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2017年1月13日 (金)

(池内先生○○○、大西さん×××=あなたダメよ)「(争論)大学と軍事研究:池内了名古屋大学名誉教授 VS 大西隆 日本学術会議会長・豊橋技術科学大学学長)(2017年1月12日付朝日新聞より)

前略,田中一郎です。

 

●(争論)大学と軍事研究 大西隆さん、池内了さん:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12742703.html?ref=nmail_20170112mo

 

僭越ながら、お二人のご意見に私から若干のことを申し上げます。

 

1.池内氏のご意見について

 全面的に賛成です。特に次の4点は私は非常に重要だと考えています。

 

(1)「技術は民生と軍事のどちらにも使える「デュアルユース」だから線引きできないという主張がありますが、私は以下の3点から明確に区別できると考えます。(1)資金源、(2)資金提供の目的、(3)研究成果の公開性です。」

 

(2)「昨年12月、防衛省は公募要領に「研究成果の公表を制限することはない」と明記すると表明しました。なぜ、「公開は完全に自由とする」と書かないのでしょうか。防衛省が関与する余地を残しているのです。研究成果を自由に公開できることは、研究者にとって命です。また防衛省によって研究の進み具合が管理されると、自由な研究環境が保たれません。」

 

(3)「自分の研究が平和を破壊する方向に使われていないか、常に問いかけることが必要です。少しでも研究活動に干渉したり、発表を阻害したりするものがあれば拒否するという節操を持つべきです。」

 

(4)「問題はお金です。文科省の「選択と集中」政策のもと、政府が重視する研究分野に資金が集中し、それ以外は貧困状態です。防衛省の資金に飛びつきたくなる研究者もでてくるでしょう。「研究者版経済的徴兵制」と呼ぶべきこの状況に問題の根幹があるのです。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 上記に関連して、私から若干の私見を申し上げます。

 

まず第一に、昨年末の12/28に開催された記者会見・院内集会でも説明がなされましたが、防衛省から研究費が出るこの仕組みの中では、防衛省の技術系官僚ないしはその委託を受けたものが、所謂「プロジェクト・マネジャー」とか「プロジェクト・ディレクター」という形で君臨し、大学の助成対象研究を遂行する研究者に対して、その進め方仔細を「公開」内容や「公開」の仕方も含めて「指導」「指示」する、もしそれに従わなければ、予定されていた継続的な助成が打ち切られるなどの「圧力」がかかる、とのことだったと思います。

 

そして、このやり方はまさにアメリカ国防総省の軍産情複合体における軍事研究の推進方法そのもので、防衛省やアベ政権は、それを日本に移植・導入しようとしている、そして、ゆくゆくは日本の大学を含むあらゆる科学技術系研究を(もちろん一般企業や研究所を含めて)アメリカの軍産情複合体の一つの有力構成要素にしようとたくらんでいる、ということだったように記憶します。

 

この点は、池内先生の「デュアルユース」防止判断基準に反映させた方がいいのではないかと思います。つまり、(4)として、「自由な研究遂行」ないしは「(資金源からの)研究に関する干渉や指導・誘導などがないこと」を追加しておくべきだと思います。軍事関連研究ではなく、それ以外の分野でも、大学における研究の資金源を役所や民間などから確保する場合には、この原則を順守すべきです。何故なら、大学は特定企業の利益のためや特定の役所の便宜のために存在しているのではなく、純粋に学問や研究のために存在しているのであり、学問や研究や教育の自由こそが「大学の自治」の根幹だからです。具体的にどういう表現で、どういう形で「原則化」していくかは少し議論した方がいいとは思っております。

 

