« (報告)(10.26)原発事故被害者の救済を求める全国運動:請願提出集会 | トップページ | 「アベノミクス」の断末魔(2):公的年金による株式 「バクチ」 を合理化する 「(独)年金積立金管理運用法人(GPIF)」 理事長の屁理屈 »

2016年10月28日 (金)

(再論)食べものの放射能汚染:汚染のホット・スポットが見過ごされる危険=放射能汚染地域産の飲食物は極力避けましょう

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

福島第1原発事故から5年半以上の歳月が流れました。原発から環境に放出された放射能のうち、半減期が比較的短いものは、その崩壊がある程度進み、たとえば放射性セシウム134(半減期約2年)などは、当初の約1/4程度にまで量が減少しています。しかし、半減期が長い放射性セシウム137や放射性ストロンチウム90(いずれも半減期約30年)、あるいはトリチウム(半減期約12年)などは、依然として量的にあまり減ることもなく、広く東日本の全域を汚染し続けています。特に放射性ストロンチウム90やトリチウムなどの汚染は、汚染水の海洋放出により東日本の太平洋沿岸・沖合を汚染し続けていることから、そうした海域で獲れる海産物が非常に気になるところです。また、プルトニウムやウランなど、呼吸によって人間の体内に入ると極めて危険なアルファ核種などは全くと言っていいほど調査・検査されておりませんので、その汚染の状況は全く不明のまま放置されています。そして忘れてはならないことは、福島第1原発からは、今現在においても、毎日海へ流出している汚染水のみならず、大気中へも様々な種類の放射性物質が、日々、気体や微粒子の形で放出され続けているということです(少し前には3号機からの放出放射能に関係して南相馬で栽培中の稲が汚染されたこともありました)。

 

●南相馬市のコメの汚染は東電から出た放射性ダストが原因(木野龍逸) - 個人 - Yahoo!ニュース

 http://bylines.news.yahoo.co.jp/kinoryuichi/20160131-00053987/

(文章の最初に「2017117日」とあるのは「2016年」の間違いと思われます:田中一郎)

 

●南相馬市のコメの汚染は東電から出た放射性ダストが原因 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=H6srNla3Vc4

 

今現在、福島県をはじめ東日本一帯に広がる放射能汚染地帯では、放射線被曝の危険性に関して言えば、飲食による内部被曝よりも、呼吸による内部被曝の方をもっと注意・警戒した方がいいでしょう。先般は、「みんなでやっぺ! きれいな6国」などという、いかにも怪しげなイベントが、高校生の生徒たちを巻き込んで実施されましたが、猛烈な汚染地帯でのいい加減な装備や服装での清掃活動などはひどい呼吸被ばくを引き起す懸念が大きく、そんな危険なことに子どもたちを駆り出すなど、もっての外と言わざるを得ません(このイベントに関しては、今週号の『女性自身』(2016.11.8号)が「子どもの健康リスクは考えていません、「この無責任、もう許せない! なにかあっても自己責任です!」」という記事を掲載して、その危険性と主催者側のいい加減さ・無責任さを告発しています。是非ご一読ください)。

 

#脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会) (声明) 国道6号線清掃ボランティア活動「みんなでやっぺ!きれいな6国」の中止を要求する

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2016/10/blog-post.html

 

●【国道6号】今年も高校生が清掃ボランティア。消えぬ高濃度汚染、舞う砂塵。根強い批判に主催者は「もっと放射線を勉強して」と反論 - 民の声新聞

 http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-61.html

 

しかし、食べもの・飲みものについても、決して安心できる状態ではありません。放射性セシウム134は汚染が薄くなってきたとはいえ、また、福島県では放射性セシウム137も含めて、放射性セシウムが土壌から作物に移行しないようないろいろな工夫や努力がなされているとはいえ、依然として、その対応は完璧・十分とは言えず、日常的に食べる・飲むことを鑑みた場合、私は極力、放射能汚染地域で生産される飲食物は生鮮・加工・外食ともに、避けた方がいいと考えています。以下、詳細は別添PDFファイルや関連サイトを見ていただくことにして、簡単に結論だけをまとめておきます。また現在、食べものの放射能汚染についての勉強会を続けていて、それを録画採録しておりますので、完成次第、みなさまにもお届したいと考えております。

 

