが東京電力がかなりの金額の負担を背負うことになっています(実際は、その大半が電力料金と政府からの支援金(つかみ金)ですが)。その原資はもっぱら「企業努力」「合理化努力」「資産処分」等による追加的利益や収入によるものとされています。

 

 しかしです。仮に、そのことを認めるとしても(実際はウソなんですが)、東京電力の全グループが、福島第1原発という「底なしの金食い虫」=まるで(すべてのカネと利益を吸い込んで外に出さない)「ブラックホール」のようなものを、その中心企業である東電HD(持ち株会社:ホールディングカンパニー)が抱え込むようにして組織され、今後は個々の各グループ企業が必死で合理化しながら利益を上げて、その東電HDに献上していく、そんな「ポンチ絵」のような「仕組み」が念頭に置かれて「福島第1原発事故対応スキーム」が書かれていること、これが大問題なのです。

 

 個別グループ企業の企業努力や合理化というものは、それはそれは細かな小さな、様々な事の積み上げの結果、生まれてきます。しかし、そうしてひねり出された超過利益が、毎度毎度、東電HDに吸い上げられて福島第1原発の事故後対策に充てられていく、というような「仕組み」では、そのグループ会社は、長期にわたってまともな仕事を続け、ゴーイング・コンサーンとしての会社組織を維持していくことは難しいのです。やがてバカバカしくなってきて、組織的なモラルハザードや士気の低下を生み、グループ企業間で負担の大小に不平不満が蔓延し、企業として、企業グループとして機能不全に陥って、やがて死に体となっていくでしょう。そもそも、東京電力を生かしておいて、企業として電力自由化の中でも立派にやっていける企業として発展させ、そしてその東京電力の政府保有株式を売って、事故対処費用を出そうなどと、アホ丸出しのことを考えていること自体が、企業経営を知らないオバカという他ないのです。そんなことは不可能です。会社経営やマネジメントの常識は、不採算部門は切り離して合理化です。抱え込んで、みんなで面倒を見る、などということは、企業経営ではありえない話なのです。まして下記で申し上げるように、実質的に倒産している会社の株式を将来売って投下費用を回収するなどということは、ネゴト、のたぐいです。

 

 しかし、東京電力の場合の、福島第1原発という「ブラックホール」の穴は底なしで、もはや東京電力グループの手におえるものではなくなっています。つまり東京電力は、実際には経営破たん=倒産しているのです。だったら、その倒産実態の通りに会社を法的に整理して、電力会社や事故原発対応組織として、まともな形で「再編」「再構築」するしか方法はないではないですか。検討すべきは、どうやって東京電力を生かしながら福島第1原発事故処理をさせていくかではなく、東京電力をどのように法的処理し、どういう形で必要な組織や会社を再び立ち上げるか・組織するか、でなくてはならなかったはずなのです。当然、その場合には、上記1.で申し上げた東京電力の関係責任者の責任が問われてきます。当たり前のことです、世の中の他の業界では、みなそうしていることです。

 

 それを、今回のこの経済産業省のインチキ・スキームは、福島第1原発事故の責任を不問にすることを最上位において東京電力を今のまま生かし続け、その上で、財務省の怒りを買わぬよう国庫負担を極力抑え込み、かつ、下記で申し上げるように原子力ムラの当分の間の仕事も確保できるようにして、結局は、その出鱈目の尻をほとんど全部、消費者・国民に、電力料金と税金の形で転嫁しようとしているわけです。しかし、上記で申し上げたように、電力自由化の下で、こういう形での電力会社としての東京電力の在り方は長続きすることはできません。長続きできないということは、福島第1原発に対してさしたる対処もできぬままに、またぞろ数年後には、巨額の対応費用を国に泣きついてくることになるか、今後の賠償や除染などの後始末をズバッと切り捨てて放棄してしまうか、のいずれかになるであろうことが予想されます。でも、今現在の東京電力の経営幹部も、経済産業省の役人どもも、自民党の政治家どもも、原子力ムラの御用学者・御用人間たちも、そんな将来のことはどうでもよくて、とりあえず今がしのげればそれでいい、そんな程度のご都合主義的な認識で、このインチキ・スキームをスタートさせようとしているものと推測されます。

 

(以下、次のメールへ続きます)

草々

 

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