第二に、前回の集会やメールでも申し上げましたが、大学が開発した科学技術を軍事転用させないために、私は「特許制度」を活用してはどうかと思っております。つまり、「刃物は使いよう」で、便利な道具にもなれば人殺しの道具にもなる、という技術の両面性を鑑み、「刃物を人殺しのためには使わせない」ための「特許の縛り」をかけるという方法です。たとえば研究に携わった全研究者と大学組織自身を特許権者とし、特許の使用申請が出た場合には、「軍事利用またはそれに近い利用のされ方が予想される」場合には、特許権者の1人でも「特許の使用に反対」者がいれば、特許を使わせない、そういうルールにしておくのです。また、大学には「特許の軍事利用防止委員会」をつくり、常時、特許の使われ方を監視していく仕組みを作っておくということです。こういうことは可能でしょうか? 特許制度にお詳しい方のご意見をお聞きしたいです。

 

第三に、私は原発・原子力や放射能・被ばくの世界で運動をしてみてつくづく感じさせられたのは、池内先生には申し訳ないのですが、「自分の研究が平和を破壊する方向に使われていないか、常に問いかけることが必要です」や「科学者は本心では戦争のための道具はつくりたくないんだと、私は信じています」などのような、科学者個々人の人格や倫理に訴えかけるだけでは、現代社会の科学や技術の在り方を矯正し適正化することは難しいということです。もちろん、その科学者個々人の人格や倫理観は、すべてのことの基礎にあることですから、非常に大事なことではあるのですが、私は、その上に、その人格や倫理を現実的に具体的に花咲かせていく=言い換えれば、科学や技術の世界から、虚偽や悪徳や非人間性などを排除していく、何らかのソフィスティケイトされた「仕組み」が必要と思うのです。私がレトリックで申し上げている「大学解体」はその1つの処方箋のことです。

 

私の言葉で申し上げれば、もはや現代世界では「支配権力による科学・科学者の包摂」が進み、支配権力に都合の悪い科学や科学者は、その存在を許されない事態に直面しています。今現役で研究に携わる大学や研究所の研究者は、このことをひしひしと身をもって感じているはずです。昔は、研究費がつかない、昇進や栄達に支障が出る、村八分にされて嫌がらせを受ける、くらいの話で済んでいましたが(これでも大問題ですが、それなら一般の役所や会社組織でもある社会現象です)、今では、その度が越していることに加え、研究者の身分そのものがはく奪されたり、科学的に真実ではないこと=つまり嘘八百を平気で言ってのけるようなことをしなければ、その存在を許容されないとか、こうしたことに抵抗しようとしても制度的にねじ伏せられるようになっている(大学運営関連法制)などなど、もはや科学者個々人の力ではいかんともしがたい状態に大学や科学者の社会的在り方が陥ってしまっているのです。もはや「権威科学」の多くは似非科学化しはじめていて、このまま事が進んでいくと、人類の生存や世界の存続を脅かすゆゆしき事態を生み出しかねない状況に陥っております。

 

ですので、軍事研究や原子力・放射能に限らず、学問の自由や科学の真実性・信頼性を確保し続ける具体的な制度的方法、言い換えれば、大学や研究所における学問・研究・教育の自由とその真実性・高品質・善・人間性を保ち続ける(むしろ「取り戻す」と言った方がいい)リアルな枠組みを、私たち多くの市民と科学者・大学人が考えて実現していく必要があると思います。

 

今日の多くの大学が、金儲け主義に走ったり、役所や企業の金儲けの御用聞きになったり、グロテスクな嘘八百の広報機関になったり、大学内での言論・表現の自由を妨害したり、市民運動・社会運動の進入を妨害したりしている事態は、看過することができません。私はこうした大学を「解体」するところから、軍事研究の廃止も含めて、科学や技術の社会的適正化が始まるのだと思います。

 

2.大西氏の議論について

 ご都合主義の議論はやめろということです。科学者として、大学人として恥さらしであり、そうでなければ、社会科学系か歴史研究の人文系の大学に入りなおせと申し上げたいですね。同氏の議論は、最初から最後まで、全部だめだと思いますが、以下では、数点に絞って簡単に批判しておきます。概して申し上げれば、「防衛省のカネを研究費に使いたい」という身勝手な「欲」が先に立ち、学問や研究の根本原則や中長期的な危険性を無視しています。それを「もっともらしい、しかしご都合主義の屁理屈というオブラート」に包んでいるだけの話でしょう。私はこういう大学関係者を見ると、ほんとうに無性に腹が立ってしかたありません。

 

(1)自衛権・自衛組織に注目せよ ⇒ 今日の在日米軍や自衛隊が「最低限の自衛力」といえるのか? 集団的自衛権を行使すると言っている政権・政府が、その行使を実行する暴力組織の防衛省を通じて出すカネを使って、何が「自衛」なのか? 武器輸出は解禁され、アメリカと武器や作戦の共同開発が強化され、アメリカの戦争に日本が全面的に加担(下請け)させられている状況があるのに、何が「自衛」なの?