 <別添PDFファイル>

(1)食べものの放射能汚染(1)(2016.10.7

「food_radioactive_1.pdf」をダウンロード

(2)食べものの放射能汚染(4):農林水産省 肥料・土壌改良資材・培土及び飼料の暫定許容値(2016.10.7

「food_radioactive_4.pdf」をダウンロード

(3)食べものの放射能汚染(5):検査方法・検査結果(2016.10.7

「food_radioactive_5.pdf」をダウンロード

(4)食べものの放射能汚染(6):その他資料(1)(2016.10.7

「food_radioactive_6.pdf」をダウンロード

(5)食べものの放射能汚染(7):その他資料(2)(2016.10.7

「food_radioactive_7.pdf」をダウンロード

(6)ナノ粒子、母乳介し子へ、阪大などマウス実験(日経 2016.9.11

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09HBE_Q6A910C1000000/


(7)ヒラメ出荷制限解除(福島民報 2016.6.10

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2016/06/post_13817.html


(8)食品汚染、基準超えは0.1%(小島正美 毎日 2016.9.9

 http://mainichi.jp/articles/20160909/ddm/013/040/010000c


(9)放射能汚染問題への対策(小山良太 全国農業 2016.8.26

「oyama_ryouta.pdf」をダウンロード
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/hukusimanisyokutonougyouwotorimodosu.html


10)原発賠償、農林業賠償 2年分一括支払、31年以降は個別に対応(福島民報 2016.9.21

 http://www.minpo.jp/news/detail/2016092234818

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2016/09/post_14214.html


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

注:上記で「食べものの放射能汚染の(2)(3)」は「飲食品の残留放射能規制値(厚生労働省 2016.6.2現在)」(下記)です。

 

 <関連サイト>

(1)飲食品の残留放射能規制値(厚生労働省 2016.6.2現在)

 http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/20131025-1.pdf

(2)放射性物質の体内残留量グラフ - bl.ocks.org

 http://bl.ocks.org/habari2011dunia/7643845

(3)暮らしのノートITO 福島原発放射能汚染「海産物に約50倍の生体濃縮」放射性銀の110Mも多量に

 http://blog.livedoor.jp/hbk3253/archives/51317409.html

(4)東京新聞給食の安全が置き去り 宇都宮でタケノコからセシウム社会(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201606/CK2016061402000260.html

 

 <厚生労働省HP>

(1)飲食品の残留放射能規制値(厚生労働省 2016.6.2現在)

 http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/20131025-1.pdf

(2)食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正 厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000117411.html

(3)原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限等:平成28年9月21日現在(厚生労働省)

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001a3pj-att/2r9852000001a3rg.pdf

(4)(事例)食品中の放射性物質の検査結果について(第999報) |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000137219.html

(5)(事例)原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の設定 |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000136415.html

(6)(事例)食品中の放射性ストロンチウム及びプルトニウムの測定結果(平成27年9~10月調査分) |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000133523.html

(こんな測定の仕方では話になりません。汚染されていないことを見せびらかすためにやっている感じです:田中一郎)

(7)報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/

(厚生労働省関係の重要発表はここに掲載されます)

 

 <農林水産省HP>

(1)農林水産省-放射性セシウムを含む肥料・土壌改良資材・培土及び飼料の暫定許容値の設定について

 http://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/saigai/supply.html

(2)諸外国・地域の規制措置(平成28927日現在)

 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kisei_all_160927.pdf

(3)(政策情報)保全諮問会議東日本大震災に関する情報:農林水産省

 http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/index.html

(4)同上 生産関係:農林水産省

 http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_seisan.html

(5)農林水産省-関係者向けリーフレット

 http://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/saigai/shizai_leaflet.html

(6)農林水産省ホームページ

 http://www.maff.go.jp/

(農林水産省関係の重要発表はここに掲載されます)

 

 <今現在の結論のまとめです>

1.福島第1原発事故からおよそ1年後に決められた厚生労働省の残留放射能(セシウム)規制値の数値が大きすぎる(⇒ 一般食品で100ベクレル/kg=これは放射能汚染のゴミか否かを決める基準だ)ことに加え、放射性セシウム以外の危険な放射性物質を無視している。そもそも、この規制値は、飲食による内部被曝だけで年間1mSvとなってしまうように決められた数値であり、その他の被ばく=外部被曝や呼吸被曝や傷口からの放射性物質侵入による内部被曝などは無視されている。また、胎児や乳幼児、あるいは若年層という放射線被曝に感受性の高い年齢層に対して、大人よりも十分に厳しく規制するという方針をとらず、たくさん食べないから大丈夫、などというふざけた発想で数値を決めている様子もうかがえる。水道水や乳製品の規制値は、よく飲むから、あるいは子どもが食するからと、一般食品の規制値100ベクレル/kgよりも少しは厳しくなっているとはいえ、その数値は依然として大きく(飲料水=10ベクレル/kg、乳製品=50ベクレル/kg)、この厚生労働省の規制値をクリアしているからと言っても、とても安全だなどと言える代物ではない。

 

2.放射能汚染地域(*)で生産される飲食品についてのこれまでの調査・検査は極めて不十分で、東日本全体に広がる汚染状況の正確な把握ができていない(検査サンプルが流通量に比べて少なすぎる、検査が特定品目に偏っている(米、牛肉、魚など)、放射性セシウムしか調べない、検査の利益相反が排除されていない・透明性に欠ける、農地土壌の汚染マップもない、海洋や森林についてもそこに棲息する生物群や生態系への放射能汚染の影響調査がおざなりで、その危険性がよくわからない等)。従って、放射能汚染地域の産物にはホット・スポット的な汚染物が含まれている可能性があり、飲食品の危険性は払しょくされていない。特に、福島県沖を中心に宮城県~茨城県の沖合、及び東京湾で獲れる海産物は危険である。山林に降った放射能は河川を通じて太平洋や日本海に流れ出ており、福島県から少し距離のある海域でも注意が必要だ(東日本では、子ども連れでの海水浴や潮干狩りは避けた方がベター)。

 

(*)どこが放射能汚染地域なのか

 私は厚生労働省が発表する野生キノコの規制値(100ベクレル/kg)超過情報をメルクマールにしている。これまでの結果から現段階の結論を申し上げると、西は静岡県の富士山の西側、山梨県の北杜市、長野県東部=野辺山・佐久・小諸・軽井沢・中野市あたりまで、新潟県南部が境界、東は青森市、つまり本州のだいたい長野県東部より以東はすべて放射能汚染地帯と考えていい。東京はウクライナのキエフ並の汚染地帯と見ておいていいように思われる。

 

3.国や自治体は、このホット・スポット的な飲食物の汚染を「見つけ出しては撲滅する」という「発見型」の検査をしておらず、逆に、汚染が発見されると商売や事業に差し支えるので、できるだけ隠すか調べない(検査を避けて通る)式の「隠蔽型」検査に徹している様子がうかがえる。その1つの証拠に、厚生労働省は毎年度末(3月)に、飲食物の放射能汚染検査のやり方の見直しをしており、見直すたびに検査する対象品目が減少していくというおかしなことを繰り返している。本来ありうべき検査の仕方はその逆で、あらゆる品目を徹底的に調べあげ、汚染が見つかれば、それを徹底して撲滅する(農地などを完全に除染するか、そこでの生産をやめる)という方法をとらなければ、いつまでたっても放射能汚染地域では汚染の危険性から逃れられない。そもそも周辺森林がかなり汚染されているような農地での農業はやめるべきである(除染しても、やがて元の汚染状態に戻ってしまう)。

 

4.放射性ストロンチウムは放射性セシウムに比べてはるかに危険であるにもかかわらず、まともに検査・調査されず、残留規制値さえ設定されていない。また、それ以外の放射性核種もまともに調査・検査された様子がない。

 

●放射性ストロンチウムをなぜ調べないのか (放射性セシウムの数百倍の危険性を警戒しよう) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-4cee.html

 

●放射性ストロンチウムをなぜ調べないのか(その2) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-8b3d.html

 

5.飲食物の放射能汚染対策の基本は、調べて調べて調べ尽くし、汚染物が消費者・国民に口に入ることがないように、先手先手で徹底して手を打つということでないといけないが、福島第1原発事故後の政府や自治体の対応は、そうはなっていない。だから、時折、とんでもない汚染物が見つかっては対応が後手に回り、危ないぞと分かった時には、その大半が食べられてしまっているということも起きている。そして汚染原因の追究もしっかりやらないから、再発防止策もいい加減なのだ。また、一旦設定された出荷制限の解除の基準も甘く、かつ、早く解除したいという気持ちが先走り、基準を超える汚染がひとたび見つかると、それ以降はそればかり検査するという傾向がみられる。その結果は、厚生労働省が発表する基準値越え汚染物は、野生動物の肉や野生の山菜など、消費者の日常的な食生活とはあまり関係のないものが大半という、おかしな状態に陥ってしまっている(消費者が日常的によく口にする飲食物の検査が少なく、とても安心できる状態にない。野生動物の肉などを検査しているヒマがあったら、もっと日常の飲食品を調べよ)。