 

(2)自衛権の行使には制限が必要です ⇒ どうやって「制限」するのか、そもそも、始まった戦争が「自衛戦争」か「侵略戦争」か、誰がどういう基準でどのように判断するのか? 特定秘密保護法では戦争や軍事・外交関係などはすべて秘密とされ、判断のしようがないのではなかったか。また、自分自身で「多くの国際紛争は自衛の名のもとに始まっている」などといっているが、ならば戦争に「自衛」も「侵略」もないではないか。

 

(3)「自衛のための技術研究も同じ制限を受けます。核兵器や毒ガスのように攻撃的性質を持つ技術の研究は初めから除外すべきです。」などと言っているが、他方では、「多くの技術は軍事と民生の両方に使える「デュアルユース」という性質があり、両者は切り離せない」と言っているではないか。だったら、攻撃的性質を持つ技術も防衛的性質を持つ技術も「デュアルユース」でもっともっと切り離せないでしょうに。除外の基準などできませんわな。ご都合主義もはなはだしき、というべきです。

 

(4)「研究成果は原則公開であると、制度の公募要領に明記され、研究成果を特定秘密保護法の特定秘密に指定はしない方針を防衛省は明らかにしています」とあるけれど、研究成果の公開は公募要領に書くけれど、研究成果の特定秘密指定はしない旨は、なぜ公募要領に書かないのか。また、公開されるべきは研究成果だけでいいのか。結果だけ、しかも「成果」の部分だけ公開したら、それでザッツオールなのか。過去において科学技術がもたらした様々な社会的被害や弊害を、まったく学習しとらんな、こいつは。

 

(5)「日本学術会議は1950年と67年に、戦争を目的とした科学の研究を行わない声明を発表しました。半世紀たち、第2次世界大戦の反省を共有しつつもそれだけから現代を判断する議論には疑問を持つ若手の研究者が増えていると感じます」。そう思うならば、そういう人間を一人残らず、少なくとも大学からなくしていくことが、あなたの使命なのですよ。学長や学術会議の要職にあるのはそのためだと自覚せよということです。戦争のリアリティを喪失した、歴史や一般教養を学ばぬ若い世代が増えていることは、この国の大問題です。その延長で、原発・核施設過酷事故についてのリアリティも失ってしまっている。若い世代のこうした風潮は、国が滅びの方向に向かっている一つの前兆ととらえるべきでしょう。

 

(6)ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏は、この防衛省のカネに手を出せば、中長期的にみて「深みにはまる(際限がなくなる)」=つまり、危険な第一歩、アリのひと突きになると警告を発しています。

 http://sitesearch.asahi.com/.cgi/sitesearch/sitesearch.pl?Keywords=%B1%D7%C0%EE%C9%D2%B1%D1

 

(7)「私自身は現行憲法を支持し、声明を堅持するべきだと主張しています」=しらじらしいから、おやめなさい、あなたの人格を疑われますよ。本気でそう思うのなら、口先だけでなく、態度で示しましょう。そして「自衛とは自ら戦争をしかけず、戦争の機会を作らないことであり、そのための研究は声明と矛盾しないと考えます。」⇒「多くの国際紛争は自衛の名のもとに始まっており」と自己矛盾を起こしている。気がついているでしょうに、ここでもご都合主義丸出しです。これじゃ、安倍晋三の腰巾着たちと大差なしでしょう。科学が戦争に断固として協力しないためには、戦争について節操のない政権、政治家、官僚、企業、マスごみなどのお膳立てには乗らないことが肝要であり、返す刀で、そうした戦争への節操のなさを厳しく批判しなければなりません。しかし、あなたは、まさに、その逆をしてしまっているのです。大学と学術会議の要職を辞任されることをお勧めいたします。