 

6.キノコ・山菜や川魚(淡水魚)、野生動物の肉(ジビエ)や家畜・家禽の内臓肉、あるいは乾燥品や東日本産の海産物など、放射性物質で汚染されている可能性が他の飲食品に比べて高いものがあるので、それらは可能な限り口に入れない方がいい。また、キノコは汚染した栽培土や原木が出回っている様子があり、全国どこでも危険であるし、その他の汚染飲食品についても、意外と無節操に産地が偽装されたりしながら流通している様子もあるので、常に警戒が必要だ。信頼できる店で、汚染度合いが高くないと考えられる品目を選んで買うという習慣を身に着けた方が無難だろう。外食や加工品は、信頼できる筋から購入する生鮮品に比べるとリスクが高いので、何をどう選別するかは、いろいろ情報収集をしながら検討した方がいい。少なくとも値段の安い外食はできるだけ避けたい(念のために申し上げておくと、加工品や外食の放射能汚染検査は業者や業界に丸投げ状態で、公的機関によるまともなチェックも事後フォローも検査への助成も、ほとんど何も行われていない)。

 

7.もう一つ申し上げておかなければならないのは、放射能汚染地域で働く生産者・農家や林業労働者の放射線被曝対策が皆無に近いことである。一般の原発・核施設や福島第1原発、あるいは除染の現場などで働く労働者に対しては労働安全衛生法に基づく「電離放射線障害防止規則」や「除染電離則」(除染事業に従事する労働者向けの新たな規則)が定められ、放射線被曝による障害を防止するための規制がかけられているというのに、家族経営を営む生産者・農家や林業家については、何の対策も保護も規則もないまま放置され、ただ、汚染された農地・林地から算出される農林産物が厚生労働省の規制値以下の汚染状況ならいい、という、非常に軽率かつ危険な、そして生産者・農家・林業家を労働者として、生身の人間として見ない、まるで生産ロボットであるかのごとき扱いを、国や自治体は少なくとも政策上で行っているということである。耐え難い話である。(おしどりマコさんがレポートしている2016年春の農民連と政府との交渉を参照されたい)

 

●電離放射線障害防止規則

 http://www.scn-net.ne.jp/~scout/tokubetu/HOUREI/denrisoku.html

 

●除染等業務に係る放射線障害防止対策について |厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000029897.html

 

0907_福島県農民連、政府交渉 - ツイキャス

 http://twitcasting.tv/makomelo/movie/304218654

 

2016.9.7 安倍政権・東京電力の「福島切り捨てを許さない」福島県農民連の方々の政府交渉 ♯おしどりキャス 実況ツイートまとめ - Togetterまとめ

 http://togetter.com/li/1021618

 

8.国や自治体は、飲食品の放射能汚染に対して、なすべきことをきちんとせずに、早い段階から無内容な「安全・安心キャンペーン」ばかりを繰り返している。2020年の東京オリンピックを口実に、放射能汚染問題は解消したことにしたいためか、ここ1年くらいは、そのPRが異常ともいう状況にあり、さながら原子力翼賛社会の様相を呈している。福島県など東日本では、放射能への懸念や放射線被曝の危険性を口にするだけで「危険人物扱い」「変人扱い」をするような社会情勢が、国や自治体関係者、あるいは地域のボスや政治家たちによって創り出されている。いい加減にしろ、である。何度も繰り返すが、放射能で汚染された飲食物を食べたことによる内部被曝=特に呼吸被曝と合わさった恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)は非常に危険で、できればそのような「異常」で「危険」な放射能汚染地域からは早期に脱出した方が賢明である。

 

9.こうしたゆがんだ状況が生まれている最大の理由は、飲食物の放射能汚染を認めることによる損害賠償・補償や、福島第1原発事故の責任の明確化を、原子力ムラやその代理店の現政府・アベ自民党政権が恐れているからであり、言い換えれば、福島第1原発事故の後始末の費用を極力圧縮して極小化しようとしているところから派生した「国家的集団犯罪行為」だということである。「安全・安心キャンペーン」は決して福島県やその他の被害者、生産者・農家・漁業者・林業者のために行われているのではなく、加害者・東京電力や事故責任者・国の原発事故への責任をあいまいにし、その償いの負担を極小化するために行われている「インチキ・キャンペーン」であるということをしっかりと認識しておくべきだろう。「風評被害」などと、放射能汚染を懸念する消費者・国民をバカにしたような「世論誘導言語」を創作し、多くの生産者や食品事業者を翻弄しているのである。マスごみ報道と似非学者がこれに拍車をかける。

 

 なすべきことは、放射能汚染の調査・検査体制を充実させ、徹底的に調べて、汚染度合いの低いところから除染をして、復旧・復興につなげていく、汚染度合いの高いところからは一刻も早く避難をしてもらって、それに対する賠償・補償を万全に行う、ということ以外にありえない。この国は、この「当たり前のこと」をなさずに、福島第1原発事故後の5年半の間、愚かなことを繰り返し、巨額な財政資金を除染や廃炉などの、将来展望のない、まさに加害者=原子力ムラの連中の「仕事」「事業」ために支出するという「愚」を続けてきた。許し難いことである。政府や自治体は愚かなことをやめて、本来あるべき「対策」に戻るべきである。

 

 <別添PDFファイル:小山良太福島大学教授の議論について>

 上記「別添PDFファイル」でご紹介した「(9)放射能汚染問題への対策(小山良太 全国農業 2016.8.26)」には、例えば次のような記述がある。

 

「価格下落分を賠償する枠組みでは、現在の価格低迷から脱却できない。今後は個人への賠償だけではなく、その予算を産地対策に充てるべきだ。効果の薄いイベント、広告などの風評対策予算も産地・流通対策に切り替えるべきである。他の産地と比べ放射能が降り注いだことに伴う条件不利地域対策ともいえる。」

 

 しかし、そもそも放射能汚染地域から算出される飲食物にホット・スポット的な汚染の危険性があり、それが十分な検査・調査により克服されていない状態で、上記のような議論は、いささか「御用」の臭いのする、いただけないものである。小山氏は少し前には、農地の放射能汚染マップ作成の重要性と、徹底した飲食品の検査・調査などを説いていたこともある。ぜひ、そうした頃の言論にお戻りいただきたいものだ。

 

 <こちらも併せてご覧ください>

●放射能汚染地帯で農業をしてはいけない=諸悪の根源は、生産者・農家を含む原発事故被害者への賠償・補償をきちんとしないことだ、そして、生産者・農家の被ばく防護をどうして国はきちんとしないのか!!  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-4198.html

 

 <(VTR)放射線被曝の基礎知識>

(1)20160622 UPLAN【企画講座】田中一郎「放射能と被ばくの基礎知識」 第1回目 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=QT8XQWkwjmA

(2)20160722 UPLAN【企画講座】田中一郎「放射線と被ばくの基礎知識」第2回目- YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=3XMhAmPD8SI

(3)20160822 UPLAN 【企画講座】田中一郎「放射線と被ばくの基礎知識」第3回目- YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=GZQGaoTDpJw

(4)20160922 UPLAN【企画講座】田中一郎「放射線と被ばくの基礎知識」第4回目- YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=d0iSNJPNBbY

(5)20161022 UPLAN【企画講座】田中一郎「放射線と被ばくの基礎知識」第5回目 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=qO9owrgXq0A

 

(上記の第6回目と第7回目に「食べものの放射能汚染」を予定しています)

早々

 

« (報告)(10.26)原発事故被害者の救済を求める全国運動:請願提出集会 | トップページ | 「アベノミクス」の断末魔(2):公的年金による株式 「バクチ」 を合理化する 「(独)年金積立金管理運用法人(GPIF)」 理事長の屁理屈 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« (報告)(10.26)原発事故被害者の救済を求める全国運動:請願提出集会 | トップページ | 「アベノミクス」の断末魔(2):公的年金による株式 「バクチ」 を合理化する 「(独)年金積立金管理運用法人(GPIF)」 理事長の屁理屈 »

最近の記事

無料ブログはココログ