草々

 

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2017112日の朝日新聞朝刊の記事を紹介します。

 

(争論)大学と軍事研究 大西隆さん、池内了さん 防衛省安全保障技術研究推進制度

 

 大学や国の研究機関を対象にした防衛省の研究費制度が導入されて2年。大学や国の研究機関での軍事研究は許されるのか。「学者の国会」とも言われる日本学術会議で熱心な議論が続いている。早ければ16日には、方向性を盛り込んだ素案が発表される。

 ・自衛のためなら許されるか

 ・民生研究と区別は難しいか

 ・学問の自由は守られるか

 

【制度利用に賛成「○」】現実直視し戦争避ける研究を 日本学術会議会長・大西隆さん

 日本学術会議の代表としてではなく個人の意見です。日本学術会議は昨年5月、「安全保障と学術に関する検討委員会」を設置しました。防衛省が2015年度、「安全保障技術研究推進制度」を始めたのをきっかけに私が提案しました。大学や国の研究機関に所属する学術界の研究者が自衛隊の装備にもつながる技術の基礎研究をするため、防衛省が公募して研究費を支給する制度です。

 

 私が学長を務める豊橋技術科学大学からは、炭素繊維を使って有毒ガスを吸着・無害化するフィルターの研究が採択されました。ガス攻撃を防げるだけでなく、化学工場などでの災害時に活用できます。両面の成果を期待して研究を承認しました。

 

 多くの技術は軍事と民生の両方に使える「デュアルユース」という性質があります。軍事技術として生まれたGPSは民間で活用されていますし、反対に民生分野から軍事に転用された例もあります。両者は切り離せないからこそ、研究者は成果が破壊的行為に悪用されないよう注意を払う責務があります。自衛隊が使う技術の研究は、これまで防衛省や防衛産業の研究者が担ってきましたが、今回の制度は、条件を満たせば、学術界であっても受け入れられると考えます。

 

 国民の多くは憲法のもとで個別的自衛権を認め、自衛隊の存在を認めています。内閣府の世論調査では、国の防衛力について「今の程度でよい」「増強した方がよい」を合わせて90%近くに達します。国連憲章にも明記された自衛権に基づいて自衛組織を持つことは、国の安全保障にとって避けられません。学術界も、この現実を直視する必要があります。

 

 日本学術会議は1950年と67年に、戦争を目的とした科学の研究を行わない声明を発表しました。半世紀たち、第2次世界大戦の反省を共有しつつもそれだけから現代を判断する議論には疑問を持つ若手の研究者が増えていると感じます。声明の意味を新しい環境の中でとらえなおす必要があると考え、検討委の設置を提案しました。私自身は現行憲法を支持し、声明を堅持するべきだと主張しています。自衛とは自ら戦争をしかけず、戦争の機会を作らないことであり、そのための研究は声明と矛盾しないと考えます。

 

 もっとも、多くの国際紛争は自衛の名のもとに始まっており、自衛権の行使には制限が必要です。切迫して代替手段がないときに限り、過剰でない範囲で認められるとされ、加えて国際条約による制限があり、自衛のための技術研究も同じ制限を受けます。核兵器や毒ガスのように攻撃的性質を持つ技術の研究は初めから除外すべきです。

 

 防衛省の新制度に応募する場合、研究内容が自衛の範囲にとどまることの説明責任を、資金提供者、研究者、研究者の所属組織が果たすことが条件です。また、学問の自由を担保するため、成果はすべて公開されなければなりません。この点、研究成果は原則公開であると、制度の公募要領に明記され、研究成果を特定秘密保護法の特定秘密に指定はしない方針を防衛省は明らかにしています。そして、この制度をあまり大きくしないことも平和国家を標榜する国として重要です。学術界は戦後、民生的な研究によって社会に貢献してきました。今後もその枠組みは維持すべきです。(聞き手・嘉幡久敬)

     *

 おおにしたかし 1948年生まれ。専門は都市工学。2011年10月から現職。豊橋技術科学大学学長も務める。東京大学名誉教授。

 

【制度利用に反対「×」】防衛と攻撃の技術は表裏一体 名古屋大学名誉教授・池内了さん

 日本学術会議は、軍事研究とはいかなる関係も持たないとの立場をとるべきです。自国の防衛のための軍事技術だからよいという意見は、単純すぎます。防衛技術は、攻撃の技術とセットだからです。今や世界的に無人機やロボットで人を殺傷する兵器開発が進んでいます。防衛省が公募制度で提示した昆虫や小鳥サイズの小型飛行体の研究は、そこに化学兵器を積んで飛ばせばどうなるかすぐに想像できます。光の反射を抑える人工素材の研究もステルス戦闘機の機体に応用できるでしょう。

 

 軍備の開発はいったんはじめると必ずエスカレートするのです。究極が核兵器です。安倍政権は、「憲法は一切の核兵器の保有および使用を禁止しているわけではない」との答弁書を閣議決定しています。これまでの内閣も同じ見解です。いったんたがが外れるとどうなるかわからないことを認識すべきです。科学者は素朴に、「家族を守るために自衛の装備が必要だが、自衛の一線を越えるなら参加しない」と考えがちです。自分ですべて差配できるつもりなのでしょうが、一度始めたらやめることは困難です。戦争を止められないのと同じです。

 

 米国では「軍産学」の複合化が進み、人工知能(AI)など新しい技術が、軍事の主役になりつつあります。日本の先端技術に注目した米軍が、共同研究の提案をしてきています。こうした流れの中から、防衛省の公募制度が出てきたとみるべきです。これまで学術界は軍事研究を拒否してきました。防衛省はこの障壁をなくし、大学や研究者とつながりをつくる狙いがあるのでしょう。

 

 大学は従来通り、民生技術に限るべきだと思います。技術は民生と軍事のどちらにも使える「デュアルユース」だから線引きできないという主張がありますが、私は以下の3点から明確に区別できると考えます。(1)資金源、(2)資金提供の目的、(3)研究成果の公開性です。特に3点目の研究成果の公開性について、私は、完全な公開が保障されていないのではないかと防衛省に尋ねてきました。昨年12月、防衛省は公募要領に「研究成果の公表を制限することはない」と明記すると表明しました。なぜ、「公開は完全に自由とする」と書かないのでしょうか。防衛省が関与する余地を残しているのです。

 

 研究成果を自由に公開できることは、研究者にとって命です。また防衛省によって研究の進み具合が管理されると、自由な研究環境が保たれません。軍事研究は、憲法23条で保障されている学問の自由を脅かす懸念があるのです。戦前・戦中の科学者たちが、科学の発展や国を守るためと信じて、倫理の道を踏み外しました。自分の研究が平和を破壊する方向に使われていないか、常に問いかけることが必要です。少しでも研究活動に干渉したり、発表を阻害したりするものがあれば拒否するという節操を持つべきです。

 

 科学者は本心では戦争のための道具はつくりたくないんだと、私は信じています。問題はお金です。文科省の「選択と集中」政策のもと、政府が重視する研究分野に資金が集中し、それ以外は貧困状態です。防衛省の資金に飛びつきたくなる研究者もでてくるでしょう。「研究者版経済的徴兵制」と呼ぶべきこの状況に問題の根幹があるのです。(聞き手・三輪さち子)

     *

 いけうちさとる 1944年生まれ。専門は宇宙物理学、科学社会論。著書に「科学の考え方・学び方」、「科学者と戦争」など。

 

 ◆キーワード

 <軍事研究に関する日本学術会議の声明> 科学者が戦争に動員された反省から、1950年に「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」を決議した。67年には、日本物理学会の国際会議に米軍が資金提供していたことがわかり、改めて同趣旨の声明を出した。声明は拘束力を持たないが、多くの大学や国の研究機関が組織運営の参考にし、学術界のルールとして定着している。

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草々

 

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